説明

射出成形方法および射出成形型

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形方法および射出成形型に関する。さらに詳しくは、部分的に表皮を有する成形品を作成するものであり、シワのない表皮の成形が可能な射出成形方法および射出成形型に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、部分的に表皮を有する成形品を作成するための射出成形型は、図7に示されるように、一対の金型81、82のうちの一方の金型81(主に移動型)に抜気用の細孔83を設けて真空吸引ポンプ84に連結し、表皮85を真空引きで移動型81の型表面90に沿わせて固定している(図7の(a)参照)。そののち、マニホールド86を通して溶融樹脂を表皮85の裏面側87a、および、表皮85の無い部分87bに注入する(図7の(b)参照)。硬化した成形品88は、移動型81の後退(矢印89方向)とともに型表面90から突出する押出しピン91によって押し出される(図7R>7の(c)参照)。
【0003】前述の射出成形型において、型表面90に沿わせる前の表皮85としては、予備成形のされていない薄平板状のものが用いられる場合が多く、真空吸引で、移動型81の型表面90に沿わせて所望する3次元形状に形成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、表皮を型に沿わせる時に、型表面に向けて大きく移動する表皮の中央部によって、表皮の端部は引っ張られてずれやすく、形成された表皮がシワ不良を起こしているという問題がある。
【0005】本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表皮を部分的に有する成形品をうる方法および型であって、表皮の端部をしっかりと固定でき、シワ不良のない表皮を有する成形品を形成することのできる射出成形方法および射出成形型を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明のうちで請求項1記載の射出成形方法は、一対の金型のうち樹脂を注入する側の金型に、表皮の端部を挿入するための挿入溝を設け、該挿入溝に挿入された表皮の端部を当該挿入溝の側面に向けて押圧し固定するための凸片を複数個、それらのあいだを溶融樹脂が流れうるように設け、表皮の裏面側を樹脂を注入する側の金型の型表面に向け、当該表皮の端部を当該金型の挿入溝に挿入する工程と、前記表皮の端部を前記凸片で固定する工程と、前記表皮の表面側をもう一方の金型の型表面に押し付けるように溶融樹脂を当該表皮の裏面側に注入する工程と、前記表皮の端部で前記凸片の間を溶融樹脂が通り抜けることにより、表皮の有る部分と表皮の無い部分とを連結する樹脂層を形成する工程を含んでなることを特徴としている。請求項1記載の発明により、表皮の端部を凸片で強固に押圧固定することができるので、樹脂の注入によりもう一方の金型の型表面に沿わせるように押圧しても、表皮の端部がずれることはない。また、表皮の裏側に形成される樹脂層と、表皮の無い部分に形成される樹脂層が一体ものとして連結しており、表皮の端部の境界が美しく、かつ強固である。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、前記金型に固定する前の表皮は予備成形のされていない平板状のものである。表皮として予備成形のされているものを用いることもできるが、とくに予備成形がされていない平板状のものを用いると、樹脂層の形成と同時に表皮の成形をすることができるので、予備成形工程を省くことができる。
【0008】請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明に加えて、硬化した成形品を前記型表面から押し出す方向と、前記凸片を硬化した成形品から抜く方向の両成分を有する方向に移動する押出しピンが設けられており、該押出しピンの進退動作と前記凸片が連動する方法である。押出しピンは型表面より突出して、型表面から成形品を押し出し取り外す。一方、この押出しピンは、成形品の押出し方向と、成形品から凸片を抜く方向の両成分を有する方向(成形品の押出し方向に対して、内側または外側に傾いた方向)に移動する。凸片は、押出しピンと連動し、相対的には、成形品の押出し方向に対して垂直な方向にも移動する。ところで、凸片は表皮の端部を挿入溝の側面に向けて押圧するものであり、凸片により形成されるアンダーカット(成形品のくり抜き部分)から凸片を抜くには、成形品の押出し方向に対して略垂直な方向に凸片を移動させる必要がある。この押出しピンによって、凸片はそのような方向にも移動するので、成形品の押出しと凸片の引き抜きが一度に行われる。なお、この押出しピンには、従来から射出成形型が有している押出し機構が連結され、駆動される。
【0009】請求項4記載の射出成形型は、表皮の端部を挿入するために型表面に設けられる挿入溝と、該挿入溝に適当な間隔を開けて複数個、その一側面が前記挿入溝の一部となるように形成される固定具と、該固定具の前記一側面に、それらの間を溶融樹脂が流れうるように設けられる凸片と、前記挿入溝が設けられた型表面と端部を固定された表皮との間に溶融樹脂を注入するための導入管とが設けられた第1金型、および該第1金型に固定された表皮が溶融樹脂の注入により押しつけられ型表面を有する第2金型とからなることを特徴とする。凸片および固定具を用いて樹脂を注入する側の金型である第1金型の挿入溝に、表皮の端部を固定する。この固定は機械的になされ強固であるので、金型と表皮の間に溶融樹脂が注入され、表皮が大きく膨らむように移動し、もう一方の金型である第2金型の型表面に押しつけられても、表皮の端部が移動するようなことはない。また、このとき、表皮には、予備成形の有る無しに関わらず最終的な成形がなされる。表皮の端部は、間隔を開けて複数個設けられている固定具に設けられた凸片によって部分的に固定されており、凸片と凸片の間を溶融樹脂が流れ、表皮の有る側と無い側の連結した樹脂層を形成する。
【0010】請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明に加えて、硬化した成形品を前記型表面から押し出す方向と、前記凸片を硬化した成形品から抜く方向の両成分を有する方向に移動する押出しピンを前記第1金型に設け、前記固定具の前記凸片が設けられた一側面の裏側の面を押出しピンの移動方向と平行となるように形成するとともに、前記固定具が前記押出しピンの進退動作と連動して進退するよう構成してなるものである。凸片は、挿入溝の側面に向けて、言い換えれば、成形品が押し出される方向に対して略垂直な方向に向けて、表皮の端部を押圧している。したがって、凸片によって形成される成形品のアンダーカット(成形品のくり抜き部分)から凸片を引き抜くには、成形品が押し出される方向に対して、略垂直な方向に凸片を移動させる必要がある。そこで、従来より、成形品を型表面より押し出すために用いられている押出しピンの移動方向を、成形品の押出し方向に対して傾斜(傾斜方向は、凸片を抜く方向)させ、この先端に固定具を設けた。また、凸片が設けられる固定具の裏側の面を押出しピンの移動方向と平行となるように、成形品の押出し方向とは傾斜させて形成したので、固定具の移動によって第1金型と固定具のあいだに隙間が生じることがなく、固定具を押し込むことによって表皮の端部をより強固に押圧することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。図1は、本発明の射出成形方法の一実施例の概略説明図であり、図2は、本発明の射出成形型の一実施例の要部説明図、図3は、本発明の射出成形方法および射出成形型で成形される成形品の一例を示す斜視説明図であり、図4は、本発明の射出成形型の他の実施例の側断面図であり、図5および図6は、射出成形型のさらに他の実施例の要部説明図および側断面図である。
【0012】図1において、本発明の射出成形型は、第1金型1と第2金型2からなり、第1金型1には溶融樹脂を注入するための導入管3と、挿入溝4と、凸片5を有する固定具6と、押出しピン7が設けられている。なお、10は表皮であり、図1の(a)では、挿入溝4にその端部11が固定された状態を示している。本発明では、挿入溝4に固定する前の表皮10として、全く成形のされていない薄肉板状のものを使用することができるが、ある程度成形のされているもの(予備成形のされているもの)を用いることもできる。また、図1の(b)において、13は樹脂層であり、表皮10の有る部分13aと無い部分13bとが一体となっている。
【0013】第1金型1および第2金型2としては、射出成形型として通常使用されている固定型および移動型を利用することができる。通常、固定型に溶融樹脂を供給する射出シリンダーが連結され、移動型に製品押出し機構が設けられている。本発明における樹脂を注入する側の第1金型としては、この固定型であることが好ましく、固定型に製品押出し機構も設けられる。しかしながら、本発明ではこれに限らず、移動型に樹脂を注入する導入管3と押出しピン7を有する製品押出し機構を設け、表皮を固定するように構成することもできる。
【0014】挿入溝4は、第1金型1の型表面8に、表皮10の周りを取り囲むように設けられ、表皮10の端部11が挿入される。また、図2に示されるように、挿入溝4の一側面14は、部分的に固定具6の一側面15を共有している。この固定具6は、図3に示されるように、表皮10の端部11の周りを部分的に押さえるため、挿入溝4に、適当な間隔を開けて複数個、配設されている。
【0015】固定具6は、図2に示されるように、挿入溝4側の一側面15に凸片5を有している。固定具6の幅Wは、10〜30mm程度であり、約20mmとすることが好ましく、第1金型1内に配設される冷却配管(図示せず)と干渉しないようになっている。また、固定具6は、押出しピン7の先端に固着されており、押出しピン7と連動する。また、側面15の裏側の面18は、押出しピン7の移動方向23と平行で、成形品の押出し方向21に対して傾斜している。固定具6は、面18がこのように傾斜しているので、押出しピン7の進退動作と連動して移動しても、面18と第1金型1とのあいだに隙間が生じることがない。また、固定具6を押し込むことによって、凸片5を挿入溝4の一方の側面16に向けて進出させることができ、表皮10の端部11をより強固に押圧することができる。
【0016】凸片5は、図2に示されるように、固定具6の側面15に、挿入溝4のもう一方の側面16に向けて突出するように設けられている。また、表皮10の端部11を全幅に渡ってではなく、部分的に固定するものであり、凸片5と凸片5の間を溶融樹脂が流れうるようになっている。凸片5と凸片5の間を通り抜けた溶融樹脂は、表皮10の有る部分13aと無い部分13bとが一体化された樹脂層13を形成する。これによって、表皮の端部の美観に優れ、強固な成形品となる。
【0017】なお、表皮10を固定するときは、固定具6が押出しピン7の先端に設けられているので、押出しピン7を突出させて挿入溝4から固定具6を取り出し、表皮10の端部11を挿入溝4に挿入してから、押出しピン7を後退させて固定具6を挿入溝4に嵌入するようにする。このとき、凸片5は、表皮10の端部11を挿入溝4の奥に向けて引っ張るようにして固定するので、表皮10をより強固に固定することができる。そして、表皮10の裏面側に注入された溶融樹脂が、表皮10を第2金型2の型表面に向けて押圧するように、いわば、表皮10を膨らませるようなかたちで、表皮10の中央側から端部11に向けて表皮10を引っ張っても、凸片5により強固に固定されているので、表皮10はズレることなく、シワ不良を起こさない。このように、凸片5は、溶融樹脂の流れを許容しつつ表皮の端部を強固に固定できるのであれば、その形状は、図示例の矩形突起に限定されず、円筒突起物、円錐台、半球体などが可能である。
【0018】押出しピン7は、図1に示されるように、その根元側に配設される押出し板20などの駆動機構により、型表面8より突出しうるよう構成されている。また、図1の(c)の矢印21、22、23に示されるように、押出しピン7の移動方向23は、製品(硬化した成形品)の押出し方向21と、凸片5をアンダーカット(凸片5によって製品9に生じた孔)25から抜く方向22の、両成分を有している。これに対し、2点鎖線で示されている押出しピン17は、従来から用いられているものと同様であり、製品押出し方向(矢印21方向)に進退するのみである。第1金型1には、押出しピン7の他、必要に応じて押出しピン17を適宜設けておく。固定具6は、このように移動する押出しピン7の先端に設けられるので、製品9の押出しと同時にアンダーカット25から凸片5を抜くことができる。
【0019】第1金型1に設けられる導入管3は、射出シリンダーから射出されてくる溶融樹脂を表皮10の裏面側13aの略中央部および表皮10の無い部分13bに導入するものである。また、図1の(b)に示されるように、表皮10の裏面側13aに注入された溶融樹脂は、表皮10を第2金型2の型表面に押しつけ、表皮10の成形を補助的に行うものである。したがって、表皮10の表側(表皮10と第2金型2の型表面との間)に溶融樹脂が入り込むことのないように、表皮10の裏面側13aから表皮10の無い部分13bに向けて溶融樹脂が流れるように、導入管3aと3bの流量は調整される。
【0020】なお、本発明は、複合表皮を使用する比較的に平坦な製品を形成するのに好適に利用され、表皮の予備成形が必要なく、樹脂層の形成と同時に表皮に3時限形状の形成をすることができる。具体的にはドアートリム、ピラーなどの形成に好適に利用される。また、表皮10としては、ソリッドの表面層のみからなるもの、ソリッドの表面層にクッション性を付与するための発泡層を付着させた2層構造のもの、または、さらに内側層を設けた3層構造のものなど、単一表皮および複合表皮を適宜利用することができる。表皮10の材質としてはPVC、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPAE)などが用いられる。また、樹脂層13の材質としては、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましく、なかでもPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)が好適に使用される。
【0021】次に、本発明の射出成形方法を図1に基づいて説明する。
【0022】先ず、表皮10を固定する前に、第1金型1の押出しピン7を型表面8から進出させて固定具6を挿入溝4から出す。つぎに、表皮10の裏面側を第1金型1の型表面8に向け、当該表皮10の端部11を挿入溝4に挿入し、押出しピン7を駆動させて固定具6を後退させ、凸片5で表皮10の端部11を挿入溝4の深部に向けて引っ張りつつしっかりと固定する(図1の(a)参照)。
【0023】つぎに、溶融樹脂を導入管3より表皮10の裏面側13aおよび表皮10の無い部分13bに導入する。表皮10の裏面側13aに注入された溶融樹脂は、前記表皮10の表面を第2金型2の型表面に押し付け、表皮10の成形をする。また、凸片5の間を溶融樹脂は表皮10の裏面側13aから表皮10の無い部分13bに向けて流れ、表皮10の端部11で表皮10の有る部分13aと表皮10の無い部分13bとが一体に連結した樹脂層13を形成する(図1の(b)参照)。
【0024】成形品9が硬化したら、第1金型1および第2金型2を開き、押出し板20を移動させて、押出しピン7および押出しピン17を進出させる(図1の(c)参照)。このとき、押出しピン7の先端に設けられている固定具6は、成形品9に対し相対的に矢印22方向に移動し、凸片5を成形品9の取り出しと同時にアンダーカット25から外す。なお、図3に示される製品例は、ドアートリムであり、金型1、2から取り出された成形品9は、そののち、所定の工程を経て打ち抜き部26、27を打ち抜かれる。
【0025】つぎに、図4〜図6に基づいて、本発明の他の実施例を説明する。
【0026】図1に示される射出成形型において、凸片5は、表皮10の表側から裏側を挿入溝4の側面16に押しつけるに構成されているが、本発明では、これに限定されず、図4に示されるように、表皮の裏側31から表側32を挿入溝4の側面33に押しつけるように構成することもできる。そのばあい、押出しピン34の傾斜方向は、図1の射出成形型の逆となっているが、押出しピン34の移動方向43は、製品押出し方向41と凸片5の引き抜き方向42の両成分を有している点で同じである。
【0027】図5および図6に示される射出成形型は、押出しピンではなくて、油圧シリンダー51で固定具52が移動するように、ピストンロッド53の先端に固定具52が固着されている。このばあい、固定具52の移動方向と、凸片5の押圧および引き抜き方向とは同方向であるので、図2に示される固定具6のように、裏面側18を傾斜させておく必要はない。そのほか、従来適宜の駆動機構を用いることによって固定具を移動させるよう構成することができる。
【0028】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明のうち請求項1および4記載の発明は、凸片により挿入溝に挿入された表皮の端部を機械的に強固に押圧固定することができるので、樹脂の注入によりずれることがない。また、凸片と凸片との間を表皮の有る部分から無い部分へ樹脂が流れうるので、表皮の裏側に形成される樹脂層と、表皮の無い部分に形成される樹脂層とを一体ものとして連結させることができ、表皮の端部の境界が美しく、かつ強固になる。
【0029】また、表皮は、表皮の裏面側から注入される溶融樹脂によって中央部から膨らまされるようなかたちで、表面をもう一方の金型の型表面に押し付けられ、(予備成形の有る無しに関わらず)最終的な成形がなされる。したがって、予備成形のなされていないものを用いて、予備成形の工程を省略することができる。
【0030】さらに、請求項2または5記載の発明では、従来からある押出しピンの押出し方向を変化させただけで、成形品の押出しと凸片の引き抜きが同時になされるようにしたものであり、装置の変更が容易である。また、固定具の裏面を傾斜させているので、移動によって第1金型とのあいだに隙間が生ぜず、また押し込むことによって強固に表皮の端部を押圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の射出成形方法の一実施例の概略説明図である。
【図2】本発明の射出成形型の一実施例の要部説明図である。
【図3】本発明の射出成形方法および射出成形型で成形される成形品の一例を示す斜視説明図である。
【図4】本発明の射出成形型の他の実施例の側断面図である。
【図5】射出成形型のさらに他の実施例の要部説明図である。
【図6】射出成形型のさらに他の実施例の側断面図である。
【図7】従来の射出成形方法の一例の説明図である。
【符号の説明】
1 第1金型
2 第2金型
3 導入管
4 挿入溝
5 凸片
6、52 固定具
7、34 押出しピン
8 型表面(第1金型)
9 製品(硬化した成形品)
10 表皮
11 表皮の端部
13 樹脂層
13a 表皮の裏面側(表皮の有る部分)の樹脂層
13b 表皮の無い部分の樹脂層
14、16 挿入溝4の側面
15 固定具6の一側面
18 固定具6の裏面
21 製品の押出し方向
22 凸片の引き抜き方向
23 押出しピンの移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一対の金型のうち樹脂を注入する側の金型に、表皮の端部を挿入するための挿入溝を設け、該挿入溝に挿入された表皮の端部を当該挿入溝の側面に向けて押圧し固定するための凸片を複数個、それらのあいだを溶融樹脂が流れうるように設け、表皮の裏面側を樹脂を注入する側の金型の型表面に向け、当該表皮の端部を当該金型の挿入溝に挿入する工程と、前記表皮の端部を前記凸片で固定する工程と、前記表皮の表面側をもう一方の金型の型表面に押し付けるように溶融樹脂を当該表皮の裏面側に注入する工程と、前記表皮の端部で前記凸片の間を溶融樹脂が通り抜けることにより、表皮の有る部分と表皮の無い部分とを連結する樹脂層を形成する工程を含んでなることを特徴とする射出成形方法。
【請求項2】 前記金型に固定する前の表皮は予備成形のされていない平板状のものである請求項1記載の射出成形方法。
【請求項3】 硬化した成形品を前記型表面から押し出す方向と、前記凸片を硬化した成形品から抜く方向の両成分を有する方向に移動する押出しピンが設けられており、該押出しピンの進退動作と前記凸片が連動する請求項1または2記載の射出成形方法。
【請求項4】 表皮の端部を挿入するために型表面に設けられる挿入溝と、該挿入溝に適当な間隔を開けて複数個、その一側面が前記挿入溝の一部となるように形成される固定具と、該固定具の前記一側面に、それらの間を溶融樹脂が流れうるように設けられる凸片と、前記挿入溝が設けられた型表面と端部を固定された表皮との間に溶融樹脂を注入するための導入管とが設けられた第1金型、および該第1金型に固定された表皮が溶融樹脂の注入により押しつけられ型表面を有する第2金型とからなることを特徴とする射出成形型。
【請求項5】 硬化した成形品を前記型表面から押し出す方向と、前記凸片を硬化した成形品から抜く方向の両成分を有する方向に移動する押出しピンを前記第1金型に設け、前記固定具の前記凸片が設けられた一側面の裏側の面を押出しピンの移動方向と平行となるように形成するとともに、前記固定具が前記押出しピンの進退動作と連動して進退するよう構成してなる請求項4記載の射出成形型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【特許番号】特許第3194425号(P3194425)
【登録日】平成13年6月1日(2001.6.1)
【発行日】平成13年7月30日(2001.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−332795
【出願日】平成8年11月27日(1996.11.27)
【公開番号】特開平10−156872
【公開日】平成10年6月16日(1998.6.16)
【審査請求日】平成10年5月14日(1998.5.14)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【参考文献】
【文献】特開 平10−34659(JP,A)
【文献】特開 平2−102011(JP,A)
【文献】特開 平7−195422(JP,A)
【文献】実開 平2−142004(JP,U)