説明

対象外の表現型が除外された、分化多能性幹細胞の子孫

本発明は、霊長動物多能性幹細胞のin vitro分化子孫を含む細胞の混合集団から対象外の表現型を除外するための方法を提供する。本発明はまた、目的の細胞表現型について濃縮された混合性の細胞集団であって、混合性の細胞集団は、霊長動物胚性幹細胞の分化in vitro子孫を含む、混合性の細胞集団をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幹細胞生物学の分野に関する。
【0002】
優先権
本出願は、2009年6月25日に提出された仮特許出願第61/220,418号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
多能性幹細胞は、培養で、適切な増殖条件下で増殖すると共に、3つの主要な胚葉すべて:内胚葉、中胚葉、および外胚葉を代表する、系列が限られた細胞型に分化する能力を有する(米国特許第5,843,780号;第6,200,806号;第7,029,913号;Shamblottら(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13726;Takahashiら(2007)Cell 131(5):861;Yuら(2007)Science 318:5858)。特定の系列が限られた細胞型についての適切な増殖条件の決定は、研究および治療上の応用で使用されるその細胞型の無限の供給を事実上もたらすであろう。
【0004】
霊長動物多能性幹(pPS)細胞を、乏突起膠細胞、神経細胞、心筋細胞、造血細胞、膵島細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞を含む、様々な、目標とする細胞型に分化させるためのプロトコールが、記載されてきた(たとえば米国特許第7,285,415号;第6,833,269号;第7,425,448号;第7,452,718号;第7,033,831号;第7,326,572号;第6,458,589号;第6,506,574号;第7,256,042号;第7,473,555号;米国特許出願公開第2005/0158855号;第2004/0224403号;第2005/0282272号;第2005/0282274号;第2006/0148077号;米国特許出願第12/412,183号;PCT公開WO 07/149182;WO 05/097980;Carpenterら(2001)Exp Neurology 172:383;Chadwickら(2003)Blood 102:906;Kierstadら(2005)J Neuroscience 25:4694);Laflammeら(2007)Nature Biotechnology 25:1015 Jiangら(2007)Stem Cells 25:1940を参照されたい。
【0005】
目的の表現型細胞へのpPS細胞の分化は、目標とする表現型および様々な対象外の(extraneous)表現型を含む細胞の混合集団の産生をもたらすかもしれない。未分化胚性幹細胞の多能性潜在能力を保持するある種の対象外の表現型は、対象に投与された場合、奇形腫を形成するかもしれない。たとえばThomson 1998 Science 282:1145を参照されたい。他の対象外の表現型は、単に、目標とする表現型の細胞の数を減らし、それによって細胞調製物の全体的な有効性を低下させることによって、目的の表現型の有効性に干渉するかもしれない。したがって、pPS細胞の目標とする分化子孫を含む細胞の集団において見つけられる、対象外の表現型を有する細胞の数を低下させる必要性がある。治療上の、診断の、および/または研究の応用において使用するための、対象外の表現型の最小限の数の細胞を有する、pPS細胞の分化子孫の集団がさらに必要とされる。本明細書において記載される本発明の様々な実施形態は、同様に、これらの必要性および他の必要性を満たす。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態では、本発明は、対象外の表現型の細胞型が本質的にない、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む細胞の集団を提供する。pPS細胞のin vitro分化子孫は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、肝細胞、造血細胞、軟骨細胞、および骨芽細胞から選ばれる、目的の表現型を含んでいてもよい。対象外の表現型の細胞の一例は、上皮系列細胞、つまり、1つまたは複数の以下のマーカー:サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)などのような、上皮細胞と関連する1つまたは複数のマーカーを発現する細胞である。これらの細胞は、げっ歯動物などのような対象に植え込まれた場合、集まって塊になった上皮構造を形成し得るかもしれない。対象外の表現型の細胞型が本質的にない細胞集団は、1つまたは複数の以下のマーカー:デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)、サイトケラチンなどのような上皮細胞と関連するマーカーについてスクリーニングすることによって得られてもよい。たとえば、これらのマーカーの任意の1つまたは複数の抗体が、使用されてもよい。
【0007】
他の実施形態では、本発明は、対象外の表現型の細胞が本質的にない、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む細胞の集団を得るための方法であって、a)pPS細胞のin vitro分化子孫を含む細胞の集団を得るステップと、b)上皮細胞に結合する1つまたは複数のリガンドとa)の細胞集団を接触させるステップと、c)b)のリガンドが結合した細胞を除去し、それによって、対象外の表現型の細胞が本質的にない細胞の集団を得るステップとを含む方法が提供される。リガンドが結合した細胞を除去するステップは、リガンドが結合した細胞を細胞集団の残りから物理的に分離することを含んでいてもよい。リガンドが結合した細胞を除去するステップはまた、リガンドが結合した細胞を死滅させることを含んでいてもよい。たとえば、細胞に結合したリガンドに結合する毒素などのような作用物質が使用されてもよい。一実施形態では、リガンドは、抗体であってもよく、補体は、細胞を溶解し、したがって細胞の集団からそれを除去する作用物質として使用されてもよい。
【0008】
ある他の実施形態では、本発明は、霊長動物多能性幹細胞のin vitro分化子孫を含む、細胞の混合集団を提供する。細胞の混合集団は、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させることによって濃縮された、目標とする表現型の細胞集団を含み、したがって、対象外の表現型の細胞の数を低下させていない、細胞の混合集団と比較した場合に、治療上のまたは研究の産物として使用するための、細胞のより適した集団を提供してもよい。細胞の目標とする集団の濃縮は、対象外の表現型の細胞と関連する特異的なマーカー、たとえば、上皮細胞によって発現される1つまたは複数のマーカーを発現する細胞の数を低下させることによって達成される。対象外の表現型の除去は、集団を含む他の細胞から対象外の表現型を物理的に分離することを含んでいてもよい。対象外の表現型の除去はまた、リガンドが結合した細胞を死滅させるために、対象外の表現型を化学的に処理すること、たとえば、対象外の表現型の細胞に結合したリガンドに特異的に結合する化学薬品を含んでいてもよい。
【0009】
驚いたことに、上皮系列の対象外の表現型の細胞と関連する少なくとも1つまたは複数のマーカーの発現は、未分化細胞と関連する少なくとも1つまたは複数のマーカー、たとえばTRA−1−60の発現と部分的に重なる。したがって、上皮系列の対象外の表現型と関連するマーカーを発現する細胞を除外することによって、未分化細胞の数または混合集団内の未分化細胞によって発現される少なくとも1つのマーカー(TRA−1−60など)を発現する細胞の数もまた、低下させてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)対象外の表現型の細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合した対象外の表現型の細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含むpPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0011】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)対象外の表現型の細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合した対象外の表現型の細胞を、リガンドが結合した対象外の表現型細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0012】
ある実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)上皮細胞によって発現される1つまたは複数のマーカーに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)細胞の混合集団の残りからa)のリガンドが結合した細胞を分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含むpPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)上皮細胞によって発現される1つまたは複数のマーカーに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)a)のリガンドが結合した細胞を、a)のリガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含むpPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0014】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)上皮細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させ、未分化pPS細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含むpPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0015】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)上皮細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させ、未分化pPS細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)a)のリガンドが結合した細胞を、a)のリガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含むpPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0016】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0017】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)a)のリガンドが結合した細胞を、a)のリガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0018】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)未分化pPS細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、c)a、b)、またはa)およびb)のリガンドが結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0019】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)TRA−160に特異的に結合するリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、c)リガンドが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0020】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)TRA−160に特異的に結合するリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、c)a、b)、またはa)およびb)のリガンドが結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0021】
ある他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における上皮細胞の数を低下させるための方法であって、a)上皮細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合した上皮細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から上皮細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0022】
ある他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における上皮細胞の数を低下させるための方法であって、a)上皮細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)a)の細胞を、a)のリガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から上皮細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0023】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における上皮細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数の分子と特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合した上皮細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から上皮細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0024】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における上皮細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数の分子と特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合した上皮細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から上皮細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0025】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EpCAMが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0026】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EpCAMが結合した細胞を、EpCAMが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0027】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチン分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)サイトケラチンが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0028】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチン分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)サイトケラチンが結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)デスモコリン3分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)デスモコリン3が結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)デスモコリン3分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)デスモコリン3が結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0031】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)デスモグレイン2分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)デスモグレイン2が結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0032】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)デスモグレイン2分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)デスモグレイン2が結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0033】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)E−カドヘリン分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)E−カドヘリンが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0034】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)E−カドヘリン分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)E−カドヘリンが結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0035】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD49f分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD49fが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0036】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD49f分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD49fが結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0037】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)EMA分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EMAが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0038】
いくつかの実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)EMA分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EMAが結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0039】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)E−cad分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)E−cadが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0040】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)E−cad分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)E−cadが結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0041】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD321分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD321が結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0042】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD321分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD321が結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0043】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD66分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD66が結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0044】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD66分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD66が結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0045】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD10分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD10が結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0046】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD10分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD10が結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0047】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD105分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD105が結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0048】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD105分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD105が結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0049】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団からサイトケラチン発現細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EpCAMが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団からサイトケラチン細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、サイトケラチン発現細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0050】
ある他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドおよび未分化細胞上に発現されるマーカーに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EpCAMのリガンドに結合した細胞および未分化細胞上に発現されたマーカーのリガンドに結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0051】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドおよび未分化細胞上に発現されるマーカーに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EpCAMについてのリガンドに結合した細胞および/または未分化細胞上に発現されたマーカーのリガンドに結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0052】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドおよびTRA−1−60に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EpCAMのリガンドに結合した細胞およびTRA−1−60のリガンドに結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0053】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドおよびTRA−1−60に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EpCAMについてのリガンドに結合した細胞および/またはTRA−1−60のリガンドに結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0054】
ある他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数の分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドならびに未分化細胞上に発現されるマーカーに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数の分子に結合した細胞ならびに未分化細胞上に発現されるマーカーのリガンドに結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0055】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数の分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドならびに未分化細胞上に発現されるマーカーに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数の分子に特異的に結合した1つまたは複数のリガンドに結合した細胞ならびに/または未分化細胞上に発現されるマーカーのリガンドに結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0056】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数の分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0057】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数の分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)a)のリガンドに結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0058】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EpCAMが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0059】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EpCAMが結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0060】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチンに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、bサイトケラチンが結合した細胞を)細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0061】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチンに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)サイトケラチンが結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0062】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)デスモコリン3に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)デスモコリン3が結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0063】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)デスモコリン3に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)デスモコリン3が結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0064】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)デスモグレイン2に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)デスモグレイン2が結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0065】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)デスモグレイン2に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)デスモグレイン2が結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0066】
さらなる他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)E−カドヘリンに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)E−カドヘリンが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0067】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)E−カドヘリンに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)E−カドヘリンが結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0068】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD49fに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD49fが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0069】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD49fに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD49fが結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0070】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)EMAに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EMAが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0071】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)EMAに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EMAが結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0072】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)E−cadに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)E−cadが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0073】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)E−cadに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)E−cadが結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0074】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD321に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD321が結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0075】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD321に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD321が結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0076】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD66に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD66が結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0077】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD66に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD66が結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0078】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD10に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD10が結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0079】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD10に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD10が結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0080】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD105に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD105が結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0081】
他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるための方法であって、a)CD105に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)CD105が結合した細胞を、リガンドが結合した細胞を死滅させる化学薬品と接触させ、それによって、細胞の混合集団から、上皮の塊を形成する細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、上皮の塊を形成する細胞を含む、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0082】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における未分化細胞の数を低下させるための方法であって、a)未分化細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合した未分化細胞を細胞の混合集団の残りから除去し、それによって、細胞の混合集団から未分化細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、リガンドは、TRA−1−60に特異的に結合するIgGなどのような抗体を含んでいてもよい。
【0083】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、未分化細胞によって発現される1つまたは複数の分子を発現する細胞の数を低下させるための方法であって、a)上皮細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)a)のリガンドが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから除去し、それによって、細胞の混合集団から未分化細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0084】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、未分化細胞によって発現される1つまたは複数の分子を発現する細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合したEpCAM細胞を細胞の混合集団の残りから除去し、それによって、細胞の混合集団から未分化細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0085】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、未分化細胞によって発現される1つまたは複数の分子を発現する細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドおよびTRA−1−60に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから除去し、それによって、細胞の混合集団から未分化細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0086】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、未分化細胞によって発現される1つまたは複数の分子を発現する細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチンに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合したサイトケラチン細胞を細胞の混合集団の残りから除去し、それによって、細胞の混合集団から未分化細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0087】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞の混合集団における、未分化細胞によって発現される1つまたは複数の分子を発現する細胞の数を低下させるための方法であって、a)サイトケラチンに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドおよびTRA−1−60に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから除去し、それによって、細胞の混合集団から未分化細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法を提供する。
【0088】
さらに他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、上皮細胞上に見つけられる分子を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0089】
さらに他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、上皮細胞上に見つけられる分子を発現する少なくとも1つの細胞および未分化幹細胞上に見つけられる分子を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0090】
他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数の分子を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0091】
さらなる実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、EpCAMを発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0092】
さらに他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、サイトケラチンを発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0093】
さらに他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、デスモコリン3を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0094】
さらに他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、デスモグレイン2を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0095】
他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、E−カドヘリンを発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0096】
さらに他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、CD49fを発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0097】
さらなる実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、EMAを発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0098】
さらに他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、E−cadを発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0099】
さらに他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、CD321を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0100】
さらに他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、CD166を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0101】
さらに他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、CD105を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0102】
さらなる実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数の分子を発現する少なくとも1つの細胞ならびに未分化霊長動物多能性細胞上に見つけられるマーカーを発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0103】
他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、EpCAMを発現する少なくとも1つの細胞および未分化霊長動物多能性細胞上に見つけられるマーカーを発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0104】
さらなる実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、サイトケラチンを発現する少なくとも1つの細胞および未分化霊長動物多能性幹細胞上に見つけられるマーカーを発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0105】
他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、EpCAMを発現する少なくとも1つの細胞およびTRA−1−60を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0106】
さらなる実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、サイトケラチンを発現する少なくとも1つの細胞およびTRA−1−60を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団を提供する。
【0107】
さらに他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型を有する細胞を含む、細胞の集団を対象に移植するための方法であって、a)目標とする表現型を含む、対象外の表現型を有する少なくとも1つの細胞が除外されている細胞の集団を得るステップと、b)a)からの細胞の集団を対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0108】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞療法を必要とする対象を治療するための方法であって、a)目標とする表現型を有する細胞を含む、対象外の表現型を有する少なくとも1つの細胞が除外されている細胞の集団を得るステップと、b)a)からの細胞の集団を対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0109】
さらなる実施形態では、本発明は、目標とする表現型を有する細胞を含む細胞療法を必要とする対象を治療するための細胞の集団の使用であって、細胞の集団は、対象外の表現型を有する少なくとも1つの細胞が除外されている、使用を提供する。
【0110】
さらに他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型を有する細胞を含む、細胞の集団を対象に移植するための方法であって、a)目標とする表現型を有する細胞を含む、上皮細胞マーカーを発現する少なくとも1つの細胞が除外されている細胞の集団を得るステップと、b)a)からの細胞の集団を対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0111】
さらに他の実施形態では、本発明は、細胞療法を必要とする対象を治療するための方法であって、a)目標とする表現型を有する細胞を含む、上皮細胞マーカーを発現する少なくとも1つの細胞が除外されている細胞の集団を得るステップと、b)a)からの細胞の集団を対象に投与するステップとを含む方法を提供する。
【0112】
さらなる実施形態では、本発明は、目標とする表現型を有する細胞を含む細胞療法を必要とする対象を治療するための細胞の集団の使用であって、細胞の集団は、上皮細胞マーカーを発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、使用を提供する。
【0113】
他の実施形態では、本発明は、a)上皮細胞上に発現される1つまたは複数の分子に対するリガンドと、b)未分化細胞上に発現される1つまたは複数の分子に対するリガンドと、c)1つまたは複数の容器とを含む、細胞の混合集団から対象外の表現型を有する細胞を除外するためのキットであって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、キットを提供する。
【0114】
他の実施形態では、本発明は、a)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、上皮膜抗原(EMA)、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数の分子に対するリガンドと、b)未分化細胞上に発現される1つまたは複数の分子に対するリガンドと、c)1つまたは複数の容器とを含む、細胞の混合集団から対象外の表現型を有する細胞を除外するためのキットであって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、キットを提供する。
【0115】
さらなる実施形態では、本発明は、EpCAMに対するリガンドと、TRA−1−60に対するリガンドと、1つまたは複数との容器を含む、細胞の混合集団から対象外の表現型を有する細胞を除外するためのキットであって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、キットを提供する。
【0116】
さらなる実施形態では、本発明は、サイトケラチンに対するリガンドと、TRA−1−60に対するリガンドと、1つまたは複数の容器とを含む、細胞の混合集団から対象外の表現型を有する細胞を除外するためのキットであって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、キットを提供する。
【0117】
他の実施形態では、本発明は、a)サイトケラチン、上皮細胞接着分子(EpCAM)デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)から選ばれる1つまたは複数の分子に対するリガンドと、b)1つまたは複数の容器とを含む、細胞の混合集団から対象外の表現型を有する細胞を除外するためのキットであって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、キットを提供する。
【0118】
さらに他の実施形態では、本発明は、IgGアイソタイプを有する、TRA1−60に特異的に結合する抗体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】hES細胞からin vitroで分化した乏突起膠細胞前駆細胞を投与した、わずかな割合のラットにおいて存在する集まって塊になった上皮構造が、上皮様の形態を有することを示す顕微鏡写真を示す図である。
【図2】パンサイトケラチン抗体AE1/AE3が、ヒト組織アレイにおいて見つけられる様々な組織型を標識し(左側のパネル)、また、未分化hES細胞をマウスに筋肉内注射することによって形成されたマウス奇形腫をも標識する(右側のパネル)ことを示す一連の顕微鏡写真を示す図である。
【図3】Ber−EP4(EpCAM)抗体が、ヒト組織アレイにおいて見つけられる様々な組織型を標識し(左側のパネル)、また、未分化hES細胞をマウスに筋肉内注射することによって形成されたマウス奇形腫をも標識する(右側のパネル)ことを示す顕微鏡写真を示す図である。
【図4】パンサイトケラチン抗体AE1/AE3でいくつかの場合において陽性に標識された、hES細胞からin vitroで分化した乏突起膠細胞前駆細胞の調製物を投与した3匹のラットから得られた、集まって塊になった上皮構造を示す、一連の顕微鏡写真を示す図である。上部のパネル倍率は、24×である。下部のパネル倍率は、400×である。
【図5】Ber−EP4 EpCAM抗体でいくつかの場合において標識された、hES細胞からin vitroで分化した乏突起膠細胞前駆細胞の調製物を投与した1匹のラットから得られた、集まって塊になった上皮構造を示す、一連の顕微鏡写真を示す図である。
【図6】Ber−EP4 EpCAM抗体およびパンサイトケラチン抗体AE1/AE3の両方でいくつかの場合において標識された、hES細胞からin vitroで分化した乏突起膠細胞前駆細胞の調製物を投与した1匹のラットから得られた、集まって塊になった上皮構造を示す、一連の顕微鏡写真を示す図である。
【図7】Ber−EP4(EpCAM)抗体ではなくパンサイトケラチン抗体AE1/AE3でいくつかの場合において標識された、hES細胞からin vitroで分化した乏突起膠細胞前駆細胞の調製物を投与した1匹のラットから得られた、集まって塊になった上皮構造を示す、一連の顕微鏡写真を示す図である。
【図8】細胞が、パンサイトケラチン抗体AE1/AE3またはBer−EP4(EpCAM)抗体のどちらでも標識されなかった、hES細胞からin vitroで分化した乏突起膠細胞前駆細胞の調製物を投与した1匹のラットから得られた、集まって塊になった上皮構造を示す、一連の顕微鏡写真を示す図である。
【図9】フローサイトメトリーによって得られたデータを示す図である。ヒト胚性幹(hES)細胞からin vitroで分化した乏突起膠細胞前駆細胞の異なる2つのロットを、EpCam、パンサイトケラチン、およびTRA−1−60について標識した。
【図10】フローサイトメトリーによって得られたデータを示す図である。EpCAMを発現しない細胞(HEK 293)にEpCAM+細胞を加えて、混合集団を生成した。次いで、混合集団は、EpCAM特異的抗体にコンジュゲートされた磁気ビーズを使用する分離にかけた。結果として生じる画分は、EpCAM特異的抗体、その後に標識二次抗体(A647)またはアイソタイプコントロール、その後に同じ二次抗体のいずれかを使用して、フローサイトメトリーによって分析した。
【図11】フローサイトメトリーによって得られたデータを示す図である。hES細胞からin vitroで分化した乏突起膠細胞前駆細胞の単一のロットは、磁気ビーズにコンジュゲートされたEpCAM特異的抗体を使用してEpCAM陽性細胞を除外した。結果として生じる細胞画分は、それぞれに対して特異的な抗体を使用してTRA−1−60およびパンサイトケラチンについて標識した。TRA−1−60標識細胞は、二次抗体を用いて同様に染色した。
【発明を実施するための形態】
【0120】
定義
量または値を指すために本明細書において使用される「約」は、明示される量または値の+または−5%を意味する。
【0121】
本明細書において使用される「心筋細胞」は、成熟した心筋細胞(若年もしくは成体の霊長動物のいずれかから単離された、心筋細胞の機能的な能力を持つ細胞)ならびに/または心筋細胞前駆体(心筋細胞上に、それにおいて、もしくはそれによって発現される1つもしくは複数のマーカーを発現しおよび/または心筋細胞と関連する1つもしくは複数の形態学的特質を有し、かつin vitroでまたは対象に植え込まれた場合に成熟した心筋細胞に分化するかもしれない細胞)を含む。
【0122】
本明細書において使用される「細胞培養物」は、ある期間にわたってin vitroで成長させた複数の細胞を指す。細胞培養物は、複数のpPS細胞または単一のpPS細胞から生じてもよく、1)細胞培養物が培養の一生にわたって受ける継代または分裂の数および2)培養の一生にわたる、培養物内の1つまたは複数の細胞に対する表現型におけるあらゆる変化に関係なく、生じる細胞(複数可)の子孫をすべて含んでいてもよい。したがって、本明細書において使用されるように、細胞培養は、少なくとも1つのpPS細胞の1つまたは複数の適した容器への初めの接種から始まり、最初の初代の最後に生存する子孫が採取されるまたは死滅すると終わる。最初の初代細胞の子孫の、1つまたは複数のさらなる培養容器への接種もまた、最初の細胞培養の一部であると考えられる。
【0123】
本明細書において使用される「軟骨細胞」は、成熟した軟骨細胞(若年もしくは成体の霊長動物のいずれかから単離された、軟骨細胞の機能的な能力を持つ細胞)ならびに/または軟骨細胞前駆体(軟骨細胞上に、それにおいて、もしくはそれによって発現される1つもしくは複数のマーカーを発現しおよび/または軟骨細胞と関連する1つもしくは複数の形態学的特質を有し、かつin vitroでまたは対象に植え込まれた場合に成熟した軟骨細胞に分化するかもしれない細胞)を含む。
【0124】
本明細書において使用される「集まって塊になった上皮構造」は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む細胞の混合集団において見つけられる上皮系列の対象外の表現型の細胞が、対象に植え込まれた場合に形成するかもしれない構造を指す。これらの構造は、上皮細胞の形態を有し、以下に記載される上皮細胞において発現される少なくとも1つの分子のマーカーを発現する。いくつかの実例では、構造は、嚢または小胞の形態を有していてもよい。
【0125】
本明細書において使用される「サイトケラチン」は、上皮組織の細胞質内の細胞骨格において見つけられる中間径フィラメントケラチンを指す。2つの型のサイトケラチンがある:酸性型Iサイトケラチンおよび塩基性または中性型IIサイトケラチン。サイトケラチンは、普通、I型サイトケラチンおよびII型サイトケラチンを含むペアで見つけられる。塩基性または中性サイトケラチンであるII型サイトケラチンは、亜型CK1、CK2、CK3、CK4、CK5、CK6a、CK6b、CK6c、CK7、およびCK80を含む。酸性サイトケラチンであるI型サイトケラチンは、亜型CK9、CK10、CK12、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17、CK18、CK19、CK20、CK23、およびCK24を含む。サイトケラチンタンパク質はすべて、非α−ヘリカルNおよびC末端ドメインと共に中央のα−ヘリックスリッチドメイン(同じ型のサイトケラチンの中で50〜90%の配列同一性および異なる型のサイトケラチンの間で約30%の配列同一性を有する)を含有する。
【0126】
本明細書において使用される「除外された」は、細胞の混合集団内に含有される対象外の表現型が、ヒトの手によって開始された作用の結果として、集団内の他の表現型の細胞型と比較して数が減少する作用を指す。対象外の表現型が、たとえば、対象外の表現型の細胞を免疫沈降することによって、集団中の他の細胞から物理的に分離される方法が含まれる。対象外の表現型の細胞が集団の残りから化学的に除去される、たとえば、対象外の表現型の細胞が、毒素、補体、およびその他同種のものなどのような化学薬品により、特異的に標的とされる方法もまた含まれる。したがって、対象外の表現型を有する1つまたは複数の細胞を除外した細胞集団は、除外されたと考えられる。典型的に、除外は、ヒトの手によって開始される作用の前および後に、対象外の表現型を有する細胞の数を比較することによって測定され、それによって、ヒトの手によって開始される作用の結果としての、対象外の表現型を有する細胞集団の相対数におけるあらゆる減少は、除外と考えられる。細胞の混合集団からの対象外の表現型の除外は、細胞の混合集団内の目的の細胞集団の濃縮をもたらしてもよい。
【0127】
本明細書において使用される「デスモコリン3」は、カドヘリンスーパーファミリーのデスモコリンサブファミリーのメンバーであるカルシウム依存性糖タンパク質である上皮細胞マーカーを指す。デスモグレインと共にこれらのデスモソームファミリーメンバーは、主として上皮細胞中に見つけられ、ここで、それらは、デスモソーム細胞間結合の接着性タンパク質を構成し、細胞接着およびデスモソーム形成に必要とされる。デスモソームファミリーメンバーは、第18染色体上に2つのクラスターで配置され、組み合わせて650kb未満を占める。選択的スプライシングは、別個のアイソフォームをコードする2つの転写変異体をもたらす。
【0128】
本明細書において使用される「デスモグレイン2」は、上皮細胞マーカーを指す。デスモグレイン2は、脊椎動物上皮細胞におけるデスモソームのカルシウム結合膜貫通糖タンパク質の構成成分である。デスモソームは、上皮、心筋、およびある種の他の細胞型の間の細胞間結合である。現在、3つのデスモグレインサブファミリーメンバーが同定されており、すべて、カドヘリン細胞接着分子スーパーファミリーのメンバーである。これらのデスモグレイン遺伝子ファミリーメンバーは、第18染色体上にクラスターで位置する。この第2のファミリーメンバーは、結腸、結腸癌、および他の単純で重層の上皮由来の細胞において発現される。
【0129】
本明細書において使用される「E−カドヘリン」(CD324)は、細胞表面上に発現される上皮細胞マーカーを指す。それは、5つの細胞外カドヘリンリピート、膜貫通領域、および高度に保存された細胞質側末端から構成されるカルシウム依存性細胞間接着糖タンパク質である。この遺伝子における突然変異は、胃癌、乳癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、および卵巣癌と関連する。機能の損失は、増殖、浸潤、および/または転移を増加させることによって、癌の進行の一因となると考えられる。このタンパク質の外部ドメインは、哺乳動物細胞への細菌の接着を媒介し、細胞質ドメインは、内部移行に必要とされる。
【0130】
本明細書において使用される「濃縮された」は、それによって細胞の混合集団内に含有される目的の表現型が、集団内の他の表現型の細胞型と比較して数が増加する、ヒトの手によって開始される作用を指す。典型的に、濃縮は、ヒトの手によって開始される作用の前および後に、目的の表現型の細胞の数を比較することによって測定され、それによって、ヒトの手によって開始される作用の結果としての、目標とする細胞集団の相対数におけるあらゆる増加は、濃縮と考えられる。
【0131】
本明細書において使用される「胚様体」は、懸濁培養液または凝集物中で非特異的な方法で霊長動物多能性幹細胞を分化させる場合、現われる未分化細胞、分化細胞、および部分的に分化した細胞を含む不均質の塊を指す。
【0132】
本明細書において使用されるように、「胚性幹細胞」(ES)は、1)3つの胚葉への細胞の実質的な分化の前の、胚盤胞に由来するまたは2)その代わりに、樹立細胞株から得られる多能性幹細胞を指す。他に明示的に指定のない限り、用語は、ES細胞の表現型の特質を有する一次組織および樹立株ならびに多能性表現型を有するそのような株の子孫を含む。ES細胞は、ヒトES細胞(hES)であってもよい。プロトタイプ「ヒト胚性幹細胞」(hES細胞)は、Thomsonら(Science 282:1145、1998;米国特許第6,200,806号)によって記載されており、UK Stem Cell Bank(Hertfordshire、England)およびNational Stem Cell Bank(Madison、WI)などのような多くの樹立幹細胞バンクのいずれか1つから得られてもよい。
【0133】
本明細書において使用される「EpCAM」は、上皮細胞接着分子である上皮細胞マーカーを指す。それは、上皮細胞およびほとんどすべての癌上に発現されるパン上皮分化抗原である。
【0134】
本明細書において使用される「上皮細胞」は、a)うろこ状(薄い扁平);b)立方状(立方体様);c)円柱状(丈が高い)、d)多列(細胞はすべて基底膜に達し、いくつかは表面までずっと及ぶが他のものは及ばない;e)移行性(たとえば膀胱で見つけられる)、細胞は、いくつかの条件下でうろこ状に見え、他の条件下で丸く見えるかもしれず、上皮細胞と関連する少なくとも1つのマーカーを発現する、から選ばれる形態を有する細胞を指す。例示的な上皮マーカーは、EpCAM;サイトケラチン;デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)を含む。
【0135】
本明細書において使用される「対象外の表現型」は、望ましくない、細胞の混合集団内に含有される1つまたは複数の細胞型を指す。したがって、目的の表現型の細胞集団を含む細胞の混合集団において、目的の集団と異なる表現型を有するあらゆる細胞は、対象外と考えられてもよい。対象外の表現型の細胞は、除外のために標的とされてもよい。対象外の表現型の細胞の一例は、対象に投与された場合に集まって塊になった上皮構造を形成する潜在能力を有し、上皮細胞によって発現される1つまたは複数のマーカーを発現する細胞である。
【0136】
本明細書において使用される「造血細胞」は、樹状細胞、マクロファージ、Bリンパ球、CD8+およびCD4+リンパ球の両方を含むTリンパ球、好中球、好塩基球、好酸球、ナチュラルキラー(NK)細胞、血小板、赤血球、ならびに肥満細胞などのような成熟した造血細胞(若年もしくは成体の霊長動物のいずれかから単離された、造血細胞の機能的な能力を持つ細胞)ならびに/または造血前駆体(造血細胞上に、それにおいて、もしくはそれによって発現される1つもしくは複数のマーカーを発現しおよび/または造血細胞と関連する1つもしくは複数の形態学的特質を有し、かつin vitroでまたは対象に植え込まれた場合に成熟した造血細胞に分化するかもしれない細胞)を含む。
【0137】
本明細書において使用される「肝細胞」は、成熟した肝細胞(若年もしくは成体の霊長動物のいずれかから単離された、肝細胞の機能的な能力を持つ細胞)ならびに/または肝細胞前駆体(肝細胞上に、それにおいて、もしくはそれによって発現される1つもしくは複数のマーカーを発現しおよび/または肝細胞と関連する1つもしくは複数の形態学的特質を有し、かつin vitroでまたは対象に植え込まれた場合に成熟した肝細胞に分化するかもしれない細胞)を含む。
【0138】
本明細書において使用される「島細胞」または「膵島細胞」は、成熟した島細胞(若年もしくは成体の霊長動物のいずれかから単離された、島細胞の機能的な能力を持つ細胞)ならびに/または島細胞前駆体(島細胞上に、それにおいて、もしくはそれによって発現される1つもしくは複数のマーカーを発現しおよび/または島細胞と関連する1つもしくは複数の形態学的特質を有し、かつin vitroでまたはin vivoで、すなわち対象に植え込まれた場合に成熟した島細胞に分化するかもしれない細胞)を含む。
【0139】
本明細書において使用されるin vitro分化子孫は、pPS細胞の培養物にまたは既に1つもしくは複数の特異的な経路に沿って分化し始めたpPS細胞の培養物にヒトの手によって追加される1つまたは複数の増殖因子、サイトカイン、モルフォゲン、またはその他同種のものの追加によって、in vitroでpPS細胞から分化した細胞を指す。pPSを分化させるのに有用であってもよいさらなる適した作用物質は、マイクロRNA分子、siRNA分子、ならびにIDE1、IDE2、−(−)インドラクタム、およびスタウプリミドなどのような小分子を含む(Borowickら(2009)Cell Stem Cell 4:348;Chenら(2009)Nature Chem Biol 4:258;Zhu(2009)Cell Stem Cell 4:416を参照されたい)。単に胚様体を形成することによってまたは1つもしくは複数の増殖因子、サイトカイン、モルフォゲン、もしくはその他同種のものを追加することなく、単に、pPS細胞の培養物を、それらを含有する容器において過成長させることによって得られる偶発的または自発的な分化事象が定義から除かれる(市販で入手可能な細胞培養培地または市販で入手可能な血清産物もしくは血清置換産物において見つけられるかもしれないものを除く)。しかしながら、胚様体から分化した細胞は、定義に含まれる、ただし、1つまたは複数の増殖因子、サイトカイン、モルフォゲン、またはその他同種のものが、目的の表現型を得るための特定の経路に沿って分化を容易にするために、培養物に追加されることを条件とする。
【0140】
本明細書において使用される「リガンド」は、第2の分子と特異的に相互作用して、化学結合を形成する第1の分子を指す。典型的に、結合は、イオン相互作用、水素結合、またはファンデルワールス力によって媒介される相互作用などのような非共有結合となるであろう。リガンドペア(つまり、上記に言及される第1および第2の分子)の例は、エピトープおよびそのエピトープに特異的に結合する抗体ならびに酵素に特異的に結合する基質を含む。2つの分子の間の解離定数(K)は、リガンドおよびその特異的な結合パートナーの間の親和性の1つの基準である。特異的な相互作用は、比較的小さなKによって典型的に特徴付けられる。非常に高度な親和性(非常に小さなK)により互いに結合するリガンドペアの例は、ビオチン/アビジンである。対照的に、2つの分子の間の非特異的な結合は、電荷および疎水性に基づく化学結合の形成を含んでいてもよいが、特異的な結合と異なり、相互作用は、2つの分子の厳密な構造に基づくものではない。
【0141】
本明細書において使用される「細胞の混合集団」は、1つを超える表現型から構成される細胞のin vitro培養物を指す。
【0142】
本明細書において使用される「乏突起膠細胞」は、成熟した乏突起膠細胞(若年もしくは成体の霊長動物のいずれかから単離された、乏突起膠細胞の機能的な能力を持つ細胞)ならびに/または乏突起膠細胞前駆体(乏突起膠細胞上に、それにおいて、もしくはそれによって発現される1つもしくは複数のマーカーを発現しおよび/または乏突起膠細胞と関連する1つもしくは複数の形態学的特質を有し、かつin vitroでまたは対象に植え込まれた場合に成熟した乏突起膠細胞に分化するかもしれない細胞)を含む。
【0143】
本明細書において使用される「骨芽細胞」は、成熟した骨芽細胞(若年もしくは成体の霊長動物のいずれかから単離された、骨芽細胞の機能的な能力を持つ細胞)ならびに/または骨芽細胞前駆体(骨芽細胞上に、それにおいて、もしくはそれによって発現される1つもしくは複数のマーカーを発現しおよび/または骨芽細胞と関連する1つもしくは複数の形態学的特質を有し、かつin vitroでまたは対象に植え込まれた場合に成熟した骨芽細胞に分化するかもしれない細胞)を含む。
【0144】
本明細書において使用される「パンサイトケラチン」は、少なくとも1つのまたは複数のサイトケラチンファミリーメンバー上にまたはそれにおいて発現されるエピトープに結合する抗体または抗体の混合物を指す。
【0145】
本明細書において使用されるように、「霊長動物多能性幹細胞」(pPS)は、任意の供給源に由来してもよく、適切な条件下で、3つの胚葉のすべて(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)の誘導体である異なる細胞型の霊長動物子孫を産生することができる細胞を指す。pPS細胞は、8〜12週齢のSCIDマウスにおいて奇形腫を形成する能力および/または組織培養において3つの胚葉すべての同定可能な細胞を形成する能力を有していてもよい。ヒト胚性幹(hES)細胞(たとえばThomsonら(1998)Science 282:1145を参照されたい)およびヒト胚性生殖(hEG)細胞(たとえばShamblottら(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13726を参照されたい)を含む様々な型の胚細胞;アカゲザル幹細胞(たとえばThomsonら(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:7844を参照されたい)、マーモセット幹細胞(たとえば(1996)ThomsonらBiol.Reprod.55:254を参照されたい)などのような他の霊長動物からの胚性幹細胞、核移植技術によって生成された幹細胞(米国特許出願公開第2002/0046410号)、ならびに誘発多能性幹細胞(たとえばYuら(2007)Science 318:5858);Takahashiら(2007)Cell 131(5):861を参照されたい)が霊長動物多能性幹細胞の定義に含まれる。pPS細胞は、細胞系として樹立され、したがって、pPS細胞の継続的な供給源を提供してもよい。本明細書において記載される本発明の実施形態のいずれも、pPS細胞の1つまたは複数の以下のサブ分類:ヒト胚性幹細胞、ヒト胚性生殖細胞、アカゲザル幹細胞、マーモセット幹細胞、核移植幹細胞、および/または誘発多能性幹細胞をpPS細胞と置換することによって実施されてもよいことが企図される。
【0146】
本明細書において使用される「目的の表現型」または「目標とする表現型」は、pPS細胞からin vitroで分化した望ましい細胞型を指す。
【0147】
本明細書において使用されるように、「未分化霊長動物多能性幹細胞」は、集団における実質的な割合の霊長動物多能性幹細胞およびそれらの誘導体が未分化細胞の形態学的特質を示し、3つの胚葉:内胚葉、中胚葉、および外胚葉のそれぞれから少なくとも1つの細胞型を生じる性能を維持する細胞培養物を指す。集団内の未分化細胞のコロニーは、部分的に分化した近隣の細胞に囲まれてもよいことが理解される。
【0148】
本明細書において使用される治療する、治療、治療することは、以下のいずれかを意味する:疾患または状態の重症度の低下;疾患過程の期間の低下;疾患または状態と関連する1つまたは複数の症状の回復;必ずしも疾患または状態を治癒するわけではないが、疾患または状態を有する対象への有益な効果の提供、疾患または状態と関連する1つまたは複数の症状の予防。
【0149】
本発明は、対象外の表現型が、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む細胞培養物において時に存在するかもしれないという発見に、少なくとも部分的に関する。典型的に、これらの対象外の表現型は、まれであり、低レベルで存在する。対象外の表現型は、たとえば、pPS細胞のin vitro分化子孫が対象に投与された場合に、in vivoで増えることによって現われるかもしれない。対象外の表現型の細胞の一例は、対象に植え込まれた場合に集まって塊になった上皮構造に発達する性能を有する細胞である。対象に植え込まれた場合に集まって塊になった上皮構造に発達する性能を有する細胞は、典型的に、上皮細胞によって発現される1つまたは複数のマーカーを発現してもよい。
【0150】
ある種の対象外の表現型の細胞は、EpCAM、デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、CD105(エンドグリン)、サイトケラチン、およびその他同種のものなどのような上皮細胞マーカーの存在によって同定されてもよいことが発見された。対象外の表現型の細胞の細胞表面上に発現される上皮マーカーは、対象外の表現型の細胞の存在を同定し、除外のためにこれらの細胞を標的とする両方のために、適したマーカーを提供する。EpCAMは、そのようなマーカーの例である。EpCamは、単独でまたは以下に記載される1つもしくは複数のマーカーと組み合わせて除外のために標的とされてもよい。したがって、EpCAMは、TRA−160などのような未分化細胞上に見つけられるマーカーと共に除外のために標的とされてもよい。他の例は、1つまたは複数の以下のマーカーを含む:デスモコリン3;デスモグレイン2;E−カドヘリン、CD49f、EMA、E−cad、CD321(Jam1)、CD10、CD66、およびCD105(エンドグリン)。したがって、以下に記載されるマーカーは、対象外の表現型を有する細胞を含むまたはたとえば対象に植え込まれた場合に、対象外の表現型を有する細胞に発達するかもしれない細胞を含む細胞の混合集団からの除去/除外のためにこれらの細胞を標的とするのに使用されてもよい。
【0151】
驚いたことに、これらの上皮マーカーを発現する細胞のある種の亜母集団もまた、TRA−1−60などのような、未分化pPS細胞上に見つけられるマーカーを発現することもまた発見された。したがって、適したリガンドを有する上皮細胞マーカーを発現する細胞のターゲティングは、集団における対象外の表現型の細胞の数を減少させるだけではなく、それはまた、多能性幹細胞を含むかもしれない細胞培養物中の未分化pPS細胞と関連するマーカーを発現する細胞の数を最小限にすることを容易にしてもよい。
【0152】
細胞の混合集団から対象外の表現型細胞を低下させるための方法
ある実施形態では、本発明は、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、対象外の表現型を有する細胞に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップおよび次いで、集団から対象外の表現型の細胞を分離するステップを含む方法を提供する。細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含んでいてもよい。
【0153】
混合性の細胞集団は、適したバッファー中でリガンドと接触させてもよい。適したバッファーは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または細胞の混合集団の生存を容易にする任意の市販で入手可能な細胞培養培地を含んでいてもよい。典型的に、バッファーは、等張バッファーであり、約6.8〜約7.7、約6.9〜約7.6;約7.0〜約7.5の範囲のpHを有するであろう。いくつかの実施形態では、バッファーのpHは、生理的pHとなるであろう。
【0154】
方法は、マイクロウェルプレートの単一のウェルから得られる試料サイズ〜スケールアップバイオリアクターから得られる試料の範囲の、広範囲の試料容量にわたって適応可能である。混合性の細胞集団を接触させるのに適した容量は、約50μL〜約10,000リットルの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、細胞の混合物を接触させるのに適した容量は、約100μL、約200μL、約500μL、約1mL、約10mL、約50mL、約100mL、約1リットル、約10リットル、約50リットル、約100リットル、約1000リットル、約2000リットル、約5000リットル、約8,000リットル、約10,000リットル以上である。
【0155】
混合性の細胞集団を含む細胞数に対するリガンドの任意の適した比が使用されてもよい。たとえば、細胞数に対するリガンドの適した比は、約1:1;約10:1;約100:1;約1000:1;約10,000:1;約10:1;約10:1;約10:1;約10:1;約10:1;約1010:1であってもよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、リガンドは、ビーズなどのような固体担体に連結されてもよい。複数のリガンド連結ビーズは、細胞の混合集団中に存在する対象外の表現型の細胞の数を低下させるために使用されてもよい。たとえば、ビーズの適した数は、細胞当たり約1つのビーズ;細胞当たり約5つのビーズ;細胞当たり約10のビーズ;細胞当たり約15のビーズ;細胞当たり約20のビーズ;細胞当たり約25のビーズ;細胞当たり約30のビーズ;細胞当たり約35のビーズ;細胞当たり約40のビーズ;細胞当たり約45のビーズ;細胞当たり約50のビーズ;細胞当たり約60のビーズ;細胞当たり約70のビーズ;細胞当たり約80のビーズ;細胞当たり約90のビーズ;細胞当たり約100のビーズの範囲であってもよい。さらにはそれぞれのビーズに少なくとも10のリガンド;少なくとも100のリガンド;少なくとも1000のリガンド;少なくとも10,000のリガンド;少なくとも10のリガンド;少なくとも10のリガンド;少なくとも10のリガンド;少なくとも10のリガンド;少なくとも10のリガンド;少なくとも1010のリガンド;少なくとも1020のリガンド;少なくとも1030のリガンド、少なくとも1040のリガンド、少なくとも1050のリガンドが連結されてもよい。
【0157】
典型的に、本発明の方法は、リガンドの結合パートナーを発現する対象外の表現型の細胞へのリガンドの結合を容易にするためにリガンドおよび混合性の細胞集団を同時にインキュベートするステップを含む。リガンドおよび混合性の細胞集団は、約3℃〜約40℃の範囲の温度でインキュベートされてもよい。いくつかの実施形態では、リガンドおよび混合性の細胞集団は、約4℃、約20℃、約37℃でインキュベートされてもよい。リガンドおよび細胞の混合集団をインキュベートするための時間の適した長さは、約1分間〜約60分間、約5分間〜約50分間、約10分間〜約40分間の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、リガンドおよび混合性の細胞集団は、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約60分間インキュベートされてもよい。リガンドと混合性の細胞集団を接触させた後、細胞は、非特異的に結合したリガンドを洗浄するために適したバッファーを用いて1回または複数回、洗浄されてもよい。適したバッファーは、PBS、任意の市販で入手可能な等張バッファー、または培地を含む。
【0158】
リガンドが結合した細胞の分離は、混合物を分離するための当技術分野において既知の任意の方法によって達成されてもよい。たとえば、リガンドは、以下に記載されるように検出可能な物質を用いてタグをつけられてもよく、分離は、蛍光励起セルソーター(FACS)を使用して細胞選別によって達成されてもよい。他の例として、リガンドは、以下に記載されるように固体担体に連結されてもよい。リガンドが結合した細胞は、重力によって沈殿させてもよい。その代わりに、外部の力は、リガンドが結合した細胞が、細胞の混合集団を含む他の細胞から分離するように、リガンドが結合した細胞に加えられてもよい。たとえば、リガンドは、磁気ビーズなどのような磁化した固体担体に連結されてもよく、リガンドが結合した細胞を含む混合性の細胞集団は、リガンドが結合した細胞が、細胞の混合集団を含む他の細胞から分離するように、磁場に曝露されてもよい。
【0159】
他の実施形態では、細胞は、対象外の表現型と考えられる細胞によって発現される分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと接触させてもよい。いくつかの実施形態では、リガンドは、細胞と接触させる前に、化学薬品とコンジュゲートされてもよい。他の実施形態では、リガンドは、最初に細胞に結合させ、次いで、化学薬品と接触させてもよい。したがって、リガンドが結合した細胞は、リガンドが結合した細胞に結合する化学薬品、たとえばリガンドに特異的に結合する作用物質を用いて標的とされてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の介在するリガンドが、使用されてもよい。したがって、第1のリガンドは、細胞に結合してもよい。第2のリガンドは、第1のリガンドに結合してもよい、などであってもよい。化学薬品は、細胞に結合したリガンドのいずれかに結合してもよい。作用物質は、毒素であってもよく、それによって、リガンドが結合した細胞へのその結合は、細胞を死滅させてもよい。適した毒素の例は、ジフテリア毒素、破傷風毒素、およびその他同種のものを含む。作用物質は、小分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、脂質であってもよい。リガンドが免疫グロブリンである一実施形態では、化学薬品は、補体であってもよい。
【0160】
分離が実行される場合、対象外の表現型の細胞は、リガンドからの除去または溶出によって採取されてもよい。対象外の表現型の細胞の溶出は、結合した細胞を含有するバッファーのpHおよび結合した細胞を含有するバッファーの塩濃度などのような1つまたは複数の結合条件を改変することによって達成されてもよい。
【0161】
リガンド
対象外の表現型を有する細胞によって発現されるマーカーに特異的に結合する任意の適したリガンドが、使用されてもよい。リガンドは、タンパク質または完全長タンパク質のペプチド断片から構成されてもよい。適したタンパク質は、対象外の表現型の細胞の表面上に発現された分子に特異的に結合するタンパク質またはペプチドを含むであろうが、いくつかの実施形態では、リガンドは、細胞内の標的に結合してもよい。リガンドはまた、核酸、糖、脂質、糖タンパク質、もしくはレクチンまたはこれらのいずれかの組み合わせまたはタンパク質もしくはペプチドおよびこれらのいずれかの組み合わせから構成されてもよい。したがって、特異的な結合ペアを含む任意のリガンドは、それが、対象外の表現型を含む細胞によって発現される分子に特異的に結合し、目的の表現型の細胞に結合しない限り、使用されてもよい。
【0162】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のリガンドが、使用されてもよい。したがって、第1のリガンドは、対象外の表現型の細胞によって発現されるマーカーに直接結合してもよく、次いで、第2のリガンドは、第1のリガンドに結合してもよい。第2または任意の続くリガンドに結合するさらなるリガンドもまた企図される。第2の(または続く)リガンドは、当技術分野において既知の任意の方法、たとえばFACSによる細胞選別;固体担体に結合したリガンドの沈殿;磁気基質に結合したリガンドの磁気分離;固体担体に連結されたリガンドに対するカラムクロマトグラフイーによる、第1のリガンドに結合した細胞の分離を容易にするタグを含んでいてもよい。もちろん、範囲外の表現型の(extra−phenotypic)細胞によって発現される複数の分子は、それぞれ別個のリガンドと結合させてもよく、それぞれのそれらのリガンドは、さらには、1つまたは複数のさらなるリガンドと接触させてもよい。
【0163】
いくつかの実施形態では、リガンドは、抗体であってもよい。本明細書において使用される抗体は、免疫グロブリンまたはその部分を含み、供給源、産生の方法、および他の特質に関係なく抗原結合部位を含む任意のポリペプチドを包含する。用語は、たとえばポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単一特異性抗体、多特異性抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、キメラ抗体、合成抗体、組換え抗体、ハイブリッド抗体、突然変異抗体、およびCDR移植抗体ならびに2つの重鎖および2つの軽鎖から構成される分子を含む。抗体の部分は、なお抗原に結合することができる任意の断片、たとえばFab、F(ab’)2、Fv、scFvを含むことができる。いくつかの実施形態では、抗体は、対象外の表現型の細胞上に見つけられるエピトープに特異的に結合する可変領域および固体担体または第2のリガンドへの結合を容易にするために、Fc領域の少なくとも1つの部分を含んでいてもよい。抗体は、以下に記載されるように固体担体に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、固体担体は、ビーズであってもよい。特定の実施形態では、ビーズは、磁化されてもよい。
【0164】
ある実施形態では、適したリガンドは、上皮細胞または上皮系列細胞の表面上に発現されるエピトープに対する抗体であってもよい。エピトープは、上皮細胞の表面上に発現されるタンパク質、炭水化物、糖、および/または脂質から構成されてもよい。適したエピトープは、1つまたは複数の以下の分子を発現する細胞上に見つけられてもよい:EpCAM;デスモコリン、たとえばデスモコリン3;デスモグレイン、たとえばデスモグレイン2;E−カドヘリン。したがって、EpCAM、デスモコリン、たとえばデスモコリン3、デスモグレイン、たとえばデスモグレイン2、E−カドヘリンに結合する抗体は、以下に記載される方法を実施するのに適したリガンドであってもよい。これらの抗体は、単独でまたは1つもしくは複数のさらなるリガンドと組み合わせて使用されてもよい。さらなるリガンドは、上皮細胞によって特異的に発現される分子に特異的に結合するリガンドを含んでいてもよい。その代わりに、リガンドは、未分化pPS細胞によって発現される1つまたは複数の分子に結合するリガンドと組み合わせられてもよい。たとえば、未分化細胞上に見つけられるエピトープに結合する抗体は、上皮細胞上に見つけられる1つまたは複数のマーカーを発現する細胞に結合するリガンドと組み合わせて使用されてもよい。したがって、混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法において使用されてもよい、適した抗体の例は、上皮細胞によって発現される1つまたは複数のマーカーに結合するリガンドに加えて、TRA−1−60;TRA−1−81;SSEA3;SSEA4;(Thomson 1998、Science 282:1145を参照されたい)、Cripto、ガストリン放出ペプチド(GRP)受容体、およびポドカリキシン様タンパク質(米国特許出願第10/388,578号を参照されたい)に対する抗体を含んでいてもよい。
【0165】
リガンドは、結合した細胞の同定および/または単離を容易にするために、検出可能な物質と共有結合でまたは非共有結合でカップルされてもよいまたは連結されてもよい。検出可能な物質は、リガンドに付着した場合に、このリガンドの存在の認識を可能にする任意の化合物を含んでいてもよい。化合物はたとえば、放射性分子、蛍光性分子、ハプテン、キャリヤー、酵素、ビオチンなどのような介在分子、または色素を含むことができる。検出可能な物質は、たとえば化学発光材料または生物発光材料であってもよい。リガンドはまた、細胞死、細胞溶解などを誘発する任意の分子などのような毒素と連結されてもよい。
【0166】
ある実施形態では、リガンドは、固体担体にカップルされてもよいまたは連結されてもよい。固体担体は、ビーズ、ゲル、モノリス(monolith)、または膜を含んでいてもよい。固体担体は、対象のリガンドに連結することができる任意の材料を含んでいてもよい(たとえばポリスチレン、セファロース、セファデックス)。固体担体は、ポリアクリル、ビニルポリマー、アクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、およびポリオレフィンなどのような任意の合成有機ポリマーを含んでいてもよい。固体担体はまた、炭水化物ポリマー、たとえばアガロース、セルロース、ヒアルロン酸、キチン、アシルゲラン(acyl gellan)、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルキチン、ポリ(ラクチド−コ−エチレングリコール)を含んでいてもよい。固体担体は、たとえばニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、またはカルボキシル化ポリビニリデンを含んでいてもよい(米国特許第6,037,124号)。固体担体は、ポリビニルベンジルジメチルヒドロキシエチル塩化アンモニウム、ポリビニルベンジルベンゾイルアミノエチルジメチル塩化アンモニウム、ポリビニルベンジルトリブチル塩化アンモニウム、ポリビニルベンジルトリヘキシル塩化アンモニウムおよびポリビニルベンジルトリブチル塩化アンモニウムのコポリマー、ポリビニルベンジルジメチル塩化アンモニウムおよびポリビニルアミノエチルジメチル塩化アンモニウムのコポリマーを用いてコーティングされてもよい(米国特許第5,336,596号)。固体担体は、シリカ、ジルコニア、たとえば炭素クラッドジルコニア(carbon clad zirconia)(米国特許第5,182,016号)、チタニア、セリア、アルミナ、マンガン、マグネシア(つまり酸化マグネシウム)、酸化カルシウム、コントロールドポアガラス(controlled pore glass)(CPG)などのような無機酸化物を含んでいてもよい。固体担体はまた、デキストラン−アクリルアミドを含むが、これらに限定されない前述の担体のいくつかの組み合わせを含んでいてもよい。固体担体は、たとえば、アルブミン、カゼイン、およびその他同種のものなどのような1つまたは複数のブロックタンパク質を用いてそれをコーティングすることによって、非特異的な相互作用を最小限にするように調製されてもよい。いくつかの実施形態では、リガンドは、固体担体および検出可能な物質の両方に連結されてもよい。
【0167】
いくつかの実施形態では、リガンドは、固体担体へのリガンドの共有結合を容易にする条件下で、適した濃度のリガンドおよびビーズを混合することによって、ビーズなどのような固体担体に連結されてもよい。リガンドおよびビーズの適した濃度は、約0.1mgリガンド/mLビーズ〜約20mgリガンド/mLビーズ;約0.5mgリガンド/mLビーズ〜約10mgリガンド/mLビーズ;約1.0mgリガンド/mLビーズ〜約5mgリガンド/mLビーズの範囲である。いくつかの実施形態では、約1mgリガンド/mLビーズが、使用されてもよい。他の実施形態では、約2mgリガンド/mLビーズが、使用されてもよい。いくつかの実施形態では、約3mgリガンド/mLビーズが、使用されてもよい。他の実施形態では、約4mgリガンド/mLビーズが、使用されてもよい。他の実施形態では、約5mgリガンド/mLビーズが、使用されてもよい。
【0168】
いくつかの実施形態では、抗体は、EHSエステルの形成などのような既知のコンジュゲーション化学を使用して、ビーズに直接連結されてもよい。他の実施形態では、抗体の特異的な結合パートナーは、ビーズに直接連結されてもよく、抗体は、さらには、特異的な結合パートナーに結合し、したがって、それをビーズに連結してもよい。特異的な結合パートナーは、その特異的なエピトープに結合しない抗体の領域、たとえば抗体の非可変領域に結合してもよい。適した領域は、抗体のFc領域を含んでいてもよい。抗体のFc領域に結合する結合パートナーの例は、プロテインAおよびプロテインGを含む。その代わりに、抗体は、ビオチンなどのような他の分子にコンジュゲートし、次いで、ストレプトアビジンとコンジュゲートしたビーズにカップルされてもよい。
【0169】
特定の一実施形態では、リガンドは、たとえば、磁気ビーズなどのようなビーズに共有結合された、EpCAMに対する抗体である。抗体は、ビーズに直接連結されてもよいまたは先の段落において記載されるように、プロテインA、プロテインG、ビオチン、ストレプトアビジンなどのような介在分子によって間接的に連結されてもよい。その代わりに、短いリンカーは、ビーズに抗体を固着させるように果たし、それによって抗体の結合到達性を増強してもよい。リンカーは、たとえば、1つまたは複数のアミノ酸から構成されてもよい。
【0170】
他の特定の実施形態では、リガンドは、たとえば、磁気ビーズなどのようなビーズに、共有結合された、TRA−1−60に対する抗体であってもよい。抗体は、ビーズに直接連結されてもよいまたは先の段落において記載されるように、プロテインA、プロテインG、ビオチン、ストレプトアビジンなどのような介在分子によって間接的に連結されてもよい。その代わりに、短いリンカーは、ビーズに抗体を固着させるように果たし、それによって抗体の結合到達性を増強してもよい。リンカーは、たとえば、1つまたは複数のアミノ酸から構成されてもよい。TRA−1−60に対する抗体は、いくつかの実施形態では、IgGアイソタイプを有していてもよい。他の実施形態では、TRA−1−60に対する抗体は、IgMアイソタイプを有していてもよい。
【0171】
いくつかの実施形態では、上皮細胞によって発現されるマーカーに対する1つまたは複数の抗体の組み合わせは、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞を除外するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、上皮細胞によって発現されるマーカーに対する1つまたは複数の抗体は、未分化細胞によって発現されるマーカーに対する1つまたは複数の抗体と組み合わせられてもよい。
【0172】
いくつかの実施形態では、EpCAMに対する1つまたは複数の抗体およびTRA−1−60に対する1つまたは複数の抗体の組み合わせは、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞を除外するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、使用される抗体はすべて、IgGアイソタイプを有していてもよい。他の実施形態では、抗体のうちの少なくとも1つは、IgGアイソタイプを有していてもよい。さらに他の実施形態では、抗体のうちの少なくとも1つは、IgMアイソタイプを有していてもよい。
【0173】
細胞集団
ある実施形態では、本発明は、目標とする表現型について濃縮された、細胞の混合集団を提供する。細胞の混合集団は、細胞の混合集団から対象外の表現型を有する少なくとも1つの細胞を排除することによって、目標とする細胞型について濃縮されてもよい。
【0174】
1.対象外の表現型
いくつかの実施形態では、対象外の表現型の細胞は、たとえば、上皮形態を有する細胞、上皮細胞においてまたは上に発現される少なくとも1つのマーカーを発現する細胞、対象に植え込まれた場合に集まって塊になった上皮構造を形成することができる細胞、未分化多能性細胞、未分化細胞の形態を有する細胞、未分化細胞においてまたは上に発現される少なくとも1つのマーカーを発現する細胞を含んでいてもよい。未分化細胞においてまたはその上に発現されるマーカーの例は、TRA−1−60、TRA−1−81;SSEA3;SSEA4;Oct4を含む。上皮細胞においてまたは上に発現されるマーカーの例は、EpCAMおよびサイトケラチンを含む。上皮細胞上に発現される他の適したマーカーは、デスモコリン、デスモグレイン、およびE−カドヘリンを含んでいてもよい。これらの細胞は、げっ歯動物などのような対象に植え込まれた場合に上皮塊を形成する性能を有していてもよい。
【0175】
2.目標とする表現型
目標とする表現型の細胞は、pPS細胞のin vitro分化子孫であってもよく、以下のいずれかを含んでいてもよい:乏突起膠細胞、ニューロンおよびアストロサイトなどのような神経細胞、心筋細胞、造血細胞、膵島細胞、肝細胞、骨芽細胞、ならびに軟骨細胞。いくつかの実施形態では、目的の細胞は、成熟した心筋細胞、成熟した乏突起膠細胞などのような成熟した目的の細胞であってもよい。他の実施形態では、目標とする細胞型は、心筋細胞前駆体、乏突起膠細胞前駆体、神経細胞前駆体、島細胞前駆体、造血細胞前駆体、肝細胞前駆体、骨芽細胞前駆体、軟骨前駆体などのような前駆体細胞であってもよい。前駆体細胞は、対応する成熟細胞型によって発現される1つもしくは複数のマーカーを発現してもよいおよび/または対応する成熟細胞型上に見つけられる1つもしくは複数の形態学的特徴を有していてもよいおよび/またはin vivoもしくはin vitroにおいて対応する成熟細胞型に分化する能力を有していてもよい。目標とする細胞型は、以下の細胞型のうちの1つの上に、において、またはによって発現される1つまたは複数のマーカーを発現する細胞を含んでいてもよい:乏突起膠細胞、神経細胞心筋細胞、造血細胞、膵島細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞(適したマーカーの例は、続く段落において提供される)。マーカーは、当技術分野において既知の任意の方法を使用して検出されてもよく、たとえば、免疫細胞化学、免疫組織化学的検査、FACS、ウェスタンブロット、ELISA、またはqPCRは、目的の細胞上に、において、またはによって発現される1つまたは複数のマーカーを検出するために使用されてもよい。
【0176】
in vitroにおいてpPS細胞を乏突起膠細胞に分化させるための方法は、その全体が参照によってこれによって組み込まれる米国特許第7,285,415号において記載されている。乏突起膠細胞は、たとえば、pPS細胞を増殖因子、甲状腺ホルモン受容体に対するリガンド、およびレチノイン酸受容体に対するリガンドと接触させることによって、pPS細胞の集団からin vitroで分化させてもよい。乏突起膠細胞上に、において、またはによって発現されるマーカーは、NG2、マクロファージおよび乏突起膠細胞前駆体によって発現される硫酸コンドロイチンプロテオグリカン;ガラクトセレブロシド(GalC)、コミットした乏突起膠細胞についてのマーカー;ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、成熟ミエリンのマーカー;微小管関連タンパク質2(MAP−2)、CNS細胞についてのマーカー;ミエリンプロテオリピドタンパク質、乏突起膠細胞および膠細胞前駆体上に発現されるミエリンの構成成分;O4抗体によって決定されるエピトープ、乏突起膠細胞、アストロサイト、およびそれらの前駆体についてのマーカー;A2B5、2型アストロサイト、膠細胞前駆体、および乏突起膠細胞前駆体上に発現されるエピトープ;乏突起膠細胞およびそれらのプロセスを染色し、脊髄および小脳の両方における有髄軸索と一致する、RIP抗体によって認識されるエピトープを含む。
【0177】
in vitroにおいて神経細胞にpPS細胞を分化させるための方法は、記載されている。たとえば、すべて、それらの全体が参照によって組み込まれる米国特許第6,833,269号;米国特許出願公開第2005/0095707号;第2005/0158855号を参照されたい。神経細胞は、たとえば、pPS細胞を、ノギンおよび/もしくはフォリスタチンと接触させることによって;pPS細胞をTGFβアンタゴニストと接触させることによって、または胚様体(EB)を形成し、10μMレチノイン酸を有する懸濁液中でEBを培養し、次いで、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、およびインスリン様増殖因子1(IGF−1)を補足した限定培地に細胞を平板培養することによって、in vitroにおいてPS細胞の集団から分化させてもよい。神経細胞上に、において、またはによって発現されるマーカーは、NCAM、A2B5、βチューブリンIII、および微小管関連タンパク質2(MAP2)を含む。
【0178】
in vitroにおいて心筋細胞にpPSを分化させるための方法は、記載されている。たとえば、すべて、それらの全体が参照によって組み込まれる米国特許第7,452,718号;第7,425,448号;米国特許出願公開第2005/0054092号;第2007/0010012号を参照されたい。pPS細胞は、pPS細胞を心筋細胞に分化させるために、アクチビン、その後に骨形態形成タンパク質(BMP)と接触させてもよい。心筋細胞上に、において、またはによって発現されるマーカーは、心筋トロポニンI(cTnI)、横紋筋収縮の調節のためにカルシウム感受性分子スイッチを提供するトロポニン複合体のサブユニット;心筋トロポニンT(cTnT);Nkx2.5、発達中の心臓において存続する、初期の胚発生の間に心臓中胚葉において発現される心臓転写因子;心房性ナトリウム利尿因子(ANF)、発達中の心臓および胎児の心筋細胞において発現されるが、成人においてダウンレギュレートされるホルモンを含む。他の適したマーカーは、ミオシン重鎖(MHC)、特に心臓特異的なβ鎖;タイチン、トロポミオシン、α筋節アクチニン、およびデスミン;GATA−4、心臓中胚葉において高度に発現され、発達中の心臓において存続する転写因子を含む。さらに他の適したマーカーは、MEF 2A、MEF 2B、MEF 2C、MEF 2D;心臓細胞の間の接着を媒介するN−カドヘリン;心筋細胞の間でギャップジャンクションを形成するコネキシン43;β1アドレノセプター(β1 AR);心筋梗塞の後に血清において上昇するクレアチンキナーゼMB(CK MB)およびミオグロビン;α心臓アクチンを含む。
【0179】
pPS細胞をin vitroにおいて造血細胞に分化させるための方法は、記載されている。たとえば、すべて、それらの全体が参照によってこれによって組み込まれる米国特許第7,247,480号;米国特許出願第12/412,480号、および米国特許出願公開第2005/0282272号を参照されたい。例として、pPS細胞は、pPS細胞を未成熟樹状細胞に分化させるために、BMP−4、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、幹細胞因子(SCF)、および血管内皮増殖因子(VEGF)などのような複数のサイトカインとpPS細胞を接触させることによって、樹状細胞に分化させてもよい。次いで、未成熟樹状細胞は、成熟樹状細胞を生成するために、成熟反応混液、たとえばGM−CSF、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン1−β(IL−1β)、インターフェロンγ(IFNγ)、およびプロスタグランジンE2(PGE2)と接触させてもよい。造血細胞において、上に、またはによって発現されるマーカーは、CD34、CD59、Thy1/CD90、CD38、C−kit/CD117、CD13、IL−3Rα(CD123)、およびCD45RA、CD64、CD14、CD45、CD11a、CD11b、CD15、CD11c、MHC I、MHC II 、CD83、CCR7、CD205、CD86、CD40、MHC I、MHC II、CD8、CD4、CD119、CD74、CD71、CD75、CD51、CD56、CD65、CD10、CD66a、CD66b、CD44、ベータグロビン、ならびにミオグロビンを含む。
【0180】
pPS細胞をin vitroにおいて島細胞に分化させるための方法は、記載されている。たとえば、両方とも、それらの全体が参照によって組み込まれる米国特許第7,033,831号および米国特許出願第12/303,895号を参照されたい。例として、pPS細胞は、最初に、pPS細胞を、アクチビンおよび酪酸ナトリウム、その後、ノギン、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮増殖因子(EGF)、インスリン様増殖因子2(IGF−2)、およびニコチン酸アミドと接触させることによって島細胞に分化させてもよい。島細胞(島細胞前駆体を含む)において、上に、またはによって発現されるマーカーは、インスリン、c−ペプチド、Hlxb9、Pdx1、ニューロゲニン3、Pax4、NeuroD1、Isl1、Nkx2.2、およびNkx6.1;膵臓ポリペプチド、島アミロイドポリペプチド(IAPP)、Islet1、Beta2/NeuroD、HNF4aを含む。最終的な内胚葉細胞、Sox17およびHNF3βを発現する特定の島前駆体細胞もまた、含まれる。
【0181】
pPS細胞をin vitroにおいて肝細胞に分化させるための方法は、記載されている。たとえば、すべて、それらの全体が参照によって組み込まれる米国特許第6,458,589号;第6,506,574号;第7,256,042号;第7,473,555号;および米国特許出願号12/303,104号を参照されたい。たとえば、pPS細胞は、pPS細胞を、DMSOおよびブチレート、その後、EGF、TGF−α、肝細胞増殖因子(HGF)、およびブチレートと接触させることによって、in vitroにおいて肝細胞に分化させてもよい。肝細胞において、上に、またはによって発現されるマーカーは、α1−抗トリプシン(AAT)、アルブミン;アシアロ糖タンパク質受容体(ASGR−1またはASGR−2アイソタイプのいずれか);Ck8、Ck18、Ck19、シトクロムp450、CYP1A1/2d、CYP2A6 CYP2B6、CYP2C9、CYP2E1、CYP3A3−5、グルコース−6−ホスファターゼ;HNF−4α、α−フェトプロテイン、apoE、グルコキナーゼ、インスリン様増殖因子1および2受容体、インスリン受容体、レプチン、apoAI、apoAII、apoB、apoCIII、apoCII、アルドラーゼB、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、L形脂肪酸結合タンパク質、トランスフェリン、レチノール結合タンパク質、エリトロポイエチン(EPO)、およびNADPH−Ccを含む。
【0182】
pPS細胞をin vitroにおいて骨芽細胞に分化させるための方法は、記載されている。たとえば、参照によってその全体が組み込まれる米国特許出願第2005/028274号を参照されたい。たとえば、pPS細胞は、pPS細胞を、骨形態形成タンパク質(BMP)、ヒトTGF−β受容体に対するリガンド、またはビタミンD受容体に対するリガンドと接触させることによって、in vitroにおいて骨芽細胞に分化させてもよい。細胞も、デキサメタゾン、アスコルビン酸−2−ホスフェート、ならびにカルシウムおよびホスフェートの供給源と接触させてもよい。骨芽細胞において、上に、またはによって発現されるマーカーは、オステオカルシン、オステオネクチン、1型コラーゲン、アルカリホスファターゼ、BMP受容体、PTH受容体、CD105(エンドグリン)、CD106(VCAM)、CD166(ALCAM)、CD29、CD44、およびGATA4を含む。
【0183】
pPS細胞をin vitroにおいて軟骨細胞に分化させるための方法は、記載されている。たとえば米国特許出願第2006/0148077号を参照されたい。たとえば、pPS細胞は、形質転換増殖因子(TGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、増殖分化因子(GDF)、骨形態形成タンパク質(BMP)、ヘッジホッグタンパク質(HH)、L‐アスコルビン酸、および副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)とpPS細胞を接触させることによって、in vitroにおいて軟骨細胞に分化させてもよい。細胞は、微量(micromass)で分化プロセスの間に培養物中に維持されてもよい。軟骨細胞において、上に、またはによって発現されるマーカーは、II型コラーゲンまたはアグレカンを含む。
【0184】
濃縮された細胞集団
上記に議論されるように、本発明は、目的の表現型について濃縮された細胞集団を提供する。細胞集団は、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させることによって濃縮されてもよい。対象外の表現型の細胞は、以下に議論されるように、上皮細胞によって発現される1つまたは複数のマーカーを発現してもよい。対象外の表現型の細胞は、上皮細胞の形態を有していてもよい。対象外の表現型の細胞は、対象に植え込まれた場合に集まって塊になった上皮構造を形成する能力を有していてもよい。対象外の表現型の細胞は、未分化pPS細胞であってもよい。対象外の表現型の細胞は、pPS細胞によって発現される1つまたは複数のマーカー、たとえばTRA−1−60、TRA−1−81、Oct4、SSEA3、SSEA4を発現する細胞であってもよい。対象外の表現型の細胞は、この段落において記載される1つまたは複数の対象外の表現型の細胞の組み合わせを含んでいてもよい。したがって、ある実施形態では、本発明は、目標とする表現型を含む細胞の濃縮された集団であって、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%の対象外の表現型の細胞は、目的の細胞表現型を含む細胞集団から除去される、細胞の濃縮された集団を提供する。
【0185】
他の実施形態では、本発明は、目標とする表現型を含む混合性の細胞集団であって、対象外の表現型を有する少なくとも1つの細胞は、混合集団から除去され、目的の表現型は、対象外の表現型を有する少なくとも1つの細胞が除去された後に、集団において、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%の細胞を含む、混合性の細胞集団を提供する。目標とする細胞型は、乏突起膠細胞、神経細胞、心筋細胞、造血細胞、膵島細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞からまたは乏突起膠細胞、神経細胞、心筋細胞、造血細胞、膵島細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる細胞上に、において、もしくはによって発現される1つもしくは複数のマーカーを発現する細胞から選ばれてもよい。
【0186】
キット
ある実施形態では、本発明は、細胞の混合集団から対象外の表現型を有する細胞を除外するためのキットであって、細胞の混合集団は、目標とする表現型の細胞および対象外の表現型の細胞を含む、キットを提供する。両方の細胞型は、pPS細胞のin vitro子孫であってもよい。たとえば、目標とする表現型の細胞は、pPS細胞のin vitro分化子孫から構成されてもよいが、対象外の表現型の細胞は、pPS細胞の分化子孫、pPS細胞の未分化子孫、または両方の組み合わせを含んでいてもよい。キットは、対象外の表現型を含む細胞によって発現される1つまたは複数の分子に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドを含んでいてもよい。1つまたは複数のリガンドは、1つまたは複数の容器中で提供されてもよい。リガンドは、水性バッファー、たとえば等張バッファー、PBS、またはその他同種のものなどのような溶液中で提供されてもよい。その代わりに、1つまたは複数のリガンドは、凍結乾燥形態で提供されてもよい。キットは、凍結乾燥リガンドを還元するための説明書を含んでいてもよい。キットは、リガンドと細胞の混合集団を接触させるための説明書を含んでいてもよい。説明書は、対象外の表現型を除外するために使用するための、適した濃度のリガンドを含んでいてもよい。任意選択で、キットは、1つまたは複数のコントロール、たとえば、提供される1つまたは複数のリガンドに結合するであろうポジティブコントロール細胞型および1つまたは複数の提供されるリガンドに結合しないであろうネガティブコントロール細胞型を含んでいてもよい。
【0187】
いくつかの実施形態では、キット中に提供されるリガンドは、抗体であってもよい。リガンドは、対象外の表現型を含む細胞によって発現される分子に結合する抗体であってもよい。適した抗体の例は、TRA−1−60抗体、EpCAM抗体、パンサイトケラチン抗体などのようなサイトケラチン抗体、TRA−1−81に対する抗体、SSEA3に対する抗体、およびSSEA4に対する抗体を含む。抗体は、任意のアイソタイプ、たとえばIgG、IgM、IgA、IgE、IgDであってもよい。一実施形態では、抗体は、EpCAMに結合するIgGであってもよい。一実施形態では、抗体は、サイトケラチンに結合するIgGであってもよい。一実施形態では、複数のサイトケラチン上の異なるエピトープに結合する複数のIgG抗体が、使用されてもよい。一実施形態では、抗体は、TRA−1−60に結合するIgMであってもよい。一実施形態では、抗体は、TRA−1−60に結合するIgGであってもよい。一実施形態では、異なる抗体の組み合わせ、たとえば、この段落において記載される複数のタイプの抗体が、使用されてもよい。したがって、単一の抗原(しかし異なるエピトープ)に向けられる複数の抗体が、使用されてもよい。複数の抗原に向けられる複数の抗体が、使用されてもよい。
【0188】
キットは、リガンドに対する固体担体を含んでいてもよい。固体担体は、以下に詳細に記載される。リガンドは、単一の容器中で固体担体に既に連結されて提供されてもよい。その代わりに、キットは、互いに連結されていない抗体および固体担体を提供してもよい。固体担体およびリガンドは、したがって、別々の容器中で提供されてもよい。キットは、リガンドを固体担体に連結するための説明書および1つまたは複数の試薬を提供してもよい。
【0189】
キットは、キット中に提供される1つまたは複数のリガンドに連結されてもよい1つまたは複数の検出可能な物質をさらに含んでいてもよい。検出可能な物質は、以下に詳細に記載される。1つまたは複数の検出可能な物質は、それぞれ、1つまたは複数の検出可能な物質を1つまたは複数のリガンドに連結するための説明書と共に、1つまたは複数の別々の容器中で提供されてもよい。
【0190】
キットは、細胞の混合集団からの、リガンドが結合した対象外の表現型の細胞の分離を容易にするために、細胞の混合集団が、固体担体に結合したリガンドと接触した後に、細胞の混合集団に外部の力を加えるための手段を提供してもよい。外部の力は、磁場であってもよい。
【0191】
一実施形態では、キットは、EpCAMに対する抗体、サイトケラチンに対する抗体、たとえばパンサイトケラチン、デスモコリンに対する抗体、デスモグレインに対する抗体、およびE−カドヘリンに対する抗体、ならびに/またはTRA−1−60に対する抗体から選ばれる1つまたは複数の抗体を含んでいてもよい。1つまたは複数の抗体は、磁気ビーズにコンジュゲートされてもよい。キットは、抗体に結合した対象外の表現型の細胞の除去を容易にするのに適した磁場発生源をさらに含んでいてもよい。キットは、1つまたは複数の抗体および磁場の供給源を保持するために1つまたは複数の容器を含んでいてもよい。キットは、任意選択で、洗浄溶液および/またはバッファーならびに抗体および磁場を使用するための説明書を含んでいてもよい。
【0192】
濃縮された細胞集団の使用
本発明は、目的の表現型について濃縮された多数の細胞を産生するための方法を提供する。目的の表現型は、乏突起膠細胞、神経細胞、心筋細胞、造血細胞、島細胞、肝細胞、軟骨細胞、および骨芽細胞を含む。これらの細胞集団は、多くの重要な研究、開発、および商業目的に使用することができる。提供される集団が目的の表現型について濃縮されるので、それらは、そのように濃縮されていない細胞集団と比較した場合、以下に記載される使用のすべてに、より適しているであろう。
【0193】
スクリーニング
本発明の濃縮された目的の細胞集団は、因子(溶媒、小分子薬剤、ペプチド、オリゴヌクレオチドなど)またはそのような細胞およびそれらの様々な子孫の特質に影響を与える環境条件(培養条件もしくは操作など)についてスクリーニングするために、市販で使用することができる。特質は、細胞の表現型のまたは機能的な形質を含んでいてもよい。
【0194】
本発明の他のスクリーニングの応用は、濃縮された目的の細胞集団に対するそれらの効果についての医薬化合物の試験に関する。スクリーニングは、化合物が、細胞に対して薬理学的効果を有するように設計されているのでまたは他に効果を有するように設計された化合物が、目的の表現型の細胞に対して意図しない副作用を有するかもしれないので行われてもよい。他のスクリーニングの応用は、発癌性または他の毒性作用について化合物をスクリーニングすることを含むことができる。スクリーニングは、目的の化合物が目的の細胞に対して有益なまたは有害な効果を有するかどうかを決定するために、本発明の前駆体細胞または最終的に分化した細胞/成熟細胞を使用して、行うことができる。以下に記載される、濃縮された目的の集団の使用は、より正確なスクリーニング結果を提供するであろう。
【0195】
読者は、標準の教科書In vitro Methods in Pharmaceutical Research、Academic Press、1997を一般に参照する。候補医薬化合物の活性の評価は、一般に、単独でまたは他の薬剤と組み合わせて、候補化合物と本発明の濃縮された目的の細胞を組み合わせることを含む。研究者は、化合物に起因する形態、以下に記載されるマーカー表現型、または細胞の機能的な活性におけるあらゆる変化を決定し(未処理の細胞または不活性化合物を用いて処理された細胞と比較して)、次いで、化合物の効果を観察された変化と関連させる。
【0196】
細胞毒性は、細胞生存率、生存、形態、ならびにある種のマーカーおよび受容体の発現に対する効果によって、第1の実例において決定することができる。染色体DNAに対する薬剤の効果は、DNA合成または修復を測定することによって決定することができる。特に、細胞周期の不定期の時間のまたは細胞複製に必要とされるレベルを超える[H]−チミジンまたはBrdUの組み込みは、薬剤効果と一致している。望ましくない効果はまた、中期スプレッド(metaphase spread)によって決定される、異常な率の姉妹染色分体交換を含むこともできる。読者は、さらなる詳細について、A.Vickers(pp 375−410 in In vitro Methods in Pharmaceutical Research、Academic Press、1997)を参照されたい。
【0197】
効果が観察される場合、化合物の濃度は、半有効量(ED50)を決定するために、量を決めることができる。
【0198】
動物試験
本発明はまた、代謝機能における先天異常、疾患状態の影響、または著しい外傷の結果などのような任意の認められる必要性のための、組織維持または組織機能の修復を増強するための、本発明の濃縮された目的の細胞の使用を提供する。
【0199】
治療上の投与に対する細胞組成物の適合性を決定するために、濃縮された目的の細胞は、最初に、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、雌ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、イヌ、霊長動物、または他の哺乳動物などのような適した動物モデルにおいて試験することができる。あるレベルで、細胞は、in vivoにおいて生存し、かつそれらの表現型を維持するそれらの能力について評価される。細胞組成物は、免疫不全動物(ヌードマウスまたは化学的にもしくは照射によって免疫不全にされた動物など)に投与されてもよい。組織は、再生の期間の後に採取され、多能性幹由来細胞がなお存在するかどうかに関して評価される。当技術分野において既知の機能試験が、実行されてもよい。
【0200】
細胞生存は、検出可能な標識(緑色蛍光タンパク質もしくはβ−ガラクトシダーゼなど)を発現する;あらかじめ標識した(たとえばBrdUもしくは[H]チミジンを用いて)細胞を投与することによってまたは恒常的細胞マーカーの続く検出によって(たとえば、ヒト特異的抗体を使用して)モニターされてもよい。投与された細胞の存在および表現型は、ヒト特異的抗体を使用する免疫組織化学的検査もしくはELISAによってまたは公開される配列データに従って、増幅をヒトポリヌクレオチドに特異的になるようにするプライマーおよびハイブリダイゼーション条件を使用するRT−PCR分析によって評価することができる。
【0201】
一実施形態では、濃縮された目的の細胞集団は、集まって塊になった上皮構造の形成について試験するために動物に投与されてもよい。動物は、マウスまたはラットなどのようなげっ歯動物であってもよい。濃縮された細胞は、適した期間、たとえば約1〜12か月間、動物に投与されてもよい。動物は、犠牲死させてもよく、濃縮された細胞集団を受ける組織は、上皮形態および/または上皮細胞上に見つけられる1つもしくは複数のマーカーについての標識および/または未分化pPS細胞上に見つけられる1つもしくは複数のマーカーを有する霊長動物細胞についてスクリーニングするために、組織学的検査もしくはICCまたはその両方にかけられてもよい。
【0202】
他の実施形態では、本発明の濃縮された目的の細胞は、特定の疾患について既知の動物モデルを使用して機能的に試験されてもよい。たとえば、目的の細胞型が心筋細胞である場合、心疾患および梗塞についてのいくつかのモデルのうちの1つを使用することができる。心臓は、前部の左心室壁の表面に接するように、あらかじめ冷却したアルミニウム棒を置くことによって凍結傷害を与えることができる(Murryら、J.Clin.Invest.98:2209、1996;Reineckeら、Circulation 100:193、1999;米国特許第6,099,832号;Reineckeら、Circ Res.、Epub Mar 2004)。より大型の動物では、凍結傷害は、約20分間、左心室の前壁の上に液体N中で冷却した30〜50mmの銅盤プローブを置くことによって引き起こすことができる(Chiuら、Ann.Thorac.Surg.60:12、1995)。梗塞は、左冠動脈主幹をライゲーションすることによって(Liら、J.Clin.Invest.100:1991、1997)または徐々に膨張して、動脈を閉塞するアメロイド狭窄デバイスを使用することによって、誘発することができる。傷害部位は、本発明の細胞調製物を用いて治療され、心臓組織は、損傷部位における細胞の存在について組織学的検査によって検査される。心臓機能は、左室拡張末期圧、最大圧、血圧上昇速度、および血圧減衰速度などのようなパラメーターを決定することによってモニターすることができる。
【0203】
目的の細胞が乏突起膠細胞である場合、慢性脱髄の領域は、成体のラット脊髄後柱において誘発されてもよい(Keirsteadら、J Neurosci.19:7529、1999)。脊髄は、鉛シールディングを使用して、T9を中心において2cmの距離にわたって40GのX線照射に曝露されてもよく、これにより、曝露した細胞のDNAに切れ目を導入し、したがって、分裂している細胞の死滅を引き起こす。これに、T9での、2日後の、臭化エチジウムの直接的な髄腔内注射が続く。臭化エチジウムは、それに曝露された細胞を死滅させて、脊髄後柱の部位の約60%を通して、生存可能な乏突起膠細胞およびアストロサイトがない慢性脱髄の無細胞の領域を与える、DNAインターキレート剤(DNA interchelating agent)である。
【0204】
3日後に、動物は、脱髄の部位への乏突起膠細胞系列細胞の濃縮された集団の移植を受ける。任意選択で、細胞は、前もって48時間、培養液に追加されたブロモデオキシウリジン(BrdU)を用いてあらかじめ標識することができる。第1の実例では、細胞は、μL当たり約60,000細胞の密度に濃縮された約30の前駆体の塊として調製することができる。1μLの細胞は、約10分間の期間にわたって、外径約80umの引っ張ったガラスマイクロピペットまたは注射器針を使用して、傷害部位に投与される。約2〜4週間後、組織試料は、樹脂切片またはクライオスタット切片を作って、1mmの横断ブロックにするために調製される。
【0205】
冠状面からの切片は、トルイジンブルーを用いて染色し、全般的な病態、再有髄化の証拠、および細胞形態について分析した。損傷領域が無細胞であるので、移植の後に存在する細胞は、投与された細胞に由来する。クライオスタット切片は、GFAP(アストロサイト)、CNP(乏突起膠細胞)、RIP(乏突起膠細胞)、またはNeuN(ニューロン)などのような関連する細胞型のマーカーについて染色することができる。超薄切片もまた、ミエリン層板の数および細胞の超微細構造について電子顕微鏡によって分析することができる。脱髄の部位の全体にわたる移植細胞の再分布および成熟有髄化細胞への分化を決定することができる。25%、50%、または75%のレベルでの脱髄軸索の割合としての再有髄化は、生物学的有効性の増加の証拠である。
【0206】
濃縮された目的の細胞は、挫傷傷害および背側の片側切断を含むSCIについてモデルにおいて試験することができる。挫傷傷害については、脊髄は、適した脊髄挫傷傷害デバイスを使用して、23ミリ秒にわたって約0.9mm(中程度の傷害)、移動させる。片側切断傷害については、脊髄の背側の半分は、定位マニピュレーターを使用し、鋭いメスの刃を用いて切断される。両方の手順の後に適した術後ケアを続ける。植え込まれた細胞の移動を促進し、ミエリン関連成長阻害物質を除去するために、脊髄はまた、任意選択で脱髄されてもよい(Keirsteadら、Exp Neurol.151:303、1998)。2mmの穴を、脊椎管の中心に、軸索傷害の部位に対して尾側に作る。曝露した脊髄に、リン酸緩衝生理食塩水中33%モルモット補体(Harlan SeraLab、San Francisco、CA)と1:2の希釈の約4μLポリクローナル抗GalC抗体(Millipore Corp.、Billerica、MA)を注射する。
【0207】
動物は、引っ張ったガラスマイクロピペットまたは注射器針を通して、傷害の約24時間後に、濃縮された目的の表現型乏突起膠細胞系列細胞を移植する。その代わりに、慢性傷害モデルは、1〜3か月の間、傷害の後に治療を保留することによって作製することができる。細胞を用いる治療の後に、機能的反応はビデオテープによって記録することができ、臨床的改善の証拠について定期的にモニターすることができる。たとえば、地上の移動力は、関節運動、体重支持、肢協調、および他の特徴に基づいて、BBBスケール、21点スケールを使用して定量することができる。
【0208】
ヒトにおける治療上の使用
適切な試験の後に、本発明の濃縮された目的の細胞は、そのような治療を必要とするヒト患者または他の対象において組織再構成または組織再生に使用することができる。細胞は、それらが意図される組織部位に移植させるまたは移動し、かつ機能的に欠損した部位を再構成するまたは再生することを可能にする方法で投与される。したがって、心筋細胞を含む、濃縮された目的の細胞集団は、心臓に投与されてもよい。乏突起膠細胞を含む、濃縮された目的の細胞集団は、脊髄に投与されてもよい。肝細胞を含む、濃縮された目的の細胞集団は、肝臓に投与されてもよい。造血細胞を含む、濃縮された目的の細胞集団は、静脈内に投与されてもよい。島細胞を含む細胞の濃縮された集団は、腎臓または膵臓の近くに投与されてもよい。その代わりに、島細胞を含む細胞の濃縮された集団は、自己免疫応答から細胞を保護する移植可能なデバイスにおいて皮下投与されてもよい。軟骨細胞を含む細胞の濃縮された集団は、軟骨が欠損したまたは軟骨修復を必要とする関節に投与されてもよい。骨芽細胞の濃縮された集団は、破損した骨に投与されてもよい。
【0209】
細胞の集団の投与は、当技術分野において既知の任意の方法によって達成されてもよい。たとえば、細胞は、細胞の移植を必要とする器官または組織に外科的に直接投与されてもよい。その代わりに、非侵入性の手順が、細胞を対象に投与するために使用されてもよい。非侵入性の送達方法の例は、細胞療法を必要とする器官または組織に細胞を送達するための注射器および/またはカテーテルの使用を含む。
【0210】
本発明の濃縮された目的の細胞の異型移植を受ける患者は、移植細胞の免疫拒絶を低下させるように治療されてもよい。企図される方法は、タクロリムス、シクロスポリンAのような従来の免疫抑制剤の投与(Dunnら、Drugs 61:1957、2001)または多能性幹由来細胞のマッチした集団を使用して免疫耐性を誘発すること(WO02/44343;米国特許第6,280,718号;WO 03/050251)を含む。その代わりに、抗炎症剤(プレドニソンなど)および免疫抑制剤の組み合わせが使用されてもよい。
【0211】
本発明の濃縮された目的の細胞は、ヒト投与のために十分に無菌の条件下で調製された等張賦形剤を含む医薬組成物の形態で供給することができる。移植に際しての細胞死の危険性を低下させるために、細胞は、投与の前に、熱ショックによって処理されてもよいまたは約24時間、約0.5U/mLエリトロポイエチンと共に培養されてもよい。
【0212】
医薬品製剤における一般的な原理については、読者は、Cell Therapy:Stem Cell Transplantation,Gene Therapy,and Cellular Immunotherapy、by G.Morstyn & W.Sheridan編、Cambridge University Press、1996およびHematopoietic Stem Cell Therapy、E.D.Ball、J.Lister & P.Law、Churchill Livingstone、2000を参照されたい。細胞賦形剤および組成物の任意の付随するエレメントの選択は、投与に使用されるルートおよびデバイスに合わせて適しているであろう。組成物はまた、濃縮された目的の細胞の移植または機能的な動員を容易にする1つまたは複数の他の成分を含んでいてもよいまたはが伴っていてもよい。適した成分は、目的の表現型に依存して変動するであろうが、目的の細胞型の接着を支持するもしくは促進するまたは植え込まれた組織の血管新生を促進するマトリックスタンパク質を含んでいてもよい。
【0213】
本発明はまた、製造、分配、または使用の間のいかなる時も存在する細胞のセットまたは組み合わせを含む試薬系を含む。細胞セットは、本開示に記載され、例証されるが、未分化霊長動物多能性幹細胞または多くの場合同じゲノムを共有する他の分化細胞型と組み合わせたある種の分化多能性幹由来細胞に限定されない2つ以上の細胞集団の任意の組み合わせを含む。セット中の細胞型はそれぞれ、一緒にまたは同じ機能の別々の容器中にまたは異なる場所で、同じもしくは異なる時間に、同じ団体もしくはビジネス関係を共有する異なる団体のコントロール下でパッケージされてもよい。
【0214】
本発明の医薬組成物は、任意選択で、心臓筋肉の疾患状態もしくは異常を改善するための心筋細胞系列細胞機能の再構成または傷害脊髄の再有髄化などのような所望の目的のために、書面の説明書と共に、適した容器中にパッケージされてもよい。
【0215】
本発明の濃縮された目的の細胞は、他の系列からの細胞において優先的に発現されるcDNAが比較的混入していないcDNAライブラリーを調製するために使用することができる。たとえば、濃縮された目的の細胞は、5分間、1000rpmでの遠心分離によって収集され、次いで、mRNAが調製され、逆転写される。濃縮された目的の細胞の発現パターンは、一般にFritzら Science 288:316、2000によって概説されるマイクロアレイ分析によって他の細胞型と比較されてもよい。そのようなライブラリーは、それらが由来する未分化pPS細胞と比較して、目的の細胞における遺伝子発現の研究に特に十分に適しているであろう。これらの細胞が本質的に同一のゲノムを共有するので、たとえばサブトラクティブハイブリダイゼーションを使用する遺伝子発現の比較は、バックグラウンドノイズをほとんどまたは全く伴うことなく、成すことができる。細胞集団内の対象外の表現型の細胞の数を低下させることにより、細胞の2つの集団、たとえば、分化した目的の子孫および分化した目的の細胞を生じる親pPS細胞系における遺伝子発現を比較する際に、シグナル対ノイズ比の改善がもたらされるであろう。
【0216】
本発明の分化細胞は、濃縮された目的の細胞のマーカーに特異的な抗体を調製するために使用することができる。ポリクローナル抗体は、免疫原性の形態をした本発明の細胞を脊椎動物に注射することによって調製することができる。モノクローナル抗体の産生は、Harlow & Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual、米国特許第4,491,632号、第4,472,500号、および第4,444,887号、ならびにMethods in Enzymology 73B:3(1981)のような標準の参考文献において記載されている。
【0217】
霊長動物多能性幹細胞
本発明は、pPS細胞からin vitroで分化した目的の細胞を濃縮するための方法を提供する。pPS細胞は、任意の霊長動物多能性細胞を含む。多能性細胞は、適切な増殖条件下で、3つの主要な胚葉:中胚葉、内胚葉、および外胚葉のそれぞれから少なくとも1つの細胞型を形成することができるであろう。pPS細胞は、前期胚、胚性、もしくは胎児組織または成熟した分化細胞から生じてもよい。典型的に、pPS細胞は、悪性の供給源に由来しない。pPS細胞は、免疫不全マウス、たとえばSCIDマウスに植え込まれた場合、奇形腫を形成するであろう。pPS細胞は、樹立細胞株から得られてもよい。樹立細胞株は、WiCellおよびUK Stem Cell Bankなどのような公的な細胞バンクから入手可能である。
【0218】
顕微鏡下で、pPS細胞は、認識が不十分な細胞結合と共に、高度な核/細胞質比、顕著な核小体、および密度の高いコロニー形成を伴って現われる。pPS細胞は、典型的に、段階特異的な胚抗原(SSEA)3および4ならびにTRA−1−60およびTRA−1−81と呼ばれる抗体を使用して検出可能なマーカーを発現する。未分化ヒト胚性幹細胞はまた、典型的に、RT−PCRによって検出されるように、転写因子Oct−3/4、Cripto、ガストリン放出ペプチド(GRP)受容体、ポドカリキシン様タンパク質、(PODXL)nanog、およびテロメラーゼリバーストランスクリプターゼ、たとえばhTERT(米国特許出願公開第2003/0224411 A1号)をも発現する。
【0219】
本発明の実施形態のいずれかにおいて使用されてもよいpPS細胞は、ヒト胚性幹細胞(hES)などのような胚性幹細胞を含むが、これらに限定されない。本発明において使用される胚性幹細胞は、胚性幹細胞系から選ばれてもよい。H1、H7、H9、H13、またはH14(Thompson(1998)Science 282:1145);hESBGN−01、hESBGN−02、hESBGN−03(BresaGen,Inc.、Athens、GA);HES−1、HES−2、HES−3、HES−4、HES−5、HES−6(ES Cell International,Inc.、Singaporeから);HSF−1、HSF−6(University of California at San Franciscoから);I 3、I 3.2、I 3.3、I 4、I 6、I 6.2、J 3、J 3.2(Technion−Israel Institute of Technology、Haifa、Israelで誘導);UCSF−1およびUCSF−2(Genbacevら(2005)Fertil.Steril.83(5):1517);系HUES 1−17(Cowanら(2004)NEJM 350(13):1353);ならびに系ACT−14(Klimanskayaら(2005)Lancet,365(9471):1636)を含むが、これらに限定されない多くの胚性幹細胞系が樹立されている。
【0220】
他の霊長動物多能性幹細胞型は、WO 01/51610において記載される原始外胚葉様(EPL)細胞およびヒト胚性生殖(hEG)細胞(Shamblottら(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13726)を含むが、これらに限定されない。
【0221】
本発明の実施形態のいずれかにおいて使用するのに適したpPS細胞はまた、誘発霊長動物多能性幹(iPS)細胞をも含む。iPS細胞は、たとえば、それらがpPS細胞の表現型を獲得するように、1つまたは複数の適切なベクターを用いるトランスフェクションによって遺伝的に修飾された細胞を指す(Takahashiら(2007)Cell 131(5):861;Yuら(2007)Science 318:1917)。その代わりに、iPS細胞は、それらが、胚盤胞由来多能性幹細胞と関連する表現型および形態学的形質を有するように、細胞が再プログラムするように誘発するタンパク質反応混液とそれらを接触させることによって、成体の細胞を再プログラムすることによって得られてもよい。Kimら(2009)Cell Stem Cell 4(6):472を参照されたい。これらの再プログラム細胞によって獲得される表現型の形質は、胚盤胞から単離される多能性幹細胞に似ている形態ならびにpPS細胞において見つけられる表面抗原の発現、遺伝子発現、およびテロメラーゼ活性を含む。iPS細胞は、主要な胚葉:外胚葉、内胚葉、および中胚葉のそれぞれから少なくとも1つの細胞型に分化する能力を有していてもよい。iPS細胞もまた、免疫不全マウス、たとえばSCIDマウスに注射された場合、奇形腫を形成するかもしれない。(Takahashiら(2007)Cell 131(5):861;Yuら(2007)Science 318:1917)。
【0222】
霊長動物多能性幹細胞についての培養条件
ある実施形態では、本発明において使用されるpPS細胞は、フィーダーなしの方法で誘導されてもよい(たとえばKlimanskayaら(2005)Lancet 365(9471):1636を参照されたい)。ある実施形態では、pPSは、無血清の環境において使用に先立って培養されてもよい。
【0223】
pPS細胞は、様々な基質、培地、および他の補体ならびに当技術分野において既知の因子を使用して培養されてもよい。いくつかの実施形態では、適した基質は、以下の1つまたは複数を含むマトリックスから構成されてもよい:ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ヘパリン硫酸プロテオグリカン。いくつかの実施形態では、マトリックスは、Matrigel(商標)(BD Biosciences、San Jose、CA)として市販で入手可能なマウスEHS肉腫からの基底膜の可溶性抽出物を含んでいてもよい。他の実施形態では、マトリックスは、ヒト、ヒト化、マウス起源の1つまたは複数の単離マトリックスタンパク質、たとえばCELLstart(商標)(Invitrogen、Carlsbad、CA)を含んでいてもよい。さらに他の実施形態では、適した基質は、1つまたは複数のアクリレートなどのような1つまたは複数のポリマーから構成されてもよい。ポリマーは、細胞外マトリックスにおいてin vivoで見つけられるタンパク質に由来する1つまたは複数のタンパク質またはペプチド断片を含んでいてもよい。特定の実施形態では、基質は、1つまたは複数のアクリレートおよびコンジュゲートビトロネクチンペプチドから構成される(たとえば米国特許出願公開第2009/0191633号;米国特許出願公開第2009/0191626号;米国特許出願公開第2009/0203065号を参照されたい)。pPS細胞は、分化を阻害しながら増殖を促進する培養条件を使用して、培養で継続的に増殖させることができる。
【0224】
例示的な培地は、80%DMEM(Knock−Out DMEM、Gibcoなど)、20%の限定ウシ胎仔血清(FBS、Hyclone)または血清代替品(米国特許出願公開第2002/0076747 A1号、Life Technologies Inc.)、1%非必須アミノ酸、1mM L−グルタミン、および0.1mM β−メルカプトエタノールを用いて作製されてもよい。他の適した培地は、X−VIVO(商標)10(Lonza、Walkersville、MD)などのような無血清限定培地を含む。本発明のある実施形態において使用されてもよい他の市販で入手可能な培地製剤は、X−VIVO(商標)15(Lonza、Walkersville、MD);mTeSR(商標)(Stem Cell Technologies、Vancouver、CA);hTeSR(商標)(Stem Cell Technologies、Vancouver、CA)、StemPro(商標)(Invitrogen、Carlsbad、CA)、およびCellgro(商標)DC(Mediatech,Inc.、Manassas、VA)を含む。
【0225】
ある実施形態では、pPS細胞は、追加のフィーダー細胞を伴うことなく未分化の状態で維持されてもよい(たとえば(2004)Roslerら、Dev.Dynam.229:259を参照されたい)。フィーダーなしの培養物は、分化を伴わない細胞の増殖を促進する因子を含有する培養液によって典型的に支持される(たとえば米国特許第6,800,480号を参照されたい)。ある実施形態では、そのような因子を含有する条件培地が使用されてもよい。条件培地は、そのような因子を分泌する細胞を有する培地を培養することによって得られてもよい。適した細胞は、照射(約4,000rad)一次マウス胚性線維芽細胞、テロメライズした(telomerized)マウス線維芽細胞、またはpPS細胞に由来する線維芽細胞様細胞を含む(米国特許第6,642,048号)。培地は、20%血清代替品および4ng/mL bFGFを補足したKO DMEMなどのような無血清培地中でフィーダーを平板培養することによって調整することができる。1〜2日間調整した培地は、さらにbFGFを補足されてもよく、1〜2日間pPS細胞培養を支持するのに使用されてもよい(たとえばWO 01/51616;Xuら(2001)Nat.Biotechnol.19:971を参照されたい)。
【0226】
その代わりに、未分化の形態で細胞の増殖を促進する、追加因子(線維芽細胞増殖因子またはホルスコリンのような)を補足した新鮮なまたは非条件培地を使用することができる。例示的なのは、40〜80ng/mLのbFGF、および任意選択でSCF(15ng/mL)またはFlt3リガンド(75ng/mL)を含有するX−VIVOTM(商標)10(Lonza、Walkersville、MD)またはQBSF(商標)−60(Quality Biological Inc.Gaithersburg、MD)のような基本培地である(たとえばXuら(2005)Stem Cells 23(3):315を参照されたい)。これらの培地製剤は、他の系において2〜3倍の速度で細胞増殖を支持するという利点を有する(たとえばWO 03/020920を参照されたい)。いくつかの実施形態では、hES細胞などのようなpPS細胞は、bFGFおよびTGFβを含む培地において培養されてもよい。bFGFの適した濃度は、約80ng/mlを含む。TGFβの適した濃度は、約0.5ng/mlを含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、霊長動物多能性幹細胞は、>15,000細胞cm−2(最適には90,000cm−2〜170,000cm−2)で平板培養されてもよい。典型的に、細胞が完全に分散する前に、酵素による消化は停止されてもよい(たとえばコラゲナーゼIVで約5分間)。次いで、約10〜約2,000細胞の一群は、さらなる分散を伴うことなく適した基質上で直接平板培養されてもよい。その代わりに、細胞は、PBS中0.5mM EDTAの溶液中で約5分間、細胞をインキュベートすることによってまたは細いピペットもしくは細胞スクレーパーを用いてこすり取ることまたは単離によってなどのように、プレートから単純に機械的に所望の細胞を分離することによって、プレートがコンフルエンスに達する前に酵素なしで採取されてもよい。培養容器から洗浄した後に、細胞は、さらなる分散を伴うことなく新しい培養物に平板培養されてもよい。さらなる実例では、フィーダーの非存在下において培養されたコンフルエントなヒト胚性幹細胞は、37℃で5〜15分間、0.05%(重量/用量)トリプシン(Gibco(登録商標)、Carlsbad、CA)および0.05mM EDTAの溶液と共にインキュベートすることによってプレートから取り出されてもよい。プレート中の残りの細胞は、取り出されてもよく、細胞は、粉砕され、単一の細胞および小さな塊を含む懸濁液にされてもよく、次いで、生存を促進し、かつ分化を制限するために50,000〜200,000細胞cm−2の密度で平板培養されてもよい。
【0228】
ある実施形態では、pPS細胞は、フィーダー細胞、典型的に胚性または胎児組織に由来する線維芽細胞の層上で培養されてもよい(Thomsonら(1998)Science 282:1145)。ある実施形態では、それらのフィーダー細胞は、ヒトまたはマウス供給源に由来してもよい。ヒトフィーダー細胞は、様々なヒト組織から単離するまたは線維芽細胞へのヒトの胚性幹細胞の分化によって誘導することができる(たとえばWO 01/51616を参照されたい)。ある実施形態では、使用されてもよいヒトフィーダー細胞は、胎盤線維芽細胞(たとえばGenbacevら(2005)Fertil.Steril.83(5):1517を参照されたい)、ファロピウス管上皮細胞(たとえばRichardsら(2002)Nat.Biotechnol.,20:933を参照されたい)、包皮線維芽細胞(たとえばAmitら(2003)Biol.Reprod.68:2150を参照されたい)、子宮の子宮内膜細胞(たとえばLeeら(2005)Biol.Reprod.72(1):42を参照されたい)を含むが、これらに限定されない。
【0229】
本発明の実施において、細胞を培養するのに使用されてもよい様々な固体表面がある。それらの固体表面は、6ウェル、24ウェル、96ウェル、または144ウェルプレートなどのような、標準の市販で入手可能な細胞培養プレートを含むが、これらに限定されない。他の固体表面は、マイクロキャリヤーおよびディスクを含むが、これらに限定されない。ある実施形態では、マイクロキャリヤーは、細胞の付着のために、撹拌タンクバイオリアクターにおいて使用されてもよい。ある実施形態では、マイクロキャリヤーは、ビーズである。それらのビーズは、細胞付着を増すために正電荷群を有するCytodexデキストランマイクロキャリヤービーズ、細胞付着のためのゼラチン/コラーゲンコーティングビーズ、および細胞の付着のために異なる多孔度を有するマクロ多孔性マイクロキャリヤービーズなどのような様々な形態で手に入る。Cytodexデキストラン、ゼラチンコーティング、およびマクロ多孔性マイクロキャリヤービーズは、市販で入手可能である(Sigma−Aldrich、St.Louis、MOまたはSolohill Engineering Inc.、Ann Arbor、MI)。ある実施形態では、ビーズは、350〜500cmの面積を有し、サイズが90〜200μmである。ビーズは、これらに限定されないが、ガラスまたはプラスチックなどのような様々な材料から構成されてもよい。ディスクは、New Brunswick Scientific Co,Inc.(Edison、NJ)などのような会社によって販売されている。ある実施形態では、ディスクは、ポリエステル/ポリプロピレンディスクであるFibra−celディスクである。1グラムのこれらのディスクは、1200cmの表面積を提供する。
【0230】
pPS細胞を成長させるのに適した固体表面は、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、melinex、またはthermanoxなどのようなガラスまたはプラスチックを含むが、これらに限定されない様々な物質から作製されてもよい。本発明のある実施形態では、固体表面は、形状が立体的であってもよい。例示的な立体的な固体表面は、たとえばUS2005/0031598において記載されている。
【0231】
ある実施形態では、細胞は、本発明の方法の間、単一細胞で浮遊している。単一細胞の浮遊は、振盪機フラスコ、撹拌フラスコ、または発酵槽における培養を含むが、これらに限定されない様々な方法で実行されてもよい。使用されてもよい発酵槽は、Celligen Plus(New Brunswick Scientific Co,Inc.、Edison、NJ)およびSTRまたはStirred−Tank Reactor(Applikon Inc.、Foster City、CA)を含むが、これらに限定されない。ある実施形態では、バイオリアクターは、培地で継続的に満たされてもよいまたは流加モードで使用されてもよい。他の適したバイオリアクターは、Wave Bioreactorバッグ(GE Healthcare、Piscataway、NJ)を含む。バイオリアクターは、2.2リットル、5リットル、7.5リットル、14リットル、または20リットル、100リットル、100リットル、10,000リットル以上を含むが、これらに限定されない異なるサイズで手に入る。
【0232】
一般的な技術
本発明の実施において有用な一般的な技術のさらなる詳細については、従事者は、細胞生物学、組織培養、発生学、発生生物学、免疫学、神経生物学、内分泌内科学、心臓学、およびその他同種のものにおける標準の教科書および概説を参照することができる。
【0233】
組織および細胞培養物ならびに胚性幹細胞に関して、読者は、当技術分野において入手可能な多数の刊行物、たとえばTeratocarcinomas and Embryonic Stem cells:A Practical Approach(E.J.Robertson編、IRL Press Ltd.1987);Guide to Techniques in Mouse Development(P.M.Wassermanら編、Academic Press 1993);Embryonic Stem Cell Differentiation in Vitro(M.V.Wiles、Meth.Enzymol.225:900、1993);Properties and Uses of Embryonic Stem Cells:Prospects for Application to Human Biology and Gene Therapy(P.D.Rathjenら、Reprod.Fertil.Dev.10:31、1998;およびR.I.Freshney、Culture of Animal Cells、Wiley−Liss、New York、2000)のいずれかを参照することを望んでもよい。
【0234】
pPS細胞の樹立株に由来する場合、本発明の細胞集団および単離細胞は、それらが由来する株と同じゲノムを有するとして特徴付けることができる。これは、染色体DNAが、pPS細胞および分化子孫細胞の間でRFLPまたはSNP分析によって本質的に同一となるであろうということを意味する(細胞がヒトの手によって遺伝的に操作されていないことを仮定する)。ゲノムにおける比較的微細な変化が、たとえば非コード領域において、ある期間にわたって起こってもよいが、しかしながら、全体として、遺伝的同一性は、親細胞株およびあらゆる子孫、たとえば分化子孫の間で実質的に維持されるであろうということが企図される。典型的に、遺伝的同一性のレベルは一卵性双生児の間で観察される遺伝的同一性に類似するであろう。
【0235】
分化した細胞の遺伝的改変
本発明の細胞は、分化の前または後の細胞の遺伝子操作によって1つまたは複数の遺伝的改変を含有するように作製することができる(米国特許出願公開第2002/0168766 A1号)。たとえば、いくつかの実施形態では、細胞は、それらが制限された発生系列細胞または最終分化細胞に進む前にまたは後に、テロメラーゼリバーストランスクリプターゼを発現するように細胞を遺伝的に改変することによって、それらの複製潜在能力を増加させるように処理することができる(米国特許出願公開第2003/0022367 A1号)。
【0236】
本発明の細胞はまた、特異的な治療上の機能を調整するのに関与するまたは投与の部位に治療用遺伝子を送達するようにそれらの能力を増強するために改変することもできる。ベクターは、すべての細胞型において活性であるまたは分化細胞型において特異的に活性であるプロモーターに作動可能に連結された所望の遺伝子についての既知のコード配列を使用して設計される。その代わりに、プロモーターは、遺伝的改変の定期の発現を可能にする誘発性プロモーターであってもよい。たとえば、細胞は、心臓機能を調整するサイトカインを発現するように遺伝的に操作されてもよい。
【0237】
本発明のさらなる態様
本発明のさらなる態様は、以下を含む。
1.細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)対象外の表現型の細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合した対象外の表現型の細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含むpPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法。
2.対象外の表現型の細胞は、上皮細胞である、1の方法。
3.上皮細胞は、サイトケラチンを発現する、2の方法。
4.上皮細胞は、EpCAMを発現する、2の方法。
5.EpCAMを発現する1つまたは複数の細胞はまた、TRA−1−60をも発現する、4の方法。
6.リガンドは、抗体である、1の方法。
7.抗体は、EpCAMに特異的に結合する、6の方法。
8.リガンドは、固体担体に結合している、1の方法。
9.固体担体は、ビーズである、8の方法。
10.ビーズは、磁気ビーズである、9の方法。
11.リガンドが結合した対象外の表現型の細胞の、細胞の混合集団の残りからの分離は、細胞の混合集団に外部の力を加えることによって実行される、請求項1の方法。
12.外部の力は、磁場によって提供される、11の方法。
13.細胞の混合集団は、目標とする表現型を含む、1の方法。
14.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、13の方法。
15.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、14の方法。
16.目標とする表現型は、心筋細胞である、14の方法。
17.細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)上皮細胞によって発現される1つまたは複数のマーカーに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)a)のリガンドが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含むpPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法。
18.上皮細胞によって発現されるマーカーは、サイトケラチンである、17の方法。
19.上皮細胞によって発現されるマーカーは、EpCAMである、17の方法。
20.EpCAMを発現する細胞はまた、TRA−1−60をも発現する、19の方法。
21.リガンドは、抗体である、17の方法。
22.抗体は、EpCAMに特異的に結合する、21の方法。
23.リガンドは、固体担体に結合している、17の方法。
24.固体担体は、ビーズである、17の方法。
25.ビーズは、磁気ビーズである、24の方法。
26.リガンドが結合した対象外の表現型の細胞の、細胞の混合集団の残りからの分離は、細胞の混合集団に外部の力を加えることによって実行される、17の方法。
27.外部の力は、磁場によって提供される、26の方法。
28.細胞の混合集団は、目標とする表現型を含む、17の方法。
29.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、28の方法。
30.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、28の方法。
31.目標とする表現型は、心筋細胞である、28の方法。
32.細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)上皮細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させ、未分化pPS細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法。
33.上皮細胞によって発現されるマーカーは、サイトケラチンである、32の方法。
34.上皮細胞によって発現されるマーカーは、EpCAMである、32の方法。
35.EpCAMを発現する細胞はまた、TRA−1−60をも発現する、34の方法。
36.リガンドは、抗体である、32の方法。
37.抗体は、EpCAMに特異的に結合する、36の方法。
38.リガンドは、固体担体に結合している、36の方法。
39.固体担体は、ビーズである、38の方法。
40.ビーズは、磁気ビーズである、39の方法。
41.リガンドが結合した対象外の表現型の細胞の、細胞の混合集団の残りからの分離は、細胞の混合集団に外部の力を加えることによって実行される、32の方法。
42.外部の力は、磁場によって提供される、41の方法。
43.細胞の混合集団は、目標とする表現型を含む、32の方法。
44.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、43の方法。
45.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、43の方法。
46.目標とする表現型は、心筋細胞である、43の方法。
47.未分化pPS細胞に結合するリガンドは、抗体である、32の方法。
48.抗体は、TRA−1−60に結合する、47の方法。
49.TRA−1−60に結合する抗体は、IgGである、48の方法。
50.TRA−1−60に結合する抗体は、IgMである、48の方法
51.対象外の表現型の細胞に結合するリガンドは、EpCAMに特異的に結合する抗体であり、未分化pPS細胞に結合するリガンドは、TRA−1−60に結合する抗体である、32の方法。
52.EpCAMに結合する抗体は、磁気ビーズに連結され、TRA−1−60に結合する抗体は、磁気ビーズに連結される、51の方法。
53.細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EpCAMが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法。
54.EpCAMに結合するリガンドは、抗体である、53の方法。
55.EpCAM抗体は、固体担体に連結される、54の方法。
56.固体担体は、ビーズである、55の方法。
57.ビーズは、磁気ビーズである、56の方法。
58.リガンドが結合した対象外の表現型の細胞の、細胞の混合集団の残りからの分離は、細胞の混合集団に外部の力を加えることによって実行される、53の方法。
59.外部の力は、磁場によって提供される、58の方法。
60.細胞の混合集団は、目標とする表現型を含む、53の方法。
61.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、60の方法。
62.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、43の方法。
63.目標とする表現型は、心筋細胞である、43の方法。
64.細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドおよびTRA−1−60に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EpCAMについてのリガンドに結合した細胞およびTRA−1−60のリガンドに結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法。
65.EpCAMに結合するリガンドは、抗体である、64の方法。
66.EpCAMに結合するリガンドは、固体担体に連結される、64の方法。
67.固体担体は、ビーズである、66の方法。
68.ビーズは、磁気ビーズである、67の方法。
69.TRA−1−60に結合するリガンドは、抗体である、64の方法。
70.抗体は、IgGである、69の方法。
71.抗体は、IgMである、69の方法。
72.TRA−1−60に結合するリガンドは、固体担体に連結される、64の方法。
73.固体担体は、ビーズである、72の方法。
74.ビーズは、磁気ビーズである、73の方法。
75.リガンドが結合した対象外の表現型の細胞の、細胞の混合集団の残りからの分離は、細胞の混合集団に外部の力を加えることによって実行される、64の方法。
76.外部の力は、磁場によって提供される、75の方法。
77.細胞の混合集団は、目標とする表現型を含む、64の方法。
78.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、77の方法。
79.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、77の方法。
80.目標とする表現型は、心筋細胞である、77の方法。
81.細胞の混合集団における集まって塊になった上皮形成細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)EpCAMが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から、集まって塊になった上皮形成細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法。
82.EpCAMに結合するリガンドは、抗体である、81の方法。
83.EpCAM抗体は、固体担体に連結される、82の方法。
84.固体担体は、ビーズである、83の方法。
85.ビーズは、磁気ビーズである、84の方法。
86.リガンドが結合した対象外の表現型の細胞の、細胞の混合集団の残りからの分離は、細胞の混合集団に外部の力を加えることによって実行される、81の方法。
87.外部の力は、磁場によって提供される、81の方法。
88.細胞の混合集団は、目標とする表現型を含む、88の方法。
89.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、88の方法。
90.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、88の方法。
91.目標とする表現型は、心筋細胞である、88の方法。
92.細胞の混合集団における、未分化細胞によって発現される1つまたは複数の分子を発現する細胞の数を低下させるための方法であって、a)上皮細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)a)のリガンドが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から未分化細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法。
93.リガンドは、抗体である、92の方法。
94.抗体は、EpCAMに特異的に結合する、92の方法。
95.抗体は、サイトケラチンに特異的に結合する、92の方法。
96.抗体は、固体担体に結合している、92の方法。
97.固体担体は、ビーズである、96の方法。
98.ビーズは、磁気ビーズである、97の方法。
99.リガンドが結合した対象外の表現型の細胞の、細胞の混合集団の残りからの分離は、細胞の混合集団に外部の力を加えることによって実行される、92の方法。
100.外部の力は、磁場によって提供される、99の方法。
101.細胞の混合集団は、目標とする表現型を含む、92の方法。
102.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、101の方法。
103.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、101の方法。
104.目標とする表現型は、心筋細胞である、101の方法。
105.未分化細胞によって発現される分子は、TRA−1−60である、92の方法。
106.細胞の混合集団における、未分化細胞によって発現される1つまたは複数の分子を発現する細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合したEpCAM細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から未分化細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法。
107.未分化細胞によって発現される分子は、TRA−1−60である、106の方法。
108.EpCAMに結合するリガンドは、抗体である、106の方法。
109.EpCAM抗体は、固体担体に連結される、108の方法。
110.固体担体は、ビーズである、108の方法。
111.ビーズは、磁気ビーズである、110の方法。
112.リガンドが結合した対象外の表現型の細胞の、細胞の混合集団の残りからの分離は、細胞の混合集団に外部の力を加えることによって実行される、106の方法。
113.外部の力は、磁場によって提供される、112の方法。
114.細胞の混合集団は、目標とする表現型を含む、106の方法。
115.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、114の方法。
116.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、114の方法。
117.目標とする表現型は、心筋細胞である、114の方法。
118.細胞の混合集団における、未分化細胞によって発現される1つまたは複数の分子を発現する細胞の数を低下させるための方法であって、a)EpCAMに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドおよびTRA−1−60に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団を接触させるステップと、b)リガンドが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から未分化細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法。
119.EpCAMに結合するリガンドは、抗体である、118の方法。
120.EpCAMに結合するリガンドは、固体担体に連結される、119の方法。
121.固体担体は、ビーズである、120の方法。
122.ビーズは、磁気ビーズである、121の方法。
123.TRA−1−60に結合するリガンドは、抗体である、118の方法。
124.抗体は、IgGである、118の方法。
125.抗体は、IgMである、118の方法。
126.TRA−1−60に結合するリガンドは、固体担体に連結される、118の方法。
127.固体担体は、ビーズである、126の方法。
128.ビーズは、磁気ビーズである、127の方法。
129.リガンドが結合した対象外の表現型の細胞の、細胞の混合集団の残りからの分離は、細胞の混合集団に外部の力を加えることによって実行される、118の方法。
130.外部の力は、磁場によって提供される、129の方法。
131.細胞の混合集団は、目標とする表現型を含む、118の方法。
132.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、131の方法。
133.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、131の方法。
134.目標とする表現型は、心筋細胞である、131の方法。
135.対象外の表現型の細胞が本質的にない、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む細胞の集団を得るための方法であって、a)pPS細胞のin vitro分化子孫を含む細胞の集団を得るステップと、b)上皮細胞に結合する1つまたは複数のリガンドとa)の細胞集団を接触させるステップと、c)b)のリガンドが結合した細胞を除去し、それによって、対象外の表現型の細胞が本質的にない細胞の集団を得るステップとを含む、方法。
136.上皮細胞に結合するリガンドは、EpCAMである、135の方法。
137.EpCAMに結合するリガンドは、抗体である、135の方法。
138.EpCAMに結合するリガンドは、固体担体に連結される、135の方法。
139.固体担体は、ビーズである、138の方法。
140.ビーズは、磁気ビーズである、139の方法。
141.リガンドが結合した対象外の表現型の細胞の、細胞の混合集団の残りからの除去は、細胞の混合集団に外部の力を加えることによって実行される、135の方法。
142.外部の力は、磁場によって提供される、141の方法。
143.細胞の混合集団は、目標とする表現型を含む、135の方法。
144.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、143の方法。
145.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、143の方法。
145.目標とする表現型は、心筋細胞である、143の方法。
146.目標とする表現型について濃縮された細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、上皮細胞上に見つけられる分子を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団。
147.上皮細胞上に見つけられる分子を発現する少なくとも1つの細胞は、EpCAMを発現する、146の細胞の混合集団。
148.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、143の細胞の混合集団。
149.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、146の細胞の混合集団。
150.目標とする表現型は、心筋細胞である、146の細胞の混合集団。
151.目標とする表現型について濃縮された細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、上皮細胞上に見つけられる分子を発現する少なくとも1つの細胞および未分化多能性幹細胞上に見つけられる分子を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団。
152.上皮細胞上に見つけられる分子を発現する少なくとも1つの細胞は、EpCAMを発現する、151の細胞の混合集団。
153.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、151の細胞の混合集団。
154.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、151の細胞の混合集団。
155.目標とする表現型は、心筋細胞である、151の細胞の混合集団。
156.未分化細胞上に見つけられる分子を発現する少なくとも1つの細胞は、TRA−1−60を発現する、151の細胞の混合集団。
157.目標とする表現型について濃縮された細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、EpCAMを発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団。
158.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、157の細胞の混合集団。
159.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、157の細胞の混合集団。
160.目標とする表現型は、心筋細胞である、157の細胞の混合集団。
161.目標とする表現型について濃縮された細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、サイトケラチンを発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団。
162.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、161の細胞の混合集団。
163.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、161の細胞の混合集団。
164.目標とする表現型は、心筋細胞である、161の細胞の混合集団。
165.サイトケラチンを発現する少なくとも1つの細胞はまた、EpCAMをも発現する、161の細胞の混合集団。
166.目標とする表現型について濃縮された細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、サイトケラチンを発現する少なくとも1つの細胞および未分化細胞上に見つけられる分子を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団。
165.サイトケラチンを発現する少なくとも1つの細胞はまた、EpCAMをも発現する、166の細胞の混合集団。
167.未分化細胞上に見つけられる分子を発現する少なくとも1つの細胞は、TRA−1−60を発現する、166の細胞の混合集団。
168.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、166の細胞の混合集団。
169.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、166の細胞の混合集団。
170.目標とする表現型は、心筋細胞である、請求項166の細胞の混合集団。
171.目標とする表現型について濃縮された細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、EpCAMを発現する少なくとも1つの細胞およびTRA−1−60を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団。
172.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、171の細胞の混合集団。
173.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、171の細胞の混合集団。
174.目標とする表現型は、心筋細胞である、171の細胞の混合集団。
175.目標とする表現型について濃縮された細胞の混合集団であって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含み、細胞の混合集団は、サイトケラチンを発現する少なくとも1つの細胞およびTRA−1−60を発現する少なくとも1つの細胞が除外されている、細胞の混合集団。
176.サイトケラチンを発現する少なくとも1つの細胞はまた、EpCAMをも発現する、175の細胞の混合集団。
177.目標とする表現型は、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、175の細胞の混合集団。
178.目標とする表現型は、乏突起膠細胞である、175の細胞の混合集団。
179.目標とする表現型は、心筋細胞である、175の細胞の混合集団。
181.細胞の混合集団から対象外の表現型を有する細胞を除外するためのキットであって、a)上皮細胞上に発現される1つまたは複数の分子に対するリガンドと、b)未分化細胞上に発現される1つまたは複数の分子に対するリガンドと、c)1つまたは複数の容器とを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、キット。
182.EpCAMに対するリガンドと、TRA−1−60に対するリガンドと、1つまたは複数の容器とを含む、細胞の混合集団から対象外の表現型を有する細胞を除外するためのキットであって、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、キット。
【0238】
以下の実施例では、ヒト胚細胞(hES)の細胞を利用する実験はすべて、樹立された公的に入手可能なhES細胞系を使用して実行した。
【実施例】
【0239】
実施例1:上皮細胞マーカーは、霊長動物多能性幹細胞からin vitroで分化した乏突起膠細胞における対象外の表現型と関連する。
全RNAは、ヒト胚性幹細胞からin vitroで分化した乏突起膠細胞前駆細胞から、Qiagen RNAEasyキット(Qiagen、Valencia CA)を使用して、メーカーの指示に従って抽出した。それぞれ7.5×10乏突起膠細胞前駆細胞を含有するバイアルを使用した。これらのバイアルは、in vivoで多くの、集まって塊になった上皮構造(CES)を生成した3つのロットおよびin vivoで低いレベルのCESを有した3つのロットから作り出された。RNAの完全性は、Agilentバイオアナライザー(Agilent、Santa Clara、CA)を使用して確認し、使用される試料はすべて、9.8を超えるRNA integrity number(RIN)を有した。3‘ IVT Expressキット(Affymetrix、Santa Clara、CA)は、このRNAからcDNAを生成するためにメーカーの指示に従って使用した。マイクロアレイ分析は、Affymetrix U133+2.0 ゲノムアレイ(Affymetrix、Santa Clara、CA)を使用し、これらのcDNA試料を用い、メーカーの指示に従って実行した。このアレイは、54,000以上のプローブセットを含有する包括的なヒトゲノム発現アレイである。高および低CESロットのこれらの群の間で2倍よりも大きな発現の差異を有する遺伝子を、さらに検査した。表1は、上皮細胞マーカーの発現の増加が、GRNOPC1のロットにおけるCESの発現の増加と関連することを示す。
【0240】
【表1】

【0241】
実施例2:ラット脊髄における上皮構造の同定
hES細胞からin vitroで分化したヒト乏突起膠細胞前駆細胞を投与したラットは、まれに、集まって塊になった上皮構造を発達させた。図1は、ヘマトキシリンおよびエオシンを用いて染色した、集まって塊になった上皮構造を示す。構造は、形態に基づいて上皮細胞と同定された。
【0242】
これらの集まって塊になった上皮構造をさらに特徴付けるために、パンサイトケラチンに対する抗体またはEpCAMに対する抗体を使用して免疫組織化学的検査(IHC)を実行した。パンサイトケラチン抗体(Millipore、Billerica、MA)は、2つの抗体の混合物とした:抗AE1および抗AE3。AE1抗体は、ケラチンCK10、CK14、CK15、およびCK16ならびにケラチンCK19を認識する。AE3抗体は、ケラチンCK1、CK2、CK3、CK4、CK5、およびCK6ならびにケラチンCK7およびCK8を認識する。ケラチンCK10は、うろこ状のケラチン状になった皮膚およびいくつかの腸細胞において発現される。ケラチンCK19は、分泌上皮、ほとんどの腺、多列上皮、分泌腸上皮、および気道上皮において発現される。ケラチンCK8は、典型的に、ケラチンCK18と同時発現され、ほとんどの腺、分泌腸上皮、およびほとんどの分泌上皮において見つけられる。
【0243】
使用したEpCAM抗体は、Ber−Ep4(Invitrogen、Carlsbad、CA)とした。EpCAMは、ほとんどの上皮組織細胞および上皮系列細胞の側底膜で発現される。それは、扁平上皮において発現されない。それは、細胞増殖と関連して一時的に発現されるかもしれない。
【0244】
切片は、上皮細胞を標識するためにパンサイトケラチン抗血清と共に(IHC)を使用して検査した。スライドは、キシレンおよび減少性の連続エタノール系列を使用して脱パラフィンした。抗原回収前処理は、37℃での30分間のDPBS中4%ペプシンとのスライドのインキュベート、その後に続く外界温度までの冷却から成った。スライドは、DPBS中ですすぎ、外界温度で、1時間、ブロックバッファー(DPBS中0.3% トリトンX−100、10%正常ヤギ血清、1%ウシ血清アルブミン、3%HO)と共にインキュベートし、外界温度で、24時間、1:400に希釈した、パンサイトケラチンに対して産生される一次抗血清(カタログ#mAB 3412、クローンAE1/AE3)(Millipore、Billerica、MA)とのインキュベーションを続けた。切片は、洗浄し、外界温度で、1時間、1:500に希釈したビオチン化二次抗体(カタログ#BA−1000)(Vector Laboratories、Burlingame、CA)と共にインキュベートし、洗浄し、外界温度で、1時間、DPBS中で1:1000に希釈したストレプトアビジン−HRP(Vectastain Elite ABCキット、Vector Laboratories)と共にインキュベートした。Ni−DAB(Vector Laboratories)は、HRPの視覚化のために使用した。スライドは、増加性の連続的エタノール系列を通して脱水し、キシレン中で脱脂し、Permount(商標)(Fisher Scientific、Hampton、NH)を用いてカバーガラスをかけた。スライドは光学顕微鏡下で検査した。
【0245】
切片は、上皮細胞を標識するためにEpCAM抗血清と共にIHCを使用して検査した。スライドは、キシレンおよび減少性の連続エタノール系列を使用して脱パラフィンした。抗原回収前処理は、37℃での30分間のDPBS中4%ペプシンとのスライドのインキュベート、その後に続く外界温度までの冷却から成った。スライドは、DPBS中ですすぎ、外界温度で、1時間、ブロックバッファー(DPBS中0.3% トリトンX−100、10%正常ヤギ血清、1%ウシ血清アルブミン、3%HO)と共にインキュベートし、外界温度で、24時間、1:100に希釈した、EpCAMに対して産生される一次抗血清(Ber−EP4;カタログ#mAB 84、クローン;Dako;Carpinteria、CA)とのインキュベーションを続けた。切片は、洗浄し、外界温度で、1時間、1:500に希釈したビオチン化二次抗体(カタログ#BA−1000)(Vector Laboratories、Burlingame、CA)と共にインキュベートし、洗浄し、外界温度で、1時間、DPBS中で1:1000に希釈したストレプトアビジン−HRP(Vectastain Elite ABCキット、Vector Laboratories)と共にインキュベートした。Ni−DAB(Vector Laboratories)は、HRPの視覚化のために使用した。スライドは、増加性の連続的エタノール系列を通して脱水し、キシレン中で脱脂し、Permount(商標)(Fisher Scientific、Hampton、NH)を用いてカバーガラスをかけた。スライドは光学顕微鏡下で検査した。
【0246】
図2は、ヒト組織アレイ(肝臓、小腸、脾臓、胃、結腸、および皮膚の細胞を含有する)がすべてパンサイトケラチンについて標識されたことを示す。図2の右側は、マウス筋肉内の奇形腫(SKID/bgマウスにおいて)もまた、パンサイトケラチンについて標識されたことを示す。図3は、EpCAM抗体についての類似する結果を示す。
【0247】
図4は、3匹の別個の動物における集まって塊になった上皮構造がパンサイトケラチンについて陽性に標識されたことを示す。示す倍率は、24×(上部のパネル)および400×(下部のパネル)である。図5は、EpCAM抗体を用いて標識された1匹の動物における集まって塊になった上皮構造を示す。示す倍率は、24×(上部の左パネル)および400×(下部のパネル)である。図6は、1匹の動物における集まって塊になった上皮構造がパンサイトケラチンおよびEpCamの両方について標識されたことを示す。示す倍率は、24×(上部のパネル)および400×(下部のパネル)である。図7は、1匹の動物における集まって塊になった上皮構造がEpCAMではなくパンサイトケラチンについて標識されたことを示す。示す倍率は、24×(上部のパネル)および400×(下部のパネル)である。図8は、1匹の動物における集まって塊になった上皮構造がパンサイトケラチンまたはEpCAMについて標識されなかったことを示す。示す倍率は、24×(上部のパネル)および400×(下部のパネル)である。
【0248】
実施例3:乏突起膠細胞を含む細胞の混合性集団の特徴付け
hES細胞は、上記および米国特許第7,285,415号に記載されるように、乏突起膠細胞および乏突起膠細胞前駆体に分化した。別々の2つのロット(M07D1Aおよび2008−05A−ms)を生成した。両方の調製物における細胞は、以下の上皮マーカーについての抗体を用いて細胞を標識することによってフローサイトメトリーによって特徴付けた:ALexa fluor 647にコンジュゲートしたEpCAM(クローンBER−Ep4)(Invitrogen、Carlsbad、CA)および霊長動物未分化多能性幹細胞と関連するマーカー:TRA−1−60(Invitrogen、Carlsbad、CA)。TRA−1−60について使用した二次抗体は、Alexa Fluor(登録商標)(Invitrogen、Carlsbad、CA)とコンジュゲートした抗マウスIgM A488とした。
【0249】
手短かに言えば、5×10細胞は、100μLの容量で反応当たりに標識した。一次抗体については、標識当たり500ngを使用した。細胞は、15分間、氷上でインキュベートし、次いで、染色バッファー(0.5%ヒト血清アルブミンPBS)を用いて2時間洗浄した。二次抗体は、1:400に希釈し、15分間、氷上で標識した。細胞は、染色バッファーを用いて2時間洗浄し、次いで、ヨウ化プロピジウム染色バッファー(5μg/mlのヨウ化プロピジウムの最終濃度に向けて、2mlの染色バッファーに10μLの1.0mg/mlストックのヨウ化プロピジウムを追加することによって調製した)中に再懸濁した。細胞は、細胞ストレーナと共にFACSチューブを使用してろ過した(BD Bioscience、San Jose、CA)。細胞は、ヨウ化プロピジウム対前方散乱について、次いで、前方散乱対側方散乱光についてさらにゲーティングした。これらのゲート内で、20,000の事象が収集された。結果は、図9に示され、わずかな割合の集団がパンサイトケラチン(両方のロット)およびEpCAM(左のパネル)を発現したことを示す。EpCAMを発現するほとんどの細胞はまた、パンサイトケラチンについても標識された。二重陽性細胞は明らかにはっきりとわかる。
【0250】
実施例4:EpCAM抗体は、細胞の混合集団からEpCAM+細胞を除去するのに成功する。
この実験では、10%EpCAM+である混合性集団を作製するために、EpCAM陰性細胞系(ヒト胚性腎臓293細胞)にEpCAM陽性細胞系(ヒト腺癌株SW480)を加えた。細胞は、磁気Dynalビーズ(CELLection Epithelial Enrich Bead)(Invitrogen、Carlsbad、CA)にコンジュゲートしたBER−Ep4 EpCAM抗体(Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いて標識し、細胞は、下記のプロトコールに従ってDynal CELLectionキット(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用して分離した。
【0251】
Dynabeads(Invitrogen、Carlsbad、CA)を、バイアル中に再懸濁した。50μL/2e7細胞のDynabeadsを15mLチューブに移入した。同じ容量または少なくとも1mLのバッファー1(PBS/0.1%ヒト血清アルブミン)をチューブに追加し、混合した。チューブは、1分間、磁石中に置き、上清を廃棄した。チューブを磁石から取り出し、洗浄した。Dynabeadsを、Dynabeadsの初めの容量と同じ容量のバッファー1中に再懸濁した。
【0252】
試料2e7/mL細胞を調製するために、冷バッファー2(PBS/0.1%ヒト血清アルブミン/2mM EDTA)中に再懸濁した。EpCAM+細胞について濃縮するために、50μLのDynabeadsを1mLの調製試料に追加し、次いで、緩やかな回転に設定したMACSmix(Invitrogen、Carlsbad、CA)において2〜8℃で30分間インキュベートした。チューブは、2分間、磁石中に置いた。EpCAM除外細胞を含有する上清は、氷上で保存した。
【0253】
EpCAM+ビーズ結合細胞は、あらかじめ熱した(37℃)バッファー3(RPMI/0.1% HSA/1mM CaCL/4mM MgCl)(洗浄当たり5mL)中で3×洗浄し、磁石中に置いた。洗浄物はすべて、単一チューブ中にプールした。細胞は、200μL(2e7細胞当たり)のあらかじめ熱した(37℃)バッファー3中に再懸濁した。ビーズからEpCAM+細胞を放出するために、4uLの放出バッファー(DNAse)(キット中に提供される)(Invitrogen、Carlsbad、CA)をチューブに追加した。チューブは、緩やかな回転に設定したMACSmix(Invitrogen、Carlsbad、CA)において室温で15分間インキュベートした。チューブの内容物は、1mLピペットを用いて勢いよく少なくとも5〜10回ピペットで移し、次いで、2分間、磁石中に置いた。放出された細胞を有する上清は、RPMI培地であらかじめコーティングした15mLチューブ中に移入した。試料をプールした。ビーズは、バッファー3(200μL)中に再懸濁し、ビーズはもう一度勢いよくピペットで移し、2分間、磁石に戻した。上清は、非結合EpCAM+細胞を含有した。
【0254】
細胞画分は、実施例3に記載されるプロトコールを使用して、EpCAMについて標識した。EpCAM抗体についてのアイソタイプコントロール(マウスIgG1)(eBioscience、San Diego、CA)を使用した。結果は、図10に示す。データは、細胞の混合集団からEpCAM+細胞を除外するのに成功したことを実証した(図9下、3番目および4番目のパネルを参照されたい)。EpCAM陰性細胞の回収効率は、93%であると計算された。EpCAM陽性細胞の回収効率は、9%であると計算された。
【0255】
実施例5:EpCAM+細胞の除外は、パンサイトケラチン+細胞およびTRA−1−60細胞を同時に除外する。
この実験では、抗EpCAM Dynabeads(Invitrogen、Carlsbad、CA)をバイアル中に再懸濁し、目的のEpCAM発現細胞当たり25のビーズを、15mLチューブに移入した(目的の集団の5%であることを仮定−5%は、集団におけるEpCAM+細胞の数の推定値に選んだ。5%は、hES細胞からin vitroで分化した乏突起膠細胞前駆体の前の集団において見られた上限よりも高い)。同じ容量または少なくとも1mLのバッファー1(PBS/0.1%ヒト血清アルブミン)を、使用に先立ってビーズを洗浄するためにチューブに追加し、混合した。チューブは、1分間、磁石中に置き、上清を廃棄した。チューブを磁石から取り出し、洗浄した。Dynabeadsは、Dynabeadsの初めの容量と同じ容量のバッファー1中に再懸濁した。
【0256】
試料2e7/mL細胞(hES細胞からin vitroで分化した乏突起膠細胞前駆細胞を含む細胞の混合集団)を調製するために、冷バッファー2(PBS/0.1%ヒト血清アルブミン/2mM EDTA)中に再懸濁した。EpCAM+細胞を除外するために、Dynabeadsを調製試料に追加し、次いで、緩やかな回転に設定したMACSmix(Invitrogen、Carlsbad、CA)において2〜8℃で30分間インキュベートした。チューブは、2分間、磁石中に置いた。EpCAM除外細胞を含有する上清は、氷上で保存した。
【0257】
細胞画分は、実施例3に記載されるプロトコールを使用して、EpCAM、TRA−1−60、およびPCKについて標識した。抗体についてのアイソタイプコントロール(マウスIgG1、マウスIgM)(eBioscience、San Diego、CA)を使用した。結果は、図11に示す。データは、細胞の混合集団からEpCAM+細胞を除外するのに成功したことを実証した(図11下、3番目および4番目のパネルを参照されたい)。EpCAM陰性細胞の回収効率は、96%であると計算された。さらに、EpCAMの除外は、TRA−1−60+細胞集団およびPCK+細胞集団の両方のパーセンテージを低下させた。
【0258】
実施例6:EpCAM/TRA1−60除外ヒト乏突起膠細胞前駆細胞は、ラット脊髄においてより少数の上皮構造を形成した。
この実験は、動物モデルとしてラットを使用し、in vivoでの集まって塊になった上皮形成に対する対象外の表現型の除外の効果を調査した。集まって塊になった上皮構造において高度であることが期待されるヒト乏突起膠細胞前駆体のロットをこの研究のために特に選んだ。胸部の高さに脊髄挫傷傷害を有するラットの2群は、EpCAM+/TRA 1−60+細胞を除外したまたはしていないヒト乏突起膠細胞前駆細胞の脊髄内注射を受けた。6か月後に、動物は、潅流し、脊髄を除去し、縦断面で薄片に切った。傷害の部位に対して約1cm頭側および1cm尾側にわたる脊髄組織は、ヘマトキシリンおよびエオシンを用いて染色し、集まって塊になった上皮構造について検査した。結果は、表2に示す。
【0259】
【表2】

【0260】
本発明の多くの修飾および変形は、当業者らに明らかであるように、その精神および範囲から逸脱することなく成すことができる。本明細書において記載される特定の実施形態は、例のみのために提示され、決して限定を意味するものではない。本明細書および実施例は、例示的なものとして考えられるのみであり、本発明の正確な範囲および精神は、以下の請求項によって示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)対象外の表現型の細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団とを接触させるステップと、b)リガンドが結合した対象外の表現型の細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含むpPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法。
【請求項2】
対象外の表現型の細胞が上皮細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上皮細胞がサイトケラチンを発現する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上皮細胞がEpCAMを発現する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
EpCAMを発現する1つまたは複数の細胞がTRA−1−60をも発現する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
リガンドが抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
抗体がEpCAMに特異的に結合する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
リガンドが固体担体に結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
固体担体がビーズである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ビーズが磁気ビーズである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
リガンドが結合した対象外の表現型の細胞の、細胞の混合集団の残りからの分離が、細胞の混合集団に外部の力を加えることによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
外部の力が磁場によって提供される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
細胞の混合集団が目標とする表現型を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
目標とする表現型が、乏突起膠細胞、心筋細胞、島細胞、造血細胞、肝細胞、骨芽細胞、および軟骨細胞から選ばれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
目標とする表現型が乏突起膠細胞である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
目標とする表現型が心筋細胞である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)上皮細胞によって発現される1つまたは複数のマーカーに特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団とを接触させるステップと、b)a)のリガンドが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、対象外の表現型の細胞を含むpPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法。
【請求項18】
細胞の混合集団における対象外の表現型の細胞の数を低下させるための方法であって、a)上皮細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団とを接触させ、かつ、未分化pPS細胞に特異的に結合する1つまたは複数のリガンドと細胞の混合集団とを接触させるステップと、b)リガンドが結合した細胞を細胞の混合集団の残りから分離し、それによって、細胞の混合集団から対象外の表現型の細胞の数を低下させるステップとを含み、細胞の混合集団は、pPS細胞のin vitro分化子孫を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−531207(P2012−531207A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517776(P2012−517776)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/040013
【国際公開番号】WO2010/151782
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(595161223)ジェロン・コーポレーション (32)
【氏名又は名称原語表記】GERON CORPORATION
【Fターム(参考)】