説明

封緘検査装置及び封緘検査方法

【課題】簡単な構成で、しかも被検査箱の搬送を一時停止することなく連続搬送しながら封緘検査を確実に行なえる封緘検査装置及び封緘検査方法を提供する。
【解決手段】通気孔を備えた案内ベルトを、搬送装置により搬送される被検査箱の搬送速度と略同一速度で移動させながら、前記被検査箱の封緘部位と接触する接触状態から接触しない非接触状態に移行させ、前記案内ベルトにおける前記接触状態と前記非接触状態との境界部分で且つ前記案内ベルトにおける前記被検査箱との接触面の反対面側に吸引体を配置して、この吸引体により前記通気孔を介して前記被検査箱の封緘部位を吸引して前記被検査箱の封緘部位の変形を検出することにより、簡単な構成で前記被検査箱を連続搬送しながら確実に封緘検査を行なうことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱が封緘されているか否かを検査するための封緘検査装置及び封緘検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば医薬品などの被包装物を収納する包装用の箱は、被包装物を箱内に収納した後、蓋により箱の開口部を閉鎖するが、その際、蓋に設けた差込みフラップ部にホットメルトタイプの接着剤を塗布して、この差込みフラップ部を箱の開口部内側面に接着するか、あるいは蓋と箱との間にシール用ラベルを貼り付けるなどして、箱を封緘するようにしている。
そのため、上記箱は、被包装物が収納された後、封緘が確実に行なわれているか否かを検査する必要がある。
【0003】
そこで、従来、箱の封緘検査をする封緘検査装置として、箱の封緘部位に吸着させる吸着具と、この吸着具を保持する検査アームと、この検査アームに結合される回動軸と、この回動軸を回動させる駆動装置と、この駆動装置に生じるトルクを検出するトルクセンサとを備え、吸着具を箱の封緘部位に吸着させた後、駆動装置の駆動により、検査アームを箱から後退させ、検査アームが所定の角度位置にある時、駆動装置に生じるトルク値を検出して、このトルク値が所定値を超えない場合に封緘が不良であると判断するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、上記従来の封緘検査装置では、封緘を検査する際に搬送装置により搬送される箱を一時停止させる必要があることから、箱の封緘検査に時間がかかり、従って大量の箱の封緘を迅速に検査することが困難であるという問題があった。
【0004】
また、例えば箱を搬送する搬送装置と、この搬送装置による箱の搬送に追従して移動する吸引体移動装置と、この吸引体移動装置に搭載された複数の吸引体とを備え、搬送される箱の封緘部位を吸引体の一つで吸引して、封緘不良に伴う箱の封緘部位の持ち上がりを検出センサにより検出するようにした封緘検査装置も提案されている。
ところが、後者の従来の封緘検査装置では、搬送装置により箱を搬送しながら封緘検査を行なうことができるようにしているが、複数の吸引体が吸引体移動装置に組み付けられ、これら吸引体が循環移動していることから、循環移動する各吸引体と真空ポンプとを結ぶ吸引通路の構造が複雑となって、製造コストが高くなる問題があるし、また多数の箱を検査するに際しても、箱を搬送装置に対して一定間隔で順次送り込む必要もあり、箱の搬送制御が複雑であるという問題もあった。
【特許文献1】特開2008−24357号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の封緘検査装置が有していた問題を解決するものであり、目的とするところは、簡単な構成で、しかも被検査箱の搬送を一時停止することなく連続搬送しながら封緘検査が確実に行なえる封緘検査装置及び封緘検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明は、
封緘部位を有する被検査箱を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の搬送速度と略同一速度で移動する案内ベルトを有する箱案内装置と、
前記被検査箱の封緘部位を吸引する吸引体と、
前記被検査箱の封緘部位の変形を検出する変形検出装置と、
を備えた封緘検査装置であって、
前記箱案内装置の案内ベルトには通気孔を設けるとともに、この案内ベルトは、移動の途中で前記被検査箱の封緘部位と接触する接触状態から接触しない非接触状態に移行し、
前記吸引体は、前記案内ベルトにおける前記接触状態と前記非接触状態との境界部分で且つ前記案内ベルトにおける前記被検査箱との接触面の反対面側に配置するとともに、この吸引体における前記案内ベルトと接触する部位には吸引口を設け、
前記変形検出装置は、前記吸引体の吸引により生じる前記被検査箱の封緘部位の変形を検出するようにしていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る本発明の封緘検査装置において、
前記吸引体には、前記案内ベルトにおける前記接触状態の部分をガイドする上流側ガイド壁面と、前記案内ベルトにおける前記非接触状態の部分をガイドする下流側ガイド壁面とを設け、この上流側ガイド壁面に前記吸引体の吸引口が開口し、または、前記上流側ガイド壁面と前記下流側ガイド壁面との両方に前記吸引体の吸引口が開口していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る本発明は、封緘部位を有する被検査箱を搬送しながら封緘検査する封緘検査方法であって、
通気孔を備えた案内ベルトを、搬送される前記被検査箱の搬送速度と略同一速度で移動させながら前記被検査箱の封緘部位と接触する接触状態から接触しない非接触状態に移行させるとともに、
前記接触状態と前記非接触状態との境界部分で且つ前記案内ベルトにおける前記被検査箱との接触面の反対面側に配置した吸引体により、前記案内ベルトの通気孔を介して前記被検査箱の封緘部位を吸引し、
この吸引体の吸引により生じる前記被検査箱の封緘部位の変形を検出して、前記被検査箱の封緘検査をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る本発明によれば、前記搬送装置により搬送される前記被検査箱の封緘部位に、前記搬送装置の搬送速度と略同一速度で移動する前記案内ベルトを接触させ、前記吸引体により、前記通気孔を介して前記被検査箱の封緘部位を吸引し、この吸引体の吸引により生じる前記被検査箱の封緘部位の変形を前記変形検出装置により検出することができるので、複数の被検査箱を一時停止させることなく連続して前記搬送装置により搬送しながら順次封緘検査が行なえるのは勿論のこと、これら複数の被検査箱を一定間隔で搬送しなくても封緘検査が行なえるので、大量の被検査箱をスムーズに封緘検査することができるし、しかも前記吸引体等も簡単な構成とすることができる。
【0010】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加え、前記吸引体における前記上流側ガイド壁面に前記吸引体の吸引口が、または、前記上流側ガイド壁面と前記下流側ガイド壁面との両方に前記吸引体の吸引口が開口していることから、前記被検査箱の封緘部位の吸引が確実に行なえ、より一層確実且つスムーズに封緘検査が行なえる。
【0011】
請求項3に係る本発明によれば、搬送される前記被検査箱の封緘部位に、前記被検査箱の搬送速度と略同一速度で移動する前記案内ベルトを接触させ、前記吸引体により、前記通気孔を介して前記被検査箱の封緘部位を吸引し、この吸引体の吸引により生じる前記被検査箱の封緘部位の変形を検出することができるので、複数の被検査箱を一時停止させることなく連続して搬送しながら順次封緘検査が行なえるのは勿論のこと、これら複数の被検査箱を一定間隔で搬送しなくても封緘検査が行なえ、大量の被検査箱の封緘状態を迅速且つスムーズに検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を添付した図面により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態を示し、その一部を切り欠いた概略側面図、図2は図1の斜視図、図3は図1の正面図、図4は図1の要部を一部切り欠いて示す拡大側面図、図5は本発明の一実施形態に係る吸引体の吸引口と第1案内ベルトに設けた通気孔との位置関係を示す説明図、図6は本発明の一実施形態に係る制御系統のブロック図、図7は本発明の一実施形態に係る被検査箱の概略斜視図である。
【0013】
まず、封緘検査装置1で検査する被検査箱Aは、カートン紙から形成されたものであって、内部に被包装物を収納した後、箱の一方側に設けた蓋Bの差込みフラップ部Cにホットメルトタイプの接着剤を塗布して、この差込みフラップ部Cを被検査箱Aの開口部内側面に接着することで、箱の一方側を封緘するようにしたタイプのものである。
なお、この被検査箱Aは、ダンボール紙から形成したものでもよいし、あるいは合成樹脂シートから形成したものでもよい。
【0014】
次に、封緘検査装置1は、箱の一方側を封緘するようにした図7に示すタイプの被検査箱Aの封緘検査を行なうためのものであって、被検査箱Aを搬送するための搬送装置2と、箱案内装置3と、被検査箱Aの封緘部位を吸引する吸引体40を備えた吸引装置4と、被検査箱Aの封緘部位を検出する変形検出装置5と、封緘不良の被検査箱Aを搬送装置2から排除する排除装置6とを備えている。
【0015】
搬送装置2は、駆動装置20により回転駆動する駆動ローラ21と、遊転ローラ22と、これら両ローラ21・22間にループ状に掛け渡した搬送ベルト23とを備えている。
そして、この搬送装置2は、駆動装置20の駆動に伴う駆動ローラ21の回転により、搬送ベルト23を両ローラ21・22間で循環移動させ、搬送ベルト23上に載置した被検査箱Aを図1において矢印X方向に搬送するようにしている。
【0016】
なお、搬送ベルト23、後記の第1案内ベルト30a及び後記の第2案内ベルト30bは、合成ゴムから形成している。
【0017】
箱案内装置3は、搬送装置2の搬送速度、すなわち、搬送ベルト23の循環移動速度と略同一速度で移動する第1案内ベルト30a及び第2案内ベルト30bを備え、第1案内ベルト30aには、図2に示すように、小さな円形の通気孔31を3列で多数形成している。
そして、この箱案内装置3は、搬送装置2の上方に配置しており、上記第1案内ベルト30aは、第1駆動ローラ32aと第1遊転ローラ33aとの間にループ状に掛け渡している。
【0018】
また、上記第2案内ベルト30bは、第2駆動ローラ32bと第2遊転ローラ33bとの間にループ状に掛け渡している。
第1駆動ローラ32a及び第2駆動ローラ32bは、駆動装置34により駆動する駆動軸35に組み付けて回転するようにしており、第1遊転ローラ33a及び第2遊転ローラ33bは、連動軸36に組み付けて遊転するようにしている。
【0019】
以上の箱案内装置3は、駆動装置34の駆動に伴う第1駆動ローラ32a及び第2駆動ローラ32bの回転により、第1案内ベルト30a及び第2案内ベルト30bがそれぞれ図1において矢印Y方向に循環移動し、しかもこれら第1案内ベルト30a及び第2案内ベルト30bは、搬送装置2の搬送ベルト23の循環移動速度と略同一速度で循環移動する。
また、箱案内装置3には、循環移動する第1案内ベルト30aを被検査箱Aと接触する接触状態から接触しない非接触状態に移行させるための第1ガイド体37aと、同じく循環移動する第2案内ベルト30bを、被検査箱Aと接触する接触状態から接触しない非接触状態に移行させるための第2ガイド体37bを設けている。
第1ガイド体37aは、第1案内ベルト30aのループ内で且つこの第1案内ベルト30aにおける被検査箱Aとの接触面の反対面側に配置して、第1案内ベルト30aの循環移動経路が第1駆動ローラ32aの上流側で水平動から斜め上方動に切り替わるようにしている。
第2ガイド体37bは、第2案内ベルト30bのループ内で且つこの第2案内ベルト30bにおける被検査箱Aとの接触面の反対面側に配置して、第2案内ベルト30bの循環移動経路が第2駆動ローラ32bの上流側で水平動から斜め上方動に切り替わるようにしている。
【0020】
これら第1ガイド体37a及び第2ガイド体37bの下面側には、第1案内ベルト30a及び第2案内ベルト30b中の被検査箱Aと接触状態になる範囲L1の終端部をそれぞれガイドする上流側ガイド壁面38a・38bと、これら上流側ガイド壁面38a・38bの一端から斜め上方に向って延びて被検査箱Aと非接触状態になる範囲L2の始端部位をそれぞれガイドする下流側ガイド壁面39a・39bを設けている。
【0021】
なお、図1に示すように、第1遊転ローラ33aから第1ガイド体37aの上流側ガイド壁面38aに至る間及び第2遊転ローラ33bから第2ガイド体37bの上流側ガイド壁面38bに至る間の水平動が、それぞれ第1案内ベルト30a及び第2案内ベルト30bが被検査箱Aに接触した状態となる範囲L1である。
また、図1に示すように、第1ガイド体37aの下流側ガイド壁面39aから第1駆動ローラ32aに至る間及び第2ガイド体37bの下流側ガイド壁面39bから第2駆動ローラ32bに至る間の斜め上方動が、それぞれ被検査箱Aとは非接触状態となる範囲L2である。
そして第1案内ベルト30a及び第2案内ベルト30bにおける非接触状態の範囲L2の移動方向の傾斜角度θは、10度〜50度の範囲内がよく、より好ましくは15度〜45度の範囲内であり、実施形態では、30度としている。
【0022】
ここで、第1案内ベルト30a及び第2案内ベルト30bが、搬送ベルト23の循環移動速度と略同一速度で循環移動する構成としては、図示しないが、例えば駆動装置20及び駆動装置34をそれぞれサーボモーターで駆動し、これら2台のサーボモーターを同期運転する等で、駆動装置20及び駆動装置34の制御を同時に行なったり、駆動装置20に一基の電動機を設けてベルト、歯車などの動力伝達機構により、駆動装置34に動力を伝達させて行なう等の適宜の手段を採用すればよい。
【0023】
また、略同一速度とは、被検査箱Aと第1案内ベルト30a及び第2案内ベルト30bとのスリップに起因して、被検査箱Aに実用上問題となるスリップ跡が生ずる速度差を除外し、スリップ跡が生じない僅かの速度差を許容することを意味している。
【0024】
変形検出装置5は、吸引装置4の吸引体40の吸引により生じる被検査箱Aの封緘部位の変形を検出するようにしている。
変形検出装置5は、発光素子51aと受光素子51bから構成される透過型の光電センサ52と、この光電センサ52からの検出信号に基づいて被検査箱Aの封緘不良を判別する制御装置53と、制御装置53の判別結果を表示する表示装置54とを備えている。
【0025】
光電センサ52を構成する発光素子51aと受光素子51bは、図2及び図3に示すように、第1案内ベルト30a及び第2案内ベルト30bにおける被検査箱Aとの非接触状態の始端位置近くで且つ搬送ベルト23上の被検査箱Aの上部外面より若干上方に配置している。
制御装置53は、図6に示すように、搬送装置2の駆動装置20、箱案内装置3の駆動装置34、吸引装置4の真空ポンプ43及び排除装置6の駆動をも制御するようにしている。
【0026】
吸引装置4は、箱案内装置3の第1ガイド体37aを吸引体40として利用しており、具体的には、第1ガイド体37aを中空状に形成して、その内部を吸引チャンバ41とするとともに、この吸引チャンバ41と連通する吸引口42を第1ガイド体37aの上流側ガイド壁面38aと下流側ガイド壁面39aとに開口している。
吸引口42は、図5に示すように、第1案内ベルト30aの3列に設けられた通気孔31と対応するように3個設けており、これら吸引口42は、上流側ガイド壁面38aと下流側ガイド壁面39aとに跨って延びるスリット状に形成している。
【0027】
また、吸引チャンバ41には、真空ポンプ43から延びる吸引管44を接続して、真空ポンプ43の駆動により、吸引チャンバ41内を負圧にして、吸引口42と第1案内ベルト30aの通気孔31を介して外気を吸引するようにしている。
【0028】
排除装置6は、変形検出装置5により検出した封緘不良の被検査箱Aを搬送装置2から自動的に排除するようにしている。
なお、以上の実施形態では、必要な場合、搬送ベルト23の幅方向両側または幅方向一側でしかも搬送ベルト23よりも上方位置に、搬送装置2の搬送方向に延びるガイド部材(図示せず)を設けて、このガイド部材により、搬送装置2により搬送される被検査箱Aの封緘部位が第1案内ベルト30aで案内されるように被検査箱Aの搬送姿勢を規制して、被検査箱Aの封緘部位側が搬送装置2の搬送ベルト23と箱案内装置3の第1案内ベルト30aとの間を通過するようにしてもよい。
【0029】
次に、以上の構成からなる封緘検査装置1により被検査箱Aの封緘検査を行なう方法について説明する。
まず、封緘処理された被検査箱Aを搬送装置2により搬送するに際して、被検査箱Aの封緘部位が箱案内装置3の第1案内ベルト30aで案内されるように被検査箱Aを搬送ベルト23上に載置する。
【0030】
搬送ベルト23で搬送される被検査箱Aは、箱案内装置3まで搬送されて来ると、図3に示すように、被検査箱Aの封緘部位が第1案内ベルト30aに、また被検査箱Aの封緘部位とは反対側部位が第2案内ベルト30bにそれぞれ接触して、これら両案内ベルト33a・33bにより案内されながらさらに搬送される。
被検査箱Aが、第1ガイド体37a及び第2ガイド体37bの配設位置まで搬送されて、第1ガイド体37a及び第2ガイド体37bの上流側ガイド壁面38a・38bと対向する位置に来ると、被検査箱Aの封緘部位の上部外面が、吸引口42及び第1案内ベルト30aの通気孔31を介して第1ガイド体37a側に吸引される。
【0031】
そして、被検査箱Aの封緘が確実に行なわれている場合には、被検査箱Aが、第1案内ベルト30aにおける被検査箱Aとの接触状態になる範囲L1から非接触状態になる範囲L2に移行しても、封緘部位の上部外面が水平を保った状態で搬送され、被検査箱Aの封緘部位が持ち上がることがない。
【0032】
これに対して、被検査箱Aの封緘が不良である場合、即ち、例えば蓋Bの差込みフラップ部Cと被検査箱Aの開口部内側面との接着が不良である場合には、封緘部位の上部外面に作用する吸引力により、被検査箱Aの封緘部位が、図4において矢印Zで示すように、第1案内ベルト30aにおける被検査箱Aとの非接触状態の始端位置近くで上方に湾曲状に持ち上げられることによって変形する。
これに伴い、発光素子51aからの光が、湾曲状に持ち上げられた封緘部位により遮られて、受光素子51bが発光素子51aからの光を受光できなくなると、制御装置53が封緘不良であると判別し、その判別結果が表示装置54に表示されるとともに、封緘不良の被検査箱Aは、排除装置6により搬送装置2から自動的に排除される。
【0033】
このように、以上の封緘検査装置1では、複数の被検査箱Aを一時停止させることなく連続して搬送装置2により搬送しながら順次封緘検査が行なえるのは勿論のこと、これら複数の被検査箱Aを一定間隔で搬送しなくても封緘検査が行なえるので、大量の被検査箱Aの封緘検査に適している。
【0034】
なお、本発明の封緘検査装置1は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。
すなわち、以上の実施形態では、封緘が一方側のみに行なわれた被検査箱Aの封緘検査を行なうようにしたが、第2案内ベルト30b及び第2ガイド体37bをも第1案内ベルト30a及び第1ガイド体37aと同様の構成にすることで、例えば封緘が左右両側の二ヶ所で行なわれている被検査箱Aの左右封緘部位を同時に検査できるようにしてもよい。
この場合、左右封緘部位のそれぞれの封緘検査は、以下に例示する変形検出装置の検出部の各種方法から適宜選択し、行なえばよい。
【0035】
また、以上の実施形態では、搬送装置2を駆動ローラ21と遊転ローラ22間に搬送ベルト23をループ状に掛け渡した所謂ベルトコンベアから構成したが、これに限定されるものではなく、例えばローラコンベアからなる搬送装置としてもよい。
また、以上の実施形態では、変形検出装置5の検出部として、発光素子51aと受光素子51bから構成する透過型の光電センサ52を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば反射型の光電センサやレーザー式のセンサあるいはCCDカメラを用いてもよい。
【0036】
また、以上の実施形態では、多数の小さな円形の通気孔31を第1案内ベルト30aに設けたが、これに限定されるものではなく、例えばスリット状の通気孔であってもよいし、あるいは網目状の通気孔であってもよい。
また、以上の実施形態では、第1案内ベルト30aの通気孔31を3列に設けるとともに、吸引口42を、前記通気孔31と対応するように3個設けたが、これに限定されるものではなく、第1案内ベルト30aの通気孔31を例えば1列、2例あるいは4列等とし、吸引口42を、前記通気孔31と対応するように1個、2個あるいは4個等設けてもよい。
【0037】
また、以上の実施形態では、吸引口42を第1ガイド体37aの上流側ガイド壁面38aと下流側ガイド壁面39aとに跨って開口させたが、これに限定されるものではなく、例えば上流側ガイド壁面38aにのみ開口させてもよい。
この場合、封緘が不良である被検査箱Aの封緘部位の上部外面が、吸引口42及び第1案内ベルト30aの通気孔31を介して第1ガイド体37a側に吸引されると、封緘部位の上部外面に作用する吸引力の慣性により、被検査箱Aの封緘部位が、第1案内ベルト30aにおける被検査箱Aとの非接触状態の始端位置近くで上方に湾曲状に持ち上げられることによって変形する。
【0038】
また、以上の実施形態では、ホットメルトタイプの接着剤により蓋Bの差込みフラップ部Cを開口部内側面に接着した被検査箱Aの封緘検査を行なうようにしたが、蓋Bと被検査箱Aとの間にシール用ラベルを貼り付けて封緘した被検査箱Aの封緘検査、あるいは上記接着剤による接着とシール用ラベルの貼り付けの両者が行なわれた被検査箱Aの封緘検査を行なうこともできる。
また、以上の実施形態では、吸引体40の吸引源として真空ポンプ43を用いたが、これに限定されるものではなく、例えばエジェクター、ブロアーポンプ等を用いてもよい。
【0039】
また、以上の実施形態では、箱案内装置3を搬送装置2の上方に配置しているが、これに限定されるものではなく、例えば、被検査箱Aの封緘部位の上部外面が搬送装置2の搬送ベルト23の搬送面と直交する状態、換言すれば、被検査箱Aの蓋Bが上方を向いた状態で搬送される場合は、箱案内装置3の第1案内ベルト30aを搬送装置2の上部側方に配置して、第1案内ベルト30aを、搬送装置2により搬送される被検査箱の封緘部位の上部外面に接触させてもよい。
この場合、箱案内装置3の第2案内ベルト30bは、前記第1案内ベルト30aの下方に配置して、第2案内ベルト30bにより、被検査箱の搬送を補助するのが好ましい。
さらに、被検査箱Aの封緘部位がある面の反対面をガイドするガイド部材または案内ベルトを搬送装置2の搬送方向に延ばすことによって、被検査箱Aの搬送姿勢を規制するのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、医薬品を収納した箱に限らず、例えば食品、文具等を収納した箱の封緘検査にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態の一部を切り欠いて示す概略側面図。
【図2】図1の斜視図。
【図3】図1の正面図。
【図4】図1の要部を一部切り欠いて示す拡大側面図。
【図5】本発明の一実施形態に係る吸引体の吸引口と第1案内ベルトに設けた通気孔との位置関係を示す説明図。
【図6】本発明の一実施形態に係る制御系統のブロック図。
【図7】本発明の一実施形態に係る被検査箱の概略斜視図。
【符号の説明】
【0042】
1 封緘検査装置
2 搬送装置
23 搬送ベルト
3 箱案内装置
30a 第1案内ベルト
30b 第2案内ベルト
31 通気孔
38a・38b 上流側ガイド壁面
39a・39b 下流側ガイド壁面
40 吸引体
42 吸引口
5 変形検出装置
A 被検査箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封緘部位を有する被検査箱を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の搬送速度と略同一速度で移動する案内ベルトを有する箱案内装置と、
前記被検査箱の封緘部位を吸引する吸引体と、
前記被検査箱の封緘部位の変形を検出する変形検出装置と、
を備えた封緘検査装置であって、
前記箱案内装置の案内ベルトには通気孔を設けるとともに、この案内ベルトは、移動の途中で前記被検査箱の封緘部位と接触する接触状態から接触しない非接触状態に移行し、
前記吸引体は、前記案内ベルトにおける前記接触状態と前記非接触状態との境界部分で且つ前記案内ベルトにおける前記被検査箱との接触面の反対面側に配置するとともに、この吸引体における前記案内ベルトと接触する部位には吸引口を設け、
前記変形検出装置は、前記吸引体の吸引により生じる前記被検査箱の封緘部位の変形を検出するようにしていることを特徴とする封緘検査装置。
【請求項2】
前記吸引体には、前記案内ベルトにおける前記接触状態の部分をガイドする上流側ガイド壁面と、前記案内ベルトにおける前記非接触状態の部分をガイドする下流側ガイド壁面とを設け、この上流側ガイド壁面に前記吸引体の吸引口が開口し、または、前記上流側ガイド壁面と前記下流側ガイド壁面との両方に前記吸引体の吸引口が開口していることを特徴とする請求項1に記載の封緘検査装置。
【請求項3】
封緘部位を有する被検査箱を搬送しながら封緘検査する封緘検査方法であって、
通気孔を備えた案内ベルトを、搬送される前記被検査箱の搬送速度と略同一速度で移動させながら前記被検査箱の封緘部位と接触する接触状態から接触しない非接触状態に移行させるとともに、
前記接触状態と前記非接触状態との境界部分で且つ前記案内ベルトにおける前記被検査箱との接触面の反対面側に配置した吸引体により、前記案内ベルトの通気孔を介して前記被検査箱の封緘部位を吸引し、
この吸引体の吸引により生じる前記被検査箱の封緘部位の変形を検出して、前記被検査箱の封緘検査をすることを特徴とする封緘検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−255969(P2009−255969A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110094(P2008−110094)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000137904)株式会社ミューチュアル (37)