説明

封印ペンチ

【課題】封印作業を効率よく実施できるようにする。
【解決手段】グリップ部13を握って把持部1Lと把持部1Rが互いに接近するように軸部材5を中心にして把持部1L,1Rを回動させると、リンク部材2Lとリンク部材2Rは、軸部材6を中心にして封印面3Lと封印面3Rが接近するように回動する。また、把持部1Lと把持部1Rが互いに接近するように回動させると、リンク部材2Lとリンク部材2Rが刃部4Lと刃部4Rが接近するように回動する。これにより、刃部4Lと刃部4Rの間に配置された封印線を刃部4L,4Rにより切断することができる。従って、封印線を切断するために、一々切断用のペンチを使用する必要がないので、封印作業を効率よく実施できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気計量器の端子等を覆うカバーが不正に開放されることを防止すべく封印するための封印部材を圧潰する封印ペンチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高圧需要家の電気計量器を収容する収容ボックスは、電気計量器を固定する基台とこの基台に電気計量器を覆うように取り付けられたカバーとを有している。カバーは、ネジで基台に固定されるようになっている。
【0003】
このような構成において、ネジを外してカバーが勝手に外されることを防ぐために、封印線と、この封印線の両端部に圧着される封印鉛が用いられることが多い。例えば、ネジの頭部には貫通孔が形成され、また、ネジの近傍にカバーと基台とのそれぞれに整合して貫通孔が形成されている。ネジの貫通孔とカバー及び基台の貫通孔に封印線を通してこの封印線の両端部を封印鉛により圧着する。例えば、封印鉛には通孔が穿設されており、ネジ、カバー及び基台の貫通孔に通された封印線の両端部を封印鉛の通孔に通し、その後、封印ペンチにより当該封印鉛を圧潰することで封印線の両端部を封印鉛で結着する。封印線の両端部を封印鉛で結着後、封印ペンチから切断用のペンチに持ち替えて、余分な長さの封印線の端部を切断用のペンチの刃により切断する。
【0004】
この例で、封印ペンチの封印面には識別用の模様が刻まれており、封印ペンチにより圧着された封印鉛には識別用の模様が刻印される。これにより、第3者により封印鉛が取り外された場合には、カバーが不正に開放された可能性があることが判明する。例えば、第3者が、他の封印鉛を用いて封印しても、当該封印鉛には識別用の模様が刻印されていないので、カバーが不正に開放された可能性があることを判明できる。
【0005】
このような従来例に関連して特許文献1には、ビスカッター付きペンチが開示されている。このペンチによれば、ペンチにビスを切断するためのビスカッターが設けられている。このビスカッターは、ビスをねじ込むためのメネジ孔とビスを切断するための切断孔を有する。この例で、ペンチを開いてメネジ孔と切断孔との中心を合わせ、ビスを切断したい所までメネジ孔にねじ込み、ペンチを閉じることによりビスを切断孔で切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08−025232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来例に係る封印作業では、封印線の両端部を封印鉛で結着後、封印ペンチから切断用のペンチに持ち替えて余分な長さの封印線の端部を当該ペンチの刃により切断している。このため、封印ペンチと刃を有した切断用のペンチを使用するため、封印作業の作業工程が増えて封印作業が煩雑になり効率性に問題があった。さらに、少なくとも封印ペンチと切断用のペンチの2つを持ち歩く必要があり、工具の運搬が重荷になっていた。また、特許文献1に係るペンチはビスを切断できるが、封印作業において余分な長さの封印用の封印線の端部を切断することは困難である。
【0008】
そこで、本発明はこのような従来例に係る課題を解決したものであって、封印作業を効率よく実施できるようにした封印ペンチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明に係る封印ペンチは、封印線が挿通された封印部材を圧潰する封印ペンチであって、第1の軸部材により回動自在に係合された第1及び第2の把持部と、前記第1及び第2の把持部からの回動力を伝達するリンク機構と、前記リンク機構から回動力が伝達され、前記封印部材を圧潰する第1及び第2の封印面と、前記リンク機構から回動力が伝達され、前記封印線を切断するカッターとを備えるものである。
【0010】
本発明において、リンク機構は、第2の軸部材により回動自在に係合された第1及び第2のリンク部材を有し、カッターは、第1及び第2の刃部を有している。第1のリンク部材は、一端が第3の軸部材により第1の把持部と回動自在に係合され、他端には第1の封印面及び第1の刃部が設けられている。第2のリンク部材は、一端が第4の軸部材により第2の把持部と回動自在に係合され、他端には第2の封印面が第1の封印面に対峙して設けられ、第2の刃部が第1の刃部に対峙して設けられている。
【0011】
このように構成されているので、第1及び第2の把持部が互いに接近するように第1の軸部材を中心にして回動させると、第1及び第2のリンク部材が第2の軸部材を中心にして回動して第1及び第2の封印面が接近する。これにより、第1の封印面と第2の封印面の間に配置された封印部材を第1及び第2の封印面により圧潰することができる。また、第1の刃部と第2の刃部の間に配置された封印線を第1及び第2の刃部により切断することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る封印ペンチによれば、リンク機構から回動力が伝達されて封印線を切断するカッターを備えるものである。これにより、封印線を切断するために、一々切断用のペンチを使用する必要がないので、封印作業を効率よく実施できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施例としての封印ペンチ100の構成例を示す斜視図である。
【図2】A及びBは、封印ペンチ100の動作例を示す正面図である。
【図3】封印具10の構成例を示す斜視図である。
【図4】封印ペンチ100の封印面3L,3Rにより封印鉛12を圧潰する例を示す図である。
【図5】A及びBは、封印ペンチ100のカッター4により封印紐11を切断する例を示す図である。
【図6】収容ボックス14を封印具10により封印する例を示す図である。
【図7】A及びBは、第2の実施例としての封印ペンチ200の構成例を示す斜視図及び正面図である。
【図8】A及びBは、第3の実施例としての封印ペンチ300の構成例を示す斜視図及び正面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
続いて、図面を参照しながら本発明に係る封印ペンチについて説明する。図1に示す封印ペンチ100は、封印線が挿通された封印鉛などの封印部材を圧潰するものである。封印ペンチ100は、第1の把持部1L、第2の把持部1R、リンク機構2、第1の封印面3L、第2の封印面3R及びカッター4を備えている。把持部1L,1Rは、第1の軸部材5により回動自在に係合されている。この例で、把持部1L,1Rは所定の厚みを有した板金を折り曲げて形成されている。把持部1Lの上部には、孔部を有した係合プレート1a,1aが延設され、把持部1Rの上部には、孔部を有した係合プレート1b,1bが延設されている。把持部1Lの係合プレート1a,1aが、把持部1Rの係合プレート1b,1bの内側に入り込むように組み付けられ、整合された係合プレート1a,1aの孔部と係合プレート1b,1bの孔部に軸部材5が挿通されている。これにより、把持部1L,1Rは軸部材5を中心にして回動する。
【0015】
リンク機構2は、把持部1L,1Rからの回動力を伝達するものである。封印面3L,3Rは、このリンク機構2から回動力が伝達されて封印鉛を圧潰する。カッター4は、リンク機構2から回動力が伝達されて封印線を切断する。
【0016】
この例で、リンク機構2は、第2の軸部材6により回動自在に係合された第1のリンク部材2L及び第2のリンク部材2Rを有している。また、カッター4は、第1の刃部4L及び第2の刃部4Rを有している。リンク部材2Lは、一端が第3の軸部材7により把持部1Lと回動自在に係合され、他端には第1の封印面3L及び第1の刃部4Lが設けられている。この例で、刃部4Lは平板形状を成し、封印面3Lと軸部材6の間に設置されている。刃部4Lは、リンク部材2Lにスポット溶接(抵抗溶接)により結合されている。リンク部材2Rは、一端が第4の軸部材8により把持部1Rと回動自在に係合され、他端には第2の封印面3Rが第1の封印面3Lに対峙して設けられ、第2の刃部4Rが第1の刃部4Lに対峙して設けられている。この例で、刃部4Rは平板形状を成し、封印面3Rと軸部材6の間に設置されている。刃部4Rは、リンク部材2Rにスポット溶接により結合されている。
【0017】
把持部1Lには突起片9Lが設けられ、把持部1Rには、突起片9Lに対峙する位置に突起片9Rが設けられている。これらの突起片9L,9Rは、把持部1Lと把持部1Rが閉じられた際に当接する。これにより、把持部1Lと把持部1Rが閉じる間隔を調整することができる。把持部1L,1Rには、使用者が手で握る部分に複数の凸部が形成されたグリップ部13が設けられている。このグリップ部13は滑り止めとして機能する。
【0018】
続いて、図2を参照して封印ペンチ100の動作例について説明する。図2Aに示す封印ペンチ100は、把持部1Lと把持部1Rが最大に開いた開状態であり、図2Bに示す封印ペンチ100は、把持部1Lと把持部1Rが閉じた閉状態である。図2Aに示す把持部1Lの下端部1cと把持部1Rの下端部1dが互いに接近するように軸部材5を中心にして把持部1L,1Rを回動させると、把持部1Lの上端部1eと把持部1Rの上端部1fが互いに離間するように開く。
【0019】
これにより、把持部1Lの上端部1eに連結されたリンク部材2Lと、把持部1Rの上端部1fに連結されたリンク部材2Rは、軸部材6を中心にして封印面3Lと封印面3Rが接近するように回動する。従って、封印面3Lと封印面3Rの間に配置された封印鉛を封印面3L,3Rにより圧潰することができる。また、把持部1Lの下端部1cと把持部1Rの下端部1dが互いに接近するように回動させると、リンク部材2Lとリンク部材2Rが刃部4Lと刃部4Rが接近するように回動する。これにより、刃部4Lと刃部4Rの間に配置された封印線を刃部4L,4Rにより切断することができる。
【0020】
続いて、図3を参照して封印具10について説明する。図3に示す封印具10は、封印紐11および封印鉛12から構成されている。封印紐11は、化学繊維や天然繊維を撚り合わせて形成されている。もちろん、封印紐11は金属製のワイヤでもよい。封印鉛12は鉛などの軟金属から形成され、封印紐11を通す通孔12a,12aが穿設されている。これらの通孔12a,12aの直径は、封印紐11の直径よりも若干大きく形成されている。これにより、封印紐11を容易に通孔12aに挿通することができ、封印紐11と封印鉛12で形成される環状部11aの大きさを自由に設定できる。
【0021】
続いて、図4及び図5を参照して封印ペンチ100の使用例について説明する。図4に示すように、封印ペンチ100の封印面3Lと封印面3Rの間に封印鉛12を配置し、把持部1Lの下端部1cと把持部1Rの下端部1dが互いに接近するように回動させる。これにより、リンク部材2Lとリンク部材2Rが軸部材6を中心にして封印面3Lと封印面3Rが接近するように回動し、図4に示すように封印鉛12を封印面3Lと封印面3Rにより圧潰することができる。このとき、封印鉛12の通孔12a,12aが潰れて封印鉛12が封印紐11に圧着される。さらに、封印面3Lと封印面3Rに刻印された識別用の模様が封印鉛12に形成される。
【0022】
また、図5Aに示すように、封印ペンチ100のカッター4における刃部4Lと刃部4Rの間に封印紐11を配置し、把持部1Lの下端部1cと把持部1Rの下端部1dが互いに接近するように回動させる。これにより、リンク部材2Lとリンク部材2Rが軸部材6を中心にして刃部4Lと刃部4Rが接近するように回動し、図5Bに示すように封印鉛12を刃部4Lと刃部4Rにより切断することができる。
【0023】
続いて、図6を参照して封印ペンチ100の応用例について説明する。この例では、電気計量器を収容する収容ボックス14を封印具10により封印する例について説明する。収容ボックス14は、電気計量器を固定する不図示の基台とこの基台に電気計量器を覆うように取り付けられたカバー14aとを有している。カバー14aは、ネジ14cで基台に固定されるようになっている。
【0024】
このような構成において、ネジ14cを外してカバー14aが勝手に外されることを防ぐために封印具10の封印紐11と、この封印紐11の両端部に圧着される封印鉛12を用いる。例えば、ネジ14cの頭部には貫通孔14dが形成され、また、カバー14aには、ネジ14cの近傍に係止片14bが設けられている。
【0025】
ネジ14cによりカバー14aを基台に固定した後、ネジ14cの貫通孔14dとカバー14aの係止片14bに封印紐11を通すと共に、封印鉛12の通孔12a,12aに封印紐11を通す。その後、図4に示したように封印ペンチ100の封印面3L,3Rにより封印鉛12を圧潰することで封印紐11の両端部を封印鉛12で結着する。封印紐11の両端部を封印鉛12で結着後、図5A及び図5Bに示したように封印ペンチ100のカッター4により余分な長さの封印紐11の端部を切断して、図3に示した封印紐11の長さから図6に示すように封印紐11を適度な長さに調整する。このように、封印紐11を切断するために、一々切断用のペンチを使用する必要がなく封印ペンチ100のカッター4により封印紐11を切断できるので、封印作業を効率よく実施できるようになる。すなわち、封印ペンチ100は、封印鉛12を圧潰する機能と封印紐11を切断する機能の2つの機能を有している。このように、封印ペンチ100は圧潰処理と切断処理の2つの機能を有しているので、封印紐11を切断するために切断用のペンチに持ち替える必要がなく、さらに切断用のペンチを持ち歩く必要もなく工具の運搬も容易になる。
【0026】
この例で、封印ペンチ100の封印面3L,3Rには識別用の模様が刻まれているので、封印ペンチ100により圧潰された封印鉛12には識別用の模様12bが刻印される。これにより、第3者により封印鉛12が取り外された場合には、カバー14aが不正に開放された可能性があることが判明する。例えば、第3者が、他の封印鉛を用いて封印しても、当該封印鉛には識別用の模様12bが刻印されていないので、カバー14aが不正に開放された可能性があることを判明できる。
【0027】
このように、本発明に係る封印ペンチ100によれば、リンク機構2から回動力が伝達されて封印紐11を切断するカッター4を備えるものである。これにより、封印紐11を切断するために、一々切断用のペンチを使用する必要がないので、封印作業を効率よく実施できるようになる。
【0028】
なお、封印面3Lと封印面3Rが自動的に開くようにリンク部材2Lとリンク部材2Rに引っ張りバネを設ければ、封印ペンチ100を閉じる力を解放した際に、把持部1Lと把持部1Rが、この引っ張りバネの張力により図2Bに示した封印ペンチ100の閉状態から図2Aに示した封印ペンチ100の開状態に自動的に復帰する。
【実施例2】
【0029】
続いて、図7を参照して第2の実施例としての封印ペンチ200について説明する。図7A及び図7Bに示す封印ペンチ200は、封印ペンチ100(図1参照)と比較してカッター40の構成が異なる。なお、第2の実施例において封印ペンチ100と同じ構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0030】
封印ペンチ200は、把持部1L,1R、リンク機構2、封印面3L,3R及びカッター40を備えている。把持部1L,1Rは、軸部材5により回動自在に係合されている。リンク機構2は、軸部材6により回動自在に係合されたリンク部材2L,2Rを有している。カッター40は、第1の刃部40L及び第2の刃部40Rを有している。リンク部材2Lは、一端が軸部材7により把持部1Lと回動自在に係合され、他端には封印面3L及び刃部40Lが設けられている。この例で、刃部40Lは平板形状を成し、封印面3Lと軸部材6の間に設置されている。刃部40Lは、リンク部材2Lにスポット溶接により結合されている。リンク部材2Rは、一端が軸部材8により把持部1Rと回動自在に係合され、他端には封印面3Rが封印面3Lに対峙して設けられ、刃部40Rが刃部40Lに対峙して設けられている。この例で、刃部40Rは平板形状を成し、封印面3Rと軸部材6の間に設置されている。刃部40Rは、リンク部材2Rにスポット溶接により結合されている。刃部40L,40Rは、図7Bに示す矢印P1の方向に対して刃先が略垂直になるように設けられている。
【0031】
続いて、封印ペンチ200の動作例について説明する。封印ペンチ200は、把持部1Lと把持部1Rが最大に開いた開状態である。グリップ部13を握って把持部1Lと把持部1Rが互いに接近するように軸部材5を中心にして把持部1L,1Rを回動させると、リンク部材2Lとリンク部材2Rは、軸部材6を中心にして封印面3Lと封印面3Rが接近するように回動する。従って、封印面3Lと封印面3Rの間に配置された封印鉛12(図3参照)を封印面3L,3Rにより圧潰することができる。また、把持部1Lと把持部1Rが互いに接近するように回動させると、リンク部材2Lとリンク部材2Rが軸部材6を中心にして刃部40Lと刃部40Rが接近するように回動する。これにより、刃部40Lと刃部40Rの間に配置された封印紐11(図3参照)を刃部40L,40Rにより切断することができる。この例では、カッター40の刃部40L,40Rに対して矢印P1の方向から封印紐11を配置する。
【実施例3】
【0032】
続いて、図8を参照して第3の実施例としての封印ペンチ300について説明する。図8A及び図8Bに示す封印ペンチ300は、封印ペンチ100(図1参照)と比較してカッター41の構成が異なる。なお、実施例3において封印ペンチ100と同じ構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0033】
封印ペンチ300は、把持部1L,1R、リンク機構2、封印面3L,3R及びカッター41を備えている。把持部1L,1Rは、軸部材5により回動自在に係合されている。リンク機構2は、軸部材6により回動自在に係合されたリンク部材2L,2Rを有している。カッター41は、第1の刃部41L及び第2の刃部41Rを有している。リンク部材2Lは、一端が軸部材7により把持部1Lと回動自在に係合され、他端には封印面3L及び刃部41Lが設けられている。この例で、刃部41Lは段差形状を成し、この刃部41Lは、軸部材6における長手方向に対して封印面3Lに重なるように設置されている。刃部41Lは、リンク部材2Lにスポット溶接により結合されている。
【0034】
リンク部材2Rは、一端が軸部材8により把持部1Rと回動自在に係合され、他端には封印面3Rが封印面3Lに対峙して設けられ、刃部41Rが刃部41Lに対峙して設けられている。この例で、刃部41Rは段差形状を成し、この刃部41Rは、軸部材6における長手方向に対して封印面3Rに重なるように設置されている。刃部41Rは、リンク部材2Rにスポット溶接により結合されている。
【0035】
続いて、封印ペンチ300の動作例について説明する。封印ペンチ300は、把持部1Lと把持部1Rが最大に開いた開状態である。グリップ部13を握って把持部1Lと把持部1Rが互いに接近するように軸部材5を中心にして把持部1L,1Rを回動させると、リンク部材2Lとリンク部材2Rは、軸部材6を中心にして封印面3Lと封印面3Rが接近するように回動する。また、把持部1Lと把持部1Rが互いに接近するように回動させると、リンク部材2Lとリンク部材2Rが刃部41Lと刃部41Rが接近するように回動する。これにより、刃部41Lと刃部41Rの間に配置された封印紐11(図3参照)を刃部41L,41Rにより切断することができる。
【0036】
この例では、段差形状を成した刃部41L,41Rが軸部材6における長手方向に対して封印面3L,3Rに重なるように設置されているので、封印鉛12を封印する処理と封印紐11を切断する処理を同時に実施することができる。すなわち、封印面3Lと封印面3Rの間に封印鉛12を配置すると共に、刃部41Lと刃部41Rの間に封印紐11を配置して、グリップ部13を握って把持部1Lと把持部1Rが互いに接近するように回動させると、封印鉛12を封印する処理と封印紐11を切断する処理を同時に実施することができる。このとき、封印面3Lと封印面3Rの間には圧潰された封印鉛12が挟まれ、刃部41Lと刃部41Rは夫々刃先が当接して封印紐11を切断した状態である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、例えば電気計量器の端子等を覆うカバーが不正に開放されることを防止すべく封印するための封印部材を圧潰する封印ペンチに適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0038】
1L・・・第1の把持部、1R・・・第2の把持部、2・・・リンク機構、2L・・・第1のリンク部材、2R・・・第2のリンク部材、3L・・・第1の封印面、3R・・・第2の封印面、4,40,41・・・カッター、4L,40L,41L・・・第1の刃部、4R,40R,41R・・・第2の刃部、5・・・第1の軸部材、6・・・第2の軸部材、7・・・第3の軸部材、8・・・第4の軸部材、11・・・封印紐、12・・・封印鉛(封印部材)、100,200,300・・・封印ペンチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封印線が挿通された封印部材を圧潰する封印ペンチであって、
第1の軸部材により回動自在に係合された第1及び第2の把持部と、
前記第1及び第2の把持部からの回動力を伝達するリンク機構と、
前記リンク機構から回動力が伝達され、前記封印部材を圧潰する第1及び第2の封印面と、
前記リンク機構から回動力が伝達され、前記封印線を切断するカッターと、
を備えることを特徴とする封印ペンチ。
【請求項2】
前記リンク機構は、第2の軸部材により回動自在に係合された第1及び第2のリンク部材を有し、
前記カッターは、第1及び第2の刃部を有し、
前記第1のリンク部材は、一端が第3の軸部材により前記第1の把持部と回動自在に係合され、他端には前記第1の封印面及び前記第1の刃部が設けられ、
前記第2のリンク部材は、一端が第4の軸部材により前記第2の把持部と回動自在に係合され、他端には前記第2の封印面が前記第1の封印面に対峙して設けられ、前記第2の刃部が前記第1の刃部に対峙して設けられることを特徴とする請求項1に記載の封印ペンチ。
【請求項3】
前記第1及び第2の刃部は平板形状を成し、前記第1の刃部は、前記第1の封印面と前記第2の軸部材の間に設置され、前記第2の刃部は、前記第2の封印面と前記第2の軸部材の間に設置されることを特徴とする請求項2に記載の封印ペンチ。
【請求項4】
前記第1及び第2の刃部は段差形状を成し、前記第1の刃部は、前記第2の軸部材における長手方向に対して前記第1の封印面に重なるように設置され、前記第2の刃部は、前記長手方向に対して前記第2の封印面に重なるように設置されることを特徴とする請求項2に記載の封印ペンチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−104758(P2011−104758A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265678(P2009−265678)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】