説明

導光体、これを備えた照明装置、表示装置

【課題】ロール金型を用いた押出成形法によっても作製することができ、エッジライト方式の照明装置における輝度ムラ低減に有効な導光体を提供する。
【解決手段】導光体7の光偏向面7aに、入射面7Lと直交する方向に光偏向要素18を疎密をつけて形成し、射出面7bには、入射面7Lに平行な方向に配列する光閉じ込めレンズ19を形成した。これにより導光体7を押出成形法によってシームレスに作製することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に照明光路制御に使用される導光体、及び照明装置並びに表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の大型液晶テレビやフラットディスプレイパネル等においては主に、直下型方式の照明装置と、エッジライト方式の照明装置とが採用されている。直下型方式の照明装置では、光源として複数の冷陰極管やLED(Light Emitting Diode)が、パネルの背面に規則的に配置される。液晶パネル等の画像表示素子と光源との間には、光散乱性の強い拡散板が用いられ、光源としての冷陰極管やLEDが視認されないようにしている。
【0003】
一方、エッジライト方式の照明装置は、複数の冷陰極管やLEDが、導光板と呼ばれる透光性の板の端面に配置される。一般的に、導光板の射出面(画像表示素子と対向する面)の逆側の面(光偏向面)には、該導光板の端面から入射する入射光を効率良く射出面へと導く光偏向要素が形成される。現在、光偏向面に形成される光偏向要素としては白色のインキがドット状に印刷されたものが一般的(例えば特許文献1)である。しかし、白色ドットに入射した光はほぼ無指向に拡散反射されるため、導光板の射出面側への光取出し効率は低い。白色インキによる光吸収も無視することはできない。
【0004】
そこで最近では、マイクロレンズをインクジェット法によって導光板の光偏向面へと形成する方法や、レーザーアブレーション法によって光偏向要素を形成する方法などが提案されている。白色インキと違い、導光板の樹脂と空気との屈折率差による反射、屈折、透過を利用しているため、光吸収はほとんど生じない。そのため、白色インキに比べて光取出し効率の高い導光板を得ることができる。
【0005】
しかしながら、インクジェット法やレーザーアブレーション法による光偏向要素の形成は、白色インキの印刷と同様、導光板を平板成形した後に別工程で形成されるため、作製工程数が減る訳ではない。むしろ、白色インキの印刷工程よりもタクトタイムが長く、また、設備のイニシャルコストが高いなど、高コストとなる問題がある。
【0006】
そこで、導光板を射出成形法や押出成形法により成形し、光偏向要素を押出時にダイレクトに賦形する方法も提案されている(例えば特許文献2)。導光板の成形と同時に光偏向要素も形成されるため工程数が減り、低コスト化が実現できる。
【0007】
しかしながら、射出成形法で導光板を作製する場合、サイズが大きくなるほど射出成形機には高い圧力が必要となるため、携帯電話やノートパソコンなどの比較的小型な表示装置用の導光板作製には適しているものの、テレビ等の大型な表示装置への適用は難しい。一方で押出成形法は、大型の導光板作製に適した製造方法ではあるが、円筒状のロール金型を用いたRoll to Rollでの成形が基本であるため、以下に示すような課題がある。
【0008】
導光板の光偏向面に形成される光偏向要素は、二次元的な疎密配置とする必要がある。図 は導光板の上下2辺に、1つ、または複数の光源を配し、光源の光軸方向(すなわち上下方向の一次元)に光偏向要素を疎密パターニングした際の面内輝度分布を示している。端面から入射した光が導光板内で扇状に広がり、複数の光源の重なりの影響や、光源が配されない左右の側端面での反射や漏れ光などの影響により、面内左右に三角形の輝度が低い領域Dが生じる。
【0009】
特許文献3には、一次元方向に光偏向要素を疎密パターニングした例として、一方向に延在するプリズム溝を有した導光板が示されている。このような一次元方向のみの疎密パターニングされた導光板は、上述した輝度が低い領域Dが生じるため好ましくない。
【0010】
このような面内の輝度ムラを低減するには、疎密パターニングを上下方向の一次元だけでなく、面内二次元的に疎密パターニングする必要がある。しかしながら、ロール金型を用いる押出成形法においては、光偏向要素を二次元的な疎密配置として形成することは難しい。一方向であれば、ロール金型の幅方向には疎密パターニング可能であるが、ロール金型周回方向に粗密を形成すると、光偏向要素のシームレス化ができない。こうした場合、光偏向要素の周回方向のパターン幅と、ロール金型の直径との整合を取らないと、押出成形時に余白が生じてしまう。しかしながら、テレビのサイズは例えば小型サイズとしては19インチから、大型サイズでは60インチ以上となり、全てのサイズに合わせて直径の異なるロール金型を準備することは現実的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平1−241590号公報
【特許文献2】特開2000−89033号公報
【特許文献3】特開2006−155994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、ロール金型を用いた押出成形法によっても作製することができ、エッジライト方式の照明装置における輝度ムラ低減に有効な導光体、及び該導光体を備える照明装置並びに該照明装置を用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述の問題を解決するために、以下のような手段を講じる。
即ち、第1の発明は、透光性の導光体であって、前記導光体は、第1主面と、前記第1主面と対向する第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とを接続する4つの側端面を有し、前記4つの側端面の少なくとも1つの側端面に臨む複数の光源が、該側端面の延在方向に並べて配置され、前記第1主面には、前記導光体内を導光する光を前記第2主面側に偏向する光偏向要素が形成され、前記第2主面には、前記側端面の延在方向と直交する方向に延在し、前記導光体内部を導光する光の光路を規制する光閉じ込めレンズが形成されていることを特徴とする導光体である。
【0014】
第2の発明は、前記光偏向要素は、前記第1主面内の前記光源が配される面に直交する方向においては、前記光源に近いほど、前記光偏向要素の占める面積が少なく、前記光源から離れるほど、前記光偏向要素の占める面積が多くなる疎密分布で配され、前記第1主面内の前記光源が配される側端面の延在方向においては、単位面積当りの前記光偏向要素の占める面積は略均一であることを特徴とする導光体である。
【0015】
第3の発明は、前記光偏向要素は、前記側端面の直交方向に間隔をおいて複数配置され、前記側端面の延在方向へと延在する凸状、または凹状のシリンドリカル形状、またはプリズム形状であることを特徴とする導光体である。
第4の発明は、前記光偏向要素は、各々が独立した凸状、または凹状のドット形状であることを特徴とする導光体である。
【0016】
第5の発明は、前記光閉じ込めレンズは、前記側端面の延在方向と直交する方向に延在する、凸状、または凹状のシリンドリカル形状、またはプリズム形状であって、前記側端面の延在方向に密に、または略一定の間隔をおいて複数配置されてなることを特徴とする導光体である。
【0017】
第6の発明は、前記光源と、第1〜5の何れか1つに記載の導光体と、前記第1の主面側に、反射シートを備えることを特徴とする照明装置である。
第7の発明は、前記導光体の前記第2主面側に、光の散乱、屈折、吸収、反射の少なくともいずれか1つの機能を有する光学シートを備えることを特徴とする照明装置である。
【0018】
第8の発明は、画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する画像表示素子と、第7の発明に記載される照明装置とを具備することを特徴とする表示装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ロール金型を用いた押出成形法によっても作製することができ、エッジライト方式の照明装置における輝度ムラ低減に有効な導光体、及び該導光体を備える照明装置並びに該照明装置を用いた表示装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態である表示装置の断面模式図である。
【図2】(a)は本発明の実施形態である導光体斜視図である。(b)は本発明の実施形態である導光体断面図である。(c)は本発明の実施形態である導光体断面図である。
【図3】(a)は本発明の実施形態である導光体斜視図である。(b)は本発明の実施形態である導光体断面図である。(c)は本発明の実施形態である導光体断面図である。
【図4】(a)は本発明の実施形態である導光体斜視図である。(b)は本発明の実施形態である導光体断面図である。(c)は本発明の実施形態である導光体断面図である。
【図5】(a)は本発明の実施形態である導光体斜視図である。(b)は本発明の実施形態である導光体断面図である。(c)は本発明の実施形態である導光体断面図である。
【図6】(a)は導光体における導光を示した上面図である。(b)は導光体における導光を示した側面図である。
【図7】(a)は本発明の導光体における導光を示した上面図である。(b)は本発明の導光体における導光を示した側面図である。
【図8】(a)は導光体における輝度分布を示した図である。(b)は本発明の導光体における輝度分布を示した図である。
【図9】(a)は本発明の実施例1及び比較例1の導光体の正面図である。(b)は本発明の実施例1及び比較例1の導光体の水平断面の輝度データをプロットした図である。
【図10】(a)は本発明の実施例1及び比較例1の導光体の垂直断面の輝度データをプロットした図である。(b)は本発明の実施例1及び比較例1の導光体の垂直断面の輝度データをプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態における導光体7を備える照明装置3、及び該照明装置3を具備する表示装置1の概略断面図であり、各部位の縮図は実際とは一致しない。
図1に示す表示装置1は、画像表示素子2と、この画像表示素子2の光入射側に臨ませて配置された照明装置3を備える。
画像表示素子(液晶表示素子)2は、液晶層9を2つの偏光板10、11で挟んで構成されている。
照明装置3は、拡散性光学シート28、集光シート20、拡散シート8、導光体(導光板)7、及び反射板5の順に配置した積層体と、導光体7の側面に配置された光源6を少なくとも含んで構成される。この照明装置3は、拡散性光学シート28を画像表示素子2に臨ませて配置される。
拡散シート8は、導光体7から射出される光を拡散する機能を有する。集光シート20は拡散シート8によって拡散された光を、観察者側Fへと集光する機能を有する。拡散性光学シート28は、集光シート20によって集光された光を拡散し、また集光シート20を保護する機能、及び集光シート20に形成される周期構造と画像表示素子2の周期構造とによるモアレ干渉縞の発生を抑制する機能を有する。あるいは、集光シート20によって集光された光の偏光を分離する機能を有していても良い。
【0022】
光源6としては例えば点光源が挙げられる。点光源としては、LED(発光ダイオード)が挙げられ、LEDとしては白色LEDや光の3原色である赤色、緑色、青色のチップで構成されるRGB−LED等が挙げられる。または光源6はCCFL(冷陰極管)に代表される蛍光管であっても良い。図1では、光源6が導光体7の対向する2つの端面7L(請求項中の4つの側端面のうち少なくとも1つの側端面に相当)に、その延在方向に複数配置された例を示しているが、これに限らず、1つの端面のみに配置する場合、または4つの端面に配置される場合などもあり得る。また導光体7の形状は、図1に示すような平板形状ではなく、楔形状等であっても良い。
【0023】
導光体7の観察者側Fが射出面7b(請求項中の第2主面に相当)であり、射出面7bとは反対側の面には光偏向面7a(請求項中の第1主面に相当)が形成される。光偏向面7aには、光源6からの入射光を射出面7b側へと偏向する光偏向要素18が形成される。光偏向要素18としては、例えば凹型、または凸型のマイクロレンズ形状やプリズム形状、シリンドリカル形状等の構造物が挙げられる。この光偏向要素18による射出面7b側への光偏向量は、単位面積当りの光偏向要素18の占める面積が大きいほど多くなる。
【0024】
図2(a)は、光偏光要素18が凹型のシリンドリカル形状(球面、または非球面形状のレンチキュラーレンズ)である場合の導光体7の斜視図である。
また図2(b)は入射面7Lと平行な方向における導光体7の断面図であり、図2(c)は入射面7Lと直交する方向における導光体7の断面図である。
図2(a)〜(c)に示される導光体7では、入射面7Lと直交する方向に間隔をおいて複数の光偏向要素18が光偏向面7aに形成されている。入射面7Lと直交する方向とは、言い換えると、入射面7Lから入射した光源6からの入射光の光軸方向でもある。光偏向要素18は、入射面7Lから入射される光を、射出面7b側へと立ち上げる。光偏向要素18は一次元方向の疎密パターンであり、入射面7Lに近いほど疎(単位面積当りの光偏向要素18の占める面積が小)となるように配置され、入射面7Lから離れるほど密(単位面積当りの光偏向要素18の占める面積が大)となるように配置される。
【0025】
そして、導光体7の射出面7bには光閉じ込めレンズ19が形成される。光閉じ込めレンズ19は、入射面7Lと直交する方向に延在するシリンドリカルレンズ19であり、射出面7b上に規則的に配置される。従って、凹型のシリンドリカル形状である光偏向要素18と、光閉じ込めレンズ19とは略直交する。
尚、図2(a)では光閉じ込めレンズ19はレンチキュラー形状で示されているが、例えば断面三角形状のプリズムレンズや台形プリズム、その他多角プリズム、または側面が湾曲したプリズムレンズであっても良い。
【0026】
次に、光閉じ込めレンズ19の効果について図6から図8を用いて説明する。
図6(a)は、光閉じ込めレンズ19が無い導光体7の上面図であり、図6(b)は入射面7L側から見た図である。長方形である導光体7の長辺のうちの1辺(入射面7L)の延在方向における中心部のみに光源6が配置された場合の光の振る舞いを図示している。尚、簡略化のため、光偏向要素18は図示していない。
【0027】
光閉じ込めレンズ19が無い場合、光源6から射出された光は、入射面7Lから導光体7に入射し、導光体7内部を扇状に広がりながら導光する。図6(b)に示されるように、射出面7bに入射した光は、入射面7Lと平行な方向における向きが変わらない。
【0028】
一方、図7(a)は光閉じ込めレンズ19が有る導光体7の上面図であり、図7(b)は入射面7L側から見た図である。図6と同様に、長方形である導光体7の長辺のうちの1辺(入射面7L)の延在方向における中心部のみに光源6が配置された場合の光の振る舞いを図示している。尚、簡略化のため、光偏向要素18は図示していない。
【0029】
光閉じ込めレンズ19がある場合、入射面7Lから入射した光は、光閉じ込めレンズ19の内側面によって、入射面7Lと平行な方向における向きを変えながら反射を繰り返して導光する。
【0030】
図8(a)、(b)は、導光体7の長辺2辺(入射面7L)に複数の光源6を配置し、光偏向要素18は入射面7Lに近いほど疎に、離れるほど、すなわち導光体7の中心に近いほど密に配置した場合の輝度分布を示している。つまり、光偏向要素18は入射面7Lと平行な方向は略均一に配置された一次元の疎密パターンである。
また、導光体7は射出面全面を均一な輝度でなくても良い。例えば、導光体7の中心部が最も輝度が高まるように、光偏向要素18の疎密パターンを形成することが出来る。
【0031】
図8(a)は光閉じ込めレンズ19が無い場合の輝度分布である。
光偏向要素18が一次元の疎密パターンである導光体7の射出面7bに光閉じ込めレンズ19が無いと、光源6が配置されない短辺側に三角形状の暗部Dが生じてしまう。これは、図6(a)、(b)で示されているように、光源6から導光体7に入射した光が扇状に広がって導光することに起因し、複数の光源6による導光の重ね合わせ、そして光源6が配置されない短辺からの光漏れ、また複数の光源6の配置などによって、三角形状の暗部Dが生じてしまう。従って、通常は、暗部Dが生じないように、そして導光体7の射出面7bの中心輝度が高まるように、光偏向要素18は二次元の疎密パターンで形成する必要がある。
【0032】
一方、図8(b)は光閉じ込めレンズ19が形成された場合の輝度分布である。同様に、光偏向要素18は導光体7の中心ほど輝度が高くなるよう配置されている。図8(b)でしめされているように、光源6から導光体7に入射した光は扇状に広がらないよう、光閉じ込めレンズ19によって反射を繰り返して一定の範囲内を略直進するため、図8(a)で示されるような暗部Dは生じない。
【0033】
また、本発明の導光体7を用いた表示装置1は、画面中心ほど輝度が高いことが望ましい。光閉じ込めレンズ19が形成された導光体7の光偏向要素18は一次元の疎密であるため、入射面7Lと直交する方向については疎密パターンを適宜調整することで、画面中心部の輝度を高めることが可能であるが、入射面7Lと平行な方向は略均一である。そこで、複数の光源6への投入電流を調整することで入射面7Lと平行な方向についても、画面中心ほど輝度が高くなるよう調整することが可能である。
【0034】
ここまで光偏向要素18が凹型のシリンドリカル形状である場合について説明してきたが、これには限らない。図3(a)〜(c)は、光偏光要素18が凸型のシリンドリカル形状である場合を示している。光偏向要素18が凸型のシリンドリカル形状である場合、射出面7bへと導光する光を偏向する効果は、凹型のシリンドリカル形状よりも低い。従って、光偏向要素18を凸型のシリンドリカル形状で形成する場合は、凹型のシリンドリカル形状に比べて、多くの光偏向要素18を配置する必要がある。逆に言えば、入射面7L近傍の光偏向要素18の数が増えるため、光偏向要素18の透け防止(光偏向要素18の隠蔽性)の効果が高まるため望ましい。
【0035】
図4(a)〜(c)は、光偏向要素18が凹型のマイクロドット形状である場合、そして図5(a)〜(c)は、光偏向要素18が凸型のマイクロドット形状である場合を示している。
光偏向要素18が凹型、及び凸型のマイクロドット形状である場合、光入射面7Lと平行な方向には略一定の間隔で形成され、光入射面7Lと直交する方向は、光入射面7Lに近いほど疎に、離れるほど密に配置される、一次元の疎密パターンである。
【0036】
ここで、光偏向要素18は光入射面7Lと平行な方向には略一定の間隔で形成されるが、光入射面7Lに直交する方向における、光入射面7Lからの距離によってその間隔を変えても良い。
例えば、光入射面7Lに近いほど、光偏向要素18は疎に配置されるため、光入射面7Lと平行な方向においては、疎な間隔で略一定に配置し、光入射面7Lから離れるほど、光偏向要素18は密に配置されるため、光入射面7Lと平行な方向においては、密な間隔で略一定に配置しても良い。
または、光偏向要素18を不規則に配置しても良い。このとき、光入射面7Lと平行な方向においては、単位面積当りの光偏向要素18が占める割合が略一定となるように配置し、光入射面7Lと直交する方向においては、光入射面7Lに近いほど疎に、そして離れるほど密となる疎密グラデーションパターンとすることが望ましい。
【0037】
本発明の導光体7は、PMMA(ポリメチルメタクリレート)に代表されるアクリル樹脂、またはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PAN(ポリアクリロニトリル共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体)等の透明樹脂を用いて、当該技術分野では良く知られている押出成形法、射出成型法、あるいは熱プレス成型法によって、光偏向要素18、及び光閉じ込めレンズ19を一体で成形する。または、平板の導光体7を上述した製法で成形した後、光偏向要素18、及び光閉じ込めレンズ19を印刷法や、UV硬化樹脂、放射線硬化樹脂などを用いて形成しても良い。
【0038】
本発明の導光体7は上述した製法のうち、特に押出成形法を用いて、光偏向要素18と光閉じ込めレンズ19とを一体に成形することが望ましい。これにより、導光体7を作製するための工程数が減り、またロール・トゥ・ロールでの成形であるため、量産性が高いためである。
本発明の導光体7に形成される光偏向要素18は一次元方向の疎密パターンであるため、ロール金型の幅方向と一次元方向の疎密方向とを一致させ、ロール金型の周回方向は略一定の間隔で配置することで、ロール・トゥ・ロールでの導光体7の成形が可能となる。
本発明の導光体7は光閉じ込めレンズ19が同時に形成されるため、光偏向要素18が一次元の疎密パターンであっても、図8(a)に示されるような三角形状の暗部Dが生じない導光体7を得ることが出来る。
【0039】
画像表示素子2は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する素子であることが好ましい。画素単位で光を透過/遮光して画像を表示するものであれば、本実施形態の照明装置3により、観察者側Fへの輝度が向上され、光強度の視角度依存性が低減され、さらに、光偏向要素18の視認性が低減された光を有効に利用して、画像品位の高い画像を表示させることができる。
画像表示素子2は、液晶表示素子であることが好ましい。液晶表示素子は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する代表的な素子であり、他の表示素子に比べて、画像品位を高くすることができるとともに、製造コストを低減することができる。
【0040】
ここまで光偏向要素18が凹型、または凸型のシリンドリカル形状、またはマイクロドット形状である場合について説明してきたが、これに限らない。例えば、凹型、または凸型のプリズム形状であっても良く、または楕円形状であるマイクロドットやピラミッド形状であるマイクロドットなどであっても良い。
本発明の導光体7は、光偏向要素18が一次元の疎密パターンで配置される場合に図8(a)に示される暗部Dが生じるという課題に対して、光閉じ込めレンズ19によって解決することを目的とするためであり、どのような光偏向要素18の形状であっても、本発明の主旨を逸脱するものではない。
【0041】
以上、本発明の照明装置3、並びに表示装置1の実施形態について説明したが、本発明の照明装置3は表示装置1のみに適用されるものではない。すなわち光源6から射出された光を効率的に集光する機能を有する照明装置3として例えば照明機器などにも使用できることは想像に難しくない。
以下、実施例に基づいて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例)
【0042】
以下に示す2つの導光体7を作製した。
導光体7は、510mm×900mmの40インチサイズの直方体であり、厚みを3.5mmとした。導光体7の2つの短辺(510mm側)を光入射面7Lとした。
導光体7の光偏向面7aに形成される光偏向要素18を凹型のマイクロレンズ形状とし、光入射面7Lに近い領域はマイクロレンズ18が占める面積を小さくし、光入射面7Lから離れるほどマイクロレンズ18が占める面積が大きくなるよう、一次元の疎密パターンとした。すなわち、導光体7の中心領域が最も密にマイクロレンズ18が配置される。マイクロレンズ18の直径は約70μm、高さは約15μmとした。
【0043】
実施例1の導光体7の射出面7bには頂角90度のプリズムレンズ19を、光入射面7Lの延在方向へと配列するように形成した。プリズムレンズ19の単位レンズピッチは100μm、レンズ高さを48μmとした。
比較例1の導光体7の射出面7bは平坦面とした。
実施例1と比較例1とでは、光偏向要素18の一次元疎密配置を若干異なるパターンとした。これは射出面7bに光閉じ込めレンズ19が形成されるか、または平坦面かによって、導光体7の内部を導光する光の進路が異なるためである。
【0044】
実施例1、比較例1の導光体7の2つの短辺側(光入射面7L)に光源6としてLEDを複数配置した。導光体7の光偏向面7a側には白色で反射率が98%である光反射シート5を配置し、導光体7の射出面7b側には、マイクロレンズシート8、DBEF−D(3M社製)28の順で配置した照明装置3を得た。そして表示素子2として液晶パネルを更に配置し、表示装置1を得た。
【0045】
本実施例で得られた表示装置1の輝度分布を以下のように評価した。
測定機として、ProMetric(Radiant Imaging社)を用いて、画面40インチ全体の輝度分布を測定した。
図9(a)に示されるように、画面40インチの垂直断面(A1断面、A2断面)と水平断面(B断面)の輝度データを抜き出しプロットした。尚、測定結果はノイズを減らすためにスムージング処理が施されている。光源6が導光体7の2つの短辺に配置されているため、暗部Dは図中に示されるように生じることとなる。
【0046】
図9(b)には水平断面(B断面)の輝度分布をプロットしている。実施例1、及び比較例1の導光体7の光偏向要素18は、水平断面方向と平行する方向に、疎密パターンとされる。画面中心の輝度が最も高くなるような湾曲した輝度分布となるように疎密パターンを調整している。
ここから見て取れるように、実施例1の表示装置1は比較例1の表示装置1よりも高輝度を得ることが出来た。これは導光体7の射出面にプリズムレンズを形成することで、導光体7からの射出光が観察者側Fへと集光された効果による。
【0047】
図10(a)、(b)は図9(a)で示されるA1断面とA2断面における輝度分布をプロットしたものである。図10(b)は比較例1の輝度分布である。輝度分布はほとんどフラットであり、端部の輝度が落ち込んでいることが見て取れる。ここで、A1断面とA2断面とではフラットな輝度分布の領域と、輝度が落ち込む端部との境界位置が異なることが見て取れる。
これは暗部Dによって、A1断面は端部に低輝度な領域が多くなるためである。
【0048】
図10(a)は実施例1の輝度分布である。実施例1は光閉じ込めレンズ19の効果により、A1断面とA2断面とで、フラットな輝度分布の領域と、輝度が落ち込む端部との境界位置がほぼ一致していることが見て取れる。すなわち、三角形状の暗部Dがほとんど生じていないことが確認された。
【符号の説明】
【0049】
A1、A2、B…断面、D…暗部、F…観察者側、K…光、1…表示装置、2…液晶パネル、3…照明装置、5…反射板(反射シート)、6…光源、7…導光板(導光体)、7a…光偏向面、7b…射出面、7L…入射面、8…拡散シート、マイクロレンズシート、9…液晶層、10、11…偏光板、18…光偏向要素、19…光閉じ込めレンズ、20…集光シート、28…拡散性光学シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の導光体であって、
前記導光体は、第1主面と、前記第1主面と対向する第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とを接続する4つの側端面を有し、
前記4つの側端面の少なくとも1つの側端面に臨む複数の光源が、該側端面の延在方向に並べて配置され、
前記第1主面には、前記導光体内を導光する光を前記第2主面側に偏向する光偏向要素が形成され、
前記第2主面には、前記側端面の延在方向と直交する方向に延在し、前記導光体内部を導光する光の光路を規制する光閉じ込めレンズが形成されている、
ことを特徴とする導光体。
【請求項2】
前記光偏向要素は、
前記第1主面内の前記光源が配される面に直交する方向においては、前記光源に近いほど、前記光偏向要素の占める面積が少なく、前記光源から離れるほど、前記光偏向要素の占める面積が多くなる疎密分布で配され、
前記第1主面内の前記光源が配される側端面の延在方向においては、単位面積当りの前記光偏向要素の占める面積は略均一であることを特徴とする請求項1に記載の導光体。
【請求項3】
前記光偏向要素は、前記側端面の直交方向に間隔をおいて複数配置され、前記側端面の延在方向へと延在する凸状、または凹状のシリンドリカル形状、またはプリズム形状であることを特徴とする請求項1〜2の何れか1項に記載の導光体。
【請求項4】
前記光偏向要素は、各々が独立した凸状、または凹状のドット形状であることを特徴とする請求項1〜2の何れか1項に記載の導光体。
【請求項5】
前記光閉じ込めレンズは、前記側端面の延在方向と直交する方向に延在する、凸状、または凹状のシリンドリカル形状、またはプリズム形状であって、
前記側端面の延在方向に密に、または略一定の間隔をおいて複数配置されてなることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の導光体。
【請求項6】
前記光源と、
請求項1〜5の何れか1項に記載の導光体と、
前記第1の主面側に、反射シートを備えることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
前記導光体の前記第2主面側に、光の散乱、屈折、吸収、反射の少なくともいずれか1つの機能を有する光学シートを備えることを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する画像表示素子と、
請求項7に記載される照明装置と、
を具備することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−204042(P2012−204042A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65452(P2011−65452)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】