説明

封緘装置

【課題】簡易な封緘装置を提供する。
【解決手段】封筒6をその袋部6bとフラップ部6aの折り曲げ箇所で跨架して、一方向にスライドさせ得るガイド部2と、ガイド部をその両側から挟みつつガイド部(2)の上記一方向における末端を超えて伸び、始端側ではガイド部に跨架された封筒の袋部及びフラップ部を導入可能に拡開し、終端側に向かうに連れて徐々に間隔が狭まって封筒の重なり合った袋部とフラップ部とを押圧するように形成された一対の押圧板3,4と、封筒をガイド部上で一方向にスライドさせる間に、封筒のフラップ部に予め塗工された再湿糊部7に水を塗布する水塗布手段5とを包含してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒の封緘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、封筒を自動的に封緘することができる封緘装置が各種提案されている。これらはいずれもモータ等の駆動源の動力をリンク機構等で各種操作部に伝達し、各操作部によって封筒を搬送したり、封筒のフラップ部を折り曲げたり、糊付けしたりして封筒の封緘を行うようになっている(例えば、特許文献1,2,3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−151518号公報
【特許文献2】特開平9−52294号公報
【特許文献3】特開平8−118898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の封緘装置は、動力源やリンク機構等の伝動装置等を有するので、構造が複雑であり、各部の調整も比較的面倒であり、メインテナンスも面倒であるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0007】
なお、本発明の理解を容易にするため図面の参照符号を括弧書きで付するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】
請求項1に係る発明は、封筒(6)をその袋部(6b)とフラップ部(6a)の折り曲げ箇所で跨架して、一方向にスライドさせ得るガイド部(2)と、上記ガイド部(2)をその両側から挟みつつ上記ガイド部(2)の上記一方向における末端を超えて伸び、始端側では上記ガイド(2)に跨架された封筒(6)の袋部(6b)及びフラップ部(6a)を導入可能に拡開し、終端側に向かうに連れて徐々に間隔が狭まって封筒(6)の重なり合った袋部(6b)とフラップ部(6a)とを押圧するように形成された一対の押圧板(3,4)と、上記封筒(6)を上記ガイド(2)上で一方向にスライドさせる間に、上記封筒(6)の袋部(6b)又はフラップ部(6a)に予め塗工された再湿糊部(7)に水を塗布する水塗布手段(5)とを包含してなる封緘装置を採用する。
【0009】
請求項2に係る発明は、封筒(6)をその袋部(6b)とフラップ部(6a)の折り曲げ箇所で跨架して、一方向にスライドさせ得るガイド(2)と、上記ガイド部(2)をその両側から挟みつつ上記ガイド(2)の上記一方向における末端を超えて伸び、始端側では上記ガイド(2)に跨架された封筒(6)の袋部(6b)及びフラップ部(6a)を導入可能に拡開し、終端側に向かうに連れて徐々に間隔が狭まって封筒(6)の重なり合った袋部(6b)とフラップ部(6a)とを押圧するように形成された一対の押圧板(3,4)と、上記封筒(6)を上記ガイド(2)上で一方向にスライドさせる間に、上記封筒(6)の袋部(6b)又はフラップ部(6a)に封緘用糊を塗布する糊塗布手段とを包含してなる封緘装置を採用する。
【0010】
請求項3に記載されるように、請求項1又は請求項2に記載の封緘装置において、上記一対の押圧板(3,4)を板バネで形成することができる。
【0011】
請求項4に記載されるように、請求項1に記載の封緘装置において、上記水塗布手段(5)が保湿部(5a)を有し、この保湿部(5a)が上記一対の押圧板(3,4)の一方と上記ガイド(2)との間に配置され、上記ガイド部(2)上をスライドする封筒(6)の袋部(6b)又はフラップ部(6a)の再湿糊部(7)に接触することにより、再湿糊部(7)に水が塗布されるようにしたものとすることができる。
【0012】
請求項5に記載されるように、請求項2に記載の封緘装置において、上記糊塗布手段が糊塗布部を有し、この糊塗布部が上記一対の押圧板(3,4)の一方と上記ガイド部(2)との間に配置され、上記ガイド部(2)上をスライドする封筒(6)の袋部(6b)又はフラップ部(6a)に接触することにより、封緘用糊が塗布されるようにしたものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、駆動部を省略することで封緘装置の構造及び大きさを簡略化することができ、卓上型として使用することができ、メンテナンスフリーとすることができる。また、各種大きさの封筒に合わせて装置の調整をすることなく使用することができるので、小ロット、多品種の封筒の封緘作業に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る封緘装置の概略斜視図である。
【図2】図1に示す封緘装置の概略平面図である。
【図3】図2中、III−III線矢視断面図である。
【図4】図2中、IV−IV線矢視断面図である。
【図5】図2中、V−V線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
<実施の形態1>
図1及び図2に示すように、この封緘装置は、基台1上に、ガイド部2と、一対の押圧板3,4と、水塗布手段5とを備える。
【0017】
ガイド部2は、図1(A)(B)及び図2(A)(B)に示すように、長方形の板で形成される。この長方形の板が、一長辺において基台1に接した状態で基台1上に垂直に固定される。そして、板の上側の水平方向に伸びる長辺が封筒6を案内するガイドとして使用される。
【0018】
図1(A)に示すように、封筒6のフラップ部6aは予め袋部6b側に折り曲げられている。また、袋部6b内には図示しない内容物がすでに挿入され、フラップ部6aには予め再湿糊部7が帯状に塗工されている。
【0019】
なお、図1中、符号6cは透明フィルムで遮蔽された覗き窓を示す。
【0020】
図1(A)及び図2(A)に示すように、作業者は、封筒6をその袋部6bとフラップ部6aの折り曲げ箇所でガイド部2に跨架し、ガイド部2上を矢印で示す一方向にスライドさせることが可能である。図1中、符号9は封筒6の折り曲げ箇所を挟み持つ作業者の手を示す。
【0021】
なお、ガイド部2は上記板に代えて線材で形成し、封筒6の袋部6bとフラップ部6aの折り曲げ箇所を線材からなるガイド部2に跨架することも可能である。
【0022】
一対の押圧板3,4は、望ましくは各々板バネで形成され、図1及び図2に示すように、ガイド部2の両側においてガイド部2に沿って伸びるように配置される。
【0023】
基台1上には、ガイド部2を両側から挟むように二本の支持棒8が垂直に固定され、一対の押圧板3,4が各々始端側で各支持棒8に片持ち状に固定される。そして、一対の押圧板3,4は、図1乃至図5に示すように、各始端側からガイド部2を挟みつつガイド部2の上記一方向における末端を超えて伸びる。
【0024】
また、一対の押圧板3,4は、各々の始端側では、図1乃至図3に示すように、ガイド部2に跨架された封筒6の袋部6b及びフラップ部6aを導入可能に拡開し、終端側に向かうに連れて徐々に間隔が狭まり、図5に示すように、終端側で封筒6の袋部6bとフラップ部6aとを強く押圧することができるように重なり合う。
【0025】
水塗布手段5は、図1、図2及び図4に示すように、保湿部5aを有し、この保湿部5aが上記一対の押圧板3,4のうち一方の押圧板3と上記ガイド部2との間に配置され、封筒6のフラップ部6aの再湿糊部7に対向可能に設けられる。
【0026】
保湿部6aは、毛細管現象により水を吸収することができる材料で形成され、例えば不織布を巻回したものやスポンジで形成される。図1及び図4に示すように、保湿部6aの下方の基台1上には水の貯留槽5bが設けられ、保湿部5aがこの貯留槽5b内へと伸びている。保湿部5aは、貯留槽5b内に溜められた水5cが毛細管現象により供給されることから常時湿潤状態に保持される。
【0027】
図1及び図2に示すように、封筒6をガイド部2上で一方向にスライドさせると、ガイド部2上をスライドする封筒6のフラップ部6aの再湿糊部7に図4のごとく保湿部5aが接触し、再湿糊部7に水が塗布され、再湿糊部7の糊がタック性を帯びる。
【0028】
なお、再湿糊部7が封筒6の袋部6b側に形成されている場合は、保湿部5aが上記一対の押圧板3,4のうち他方の押圧板4と上記ガイド部2との間に配置され、封筒6の袋部6aの再湿糊部7に対向可能に設けられる。
【0029】
再湿糊部7に水が塗布された封筒6は、ガイド部2から離脱した後、そのフラップ部6aと袋部6bとが一対の押圧板3,4によって強く押圧される。これにより、フラップ部6aは再湿糊部7の糊を介して袋部6bに接着され、封筒6の封緘が完了する。
【0030】
次に、上記封緘装置の作用について説明する。
【0031】
(1)図1(A)に示すように、予め作業者によって封筒6のフラップ部6aが袋部6b側に折り曲げられる。袋部6b内には図示しない内容物がすでに挿入されている。
【0032】
図1(A)及び図2(A)に示すように、作業者が封筒6を手9で持ってその袋部6bとフラップ部6aの折り曲げ箇所でガイド部2に跨架し、ガイド部2上を矢印で示す一方向にスライドさせる。
【0033】
(2)封筒6をガイド部2上で一方向にスライドさせると、図1(B)、図2(B)及び図3に示すように、封筒6のフラップ部6aが一方の押圧板3とガイド部2との間に侵入し、袋部6bが他方の押圧板4とガイド部2との間に侵入する。
【0034】
(3)さらに封筒6をガイド部2上でスライドさせると、図1(B)及び図2(B)に示すように、封筒6のフラップ部6aの再湿糊部7に図4のごとく保湿部5aが接触し、再湿糊部7に水が塗布され、再湿糊部7の糊がタック性を生じる。
【0035】
(4)再湿糊部7に水が塗布された封筒6は、ガイド部2を外れ、そのフラップ部6aが袋部6bに対峙する。
【0036】
(5)封筒6は作業者の手9によって支えられつつ一対の押圧板3,4間をその後端側へと送られる。そして、図5に示すように、一対の押圧板3,4の加圧力によって封筒6のフラップ部6aが袋部6bに再湿糊部7の糊を介して接着され、これにより封筒6の封緘が完了する。
【0037】
<実施の形態2>
この実施の形態2における封緘装置は、実施の形態1における封緘装置と同様な構成であるが、実施の形態1における水塗布手段5が糊塗布手段で代替される。
【0038】
そして、実施の形態1における保湿部5aが糊塗布部として用いられ、水の貯留槽5bが封緘用糊の貯留槽として用いられる。
【0039】
封緘用糊としては、例えば水糊等の液状糊を使用することができる。
【0040】
この実施の形態2の封緘装置によれば、封筒6をガイド部2上でスライドさせると、図1(B)及び図2(B)に示すように、封筒6のフラップ部6aに図4のごとく糊塗布部が接触し、フラップ部6aに封緘用糊である水糊がストライプ状に塗布される。水糊は、上記再湿糊部7と略同じ形状及び面積で塗布される。
【0041】
水糊がフラップ部6aに塗布された封筒6は、ガイド部2を外れ、そのフラップ部6aが袋部6bに対峙する。封筒6は作業者の手9によって支えられつつ一対の押圧板3,4間をその後端側へと送られる。そして、図5に示すように、一対の押圧板3,4の加圧力によって封筒6のフラップ部6aが袋部6bに貼着され、これにより封筒6の封緘が完了する。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。封緘処理することができる封筒も、図示例のものに限られるものではなく、各種形状、大きさの封筒について封緘処理可能である。
【符号の説明】
【0043】
2…ガイド部
3,4…押圧板
5…水塗布手段
5a…保湿部
6…封筒
6a…フラップ部
6b…袋部
7…再湿糊部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒をその袋部とフラップ部の折り曲げ箇所で跨架して、一方向にスライドさせ得るガイド部と、上記ガイド部をその両側から挟みつつ上記ガイド部の上記一方向における末端を超えて伸び、始端側では上記ガイド部に跨架された封筒の袋部及びフラップ部を導入可能に拡開し、終端側に向かうに連れて徐々に間隔が狭まって封筒の重なり合った袋部とフラップ部とを押圧するように形成された一対の押圧板と、上記封筒を上記ガイド部上で一方向にスライドさせる間に、上記封筒の袋部又はフラップ部に予め塗工された再湿糊部に水を塗布する水塗布手段とを包含してなることを特徴とする封緘装置。
【請求項2】
封筒をその袋部とフラップ部の折り曲げ箇所で跨架して、一方向にスライドさせ得るガイド部と、上記ガイド部をその両側から挟みつつ上記ガイド部の上記一方向における末端を超えて伸び、始端側では上記ガイド部に跨架された封筒の袋部及びフラップ部を導入可能に拡開し、終端側に向かうに連れて徐々に間隔が狭まって封筒の重なり合った袋部とフラップ部とを押圧するように形成された一対の押圧板と、上記封筒を上記ガイド部上で一方向にスライドさせる間に、上記封筒の袋部又はフラップ部に封緘用糊を塗布する糊塗布手段とを包含してなることを特徴とする封緘装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の封緘装置において、上記一対の押圧板が板バネで形成されたことを特徴とする封緘装置。
【請求項4】
請求項1に記載の封緘装置において、上記水塗布手段が保湿部を有し、この保湿部が上記一対の押圧板の一方と上記ガイド部との間に配置され、上記ガイド部上をスライドする封筒の袋部又はフラップ部の再湿糊部に接触することにより、再湿糊部に水が塗布されるようにしたことを特徴とする封緘装置。
【請求項5】
請求項2に記載の封緘装置において、上記糊塗布手段が糊塗布部を有し、この糊塗布部が上記一対の押圧板の一方と上記ガイド部との間に配置され、上記ガイド部上をスライドする封筒の袋部又はフラップ部に接触することにより、封緘用糊が塗布されるようにしたことを特徴とする封緘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−45754(P2012−45754A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188072(P2010−188072)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】