説明

対向砥石台を備えたねじ研削盤

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はねじ研削盤、特に長尺のねじ軸を研削するのに適するねじ研削盤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、単一直径の長尺のねじは剛性が小さいのでねじ研削盤で研削すると、びびりが出たり、加工物が弾性変形して研削中ねじの軸線が偏位し、ねじ精度、特にねじ径のばらつきが生じ易い。このような剛性のない加工物をねじ研削する場合は一般にふれ止めが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】直径に比して長さが著しく大きいねじ軸は剛性がないため、研削力に対向するため、ねじ軸の外径部分にシューを当てる。処がねじ軸はねじが旋削加工で研削代を付した状態にして焼入れされており、硬度が高い。そこてシューはねじ山頂と接し、研削力によりシューは大きな圧力を設ける。そのため、シューが摩耗し易く、ねじの頂上の幅がせまくねじの山頂とフランクの角部がねじ軸の回転により軸方向に移動し、シューを削り易い。そこで加工中シューを追い込んで合せる必要があり、ふれ止めのシュー位置の調整が伴う。このようなふれ止めは加工物の長さが長くなるに伴って数を増加して加工物を支えるため、加工途中のふれ止めの調整に時間がかかる。この点を一般的に長尺物加工についてやや詳しくのべると加工物には研削抵抗の主分力と背分力を合成した研削力が加わる。これを主分力を受けるシューと背分力で受けるシューを備えた二点式ふれ止めが一般的に使用されている。この場合、背分力を受けるシューは研削精度に直接影響するので加工物に対して所定位置に送り込まねばならない。又、主分力を受けるシューには大きな力が加わるので耐摩性を考慮して、或程度、加工物の弾性を利用して退いた位置に置くことも出来る。従ってふれ止めの調整の場合背分力を受けるシューは簡単には各々独立して加工物直径に関し、同位置としてもよいが、主成分を受けるシューは軸方向に配列した各ふれ止めが加工物を支持する態様に従って加工物への送り込み量を調整する必要がある。以上のような訳でふれ止めの調整は時間がかかる。従って、ふれ止めの数は必要最小限にとどめると共に砥石切込量に制限を加える。
【0004】上記のようなねじ研削を行うので切込量が少なく、ふれ止め調整のため、加工時間が著しくかかる。一つのふれ止めに方向の異なる二個所のシューを関連調整すると共に各ふれ止めに関し、互いのシュー位置が関係するのできわめて高度の熟練を要し、研削精度を向上するのが困難である。
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので研削精度を向上でき、且つふれ止めの数を少なくできると共に研削能率の良好なねじ研削盤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の発明は尺の加工物の回転と研削砥石と加工物の軸方向の相対移動の割合を一定にするねじ研削送り手段を備えたねじ研削盤において、機台と、機台上に往復動自在に備えたサドルと、サドルの駆動装置と、機台上でサドル移動方向と平行な線上に対向して備えた加工物主軸台及び心押台と、サドル上に加工物の中心線を通り機台に対して垂直垂直軸心を旋回中心とする旋回位置調整装置を介して支持されたスライドと、主軸台と心押台にて支持した加工物の中心線が前記垂直軸心が通る位置とほぼ同一位置の加工物の両側において、加工物に向って進退自在にスライドに備えた対向する二つの砥石台と、砥石台の駆動装置を備えた対向砥石台を備えたねじ研削盤である。
【0007】本発明の第2の発明は砥石台の駆動装置は砥石台切込み方向に配設された一体又は連動装置で連結した送りねじを有し、該送りねじは互いにねじれ方向の異なるねじ部を備え、該ねじ部に夫々ねじ込まれたナットは各砥石台に取付けられていることを特徴とする第1の発明に記載の対向砥石台を備えたねじ研削盤である。
【0008】本発明の第3の発明は各砥石台に取付けられているナットの少なくとも一つは回転して回転方向の位置を調整可能に不動とされていることを特徴とする第2の発明に記載の対向砥石台を備えたねじ研削盤である。
【0009】本発明の第4の発明は砥石台の駆動装置は、夫々の砥石台について設けたサーボモータと、サーボモータと砥石台を連結するねじ送り装置と、サーボモータを制御する数値制御装置を有することを特徴とする第1の発明に記載の対向砥石台を備えたねじ研削盤である。
【0010】本発明の第5の発明は両砥石台の砥石回転方向が同方向であることを特徴とする第1の発明から第4の発明までの何れか1つに記載の対向砥石台を備えたねじ研削盤である。
【0011】本発明の第6の発明は両砥石台の砥石回転方向が互いに逆方向であることを特徴とする第1の発明から第5の発明までの何れか1つに記載の対向砥石台を備えたねじ研削盤である。
【0012】本発明の第7の発明は両砥石台の砥石台に備えた砥石駆動用の主電動機は少なくともその一つが正逆転可能であることを特徴とする第1の発明から第5の発明までの何れか1つに記載の対向砥石台を備えたねじ研削盤である。
【0013】本発明の第8の発明は砥石台の後退位置における砥石に作用する砥石修正装置を備え、各砥石の加工物に対する作用位置と反対側の位置に砥石修正工具を配設しことを特徴とする第1の発明から第7の発明までの何れか1つに記載の対向砥石台を備えたねじ研削盤である。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。図1は平面図、図2は図1のB−B断面図を含むA−A断面図、図3は図2のC−C断面図である。
【0015】機台1上に設けたいわゆる山一角の案内2にサドル3が滑合し、サドル3は機台1上を往復動自在となっている。このサドル3には送りナット4が固定され、送りナット4には案内2に平行な親ねじ5がねじ込まれている。送りナット4は親ねじ5に係脱自在又は送りナット4は親ねじ5とはかみ合つたままでサドル3に固定されるナットケース80に回転及び固定が外部操作で行われるようになっている。これら構成は旋盤エプロンに備えるねじ切装置と同じであり、周知であるので説明を省略する。親ねじ5は機台1に固定された交換歯車箱6の出力側に連結されている。交換歯車箱6の入力軸は加工物主軸台7中の加工物主軸8と歯車でもって連結されており、その内部は加工物主軸8を精密なねじ部が形成された親ねじ5に対して各種の一定割合で回転させるように、歯車列を選択的にかみ合せるようにしてある。このかみ合せは図示されない交換歯車箱6内の歯車をシフトする部材に連結され交換歯車箱6外に出されたレバーによるようになっている。又、更に上記に組合せて手作業で一部歯車対を容易に交換可能としている。機台1上にはサドル3の往復動する方向に加工物主軸台7が固定され、加工物主軸台7に対向して心押台9が位置を調節可能に固定されている。加工物主軸台7は上部の電動機10からベルト装置11を介して入力され、内部の減速歯車を介して加工物主軸8に回転が伝達されるようになっている。加工物Wは加工物主軸8に嵌入するセンタ12と心押台9に出入りが調整されるスリーブ13に嵌入するセンタ14に支持されている。加工物Wは加工物Wに固定した回し金15にに係合した駆動具16で回転させられる。駆動具16は加工物主軸8に固定されている。
【0016】加工物主軸台7と心押台9にて支持した加工物Wの軸方向のほぼ同一位置の両側に向って斜めに進退自在に対向する砥石台18,118を1つのスライド17上に備えている。このためスライド17には機台1の案内2に斜交するように案内19,119が設けられ、各砥石台本体21,121が該案内19,119に滑合している。砥石台本体21,121には夫々案内19,119に直交する砥石軸22,122が回転自在に支持されている。砥石台本体21,121上に設けた主電動機23,123と砥石軸22,122はベルト装置24,124で連結されている。砥石軸22,122には円筒形の砥石25,125が取付けられている。砥石25,125は加工物Wの直径をはさんで反対側にあり、加工物Wの軸方向では加工物Wに形成するねじの半ピッチ分、離した位置に研削作用部がある。スライド17には砥石台本体21,121の駆動装置が設けてある。
【0017】次に砥石台18,118の駆動装置についてのべる。図2に示すように砥石台本体21,121の下方には砥石台本体21,121を案内する案内19,119に平行な送りねじ部26がスライド17に軸受27により軸方向に移動しないように支持されている。
【0018】送りねじ部26は互いに逆勝手のねじ部28,128を備えている。ねじ部28にはナット29がねじ込まれており、ねじ部128にはナット129がねじ込まれている。ナット29は砥石台18に固定されたナットケース31に軸受32によって回転自在に軸方向移動しないように支持されている。ナット29には2段目ウォームホイル33が固定され、2段目ウォームホイル33はナットケース31に軸承した2段目ウォーム34にかみ合い、2段目ウォーム34と同軸で一体的な1段目ウォームホイル35に1段目ウォーム36がかみ合っている。1段目ウォーム36を固定した両砥石位置調整軸37はナットケース31に軸受39を介して軸方向に移動しないように回転自在に支持され、砥石台位置差調整用の軸41にスプライン嵌合している。該軸41は軸受41aを介してスライド17に軸方向移動しないように支持され、スライド17の作業者からみて手前に外部に突出し、軸端にマイクロメータカラー付の両砥石関係位置調節ハンドル42が取付けられている。サドル3の往復動毎に送りねじ部26を駆動する自動切込み装置43が送りねじ部26に連結され、更に送りねじ部26はマイクロメータ装置44を介して切込みハンドル45に連結されている。自動切込み装置43、マイクロメータ装置44は円筒研削盤で周知されているものと同一であるので説明を省略する。スライド17にねじ込んだ送りねじ部26用固定ねじ46は送りねじ部26を直接又は送りねじ部26に対して増速回転する部分を固定したり解除したりするもので、レバー47を備える。
【0019】尚、送りねじ部26は左右のねじ部28,128を備えて1本とし、スライド位置調整装置60の中心付近をとおるようにしてもよい。
【0020】図1に示すように砥石修正装置50,150がスライド17上に設けてある。両砥石修正装置50,150はその砥石修正工具50a,150aを対向しており、各砥石25,125の背部から各砥石25,125に作用するようになっており、同構成であるので砥石修正装置50について説明する。砥石修正工具50aは単石ダイヤモンド或はロータリドレッサであり、本例では説明を簡単にするためロータリドレッサの場合についてのべる。砥石修正工具50aは砥石修正工具台50bに砥石軸22に平行な図示されない回転軸に固定されており、該工具台50bに内蔵したモータによって回転駆動されるようになっている。砥石修正工具台50bは砥石軸22に平行及び直交する方向に位置を調整可能なX−Yスライドを介してスライド17に固定されている。
【0021】スライド17にはスライド17の移動に伴ってスライド17上の砥石台18,118への給電、研削液の給送のための、例えばケーブルチェン等の可撓性支持体に支持された電線、ゴムホース等の配線、配管部材49の一端が結合されている。前述した送りねじ部26はねじ部28,128が図3に示すように同軸上にないため、これらを連結するために、傘歯車対52,53対及び152,153対でもって中継軸54,154に連結され、中継軸54,154は傘歯車対55,56対及び155,156対でもって連結軸57に連結され、各軸は夫々スライド17に固設した軸受58,59,158,159に回転自在に支持されている。
【0022】スライド17はサドル3上にスライド位置調整装置60を介して支持されている。スライド位置調整装置60は以下のとおりである。両砥石25,125の幅方向の中心をとおる水平線が加工物Wの中心を切る点をとおる垂線を中心としてウォームホイル61が回転するように、軸受62でもってサドル3にウォームホイル61が回転自在に支持されている。ウォームホイル61はその位置決め用軸部63がスライド17に嵌合し、ウォームホイル61を貫通するボルト64をスライド17にねじ込み、スライド17に固定されている。ウォームホイル61と同軸で設けられた円環状案内66にはスライド17が滑合してスライド17を回転自在に担持している。ウォームホイル61にかみ合うウォーム67はサドル3に軸受68(図3)により回転自在に支持されている。ウォーム67のウォーム軸69にはマイクロメータカラー71を備えたリード角調整ハンドル74が取付けられている。該マイクロメータカラー71は図1の平面図でみてスライド17の傾き角、即ち、両砥石25,125の幅方向の中心を結ぶ水平線が加工物主軸台の主軸8に取付けたセンタ12と心押台のスリーブ13に取付けたセンタ14を結ぶ中心線との間でなす角を示してある。
【0023】次に上記構成における作用を説明する。
【0024】先ず交換歯車箱6を操作して、切るべきねじピッチを設定する。次に該ねじピッチに対応するリード角を計算する。リード角調整ハンドル74を回転するとウォーム軸69が回転し、ウォーム67を回転させる。ウォーム67はウォームホイル61を回転する。ウォームホイル61とスライド17は固定されているのでスライド17は水平面内で傾動する。マイクロメータカラー71でもってリード角を得られるようにすると砥石25,125の幅方向の中心を結ぶ水平線は加工物Wの軸心に対して所要のリード角となって傾く。
【0025】加工物Wに対する切込みは1例として図4に示す。加工物Wのブランクは研削代を付して下ねじが切られており、外径D0は通常旋削加工し、焼入研削されている。1回の砥石25の半径方向の切込量(以下の切込みは加工物Wの半径方向の切込みで説明し、単に切込量と称す)をt1、砥石125の切込量をt2とすると、1回の切込みでサドル3を移動すると加工物直径D1=D0−(t1+t2)となる。回転方向は加工物Wを図4において時計回りとすると通常砥石25,125は時計回りてあり、加工物Wの周面の移動方向と、砥石25,125の周面の移動方向は反対方向である。ふれ止めを用いない場合切込t1,t2は砥石25,125の研削抵抗の主分力がほぼ等しいように選択する。
【0026】上記のような研削の切込条件を初期設定するためにはレバー47を回して送りねじ固定ねじ46を締め込み、送りねじ部26を不動とし、両砥石関係位置調節ハンドル42を回転すると、軸41を介して両砥石位置調節軸37は回転し、1段目ウォーム36を回転する。1段目ウォーム36は1段目ウォームホイル35を回転し同軸の2段目ウォーム34は一体的に回転する。2段目ウォーム34は2段目ウォームホイル33を回転するのでナット29は軸受32に支持されて回転し、ナットケース31と共に砥石台18は移動する。これによって先ず砥石台18を砥石台118よりもより多く後退させておく。
【0027】主軸台センタ12と心押台センタ14間に外周に正確な円筒面を形成した直径D1のマスターを取付け、切込み送りねじ固定用のレバー47を戻して送りねじ部26を回転可能とし、切込みハンドル45を回転して、砥石台18,118を互いに接近させる。そして砥石125を上記マスターに接し、再び切込み送りねじ固定用レバー47を回して送りねじ部26を固定し、両砥石位置関係調節ハンドル42を回転して、砥石台18を前進して砥石25を上記マスターに接する。次に該ハンドル42を上記と反対方向に目盛をみて逆転して砥石25と加工物Wとの対向面間水平距離を砥石25,125の切込み差がt2となるように砥石台18を後退させ、切込み送りねじ固定用レバー47をゆるめ、切込みハンドル45を回して各砥石台18,118を後退させておく。
【0028】次に上記マスターを主軸台センタ12、心押台センタ14から外し、加工物Wのブランクに回し金15を取付け、加工物主軸台7のセンタ12、心押台9のセンタ14間に加工物Wを取付け、駆動具16と回し金15を係合させる。主電動機23,123を回転すると夫々ベルト装置24,124を介して砥石軸22,122は回転し、砥石25,125は回転する。加工物Wの心押台側端部から外れた位置に砥石25,125が来るようにサドル3を移動し、切込みハンドル45を回転して送りねじ部26を回転し、砥石台18,118を互いに接近させ、砥石25の切込みがt1となるように切込むと、図4のように切込み量がセットされる。即ち、砥石25の切込みはt1、砥石125の切込みはt2である。一方、この前に自動切込み装置43に所要の切込み量をセットする。ここで電動機10を駆動するとベルト装置11を介して加工物主軸8は回転し、駆動具16、回し金15を介して加工物Wは回転する。同時に親ねじ5が駆動され、サドル3がねじ送りされ、加工物Wのねじ研削が行われる。
【0029】加工物Wに加わる研削抵抗は図4に示すように砥石25の研削抵抗は主分力F1、背分力F2、砥石125の研削抵抗は主分力F101、背分力F102であり、主分力F1≒F101背分力F2≒F102となる。
【0030】上記のように砥石25,125の研削抵抗を均衡させ得るので加工物Wには曲げ力が殆どかからないので加工物Wが細長くてもふれ止めなしで加工可能であり、ふれ止めを用いる場合も従来に比してきわめて少なくてすむ。尚ふれ止めは図5に示すように加工物Wの下方より上下動するVブロック72、又は図6に示すように加工物Wの下方より上下動する上面が平らな受金73でもよい。
【0031】砥石修正は砥石台18,118を後退して、砥石修正装置50,150により行う。
【0032】次に他の実施例について説明する。図7は前実施例の図3に対応している側断面図を示している。図8は図7の平面図である。前実施例と異なる点をのべると、この実施例では各砥石台18,118はスライド17に備えるサーボモータ75,175及びサーボモータ75,175に連結されたねじ送り装置により駆動される。これによって砥石25,125の切込み差が設定される。スライド17、サドル3、リード角調整装置60は前実施例と同様である。切込み送りが数値制御装置により行われる。即ち、数値制御装置76はサーボモータ75,175を数値制御するようになっており、各サーボモータ75,175はスライド17に軸受77,177により支持されたボールねじ78,178に連結され、ボールねじ78,178にねじ込まれたボールナット79,179は砥石台本体21,121に固定されている。砥石台18,118は原点位置が定められており、数値制御装置76により切込み指令される。砥石修正装置50,150での砥石修正切込み量により、砥石25,125の作用位置は補正されて、夫々原点位置において砥石25,125の作用位置は加工物Wの中心から等距離の位置にある。
【0033】研削加工の始めに砥石台18,118は加工物Wの心押台側端部より離れた位置にあり、始動すると砥石台18,118は加工物Wに近ずき、切込むがその際、プログラムにより砥石25には切込みt1がそして砥石125には切込みt2が図4のように与えられ、親ねじ5によりサドル3の運動が始まり、ねじ研削が行われる。サドル3の往動面の切込みは数値制御装置76のプログラムにより、サーボモータ75,175を駆動して行われ、加工物Wのねじ部の仕上り直径も数値制御装置76により定まる。
【0034】
【発明の効果】本発明の第1の発明は機台と、機台上に往復動自在に備えたサドルと、サドルの駆動装置と、機台上でサドル移動方向と平行な線上に対向して備えた加工物主軸台及び心押台と、サドル上に加工物の中心線を通り機台に対して垂直な垂直軸心を旋回中心とする旋回位置調整装置を介して支持されたスライドと、主軸台と心押台にて支持した加工物の中心線が前記垂直軸心が通る位置とほぼ同一位置の加工物の両側において、加工物に向って進退自在にスライドに備えた対向する二つの砥石台と、砥石台の駆動装置とを備えた対向砥石台を備えた研削盤としたから、(1)砥石の切込量を増大できるから研削能力が著しく増大する。
(2)砥石の切込量を増大しても、二つの砥石の研削抵抗を打消すようにすることにより、加工物に加わる曲げモーメントを小さくできるため、ふれ止めを要しないか、或はふれ止めの数を少なくできる。
(3)従来の円筒研削盤に比して、同一切込みの場合に加工物に加わる力が小さいので、加工物の変形による加工物の寸法誤差、形状誤差が小さくなる。
(4)ふれ止めは加工物を一方向から支持すればよいから構造簡単であり、調整は速やかに行われる。
【0035】本発明の第2の発明は一本の又は連結した送りねじにねじれ方向の異なるねじ部を有するため、両砥石台は送りねじの回転により、等しく切込みを行うので両砥石の切込みを夫々別々に行う必要がなく、両砥石の連動装置を簡単に製作出来る。
【0036】本発明の第3の発明は第2の発明において少なくとも一つのナットの回転位置を調整出来るので各砥石台の砥石の加工物に対する関係位置の差を調整出来るから、各砥石の切込み量の差を容易に得ることが出来る。
【0037】本発明の第4の発明は各砥石台は夫々別個の駆動装置を備え、数値制御装置により制御されるサーボモータで駆動されるから、両砥石の切込み差を設定出来、同時切込み作用を容易に行うことが出来る。
【0038】本発明の第5の発明は両砥石は同一方向に回転するから、両砥石の周面の移動方向は加工物周面の移動方向に対して共に同方向又は共に逆方向とすることが出来る。
【0039】本発明の第6の発明は両砥石は互いに逆方向に回転するから、一方の砥石の周面は同方向、他方の砥石の周面は逆方向に移動する。即ち、アプカット研削とダウンカット研削をすることが出来る。
【0040】本発明の第7の発明は両砥石の何れか一つが正逆転するから、両砥石は同方向に回転することが出来ると共に両砥石を互いに逆方向に回転することが出来る。従って、上記第5、第6の発明における研削方法の何れでも選択出来る。
【0041】本発明の第8の発明は各砥石修正装置の砥石修正工具と加工物へ切込状態の砥石との距離を等しくしておくと、各砥石台を等距離後退させることにより、砥石修正を行うことが出来、例えば成形ロータリダイヤモンドドレッサを用いる場合には修正工具摩耗は殆どないから、砥石径は等しく切込まれ、砥石の寸法管理が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の平面図である。
【図2】図1のB−B断面を含むA−A断面図である。
【図3】図2のC−C断面図である。
【図4】研削切込み例を示す加工物に直角な側面図である。
【図5】ふれ止めの側面図である。
【図6】ふれ止めの側面図である。
【図7】他の実施例の一部断面で示す側面図である。
【図8】図7の平面図である。
【符号の説明】
1・・機台 2・・案内 3・・サドル 4・・送りナット 5・・親ねじ
6・・交換歯車箱 7・・加工物主軸台 8・・加工物主軸 9・・心押台 10・・電動機 11・・ベルト装置 12・・センタ 13・・スリーブ 14・・センタ 15・・回し金 16・・駆動具 17・・スライド 18・・砥石台 19・・案内 21・・砥石台本体 22・・砥石軸 23・・主電動機
24・・ベルト装置 25・・砥石 26・・送りねじ 27・・軸受 28・・ねじ部 29・・ナット 31・・ナットケース 32・・軸受 33・・2段目ウォームホイル 34・・2段目ウォーム 35・・1段目ウォームホイル
36・・1段目ウォーム 37・・両砥石位置調整軸 39・・軸受 40・・軸 41a・・軸受 42・・両砥石関係位置調節ハンドル 43・・自動切込み装置 44・・マイクロメータ装置 45・・切込みハンドル 46・・固定ねじ 47・・レバー 49・・配管部材 50・・砥石修正装置 50a・・砥石修正工具 50b・・砥石修正工具台 52,53,55,56・・傘歯車対 54・・中継軸 57・・連結軸 58・・軸受 60・・スライド位置調整装置 61・・ウォームホイル 62・・軸受 63・・位置決め用軸部 64・・ボルト 66・・円環状案内 67・・ウォーム 68・・軸受
69・・ウォーム軸 71・・マイクロメータカラー 72・・Vブロック 73・・受金 74・・リード角調整ハンドル 75・・サーボモータ 76・・数値制御装置 77・・軸受 78・・ボールねじ 79・・ボールナット 80・・ナットケース 118・・砥石台 119・・案内 121・・砥石台本体 122・・砥石軸 123・・主電動機 124・・ベルト装置 125・・砥石 128・・ねじ部 129・・ナット 150・・砥石修正装置 150a・・砥石修正工具 150b・・砥石修正工具台 152,153,155,156・・傘歯車対 154・・中継軸 158・・軸受 175・・サーボモータ 177・・軸受 178・・ボールねじ 179・・ボールナット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 長尺の加工物の回転と研削砥石と加工物の軸方向の相対移動の割合を一定にするねじ研削送り手段を備えたねじ研削盤において、機台と、機台上に往復動自在に備えたサドルと、サドルの駆動装置と、機台上でサドル移動方向と平行な線上に対向して備えた加工物主軸台及び心押台と、サドル上に加工物の中心線を通り機台に対して垂直な垂直軸心を旋回中心とする旋回位置調整装置を介して支持されたスライドと、主軸台と心押台にて支持した加工物の中心線が前記垂直軸心が通る位置とほぼ同一位置の加工物の両側において、加工物に向って進退自在にスライドに備えた対向する二つの砥石台と、砥石台の駆動装置を備えた対向砥石台を備えたねじ研削盤。
【請求項2】 砥石台の駆動装置は砥石台切込み方向に配設された一体又は連動装置で連結した送りねじを有し、該送りねじは互いにねじれ方向の異なるねじ部を備え、該ねじ部に夫々ねじ込まれたナットは各砥石台に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の対向砥石台を備えたねじ研削盤。
【請求項3】 各砥石台に取付けられているナットの少なくとも一つは回転して回転方向の位置を調整可能に不動とされていることを特徴とする請求項2に記載の対向砥石台を備えたねじ研削盤。
【請求項4】 砥石台の駆動装置は、夫々の砥石台について設けたサーボモータと、サーボモータと砥石台を連結するねじ送り装置と、サーボモータを制御する数値制御装置を有することを特徴とする請求項1に記載の対向砥石台を備えたねじ研削盤。
【請求項5】 両砥石台の砥石回転方向が同方向であることを特徴とする請求項1から4までの何れか1つに記載の対向砥石台を備えたねじ研削盤。
【請求項6】 両砥石台の砥石回転方向が互いに逆方向であることを特徴とする請求項1から5までの何れか1つに記載の対向砥石台を備えたねじ研削盤。
【請求項7】 両砥石台の砥石台に備えた砥石駆動用の主電動機は少なくともその一つが正逆転可能であることを特徴とする請求項1から5までの何れか1つに記載の対向砥石台を備えたねじ研削盤。
【請求項8】 砥石台の後退位置における砥石に作用する砥石修正装置を備え、各砥石の加工物に対する作用位置と反対側の位置に砥石修正工具を配設したことを特徴とする請求項1から7までの何れか1つに記載の対向砥石台を備えたねじ研削盤。

【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図3】
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【図8】
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【特許番号】特許第3021066号(P3021066)
【登録日】平成12年1月14日(2000.1.14)
【発行日】平成12年3月15日(2000.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−47483
【出願日】平成3年2月20日(1991.2.20)
【公開番号】特開平5−162015
【公開日】平成5年6月29日(1993.6.29)
【審査請求日】平成10年2月9日(1998.2.9)
【出願人】(390029805)テイエチケー株式会社 (420)
【参考文献】
【文献】特開 平2−274419(JP,A)
【文献】特開 昭56−95551(JP,A)
【文献】実開 平2−78217(JP,U)