説明

審美性に優れたパンティストッキングとその製造方法

【課題】着用した際に立体感があり、色彩のグラデーション効果が素肌に近い色彩を作り出し、あたかも素肌が見えているように表現できる足が細く見えるパンティストッキングを提供すること。
【解決手段】弾性繊維を非弾性繊維で被覆したカバード糸からなるパンティストッキングであって、芯糸の弾性繊維がベージュ系、黄系、茶系、橙系、赤系から選ばれる一種以上の有機色素で着色されており、鞘糸の混率が20〜50%であるカバード糸からなる立体感に優れ足が細く見えるパンティストッキング。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着用した際に立体感があり、色彩のグラデーション効果が素肌に近い色彩を作り出し、あたかも素肌が見えているように表現できる足が細く見えるパンティストッキングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、足をきれいに見せる道具としてパンティストッキングが利用されている。パンティストッキングを履くことで足の表面感をきれいに見せることは出来るためである。しかし、近年足の太さを気にして、できるだけ細く見せたいと思う女性が多くそのようなパンティストッキングが開発されている(例えば、特許文献1,2参照)。これらは正面とくら側面側のループを小さくし、暗く見せる効果を狙ったものである。しかし、着用者の正面から見たときに細く見える効果はあるが、緯方向から見たときには逆に太く見えてしまう欠点があった。
【特許文献1】特開平9−78307号公報
【特許文献2】特開2002−69705号公報
【0003】
また、ここ数年「生足ブーム」が流行し、パンティストッキングを着用しない女性が増えている。この原因としては夏場の暑さなどもあるが、さらにはマネキン様の平面的な表面感が好まれないのも一つの原因としてある。これは従来のパンティストッキング用に用いるカバード糸は芯糸に対して鞘糸の割合が多く、例えば22デシテックスのポリウレタン弾性糸を3倍にドラフトして10デシテックスのナイロンをカバリングする場合では、鞘糸の割合がカバード糸の6割を占めることになる。鞘糸のみが染色されたカバード糸からなるパンティストッキングでは鞘糸の表面反射が多くなるため、特に白けた外観となり、特に観察者からみた足の両サイドが明るくなり全体的に平面的な印象を受ける。
【0004】
また、過去において芯糸の目むき現象を改善する目的でカーボン等の原着弾性繊維の検討や、伸縮したときに外観を変化させる目的で芯糸の色と鞘糸の色を変える検討がなされているが、立体感や透明感に着目した検討はなされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、透明感と立体感に優れ、さらにはさらっとした風合いで、足が細く見えるパンティストッキングを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。即ち本発明は(1)弾性繊維を非弾性繊維で被覆したカバード糸からなるパンティストッキングであって、芯糸の弾性繊維がベージュ系、黄系、茶系、橙系、赤系から選ばれる一種以上の有機色素で着色されており、鞘糸の混率が20〜50%であるカバード糸からなることを特徴とする立体感に優れ足が細く見えるパンティストッキング。(2)カバード糸がポリウレタン弾性繊維を芯糸とするシングルカバード糸であって、芯糸である弾性繊維の総繊度が15〜50デシテックス、鞘糸である非弾性繊維の総繊度が4〜10デシテックスであることを特徴とする前記(1)に記載の立体感に優れ足が細く見えるパンティストッキング。(3)カバード糸の撚数が1400〜3000T/Mであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の立体感に優れ足が細く見えるパンティストッキング。(4)少なくともレッグ部がカバード糸のみで構成されていることを特徴とする前記(1)から(3)のいずれかに記載の立体感に優れ足が細く見えるパンティストッキング。(5)総繊度15〜50デシテックスであるベージュ系、黄系、茶系、橙系、赤系から選ばれる一種以上の有機色素で着色された弾性繊維を芯糸として2〜4倍にドラフトし、4〜10デシテックスの非弾性繊維をカバリングして、被覆弾性糸を作製し、パンティストッキングを製編してベージュ系、黄系、茶系、橙系、赤系から選ばれる一種以上の染料で染色するパンティストッキングの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるパンティストッキングは、ベージュ系等の染料を含有する弾性繊維を使用することで優れたグラデーション効果を有し、審美性、特に透明感と立体感を改善し、生足調の外観が得られ、しかも特別な編構造にしなくても、さらには全方向からみても足が細く見えるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる弾性繊維とは、社会通念上ゴム弾性挙動を示すと認められる繊維をいい、例えば少なくとも50%以上伸張することができ、かつ50%以上の回復率を有する繊維などが挙げられる。例えば、ポリウレタン弾性糸、ポリアミド系弾性繊維、ポリエーテル・エステル系弾性繊維、ポリトリメチレンテレフタレートやポリテトラメチレンテレフタレートやそれらの共重合物からなるポリエステル系弾性繊維などである。天然ゴム、合成ゴム、半合成ゴムからなる糸状物すなわちゴム糸も使用される。
【0009】
弾性繊維はポリウレタン弾性繊維であることが好ましい。該弾性繊維は特に優れた伸縮性を示し、その中でもポリウレタンは屈折率が低く、白けにくいからである。ポリウレタン重合体は、ポリオールと過剰モルのジイソシアネート化合物からなる両末端がイソシアネート基である中間重合体を、N,N‘−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性な有機溶剤に溶解し、ジアミン化合物を反応させて得るものであってもよい。乾式紡糸であっても溶融紡糸で得られたものであっても良い。
【0010】
ポリウレタン重合体は、ポリオールと過剰モルのジイソシアネート化合物からなる両末端がイソシアネート基である中間重合体を、N,N‘−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性な有機溶剤に溶解し、ジアミン化合物を反応させて得るものであってもよい。
【0011】
上記ポリオールとしては特に制限はないが、例えばポリマージオールなどが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコールおよびポリオキシプロピレンテトラメチレングリコールなどのポリエーテルジオール、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸およびマロン酸などの二塩基酸の一種または二種以上とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコールおよびジエチレングリコールなどのグリコール一種または二種以上とから得られるポリエステルジオール、ポリ−ε−カプロラクトンおよびポリバレロラクトンなどのポリラクトンジオール、ポリエステルアミドジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどから選択することができる。
【0012】
ジイソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族および芳香族のジイソシアネート化合物であれば特に制限されない。例えば、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)、メチレン−ビス(3−メチル−4−フェニルイソシアネート)、1,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、m−およびp−キシリレンジイソシアネート、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−および1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0013】
鎖延長剤としてのジアミン化合物は特に制限されるものではないが、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミンおよびヒドラジンなどが挙げられる。
【0014】
本発明の弾性繊維はベージュ系、黄系、茶系、橙系、赤系から選ばれる一種以上の有機色素で着色されていることが好ましい。染料としては染料、顔料いずれでもよく弾性繊維を染色できるものであれば、特に限定されることなく用いることができる。有機色素は弾性繊維が肌色に近い色になるよう他の色と便宜配合しても良い。有機色素の含有量は、良好な紡糸性を得る観点から、0.01重量%以上10重量%以下の範囲が好ましく、良好なグラデーション効果を得る観点、良好な伸張率を確保する観点から、0.02重量%以上5重量%以下の範囲がより好ましい。
【0015】
着色方法としてはポリマー重合時に添加しても良いし、重合完了後にマスターバッチポリマーとミックスしても良い。
【0016】
本発明の非弾性繊維としては、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、再生セルロース繊維、精製セルロース繊維等各種の繊維が使用できる。天然繊維としては、綿、亜麻、苧麻、絹、羊毛、その他の獣毛などが好ましく使用され、合成繊維としては、各種のポリエステル、ポリアミド、アクリル繊維の他、吸湿発熱性を有する架橋アクリル系繊維などが好ましく用いられる。半合成繊維としては、ジアセテート、トリアセテート、プロミックス繊維などが使用できる。再生セルロース繊維としては、レーヨン、キュプラ、ポリノジックなどが使用できる。精製セルロース繊維としては、リヨセルが使用できる。非弾性繊維は長繊維であっても短繊維であってもよい。また、前記のような各種の非弾性繊維を混合して用いてもよい。その中でもポリアミド繊維がパンティストッキング用には好ましく採用される。
【0017】
またカバード糸における鞘糸の混率は20〜50%であることが好ましい。20%未満であると芯糸が肌に触れてべとついた風合いとなりやすいので好ましくない。50%を越えると芯糸が見えにくくなり、立体感に劣ったものとなりやすいので好ましくない。より好ましい範囲は25〜45%であり、さらには30〜40%が一層好ましい。
【0018】
本発明のパンティストッキングを構成するカバード糸の芯糸である弾性繊維の総繊度が15〜50デシテックスであることが好ましい。15デシテックス未満では立体感に劣ったものとなりやすいので好ましくない。また50デシテックスを越えるとゾッキパンストにしたときに締め付けが強くなりすぎて好ましくない。より好ましい範囲は20〜45デシテックスである。
【0019】
本発明のパンティストッキングを構成するカバード糸の鞘糸である非弾性繊維の総繊度が4〜10デシテックスであることが好ましい。4デシテックス未満ではパンティストッキング製編時に摩擦による糸切れが発生しやすいので好ましくない。10デシテックスを越えると鞘糸の反射が増えてしまいグラデーション効果が低くなり、立体感に劣ったものとなりやすいので好ましくない。より好ましい範囲は6〜9デシテックスである。
【0020】
更に本発明のパンティストッキングに用いるカバード糸はシングルカバード糸、ダブルカバード糸、エアカバード糸、コアスパンヤーン、合撚糸のいずれかでもよい。これらの加工糸は芯鞘型の加工糸であり、主として芯部に弾性繊維を配し、鞘部に非弾性繊維を配している。その中でもパンティストッキングの外観や芯糸の見え具合からシングルカバード糸であることが好ましい。
【0021】
本発明のパンティストッキングに用いるカバード糸の撚数は1400〜3000T/Mであることが好ましい。1400T/M未満であればカバード糸の集束性が悪く、透明感に劣ったものとなりやすい。また、3000T/Mを越えるとカバリング時の操業性が悪化し、好ましくない。より好ましくは1600〜2700T/Mであり、さらには1800〜2600T/Mが一層好ましい。
【0022】
本発明のパンティストッキングは、被覆弾性糸と非弾性糸とを交編した交編タイプであっても、被覆弾性糸のみから構成されるゾッキタイプであっても構わないが、グラデーション効果が優れることから少なくともレッグ部はゾッキタイプであることが好ましい。
【0023】
本発明のパンティストッキングの製造方法としては総繊度15〜50デシテックであるベージュ系、黄系、茶系、橙系、赤系から選ばれる一種以上の有機色素で着色された弾性繊維を芯糸として2〜4倍にドラフトし、4〜10デシテックスの非弾性繊維をカバリングして、被覆弾性糸を作製し、パンティストッキングを製編してベージュ系、黄系、茶系、橙系、赤系から選ばれる一種以上の染料で染色することが好ましい。ドラフトが2倍未満であれば弾性繊維の解舒性が悪くなりやすいため好ましくない。ドラフトが4倍を越えると弾性繊維の回復応力が大きくなり過ぎ着用感に劣ったものとなりやすい為好ましくない。
【0024】
本発明のパンティストッキングでは芯糸が着色されており、しかもカバード糸に占める鞘糸の割合が5割以下に設定されているため、着用時には観察者側から見た場合、足の中央部が薄く、足の側面が濃く見えるので足が細く見える。しかも従来のパンティストッキングとは逆に側面が白けないので立体感のあるものになる。従来のパンティストッキングは鞘糸の割合が多く、ナイロンの表面反射による白けが顕著であり、特に観察者側からみた場合、足の中央部よりも側面の方がナイロンが詰まって見えるため白けてしまい、立体感のない平面的な外観となってしまっていた。さらに本発明のパンティストッキングでは鞘糸の総繊度をある範囲に限定することでグラデーション効果に富んだものとなり、特に膝部分の凹凸をリアルに表現することができるので立体感に富んだ、また素足調の外観を得ることが出来る。グラデーション効果の発現は次のように説明できる。人間は光の反射によって、様々な色を感じることが出来ると言われている。すなわち、パンティストッキング着装脚部に光が当たるとき、染色された鞘糸と着色された芯糸弾性糸、および素肌の各表面において光は反射され、それぞれの色彩が視感できる。又、鞘糸を通過した光は芯糸あるいは素肌で反射し、さらに芯糸を通過した光は素肌で反射されることになり、本来の色彩に加えてこれらの混色が視感できる。よってパンティストッキング着装脚部では染色された鞘糸と着色された芯糸弾性糸、ならびに素肌の各色彩とこれらの混色によるグラデーションが発現する。また弾性糸が着色されているため、着用時の弾性糸の伸ばされ具合によって太さも変わり、同じ芯糸を通過した光でも色合いが異なって見える。加えて鞘糸と芯糸弾性糸の各太さによって、光の透過量と反射量が異なっているために、細い鞘糸と太い着色弾性糸の芯糸の組合せがグラデーションの効果・表現に大きく寄与する。
【実施例】
【0025】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。尚、測定方法は以下の通りである。
【0026】
カバード糸の撚数:
パンティストッキングのレッグ部を解編し、カバード糸を取り出す。一カ所をセロテープ(登録商標)で固定し、そこを基点として約1.0mのところで切断する。浅野機械製作株式会社製検燃機を、初荷重20g、測定長20cmにセットする。検燃機のクリップ部にカバード糸の一端を固定し、もう一端を検燃機の回転部に固定する。クリップ部を引張り、初荷重が掛かった状態で固定する。カバード糸を解燃し、撚り数を測定する。一連の操作を10回行い、平均値を算出し、撚り数とする。
【0027】
芯糸の総繊度:
パンティストッキングのレッグ部を解編し、カバード糸を取り出す。カバード糸を荷重20gかけて50cmにカットし、芯糸と鞘糸に解撚しながら分離する。このサンプルを10点準備し、芯糸のみ集め、重量Xグラムを求める。また同サンプルについて20mgの荷重をかけて芯糸の長さを測定する。これを10サンプル分繰り返し、それぞれの長さ(Lx1〜Lx10)の合計Lx(m)を求める。下記式(1)より算出して求める。
式(1) 総繊度(dtex)=10000×X/L
【0028】
鞘糸の総繊度:
パンティストッキングのレッグ部を解編し、カバード糸を取り出す。カバード糸を荷重20gかけて50cmにカットし、芯糸と鞘糸に解撚しながら分離する。このサンプルを10点準備し、鞘糸のみ厚め重量Yグラムを求める。また同サンプルについて1gの荷重をかけて鞘糸の長さを測定する。これを10サンプル分繰り返し、それぞれの長さ(Ly1〜Ly10)の合計Ly(m)を求める。下記式(2)より算出して求める。
式(2) 総繊度(dtex)=10000×Y/L
【0029】
芯糸と鞘糸の混率:
芯糸、鞘糸の総繊度を求める際に得られたX、Yから算出して求める。
【0030】
(実施例1)
分子量1800のポリオキシテトラメチレングリコール200部とメチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)45部を80℃で3時間反応させ、両末端イソシアネート基の中間重合体を得た。中間重合体を40℃まで冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド375部を加え10℃まで冷却した。エチレンジアミン4.0部、ジエチルアミン0.4部をN,N−ジメチルアセトアミド147.6部に溶解したジエチルアミン溶液を用意し、高速攪拌されている中間重合体溶液へジエチルアミン溶液を一気に添加し、溶液濃度32.2重量%、粘度2500ポイズ(30℃)のポリウレタン重合体溶液を得た。
【0031】
こうして得たポリウレタン重合体溶液に、n−ブチルアミン/N,N−ジメチルヒドラジン末端封鎖ポリマー4%、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物を添加混合する。
【0032】
引続き、大日精化工業製の顔料JJ-776(赤系顔料)を0.05重量%前記ポリウレタン重合体溶液に添加し、ミキサーにて3時間混合し紡糸原液とした。
【0033】
紡糸原液を脱法後、孔径0.5mmの口金から吐出し、235℃の加熱空気を流した紡糸筒内押し出し、油剤を5%OWF付与して速度550m/分で巻き取った。得られた糸条を40℃で72時間加熱処理し、後加工に供する33デシテックス3フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0034】
得られた弾性繊維を芯糸として、また鞘糸として東洋紡ナイロン7デシテックス5フィラメントをドラフト3倍、撚数2600T/Mの条件でシングルカバリングした。得られたカバード糸をレッグ部に使用してゾッキパンストを作製し、染料としてサンド(株)製の酸性染料を浴比20、染色温度100℃の条件で通常の染色加工をして乾燥させた。得られたパンティーストキングを右足のみ着用し、左足は素足で女性10人による着用試験を行った。着用した右足は透明感と立体感に優れ、足が細く見えた。
【0035】
(実施例2)
弾性繊維を44デシテックスにし、鞘糸を8デシテックス5フィラメントのナイロン6にして、撚数1600T/Mにした以外は実施例1に従った。着用した右足はやや透明感に劣るものの、立体感に優れたものであった。
【0036】
(実施例3)
弾性繊維を22デシテックス2フィラメントにし、撚数を1600T/Mにした以外は実施例1に従った。パンティストッキングは、やや伸縮回復性、立体感に劣るものの、透明感に優れたものであった。
【0037】
(比較例1)
弾性繊維を着色しなかったこと以外は実施例1に従った。着用した右足は平面的な外観で、立体感に劣るものであった。
【0038】
(比較例2)
弾性繊維を44デシテックス4フィラメント、鞘糸を8デシテックス5フィラメントのナイロン6繊維、ドラフト1.5倍、撚数を1600T/M、にした以外は実施例1に従った。カバード糸の解舒性が悪く糸切れが多発した。また得られたパンティストッキングはべとついた風合いであった。
【0039】
(比較例3)
鞘糸を13デシテックス5フィラメントのナイロン6を用いた以外は実施例1に従った。着用した右足は平面的な外観で、足も細く見えなかった。
【0040】
(比較例4)
弾性繊維を55デシテックス5フィラメントにした以外は実施例1に従った。得られたパンティストッキングは締付け感が強すぎ、着装感が悪かった。
【0041】
(比較例5)
ドラフト5倍にした以外は実施例1に従った。得られたパンティストッキングは締付け感が強すぎ、立体感に劣ったものであった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のパンティストッキングは着用した際に立体感があり、色彩のグラデーション効果が素肌に近い色彩を作り出し、あたかも素肌が見えているように表現でき、足が細く見えるため、脚を細く美しく見せたい人に貢献できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性繊維を非弾性繊維で被覆したカバード糸からなるパンティストッキングであって、芯糸の弾性繊維がベージュ系、黄系、茶系、橙系、赤系から選ばれる一種以上の有機色素で着色されており、鞘糸の混率が20〜50%であるカバード糸からなることを特徴とする立体感に優れ足が細く見えるパンティストッキング。
【請求項2】
カバード糸がポリウレタン弾性繊維を芯糸とするシングルカバード糸であって、芯糸である弾性繊維の総繊度が15〜50デシテックス、鞘糸である非弾性繊維の総繊度が4〜10デシテックスであることを特徴とする請求項1に記載の立体感に優れ足が細く見えるパンティストッキング。
【請求項3】
カバード糸の撚数が1400〜3000T/Mであることを特徴とする請求項1又は2に記載の立体感に優れ足が細く見えるパンティストッキング。
【請求項4】
少なくともレッグ部がカバード糸のみで構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の立体感に優れ足が細く見えるパンティストッキング。
【請求項5】
総繊度15〜50デシテックであるベージュ系、黄系、茶系、橙系、赤系から選ばれる一種以上の有機色素で着色された弾性繊維を芯糸として2〜4倍にドラフトし、4〜10デシテックスの非弾性繊維をカバリングして、被覆弾性糸を作製し、パンティストッキングを製編してベージュ系、黄系、茶系、橙系、赤系から選ばれる一種以上の染料で染色するパンティストッキングの製造方法。

【公開番号】特開2007−146309(P2007−146309A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338817(P2005−338817)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年5月26日、27日 社団法人日本繊維機械学会主催の「日本繊維機械学会 第58回 年次大会」において文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年6月8日から10日 社団法人繊維学会主催の「繊維学会春季大会」において文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年8月4日 信州大学主催の「学位論文公聴会」において文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年10月25日 日本繊維機械学会発行の「繊維機械学会誌 第58巻 第10号(686号)」に発表
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】