説明

対象者の呼吸に同調するためのシステム及び方法

呼吸器具(10)は、対象者の呼吸に同調するように構成される。前記対象者の呼吸は、前記対象者に緩和を供するために、交感神経活動を低下させるよう、及び/又は、交感神経の/副交感神経のバランスを整復するよう、前記対象者の自律神経系を調節するように同調される。呼吸器具(10)は、前記対象者の呼気を制限するが、実質的に妨害されない吸気を可能にし、緩和を高める方法で、前記対象者の呼吸に影響を及ぼす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年3月20日に出願された、米国特許出願番号61/161,881号“SYSTEM AND METHOD FOR ADJUSTING TIDAL VOLUME OF A SELF−VENTILATING SUBJECT”及び2007年8月9日に出願された、米国特許出願番号11/836,292号“SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING BREATHING RATE”に関連する。これらの関連出願の全ては、その内容が、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、呼気を制限し、一方で、実質的に妨害されない(unencumbered)吸入を可能にする、呼吸器具を使用する、対象者の呼吸の同調に関連する。
【背景技術】
【0003】
高血圧は、大概の西洋文化における、重大な問題であり、脳卒中や心臓発作に関する根底の問題である。“Silent killer”と呼ばれ、高血圧は、4人のアメリカ人のおよそ1人に影響を及ぼし、複数の欧州社会において、さらに高率発生で起こる。高血圧はまた、閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)患者集団における、共存症の(co−morbid)要因として認定を受けており、最近の調査では、OSAに関して治療を求めている患者の80%もの人が、無意識のうちにこの病気に患っているかもしれないということを示している。
【0004】
複数の従来のシステム及び方法が存在し、より低血圧といった、生理学的効果を供するであろう方法で、患者に、呼吸を修正する(alter)ことを促す。しかしながら、これらのシステム及び方法は、通常、使用者の移動を実質的に妨害する、器具の使用を必要とする、又は、直接呼吸の合図を送って(cuing)おらず、治療の効果を低減し得る。例えば、呼吸を修正するために通常使用される器具は、比較的大きい形状因子を有する、呼吸可能なガスの加圧されたフローを発生させるために、別個の圧力発生器を必要とする、外部電源を必要とする、並びに/又はそうでなければ、使用するのに快適でない及び/若しくは不便である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一様態は、対象者の呼吸に同調するように構成された呼吸器具に関連する。一実施形態において、呼吸器具は、1つ以上のボディ及び1つ以上のバルブを含む。1つ以上のボディは、対象者の気道の1つ以上の外口(external orifice)を取り囲むよう構成され、当該1つ以上のボディは、対象者の気道の取り囲まれた1つ以上の外口と、周囲雰囲気との間の1つ以上の流路を形成する。1つ以上のバルブは、1つ以上のボディ内に配置され、当該1つ以上のバルブは、(i)1つ以上のボディによって形成された1つ以上の流路内のガスフローに対する追加の(cumulative)吸気抵抗を、周囲雰囲気から1つ以上のボディによって取り囲まれた対象者の気道の1つ以上の外口へと流れるガスに、供するよう、かつ、(ii)1つ以上のボディによって形成された1つ以上の流路内のガスフローに対する追加の呼気抵抗を、1つ以上のボディによって取り囲まれた対象者の気道の1つ以上の外口から周囲雰囲気へと流れるガスに、供するよう、構成される。追加の吸気抵抗は、十分に低く、対象者は、1つ以上のボディを通じて周囲雰囲気を自由に吸入することができる。追加の呼気抵抗は、追加の吸気抵抗よりも高く、対象者に意識がある間、対象者に緩和(relaxation)を供するために、交感神経活動を減少させるよう、及び/又は、交感神経の/副交感神経のバランスを整復する(reduce)よう、対象者の自律神経系を調節するように対象者の呼吸に同調するよう選択される。
【0006】
本発明の他の様態は、対象者の呼吸に同調する方法に関連する。一実施形態において、前記方法は、対象者の気道の1つ以上の外口を取り囲み、1つ以上の流路が、対象者の気道の取り囲まれた1つ以上の外口と、周囲雰囲気と、の間で形成される、段階と;吸入の間、1つ以上の流路内のガスフローに対する追加の(cumulative)吸気抵抗を、周囲雰囲気から対象者の気道の取り囲まれた1つ以上の外口へと流れるガスへと、供給する段階であって、前記追加の吸気抵抗は、十分に低く、対象者は1つ以上の流路を通る周囲雰囲気から自由に吸入することができる、段階;及び、呼気の間、1つ以上の流路内のガスフローに対する追加の(cumulative)呼気抵抗を、対象者の気道の1つ以上の取り囲まれた外口から周囲雰囲気へと流れるガスに、供する段階であって、前記追加の呼気抵抗は、前記追加の吸気抵抗よりも高く、対象者に意識がある間、対象者に緩和を供するために、交感神経活動を減少させるよう、及び/又は、交感神経の/副交感神経のバランスを整復するよう、対象者の自律神経系を調節するように対象者の呼吸に同調するよう選択される。
【0007】
本発明の他の様態は、対象者の呼吸に同調するよう構成されたシステムに関連する。一実施形態において、当該システムは、対象者の気道の1つ以上の外口を取り囲む手段であって、1つ以上の流路が、前記対象者の気道の取り囲まれた1つ以上の外口と周囲雰囲気との間に形成される、手段;吸入の間、前記一つ以上の流路内のガスフローに対する追加の吸気抵抗を、周囲雰囲気から前記対象者の気道の取り囲まれた1つ以上の外口へと流れるガスに、供する手段であって、前記追加の吸気抵抗は十分低く、前記対象者は、前記1つ以上の流路を通じて、周囲雰囲気から自由に吸入できる、手段;呼気の間、前記一つ以上の流路内のガスフローに対する追加の呼気抵抗を、前記対象者の気道の取り囲まれた1つ以上の外口から周囲雰囲気へと流れるガスに、供する手段であって、前記追加の呼気抵抗は、前記追加の吸気抵抗よりも高く、対象者に意識がある間、対象者に緩和を供するために、交感神経活動を減少させるよう、及び/又は、交感神経の/副交感神経のバランスを整復するよう、対象者の自律神経系を調節するように対象者の呼吸に同調するよう選択される、手段;を含む。
【0008】
本発明のこれら及び他の目的、特徴及び特性、さらに、構造の関連する構成要素に関する動作方法及び機能、そして、各部分と製造の経済性との連係は、同種の参照番号が種々の図面の対応する部分を指定し、すべてが本明細書の一部を構成する、添付の各図面を参照して、以下の説明及び添付する特許請求の範囲を考察することにより、より明らかになるであろう。図面は、例示及び説明だけの目的のためであり、本発明を制限するものではない、ということが、明確に理解されるべきあろう。さらに、ここでの如何なる一実施形態で示される又は述べられる構造的特徴は、他の実施形態においても同様にすることができるということが理解されるべきである。しかしながら、図面は、例示及び説明だけの目的のためであり、本発明の制限の定義として意図されないということが、はっきりと理解されるであろう。本明細書及び特許請求の範囲で使用されるような、“a”、“an”及び“the”の単数形は、コンテクストがそうでないことを明確に定めない限り、複数の指示対象を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の1つ以上の実施形態に係る、対象者の呼吸に同調するよう構成された呼吸器具を説明する。
【図2】図2は、本発明の1つ以上の実施形態に係る、対象者の呼吸に同調するよう構成された呼吸器具を説明する。
【図3】図3は、本発明の1つ以上の実施形態に係る、呼吸器具の呼気に対する追加の抵抗が、呼気の間、呼吸器具内の圧力に与える影響を説明するためのプロットである。
【図4】図4は、本発明の1つ以上の実施形態に係る、呼吸器具の呼気に対する追加の抵抗が、呼吸器具を使用している対象者による呼吸速度に与える影響を説明するためのプロットである。
【図5】図5は、本発明の1つ以上の実施形態に係る、対象者の呼吸に同調するよう構成されたシステムを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態に係る、対象者12の呼吸に同調するよう構成された呼吸器具10を説明する。対象者12の呼吸の同調は、対象者12に緩和を供するために、交感神経活動を減少させるよう、及び/又は、交感神経の/副交感神経のバランスを整復するよう、対象者12の自律神経系を調節するよう構成される。呼吸器具10は、対象者12の呼気時間を延ばすよう、対象者12の呼気を制限し、その後、意図された(intended)方法で、対象者12の自律神経系に影響を与える。対象者12の呼吸の同調は、呼吸速度及び/又は1回換気量に関連する、対象者12の1つ以上の生理的パラメータに、所定の方法で、影響を与えることを含んでも良い。一実施形態において、呼吸器具10は、対象者12の気道の1つ以上の外口(例えば、鼻孔)を取り囲む1つ以上のボディ14及び留め具16を含む。
【0011】
留め具16は、対象者12の気道の1つ以上の外口に亘って、ボディ14を所定の位置に固定する。図1で示される実施形態において、留め具16は、対象者12の頭の周りをループする単一のストラップである。一実施形態において、留め具16は、ボディ14を所定の位置に固定するよう、留め具16の頭を係合する異なる構成を有するヘッドギアを含む。一実施形態において、留め具16は、対象者12の気道の1つ以上の開口部の内部を係合する構造及び/又はボディ14を所定の位置に固定するよう、対象者12の皮膚に取り付ける粘着性のものを含む。(図示しない)ある例において、呼吸器具10は、対象者12の気道を開ける位置で、対象者12の下顎を固定する(例えば、前方に広がった下顎で)及び/又は鼻孔を介する呼吸を促進するよう、対象者12の口を閉じて固定する、口腔装置及び/又はヘッドギアと一体的に実行されても良い及び/又は形成されても良い。
【0012】
図2は、本会時の1つ以上の実施形態に係る、ボディ14の拡大図を示す。図2で見受けられるように、ボディ14は、それらの間に流路を有する、複数の開口部を形成する。一実施形態において、ボディ14の内部は中空であり、如何なる種々の開口部から如何なる他の開口部へのガスのフローに対して、実質的な障害はない。複数の開口部は、1つ以上の対象者界面開口部(subject interface openings)18、吸入ポート20の組及び呼気ポート22の組を含む。対象者界面開口部18は、ボディ14の内側に形成された流路内のガスを、対象者12の気道と連絡する。更に下記で述べられるように、ボディ14は、吸入の間、周囲雰囲気から対象者12の気道の1つ以上の外口へのガスを運ぶ、吸入ポート20と対象者界面開口部18との間の、第1のサブセットの流路を形成する。ボディ14は、呼気の間、対象者12の1つ以上の外口から周囲雰囲気へのガスを運ぶ、呼気ポート22と対象者界面開口部18との間の、第2のサブセットの流路を形成する。
【0013】
一実施形態において、対象者界面開口部18は、気道包囲部材24によって形成される。図2は、対象者12の鼻孔を取り囲む鼻枕として気道包囲部材24を描く。気道包囲部材24は、ボディ14の残部から選択的に取り外し可能である。これにより、衛生的な目的で、気道包囲部材24のクリーニング及び/若しくは交換、並びに/又は、個人的嗜好に基づく対象者12による気道包囲部材24の選択(例えば、種々のサイズ、種々のサイズの開口部を有する部材から、など)を促進するであろう。
【0014】
吸入ポート20の組において、呼吸器具10は、吸入バルブ26の組を含む。吸入バルブ26により、ガスは、周囲雰囲気から吸入ポート20を通ってボディ14内に形成された流路へと、比較的自由にフローできるが、ボディ14内から吸入ポート20を取って周囲雰囲気へのガスのフローを、実質的に抵抗する又は封じることができる。例えば、吸入バルブ26は、ガスが、周囲雰囲気からボディ14へと自由にフローできるが、ボディ14内のガスが、周囲雰囲気へとフローすることを防ぐ、“ワンウェイ”バルブであっても良い。それ自体は、吸入ポート20と対象者界面開口部18との間のボディ内に形成された流路により、吸入の間、ガスは、吸入ポート20から対象者界面開口部18へと及び対象者12の鼻孔へと自由に引き込まれる。しかしながら、呼気の間、吸入バルブ26は、対象者界面開口部18から吸入ポート20への、ボディ14内に形成された第1のサブセットの流路を通った、対象者12の鼻孔から周囲雰囲気への吐出されたガスのフローに、実質的に抵抗する又は封じる。一実施形態において、吸入バルブ26は、ボディ14の残部から選択的に取り外し可能である。これにより、バルブ27及び/又は14のクリーニングを促進し、バルブ26を衛生的な目的で交換することができ得る。又は、もし吸入バルブ26の1つが停止するなら、正しく機能することをすることを促進する。
【0015】
ここで使用されるような、吸入ポート20を通って周囲雰囲気から“自由に”通るガスは、比較的少量の抵抗を経るガスフローを参照し、このガスの吸入は、呼吸器具10無しでの吸入として、対象者のその部分に費やす、おおよそ同じ量の努力を必要とする。例えば、一実施形態において、周囲雰囲気からボディ14へと流れるガスに対する、吸入バルブ26の抵抗は十分に小さく、対象者12によるボディ14を介して吸入されたガスに対する、呼吸器具10の追加の抵抗は、おおよそ0.025cmHO/LPM(30LPMフローで)と等しい又はそれより小さい。一実施形態において、周囲雰囲気からボディ14へと流れるガスに対する、吸入バルブ26の抵抗は十分に小さく、ボディ14を介して対象者12により吸入されたガスに対する、呼吸器具10の追加の抵抗は、おおよそ0.017cmHO/LPM(30LPMフローで)と等しい又はそれより小さい。追加の抵抗は、呼吸器具10を通る、呼吸器具10内の第1の組の開口部へと入る、及び、呼吸器具10内の第2の組の開口部を介して呼吸器具10から出る、ガス容量に関して、呼吸器具10の全体の抵抗である。
【0016】
呼気ポート22の組において、呼吸器具10は、呼気バルブ28の組を含む。呼気バルブ28は、対象者12の鼻孔と周囲雰囲気との間で、対象者界面開口部18と呼気ポート22との間のボディ14内に形成された第2のサブセットの流路内の、ガスのフローを調整する。具体的には、呼気バルブ28は、呼気の間、第2のサブセットの流路内でで、対象者12の鼻孔から周囲雰囲気へのガスのフローに対して、抵抗を供する。呼気バルブ28によって、呼気ガスのこれらのフローに対して供された抵抗は、主に、対象者12の鼻孔から吐出されているガスに、呼吸器具10の追加の抵抗を特徴づける。実際に、もし吸入バルブが、ボディ14内から周囲雰囲気へのガスフローに対向して吸入ポート20を封じるなら、そのとき、対象者12の鼻孔を通って周囲雰囲気へと吐出されたガスのフローに対する、呼気バルブ28の追加の抵抗は、対象者12の鼻孔から吐出されたガスに対する、呼吸器具の追加の抵抗である。
【0017】
ボディ14を通って周囲雰囲気へと吐出されたガスのフローに対する、呼気バルブ28の追加の抵抗は、(所定の呼吸速度での、邪魔されていない呼吸と比較して)同じ呼吸努力での、呼気ガスのフローを低減し、ボディ14と周囲雰囲気との間で圧力差を生成する。時々、ボディ14の呼気に対する追加の抵抗に応答して、対象者12は、ボディ14を通る呼吸時に、フロー及び圧力が増大する程度に、呼吸努力を増大させても良い。説明の目的で、図3は、増大された追加の抵抗が、ボディ14内の内部圧力を増大させる様態を示すプロットである(より小さい開口サイズが、呼気に対する、より大きい追加の抵抗である。)。周囲雰囲気への呼気ガスの、この低減された流速と、それに付随するボディ14の内部と周囲雰囲気との間の圧力差の増大により、対象者12は、自分の呼吸及び呼吸数減少を、より緩和されたペースへと取り組む必要がある。具体的には、呼気に対するボディ14の追加の抵抗を通じて達成された呼気流速の低減は、呼気時間及び全体の呼吸期間を延ばす。
【0018】
少なくとも最初には、呼吸の1回換気量は、より低い呼吸速度を補うよう、膨張したレベルに増大させる傾向があろう。時間とともに、対象者12がリラックスし、換気に関する要求が低減されるので、1回換気量は、自律神経系覚醒が弱まり、呼吸速度及び1回換気量が平衡値に落ち着くにつれて、この膨張されたレベルから減少するであろう。しかしながら、これらの平衡値は、依然、対象者12の妨害されない呼吸とは異なるであろう。具体的には、1回換気量は、妨害されない呼吸に関して増大するであろうし、呼吸速度は、妨害されない呼吸に関して減少するであろう。例えば、図4は、呼気に対する異なる追加の抵抗が、呼吸速度に与えるであろう影響を説明するプロットである。具体的には、図4は、対象者が意識のある間、追加の抵抗が、対象者の呼吸の同調に与えるであろう影響を説明するプロットである。呼吸器具10による呼気フローの制限は、また、対象者が眠っている間、対象者の呼吸に同調する傾向があろう。
【0019】
一実施形態において、器具10の使用者は、呼気の間、制限されたフローに対して、いきみ(strain)無く指示されても(instructed)良い。対象者による過度のいきみは、呼吸器具10内の圧力を、呼吸器具10の治療的価値を減少させるレベルにまで増大させるかもしれず、自律神経系に、所望の方法で影響を与えることを可能にしないかもしれない。指示は、呼吸器具10上のテキスト供与(text provide)、1つ以上のピクチャ、可聴式の機器及びスラッシュまたは他の指示の形態で供されても良い。
【0020】
図1に戻って、上述された対象者12の呼吸への効果を供するために、呼吸機器10の呼気バルブ28及び/又は吸入バルブ26は、およそ0.025及びおよそ2.0cm−HO/LPM(10LPMフローで)の間の呼気に対する追加の抵抗を供するよう構成されても良い。一実施形態において、呼気に対する追加の抵抗は、およそ0.025及びおよそ1.0cm−HO/LPM(10LPMフローで)の間であっても良い。一実施形態において、呼気に対する追加の抵抗は、およそ0.025及びおよそ0.45cm−HO/LPM(10LPMフローで)の間であっても良い。一実施形態において、呼気に対する追加の抵抗は、およそ0.15及びおよそ0.45cm−HO/LPM(10LPMフローで)の間であっても良い。
【0021】
一実施形態において、呼気バルブ28は、呼気の間、対象者12の鼻孔から周囲雰囲気へと流れるガスに関するのに比べて、吸入の間、周囲雰囲気からボディ14を通って対象者12の鼻孔へと流れるガスに対して、異なる抵抗を有する(例えば、呼気バルブ28は、吸入の間、“閉じて”いても良い。)。一実施形態において、呼気バルブ28は、固定抵抗きであり、ガスが流れている方向に関らず、ガスフローに対して同じ抵抗を有する。これらの実施形態のいずれにおいて、吸入の間、周囲雰囲気からのガスに関するボディ14の主吸入(primary inlets)は、吸入ポート20での吸入バルブ26を通るガスであろう。したがって、周囲雰囲気からボディ14を通って対象者12の鼻孔への吸入ガスのフローに対する追加の抵抗は、吸入ポート20のおかげで十分低く、対象者12は、ボディ14を介して自由に吸入することができる。
【0022】
上で議論されたように、ボディ14を介する対象者12による呼気の間、吸入バルブ26は、ボディ14から周囲雰囲気へのガスのフローを防ぐ。この妨害は、吸入ポート20を実質的に封止することにより、及び/又は、吸入ポート20を通るガスのフローを実質的に制限することにより、達成されても良い。例として、一実施形態において、吸入バルブ26は、吸入ポート20を実質的に封止する(例えば、およそ2.5LPM(5cmHO圧力で)より小さい又はそれに等しいガスが、吸入ポート20からフローできるように抵抗を供する)。他の例として、一実施形態において、吸入バルブ26は、呼気の間、呼気バルブ28の抵抗が、対象者12の気道から周囲環境へと流れる呼気ガスに対する、ボディ14の追加の抵抗を制御する、ボディ14の内側から周囲雰囲気へのガスのフロー対する呼気バルブ28の抵抗と比較して、十分に高い、ボディ12から出るガスフローに対する抵抗を供する。例えば、およそ10LPMのフロー速度で測定されている下記全てにおいて、ボディ14から周囲雰囲気へと流れる呼気ガスに対する吸入バルブ26の抵抗は、ボディ14から周囲雰囲気へと流れる呼気ガスに対する呼気バルブ28の抵抗よりも、およそ100よりも大きい倍で、小さくても良い。一実施形態において、ボディ14から周囲雰囲気へと流れる呼気ガスに対する、吸入バルブ26の抵抗は、ボディ14から周囲雰囲気へと流れる呼気ガスに対する呼気バルブ28の抵抗よりも、およそ50より大きい倍で、小さくても良い。一実施形態において、ボディ14から周囲雰囲気へと流れる呼気ガスに対する吸入バルブ26の抵抗は、ボディ14から周囲雰囲気へと流れる呼気ガスに対する呼気バルブ28の抵抗よりも、およそ5より大きい倍で小さくても良い。一実施形態において、ボディ14から周囲雰囲気へと流れる呼気ガスに対する吸入バルブの抵抗は、ボディ14から周囲雰囲気へと流れる呼気ガスに対する呼気バルブ28の抵抗よりも、小さく(例えば2より大きい倍で小さく)ても良い。
【0023】
一実施形態において、対象者12の鼻孔から周囲雰囲気へのガスのフローに対する、呼気バルブ28の抵抗は、呼気の間、対象者界面開口部18からボディ14を通って大気へと流れるガスに対する、呼吸器具10の追加の抵抗を調節するよう構成可能である。呼気バルブ28の抵抗を設定するために、バルブ28は、対象者12又は自動制御機構が操作可能である、1つ以上の制御装置と関連付けられても良く、及び/又は、1つ以上の呼気バルブ28は、所望の抵抗を有するバルブによる交換のために、呼気ポート22から選択可能に取り外し可能であっても良い。一実施形態において、呼気バルブ28の選択可能な取り外しは、器具10のクリーニング及び/又は使い古したバルブの交換を容易にし得る。呼気バルブ28の抵抗の調節は、呼気バルブ28と関連づけられたボディ14の1つ以上の開口部の、直径、断面サイズ及び/又は面積を含んでも良い。
【0024】
一実施形態において、呼気ポート22は、別々の呼気バルブを包含することなく、呼気ガスに対する適切な追加の抵抗で供されても良い。例えば、呼気ポート22におけるボディ14内の開口部は、ボディ14内の流路に、呼気ガスに対する適切な追加の抵抗を供するレベルで呼気ガスのフローに抵抗する、形状及び/又はサイズを有して形成されても良い。一実施形態において、ポート22は、図2で説明されているように、ボディ14から突き出なくても良いが、代わりに、ボディ14の外表面に若しくは外表面に亘って広く分布された、バリ(flush)が形成されても良い。
【0025】
別個のバルブとして吸入バルブ26及び呼気バルブ28を含む又は別個のポートで配置されるような、吸入ガスフローと呼気ガスフローとの間の、呼吸器具10の追加の抵抗の違いを生み出す、ボディ14内のバルブの説明は、制限することを意図しない。本開示の範囲は、吸入バルブ26及び呼気バルブ28の機能性が、各々が吸入と呼気とで異なる抵抗を供する、バルブの組によって達成される、呼吸器具10の複数の実施形態を含む。同様に、呼吸器具10は、吸入及び呼気に対して呼吸器具10の追加の抵抗における違いを達成するための、共通のポート内に“並べられた(stacked)”異なるタイプのバルブ(例えば、1つの可変抵抗バルブ及び固定抵抗器で)を含んでも良い。
【0026】
それでもなお、ボディ14を介する自由な吸入を可能にする吸入ポート20と、呼気の間、治療用抵抗を供する呼気ポート22との提供は、他隠逸のポート又はポートの組にバルブを供し、両方が、同じ流路を通じて、自由な吸入及び呼気の間の治療用抵抗を可能にする、実施形態に対して、1つ以上の充実(enhancements)を供し得る。例えば、別々の吸入ポート20及び呼気ポート22を実施することにより、呼吸器具10を、呼気バルブ28に関して、各々の開口部が自由な吸入及び治療用の呼気抵抗を供する必要がある器具で実施されざるを得ないバルブのタイプよりも、より単純で、より信頼可能であり、かつ、安価である(部品及び/又は器具の組み立ての間に関して)、固定抵抗器を使用して形成することができる。同様に、別個に形成された吸入バルブ27及び呼気バルブ28の比較的単純さにより、呼吸器具10の形状因子が高められ得る。例えば、バルブ26、28及び/又は器具10は、一般的に、対象者12の鼻孔の外側に配置され得る(図1及び2の鼻枕構成で示されるように)。対象者12の鼻孔の外側にバルブ26及び28が形成される実施形態において、バルブのいくらか又は全ては、鼻孔の開口部よりもより大きい横断面を有し得、それにより、低減されたバルブ26の吸気抵抗を可能にする。吸入バルブ26から別個の部品での、呼気バルブ28の実施により提供される他の充実は、呼気バルブ28の抵抗を、吸入バルブ26の機能性又は品位(integrity)を妨害することなく、構成可能にすることができる(例えば、交換によって)。
【0027】
一実施形態において、呼吸器具10は、対象者12の気道からの呼気ガスのフローを低減するために、対象者12にセンサリーキュー(sensory cues)を供するよう構成された機構を含む。対象者12の気道からの呼気ガスのフローを低減することは、呼気の間、1つ以上のボディ14により形成された1つ以上の流路と周囲雰囲気との間の差圧を低減し得る。上で議論されているように、呼気バルブ28の抵抗は、対象者12の気道からボディ14への呼気ガスフローが、ボディ14から大気へのガスフローよりも速いので、呼気の間、ボディ14及び対象者12の気道内で増大する圧力を引き起こす。この圧力は、ボディ14の内部と周囲雰囲気との間で圧力差を引き起こす。ボディ14の内部と周囲雰囲気との間の圧力差は、1回換気量を増大させるよう及び/又は呼吸速度を低減されるよう(上述されたように)、対象者12の呼吸に同調する傾向にあろう。気道を通る呼気の流速を自発的に制御することにより、呼気の間、比較的低いレベルで、ボディ14と周囲雰囲気との間の圧力差を維持するように、対象者12にトレーニングすることにより、対象者は、たとえ呼吸器具をもはや使用しない後でさえ、呼気時間を増やす(extend)ようにトレーニングされ得る。このトレーニングされた呼気時間の増大は、対象者12が呼吸器具10を使用している時間周期を超えて(例えば、上述された理由のために)、1回換気量の増大及び呼吸速度の低減に付随して起こるであろう。そのようなものとして、1つ以上のボディにより形成された1つ以上の流路と周囲雰囲気との間の圧力差を低減するための機構によって対象者に供された呼吸指示(breathing cues)は、呼吸器具10でのセラピーセッション(therapy sessions)より長く続く、対象者12の呼吸に、肯定的な影響を及ぼし得る。
【0028】
一実施形態において、1つ以上のボディによって形成された1つ以上の流路と周囲雰囲気との間の圧力差を低減するために、対象者12にセンサリーキューを供するよう構成された機構は、もし、圧力差が、圧力差の閾値を突破するなら、キューを発生させる。非制限的な例として、一実施形態において、センサリーキューは、可聴式のキューである。可聴式のキューは、例えば、ボディ14の内部と周囲雰囲気との間の圧力差が、閾値の圧力差に近付く及び/又は突破するときに合図する、呼気バルブ28にある又は近くにある1つ以上の機構により、供されても良い。この合図は、ボディ14への呼気の流速を低減するために、気道を通る呼気を制御するよう、対象者12への可聴式のキューとして役目を果たす。
【0029】
他の非制限的な例として、一実施形態において、センサリーキューは、可視式キューである。可視式キューは、例えば、呼気バルブ28に又はその近くに配置された移動可能なフラップ(例えば、蝶番又は可撓性部に関して)によって供されても良い。もし、ボディ14の内部と周囲雰囲気との間の圧力差が、圧力差の閾値に近付く及び/又は突破するなら、フラップは、ボディ14から呼気バルブ28を通って大気へのガスのフローによって、ボディ14から離れるよう飛ばされる。フラップの移動は、ボディ14への呼気の流速を低減するよう、気道を通る呼気を制御するために、対象者12に対する可視指揮のキューとして役目を果たす。
【0030】
図5は、本開示の一実施形態に係る、呼吸器具10のブロック図である。図4で示された略図において、ボディ14、吸入ポート20、呼気ポート22、吸入バルブ26及び呼気バルブ28に加え、呼吸器具10は、1つ以上のセンサ30、ユーザーインターフェース31及び処理装置32を含む。
【0031】
センサ30は、呼吸速度及び/又は呼吸の1回換気量と関連した、1つ以上の生理的パラメータに関連する情報を伝達する、1つ以上の出力信号を発生するよう構成される。生理的パラメータは、対象者の呼吸についての呼吸パラメータ、対象者の循環器系パラメータ、神経系パラメータ、並びに/又は、呼吸速度及び/若しくは1回換気量によって左右されるかつ/或いはそれに関連する、他の生理的パラメータを含んでも良い。非制限的な例として、呼吸速度及び/又は呼吸の1回換気量と関連する呼吸パラメータは、呼吸速度、1回換気量、最大流量、呼吸期間、吸入期間、呼気期間及び/又は他の呼吸に関するパラメータを含んでも良い。呼吸速度及び/又は呼吸の1回換気量と関連する循環器系パラメータの例は、脈拍数、脈波形(pulse shape)、血圧、血液酸素化及び/又は他の循環器系パラメータを含んでも良い。例として、対象者の神経系パラメータは、EEG及び/若しくはEMG読み取り(reading)並びに/又は他の神経系パラメータを含んでも良い。
【0032】
一実施形態において、センサ30は、ボディ14上に維持される。非制限的な例として、センサ30は、対象者の気道での又は近く(例えば、ボディ14内での)でのガスの1つ以上のパラメータを示す、1つ以上の出力信号を発生しても良い。1つ以上のパラメータは、流速、圧力及び/又は他のパラメータの1つ以上を含んでも良い。一実施形態において、センサ30は、対象者の1つ以上の循環器系パラメータを示す、1つ以上の出力信号を発生するよう構成される1つ以上のセンサを含んでも良い。そのようなセンサは、例えば、血圧計カフ、脈拍数及び/又は脈波形を検出するよう構成された圧力トランスデューサー、血液酸素化を検出するよう構成された酸素濃度計及び/又は他のセンサを含んでも良い。
【0033】
ユーザーインターフェース31は、使用者が、器具10に情報を供し得、かつ、器具10から情報を受信し得る、器具10とユーザー(例えば、対象者、医療提供者、睡眠同伴者、など)との間のインターフェースを供するよう構成される。これにより、データ、結果及び/又は命令及び如何なる他の伝達可能な事項を、“情報”として一括に参照されて、ユーザーと処理装置32との間で交換することが可能になる。ユーザーインターフェース31への包含に適切なインターフェースデバイスの例は、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、表示スクリーン、タッチスクリーン、スピーカー、マイクロホン、表示灯、警報器及びプリンタを含む。
【0034】
配線接続された又はワイヤレスのいずれかの、他の通信技術もまた、ユーザーインターフェース31として本発明に熟慮されるということが理解されるであろう。例えば、本発明は、ユーザーインターフェース31が、取り外し可能な電子記憶インターフェースと一体化されても良いということを、熟慮する。この例において、ユーザーが器具10の実行をカスタマイズすることを可能にする情報は、取り外し可能な記憶装置(例えば、スマートカード、フラッシュドライブ、リムーバブルディスクなど)から器具10へとロードされても良い。ユーザーインターフェース31として器具10とともに使用するために適合された、他の例となる入力デバイス及び技術は、制限されないが、RS−232ポート、RF link、IR link及びモデム(電話、ケーブル又は他のもの)を含む。要するに、器具10と情報を伝達するための如何なる技術が、ユーザーインターフェース31として、本発明により熟慮される。
【0035】
処理装置32は、呼吸器具10内の機能を処理している情報を供するよう構成される。そのようなものとして、処理装置32は、デジタル処理装置、アナログ処理装置、情報を処理するよう設計されたデジタル回路、情報を処理するよう設計されたアナログ回路、状態機械及び/又は情報を電子的に処理する他の機構の1つ以上を含んでも良い。処理装置32は、図5において単一のとして存在物として示されているが、これは説明的な目的だけのためである。ある実施において、処理装置32は、複数の処理ユニットを含んでも良い。これらの処理ユニットは、同じデバイス内に物理的に配置されても良く、又は、処理装置32は、協働して作動する複数のデバイスの処理機能性を表し得る。
【0036】
図5で示されるように、処理装置32は、1つ以上のコンピュータプログラムモジュールを実行するよう構成され得る。1つ以上のコンピュータプログラムモジュールは、1つ以上のパラメータモジュール34、抵抗モジュール36、制御モジュール38、設定/モードモジュール40、対象者監視モジュール42及び/又は他のモジュールを含んでも良い。処理装置32は、ソフトウェア;ハードウェア;ファームウェア;ソフトウェア、ハードウェア及び/若しくはファームウェアの組み合わせ;並びに/又は処理装置32上で機能を処理する構成の他の機構により、モジュール34、36、38、40及び/又は42を実行するよう構成され得る。
【0037】
モジュール34、36、38、40及び42は、単一の処理ユニット内に共同設置されて図5内に説明されているけれども、処理装置32が多数の処理ユニットを含む実施で、モジュール34、36、38、40及び/又は42の1つ以上が、他のモジュールから離れて配置されても良いということが理解されるべきである。モジュール34、36、38、40及び/又は42のいずれも、述べられるよりも、多くの又は少ない機能性を供し得るように、下記で述べられる、種々のモジュール34、36、38、40及び/又は42により供された機能性の説明は、説明的な目的のためであり、制限するものとして意図されない。例えば、1つ以上のモジュール34、36、38、40及び/又は42は、排除されても良く、その機能性のいくらか又は全ては、モジュール34、36、38、40及び/又は42の他のモジュールによって供されても良い。別の例として、処理装置32は、モジュール34、36、38、40及び/又は42の1つの下に帰する、いくつかの又は全ての機能性を実行し得る、1つ以上の追加のモジュールを実行するよう構成されても良い。
【0038】
パラメータモジュール34は、対象者の呼吸の、1回換気量及び/又は呼吸速度に関連する、1つ以上の生理的パラメータに関連する情報を決定するよう構成される。パラメータモジュール34は、センサ30により発生した出力信号に基づいて、この情報を決定しても良い。1つ以上の生理的パラメータは、対象者の呼吸についての呼吸パラメータ、対象者の循環器系パラメータ、並びに/又は、呼吸速度及び/若しくは1回換気量によって左右される、かつ/或いは、それに関連する他の生理的パラメータの1つ以上を含んでも良い。非制限的な例として、呼吸速度及び/又は呼吸の1回換気量と関連する呼吸パラメータは、呼吸速度、1回換気量、最大流量、呼吸期間、吸入期間、呼気期間、及び/又は他の呼吸パラメータを含んでも良い。呼吸速度及び/又は呼吸の1回換気量と関連する循環器系パラメータの例は、脈拍数、脈波形、血圧、血液酸素化及び/又は他の循環器系パラメータを含んでも良い。
【0039】
図5で説明されるように、呼気バルブ28は、ボディ14の内部から周囲雰囲気へのガス(例えば、呼気ガス)のフローに対する制御可能な抵抗を供するよう構成されても良い。抵抗モジュール36は、対象者による呼気に対する呼吸器具10の追加の抵抗を決定するよう構成されても良い。追加の抵抗は、対象者の呼吸の1回換気量及び/又は呼吸速度に関連する、1つ以上の生理的パラメータを調整するよう、抵抗モジュール36によって決定される。例えば、抵抗モジュール36は、1つ以上の生理的パラメータが、目標値で又はその近くでとどまることを保証するように、呼気に対する追加の抵抗を決定しても良い。目標値は、1つ以上の生理的パラメータに関して、治療的に有益なレベルであり得る。
【0040】
一実施形態において、抵抗モジュール36は、フィードバック方法(feedback manner)で、対象者による呼気に対する、呼吸器具10の追加の抵抗を決定する。この実施形態において、抵抗モジュール36は、1回換気量及び/又は呼吸速度に関連する、1つ以上の生理的パラメータに関する情報の決定をモニタし、1つ以上の生理的パラメータが目標値で又はその近くに保持するよう、呼気に対する追加の抵抗を調節する。
【0041】
一実施形態において、抵抗モジュール36は、1回換気量及び/又は呼吸速度に関連する、1つ以上の生理的パラメータの値が、徐々に目標値に導かれるように、時間とともに徐々に、呼気に対する追加の抵抗を上げるよう構成される。これは、治療のセッションを開始するときに、対象者適合性を増大させ得る傾向にあり、対象者に対する呼吸器具10の快適さを高め得る。一実施形態において、追加の抵抗のランピングは、ランピングアルゴリズムに従い、抵抗モジュール36によって実行される。一実施形態において、追加の抵抗がランピングされる、速度(及び/又は増加量)は、追加の抵抗に対する1つ以上の生理的パラメータの応答に基づいて、決定されても良い。
【0042】
制御モジュール38は、ガスのこのフローに対する、呼気バルブ28の抵抗を制御するよう構成される。より具体的には、制御モジュール38は、ボディ14に、抵抗モジュール36によって決定された、呼気に対する追加の抵抗を供するように、ボディ14の内部からのガスのフローに対する、呼気バルブ28の抵抗を制御する。呼気バルブ28の抵抗を制御することは、呼気バルブ28にこの点で起因する機能性を供するために協同している、単一のバルブ又は複数のバルブを制御することを含んでも良い。
【0043】
設定/モードモジュール40は、呼吸器具10が作動しているモード及び/又は呼吸器具10の設定を制御するよう構成される。呼吸器具10の作動のモードは、複数の異なるモードを含んでも良い。複数の異なるモードは、呼吸同調に関する及び気道支持に関する異なるモードを含んでも良い。これにより、対象者は、1回換気量及び/又は呼吸速度に関連する1つ以上の生理的パラメータに影響を及ぼす呼吸同調に関して、日中の間(又は夜でさえ)呼吸器具10を使用することができるであろうし、かつ、睡眠呼吸障害に関する血用として、気道支持を供するために、就寝時刻に呼吸器具10を使用することができるであろう。設定/モードモジュール40は、これらのモード間で自動的にスイッチを切替えても良く(例えば、所定のタイミング、周囲の放射レベル、モーションセンサ及び/又は他のセンサ若しくは検出器に基づいて)、及び/又は、設定/モードモジュール40は、対象者に関する入力に基づいて、これらのモード間でスイッチを切替えても良い(例えば、ユーザーインターフェース31を介して)。
【0044】
呼吸器具10の設定は、呼気に対するボディ14の追加の抵抗が調節される方法を制御する設定を含む。例えば、設定は、1つ以上の生理的パラメータの目標値を指示する設定、ボディ14の追加の抵抗が、使用の開始時に増加されるかどうかを指示する設定、呼気に対するボディ14の追加の抵抗がランピングされる速度、吸気抵抗、最大又は最小圧力、呼吸サイクルに亘る圧力プロファイル、センサリーパラメータ(sensory parameter)に影響する所定の制御機能(例えば、低減された血圧又は交感神経活性の、対象者の目標に届くように、抵抗を系統的に増大させること、など)、を指示する設定及び/又は他の設定を含んでも良い。
【0045】
対象者監視モジュール42は、呼吸器具10から治療を受けている対象者を監視するよう構成される。これは、呼吸器具10から対象者が受けた治療の量をモニタリングすることを含む。非制限的な例として、対象者が受けた治療の量は、呼吸器具10が使用される時間の量、1回換気量及び/若しくは呼吸速度と関連する1つ以上の生理的パラメータに対する影響、1つ以上の生理的パラメータが目標値を満たす時間の量、並びに/又は、対象者が受けた治療の量を定量化する他の機構の観点で定量化されても良い。
【0046】
図5における呼吸器具10に起因する特徴および機能性の少なくともいくらかは、処理装置32といった電子処理装置を含まない実施形態で実施されても良いということが理解されるであろう。非制限的な例として、呼吸器具10は、呼吸器具10上の供された非電子インターフェースによって、使用者により手動で選択される作動の複数のモードを含んでも良い。例えば、ユーザーインターフェース31は、呼気バルブ28の抵抗を機械的に調節するダイヤル又はノブを含んでも良い。ダイヤル又はノブは、種々の設定(例えば、呼吸同調、圧力支持、など)に対応する、複数の位置を指し示しても良い。同様に、呼吸器具10の1つ以上の設定は、対象者によって手動で調節されても良い。例えば、ユーザーインターフェース31は、ノブ、ダイヤル、レバー、スイッチ及び/又は抵抗設定間で呼気バルブの抵抗を機械的に調節する他のインターフェースを含んでも良い。
【0047】
他の例として、呼気バルブ28に関して上述された抵抗の段階的なランピングは、バルブ28を通るガスフローを段階的に制限する機械的機構により達成され得る(例えば、バルブ28に形成された1つ以上の開口部の直径及び/又は横断面を段階的に制限することにより)。例えば、記憶性高分子が、バルブ28に形成された1つ以上の開口部内に挿入されても良い。記憶性高分子は、拡大されて縮小され得る(例えば、挿入されたプラグによって)。バルブ28は、バルブ28と関連する開口部を閉じるために、膜(又は複数の膜)を引く又は押す、記憶性金属/高分子/ナノ構造を含んでも良い。膜/記憶性構造が、リセット機構によって、始めの開放位置に配置される後に。バルブ28は、バルブ28にある開口部をゆっくりと閉じるために、膜(又は複数の膜)を圧迫している呼吸圧力によって解除される、バネベースのクロックライク機構(spring−based clock−like mechanism)を含んでも良い。バルブ28は、バルブ開口部をゆっくり閉じるために、ロッキングラチェットクロック機構(rocking−ratchet clock mechanism)(固定された又は予めプログラムされた、発動時間の)を含んでも良い。抵抗に傾斜をつけるための、バルブ28と関連するバルブ開口部をゆっくり閉じるための他の機構も熟慮される。
【0048】
一実施形態において、電子処理装置からの制御無しで、時間とともに抵抗にゆっくりと傾斜をつけるために、バルブ28に含まれる機械的機構は、起動制御を含んでも良い。起動制御は、必要に応じて、対象者又は眠っている間、対象者の近辺にいる別の個人(例えば、配偶者、両親、治療提供者、など)によって作動されても良い。
【0049】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられていることに基づいて、説明の目的で詳細に述べられてきたが、そのような詳細は単にそのような目的のためであり、本発明は、開示された実施形態に制限されず、それどころか、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内の変更及び等価のアレンジをカバーすることが意図される、ということが理解されるであろう。例えば、本発明は、可能な程度で、如何なる実施形態の1つ以上の特徴を、如何なる他の実施形態の1つ以上の特徴と結合することができるということを熟慮する、ということが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の気道の1つ以上の外口を取り囲むように構成された1つ以上のボディであって、当該1つ以上のボディは、前記の取り囲まれた前記対象者の気道の1つ以上の外口と、周囲雰囲気と、の間の1つ以上の流路を形成する、1つ以上のボディ;及び
前記1つ以上のボディ内に配置された1つ以上のバルブであって、当該1つ以上のバルブは、(i)前記1つ以上のボディによって形成された前記1つ以上の流路内のガスフローに対する追加の吸気抵抗を、周囲雰囲気から前記1つ以上のボディによって取り囲まれた前記対象者の気道の1つ以上の外口へと流れているガスに、供するよう、かつ、(ii)前記1つ以上のボディによって形成された前記1つ以上の流路内のガスフローに対する追加の呼気抵抗を、前記1つ以上のボディによって取り囲まれた前記対象者の気道の1つ以上の外口から周囲雰囲気へと流れているガスに、供するよう、構成される、1つ以上のバルブ;
を含み、
前記追加の吸気抵抗は十分低く、前記対象者は前記1つ以上のボディを通じて周囲雰囲気を自由に吸入することができ、
前記追加の呼気抵抗は、前記追加の吸気抵抗よりも高く、かつ、前記対象者が意識のある間、前記対象者に緩和を供するために、交感神経活動を低下させるよう、及び/又は、交感神経の/副交感神経のバランスを整復するよう、前記対象者の自律神経系を調節するように前記対象者の呼吸の同調を行うよう選択される、
対象者の呼吸に同調するよう構成された呼吸器具。
【請求項2】
前記対象者の呼吸の前記同調は、呼吸についての呼吸速度及び/又は1回換気量と関連する生理的パラメータを、所定の方法で調節する、請求項1に記載の呼吸器具。
【請求項3】
前記1つ以上のバルブは、前記生理的パラメータに基づいて、前記追加の呼気抵抗のフィードバック制御を可能にするよう構成される、請求項2に記載の呼吸器具。
【請求項4】
前記生理的パラメータに関連する情報を伝達する1つ以上の出力信号を発生させるように構成された1つ以上のセンサ;及び
前記1つ以上のセンサと作動連絡する処理装置であって、当該処理装置は、前記1つ以上のセンサによって発生した前記1つ以上の出力信号に基づいて、フィードバック方法で前記追加の呼気抵抗を制御するよう、前記1つ以上のバルブの作動を自動的に調節するよう構成される、処理装置;
を更に含む、請求項3に記載の呼吸器具。
【請求項5】
前記生理的パラメータは、呼吸速度、1回換気量、脈拍数又は血圧の1つ以上を含む、請求項2に記載の呼吸器具。
【請求項6】
前記1つ以上のボディによって形成された前記1つ以上の流路と、周囲雰囲気との間の圧力差を、前記圧力差が、圧力差に関する閾値を超える場合に限り、減らすように前記対象者を刺激する、前記対象者に対する呼吸に関するキューを発生させるよう構成された、トレーニングキュー発生器を更に含む、請求項1に記載の呼吸器具。
【請求項7】
対象者の気道の1つ以上を取り囲む段階であって、1つ以上の流路が、前記の取り囲まれた前記対象者の気道の1つ以上の外口と、周囲雰囲気と、の間に形成される、段階;
吸入の間、前記1つ以上の流路内のガスフローに対する追加の吸気抵抗を、周囲雰囲気から前記の取り囲まれた前記対象者の気道の1つ以上の外口へと流れるガスに、供する段階であって、前記吸気抵抗は十分低く、前記対象者は、周囲雰囲気から前記1つ以上の流路を介して自由に吸入することができる、段階;及び
呼気の間、前記1つ以上の流路内のガスフローに対する追加の呼気抵抗を、前記の取り囲まれた前記対象者の気道の1つ以上の外口から周囲雰囲気へと流れるガスに、供する段階であって、前記追加の呼気抵抗は、前記追加の吸気抵抗よりも高く、かつ、前記対象者が意識のある間、前記対象者に緩和を供するために、交感神経活動を低下させるよう、及び/又は、交感神経の/副交感神経のバランスを整復するよう、前記対象者の自律神経系を調節するように前記対象者の呼吸の同調を行うよう選択される、段階;
を含む、対象者の呼吸に同調する方法。
【請求項8】
前記対象者の呼吸の前記同調は、呼吸についての呼吸速度及び/又は1回換気量と関連する生理的パラメータを、所定の方法で調節する、請求項7に記載の対象者の呼吸に同調する方法。
【請求項9】
前記生理的パラメータに基づいて、フィードバック方法で前記追加の呼気抵抗を制御する段階を更に含む、請求項8に記載の対象者の呼吸に同調する方法。
【請求項10】
前記生理的パラメータに関連する情報を伝達する1つ以上の出力信号を発生させる段階;及び
発生した前記1つ以上の出力信号に基づいて、フィードバック方法で前記追加の呼気抵抗の細動を自動で調節する段階;
を更に含む、請求項9に記載の対象者の呼吸に同調する方法。
【請求項11】
前記生理的パラメータは、呼吸速度、1回換気量、脈拍数又は血圧の1つ以上を含む、請求項8に記載の対象者の呼吸に同調する方法。
【請求項12】
前記1つ以上の流路と周囲雰囲気との間の圧力差を、前記圧力差が、圧力差に関する閾値を超える場合に限り、減らすように前記対象者を刺激する、前記対象者に対する呼吸に関するキューを発生させる段階を更に含む、請求項7に記載の対象者の呼吸に同調する方法。
【請求項13】
対象者の気道の1つ以上の外口を取り囲む手段であって、前記1つ以上の流路は、前記の取り囲まれた前記対象者の気道の1つ以上の外口と、周囲雰囲気と、の間に形成される、手段;
吸入の間、前記1つ以上の流路内のガスフローに対する追加の吸気抵抗を、周囲雰囲気から、取り囲まれた前記対象者の気道の1つ以上の外口へと、流れているガスに、供する手段であって、前記追加の吸気抵抗は十分低く、前記対象者は、周囲雰囲気から前記1つ以上の流路を介して自由に吸入することができる、手段;及び
呼気の間、前記1つ以上の流路内のガスフローに対する追加の呼気抵抗を、取り囲まれた前記対象者の気道の1つ以上の外口から周囲雰囲気へと流れているガスに、供する手段であって、前記追加の呼気抵抗は、前記追加の吸気抵抗よりも高く、かつ、前記対象者が意識のある間、前記対象者に緩和を供するために、交感神経活動を低下させるよう、及び/又は、交感神経の/副交感神経のバランスを整復するよう、前記対象者の自律神経系を調節するように前記対象者の呼吸の同調を行うよう選択される、手段;
を更に含む、対象者の呼吸に同調するよう構成されたシステム。
【請求項14】
前記対象者の呼吸の前記同調は、呼吸についての呼吸速度及び/又は1回換気量と関連する生理的パラメータを、所定の方法で調節する、請求項13に記載の対象者の呼吸に同調するよう構成されたシステム。
【請求項15】
前記生理的パラメータに基づいて、フィードバック方法で、前記追加の呼気抵抗を制御する手段を更に含む、請求項14に記載の対象者の呼吸に同調するよう構成されたシステム。
【請求項16】
前記生理的パラメータに関連する情報を伝達する1つ以上の出力信号を発生させる手段;及び
発生した前記1つ以上の出力信号に基づいて、フィードバック方法で前記追加の呼気抵抗の作動を自動で調節する手段;
を更に含む、請求項15に記載の対象者の呼吸に同調するよう構成されたシステム。
【請求項17】
前記生理的パラメータは、呼吸速度、1回換気量、脈拍数又は血圧の1つ以上を含む、請求項14に記載の対象者の呼吸に同調するよう構成されたシステム。
【請求項18】
前記1つ以上の流路と周囲雰囲気との間の圧力差を、前記圧力差が、圧力差に関する閾値を超える場合に限り、減らすように前記対象者を刺激する、前記対象者に対する呼吸に関するキューを発生させる手段を更に含む、請求項13に記載の対象者の呼吸に同調するよう構成されたシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−532645(P2012−532645A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519083(P2012−519083)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052713
【国際公開番号】WO2011/004274
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)