説明

射撃用の標的

【課題】装置による発射が可能で従来からのクレー射撃、トラップ射撃、スキート射撃の標的と同様に実用ができ、環境汚染のない、雪氷で形成した射撃用の標的を提供する。
【解決手段】任意のクレー射撃用標的の本体であって、雪氷で形成されていることを特徴とする射撃用の標的。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置による発射が可能で従来からのクレー射撃、トラップ射撃、スキート射撃の標的と同様に実用ができる雪氷で形成した射撃用の標的に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレー射撃において使用される標的は、円形皿状で、直径が約11cm、高さ約2.6cm、重量がおよそ105g程度に標準化され、粘土や、微細に粉砕された鉱物などを原料とする主材に、石油系タールピッチ等を結合剤として製造されたものが用いられている。
【0003】
クレー射撃は、銃から発射された弾丸により標的の破壊が確認され、命中の判定となることから、これらの標的は、被弾した際簡単に崩壊するように、脆くて砕け易く組成され又、標的の識別を容易とするため着色を施したものもある(特許文献1)。
【特許文献1】特公平06−323790号公報
【0004】
前述の石油系の結合剤を使用したこれらの標的は、環境上の問題を引き起こすことが考えられる。野外にある射撃場で、粉砕、散乱したそれらの破片からは、有害成分が溶け出し土壌を汚染し、雨水等に混じり河川や、地下水に流れこみ水質汚染へとつながる他、例えば野鳥や、動物が飲み込んだ場合、体内でいろいろな障害を引き起こす恐れがある。
【0005】
そこで、懸念される環境悪化の軽減をめざし、イオウ系の結合剤を用いた標的が提案されている。この標的は、全組成物重量に対して、約40%のイオウや、約55%のフライアッシュの他、イオウ改質剤等を混合し組成、形成したことを特徴とする(特許文献2)。
【特許文献2】特開平11−351800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記標的は、粘土や鉱物などの主材と、結合剤としてイオウ成分を用いて組成されているが、消滅しにくい破片を残す上、人体等への影響は少ないとはいえ、環境に対する対策としては不十分である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による標的は、任意のクレー射撃用標的の本体であって、雪氷で形成されていることを特徴とする射撃用の標的である。
【発明の効果】
【0008】
雪氷から成形されたこの標的は、使用後、常温においては蒸発と、溶解により形状を留めることなく消滅し、水となり土中へ沈降し、水路から河川に流入する。この雪氷に有害成分を混ぜなければ環境を汚染することもなく、動物がこれを飲んでも無害で、自然環境や、汚染問題に対する不都合を解消しており、無公害なうえ、従来行ってきた標的の産業廃棄物処理作業を不要とした。そのうえ、材料は水であるから非常に安価に製品を得ることができる経済的にも有益なクレー射撃用の標的である。尚、上述する標的の表面部及び、表面湾曲部に凹凸線条や、凹溝の他、裏面部や、裏面湾曲部に凹溝を形成することは、標的に対し少数の弾丸が、いわゆる薄く命中した場合に発生するスリップ現象を軽減するためで、この凹凸の起伏が弾丸の喰いこみを向上させ、標的がより一層破壊される。又、請求項4に記載する標的は、命中率を競うクレー射撃競技において、射撃手や、レフリーが標的を確実に認識できるよう各種の色で着色するもので、命中、失中に対する確かな判定が望め、誤審を避けることが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施の形態を説明する。
(イ)図1、図2、図3、図4に示す標的(1)は、高圧で圧縮された雪又は、氷からなる射撃用の標的で、平面視で円形、側面視で弧状の皿型形状からなり、表面部(2)と、表面部(2)の外縁円弧に連接した円筒状の表面垂下部(3)及び表面垂下部(3)の下端に連接したフランジ部(4)を有している。
(ロ)又、裏面側は、表面部(2)に対応する裏面部(5)と裏面部(5)に連接する裏面垂下部(6)を有し、裏面垂下部(6)の下部はフランジの裏面側の一部と一体となりフランジ部(4)を形成している。尚、この標的(1)は視認性を高めるために、着色されていることが望ましい。
本発明を使用するときは、クレー放出装置より発射されるこの標的(1)の、フランジ部(4)を下面に、装置の発射台にセットし、表面垂下部(3)の円筒部に接触するバネ等で付勢された打出し用のアームにより、勢いよく放出される。
【0010】
本発明の第2の実施の形態を説明する。
(イ)図5、図6、図7、図8は、高圧で圧縮された雪又は、氷からなる射撃用の標的(7)で、円形で平坦な表面中央部(8)と、この表面中央部(8)の外周縁に連接した表面湾曲部(9)及び、該表面湾曲部(9)の下部の外縁に連接した平坦部(10)を経て円筒状の表面垂下部(11)と、この表面垂下部(11)の下端にフランジ部(12)を形成している。
(ロ)表面中央部(8)に対応する裏面側は、裏面中央部(13)が平坦に形成され、この裏面中央部(13)外縁から連接して構成される裏面湾曲部(14)がフランジの裏面側の一部と一体となりフランジ部(12)を形成している。
【0011】
本発明の第3の実施の形態を説明する。
(イ)図9、図10、図11、図12は、高圧で圧縮された雪又は、氷からなる射撃用の標的で、標的(15)の盛り上がる表面部(16)に中央付近から周辺へ同心状に広がる複数の凸形に隆起する環状線(17)を設けている。
(ロ)裏面側は、裏面部(19)中央付近から周辺へ放射方向に等間隔で複数の凹溝(20)が形成され表面垂下部(18)の裏面側の上部に達している。
(ハ)上記実施例については、表面部(16)に複数の凸形に隆起する環状線(17)を形成した例で説明したが凹溝に窪む環状線でも良く、又、湾曲の頂上部から下部へ放射方向に等間隔で複数の凹溝を形成しても良い。
(ニ)同様に請求項2に記載する標的についても、表面湾曲部に凹溝の環状線若しくは、上部から下部へ放射方向に等間隔で複数の凹溝を形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施例の平面図
【図2】本発明の第1の実施例の側面図
【図3】本発明の第1の実施例の図1のA−A断面図
【図4】本発明の第1の実施例の裏面図
【図5】本発明の第2の実施例の平面図
【図6】本発明の第2の実施例の側面図
【図7】本発明の第2の実施例の図5のA−A断面図
【図8】本発明の第2の実施例の裏面図
【図9】本発明の第3の実施例の平面図
【図10】本発明の第3の実施例の側面図
【図11】本発明の第3の実施例の図9のA−A断面図
【図12】本発明の第3の実施例の裏面図
【符号の説明】
【0013】
1、7、15 標的
2、16 表面部
3、11、18 表面垂下部
4、12、 フランジ部
5、19 裏面部
6、 裏面垂下部
8、 表面中央部
9、 表面湾曲部
10 平坦部
13 裏面中央部
14 裏面湾曲部
17 環状線
20、 凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意のクレー射撃用標的本体であって、雪氷で形成されていることを特徴とする射撃用の標的。
【請求項2】
前記標的本体の表面及び、裏面の少なくとも1面に凸形に隆起する環状線を設けたことを特徴とする請求項1記載の射撃用の標的。
【請求項3】
前記標的本体の表面及び、裏面の少なくとも1面に凹溝を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の射撃用の標的。
【請求項4】
請求項1、2又は、3に記載の識別可能な色で着色されたことを特徴とする射撃用の標的。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−96089(P2008−96089A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299628(P2006−299628)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(395016903)
【Fターム(参考)】