説明

寝具用音環境生成装置、睡眠環境システム

【課題】寝室内の他者の睡眠を妨げずに利用者の周囲の所望の位置に三次元的に音像を形成し、睡眠に関連付けて違和感のない音環境を形成することにより睡眠の質を高める。
【解決手段】ベッド2は、2チャンネルのスピーカ22を組み込んだヘッドボード21を有し、スピーカ22に入力する音声信号を音響処理装置1で制御することにより、ベッド2で仰臥する利用者Hに三次元的に音像を認識させる。音響処理装置1は、複数種類の音源データを保持する音源データ保持部11と、音源データに対する頭部伝達関数を制御してスピーカから出力する音の音像の位置を制御する音像定位処理部12と、睡眠に関連付けて設定したパラメータセットに従って音源データを選択するとともに音像の位置を制御する制御部10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠空間において快適な入眠や起床を誘導するための環境音を寝具により生成する寝具用音環境生成装置およびこの寝具用音環境生成装置により生成した環境音を含む睡眠環境を形成するための睡眠環境システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ストレスの増加や睡眠時間の短縮化に伴って睡眠に不満を訴える都市生活者が増加している。そのため、睡眠の質を高める提案がなされており、快眠、リラクゼーション、癒しなどの効能をねらって、種々の形態、材質の寝具や、睡眠空間における光、音、温度、香りなどによる刺激を制御する装置が多々提供されている。
【0003】
ところで、利用者に与える刺激のなかでも聴覚刺激は入眠や起床における重要な要素であることが知られている。入眠、起床、リラクゼーションなどの目的で聴覚刺激を与えるために、睡眠時の環境音を制御する装置としては、ベッドのヘッドボードにスピーカを設けたり、枕にスピーカを内蔵しておき、当該スピーカから環境音を出力するものがある。環境音には、自然環境から採取した環境音や音楽や電子的に生成した意味を持たない人工音などが用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−334283号公報(0026段落)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の技術では、CD(コンパクトディスク)プレイヤのような音声再生装置を用いて録音音声をスピーカから再生しているだけであって、利用者の頭部に対してスピーカを配置した方向にしか音像が形成されないものである。したがって、利用者は違和感を感じることになり、適切な音環境を利用者に与えることができないという問題がある。すなわち、ベッドのヘッドボードにスピーカを設けている場合には頭上から環境音が聞こえ、また枕にスピーカを設けている場合には後方から環境音が聞こえるから、利用者は音像の位置に不自然な違和感を持つことになり、この違和感によって安心できなくなり、リラクゼーションや入眠に際しての音環境を形成することができなくなるという問題が生じる。
【0006】
この種の問題を解決するには、ベッドのような寝具の周囲に多数個のスピーカを配置して5.1チャンネルなどの音響空間を形成することが考えられるが、一般住宅の寝室では多数個のスピーカを寝具の周囲に配置することは設置面積の制約によって困難である。また、多数個のスピーカを寝具の周囲に配置することが可能であるとしても、就寝時刻や起床時刻の異なる複数人が寝室を共有している場合(たとえば、夫婦が同じ寝室を用いる場合)には、個々人に別々に環境音を聞かせることができず、利用者のうちの一人の睡眠の質を高めるために他の人の睡眠の質を下げてしまうという問題が生じる。
【0007】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、睡眠空間における音環境を寝具により形成することによって寝室内の他者の睡眠を妨げないようにしながらも利用者の睡眠の質を高めることを可能にし、しかも利用者の周囲の所望の位置に三次元的に音像を形成することで違和感のない音環境を生成することを可能にした寝具用音環境生成装置を提供するとともに、この寝具用音環境生成装置を用いて寝室内の睡眠環境を形成する睡眠環境システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、寝具に設けられた2チャンネルのスピーカと、寝具上で就寝姿勢である利用者に音像を三次元的に認識させるようにスピーカへの音声信号を生成する音響処理装置とを有し、音響処理装置は、少なくとも1種類の音源データを保持する音源データ保持部と、音源データに対する頭部伝達関数を制御してスピーカから出力する音の音像の位置を制御する音像定位処理部と、睡眠に関連付けて設定したパラメータセットに従って音源データを選択するとともに音像の位置を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記パラメータセットは、音源データの種類および音像の位置とともに、音源データの種類を選択するタイミングおよび音像の位置を制御するタイミングを含むことが望ましい。
【0010】
さらに、前記制御部は、入眠を誘導する入眠誘導フェイズと起床を誘導する起床誘導フェイズとの少なくとも2種類のパラメータセットを備えることが望ましい。
【0011】
前記入眠誘導フェイズのパラメータセットは、時間経過に伴って前記音像が利用者の頭部から徐々に遠ざかるように音像の距離が設定されることが望ましい。あるいはまた、前記起床誘導フェイズのパラメータセットは、利用者の頭部の周囲で前記音像が時間経過とともに旋回するように音像の方向が設定されることが望ましい。
【0012】
前記パラメータセットは、音源データと音像の位置とを含み、1種類の音源データと複数種類の音像の位置とを対応付けることが許容されていることが好ましい。また、前記パラメータセットは、前記寝具上の利用者が見ることのできる映像表示装置に表示する映像を指定するとともに、当該映像に関連付けて音源データおよび音像の位置を設定していることが好ましい。
【0013】
前記寝具は前記スピーカを組み込んだヘッドボードを備えるベッドであって、ヘッドボードは左右方向の中央部において利用者の頭部の位置の目安となる凹所を備えるようにしてもよい。また、前記スピーカは、左右方向の寸法が上下方向の寸法よりも長い横長形状の振動板を備える構成、あるいはチャンネルごとに複数個ずつ設けられ、各チャンネルのスピーカはそれぞれ左右方向に並べて配置されている構成を採用することが望ましい。
【0014】
前記音源データ保持部は、外部から音源データを取得可能としてもよい。
【0015】
寝具用音環境生成装置とともに照明器具と空調装置との少なくとも一方を付加装置として設け、寝具用音環境生成装置の動作に付加装置を連動させることとにより睡眠環境システムを構築してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成によれば、2チャンネルのスピーカを用いるとともに、音源データに対する頭部伝達関数を制御することによりスピーカから出力する音の音像の位置を制御するので、スピーカの位置にかかわらず利用者の周囲において音像の位置を三次元的に制御することが可能になり、利用者の頭部の上方や後方から音が聞こえることによる違和感を除去して快適な音環境を形成することができる。すなわち、入眠や起床の際に音に包まれるような感覚が得られることで、リラックス(くつろぎ感、癒し感)の効果が高くなり、また目覚めの効果を高めることが可能になる。しかも、スピーカを寝具に設けていることにより、寝室内で余分な寝具以外に空間を確保する必要がないから省スペースである上に、利用者の周辺に音環境を形成することが可能であるから、寝室内の他者の睡眠を妨げないようにしながらも、利用者の睡眠の質を高めることが可能になる。なお、音像は、音の再生において、方向と距離をもって音源を利用者の聴覚に感じさせるものである。
【0017】
また、音源データの種類および音像の位置を制御するパラメータセットに、音源データの種類を選択するタイミングおよび音像の位置を制御するタイミングを含むことにより、時間経過に伴って音環境を変化させることが可能になり、変化に富んだ音環境を提供することが可能になる。
【0018】
パラメータセットとして、入眠を誘導する入眠誘導フェイズと起床を誘導する起床誘導フェイズとの少なくとも2種類を設けておけば、入眠時と起床時とのそれぞれに適した音環境を提供することが可能になり、入眠および起床の誘導が適正化されることで、睡眠の質をさらに高めることが可能になる。
【0019】
入眠誘導フェイズでは、時間経過に伴って利用者の頭部から音像を徐々に遠ざけることにより入眠の誘導が容易になり、起床誘導フェイズでは、利用者の頭部の周囲で音像を時間経過とともに旋回さえることにより起床の誘導が容易になる。
【0020】
1種類の音源データに複数種類の音像の位置を対応付けることを許容している場合には、少ない種類の音源データであっても音像の位置を変化させることにより、変化に富んだ音環境を提供することが可能になる。また、寝具上の利用者が見ることのできる映像表示装置に表示する映像に関連付けて音源データおよび音像の位置を設定することにより、音だけではなく視覚によっても入眠や起床の誘導を行うことができる。
【0021】
スピーカをベッドのヘッドボードに組み込んだ構成では、ヘッドボードの左右方向の中央部に凹所を形成しておくことにより、利用者の頭部の位置の目安を得ることができ、利用者の頭部とスピーカの位置を想定した位置に合わせることで、音像を正確に定位させて所望の位置に音像を形成することができる。すなわち、利用者に所望の音環境を提供して睡眠の質を高めることができる。
【0022】
また、各チャンネルのスピーカとして左右方向に長い振動板を備えるものを用いたり、チャンネルごとに複数個のスピーカを左右方向に並べたりする構成を採用すれば、音像が形成される範囲を左右方向に広げることが可能になり、利用者の頭部の位置がずれても利用者に所望の音環境を提供して睡眠の質を高めることが可能になる。
【0023】
音源データをセンターサーバなどの外部から取得可能とすれば、使用する音源データのみを保持すればよいから、音源データを保持するための記憶容量を低減することができる。また、新たな音源データに更新することによって、音源データに新鮮味を持たせることが可能になる。
【0024】
寝具用音環境生成装置の動作に連動して照明器具や空調装置を付加装置として連動させる睡眠環境システムでは、睡眠空間において音環境以外の環境も併せて制御することで、睡眠の質をより一層高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態1を示す概略構成図である。
【図2】同上の他の使用例の概略構成図である。
【図3】同上のさらに他の使用例の概略構成図である。
【図4】同上の要部斜視図である。
【図5】同上に用いるスピーカの構成例を示す要部斜視図である。
【図6】同上に用いるスピーカの他の構成例を示す要部斜視図である。
【図7】実施形態2を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施形態1)
本実施形態では、図1に示すように、寝具としてベッド2を例示し、ベッド2のヘッドボード21に左右一対のスピーカ22を組み込んでいるものとする。スピーカ22は、快適な入眠や起床を誘導するように音響処理装置1で生成された音声信号を再生する。
【0027】
音響処理装置1は、少なくとも1種類(好ましくは、複数種類)の音源データを保持する記憶装置(半導体メモリが望ましいが、ハードディスク装置でもよい)からなる音源データ保持部11と、仮想音像(以下、とくに必要がなければ「音像」と略称する)の位置を制御する(つまり、音像を定位させる)ための音像定位処理部12およびクロストーク補償処理部13と、音源データ保持部11から音源データを選択する機能を有した制御部10とを備える。
【0028】
音源データ保持部11に保存される音源データは、自然環境から採取した環境音をデジタル処理が可能な所定形式に変換したデータであって、たとえば、せせらぎの音、野鳥の声、虫の声、風の音、滝の音、雨音、波の音などが含まれる。音源データとしては、利用者Hをリラックスさせる環境音(たとえば、1/fゆらぎを含む音)を自然環境から採取して用いる。
【0029】
ここでは、音源データ保持部11には256種類の音源データを保存しているものとする。音源データ保持部11の記憶容量やデータ管理の制約がなければ、さらに多種類の音源データを保存することが可能である。もっともスピーカ22で再生する音声信号は、複数種類の音源データを適宜に組み合わせるとともに音源データに対するパラメータを適宜に制御することによって生成するから、比較的少数の音源データでも十分に変化に富んだ音を生成することができる。
【0030】
音源データに対するパラメータは、音源データの種類、音像の位置(仰角、方位角、距離)、音源データの種類を選択するタイミングおよび音像の位置を制御するタイミングを含んでいる。これらのパラメータの集合(パラメータセット)は制御部10に設けたスケジュール記憶部14に格納される。仰角は水平面を0度とし、方位角は利用者Hの頭部側を0度として左周りに角度が増加するものとする。また、以下では、音像に関する仰角と方位角とをまとめて音像の方向と言う。パラメータセットは、基本的には製品出荷時にあらかじめ設定されており、各パラメータセットにはシーン名が対応付けられる。制御部10には表示装置15および操作装置16が接続されており、操作装置16の操作によりシーン名を選択することが可能になっている。また、表示装置15および操作装置16を用いて利用者Hがパラメータセットを設定できるようにしてもよい。
【0031】
表示装置15には、セグメント式やドットマトリクス式の表示器を用いることができ、操作装置16には、機械式スイッチやタッチパッドを用いることができる。たとえば、セグメント式の発光ダイオード表示器やドットマトリクス式の液晶表示器を表示装置15に用いるとともに押釦スイッチのような機械式スイッチを操作装置16に用い、表示装置15と操作装置16とを並べて配置する構成を採用する。あるいはまた、ドットマトリクス式の液晶表示器を表示装置15に用いるとともに透明なタッチパッドを操作装置16に用い、表示装置15の画面に操作装置16を重ねて配置したタッチパネルディスプレイの構成を採用する。
【0032】
シーン名としては、たとえば、初夏の森、秋の海辺のような環境を表す言葉や、ハワイ、上高地のような地名を表す言葉を用い、表示装置15と操作装置16とを用いてシーン名を選択できるようにしてある。シーン名を選択するにあたっては、表示装置15にシーン名を順に提示するとともに操作装置16で所望のシーン名を決定するか、シーン名に対応する記号(数値など)を操作装置16から入力する。シーン名によりパラメータセットを指定する場合には、当該パラメータセットに対応する音声の少なくとも一部分をスピーカ22から出力して利用者Hが内容を確認できるようにしておくのが望ましい。
【0033】
ところで、パラメータセットのうち音源データを用いるタイミングは、音源データ保持部11における音源データの選択に用いられる。また、音像の位置のパラメータは、音像定位処理部12に与えられ、ベッド2に仰臥している利用者Hの頭部付近で聴取される音について音像の位置を制御するために用いられる。
【0034】
ここに、本実施形態では、音源データ保持部11からクロストーク補償処理部13までの信号処理をデジタル信号処理で行い、クロストーク補償処理部13から出力される音声信号をアナログ信号とする構成を想定しているが、スピーカ22においてデジタル−アナログ変換を行う構成を採用してもよい。
【0035】
音像定位処理部12およびクロストーク補償処理部13は、信号処理用プロセッサ(DSP)により構成されており、音像定位処理部12は、制御部10から与えられるフィルタ係数により頭部伝達関数が調節可能である複数個(図示例は6個)のフィルタF21〜F26として機能し、クロストーク補償処理部13は、あらかじめ定めたフィルタ係数により伝達関数が調節可能である複数個(図示例は4個)のフィルタF31〜F34と等価に機能する。
【0036】
音像定位処理部12では、左右一対のスピーカ22から2チャンネルの音声を出力するために、音源データ保持部11に保存した音源データから2チャンネルの信号を生成しており、各チャンネルごとにフィルタF21〜F26を設けている。したがって、音像定位処理部12におけるフィルタF21〜F26の個数は、音源データの種類数(図示例は3種類)とチャンネル数(2個)との積の個数(つまり、6個)になる。さらに、音像定位処理部12には、フィルタF21〜F26により頭部伝達関数が調節された音声信号をチャンネルごとに重ね合わせる加算部S21,S22が設けられている。したがって、音像定位処理部12は、加算部S21,S22の出力を各チャンネルの音声信号とすることで、選択した音源データに対応する音を組み合わせた音環境において各音源データに対応する音ごとに音像の位置を制御することが可能になる。
【0037】
一方、クロストーク補償処理部13は、2個のスピーカ22で音声信号を再生する際のクロストークのような再生系の特性を補償するために伝達関数を調節する機能を有しており、各チャンネルごとに伝達関数を制御する一対のフィルタF31,F32と、互いに他方のチャンネルへの伝達関数を制御する一対のフィルタF33,F34とを設けている。したがって、クロストーク補償処理部13におけるフィルタF31〜F34の個数は、チャンネル数(2個)の二乗個(つまり、4個)になる。また、クロストーク補償処理部13には、フィルタF31〜F34を通過した音声信号を出力するチャンネルごとに重ね合わせる加算部S31,S32が設けられる。この構成により、チャンネル間の音声信号のクロストークなどを調節してスピーカ22を含む再生系の特性を補償し、利用者Hが聴取する各音源データに対応する音ごとの音像を正確かつ明瞭に定位させることが可能になる。
【0038】
クロストーク補償処理部13の加算部S31,S32から出力される2チャンネルの音声信号は、それぞれ増幅器17を通して左右のスピーカ22に入力され、音源データに対応した音が再生される。
【0039】
具体例を用いて動作を説明する。ここでは、選択したパラメータセットが、広い平原に仰臥して周囲の自然環境からの環境音が聞こえているシーンを想定して設定されているものとする。このシーンに対応するパラメータセットでは、音源データ保持部11に保存されている音源データから、音源データ1(野鳥の声)、音源データ3(川のせせらぎの音)、音源データ6(虫の声)の3種類の音源データが選択される。すなわち、本実施形態では、音源データ保持部11に記憶されている256種類の音源データのうち音源データ1、3、6を選択する。ここでは、3種類の音源データのみを用いているが、もちろん、音源データ保持部11には他の音源データも保持されている。また、広い平原に仰臥しているシーンであるから、パラメータセットによる音像の位置は、周囲の音が利用者Hを取り囲むように決定される。したがって、主として利用者Hが仰臥する平面内に音像が定位するように音像の仰角および方位角が決定されることになる。すなわち、パラメータセットを用いて音像定位処理部12に設けたフィルタF21〜F26のフィルタ係数が設定される。
【0040】
音像定位処理部12では、各フィルタF21〜F26により、音源データとフィルタ係数との畳み込み演算が施され、各音源データに対応した音の音像の位置の情報を伴う音声信号が生成される。たとえば、野鳥の声(音源データ1)の音像が、利用者Hからみて仰角30度、方位角30度の方向に設定されるものとすれば、仰角30度、方位角30度に対応したフィルタ係数が音像定位処理部12におけるフィルタF21,F24に与えられる。
【0041】
フィルタF21〜F23を左チャンネルとしフィルタF24〜F26を右チャンネルとすると、左耳用と右耳用との各フィルタF21,F24にそれぞれフィルタ係数T21,T24を与えることにより、音源データ1とフィルタ係数T21,T24との畳込み演算が行われる。川のせせらぎの音(音源データ3)や虫の声(音源データ6)に対しても、対応する各フィルタF22,F23,F25,F26において同様の処理が同時に施される。
【0042】
ここに、所望の位置に音像を定位させるには利用者Hの左右の外耳道入口への音圧を決定する必要があり、そのため、音像定位処理部12では、所望の音源データについて所望の位置に音像を定位させるのに必要な音圧が得られるように左右2チャンネルの信号を生成する処理を行う。
【0043】
また、音声信号は、スピーカ22により音波に変換された後に利用者Hの左右の耳に到達するから、左右それぞれのスピーカ22から出力された音波の音圧と、利用者Hの外自道入口に到達した音波の音圧とは異なっている。すなわち、音像定位処理部12において音像の定位を考慮して設定した音圧と、利用者Hの外自道入口に到達した音波の音圧とが異なるから、音像定位処理部12において想定した音像の位置に定位するように、クロストーク補償処理部13において補償処理を行う。この補償処理では、左右の各スピーカ22から出力された音波が左右逆の耳に到達するクロストーク成分や、スピーカ22および利用者Hの耳までの伝達特性による周波数特性を補償する処理を行う。
【0044】
上述のようにして、スケジュール記憶部14に格納されたパラメータセットに従って、音像定位処理部12およびクロストーク補償処理部13において音源データに対応する音ごとの音像の位置を制御することにより、ベッドに仰臥する利用者Hには、スピーカ22が設置されている方向からだけでなく、周囲の様々な方向から音が聞こえるかのように認識され、いわゆる疑似サラウンドの音響空間を形成することが可能になる。
【0045】
ところで、上述した装置は、睡眠空間において快適な入眠や起床を誘導することが目的であるから、スケジュール記憶部14に設定されるパラメータセットは、利用者Hの入眠や起床に関連付けられている。パラメータセットは、睡眠に関連付けた段階ごとに設定されており、本実施形態では、各段階として、睡眠前に利用者Hの緊張を取り除く入眠前くつろぎフェイズ、利用者Hを睡眠させるように誘導する入眠誘導フェイズ、利用者Hの睡眠中の睡眠フェイズ、利用者Hを起床させるように誘導するために起床誘導フェイズを想定している。すなわち、睡眠前には、入眠前くつろぎフェイズの動作の後に入眠誘導フェイズで動作させ、起床時には起床誘導フェイズで動作させるのである。ただし、入眠前くつろぎフェイズは省略することが可能であり、入眠誘導フェイズと起床誘導フェイズとの少なくとも2種類のフェイズに対応するパラメータセットを備えていればよい。また、睡眠フェイズは、スピーカ22から音を出力しない状態であり、実質的にパラメータセットは設定されない。上述したシーンは、各フェイズごとに選択することが可能である。
【0046】
各フェイズにおけるパラメータセットの設定例を表1に示す。表1の各フェイズに対応するデータのまとまりがパラメータセットであり、表1に示す例では、睡眠フェイズ以外の各フェイズを10分間ずつとしている。また、表1のパラメータセットでは、各音源データごとに仰角と方位角とを音源データごとに固定的に設定している。つまり、各音源データに対応する音ごとに仰角および方位角は固定されている。
【0047】
【表1】

【0048】
入眠前くつろぎフェイズを設けている場合、入眠誘導フェイズの動作は入眠前くつろぎフェイズの動作終了に伴って自動的に起動されるが、入眠前くつろぎフェイズと起床誘導フェイズとの動作は、利用者Hがスイッチなどの操作で起動するか、時刻を指定して起動する。たとえば、入眠前くつろぎフェイズは制御部10に付設した操作装置16を操作することにより起動するのが望ましい。また、利用者Hが設定した起床時刻に起床できるように起床誘導モードの動作を起動する場合には、現在時刻の計時の機能と設定時刻になると通知信号を出力する機能とを備える時計部(図示せず)を設けておき、通知信号で起床誘導フェイズの動作を起動すればよい。
【0049】
表1に示したパラメータセットでは、音像の位置を固定的に設定し、また音像までの距離を省略しているが、入眠誘導フェイズや起床誘導フェイズにおいては、音像の位置(距離を含む)を変化させるほうが睡眠や起床の誘導効果が高いと考えられる。たとえば、入眠誘導フェイズでは、時間経過に伴って音像が利用者Hの頭部から徐々に遠ざかるように距離を制御すれば睡眠への誘導効果が高くなり、起床誘導フェイズでは、利用者Hの頭部の周囲で音像が時間経過とともに回るように音像の方向を変化させれば起床への誘導効果が高くなる。
【0050】
音像までの距離は、音像定位処理部12に与えられるパラメータセットのうちの距離に関するフィルタ係数により制御される。したがって、距離に関するフィルタ係数(距離係数)を時間経過に伴って変化させる距離係数制御部(図示せず)を制御部10に設けておき、制御部10において、入眠誘導フェイズの動作が起動されると距離係数制御部を起動するとともに、時間経過に伴って音像の距離を大きくするように距離係数を変化させる指示を距離係数制御部に与えることによって、入眠誘導フェイズにおける上述の動作が可能になる。
【0051】
同様に、方位角(必要に応じて仰角)に関するフィルタ係数(角度係数)を時間経過に伴って変化させる角度係数制御部(図示せず)を制御部10に設けておき、制御部10において、起床誘導フェイズの動作が起動されると角度係数制御部を起動するとともに、利用者Hの周りで音像が時間経過に伴って回転ないし旋回するように角度係数を変化させる指示を角度係数制御部に与えることによって、起床誘導フェイズにおける上記動作が可能になる。
【0052】
なお、距離や方向の変化速度は、操作装置16を用いることにより適宜に設定可能とするのが望ましい。また、制御部10に距離係数制御部や角度係数制御部を設けることにより、スケジュール記憶部14に格納したパラメータセットを固定値としながらも、音像の距離や方向を時間経過に伴って変化させることが可能になり、スケジュール記憶部14に格納するデータ量を低減しながらも音環境に様々な変化を与えることができる。
【0053】
しかも、音像定位処理部12では、音源データごとにフィルタ係数を制御することができるから、音源データごとに音像の方向や距離を制御することによって、同じパラメータセットでも音環境に様々な変化を与えることができる。すなわち、音源データを選択する選択情報と位置(方向、距離)を制御するフィルタ情報とを独立した情報として、音源データ保持部11に選択情報を与え、音像定位処理部12にフィルタ情報を与えているから、同じ音源データを選択しても利用者Hには異なる音環境を提供することが可能になる。
【0054】
上述の構成例では、睡眠空間における音環境についてのみ説明したが、音環境に加えて、照明装置などによる光、映像表示装置による映像、香り発生装置による香り、空調装置による温湿度、寝具(マット、枕など)の硬さや形状、寝具に与える振動などから選択される種々の環境ないし刺激を音環境と連動させるようにすれば、睡眠や起床への誘導効果を一層高めることができる。
【0055】
たとえば、図2に示すように、利用者Hが仰臥した状態で映像を見ることができる映像表示装置(液晶ディスプレイ装置、プロジェクタ装置)3を設けておき、映像表示装置3に表示される映像に関連付けた音源データを音源データ保持部11から選択するとともに、映像表示装置3の近傍に音像4が定位するように音像定位処理部12にフィルタ係数を与える。つまり、パラメータセットには映像表示装置3に表示する映像を指示するためのパラメータが含まれる。入眠前くつろぎフェイズに関連付けて映像表示装置3に表示する映像は、放送や映画の映像ではなく、音源データの音の内容に合う映像とし、音源データがせせらぎの音であれば、森の中のせせらぎの映像などを映像表示装置3に表示する。
【0056】
このように音源データに関連付けた映像を映像表示装置3により表示するとともに、映像表示装置3の近傍に音像4を設定することにより、シーンを演出するに際して音環境のみを用いる場合に比べると、聴覚のみならず視覚によっても想定されたシーンのイメージを利用者Hに与えることで、利用者Hがくつろぐ環境の演出効果を高めることが可能になる。
【0057】
また、図3に示す構成例では、睡眠空間の環境を形成する睡眠環境システムを提供するために、さらに多数の付加装置を連動させる場合を示している。図示例では音環境のほか、光を制御する付加装置として、天井に設けた照明器具31、ヘッドボード21に設けた照明器具32、壁面に設けた照明器具33、窓に設けた電動カーテン34を示している。また、映像を提示する映像音響装置35を設け、温湿度を制御する空調装置36を設け、香りを制御するためにヘッドボード21に香り発生装置37を設け、寝室内の空気を浄化する空気清浄器38も設けてある。さらに、ベッド2はリクライニング機能を有し、マットレスには振動を与える加振器が内蔵されている。
【0058】
この睡眠環境システムでは、天井の照明器具31を調光制御する調光器39が壁面に取り付けられており、さらに、制御部10に連動して上述の各付加装置を制御する機器連動制御装置5を設けている。機器連動制御装置5は、赤外線を伝送媒体とするワイヤレス信号(図に破線で示している)を送受信する機能を有し、調光器39を介しての照明器具31の制御、電動カーテン34、映像音響装置35、空調装置36の制御は、ワイヤレス信号を用いて行うことが可能になっている。また、他の装置は機器連動制御装置5と制御線を介して接続されている。
【0059】
このような睡眠環境システムを用いることにより、睡眠空間において入眠や起床を促すための快適な環境を形成することができ、睡眠の質を高める効果が期待できる。なお、睡眠環境システムの制御内容については、とくに説明しないが、上述した各フェイズに適合する制御を行えばよい。一例を挙げると、光環境については、入眠誘導フェイズには時間経過に伴って徐々に減光し、起床誘導フェイズには時間経過に伴って徐々に増光するように制御し、香り環境については、入眠誘導フェイズにはリラックスする香りを放出し、起床誘導フェイズにはリフレッシュする香りを放出すればよい。
【0060】
上述の構成例では、ベッド2のヘッドボード21において利用者Hの頭部側の面を平面とし、この面に2個のスピーカ22を並べて配置している。ここで、上述のように音像を形成する場合には、スピーカ22と利用者Hの頭部との位置関係によって音像の位置が変化するから、パラメータセットにより設定した位置に音像を正確に定位させるには、利用者Hの頭部の位置や顔の向きを規定する必要がある。上述した構成ではヘッドボード21に頭部の位置を規定する目安がないが、就寝の際にはベッド2の幅方向の中心付近に頭部を位置させると考えられるから、パラメータセットにより設定した位置に音像を定位させることが可能である。
【0061】
上述したように、パラメータセットにより設定した位置に音像を正確に定位させるには、利用者Hの頭部の位置や顔の向きを規定する必要がある。そこで、図4のように、利用者Hが頭部の位置の目安とすることができるように、ヘッドボード21における利用者Hの頭部側の面に凹所23を設けた構成を採用することができる。凹所23は、ヘッドボード21の左右方向における中央部付近に設けられ、ベッド2の上面に沿った断面内において内周面が湾曲するように形成される。
【0062】
各スピーカ22は、ベッド2の左右方向(幅方向)における凹所23の中心を挟んで左右にそれぞれ配置してある。具体的には、スピーカ22は、図示例のように凹所23の左右の内側面にそれぞれ配置するか、ヘッドボード21において凹所23を挟んで左右に配置する。図示例では、スピーカ22から出力される音波は、凹所23の中心側に向かうことになる。
【0063】
図4に示した構成を採用することにより、ベッド2に仰臥する利用者Hは凹所23の存在により頭部の位置の目安を得ることができ、ベッド2の幅方向における凹所23の中心付近に頭部の左右の中心付近を位置させることにより、パラメータセットにより設定された位置に音像を正確に定位させることが可能になる。
【0064】
図1に示した構成例では、正面形状が円形であるスピーカ22であって、スピーカ22から出力される音波の波面が球面状である場合を想定しているが、波面をベッド2の幅方向に延長した形とすれば、左右のスピーカ22から出力された音波が利用者Hの左右の外耳道入口に到達する時間差は、利用者Hの頭部が左右に移動してもほとんど変化しないと考えられる。つまり、利用者Hの頭部の位置が左右に移動しても音像の位置がほとんど変化せず、パラメータセットにより設定された位置に音像を正確に定位させることが可能になる。
【0065】
そこで、パラメータセットにより規定した位置に音像を正確に定位させるために、図5に示すように、各チャンネルの音を出力するスピーカ22は、正面形状が楕円状ないし長円状である振動板を備え、ベッド2の幅方向における寸法が上下方向における寸法よりも長くなるようにヘッドボード21に配置する構成を採用してもよい。あるいはまた、図6に示すように、正面形状が円形である小型のスピーカ22を複数対(図示例は3対)用い、各チャンネルごとに複数個ずつのスピーカ22をベッド2の幅方向の一直線上に並べ、各チャンネルごとに小ピッチでスピーカ22を配列してもよい。図6に示す構成では、各チャンネルのスピーカ22は並列的に接続され、同チャンネルのスピーカ22には同じ音声信号が入力される。
【0066】
図5に示す構成と図6に示す構成とは、音像の位置に関してほぼ同様の効果が得られる。図5に示す構成を採用すれば、各チャンネルごとにスピーカ22を1個ずつ設ければよいから図1に示した構成に比較して部品点数の増加がなく構成が簡単である。また、図6に示す構成を採用すれば、スピーカ22の正面形状が円形でありスピーカ22の個数や配置によって音を出力する領域の形状を所望形状に形成することができるから設計が容易になる。
【0067】
上述したように、ベッド2のヘッドボード21に設けたスピーカ22から出力される音を用いて音像を生成し、ベッド2に仰臥する利用者Hの周囲の音環境を形成するから、サラウンド効果を得るための多数個のスピーカを設置する必要がなく、ベッド2のみで三次元的な音環境を形成することができる。しかも、自然環境から採取した環境音を用いるので、あたかも自然環境の中で仰臥しているかのような臨場感が得られる。
【0068】
なお、音源データは、自然環境から採取した環境音に限られず、音楽や人工音であってもよい。また、上述の動作では、音像定位処理部12およびクロストーク補償処理部13において音源データの逐次処理を実時間で行って音像の位置を決定しているが、音像定位処理部12における処理をあらかじめ行った音声信号を記憶しておき、記憶した音声信号をスピーカ22に入力してもよい。クロストーク補償処理部13での処理についても同様である。さらに、スピーカ22をヘッドボード21に設ける代わりに、枕やマットレスにスピーカを内蔵させてもよい。
【0069】
(実施形態2)
実施形態1では、音源データ保持部11にあらかじめ保存されている音源データを用い、スケジュール記憶部14に格納されたシーン別のパラメータセットを用いているが、音源データやパラメータセットの変更を可能とすれば、音環境をさらに様々に変化させることが可能になる。音源データやパラメータセットの変更に際しては、音源データやパラメータセットを、メモリカードのような交換可能な記憶媒体に記憶させておく構成が考えられる。
【0070】
ただし、本実施形態では、図7に示すように、音源データ保持部11やスケジュール記憶部14の記憶容量を低減するために、インターネットのような通信ネットワーク6との接続を可能にする通信機能部18を設けておき、通信ネットワーク6に設けたセンタサーバ7から音源データやパラメータセットをデータ通信により取得できるようにしている。
【0071】
この構成であれば、上述した寝具用音環境生成装置あるいは睡眠環境システムを提供する製造者、あるいは音源データやパラメータセットの提供者が、センタサーバ7に音源データやパラメータセットを登録しておくことにより、利用者Hはセンタサーバ7から音源データやパラメータセットを取得して利用することが可能になる。すなわち、音源データ保持部11やスケジュール記憶部14の記憶容量を低減しながらも、多種類の音源データやパラメータセットを用いることが可能になる。
【0072】
パラメータセットは音源データと関連しているから、音源データとパラメータセットとは同時に取得することが望ましい。すなわち、表示装置15および操作装置16を用いて特定のシーンを選択すると、当該シーンに対応するパラメータセットをセンタサーバ7からデータ通信により取得し、このとき、当該シーンにおいて利用可能な音源データもセンタサーバ7から取得する。センタサーバ7から取得したパラメータセットはスケジュール記憶部14に格納され、センタサーバ7から取得した音源データは音源データ保持部11に格納される。
【0073】
スケジュール記憶部14は複数のシーンを記憶できる程度の記憶容量を持つことが望ましく、新たなシーンのパラメータセットをセンタサーバ7から取得したときに記憶容量が不足するようであれば、古いパラメータセットから順に削除するようにすればよい。音源データ保持部11は、スケジュール記憶部14に登録されたパラメータセットに必要な音源データを保存し、スケジュール記憶部14のシーンに含まれない音源データは削除すればよい。本実施形態の他の構成および動作は実施形態1と同様である。
【符号の説明】
【0074】
1 音響処理装置
2 ベッド(寝具)
3 映像表示装置
4 音像
5 機器連動制御装置
6 通信ネットワーク
7 センタサーバ
10 制御部
11 音源データ保持部
12 音像定位処理部
13 クロストーク補償処理部
14 スケジュール記憶部
15 表示装置
16 操作装置
17 増幅器
18 通信機能部
21 ヘッドボード
22 スピーカ
23 凹所
31 照明器具(付加装置)
32 照明器具(付加装置)
33 照明器具(付加装置)
34 電動カーテン(付加装置)
35 映像音響装置(付加装置)
36 空調装置(付加装置)
37 香り発生装置(付加装置)
38 空気清浄器(付加装置)
H 利用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝具に設けられた2チャンネルのスピーカと、寝具上で就寝姿勢である利用者に音像を三次元的に認識させるようにスピーカへの音声信号を生成する音響処理装置とを有し、音響処理装置は、音源データを保持する音源データ保持部と、音源データに対する頭部伝達関数を制御してスピーカから出力する音の音像の位置を制御する音像定位処理部と、睡眠に関連付けて設定したパラメータセットに従って音源データを選択するとともに音像の位置を制御する制御部とを備えることを特徴とする寝具用音環境生成装置。
【請求項2】
前記パラメータセットは、音源データの種類および音像の位置とともに、音源データの種類を選択するタイミングおよび音像の位置を制御するタイミングを含むことを特徴とする請求項1記載の寝具用音環境生成装置。
【請求項3】
前記制御部は、入眠を誘導する入眠誘導フェイズと起床を誘導する起床誘導フェイズとの少なくとも2種類のパラメータセットを備えることを特徴とする請求項2記載の寝具用音環境生成装置。
【請求項4】
前記入眠誘導フェイズのパラメータセットは、時間経過に伴って前記音像が利用者の頭部から徐々に遠ざかるように音像の距離が設定されていることを特徴とする請求項3記載の寝具用音環境生成装置。
【請求項5】
前記起床誘導フェイズのパラメータセットは、利用者の頭部の周囲で前記音像が時間経過とともに旋回するように音像の方向が設定されていることを特徴とする請求項3記載の寝具用音環境生成装置。
【請求項6】
前記パラメータセットは、音源データと音像の位置とを含み、1種類の音源データと複数種類の音像の位置とを対応付けることが許容されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の寝具用音環境生成装置。
【請求項7】
前記パラメータセットは、前記寝具上の利用者が見ることのできる映像表示装置に表示する映像を指定するとともに、当該映像に関連付けて音源データおよび音像の位置を設定していることを特徴とする請求項6記載の寝具用音環境生成装置。
【請求項8】
前記寝具は前記スピーカを組み込んだヘッドボードを備えるベッドであって、ヘッドボードは左右方向の中央部において利用者の頭部の位置の目安となる凹所を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の寝具用音環境生成装置。
【請求項9】
前記スピーカは、左右方向の寸法が上下方向の寸法よりも長い横長形状の振動板を備えることを特徴とする請求項8記載の寝具用音環境生成装置。
【請求項10】
前記スピーカは、チャンネルごとに複数個ずつ設けられ、各チャンネルのスピーカはそれぞれ左右方向に並べて配置されていることを特徴とする請求項8記載の寝具用音環境生成装置。
【請求項11】
前記音源データ保持部は、外部から音源データを取得可能であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の寝具用音環境生成装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の寝具用音環境生成装置とともに照明器具と空調装置との少なくとも一方を付加装置として備え、寝具用音環境生成装置の動作に付加装置を連動させることを特徴とする睡眠環境システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−172392(P2010−172392A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15972(P2009−15972)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)