説明

導光板、バックライトユニットおよび液晶表示装置

【課題】出向面から出射する光の方向に十分な広がりを付与することができる導光板を提供し、その導光板を用いてバックライトユニットを構成し、液晶表示装置を提供する。
【解決手段】導光板1を、導光板基材2の少なくとも1つの面にドットパターン3を配置して構成する。ドットパターン3は、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子であって、全体として粒子形状を有する導光板用粒子5とバインダ材6とを含むようにする。導光板用粒子5には、中空粒子、コアシェル粒子または異形粒子を用いる。そして、導光板1と光源を用いてバックライトユニットを構成し、このバックライトユニットを用いて液晶表示装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、バックライトユニットおよび液晶表示装置に関し、特に液晶表示装置に好適なバックライトユニットに用いられる導光板、その導光板を用いたバックライトユニット、およびそのバックライトユニットを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の主要な構成部材である液晶パネルは、ガラス基板等の一対の基板に、液晶を挟持して構成される。液晶の厚さは1μm〜10μm程度であり、液晶パネルはCRT(Cathode Ray Tube)と比較して薄型、軽量等の優れた特徴を有する。そのため、液晶表示装置は、大型TV装置をはじめ、スマートフォン等の携帯情報機器のディスプレイとして盛んに利用されている。
【0003】
液晶表示装置の液晶パネルは、非発光型の表示素子であり、自発光型のCRTや有機ELパネルと違って液晶自体が発光することは無い。液晶表示装置では、液晶パネルが外部からの光を取り入れて利用するように構成される。そして、液晶パネルは、液晶の配向変化を引き起こし、外部から取り入れられた光に対して微細なシャッターとして機能し、光を部分的に透過または遮光して表示を行う。
【0004】
液晶表示装置には、液晶パネルに取り入れる光として外光のみを利用する反射型と、液晶パネルの背面側に光源を配置して液晶パネルを背面から照明する透過型がある。
透過型の液晶表示装置は、高輝度かつコントラスト比の高い表示品位の画像表示が可能であり、大型TV装置に好適な表示装置である。そして、近年では、スマートフォン等の携帯情報機器においてもディスプレイにおける表示品位の向上が強く求められており、透過型の液晶表示装置が盛んに利用されるようになっている。
【0005】
上述したように、透過型の液晶表示装置は、液晶パネルの背面側に配置された光源、すなわち、バックライトを利用するが、バックライトの方式としては、直下方式とエッジライト方式が知られている。光源を液晶パネルの直下に配置する直下方式に比べ、エッジライト方式は、光源を含むバックライトユニットの省スペース化や薄型化が可能であり、特に、スマートフォン等の携帯情報機器に好適な方式となっている。エッジライト方式のバックライトユニットは、液晶パネルの背面側に樹脂製の導光板と光源を配置して構成される。すなわち、導光板の2辺または1辺に光源を配置し、導光板に入射させた光を導光板の裏面に設けた光拡散反射部および反射板を用いて液晶パネルの背面に向け出射させる。そして、導光板の前面側に配置した光拡散板によって均一な面状の光を形成し、液晶パネルを背面側から照明する。
【0006】
エッジライト方式のバックライトユニットの導光板の裏面に設けられた光拡散反射部は、白色インクを用いて形成された多数の微細なドットパターンから構成される(例えば、特許文献1を参照。)。例えば、ドットパターンは、バインダ樹脂中に炭酸カルシウム、シリカ、ガラスビーズ等の無機微粒子を含有させて形成される(例えば、特許文献2を参照。)。そして、エッジライト方式のバックライトユニットの導光板の裏面に設けられた光拡散反射部は、光を拡散させて、導光板の出向面から出射する光の方向に広がりを付与するように作用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−146418号公報
【特許文献2】特開平6−202105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のエッジライト方式のバックライトユニットの導光板の裏面に設けられた光拡散反射部は、光を拡散させて導光板の出向面から出射する光拡散性が不十分であり、導光板の出向面から出射する光の方向に十分な広がりを付与することができなかった。
そこで、導光板の出向面から出射する光の方向に十分な広がりを付与することができる光拡散反射部、ひいてはそうした特性を有する導光板が求められている。
【0009】
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、出向面から出射する光の方向に十分な広がりを付与することができる導光板を提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、上述の導光板を用いてバックライトユニットを提供するとともに、そのバックライトユニットを有する液晶表示装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、導光板基材の少なくとも1つの面にパターンを配置した導光板であって、
そのパターンは、
屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子と、
その粒子間を繋ぐバインダ材とを用いて構成されることを特徴とする導光板に関する。
【0013】
本発明の第1の態様において、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子は、中空粒子であって、
屈折率の異なる物質の一方が、第1の重合体を含むことが好ましい。
【0014】
本発明の第1の態様において、中空粒子は、粒子径が0.4μm〜5μmであることが好ましい。
【0015】
本発明の第1の態様において、中空粒子を構成する第1の重合体を含む物質は、トルエン不溶分を40質量%以上含有することが好ましい。
【0016】
本発明の第1の態様において、粒子は、コア粒子と、そのコア粒子の少なくとも一部を被覆するシェル層とを有するコアシェル粒子であって、
コア粒子は、第2の重合体を含み、
シェル層は、第3の重合体を含むことが好ましい。
【0017】
本発明の第1の態様において、コアシェル粒子は、粒子径が0.8μm〜10μmであることが好ましい。
【0018】
本発明の第1の態様において、コア粒子の含む第2の重合体に含まれる単量体単位の少なくとも1種が、シェル層の含む第3の重合体に含まれる単量体単位と異なることが好ましい。
【0019】
本発明の第1の態様において、コア粒子の含む第2の重合体が、
(a1)芳香族ビニル系単量体単位を20質量%〜98質量%、
(a2)極性官能基含有単量体単位を0質量%〜40質量%、
(a3)多官能単量体単位を0質量%〜40質量%、および
(a4)その他の単量体単位を0質量%〜10質量%
(但し、(a1)+(a2)+(a3)+(a4)=100質量%)
を含むことが好ましい。
【0020】
本発明の第1の態様において、シェル層の含む第3の重合体が、
(b1)芳香族ビニル系単量体単位を0質量%〜90質量%、
(b2)(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を10質量%〜100質量%、
(b3)多官能単量体単位を0質量%〜40質量%、および
(b4)その他の単量体単位を0質量%〜10質量%
(但し、(b1)+(b2)+(b3)+(b4)=100質量%)
を含むことが好ましい。
【0021】
本発明の第1の態様において、粒子は、第1の粒子と、その第1の粒子の表面の少なくとも一部に配置された第2の粒子とを有する、数平均粒子径が0.3μm〜8μmの異形粒子であって、
第1の粒子は、第4の重合体を含み、
第2の粒子は、第5の重合体を含むことが好ましい。
【0022】
本発明の第1の態様において、第1の粒子の数平均粒子径(La)と、第2の粒子の数平均粒子径(Lb)との比の値が、(La)/(Lb)=0.05〜20.0であることが好ましい。
【0023】
本発明の第1の態様において、第1の粒子が含む第4の重合体および第2の粒子が含む第5の重合体がともに、
(m1)芳香族ビニル系単量体単位、および
(m3)その他の単量体単位
を含有することが好ましい。
【0024】
本発明の第1の態様において、第1の粒子が含む第4の重合体が、さらに
(m2)極性官能基含有単量体単位
を含有することが好ましい。
【0025】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の導光板と、
その導光板の側面に配置された光源とを有することを特徴とするバックライトユニットに関する。
【0026】
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様のバックライトユニットを有することを特徴とする液晶表示装置に関する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の第1の態様によれば、出向面から出射する光の方向に十分な広がりを付与することができる導光板が提供される。
【0028】
本発明の第2の態様によれば、出向面から出射する光の方向に十分な広がりを付与できる導光板を有するバックライトユニットが提供される。
【0029】
本発明の第3の態様によれば、出向面から出射する光の方向に十分な広がりを付与できる導光板を備えたバックライトユニットを有する液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施の形態の導光板の構造を模式的に示す断面図である。
【図2】本実施の形態の導光板に用いるコアシェル粒子の一例の構造を示す模式的な断面図である。
【図3】本実施の形態で用いる異形粒子の形状の第1の例を示す模式的な断面図である。
【図4】本実施の形態で用いる異形粒子の形状の第2の例を示す模式的な断面図である。
【図5】本実施の形態で用いる異形粒子の形状の第3の例を示す模式的な断面図である。
【図6】本実施の形態で用いる異形粒子の形状の第4の例を示す模式的な断面図である。
【図7】本実施の形態で用いる異形粒子の形状の第5の例を示す模式的な断面図である。
【図8】本実施の形態で用いる異形粒子の形状の第6の例を示す模式的な断面図である。
【図9】本実施の形態のバックライトユニットの構成を模式的に説明する断面図である。
【図10】本実施の形態の液晶表示装置の構成を説明する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本実施の形態の導光板の構造を模式的に示す断面図である。
【0032】
本実施の形態の導光板1は、導光板1を構成する導光板基材2の1つの面に、パターンを配置して構成される。パターンは多数を配置することが可能であり、導光板1は、例えば、図1に示すように、ドットパターン3を多数配置することが可能である。
【0033】
導光板1の、ドットパターン3の形成面と対向する面は、後述する本実施の形態の液晶表示装置を構成する液晶パネル(図示されない)の背面と対向するようにされる。そして、この面が、液晶パネルを照明する光を出射する出向面4となる。そして、導光板1が、後述する本実施形態のバックライトユニットを構成する場合、バックライトユニットの光源は、導光板基材2の側面、すなわち、端面部7の近傍に配置される。
【0034】
導光板1の有するドットパターン3は、本実施の形態で導光板用に用いられる粒子として導光板用粒子5と、それらを繋いで分散一体化させるとともにドット状に形を整えるためのバインダ材6とからなる。ドットパターン3は、平面形状が円形となる形状が好ましいが、平面形状が楕円形、四角形または三角形等の形状とすることも可能である。
導光板1のドットパターン3は、ここに到達する光の進行方向を変え、導光板基材2内を全反射の状態で伝搬している光の反射角を全反射しないように角度を屈折させることのほか、導光板1の外部からドットパターン3の形成面を介して導光板基材2内に入射する光を、出向面4に対して垂直方向に進行するように屈折させる。
【0035】
本実施の形態の導光板1では、構造に特徴のある導光板用粒子5を使用してドットパターン3に含有させている。
従来、こうした導光板のドットパターン形成用に使用される粒子は、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、ガラスビーズ等、各部の組成が実質的に等しい均一な物質からなり、実質的に均一な構造のものが使用されてきた。そして、それら粒子を用いたドットパターンを有する従来の導光板では、粒子とバインダ材との界面またはその粒子と空気との間に形成される界面を利用し、それら界面で光を屈折または反射させて、出向面から出射する光の方向に広がりを付与してきた。
【0036】
本実施の形態の導光板1では、従来と異なって、ドットパターン3に含有される導光板用粒子5が、屈折率の異なる複数の物質を用いて構成されている。すなわち、導光板用粒子5は、後に構造について詳述するように、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子を構成し、全体として粒子形状を有している。上述の屈折率の異なる物質は、例えば、それぞれ異なる成分からなる物質である。導光板用粒子5は、従来の導光板用の粒子には無い、新たな界面を内部に有していることになる。
【0037】
したがって、導光板用粒子5を用いたドットパターン3を有する本実施の形態の導光板1では、ドットパターン3において光を屈折させて拡散させるに際し、導光板用粒子5とバインダ材6との界面および導光板用粒子5と空気との界面に加え、新たに設けられた導光板用粒子5の有する界面を利用することができる。そして、導光板1は、より多く形成された界面を利用して、ドットパターン3での効率的な光の拡散を実現する。その結果、導光板1の出向面4から出射する光の方向に、より効率的な広がりの付与を実現する。
以下、本実施の形態の導光板について、ドットパターンを構成する導光板用粒子の構造を含め、より詳細に説明する。
【0038】
<中空粒子>
本実施の形態の導光板の有するドットパターンに含有される導光板用粒子の例として、中空粒子を挙げることができる。この中空粒子は、上述した屈折率の異なる物質の一方が、重合体を含む物質であり、他方の物質が、例えば、空気からなって、屈折率の異なる物質同士の界面を内部に有している。
この中空粒子の、第1の重合体を含む物質は、トルエン不溶分を40質量%以上含有する。
トルエン不溶分とは、中空粒子をトルエンに溶解させたときに、溶解せずに残存する分をいう。測定は、以下の方法により行う。
【0039】
(トルエン不溶分測定法)
中空粒子約1gを採取して精密秤量し((w1)g)、100mLのトルエンに浸漬させ、80℃で6時間攪拌後、遠心分離器を用いて15000rpmで30分間遠心分離し、分離液の一部((v)mL)を採取後、蒸発乾燥固化させ、得られた残存固形分(トルエン可溶分(w2)g)を秤量し、下記式によりトルエン不溶分を算出する。

【0040】
中空粒子に含有されるトルエン不溶分は、上述のように40質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。40質量%未満であると、ドットパターンの、光の方向に広がりを付与する能力が低くなり、さらに異物が生じやすくなる。異物とは、中空粒子の凝集体であり、通常、中空粒子の体積平均粒子径(外径)の10倍以上の直径を有する固体であることから、光学物品の塗膜中に光学顕微鏡で観察することができる。ドットパターン中に異物が存在すると、光学的なムラ(輝点)となることがある。ドットパターン中の中空粒子による異物は、好ましくは10cm当たり10個以下、さらに好ましくは2個以下、最も好ましくは1個未満である。
【0041】
本実施の形態の導光板では、出向面から出射する光の方向に対し、より効率的に広がりを付与できるようにするために、中空粒子の外径が0.4μm〜5μmであることが好ましい。外径は、0.4μm〜4μmであることがより好ましく、0.4μm〜3μmであることがさらに好ましく、0.5μm〜2μmであることが特に好ましい。
【0042】
本実施の形態の導光板に用いる中空粒子の製造方法は、以下のようにして行うことができる。
特定のモノマー(第1重合性モノマー)(α)を水性媒体中で乳化重合させて第1ポリマー粒子(i)の分散体を調製し、次いで、第1ポリマー粒子(i)の表層を特定の第2重合性モノマー(β)に由来する第2ポリマーと未反応の第2重合性モノマー(β)を含むシェル層で被覆させたコアシェル状のポリマー粒子(ii)の分散体を調製し、次いで、コアシェル状のポリマー粒子(ii)の分散体のpHを揮発性塩基によって7以上(25℃換算値)に調整し、コアシェル状のポリマー粒子(ii)を中和膨潤させて、架橋中空ポリマー粒子水分散体(iii)を調製する。この架橋中空ポリマー粒子水分散体(iii)を乾燥させることにより、重合体を含む物質と空気の、異なる物質からなる中空粒子を得る。
【0043】
第1重合性モノマー(α)は、不飽和カルボン酸(α−1)(以下、「モノマー(α−1)」と言うことがある。)およびラジカル重合性モノマー(α−2)(以下、「モノマー(α−2)」と言うことがある。)からなる。
【0044】
モノマー(α−1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のモノまたはジカルボン酸、前記ジカルボン酸の酸無水物等を挙げることができる。
【0045】
モノマー(α−2)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族モノマー、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
【0046】
第1ポリマー粒子(i)の表層を特定の第2重合性モノマー(β)に由来する第2ポリマーと未反応の第2重合性モノマー(β)を含むシェル層で被覆させたコアシェル状のポリマー粒子(ii)の分散体を調製する方法については、次のようにして行うことが可能である。
【0047】
第2重合性モノマー(β)は、架橋性ラジカル重合性モノマー(β−1)(以下、「モノマー(β−1)」と言うことがある。)10質量%〜80質量%、不飽和カルボン酸(β−2)(以下、「モノマー(β−2)」と言うことがある。)0質量%〜20質量%およびモノマー(β−1)と共重合可能な他のラジカル重合性モノマー(β−3)(以下、「モノマー(β−3)」と言うことがある。)0質量%〜90質量%からなる。
上述の第1ポリマー粒子(i)を調製した後に、第1ポリマー粒子(i)5質量部〜1000質量部の存在下で、第2重合性モノマー(β)100質量部を水性溶媒中で乳化重合させて、第1ポリマー粒子(i)の表層に第2重合性モノマー(β)に由来する第2ポリマーと未反応の第2重合性モノマー(β)を含むシェル層を被覆させたコアシェル状のポリマー粒子(ii)の分散体を調製する。
【0048】
モノマー(β−1)としては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、ブタジエン、イソプレン、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の架橋性ラジカル重合性モノマーを用いることができる。
【0049】
モノマー(β−2)としては、前述したモノマー(α−1)の例として示した不飽和カルボン酸と同じものを用いることができ、中でも、粒子の安定性の観点から、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等が好ましい。
【0050】
モノマー(β−3)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のモノエチレン性芳香族化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの非架橋性ラジカル重合性モノマーを用いることができる。中でも、スチレン等のモノエチレン性芳香族化合物が好ましい。
【0051】
尚、中空分子を単離せず、架橋中空ポリマー粒子水分散体(iii)のまま溶剤置換により、中空粒子含有液状組成物を得て、バインダ材を形成するためのバインダ成分や、その他の所望とする成分を添加して、中空粒子を含有するドットパターンの形成に用いることも可能である。
また、中空粒子の製造方法の詳細については、再公表WO2005/071014号パンフレットに記載された方法に従うことが望ましい。
【0052】
(中空粒子とそれに好適なバインダ材)
本実施の形態の導光板のドットパターンは、導光板用粒子を含有して分散一体化させるとともに粒子間を繋いでドット状に形状を整えるためのバインダ材を含む。バインダ材としては、導光板用粒子である中空粒子とともに用いられて所望とする形状のドットパターンを形成できる樹脂を選択して使用することが好ましい。樹脂は、可視光線に対して高い透過性を有する透明なものが好ましい。尚、透明とは、無色透明の他に、有色透明、半透明が概念的に含まれるものであり、以下の記載においても同様である。
【0053】
そのような樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂および光硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。このような樹脂をバインダ材として使用することにより、本実施の形態の導光板の、中空粒子を含有するドットパターンを所望とする形状で形成することができ、導光板の出向面から出射する光に対し、より効率的な広がりの付与をすることができる。
【0054】
バインダ材に使用する樹脂のさらなる具体例として、熱硬化性樹脂としては、公知のものが使用できるが、好ましくは、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂である。これらの樹脂を使用することで特にドットパターンの耐傷つき性と耐熱性が優れるようになる。これらは単独でも2種以上の混合でもよい。本実施の形態の導光板のドットパターンにおいて、ドットパターンにおける熱硬化性樹脂と中空粒子の比率は、中空粒子100質量部に対して、熱硬化性樹脂の量として好ましくは0.2質量部〜1000質量部、より好ましくは0.3質量部〜10質量部である。熱硬化性樹脂の量が0.2質量部未満ではドットパターンの強度に劣る場合があり、1000質量部を超えると、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与ができない場合がある。
【0055】
バインダ材に使用する樹脂のさらなる具体例として、熱可塑性樹脂としては、公知のものが使用できるが、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、スチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフルオロオレフィン系樹脂であり、より好ましくは、アクリル樹脂、MS樹脂、スチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフルオロオレフィン系樹脂である。アクリル樹脂、MS樹脂、スチレン系樹脂を用いた場合、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的に広がりの付与をすることができる。フルオロオレフィン系樹脂は特に好ましい。これらは単独でも2種以上の混合でもよい。ドットパターンにおける熱可塑性樹脂と中空粒子の比率は、上記熱硬化性樹脂の場合と同様である。
【0056】
バインダ材に使用する樹脂のさらなる具体例として、感光性樹脂としては、高分子量の感光性樹脂を挙げることができる。
【0057】
高分子量の感光性樹脂としては、ポリマー骨格に光重合性基が導入されたものであれば、特に制限なく公知のものが使用できる。このようなポリマー骨格としては、ポリエチレン骨格、ポリウレタン骨格、ポリエステル骨格、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリオキシアルキレン骨格、ポリフェニレン骨格などが挙げられ、好ましくは、ポリエチレン骨格、ポリウレタン骨格である。光重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、ベンゾイン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基アザジオキサビシクロ基などが挙げられ、好ましい光重合性基は(メタ)アクリロイル基およびシンナモイル基であり、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
【0058】
これらは単独でも2種以上の混合でもよい。ドットパターンにおける感光性樹脂と中空粒子の比率は、上記熱硬化性樹脂の場合と同様である。
【0059】
<コアシェル粒子>
本実施の形態の導光板の有するドットパターンに含有される導光板用粒子の例として、コア粒子と、そのコア粒子の少なくとも一部を被覆するシェル層とを有するコアシェル粒子を挙げることができる。
このコアシェル粒子は、コア粒子が第2の重合体を含み、シェル層が第3の重合体を含んでおり、屈折率の異なる物質同士の界面を内部に有している。
尚、コア粒子に含有される重合体を第2の重合体と称し、シェル層に含有される重合体を第3の重合体と称して、上述した中空粒子を構成する物質に含有される重合体と区別する。
【0060】
図2は、本実施の形態の導光板に用いるコアシェル粒子の一例の構造を示す模式的な断面図である。
【0061】
図2のコアシェル粒子11は、第2の重合体を含むコア粒子12と、コア粒子12の表面の少なくとも一部を被覆し、その厚みが0.1μm〜2.0μmの範囲である、第3の重合体を含むシェル層13とを有し、その平均粒子径が、0.8μm〜10μmであるものである。尚、コアシェル粒子11では、図2に示す例のように、シェル層13が、コア粒子12の全表面を被覆する構造であってもよい。本実施の形態の導光板はドットパターンに、このようなコアシェル粒子11を含有させることにより、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができる。
【0062】
(コア粒子)
本実施の形態の導光板に用いるコアシェル粒子を構成するコア粒子は、上述のように、第2の重合体を含んで構成されるものである。そして、コア粒子は、第2の重合体からなることが好ましい。第2の重合体としては、具体的には、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等のスチレン系重合体や、アクリルエステル系重合体等を挙げることができる。
【0063】
第2の重合体は、その重量平均分子量が、10万以上であることが好ましく、20万以上であることがより好ましく、50万以上であることがさらに好ましい。上記重量平均分子量が10万未満であると、第3の重合体を重合する際に、この第3の重合体が第2の重合体内部にまで含浸してしまうため、明確なコアシェル構造にならないおそれがある。ここで、本明細書において「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法にてポリスチレンを標準物質として測定される値である。
【0064】
コア粒子は、その平均粒子径が、0.3μm〜4.0μmであり、0.5μm〜2.0μmであることが好ましく、0.8μm〜1.5μmであることがより好ましい。上記平均粒子径はコア粒子10個のSEM写真の撮影により評価できる。平均粒子径が、0.3μm未満であると、コアシェル粒子を含むドットパターンを備えた導光板において、出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなることがある。一方、4.0μmを超えると、重合安定性が悪化するおそれがある。
【0065】
第2の重合体は、(a1)芳香族ビニル系単量体単位(以下、「構成単位(a1)」と言う場合がある。)、(a2)極性官能基含有単量体単位(以下、「構成単位(a2)」と言う場合がある。)、(a3)多官能単量体単位(以下、「構成単位(a3)」と言う場合がある。)、および(a4)その他の単量体単位(以下、「構成単位(a4)」と言う場合がある。)を所定の割合で含むものであることが好ましい。
【0066】
((a1)芳香族ビニル系単量体単位)
構成単位(a1)を構成するために用いられる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等を挙げることができる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル系単量体は、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
上記構成単位(a1)の割合は、構成単位(a1)、構成単位(a2)、構成単位(a3)、および構成単位(a4)の合計を100質量%とした場合に、20質量%〜98質量%であることが好ましく、25質量%〜95質量%であることがより好ましく、40質量%〜90質量%であることがさらに好ましい。第2の重合体に含まれる構成単位(a1)の割合が20質量%未満であると、コア粒子とシェル層との屈折率の差が小さくなり、コアシェル粒子を含むドットパターンを備えた導光板において、出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなることがある。一方、98質量%を超えると、重合安定性が悪化するおそれがある。
【0068】
((a2)極性官能基含有単量体単位)
構成単位(a2)を構成するために用いられる極性官能基含有単量体は、その分子中に極性官能基を有する単量体である。この極性官能基としては、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、グリシジル基、エステル基等を好適例として挙げることができる。これらの中でも、重合安定性に寄与するという観点から、カルボキシル基または水酸基を有する単量体が好ましい。尚、以下に例示する単量体は、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
カルボキシル基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、へキサヒドロフタル酸モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボキシル基含有不飽和単量体、およびその無水物類などを挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0070】
シアノ基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリル、ケイ皮酸ニトリル等のシアン化ビニル系単量体;2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリロニトリルが好ましい。
【0071】
水酸基を有する単量体としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(シクロ)アルキルモノ(メタ)アクリレート類;3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の置換ヒドロキシ(シクロ)アルキルモノ(メタ)アクリレート類などを挙げることができる。これらの中でも、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0072】
グリシジル基を有する単量体としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジルメチルアクリレート、エポキシ化シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらの中でも、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0073】
エステル基を有する単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類等を挙げることができる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0074】
上記構成単位(a2)の割合は、構成単位(a1)、構成単位(a2)、構成単位(a3)、および構成単位(a4)の合計を100質量%とした場合に、0質量%〜40質量%であることが好ましく、4質量%〜35質量%であることがより好ましく、8質量%〜30質量%であることがさらに好ましい。
【0075】
((a3)多官能単量体単位)
構成単位(a3)を構成するために用いられる多官能単量体は、例えば、ジビニルベンゼンに代表される非共役ビニル化合物、あるいはトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPMA)に代表される多価アクリレート化合物等の、少なくとも2個以上の共重合性二重結合を有するモノマーを好ましい例として挙げることができる。
【0076】
また、前記多価アクリレート化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレートなどのジアクリレート化合物、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート類、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートなどのジメタクリレート類、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレートなどのトリメタクリレート類等が挙げられる。以上のうち、特に、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等を好ましい例として挙げることができる。
【0077】
さらに、これらの中でも、重合安定性の観点から、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。なお、これらの単量体は、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0078】
上記構成単位(a3)の割合は、構成単位(a1)、構成単位(a2)、構成単位(a3)、および構成単位(a4)の合計を100質量%とした場合に、0質量%〜40質量%であることが好ましく、5質量%〜35質量%であることがより好ましく、10質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。第2の重合体に含まれる構成単位(a3)の割合が40質量%を超えると、重合安定性が悪化するおそれがある。
【0079】
((a4)その他の単量体単位)
第2の重合体は、上述した各種単量体と共重合可能なその他の単量体からなる単量体単位を含有していてもよい。この構成単位(a4)を構成するその他の単量体としては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド等のN−メチロール化不飽和カルボン酸アミド類;2−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等のアミノアルキル基含有アクリルアミド類;(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の不飽和カルボン酸のアミド類またはイミド類;N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド類;2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリレート類;2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等のアミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレート類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、脂肪酸ビニルエステル等のハロゲン化ビニル化合物類;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物類等を挙げることができる。
尚、これらの単量体は、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0080】
(シェル層)
本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される、コアシェル粒子のシェル層は、上述のように、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆し、その厚みが0.1μm〜2.0μmの範囲であるシェル層である。シェル層は、第3の重合体を含んで構成される。特に、シェル層は、第3の重合体からなることが好ましい。こうしてシェル層を形成することにより、コアシェル粒子を含むドットパターンを備えた導光板において、出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができる。
【0081】
コアシェル粒子において、シェル層は、その厚みが0.1μm〜2.0μmの範囲であり、0.2μm〜1.5μmの範囲であることが好ましく、0.2μm〜1.0μmの範囲であることがより好ましい。シェル層の厚みが0.1μm未満であると、シェル層が薄すぎるため部分的にシェル層が形成されない箇所が生じやすくなるおそれがある。一方、2.0μmを超えると、光がコア粒子との界面に達する前に減衰し、コア粒子との界面からの光が得られないおそれがある。尚、シェル層の厚みは、コアシェル粒子10個についてSEM写真を撮影し、それらの画像解析を行うことにより測定した値を言うものとする。
【0082】
シェル層を構成する第3の重合体は、その重量平均分子量が、5万以上であることが好ましく、10万以上であることがより好ましく、20万以上であることがさらに好ましい。上記重量平均分子量が5万未満であると、製造する導光板のドットパターンの耐熱性、耐溶剤性が不十分になるおそれがある。
【0083】
第3の重合体は、(b1)芳香族ビニル系単量体単位(以下、「構成単位(b1)」と言うことがある。)、(b2)(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(以下、「構成単位(b2)」と言うことがある。)、(b3)多官能単量体単位(以下、「構成単位(b3)」と言うことがある。)、および(b4)その他の単量体単位(以下、「構成単位(b4)」と言うことがある。)を所定の割合で含むものであることが好ましい。
【0084】
(b1)芳香族ビニル系単量体単位は、上述した(a1)芳香族ビニル系単量体単位と同様のものを好適に用いることができる。構成単位(b1)の割合は、構成単位(b1)、構成単位(b2)、構成単位(b3)、および構成単位(b4)の合計を100質量%とした場合に、0質量%〜90質量%であることが好ましく、0〜80質量%であることがより好ましく、0質量%〜70質量%であることがさらに好ましい。第3の重合体に含まれる構成単位(b1)の割合が、90質量%を超えると、コア粒子とシェル層との屈折率の差が小さくなり、コアシェル粒子を含むドットパターンを備えた導光板において、出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなることがある。
【0085】
構成単位(b2)を構成するために用いられる(メタ)アクリル酸エステル単量体は、例えば、メチルメタクリレート(MMA)、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類等を挙げることができる。これらの中でも、メチルメタクリレートが好ましい。
【0086】
コア粒子の構成に用いられる第2の重合体の屈折率は、シェル層の構成に用いられる第3の重合体の屈折率と異なることが好ましい。その結果、コア粒子の屈折率と、シェル層の屈折率とが異なることが好ましい。
尚、コア粒子が第2の重合体からなり、シェル層が第3の重合体からなる場合、(a)コア粒子および(b)シェル層の屈折率は、以下のように測定した値である。まず、第2の重合体および第2の重合体にそれぞれ含有される各単量体単位によって構成される各重合体を合成し、合成した各重合体をそれぞれ基材上に塗工し、70℃にて2分間乾燥させて、厚さ10μmのフィルムをそれぞれ形成する。その後、形成したフィルムの屈折率をアッベ屈折率計にて測定する。測定される上記各重合体の屈折率(フィルムの屈折率)を用い、各単量体単位を構成する各単量体の、第2の重合体および第3の重合体中のそれぞれの混合比率から算出する。
【0087】
例えば、第2の重合体((a)コア粒子)の屈折率は、以下のように測定することができる。まず(a1)芳香族ビニル系単量体を単独で重合させて得られる重合体(以下、「(a1)重合体」と言うことがある。)、(a2)極性官能基含有単量体を単独で重合させて得られる重合体(以下、「(a2)重合体」と言うことがある。)、および(a3)多官能単量体を単独で重合させて得られる重合体(以下、「(a3)重合体」と言うことがある。)を製造(合成)する。その後、これら(a1)〜(a3)重合体をそれぞれ基材上に塗工して70℃にて2分間乾燥させて、厚さ10μmの(a1)〜(a3)重合体からなる(a1)〜(a3)フィルムを作製する。作製した(a1)〜(a3)フィルムについて、アッベ屈折率計にてそれぞれの屈折率X,Y,Zを測定する。そして、それぞれの屈折率X,Y,Zと、第2の重合体の製造に用いる(a1)〜(a3)の各単量体の混合比率x,y,zとから下記式に従って算出する。

【0088】
(b3)多官能単量体単位、および(b4)その他の単量体単位は、それぞれ、上述した(a3)多官能単量体単位、および(a4)その他の単量体単位と同様のものを同様の割合で好適に用いることができる。
【0089】
本実施の形態の導光板に用いるコアシェル粒子は、その平均粒子径が、0.8μm〜10μmであり、1.0μm〜8.0μmであることが好ましく、2.0μm〜5.0μmであることがより好ましい。コアシェル粒子の平均粒子径が、0.8μm未満であると、コアシェル粒子を含むドットパターンを備えた導光板において、出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなるおそれがある。一方、10μmを超えると、コアシェル粒子が大き過ぎるため、バインダ材とともに形成されるドットパターンにおいて、所望とする分散一体化やドットパターンの形状の実現が困難となるおそれがある。
【0090】
尚、コアシェル粒子の平均粒子径は、そのSEM写真の画像解析を行うことにより測定した値を言うものとする。具体的には、少なくとも10個のコアシェル粒子のSEM写真を撮影し、コアシェル粒子の最も長い径(全体粒子最長径)をそれぞれ計測し、この全体粒子最長径の平均値を「コアシェル粒子の平均粒子径」とする。
【0091】
本実施の形態の導光板に用いるコアシェル粒子は、第2の重合体の組成と第3の重合体の組成が、同一であっても異なっていてもよいが、第2の重合体に含まれる単量体単位の少なくとも一種が、第3の重合体に含まれる単量体単位と異なっていることが好ましい。すなわち、その場合には、コアシェル粒子を構成する単量体単位のうち少なくとも一種は、第2の重合体と第3の重合体のいずれか一方の重合体にのみ含まれていることになる。このようにすることにより、その内部で屈折率差を有する粒子が得られる。すなわち、粒子内部に異組成界面を形成することができる。
【0092】
(コアシェル粒子の製造方法)
本実施の形態の導光板に用いるコアシェル粒子は、例えば、コア粒子をシードポリマー粒子とし、シェル層をシード重合により形成することができる。具体的には、特開2008−209855号公報に記載された方法に従って製造することができる。
【0093】
(コアシェル粒子とそれに好適なバインダ材)
本実施の形態の導光板のドットパターンは、導光板用粒子を含有して分散一体化させるとともに粒子間を繋いでドット状に形状を整えるためのバインダ材を含む。バインダ材としては、導光板用粒子であるコアシェル粒子とともに用いられて所望とする特性と形状のドットパターンを形成できる樹脂を使用することが好ましい。
【0094】
コアシェル粒子を含有するドットパターンにおいてバインダ材となる樹脂は、特に限定されないが、可視光線に対して高い透過性を有する透明なものが好ましい。尚、透明とは、上述したように、無色透明の他に、有色透明、半透明が概念的に含まれるものである。
【0095】
上述したバインダ材となる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ビニルエーテル樹脂、2つ以上の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレート、オキセタン樹脂、ビニルエステル樹脂等の熱または活性エネルギー線で硬化可能な硬化性樹脂を挙げることができる。また、バインダ材には、上述した樹脂を一種単独でまたは二種以上を組み合わせたものを用いることもできる。
【0096】
これらの中でも、熱的に安定である観点から、熱または活性エネルギー線で硬化可能な硬化性樹脂が好ましく、エポキシ樹脂、2つ以上の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0097】
コアシェル粒子を含有するドットパターンにおける、バインダ材となる樹脂の含有割合は、バインダ材となる樹脂とコアシェル粒子とを含む全樹脂材料の100質量%に対して、バインダ材となる樹脂が1質量%〜99質量%であることが好ましく、10質量%〜95質量%であることがより好ましく、30質量%〜90質量%であることがさらに好ましい。バインダ材となる樹脂の含有割合が1質量%未満であると、コアシェル粒子をドットパターン中に固定化できないおそれがある。一方、99質量%を超えると、コアシェル粒子を含むドットパターンを備えた導光板において、出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなることがある。
【0098】
一方、ドットパターンにおける、コアシェル粒子の含有割合は、バインダ材となる樹脂とコアシェル粒子とを含む全樹脂材料の100質量%に対して、1質量%〜99質量%であることが好ましく、5質量%〜90質量%であることがより好ましく、10質量%〜70質量%であることがさらに好ましい。コアシェル粒子の含有割合が1質量%未満であると、コアシェル粒子を含むドットパターンを備えた導光板において、出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなることがある。一方、99質量%を超えると、コアシェル粒子をドットパターン中に固定化できないおそれがある。
【0099】
<異形粒子>
本実施の形態の導光板の有するドットパターンに含有される導光板用粒子の例として、第1の粒子と、その第1の粒子の表面の少なくとも一部に配置された第2の粒子とを有する異形粒子を挙げることができる。
この異形粒子は、数平均粒子径が、0.3μm〜8μmであることが好ましい。そして、この異形粒子は、コア粒子が、第4の重合体を含み、シェル層が、第5の重合体を含んでおり、屈折率の異なる物質同士の界面を内部に有している。
尚、第1の粒子に含有される重合体を第4の重合体と称し、第2の粒子に含有される重合体を第5の重合体と称して、上述した中空粒子を構成する物質に含有される重合体やコアシェル粒子を構成する重合体と区別する。
このような異形粒子は、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有されて、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与を可能とする。
【0100】
(第1の粒子)
本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子を構成する第1の粒子は、第4の重合体を含んで構成される。特に、第1の粒子は、第4の重合体からなることが好ましい。この第4の重合体は、水溶解度が10−2質量%以下の有機化合物を含有する油溶性重合開始剤を吸収可能なシードポリマー粒子であることが好ましい。具体的には、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等の芳香族ビニル化合物系粒子であることが好ましい。
【0101】
(第2の粒子)
本実施の形態の導光板に用いる異形粒子を構成する第2の粒子は、上述した第1の粒子の表面の少なくとも一部に配置され、第5の重合体を含有して構成される粒子である。特に、第2の粒子は、第5の重合体からなることが好ましい。
【0102】
(第4の重合体および第5の重合体に含まれる構成単位)
上述した第4の重合体および第5の重合体は共に、例えば、構成単位として、(m1)芳香族ビニル系単量体単位(以下、「構成単位(m1)」と言うことがある。)、および(m3)その他の単量体単位(以下、「構成単位(m3)」と言うことがある。)を含むものであることが好ましい。
【0103】
((m1)芳香族ビニル系単量体単位)
構成単位(m1)を構成するために用いられる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等を挙げることができる。中でも、スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル系単量体は、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0104】
((m3)その他の単量体単位)
第4の重合体には、必要に応じて、前述の各種単量体と共重合可能なその他の単量体からなる単量体単位(構成単位(m3)とも言う。)が含まれていてもよい。この構成単位(m3)を構成するその他の単量体としては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド等のN−メチロール化不飽和カルボン酸アミド類;2−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等のアミノアルキル基含有アクリルアミド類;(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の不飽和カルボン酸のアミド類またはイミド類;N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド類;2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリレート類;2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、等のアミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレート類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、脂肪酸ビニルエステル等のハロゲン化ビニル化合物類;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物類、
【0105】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類等のエステル基含有化合物類を挙げることができる。
【0106】
(構成単位(m1)、(m3)の割合)
第4の重合体に含まれる構成単位(m1)の割合は、第4の重合体に含まれる全構成単位の合計を100質量%とした場合に、60質量%〜98質量%であることが好ましく、65質量%〜95質量%であることがより好ましく、70質量%〜90質量%であることがさらに好ましい。第4重合体に含まれる構成単位(m1)の割合が60質量%未満であると、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有されて、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなる場合がある。一方、98質量%を超えると、異形粒子の形成が困難になる傾向にある。
【0107】
第4の重合体に含まれる構成単位(m3)の割合は、第4の重合体に含まれる全構成単
位の合計を100質量%とした場合に、0質量%〜40質量%であることが好ましく、0質量%〜30質量%であることがより好ましく、0質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。第4の重合体に含まれる構成単位(m3)の割合が40質量%を超えると、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有されて、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなる場合がある。
【0108】
第5の重合体に含まれる構成単位(m1)の割合は、第5の重合体に含まれる全構成単位の合計を100質量%とした場合に、60質量%〜100質量%であることが好ましく、65質量%〜95質量%であることがより好ましく、70質量%〜90質量%であることがさらに好ましい。第5の重合体に含まれる構成単位(m1)の割合が60質量%未満であると、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有されて、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなる場合がある。
【0109】
第5の重合体に含まれる構成単位(m3)の割合は、第5の重合体に含まれる全構成単位の合計を100質量%とした場合に、0質量%〜40質量%であることが好ましく、0質量%〜30質量%であることがより好ましく、0質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。第5の重合体に含まれる構成単位(m3)の割合が40質量%を超えると、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有されて、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなる場合がある。
【0110】
本実施形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子は、第4の重合体の組成と第5の重合体の組成が、同一であっても異なっていてもよいが、第4の重合体に含まれる単量体単位の少なくとも一種が、第5の重合体に含まれる単量体単位と異なっていることも好ましい。すなわち、この場合には、異形粒子を構成する単量体単位のうち少なくとも一種は、第4の重合体と第5の重合体のいずれか一方の重合体にのみ含まれていることになる。このような構成により、例えば、第1の粒子と第2の粒子とを非対称に分離させることができる。すなわち、第1の粒子と第2の粒子との少なくとも一部が接した全体として、異形の粒子を得ることができる。
【0111】
((m2)極性官能基含有単量体単位)
本実施形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子において、第4の重合体には、上記の構成単位の他に、さらに(m2)極性官能基含有単量体単位(以下、「構成単位(m2)」と言うことがある。)が含まれているものであることが好ましく、構成単位(m2)が含まれると、重合安定性を良好に保ちやすい。極性官能基含有単量体とは、その分子中に極性官能基を有する単量体である。この極性官能基としては、例えば、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、グリシジル基、エステル基等を好ましい例として挙げることができる。極性官能基含有単量体の具体例としては、(1)カルボキシル基含有単量体、(2)シアノ基含有単量体、(3)水酸基含有単量体、(4)グリシジル基含有単量体、(5)エステル基含有単量体等を挙げることができる。尚、これらの単量体は、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0112】
((1)カルボキシル基含有単量体)
(1)カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、へキサヒドロフタル酸モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボキシル基含有不飽和単量体、その無水物類等を挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0113】
((2)シアノ基含有単量体)
(2)シアノ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリル、ケイ皮酸ニトリル等のシアン化ビニル系単量体;2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリロニトリルが好ましい。
【0114】
((3)水酸基含有単量体)
(3)水酸基含有単量体としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(シクロ)アルキルモノ(メタ)アクリレート類;3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の置換ヒドロキシ(シクロ)アルキルモノ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。これらの中でも、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0115】
((4)グリシジル基含有単量体)
(4)グリシジル基含有単量体としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジルメチルアクリレート、エポキシ化シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中でも、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0116】
((5)エステル基含有単量体)
(5)エステル基含有単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、(ターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、(ターシャリー)ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0117】
(構成単位(m2)の割合)
第4の重合体に構成単位(m2)が含まれる場合、構成単位(m2)の割合は、構成単位(m1)、構成単位(m2)、および構成単位(m3)の合計を100質量%とした場合に、2質量%〜40質量%であることが好ましく、4質量%〜35質量%であることがより好ましく、8質量%〜30質量%であることがさらに好ましい。第4の重合体に含まれる構成単位(m2)の割合が上記の範囲内であることで、第1の粒子と第2の粒子とを非対称に分離させやすくなる。上記割合が2質量%未満であると、本実施形態において意図する形状の粒子が得られなくなる可能性がある。一方、40質量%を超えると、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有されて、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなる場合がある。
【0118】
反応性官能基として、エステル基、アミド基、アミン基、カルボキシル基、グリシジル基、または水酸基を有する重合体は、例えば、これらの反応性官能基を有する単量体を共重合させるか、または、これらの反応性官能基を有する化合物をグラフトさせることにより得ることができる。また、スルホン酸基を有する重合体は、例えば、スルホン酸基を有する反応性界面活性剤の存在下で、単量体を重合させることにより得ることができる。また、硫酸基を有する重合体は、例えば、過硫酸カリウム等の開始剤を用いて単量体を重合させることにより得ることができる。第4の重合体および/または第5の重合体に含まれる反応性官能基の量は、この反応性官能基の導入に用いられた化合物の量に換算すると、それぞれの重合体の総量に対して、0.5質量%〜50質量%であることが好ましく、2質量%〜30質量%であることがより好ましい。
【0119】
(異形粒子の形状)
本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子は、第1の粒子と第2の粒子とを有し、この第2の粒子が、第1の粒子の表面の少なくとも一部に配置されているものである。また、第2の粒子は、第1の粒子の表面の少なくとも一部に突起状に配置されていることが好ましい。
【0120】
ここで、本明細書に言う「異形」とは、一方の粒子(例えば、第1の粒子)が他方の粒子(例えば、第2の粒子)の表面の少なくとも一部に配置させて得られる形状を含むものであり、より詳しくは、その第1の粒子の中心と第2の粒子の中心を通る面で切断した断面における第1の粒子と第2の粒子との中心間距離が、第1の粒子の半径と第2の粒子の半径の和以下である形状をいう。
【0121】
本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子では、第1の粒子と第2の粒子は、いずれも実質的に単一の領域にまとまって存在するとともに、異形粒子全体の中心点に対して非対称に配置されていることが好ましい。別の言い方をすれば、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子は、芯部が粒子表面に露出されていない、コア粒子とシェル層とからなる粒子とは異なり、第1の粒子と第2の粒子のいずれもが表面に露出していることが好ましい。さらに別の言い方をすると、第1の粒子の表面に第2の粒子が局在化して存在する形状、または第2の粒子の表面に第1の粒子が局在化して存在する形状が好ましい。尚、異形粒子の全体形状は、具体的には、第1の粒子と第2の粒子がそれぞれの一部分で少なくとも相互に接しているかまたは重なり合って形成された形状、いわゆる雪ダルマ形状(または西洋梨形状、瓢箪形状等と言うこともできる。)であることが好ましい。また、いわゆる雪ダルマ形状のくびれ部が、異形粒子全体の中央部または中央部近傍に位置する形状であることも好ましい。
【0122】
図3は、本実施の形態で用いる異形粒子の形状の好ましい第1の例を示す模式的な断面図である。
【0123】
図3に示す異形粒子21aでは、第1の粒子22aと第2の粒子23aとが、いわゆる雪ダルマ形状を構成し、そのくびれ部が、異形粒子21a全体の中央部または中央部近傍に位置している。
【0124】
以下に、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子の形状を例示する。
【0125】
図4は、本実施の形態で用いる異形粒子の形状の好ましい第2の例を示す模式的な断面図である。
【0126】
図4は、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子21bが、第1の粒子22bと第2の粒子23bとからなり、粒子全体の形状として、球状突起をもつ球状である場合を示す。
【0127】
図5は、本実施の形態で用いる異形粒子の形状の好ましい第3の例を示す模式的な断面図である。
【0128】
図6は、本実施の形態で用いる異形粒子の形状の好ましい第4の例を示す模式的な断面図である。
【0129】
図7は、本実施の形態で用いる異形粒子の形状の好ましい第5の例を示す模式的な断面図である。
【0130】
図5、図6および図7は、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子21c〜21eが、それぞれ第1の粒子22c〜22eと第2の粒子23c〜23eとからなり、粒子全体の形状として、球状である場合を示す。
【0131】
図8は、本実施の形態で用いる異形粒子の形状の好ましい第6の例を示す模式的な断面図である。
【0132】
図8は、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子21fが、第1の粒子22fと第2の粒子23fとからなり、粒子全体の形状として、ラクビーボール状である場合を示す。
【0133】
(異形粒子における長径/短径比)
本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子は、その長径の数平均値(L)と、短径の数平均値(D)との比の値((L)/(D))が、1.0〜2.0であることが好ましく、1.1〜1.9であることがより好ましく、1.2〜1.8であることがさらに好ましい。(L)/(D)の値が2.0を超えると、ドットパターン形成時に、バインダ材への分散性が低下し、ドットパターンにおける均一な機能の発揮が実現できなくなるおそれがある。
【0134】
ここで、本明細書において「長径」および「短径」とは、例えば、異形粒子が、図4に示すような球状突起をもつ球状である場合、長径(L)は、図4に示すように、第1の粒子22bの端部から、第2の粒子23bの端部までの距離で表され、短径(D)は、第1の粒子22bまたは第2の粒子23bのうち、より大きい方の粒子(図4においては、第1の粒子22b)の径で表される。
【0135】
(異形粒子における数平均粒径比)
本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子は、第1の粒子の数平均粒子径(La)と、第2の粒子の数平均粒子径(Lb)との比の値((La)/(Lb))が、0.05〜20.0であることが好ましく、0.2〜18であることがより好ましく、0.4〜15であることがさらに好ましい。(La)/(Lb)の値が0.05未満であると、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有されて、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなる場合がある。一方、(La)/(Lb)の値が20.0を超えても、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有されて、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなる場合がある。
【0136】
尚、粒子の形状が、真球形状ではなく、いわゆる扁平形状や、図4に示すような球状突起をもつ球状等である場合には、長径と短径の平均値を「平均粒子径」とする。すなわち、この「平均粒子径」の値を用いて(La)/(Lb)の値を算出する。
【0137】
(異形粒子における屈折率比)
本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子は、第1の粒子の屈折率(Ra)と、第2の粒子の屈折率(Rb)との比の値((Ra)/(Rb))が、0.7〜1.4であることが好ましく、0.8〜1.3であることがより好ましく、0.85〜1.25であることがさらに好ましい。(Ra)/(Rb)の値が0.7未満であると、異形粒子を得難くなる傾向にある。一方、(Ra)/(Rb)の値が1.4を超えても、異形粒子を得難くなる傾向にある。尚、屈折率は、下記の方法により測定した値である。
【0138】
(異形粒子における屈折率測定)
(1)測定対象となる粒子を80℃で24時間乾燥した後に破砕し、60メッシュ金網で濾過して試験サンプル(乾燥一次粒子)を調製する。(2)調製した乾燥一次粒子と、適当な屈折率の屈折率標準液(Cargille社製)を混合して、一次粒子分散液を調製する。(3)調製した一次粒子分散液を顕微鏡で観察し、一次粒子の輪郭部分が視認可能か否かを確認し、視認不可能な場合における屈折率標準液の屈折率、すなわち、視認することができなくなったときの屈折率標準液の屈折率を、その粒子の「屈折率」とした。
【0139】
(異形粒子における表面の露出割合)
本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子の全表面積のうち、第1の粒子により形成される露出面と、第2の粒子により形成される露出面との割合(面積比=(a)/(b))は、5/95〜95/5であることが好ましく、10/90〜90/10であることがより好ましい。
第1の粒子と第2の粒子とのいずれか一方の上記割合が上記した範囲よりも少ない場合には、この異形粒子が「異形」であることによる効果が十分に得られない場合がある。尚、異形粒子の全表面積に占める第1の粒子と第2の粒子との露出面の割合は、例えば、電子顕微鏡写真から測定することができる。
【0140】
(異形粒子の製造方法)
本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子は、例えば、以下に示す方法に従って製造することができる。まず、第4の重合体からなる構成される第1の粒子は、水性媒体を用いた通常の乳化重合方法により得る。この「水性媒体」とは、水を主成分とする媒体を意味する。具体的には、この水性媒体中における水の含有率は、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。水と併用することのできる他の媒体としては、エステル類、ケトン類、フェノール類、アルコール類等の化合物を挙げることができる。例えば、コア粒子をシードポリマー粒子とし、シェル層をシード重合により形成することができる。
【0141】
第1の粒子の数平均粒子径は、0.1μm〜10μmであることが好ましく、0.2μm〜10μmであることがより好ましい。第1の粒子の数平均粒子径がこの範囲外であると、乳化重合により製造することが困難となる場合がある。
【0142】
次に、得られた第1の粒子の存在下において、第5の重合体用の単量体、すなわち、構成単位(m1)を構成するために用いられる芳香族ビニル系単量体、必要に応じて用いられる極性官能基含有単量体および構成単位(m3)を構成するその他の単量体を重合させる。そして、第1の粒子の表面の少なくとも一部に配置された第2の粒子を得て、異形粒子を形成する。
より具体的な製造方法については、再公表WO2008/123517号パンフレットに記載された方法に従うことが好ましい。
【0143】
以上のようにして得られる、異形粒子の数平均粒子径は、0.3μm〜8μmであり、好ましくは0.6μm〜8μm、より好ましくは0.8μm〜8μmである。数平均粒子径が0.3μmよりも小さい場合、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有されて、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなる場合がある。一方、8μmよりも大きいと、乳化重合法によって製造することが困難な場合がある。尚、異形粒子の「数平均粒子径」とは、異形粒子の最も長い方向に対する差し渡しの長さをいい、例えば、光散乱法により測定することができる。
【0144】
(異形粒子の別の実施形態)
本実施の形態の導光板のドットパターンに含有される異形粒子としては、中空粒子を用いた別の実施形態の異形粒子とすることも可能である。別の実施形態の異形粒子は、重合体からなる中空粒子と、この中空粒子の表面の少なくとも一部に配置された、重合体からなる粒子とを有して構成される。その数平均粒子径は、0.4μm〜10μmであることが好ましい。このような別の実施形態の異形粒子は、本実施の形態の導光板のドットパターンに含有されて、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることが可能となる。
この異形粒子の別の実施形態としては、再公表WO2008/123517号パンフレットに記載された異形粒子を用いることができる。
【0145】
(異形粒子とそれに好適なバインダ材)
本実施の形態の導光板のドットパターンは、導光板用粒子を含有して分散一体化させるとともに粒子間を繋いでドット状に形状を整えるためのバインダ材を含む。バインダ材としては、導光板用粒子である異形粒子とともに用いられて所望とする特性と形状のドットパターンを形成できる樹脂を使用することが好ましい。
【0146】
異形粒子を含有するドットパターンのバインダ材となる樹脂は、特に限定されないが、可視光線に対して高い透過性を有する透明なものが好ましい。尚、透明とは、上述したように、無色透明の他に、有色透明、半透明が概念的に含まれるものである。
【0147】
上述したバインダ材となる樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ニトロセルロース等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、電子線あるいは紫外線照射により硬化する電離放射線硬化型樹脂等が挙げられる。また、バインダ材には、上述したバインダ材となる樹脂を一種単独でまたは二種以上を組み合わせたものを用いることもできる。
【0148】
本実施の形態の導光板のドットパターンにおけるバインダ材となる樹脂の含有割合は、異形粒子100質量部に対して、1質量部〜10000質量部であることが好ましく、2質量部〜5000質量部であることがより好ましく、3質量部〜1000質量部であることがさらに好ましい。バインダ材となる樹脂の含有割合が1質量部未満であると、例えば、ドットパターン中に異形粒子を分散一体化させることが困難となる傾向にある。一方、バインダ材となる樹脂の含有割合が10000質量部を超える場合、本実施の形態の導光板のドットパターンにおいて、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることができなくなることがある。
【0149】
<導光板>
本実施の形態の導光板は、上述したように、図1に示す構造を有する。すなわち、本実施の形態の導光板1は、導光板1を構成する導光板基材2の、出向面4と対向する面に、多数のパターンとして、多数のドットパターン3を配置して構成される。
【0150】
導光板基材2は、透明(無色透明、有色透明、または半透明)な樹脂から構成される板状体であることが好ましい。導光板基材2を構成する樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ビニルエーテル樹脂、2つ以上の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレート、オキセタン樹脂、ビニルエステル樹脂等の熱または活性エネルギー線で硬化可能な硬化性樹脂を挙げることができる。
【0151】
さらに、導光板基材2を構成する樹脂としては、環状オレフィン系開環重合体水添物、環状オレフィン系付加重合体、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アクリル樹脂等も好ましく用いることができる。
導光板基材2には、上述した樹脂等の透明樹脂基板を切り出して表面研磨するか、または射出成形により所定形状にされたものを用いることができる。
【0152】
導光板基材2の厚みは、各部で均一になるように構成することが可能である。
また、導光板基材2は、バックライトユニットの光源が配置される端面部7から離れるにつれて基板厚が漸減する楔形状とすることも可能である。
【0153】
導光板1の有するドットパターン3は、導光板用粒子5とそれらを結びつけて分散一体化させるとともにドット状に形を整えるためのバインダ材6とからなる。
導光板1におけるドットパターン3は、所定の均等な間隔を空けてドットパターン3のそれぞれが規則的に配置された構成とすることも可能であり、ランダムにドットパターン3のそれぞれを配置した構成とすることも可能である。導光板1の出向面4から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることを考慮した場合、ランダムにドットパターン3のそれぞれを配置した構成とすることが好ましい。
【0154】
導光板基材2上にドットパターン3を配置する場合、ドットパターン3を配置させる配置密度を、導光板基材2上において均一とすることが可能である。
一方、導光板1において、光源が配置される端面部7から離れるに従って、ドットパターン3の配置密度を高めることも可能である。こうすることにより、導光板1において、光源から離れた部分で、導光板1の出向面4から出射する光の量が低下するのを防ぐことができる。
また、ドットパターン3の各ドットを、光源が配置される端面部7から離れるに従って、大きくすることも可能である。こうすることにより、上述した、導光板1において、光源が配置される端面部7から離れるに従ってドットパターン3の配置密度を高める方法と同様の効果を得ることが可能となる。
【0155】
ドットパターン3を構成する導光板用粒子5としては、上述した、中空粒子、コアシェル粒子および異形粒子を、それぞれ単独で、または2種以上混合して含有させることができる。これら以外に導光板用粒子5に含有可能な粒子としては、炭酸カルシウム、シリカ、ガラスビーズ等の無機粒子や、上述した中空粒子やコアシェル粒子等を除く、各部を構成する物質が等しく、内部組成の均一な樹脂粒子等を含有させて使用することが可能である。
【0156】
以上の構造を有することにより、本実施の形態の導光板では、導光板の出向面から出射する光の方向に対し、より効率的な広がりの付与をすることが可能となる。
【0157】
導光板1の製造方法としては、まず、導光板基材2上にドットパターン3を形成するための組成物を準備する。この組成物には、導光板用粒子5が、これらを分散または溶解可能な溶媒に、分散または溶解されて含有される。導光板用粒子5には、上述した中空粒子、コアシェル粒子および異形粒子のうちの少なくとも1種が含まれる。そして、この組成物には、中空粒子等の導光板用粒子5のそれぞれに好適なバインダ材6を形成するためのバインダ成分が、分散または溶解されて含有される。導光板用粒子5およびバインダ成分を分散または溶解させる溶媒としては、例えば、水、トルエン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等を挙げることができる。これらは、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0158】
尚、これら組成物の調製方法の詳細については、再公表WO2005/071014号パンフレット、特開2008−209855号公報および再公表WO2008/123517号パンフレットに記載された方法に従うことが好ましい。
【0159】
そして、調製された組成物を用い、上述した導光板基材2上に、スクリーン印刷等の印刷法を用いて塗布し、乾燥および/または硬化させることにより、導光板基材2上に、導光板用粒子5を含有するドットパターン3を形成し、導光板1を得ることができる。
【0160】
尚、本発明において、パターンの形状は先に述べたドットパターンのみではなく、針状、線状等でもよい。
また、パターンの印刷方法としては、凸版印刷、平板印刷、凹版印刷のいずれでもよく、具体的にはスクリーン印刷以外にも、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等を挙げることができる。
パターンのサイズについては、本発明の効果を発現できるものであればよく任意に設計することができるが、パターンの密度は、通常、光源から離れるに従って疎から密に変化している。
【0161】
<バックライトユニット>
次に、上述した本実施の形態の導光板を用いて構成された本実施の形態のバックライトユニットについて図面を用いて説明する。
図9は、本実施の形態のバックライトユニットの構成を模式的に説明する断面図である。
【0162】
図9に示す本実施の形態のバックライトユニット31は、液晶表示装置への適用が好適な、エッジライト方式のバックライトユニットである。
本実施の形態のバックライトユニット31は、本実施の形態の導光板1と、この導光板1の側面に配置され端面部7に向けて光を照射する光源32と、導光板1のドットパターン3の形成面を覆う反射板33とを有して構成される。本実施の形態の導光板1は、上述したように、導光板1を構成する導光板基材2の、出向面4と対向する面に、多数のパターンとして、多数のドットパターン3を配置して構成される。
【0163】
光源32には、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)や熱陰極蛍光管等の蛍光管による線光源を用いることが可能である。
【0164】
また、点光源であるLEDを用いて光源とすることもできる。その場合、LEDを導光板1の側傍に複数並べて配置し、端面部7に向けて光を照射するように構成することも可能である。
【0165】
LEDとしては白色LEDを使用することが可能である。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと、緑色LEDと、青色LEDとを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと、赤色LEDと、緑色蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと、赤色発光蛍光体と、緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと、YAG系蛍光体との混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと、橙色発光蛍光体と、緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと、赤色発光蛍光体と、緑色発光蛍光体と、青色発光蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
【0166】
そして、例えば、光源32に蛍光管等の線光源を用いた場合に好適となるように、光源32を囲み、光源32からの光を効率良く導光板1の端面部7に入射させるためのリフレクタ(図示しない)を設けることも可能である。
【0167】
反射板33としては、表面に白色塗料を塗布したシート状をなす金属や、金属箔を積層したものや、酸化チタンのような白色顔料を混入した熱可塑性樹脂シートや、表面にアルミニウムなどの金属を蒸着した熱可塑性樹脂シート等により形成することができる。
反射板33は、導光板1のドットパターン3の形成面を覆うように形成することができるが、さらに、導光板1の端面部7および出向面4を除いた面を覆うようにし、光の反射効率を向上させることも可能である。
【0168】
以上の構成を備える本実施の形態のバックライトユニット31では、光源32から出射された光が、導光板1の端面部7から導光板1内に入射し進行する。そして、導光板1に形成されたドットパターン3は、ここに到達する光の進行方向を変え、導光板基材2内を全反射の状態で伝搬している光の反射角を、全反射しないように角度を屈折させることのほか、反射板33の作用により、導光板1の外部からドットパターン3の形成面を介して導光板基材2内に入射する光を、出向面4に対して垂直方向に進行するように屈折させる。そして、バックライトユニット31では、例えば、線光源である光源32からの光を面状の光に変換して、バックライトユニット31の上層に配置される液晶パネル(図示されない)を背面側から照明することができる。
【0169】
また、本実施の形態のバックライトユニット31は、液晶パネルの背面を照明する面上に光が面内でより均一となるように、導光板1の上層(液晶パネルと導光板1との間)に光拡散板を設けることが可能である。さらに、液晶パネルを効率よく照明するために、導光板1の上層(液晶パネルまたは光拡散板と、導光板1との間)に集光作用を備えたプリズムシート(例えば、山形スリーエム(株)製、商品名:BEF)を設けることも可能である。
【0170】
<液晶表示装置>
本実施の形態の液晶表示装置は、上述した本実施の形態のバックライトユニットと、液晶パネルとを用いて構成される。
【0171】
図10は、本実施の形態の液晶表示装置の構成を説明する模式的な断面図である。
【0172】
図10に示すように、本実施の形態の液晶表示装置41は、本実施の形態のバックライトユニット31’の上層に液晶パネル42を配置し、これらが図示されない筐体に収容されて構成される。バックライトユニット31’は、上述したバックライトユニット31に光拡散板43とプリズムシート44を組み合わせて構成された本実施の形態のバックライトユニットの例となる。
【0173】
バックライトユニット31’は、上述したバックライトユニット31と同様に、本実施の形態の導光板1と、この導光板1の側面に配置されて端面部7に向けて光を照射する光源32と、導光板1のドットパターン3の形成面を覆う反射板33とを有して構成される。本実施の形態の導光板1は、上述したように、導光板1を構成する導光板基材2の、出向面4と対向する面に、多数のパターンとして、多数のドットパターン3を配置して構成される。そして、バックライトユニット31’は、導光板1の上層であって、液晶パネル42と導光板1との間に光拡散板43を設けている。さらに、液晶パネル42を効率よく照明するために、導光板1の上層であって、光拡散板43と導光板1との間に集光作用を備えたプリズムシート44を設けている。
【0174】
液晶パネル42は、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In−Planes Switching)、VA(Vertical Alignment)またはOCB(Optically Compensated Birefringence)等の液晶モードの液晶パネルとすることが可能である。
【0175】
液晶パネル42は、上記のうちで、広い視野角、速い応答速度および高いコントラスト比を有し、携帯情報機器のディスプレイ用としても好適であることから、IPSモードまたはVAモードとすることがより好ましい。液晶パネル42は、透過型パネルとすることが好ましいが、半透過型表示パネルであってもよい。
【0176】
液晶パネル42は、少なくとも片面に偏光板(図示されない)を有して構成される。液晶パネル42の液晶モードが上記した液晶モードであって透過型パネルである場合、両面にそれぞれ偏光板を配置して有することが好ましい。
液晶パネル42は、好ましくは透明電極(図示されない)および配向膜(図示されない)を有する2枚の透明基板(図示されない)が、その周辺部を封止され、かつ間隙(セルギャップ)を介して対向し、基板の内表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶(図示されない)が充填された構造を有する。
【0177】
基板としては、例えば、ガラス、樹脂等を挙げることができる。
液晶としては、例えばネマティック液晶、スメクティック液晶を挙げることができるが、液晶パネル42の液晶モードが上記した液晶モードである場合には、ネマティック液晶が用いられる。
【0178】
使用可能なネマティック液晶としては、例えば、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶等を挙げることができる。
【0179】
また、液晶パネル42の液晶モードが、例えば、TNモードやSTNモードである場合、これらの液晶に、コレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネート等のコレステリック液晶や商品名「C−15」、「CB−15」(以上、メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメート等の強誘電性液晶も使用することができる。
【0180】
上述の偏光板としては、例えば、ポリビニルアルコールを延伸配向させつつヨウ素を吸収させた「H膜」と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板等を挙げることができる。
【0181】
本実施の形態の液晶表示装置41は、カラー表示が可能となるように、液晶パネル42を、カラーフィルタ(図示されない)を有するカラー液晶パネルとすることも可能である。その場合、カラーフィルタは、液晶を挟持する一方の基板上であって、その基板と透明電極との間に配置されることが好ましい。
【0182】
以上の構成を備える本実施の形態の液晶表示装置41では、本実施の形態のバックライトユニット31’が、その上層に配置される液晶パネル42を背面側から効率よく均一に照明することができる。
したがって、本実施の形態の液晶表示装置41は、高輝度で高い表示品位の画像を表示することができる。
【実施例】
【0183】
以下、実施例に基づいて本発明の実施形態をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0184】
〔導光板用粒子の製造〕
(製造例1:中空粒子の製造)
初めにシード粒子の水性分散体を調製する。
容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水109.5部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、商品名:F65)0.2部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を投入した。その一方で、メタクリル酸メチル90部、メタクリル酸10部、分子量調整剤としてオクチルチオグリコール2.5部、乳化剤(花王(株)製、商品名:F65)0.1部および水40部を混合攪拌してモノマー混合物の水性分散体を調製した。このモノマー混合物の水性分散体の20%を前記反応容器に投入し、反応容器内の液を攪拌しながら温度75℃まで昇温して1時間重合反応を行い、その後温度を75℃に保ちながら残りのモノマー混合物の水性分散体を連続的に2時間かけて反応容器に添加し、さらに、2時間熟成を行い、固形分40%、粒子径0.2μm、重量平均分子量15000のシード粒子の水性分散体を得た。
【0185】
次に、シード粒子を用いて架橋中空ポリマー粒子水分散体(iii)を製造する。
容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水186部を投入し、これに上述のようにして調製したシード粒子の水性分散体を固形分で10部(水性分散体で25部)、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を投入した。その一方で、メタクリル酸メチル79.5部、メタクリル酸20部、ジビニルベンゼン0.5部(純度81%)、オクチルチオグリコール3部、乳化剤(花王(株)製、商品名:F65)0.1部および水40部を混合攪拌してモノマー混合物の水性分散体を調製した。次に、反応容器内の液を攪拌しながら温度80℃まで昇温、保持し、上記モノマー混合物の水性分散体を反応容器に連続的に3時間かけて投入した。その後、さらに2時間熟成を行ない、固形分31%、粒子径0.41μmの第1ポリマー粒子(i)の水性分散体を得た。
【0186】
容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水240部を投入し、これに前述のように調製した第1ポリマー粒子(i)の水性分散体を固形分で15部(水性分散体で48.4部)、スチレン20部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.4部を投入し、反応容器内の液を攪拌しながら温度80℃まで昇温、保持して30分間でスチレンの重合を行い、第1ポリマー粒子(i)にスチレンが複合したポリマー粒子を得た。その一方で、スチレン56.5部、エチレングリコールジメタクリレート3部、乳化剤(花王(株)製、商品名:F65)0.1部および水40部を混合攪拌して第2重合性モノマーの水性分散体を調製し、前記反応容器内の液を攪拌しながら80℃に保持してこの第2重合性モノマー(β)の水性分散体を反応容器に連続的に4時間かけて投入した。この際、第2重合性モノマー(β)の水性分散体を投入開始後2時間経過時に、アクリル酸0.5部を反応容器に一括投入してスチレンと共重合させた。さらに上記第2重合性モノマー(β)の水性分散体をすべて反応容器に投入し終わった後、ジビニルベンゼン20部(純度81%)を一括投入し、第1ポリマー粒子(i)の表層にスチレン、アクリル酸、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼンを重合・積層させたコアシェル状のポリマー粒子(ii)を得た。すべての第2重合性モノマー(β)の投入終了後およそ15分後に攪拌を続けながら20%アンモニア水溶液5部を一括投入して、温度を90℃に上げ、2時間攪拌熟成した。20%アンモニア水溶液投入直前の未反応の第2重合性モノマー(β)の第2重合性モノマー(β)全体に対する質量比率は6%であった。その後、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.3部とホルムアルデヒド樹脂0.1部を投入し、そのまま1時間攪拌放置して、固形分26.5%、粒子径1.1μm、内径0.9μm、容積空孔率55%の単一の空孔を有する球状の架橋中空ポリマー粒子の水性分散体(iii)を得た。
【0187】
得られた架橋中空ポリマー粒子水分散体(iii)を大川原化工機(株)製スプレードライヤ(パイロットシリーズL−12型)を用いて乾燥し、中空粒子を得た。
【0188】
(製造例2:コアシェル粒子の製造)
まず、単分散粒子を乳化重合によって製造する。具体的には、スチレン90部、メタクリル酸10部を水溶性開始剤として過硫酸カリウムを用いて乳化重合することにより、スチレンに由来する構造単位とメタクリル酸に由来する構造単位との組成比(質量比)が90:10である、平均粒子径1.0μmの単分散粒子を製造した。
【0189】
次に、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシサイド(商品名「パーロイル(登録商標)355」、日油(株)製、水溶解度:0.01%)2部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1部、および水20部を撹拌して乳化後、超音波ホモジナイザー(みずほ工業(株)製)でさらに微粒子化し、水性分散体を得た。得られた水性分散体に、上記単分散粒子を15部添加し、16時間撹拌した。撹拌後、スチレン(ST)95部、ジビニルベンゼン(DVB)5部を加え、40℃で3時間ゆっくり撹拌して、スチレンおよびジビニルベンゼンを単分散粒子に吸収させた。その後、75℃に昇温して、3時間重合反応を行うことにより、第2の重合体からなる(a)コア粒子を含有するエマルジョンを得た。尚、(a)コア粒子の平均粒子径は2.0μmであり、凝固物はほとんど発生しなかった。また、第2の重合体は、(a1)芳香族ビニル系単量体単位としてスチレンに由来する構造単位を94.3質量%、(a2)極性官能基含有単量体単位としてメタクリル酸に由来する構造単位を1.4質量%、(a3)多官能単量体単位としてジビニルベンゼンに由来する構造単位を4.3質量%、および(a4)その他の単量体単位を0質量%含むものであった。
【0190】
次に、前述の水性分散体と同一の水性分散体22.1部、および上述の(a)コア粒子(シードポリマー粒子)を含有するエマルジョン40部(但し、固形分として)を混合し、16時間撹拌した。撹拌後、メチルメタクリレート(MMA)8部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPMA)2部を加え、40℃で1時間ゆっくり撹拌して、メチルメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートを(a)コア粒子に吸収させた。その後、75℃に昇温して、3時間重合反応を行うことにより、(a)コア粒子の表面を被覆した、第3の重合体からなる(b)シェル層を形成した。このようにして、(a)コア粒子と(b)シェル層とからなる、コアシェル粒子(以下、「粒子(A)」と記す場合がある)を含有するエマルジョンを得た。エマルジョン中の粒子(A)はコアシェル構造であり、その平均粒子径は約2.2μmであり、凝固物はほとんど発生しなかった。尚、(b)シェル層の厚さは、粒子(A)の平均粒子径と(a)コア粒子の平均粒子径との差として算出し、0.2μmであった。また、第3の重合体は、(b1)芳香族ビニル系単量体単位を0質量%、(b2)(メタ)アクリル酸エステル単量体単位としてメチルメタクリレートに由来する構造単位を80質量%、(b3)多官能単量体単位としてトリメチロールプロパントリメタクリレートに由来する構造単位を20質量%、および(b4)その他の構造単位を0質量%含むものであった。
【0191】
次に、得られた粒子(A)を含有するエマルジョンを、スプレードライヤ(型番「B−290型」、日本ビュッヒ(株)製)を使用して乾燥させ、粉末状の粒子(A)、すなわち、コアシェル粒子を得た。
【0192】
(製造例3:異形粒子の製造)
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名「パーブチル(登録商標)O」、日油(株)製)2部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1部、および水20部を撹拌して乳化後、超音波ホモジナイザーでさらに微粒子化し、水性分散体を得た。得られた水性分散体に、数平均粒子径1.0μmの単分散ポリスチレン粒子15部を添加し、16時間撹拌した。次いで、スチレン(ST)70部、ジビニルベンゼン(DVB)20部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)10部を加え、40℃で3時間ゆっくり撹拌して、モノマー成分(ST、DVB、およびHEMA)を単分散ポリスチレン粒子に吸収させた。その後、75℃に昇温して、3時間重合反応を行うことにより、第4の重合体からなる第1の粒子を含有するエマルジョンを得た。尚、第1の粒子の数平均粒子径は1.7μmであり、凝固物はほとんど発生しなかった。
【0193】
前述の水性分散体と同一の水性分散体22.1部、および上述の第1の粒子を含有するエマルジョン20部(但し、固形分として)を混合し、16時間撹拌した。次いで、スチレン(ST)90部、およびジビニルベンゼン(DVB)10部を加え、40℃で3時間ゆっくり撹拌して、モノマー成分(STおよびDVB)を第1の粒子に吸収させた。その後、75℃に昇温して、3時間重合反応を行うことにより第5の重合体からなる第2の粒子を形成し、第1の粒子と第2の粒子とからなる異形粒子を含有するエマルジョンを得た。得られた異形粒子は、図4に示すような形状の異形粒子であった。第1の粒子の数平均粒子径は2.5μm、異形粒子の数平均粒子径は3.8μm、La(μm)/Lb(μ
m)=1.7/2.5であり、凝固物はほとんど発生しなかった。
【0194】
異形粒子を含有するエマルジョンを、スプレードライヤ(型番「L−8型」、大川原化工機(株)製)を使用して乾燥し、粉末状の異形粒子を得た。
【0195】
〔導光板の製造〕
(実施例1)
製造例1で得られた中空粒子の5部をシクロヘキサノン95部に超音波分散機を用いて分散し、中空粒子含有液状組成物を得た。中空粒子含有液状組成物の100部に樹脂としてポリメチルメタクリレートを5部混合して、樹脂含有する中空粒子含有液状組成物を得た。これを用い、表面の研磨された厚さ4mmの透明なアクリル樹脂製基材上にスクリーン印刷し、100℃で乾燥し、中空粒子を含有するドットパターンを備えた導光板を得た。
【0196】
(実施例2)
ジペンタエリストールペンタおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(商品名「アロニックス(登録商標)M402」、東亞合成(株)製)100部、および有機溶媒(トルエン/シクロヘキサノン=9/1)100部を混合して得られた混合液を調製した。得られた混合液に対して、製造例2で得られたコアシェル粒子を10部添加して分散させて、コアシェル粒子を含有する液状組成物を得た。
得られた液状組成物を用い、表面の研磨された厚さ4mmの透明なアクリル樹脂製基材上にスクリーン印刷した。次いで、乾燥の後、高圧水銀灯にて紫外線を500mJ/cmで照射して硬化させることにより、コアシェル粒子を含有するドットパターンを備えた導光板を得た。
【0197】
(実施例3)
ポリメチルメタクリレート(商品名「パラペット(登録商標)HR−L」、(株)クラレ製、メルトインデックス:2g/10分)50部、およびメチルイソブチルケトン300部を混合して得られた混合液に対して、製造例3で得られた異形粒子50部を添加して分散させることにより、異形粒子含有液状組成物を得た。
【0198】
次いで、得られた異形粒子含有液状組成物を用い、表面の研磨された厚さ4mmの透明なアクリル樹脂製基材上にスクリーン印刷した。次いで、60℃で3時間乾燥することにより、異形粒子を含有するドットパターンを備えた導光板を得た。
【0199】
〔バックライトユニットの製造〕
(実施例4)
実施例1で得られた導光板を用い、中空粒子を含有するドットパターンの形成面側に、反射板として白色塗装したアルミニウム板を配置し、線光源としてCCFLを導光板の端面部の近傍に配置してバックライトユニットを構成した。
製造されたバックライトユニットでは、CCFLから出射された光が導光板の出向面から出射するとともに、出射光の方向に対し、より効率的に広がりの付与をすることができた。
【0200】
(実施例5)
実施例2で得られた導光板を用い、コアシェル粒子を含有するドットパターンの形成面側に、反射板として白色塗装したアルミニウム板を配置し、線光源としてCCFLを導光板の端面部の近傍に配置してバックライトユニットを構成した。
製造されたバックライトユニットでは、CCFLから出射された光が導光板の出向面から出射するとともに、出射光の方向に対し、より効率的に広がりの付与をすることができた。
【0201】
(実施例6)
実施例3で得られた導光板を用い、異形粒子を含有するドットパターンの形成面側に、反射板として白色塗装したアルミニウム板を配置し、線光源としてCCFLを導光板の端面部の近傍に配置してバックライトユニットを構成した。
製造されたバックライトユニットでは、CCFLから出射された光が導光板の出向面から出射するとともに、出射光の方向に対し、より効率的に広がりの付与をすることができた。
【0202】
〔液晶表示装置の製造〕
(実施例7)
実施例4で得られたバックライトユニットを用い、さらに導光板上にプリズムシート(山形スリーエム(株)製、商品名:BEF)と、光拡散板として光拡散物質のコーティングされたフィルムとを順次配置し、プリズムシートと光拡散板を備えたバックライトユニットを構成した。このバックライトユニットと公知の方法により製造されたIPSモードのカラー液晶パネルを組み合わせ、それらを筐体に収容して液晶表示装置を製造した。
製造された液晶表示装置では、バックライトユニットが、カラー液晶パネルを背面側から効率よく均一に照明することができ、高輝度で高い表示品位の画像を表示することができた。
【0203】
(実施例8)
実施例5で得られたバックライトユニットを用い、さらに導光板上にプリズムシート(山形スリーエム(株)製、商品名:BEF)と、光拡散板として光拡散物質のコーティングされたフィルムとを順次配置し、プリズムシートと光拡散板を備えたバックライトユニットを構成した。このバックライトユニットと公知の方法により製造されたIPSモードのカラー液晶パネルを組み合わせ、それらを筐体に収容して液晶表示装置を製造した。
製造された液晶表示装置では、バックライトユニットが、カラー液晶パネルを背面側から効率よく均一に照明することができ、高輝度で高い表示品位の画像を表示することができた。
【0204】
(実施例9)
実施例6で得られたバックライトユニットを用い、さらに導光板上にプリズムシート(山形スリーエム(株)製、商品名:BEF)と、光拡散板として光拡散物質のコーティングされたフィルムとを順次配置し、プリズムシートと光拡散板を備えたバックライトユニットを構成した。このバックライトユニットと公知の方法により製造されたIPSモードのカラー液晶パネルを組み合わせ、それらを筐体に収容して液晶表示装置を製造した。
製造された液晶表示装置では、バックライトユニットが、カラー液晶パネルを背面側から効率よく均一に照明することができ、高輝度で高い表示品位の画像を表示することができた。
【0205】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0206】
本発明の導光板は、省スペース化や薄型化が可能なエッジライト方式のバックライトユニットに適用することが可能であり、IPSモードやVAモード等の高画質の液晶パネルと組み合わせて、今後益々高画質化が求められるスマートフォンやタブレットコンピュータの表示装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0207】
1 導光板
2 導光板基材
3 ドットパターン
4 出向面
5 導光板用粒子
6 バインダ材
7 端面部
11 コアシェル粒子
12 コア粒子
13 シェル層
21a、21b、21c、21d、21e、21f 異形粒子
22a、22b、22c、22d、22e、22f 第1の粒子
23a、23b、23c、23d、23e、23f 第2の粒子
31、31’ バックライトユニット
32 光源
33 反射板
41 液晶表示装置
42 液晶パネル
43 光拡散板
44 プリズムシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板基材の少なくとも1つの面にパターンを配置した導光板であって、
前記パターンは、
屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子と、
前記粒子間を繋ぐバインダ材とを用いて構成されることを特徴とする導光板。
【請求項2】
前記粒子は、中空粒子であって、
前記屈折率の異なる物質の一方が、第1の重合体を含むことを特徴とする請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記中空粒子は、粒子径が0.4μm〜5μmであることを特徴とする請求項2に記載の導光板。
【請求項4】
前記第1の重合体を含む物質は、トルエン不溶分を40質量%以上含有することを特徴とする請求項2または3に記載の導光板。
【請求項5】
前記粒子は、コア粒子と、該コア粒子の少なくとも一部を被覆するシェル層とを有するコアシェル粒子であって、
前記コア粒子は、第2の重合体を含み、
前記シェル層は、第3の重合体を含むことを特徴とする請求項1に記載の導光板。
【請求項6】
前記コアシェル粒子は、粒子径が0.8μm〜10μmであることを特徴とする請求項5に記載の導光板。
【請求項7】
前記第2の重合体に含まれる単量体単位の少なくとも1種が、前記第3の重合体に含まれる単量体単位と異なることを特徴とする請求項5または6に記載の導光板。
【請求項8】
前記第2の重合体が、
(a1)芳香族ビニル系単量体単位を20質量%〜98質量%、
(a2)極性官能基含有単量体単位を0質量%〜40質量%、
(a3)多官能単量体単位を0質量%〜40質量%、および
(a4)その他の単量体単位を0質量%〜10質量%
(但し、(a1)+(a2)+(a3)+(a4)=100質量%)
を含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項9】
前記第3の重合体が、
(b1)芳香族ビニル系単量体単位を0質量%〜90質量%、
(b2)(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を10質量%〜100質量%、
(b3)多官能単量体単位を0質量%〜40質量%、および
(b4)その他の単量体単位を0質量%〜10質量%
(但し、(b1)+(b2)+(b3)+(b4)=100質量%)
を含むことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項10】
前記粒子は、第1の粒子と、前記第1の粒子の表面の少なくとも一部に配置された第2の粒子とを有する、数平均粒子径が0.3μm〜8μmの異形粒子であって、
前記第1の粒子は、第4の重合体を含み、
前記第2の粒子は、第5の重合体を含むことを特徴とする請求項1に記載の導光板。
【請求項11】
前記第1の粒子の数平均粒子径(La)と、前記第2の粒子の数平均粒子径(Lb)との比の値が、(La)/(Lb)=0.05〜20.0であることを特徴とする請求項10に記載の導光板。
【請求項12】
前記第4の重合体および前記第5の重合体がともに、
(m1)芳香族ビニル系単量体単位、および
(m3)その他の単量体単位
を含有することを特徴とする請求項10または11に記載の導光板。
【請求項13】
前記第4の重合体が、さらに
(m2)極性官能基含有単量体単位
を含有することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の導光板と、
前記導光板の側面に配置された光源とを有することを特徴とするバックライトユニット。
【請求項15】
請求項14に記載のバックライトユニットを有することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−93205(P2013−93205A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234414(P2011−234414)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】