導光板、バックライトユニット及び表示装置
【課題】安定した大量生産が可能であり、高い正面輝度と均一な輝度分布を実現する導光板14、及び導光板14を用いたバックライトユニット、並びに表示装置を提供。
【解決手段】導光板14の厚さが0.5〜4mmであり、導光板14は、光路変更要素を含む第1の層14eと、光路変更要素を含まない第2の層14fと、光路変更要素を含まない第3の層14gとの3層構造である。第1の層14eと反対に位置する第3の層14gの面に、光入射面14dと平行に直線状に延在し、曲面から構成される複数の溝14cが配されている。導光板14の厚さ方向の中心から第1の層14eの第2の層14f側の面までの距離をD1とし、第1の層14eの第3の層14g側の面までの距離をD2とすると、D1及びD2がそれぞれ0.2〜1.5mmである。光入射面14dおよび光射出面14aと垂直な面で切断した溝14cの断面形状が左右対称である。
【解決手段】導光板14の厚さが0.5〜4mmであり、導光板14は、光路変更要素を含む第1の層14eと、光路変更要素を含まない第2の層14fと、光路変更要素を含まない第3の層14gとの3層構造である。第1の層14eと反対に位置する第3の層14gの面に、光入射面14dと平行に直線状に延在し、曲面から構成される複数の溝14cが配されている。導光板14の厚さ方向の中心から第1の層14eの第2の層14f側の面までの距離をD1とし、第1の層14eの第3の層14g側の面までの距離をD2とすると、D1及びD2がそれぞれ0.2〜1.5mmである。光入射面14dおよび光射出面14aと垂直な面で切断した溝14cの断面形状が左右対称である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、バックライトユニット及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)型液晶パネルやSTN(Super Twisted Nematic)型液晶パネルを使用した液晶ディスプレイ装置は、主としてOA分野のカラーノートパソコンを中心に商品化されている。この種のバックライト方式に採用されているバックライトユニットとしては、大別して冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)等の光源ランプを、光透過性に優れたアクリル樹脂等からなる平板状の導光板内で多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(いわゆる、エッジライト方式)と、導光板を用いずにCCFL等の光源ランプからの光で直接照明する「直下型方式」の2種類の方式がある。
【0003】
エッジライト方式のバックライトユニットが搭載された液晶ディスプレイ装置としては、例えば図1に示すものが一般に知られている。この種の液晶ディスプレイ装置は、表裏両面を偏光板1、3で挟んでなる液晶パネル2が上部に位置して配設され、液晶パネル2の下側面に、略長方形の板状を呈するポリメチルメタクリレート(PMMA)やアクリル等の透明な基材からなる導光板7が配置されており、この導光板7の上面、即ち光射出面に拡散フィルム(拡散層)4が設けられている。更に、導光板7の下面に、導光板7に導入された光を効率よく液晶パネル2に向けて均一になるように散乱して反射される為の散乱反射パターン部(図示せず)が印刷などによって設けられると共に、散乱反射パターン部の下方に反射フィルム(反射層)8が設けられている。
【0004】
また、上記導光板7には、その短側部に光源6が設けられており、更に、光源6の光を効率よく導光板7に入射させるべく、光源6の背面側を覆うようにして高反射率のリフレクター5が設けられている。上記散乱反射パターン部は、白色である二酸化チタン(チタニア)粉末を透明な接着剤等の溶液に混合した混合物を、所定パターン、例えばドットパターンにて印刷し、乾燥・形成したものであり、導光板7内に入射した光に指向性を付与し、光射出面へと導くようになっており、高輝度化を図る為の工夫がなされている。
【0005】
最近では、光利用効率を向上して更なる高輝度化を図るべく、図2に示すように、拡散フィルム4と液晶パネル2との間に、光集光機能を備えたプリズムフィルム(プリズム層)9、10を設けることが提案されている。このプリズムフィルム9、10は導光板7の光射出面から射出され、拡散フィルム4で拡散された光を高効率で液晶パネル2の有効表示エリアに集光させるものである。
【0006】
また、正面輝度や面光源としての均一性を向上させる試みとして、導光板の形状を光源から離れるほど薄肉化していく楔形にしたものや、所定の形状を付与した反光射出面に金属蒸着を行なったり、異屈折率素材を隣接させたりすることで反射パターンを印刷することの代替とする等の工夫が行なわれているが、やはり画像品位を保つ為には、光学シートの併用が必要になっている。
【0007】
一方、直下型方式のバックライトは、導光板の利用が困難な大型の液晶テレ部などのディスプレイ装置に用いられている。直下型バックライト方式のディスプレイとしては、図3に示す液晶ディスプレイ装置が一般的に知られている。この液晶ディスプレイ装置は、表裏両面を偏光板1、3で挟んでなる液晶パネル2が上部に位置して配設され、液晶パネル2の下側面にCCFL等からなる光源6が配置される。更に、光源6の上面側には拡散板11のような光学シートが設けられている。また、光源6の背面には、光源6から液晶パネル2と反対方向に向かう光を液晶パネル2側に反射させるリフレクタ5が配置されている。よって、光源6から射出される光は拡散板11で拡散され、この拡散光を高効率で液晶パネル2の有効表示エリアに集光させる。
【0008】
「直下型方式」のディスプレイ装置に用いられている拡散板11は、液晶ディスプレイ装置の構成上、線状光源の光を散乱させ、且つ光源が透けて見えないことが求められる為、光散乱粒子が配合されており、近年の直下型方式の急増に合わせて種々の開発が行なわれてきた。その多くは、高透過、高拡散を目的とし、光散乱粒子の種類や粒径、配合量を線御するものであり、光散乱粒子としては、真球状粒子を使用したものが報告されている。
【0009】
しかし、拡散板の光散乱粒子として真球状粒子のみを使用した場合、視野角を広げるような拡散特性となり、ランプイメージは明るい部分が広がった状態で確認され、比較的明るい部分と比較的暗い部分がストライプ状の輝度ムラとして視認できてしまう。この明るい部分と暗い部分の差を確認しにくいように光透過率を落とす為、正面輝度が低下するという問題があった。図3に示した液晶ディスプレイ装置でも、視野角制御は拡散板11の拡散性にのみ委ねられている為、その制御は難しく、液晶表示画面の中心は明るく、周辺に近いほど暗くなる特性は避けられない。従って、液晶表示画面を横から見たときの輝度低下が大きく、光の利用効率の低下を招いる為、エッジライト方式と同様に種々の光学フィルムを拡散板の上に積層することで問題の解決が図られている。
【0010】
エッジライト方式に比べて、面全体を均一に照らし易い直下型方式は、大型ディスプレイにおいて多く採用されてきたが、光源上に種々の光学シート積層する構造が近年開発著しいディスプレイ装置の薄型化の阻害要因ともなる為、最近では大型ディスプレイにおいてもエッジライト方式が採用されつつある。
【0011】
更に、薄型化だけではなく部材点数の低減によるコスト削減にもつながるとして、光射出面及び反光射出面の両面に所定の凹凸形状を付与することで、光学シートを積層するのと同様の効果を狙った導光板も開発されている。これらの導光板の作製方法としては、所望の形状を正確に成形する為、一般にレーザ切削や射出成形が採用されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平8−211388
【特許文献2】特開2002−109931
【特許文献3】特開2002−113751
【特許文献4】特開平10−282496
【特許文献5】特開平11−174439
【特許文献6】特開2006−294343
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、レーザ切削や射出成形による成形は大量生産に向かなかったり、ウェルドライン等の外観不良により歩留まりが上がらなかったりする欠点がある。また、反光射出面に光反射層を設ける場合は、工程数やライン長が増加し、コストの観点で不利となる。
【0014】
一方、大量生産が可能で生産コストが抑えられることが知られている押出成形方法では、従来用いられてきた印刷や蒸着による反射層の付与や、光源から遠くなるほど厚みが薄くなるようなテーパーのかかった形状を作製することは不可能であった。
【0015】
また、導光板による高輝度化の要求が強くなってきており、光源から導光板に入射した光の利用効率向上が課題となっている。
【0016】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、安定した大量生産が可能であり、高い正面輝度と均一な輝度分布を実現する導光板、及び前記導光板を用いたバックライトユニット、並びに表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成する為に、請求項1は、エッジライト型光源を有する表示装置に用いられる導光板であり、かつ、画像表示パネル側に光を照射する光射出面と、前記光射出面に対向する面である反光射出面と、前記二面に略垂直な少なくとも一面である光入射面とを有する熱可塑性樹脂からなり、半透明な矩形板状の押出一体成形品であって、前記導光板の厚さが0.5〜4mmであり、前記導光板は、前記光射出面及び反光射出面に平行に存在する光路変更要素を含む第1の層と、前記第1の層の前記光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第2の層と、前記第1の層の前記反光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第3の層との3層構造であり、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に、前記光入射面と平行に直線状に延在し、曲面から構成される複数の溝が配され、前記第1の層と反対に位置する前記第2の層の面が前記光射出面を構成しており、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面と、前記複数の溝をそれぞれ構成する曲面とで前記反光射出面を構成しており、前記導光板の厚さ方向の中心から前記第1の層の前記第2の層側の面までの距離をD1とし、前記第1の層の前記第3の層側の面までの距離をD2とすると、前記D1及びD2がそれぞれ0.2〜1.5mmであり、前記光入射面および前記光射出面と垂直な面で切断した前記溝の断面形状が左右対称であることを特徴とする導光板である。
請求項2は、請求項1に記載の導光板において、前記溝の前記光入射面および前記光射出面と垂直な面での断面形状は、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に交差する前記溝の根元から前記溝の全幅に対して30〜47.5%の幅を構成する曲面が、前記根元の接線と、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面との成す角度が0°より大きく60°未満となる曲率半径R1を有し、前記溝の底部の最深部を中心に、前記全幅に対して5〜40%の幅を構成する曲面の曲率半径R2と、前記R1との関係がR1>R2の不等式を満たし、且つ、前記曲率半径R1とR2の変位点が滑らかな連続性を有していることを特徴とする導光板である。
【0018】
請求項3は、エッジライト型光源を有する表示装置に用いられる導光板であり、かつ、画像表示パネル側に光を照射する光射出面と、前記光射出面に対向する面である反光射出面と、前記二面に略垂直な少なくとも一面である光入射面とを有する熱可塑性樹脂からなり、半透明な矩形板状の押出一体成形品であって、前記導光板の厚さが0.5〜4mmであり、前記導光板は、前記光射出面及び反光射出面に平行に存在する光路変更要素を含む第1の層と、前記第1の層の前記光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第2の層と、前記第1の層の前記反光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第3の層との3層構造であり、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に、前記光入射面と平行に直線状に延在し、曲面から構成される複数の溝が配され、前記第1の層と反対に位置する前記第2の層の面が前記光射出面を構成しており、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面と、前記複数の溝をそれぞれ構成する曲面とで前記反光射出面を構成しており、前記導光板の厚さ方向の中心から前記第1の層の前記第2の層側の面までの距離をD1とし、前記第1の層の前記第3の層側の面までの距離をD2とすると、前記D1及びD2がそれぞれ0.2〜1.5mmであり、前記光入射面および前記光射出面と垂直な面で切断した前記溝の断面形状が左右非対称であることを特徴とする導光板である。
請求項4は、請求項3に記載の導光板の前記溝の断面形状において、前記溝の底部の最深部よりも前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に近い側の曲線形状は、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に交差する前記溝の根本から前記最深部までの幅d1に対して、前記根元から60〜95%の幅を構成する曲線が、前記根本の接線と、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面との成す角度が0°より大きく60°未満となる曲率半径R1を有し、前記d1に対して、前記最深部から5〜40%の幅を構成する曲面が有する曲率半径R2と、前記R1との関係がR1>R2の不等式で表され、且つ曲率半径の変位点が滑らかな連続性を有し、前記最深部と前記光入射面に近い側の前記根本との距離d1と、前記最深部と前記光入射面から遠い側の根本との前記距離d2との距離が、4<d1/d2<10の不等式で表されることを特徴とする導光板である。
【0019】
請求項5は、請求項1乃至4の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、前記複数の溝間に、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面が前記光射出面と平行な平面として残存していることを特徴とする導光板である。
請求項6は、請求項1乃至5の少なく何れか1項に記載の導光板において、前記複数の溝間の距離が、前記光入射面から遠ざかる程狭くなることを特徴とする導光板である。
請求項7は、請求項1乃至6の少なく何れか1項に記載の導光板において、前記溝の深さが、前記光入射面から遠ざかる程大きくなることを特徴とする導光板である。
【0020】
請求項8は、請求項1乃至7の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、全光線透過率が80%以上であることを特徴とする導光板である。
請求項9は、請求項1乃至8の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、導光板を構成する熱可塑性樹脂がポリカーボネートであることを特徴とする導光板である。
請求項10は、請求項1乃至9の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、導光板に含まれる光路変更要素が拡散剤であることを特徴とする導光板である。
請求項11は、請求項10に記載の導光板において、導光板に含まれる拡散剤の粒子径が0.01〜2.0μm、含有量が光路変更要素を含む層中の熱可塑性樹脂の重量に対して、1〜100ppmであることを特徴とする導光板である。
請求項12は、請求項1乃至9の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、導光板に含まれる光路変更要素が気泡であることを特徴とする導光板である。
請求項13は、請求項12に記載の導光板において、導光板に含まれる気泡の空孔径が0.1〜20μm、空孔率が光路変更要素を含む層中で、1.0×10−4〜0.1%であることを特徴とする導光板である。
請求項14は、請求項1乃至13の少なくとも何れか1項に記載の導光板と、前記光入射面に対向して設けられた光源とを少なくとも具備してなることを特徴とするバックライトユニットである。
請求項15は、請求項14に記載のバックライトユニットと、画像表示パネルとを少なくとも具備してなることを特徴とする表示装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、安定した大量生産が可能であり、高い正面輝度と均一な輝度分布を実現する導光板、及び前記導光板を用いたバックライトユニット、並びに表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来のディスプレイ装置を示す断面模式図
【図2】従来のディスプレイ装置を示す断面模式図
【図3】従来のディスプレイ装置を示す断面模式図
【図4】本発明に係わる導光板を示す断面模式図
【図5】本発明に係わる導光板を示す断面模式図
【図6】本発明に係わる導光板の光路変更要素の含有位置を示す俯瞰模式図
【図7】本発明に係わる導光板の光路変更要素の含有位置を説明する断面模式図
【図8】本発明に係わる導光板の溝の形状を説明する断面模式図
【図9】本発明に係わる導光板の溝の形状を説明する断面模式図
【図10】本発明に係わる導光板を示す断面模式図
【図11】本発明に係わる導光板の溝の形状を説明する断面模式図
【図12】本発明に係わるバックライトユニットを示す俯瞰模式図
【図13】本発明に係わる画像表示装置を示す俯瞰模式図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の態様について、詳細に説明する。なお、形状に関しては、図を元に説明するが、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、各図は模式図であり、各部位の縮尺は実際とは一致しない。
【0024】
本発明は、エッジライト型光源を有する表示装置に用いられる導光板14であり、かつ、画像表示パネル側に光を照射する光射出面14aと、光射出面14aに対向する面である反光射出面14bと、二面に略垂直な少なくとも一面である光入射面14dとを有する熱可塑性樹脂からなり、半透明な矩形板状の押出一体成形品である。
導光板14の厚さが0.5〜4mmである。
導光板14は、光射出面14a及び反光射出面14bに平行に存在する光路変更要素を含む第1の層14eと、第1の層14eの光射出面14a側に設けられた光路変更要素を含まない第2の層14fと、第1の層14eの反光射出面14b側に設けられた光路変更要素を含まない第3の層14gとの3層構造である。
第1の層14eと反対に位置する第3の層14gの面に、光入射面14dと平行に直線状に延在し、曲面から構成される複数の溝14cが配されている。
第1の層14eと反対に位置する第2の層14fの面が光射出面14aを構成している。
第1の層14eと反対に位置する第3の層14gの面と、複数の溝14cをそれぞれ構成する曲面とで反光射出面14bを構成している。
導光板14の厚さ方向の中心から第1の層14eの第2の層14f側の面までの距離をD1とし、第1の層14eの第3の層14g側の面までの距離をD2とすると、D1及びD2がそれぞれ0.2〜1.5mmである。
光入射面14dおよび光射出面14aと垂直な面で切断した溝14cの断面形状が左右対称である。
【0025】
本発明に係わる導光板14の主原料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、メタアクリルスチレン共重合体(MS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS)樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、これらを成分とする共重合体若しくはこれらの樹脂の混合物を用いることができるが、耐熱性の観点から、薄型ディスプレイに組み込む際には、PCを用いることが好ましい。
【0026】
本発明に係わる導光板14に含まれる光路変更要素、即ち導光板14を構成する主原料と屈折率が異なる成分を導光板14内に分散させることで、光源から入射し、光入射面14dと対向する面に向かって直進する光、即ち光射出面14aに到達し得ない光の量を低減させ、且つ導光板14内を移動する光の経路を多岐に亘らせることが可能となる為、正面輝度の向上と輝度均一化の面で有効である。
【0027】
本発明に係わる導光板14に含まれる光路変更要素としては、例えば、三酸化アルミニウム、二酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラスビーズ、中空微粒子、及び発泡剤等による気泡等を用いることができるが、製造法とコストの観点からは拡散剤が、輝度の観点からは気泡が好ましい。光路変更要素の形状としては、真球状、球状、鱗片状、キュービック状、不定形等特に限定されるものではない。
【0028】
透明熱可塑性樹脂中に分散される拡散剤の粒子径は、0.01〜2.0μmが好ましい。粒子径が2.0μmより大きくなると、光源から入射した光の光路を変更させる際に後方反射等による光損失が大きく、0.01μmより小さくなると、入射光の光路変更にあまり効果が無い。また、透明熱可塑性樹脂中に分散される拡散剤の含有量は、光路変更要素を含む層中の熱可塑性樹脂の重量に対して1〜100ppmppmが好ましい。拡散剤の含有量が1ppmより小さくなると、光入射面14dと対向する面に向かって直進する光、即ち光射出面14aに到達し得ない光の量が多く、100ppmより大きくなると、光源近くで光路が変更される光の量が多すぎる為、輝度均一化の面で好ましくない。
【0029】
透明熱可塑性樹脂中に分散される気泡の空孔径は0.1〜20μmが好ましい。空孔径が20μmより大きくなると、光源から入射した光の光路を変更させる際に後方反射等による光損失が大きく、0.1μmより小さくなると、入射光の光路変更量にあまり効果が無い。また、透明熱可塑性樹脂中の空孔率は、光路変更要素を含む層中で1.0×10−4〜0.1%が好ましい。空孔率が1.0×10−4%より小さくなると、光入射面14dと対向する面に向かって直進する光、即ち光射出面14aに到達し得ない光の量が多く、0.1%より大きくなると、導光体の光源近くで光路が変更される光の量が多すぎる為、輝度均一化の面で好ましくない。
【0030】
本発明に係わる導光板14において、光路変更要素を含む第1の層14eは光射出面14a及び反光射出面14bに平行に存在し、導光板14の層構成は、第1の層14eの光射出面14a側に、光路変更要素を含まない第2の層14fが位置し、反光射出面14b側に、光路変更要素を含まない第3の層14gが位置する3層構造である。
これは、光路変更要素が導光板14全体に含有されると、光入射面14dと対向する面に向かって直進する光のみでなく、光射出面14a側に向かう光まで光路を変更される量が多くなり、正面輝度に関与し得ない光の量が増加する点、光射出面14aに対向する面にある溝14cの形状を歪ませてしまう点、及びバックライトユニット部への導光板14の設置、及び使用時の導光板14表面における光路変更要素が欠損する危険性が考えられる点で不利である為、光路変更要素を含む面の光射出面14a側及び反光射出面14b側に光路変更要素を含まない層が配された3層構造とすることが望ましい。
光路変更要素含有層が非含有層に挟まれていると、光射出面14a側に向かう光の光路の変更される量が少なくなり、正面輝度に関与し得ない光の量が減少する点、光射出面14aに対向する面にある溝14cの形状を変化させない点、及びバックライトユニット部への導光板14の設置、及び使用時の導光板14表面における光路変更要素が欠損する危険性が小さくなる点で有利である。
【0031】
本発明に係わる導光板14は、図7に示すように全体の厚さが0.5〜4mmである。
導光板14の全体の厚さが0.5mmより小さくなると、光源6から導光板14に入射する光の量が少なくなったり、光が導光板14内に均一に行き渡らない為、輝度及び輝度均一化の面で好ましくない。4mmより大きくなると、バックライト部材の薄型化、及び作製コストの観点から不利である。
導光板14の厚さ方向の中心から第1の層14eの第2の層14f側の面までの距離をD1とし、第1の層14eの第3の層14g側の面までの距離をD2とすると、D1及びD2がそれぞれ0.2〜1.5mmである。D1及びD2の最適値は光源の種類、及び大きさによって異なるが、D1及びD2が0.2mmより小さくなると、光源から光入射面14dと対向する面に向かって直進し、光射出面14aに到達し得ない光の量が多くなり、D1及びD2が1.5mmより大きくなると、光入射面14dと対向する面に向かって直進する光のみでなく、光射出面14a側に向かう光まで光路を変更される量が多くなり、輝度が低下する。
【0032】
本発明に係わる導光板14の形状は、光入射面14dから入射し、反光射出面14b側に進んで来た光の光路を光射出面14a側に変更させるための形状が、反光射出面14bが仰向けになるように置いた時に凸になる形状、即ち反光射出面14bにレンズを備える場合、最外面に先端に細くなる箇所が発生する為、傷が付きやすくなる危険性が高まる点で不利となるためである。同様の理由で、鋭角な箇所が生じる溝14c同士が接する配置は耐擦傷性の面で不利となる。
【0033】
また、溝14cが平面で構成される場合、例えば溝14cの延在方向と垂直な面での断面図が三角形状である場合は、溝14cに到達して屈折または散乱する光の進行方向が限られる為、光射出面14aにおける輝度のムラが大きくなる点で不利である。ここで、溝14cに達して屈折する光は、溝14cから導光板14外に射出され、リフレクタに向かって進む光を、散乱する光は、溝14cの境界面で全反射し、導光板14内部を通って光射出面14a側に向かう光を指す。
【0034】
更に、溝14cが曲面で構成される場合、溝14cに到達して屈折または散乱する光の進行方向が多岐に亘る為、光射出面14aに向かったり、導光板14外に射出され、導光板14下に配されたリフレクタによって再度導光板14内に入射して光射出面14aに向かったりする光が、光射出面14aの方々に散らばり、光射出面14aにおける輝度の均一化の面で利点がある。
【0035】
ここで、反光射出面14bに設けられた溝14cの形状について説明する。図4、図5、図10は、導光板14を、光入射面14dおよび光射出面14aと垂直な面で切断した断面模式図、図8、図9、図11は溝14c部分のみを拡大した模式図である。
【0036】
図から分かる様に、第1の層14eと反対に位置する第3の層14gの面に設けられた溝14cは、光入射面14dと平行に直線状に延在している。
そして、第1の層14eと反対に位置する第3の層14gの面と、複数の溝14cをそれぞれ構成する曲面とで反光射出面14bを構成している。
溝14cを光入射面14dと平行に延在させたのは、溝14cの延在方向が、光入射面14dに対して斜めであると、光入射面14dに溝14cの開口部が存在しない配置とする為に、溝14cを設けることができる範囲が内側の一定の範囲に限られることで、効果的に屈折若しくは散乱されない光の割合が増加したり、溝14cの開始位置を導光板14内部に設定しようとすると、押出成形による連続作製性の優位性を殺ぐことになったりする点で不利となる為である。また、光射出面14aにおける光入射面14dに平行な線上での輝度に着目すると、前記線上の各点で光の屈折・散乱要因となる溝14cとの距離が異なるため、射出光同士の干渉の仕方が異なり、光射出面14aにおける輝度の不均一化につながる点で不利となる。
【0037】
一方、反光射出面14bに設けられた溝14cが光入射面14dと平行方向に延在していると、押出成形の連続作製性の有効に活用することが可能である点や、光射出面14aにおける光入射面14dに平行な線上での輝度に着目した時、前記線上の各点で光の屈折・散乱要因となる溝14cとの距離が同一である為、射出光同士の干渉の仕方が均等となり、光射出面14aにおける輝度の均一化につながる点で有利である。
【0038】
また、溝14cは、光入射面14dから離れる程、溝14c同士の間隔が狭くなったり、溝14cの深さが深くなったり、その両方の特徴を兼ね備えていたりする。これは、光源から遠ざかる程、反光射出面14bの各点に到達する光の角度が浅くなったり、輝度が低下したりする為、何れの場所でも均一な溝14cが設けられていると、光射出面14aの光入射面14dから遠い位置程暗くなる点で不利となる為である。
【0039】
一方、光入射面14dから離れる程、前記溝14c同士の間隔が狭くなったり、溝14cの深さが深くなったり、その両方の特徴を兼ね備えていたりすると、角度が浅く、輝度が低下した光も効率的に散乱または屈折させ、光射出面14a側に光路を変更させることで、全面的に均一な輝度を提供する点で有利である。
【0040】
このとき溝14cの形状は、図8及び9に示すように、第1の層14eと反対に位置する第3の層14gの面に交差する溝14cの根元から溝14cの全幅に対して30〜47.5%の幅を構成する曲面において、曲面根本の接線と反光射出面14bの略平面とがなす角度θが0°より大きく60°より小さくなる曲率半径R1を有し、溝14cの底部の最深部を中心に溝14cの全幅に対して5〜40%の幅を構成する曲面の曲率半径R2がR1よりも小さいことを特徴とする。この時、溝14cの全幅に対して、曲率半径R1を有する曲面が存在する幅の割合をα、曲率半径R2を有する曲面が存在する幅の割合をβとする(α×2+β=100%)と、範囲βにおける曲率が、範囲αにおける曲率よりも小さい、即ち溝14cの先端(底部)が尖り気味な形状とすることで、種々の形状の溝14cを組み合わせることなく、浅い角度で反光射出面14bに到達した光にも、深い角度で反光射出面14bに到達した光にも対応可能となる。
【0041】
θの限定は、θが60°以上になると、溝14cの壁面が立ちすぎて、ロスする光が多くなりすぎる点や溝14cの元にする版を作製し難い点で不利となる為である。θが0°の場合は溝14cが存在し得ないので、0°は不可である。また、溝14cの中心側と根本側の曲率半径が等しい、若しくは中心側の曲率半径の方が大きい場合は、溝14cの上面が平面とほぼ同等になる為、光の散乱や、屈折の観点で不利となる。
前記溝14cの全幅に対してのαが30%より少なく、βが40%より大きいと深い角度で反光射出面14bに到達した光のロスが大きくなり、またαが47.5%より大きく、βが5%より小さいと、浅い角度で反光射出面14bに到達した光のロスが大きくなり、効率的に光射出面14aに向かう光量が減少する。そのため、正面輝度の向上や輝度ムラの解消の観点からαは30〜47.5%、βは5〜40%が好ましく、正面輝度と輝度均一性のバランスの観点からαは35〜45%、βは10〜30%がより好ましい。
【0042】
一方、上記のようにθや曲率を規定し、溝14cの高さや密度を変えて並列させることで、少なくとも一面の光入射面14dから入射した光は、反光射出面14bに深い角度で到達しても、浅い角度で到達しても、光射出面14aから射出される際に正面輝度向上の面で有利な角度となるように散乱若しくは屈折される点で有利である。
【0043】
更に、図10、図11に示すように、光射出面14aに略垂直な対向する二面の光入射面14dを有する導光板14の場合、溝14cの底部の最深部より光入射面14dに近い側と、遠い側で形状が異なる溝14cを並列させ、最深部より光源に近い側では、最深部と光源に近い側の根本までの幅d1に対して60〜95%の幅を構成する曲面が、曲率半径R1と0°<θ<60°となる接線を有し、d1に対して頂点から5〜40%の範囲を構成する曲面の曲率半径R2がR1よりも小さいことを特徴とし、最深部と最深部より光源から遠い側の根本までの幅d2とd1が、4<d1/d2<10 の不等式で表されることとする。d1、d2については、図11に示すように、最深部から反光射出面14bの略平面に下ろした垂線と曲面の根本との距離を指す。この時は、曲率半径R1を有する幅のd1に対する割合をα、曲率半径R2を有する幅のd1に対する割合をβとする。このd1に対するαは70〜90%、βは10〜30%がより好ましい。
【0044】
こうすることで、光入射面14dと平行な線で導光板14を二分割したとき、近い側の光入射面14dから入射する光のみが有効に光射出面14aに届くこととなり、光源をLEDとしてローカルディミングを行なう際に、不要な光が混ざることがなくなる点で有利となる。
【0045】
本発明に係わる導光板14は、全光線透過率が80%以上であることを特徴とする。これは、全光線透過率が80%を下回ると、十分な輝度が得られず画像が暗くなる点で不利となる為である。物理的に全光線透過率が100%になることはありえず、全光線透過率が高いことで特に不利益は生じない為、全光線透過率の上限は設定していない。
【0046】
本発明に係わる導光板14の作製方法としては、押出成形法が挙げられる。加熱した熱可塑性樹脂、及び熱可塑性樹脂と光路変更要素の混合物を、十分に溶融した状態でTダイから3層で押出し、シーティングを行なう。その際、Tダイから吐出された樹脂を最初に挟み込む二つのロールの片方の表面に導光板14成形後に所望する溝14c形状及び溝14c間の間隔に対応した凸形状を付与しておいたり、導光板14成形後に所望する溝14c形状及び溝14c間の間隔に対応した凸形状を有する版を挿入して、前記版ともう片方のロールで吐出された樹脂を挟み込んだりすることで、一工程且つ短いタクトタイムで安定して反光射出面14bに溝14cを有する導光板14を作製することが可能となる。これは、射出成形やレーザ加工にはない利点である。
【0047】
図12は本発明に係わる導光板14と、光源6と、を少なくとも具備したバックライトユニット20を、図13は、本発明に係わるバックライトユニット20と、表示パネル21とを、少なくとも具備した画像表示装置22を示した俯瞰模式図である。バックライトユニット20、及び画像表示装置22に、必要があれば前記以外の部材を追加することは、当然可能である。また、光源6としては、CCFLのような線光源を用いても構わないし、LEDのような点光源を並べて使用しても構わない。
【0048】
本発明の効果を示す為に、透明樹脂としてポリカーボネートを用い、光路変更要素の種類、径、含有量、及び反光射出面14bの形状を種々変化させて、厚み4mmの導光板14を試作し、LEDを光源とし対向する2辺のエッジに配置した表示装置に設置し、正面輝度並びに面内の輝度均一性の比較を行なった。このとき、導光板14の耐擦傷性、及び量産性についても同時に評価した。
【0049】
各々の評価は、下記の基準に則り実施した。
正面輝度:ディスプレイとして優れた輝度が得られれば◎、ディスプレイとして使用に堪える輝度が得られれば○、得られなければ×。輝度均一性:面内での輝度がほぼ均一ならば◎、面内で明暗ムラが見えなければ○、明暗ムラが見えたら×。耐擦傷性:ハンドリング中に・・・量産阻害要因が見られれば×。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表1は、本発明の効果を示す為の実施例条件を示し、表2は、本発明の効果を示す為の実施例結果を示している。
表1,2に示したように、光射出面14及び反光射出面14bに平行に存在する光路変更要素を含む第1の層14eと、第1の層14eの光射出面14a側に設けられた光路変更要素を含まない第2の層14fと、第1の層14eの反光射出面14b側に設けられた光路変更要素を含まない第3の層14gとの3層構造であり、第1の層14eと反対に位置する第3の層14gの面に、光入射面14dと平行に直線状に延在し、曲面から構成される複数の溝14cが配され、D1及びD2がそれぞれ0.2mm以上1.5mm以下である導光板14を、押出一体成形にて作成した時のみ、正面輝度、輝度均一化、耐擦傷性、量産性の全てを満たすことが確認された。また、前記溝14cの根本側は、溝14cを構成する曲面の接線と溝14c間に存在する略平面とがなす角度が0°より大きく60°未満となる曲率半径R1を有し、溝の頂点側はR1よりも小さな曲率半径R2を有する形状であることが特徴であり、光入射面14d及び光射出面14aと垂直な面で切断した溝14cの断面形状が左右対称である場合、αは30〜47.5%、βは5〜40%、左右非対称である場合、αは60〜95%、βは5〜40%、d2とd1は4<d1/d2<10の不等式で表され、全光線透過率が80%以上であると、正面輝度、及び輝度均一性のさらなる向上が確認された。表には載せていないが、光入射面から遠い溝ほど、深かったり、溝間の間隔が狭かったりすることで、より正面輝度や輝度均一性が向上した。作製方法の違いの比較として、射出成形とレーザ切削でもサンプルを作製したが、量産性に難があったため、形状を変化させた結果は載せていない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係わる導光板、及び前記導光板を用いたバックライトユニット、並びに表示装置を用いることで、工程数や使用部材点数の削減を伴うディスプレイの薄型化が可能になり、産業上の利用に耐え得る。
【符号の説明】
【0054】
1…偏光板、2…液晶パネル、3…偏光板、4…拡散フィルム、5…リフレクタ、6…光源、7…導光板14、8…反射フィルム、9…プリズムフィルム(延伸方向横)、10…プリズムフィルム(延伸方向縦)、11…拡散板、14…本発明に係わる導光板、14a…本発明に係わる導光板14の光射出面、14b…本発明に係わる導光板14の反光射出面、14c…本発明に係わる導光板14に設けられた溝、14c’…本発明に係わる導光板14に設けられた溝14cの壁面、14d…本発明に係わる導光板14の光入射面、14e…本発明に係わる光路変更要素を含む第1の層、14f…本発明に係わる光路変更要素を含まない第2の層、14g…本発明に係わる光路変更要素を含まない第3の層、15…本発明に係わる導光板14に設けられた溝14cの壁面を示す曲線の接線、16…半径R1の曲率円、17…半径R2の曲率円、20…本発明に係わるバックライトユニット、21…画像表示パネル、22…本発明に係わる画像表示装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、バックライトユニット及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)型液晶パネルやSTN(Super Twisted Nematic)型液晶パネルを使用した液晶ディスプレイ装置は、主としてOA分野のカラーノートパソコンを中心に商品化されている。この種のバックライト方式に採用されているバックライトユニットとしては、大別して冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)等の光源ランプを、光透過性に優れたアクリル樹脂等からなる平板状の導光板内で多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(いわゆる、エッジライト方式)と、導光板を用いずにCCFL等の光源ランプからの光で直接照明する「直下型方式」の2種類の方式がある。
【0003】
エッジライト方式のバックライトユニットが搭載された液晶ディスプレイ装置としては、例えば図1に示すものが一般に知られている。この種の液晶ディスプレイ装置は、表裏両面を偏光板1、3で挟んでなる液晶パネル2が上部に位置して配設され、液晶パネル2の下側面に、略長方形の板状を呈するポリメチルメタクリレート(PMMA)やアクリル等の透明な基材からなる導光板7が配置されており、この導光板7の上面、即ち光射出面に拡散フィルム(拡散層)4が設けられている。更に、導光板7の下面に、導光板7に導入された光を効率よく液晶パネル2に向けて均一になるように散乱して反射される為の散乱反射パターン部(図示せず)が印刷などによって設けられると共に、散乱反射パターン部の下方に反射フィルム(反射層)8が設けられている。
【0004】
また、上記導光板7には、その短側部に光源6が設けられており、更に、光源6の光を効率よく導光板7に入射させるべく、光源6の背面側を覆うようにして高反射率のリフレクター5が設けられている。上記散乱反射パターン部は、白色である二酸化チタン(チタニア)粉末を透明な接着剤等の溶液に混合した混合物を、所定パターン、例えばドットパターンにて印刷し、乾燥・形成したものであり、導光板7内に入射した光に指向性を付与し、光射出面へと導くようになっており、高輝度化を図る為の工夫がなされている。
【0005】
最近では、光利用効率を向上して更なる高輝度化を図るべく、図2に示すように、拡散フィルム4と液晶パネル2との間に、光集光機能を備えたプリズムフィルム(プリズム層)9、10を設けることが提案されている。このプリズムフィルム9、10は導光板7の光射出面から射出され、拡散フィルム4で拡散された光を高効率で液晶パネル2の有効表示エリアに集光させるものである。
【0006】
また、正面輝度や面光源としての均一性を向上させる試みとして、導光板の形状を光源から離れるほど薄肉化していく楔形にしたものや、所定の形状を付与した反光射出面に金属蒸着を行なったり、異屈折率素材を隣接させたりすることで反射パターンを印刷することの代替とする等の工夫が行なわれているが、やはり画像品位を保つ為には、光学シートの併用が必要になっている。
【0007】
一方、直下型方式のバックライトは、導光板の利用が困難な大型の液晶テレ部などのディスプレイ装置に用いられている。直下型バックライト方式のディスプレイとしては、図3に示す液晶ディスプレイ装置が一般的に知られている。この液晶ディスプレイ装置は、表裏両面を偏光板1、3で挟んでなる液晶パネル2が上部に位置して配設され、液晶パネル2の下側面にCCFL等からなる光源6が配置される。更に、光源6の上面側には拡散板11のような光学シートが設けられている。また、光源6の背面には、光源6から液晶パネル2と反対方向に向かう光を液晶パネル2側に反射させるリフレクタ5が配置されている。よって、光源6から射出される光は拡散板11で拡散され、この拡散光を高効率で液晶パネル2の有効表示エリアに集光させる。
【0008】
「直下型方式」のディスプレイ装置に用いられている拡散板11は、液晶ディスプレイ装置の構成上、線状光源の光を散乱させ、且つ光源が透けて見えないことが求められる為、光散乱粒子が配合されており、近年の直下型方式の急増に合わせて種々の開発が行なわれてきた。その多くは、高透過、高拡散を目的とし、光散乱粒子の種類や粒径、配合量を線御するものであり、光散乱粒子としては、真球状粒子を使用したものが報告されている。
【0009】
しかし、拡散板の光散乱粒子として真球状粒子のみを使用した場合、視野角を広げるような拡散特性となり、ランプイメージは明るい部分が広がった状態で確認され、比較的明るい部分と比較的暗い部分がストライプ状の輝度ムラとして視認できてしまう。この明るい部分と暗い部分の差を確認しにくいように光透過率を落とす為、正面輝度が低下するという問題があった。図3に示した液晶ディスプレイ装置でも、視野角制御は拡散板11の拡散性にのみ委ねられている為、その制御は難しく、液晶表示画面の中心は明るく、周辺に近いほど暗くなる特性は避けられない。従って、液晶表示画面を横から見たときの輝度低下が大きく、光の利用効率の低下を招いる為、エッジライト方式と同様に種々の光学フィルムを拡散板の上に積層することで問題の解決が図られている。
【0010】
エッジライト方式に比べて、面全体を均一に照らし易い直下型方式は、大型ディスプレイにおいて多く採用されてきたが、光源上に種々の光学シート積層する構造が近年開発著しいディスプレイ装置の薄型化の阻害要因ともなる為、最近では大型ディスプレイにおいてもエッジライト方式が採用されつつある。
【0011】
更に、薄型化だけではなく部材点数の低減によるコスト削減にもつながるとして、光射出面及び反光射出面の両面に所定の凹凸形状を付与することで、光学シートを積層するのと同様の効果を狙った導光板も開発されている。これらの導光板の作製方法としては、所望の形状を正確に成形する為、一般にレーザ切削や射出成形が採用されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平8−211388
【特許文献2】特開2002−109931
【特許文献3】特開2002−113751
【特許文献4】特開平10−282496
【特許文献5】特開平11−174439
【特許文献6】特開2006−294343
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、レーザ切削や射出成形による成形は大量生産に向かなかったり、ウェルドライン等の外観不良により歩留まりが上がらなかったりする欠点がある。また、反光射出面に光反射層を設ける場合は、工程数やライン長が増加し、コストの観点で不利となる。
【0014】
一方、大量生産が可能で生産コストが抑えられることが知られている押出成形方法では、従来用いられてきた印刷や蒸着による反射層の付与や、光源から遠くなるほど厚みが薄くなるようなテーパーのかかった形状を作製することは不可能であった。
【0015】
また、導光板による高輝度化の要求が強くなってきており、光源から導光板に入射した光の利用効率向上が課題となっている。
【0016】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、安定した大量生産が可能であり、高い正面輝度と均一な輝度分布を実現する導光板、及び前記導光板を用いたバックライトユニット、並びに表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成する為に、請求項1は、エッジライト型光源を有する表示装置に用いられる導光板であり、かつ、画像表示パネル側に光を照射する光射出面と、前記光射出面に対向する面である反光射出面と、前記二面に略垂直な少なくとも一面である光入射面とを有する熱可塑性樹脂からなり、半透明な矩形板状の押出一体成形品であって、前記導光板の厚さが0.5〜4mmであり、前記導光板は、前記光射出面及び反光射出面に平行に存在する光路変更要素を含む第1の層と、前記第1の層の前記光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第2の層と、前記第1の層の前記反光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第3の層との3層構造であり、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に、前記光入射面と平行に直線状に延在し、曲面から構成される複数の溝が配され、前記第1の層と反対に位置する前記第2の層の面が前記光射出面を構成しており、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面と、前記複数の溝をそれぞれ構成する曲面とで前記反光射出面を構成しており、前記導光板の厚さ方向の中心から前記第1の層の前記第2の層側の面までの距離をD1とし、前記第1の層の前記第3の層側の面までの距離をD2とすると、前記D1及びD2がそれぞれ0.2〜1.5mmであり、前記光入射面および前記光射出面と垂直な面で切断した前記溝の断面形状が左右対称であることを特徴とする導光板である。
請求項2は、請求項1に記載の導光板において、前記溝の前記光入射面および前記光射出面と垂直な面での断面形状は、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に交差する前記溝の根元から前記溝の全幅に対して30〜47.5%の幅を構成する曲面が、前記根元の接線と、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面との成す角度が0°より大きく60°未満となる曲率半径R1を有し、前記溝の底部の最深部を中心に、前記全幅に対して5〜40%の幅を構成する曲面の曲率半径R2と、前記R1との関係がR1>R2の不等式を満たし、且つ、前記曲率半径R1とR2の変位点が滑らかな連続性を有していることを特徴とする導光板である。
【0018】
請求項3は、エッジライト型光源を有する表示装置に用いられる導光板であり、かつ、画像表示パネル側に光を照射する光射出面と、前記光射出面に対向する面である反光射出面と、前記二面に略垂直な少なくとも一面である光入射面とを有する熱可塑性樹脂からなり、半透明な矩形板状の押出一体成形品であって、前記導光板の厚さが0.5〜4mmであり、前記導光板は、前記光射出面及び反光射出面に平行に存在する光路変更要素を含む第1の層と、前記第1の層の前記光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第2の層と、前記第1の層の前記反光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第3の層との3層構造であり、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に、前記光入射面と平行に直線状に延在し、曲面から構成される複数の溝が配され、前記第1の層と反対に位置する前記第2の層の面が前記光射出面を構成しており、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面と、前記複数の溝をそれぞれ構成する曲面とで前記反光射出面を構成しており、前記導光板の厚さ方向の中心から前記第1の層の前記第2の層側の面までの距離をD1とし、前記第1の層の前記第3の層側の面までの距離をD2とすると、前記D1及びD2がそれぞれ0.2〜1.5mmであり、前記光入射面および前記光射出面と垂直な面で切断した前記溝の断面形状が左右非対称であることを特徴とする導光板である。
請求項4は、請求項3に記載の導光板の前記溝の断面形状において、前記溝の底部の最深部よりも前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に近い側の曲線形状は、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に交差する前記溝の根本から前記最深部までの幅d1に対して、前記根元から60〜95%の幅を構成する曲線が、前記根本の接線と、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面との成す角度が0°より大きく60°未満となる曲率半径R1を有し、前記d1に対して、前記最深部から5〜40%の幅を構成する曲面が有する曲率半径R2と、前記R1との関係がR1>R2の不等式で表され、且つ曲率半径の変位点が滑らかな連続性を有し、前記最深部と前記光入射面に近い側の前記根本との距離d1と、前記最深部と前記光入射面から遠い側の根本との前記距離d2との距離が、4<d1/d2<10の不等式で表されることを特徴とする導光板である。
【0019】
請求項5は、請求項1乃至4の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、前記複数の溝間に、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面が前記光射出面と平行な平面として残存していることを特徴とする導光板である。
請求項6は、請求項1乃至5の少なく何れか1項に記載の導光板において、前記複数の溝間の距離が、前記光入射面から遠ざかる程狭くなることを特徴とする導光板である。
請求項7は、請求項1乃至6の少なく何れか1項に記載の導光板において、前記溝の深さが、前記光入射面から遠ざかる程大きくなることを特徴とする導光板である。
【0020】
請求項8は、請求項1乃至7の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、全光線透過率が80%以上であることを特徴とする導光板である。
請求項9は、請求項1乃至8の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、導光板を構成する熱可塑性樹脂がポリカーボネートであることを特徴とする導光板である。
請求項10は、請求項1乃至9の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、導光板に含まれる光路変更要素が拡散剤であることを特徴とする導光板である。
請求項11は、請求項10に記載の導光板において、導光板に含まれる拡散剤の粒子径が0.01〜2.0μm、含有量が光路変更要素を含む層中の熱可塑性樹脂の重量に対して、1〜100ppmであることを特徴とする導光板である。
請求項12は、請求項1乃至9の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、導光板に含まれる光路変更要素が気泡であることを特徴とする導光板である。
請求項13は、請求項12に記載の導光板において、導光板に含まれる気泡の空孔径が0.1〜20μm、空孔率が光路変更要素を含む層中で、1.0×10−4〜0.1%であることを特徴とする導光板である。
請求項14は、請求項1乃至13の少なくとも何れか1項に記載の導光板と、前記光入射面に対向して設けられた光源とを少なくとも具備してなることを特徴とするバックライトユニットである。
請求項15は、請求項14に記載のバックライトユニットと、画像表示パネルとを少なくとも具備してなることを特徴とする表示装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、安定した大量生産が可能であり、高い正面輝度と均一な輝度分布を実現する導光板、及び前記導光板を用いたバックライトユニット、並びに表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来のディスプレイ装置を示す断面模式図
【図2】従来のディスプレイ装置を示す断面模式図
【図3】従来のディスプレイ装置を示す断面模式図
【図4】本発明に係わる導光板を示す断面模式図
【図5】本発明に係わる導光板を示す断面模式図
【図6】本発明に係わる導光板の光路変更要素の含有位置を示す俯瞰模式図
【図7】本発明に係わる導光板の光路変更要素の含有位置を説明する断面模式図
【図8】本発明に係わる導光板の溝の形状を説明する断面模式図
【図9】本発明に係わる導光板の溝の形状を説明する断面模式図
【図10】本発明に係わる導光板を示す断面模式図
【図11】本発明に係わる導光板の溝の形状を説明する断面模式図
【図12】本発明に係わるバックライトユニットを示す俯瞰模式図
【図13】本発明に係わる画像表示装置を示す俯瞰模式図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の態様について、詳細に説明する。なお、形状に関しては、図を元に説明するが、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、各図は模式図であり、各部位の縮尺は実際とは一致しない。
【0024】
本発明は、エッジライト型光源を有する表示装置に用いられる導光板14であり、かつ、画像表示パネル側に光を照射する光射出面14aと、光射出面14aに対向する面である反光射出面14bと、二面に略垂直な少なくとも一面である光入射面14dとを有する熱可塑性樹脂からなり、半透明な矩形板状の押出一体成形品である。
導光板14の厚さが0.5〜4mmである。
導光板14は、光射出面14a及び反光射出面14bに平行に存在する光路変更要素を含む第1の層14eと、第1の層14eの光射出面14a側に設けられた光路変更要素を含まない第2の層14fと、第1の層14eの反光射出面14b側に設けられた光路変更要素を含まない第3の層14gとの3層構造である。
第1の層14eと反対に位置する第3の層14gの面に、光入射面14dと平行に直線状に延在し、曲面から構成される複数の溝14cが配されている。
第1の層14eと反対に位置する第2の層14fの面が光射出面14aを構成している。
第1の層14eと反対に位置する第3の層14gの面と、複数の溝14cをそれぞれ構成する曲面とで反光射出面14bを構成している。
導光板14の厚さ方向の中心から第1の層14eの第2の層14f側の面までの距離をD1とし、第1の層14eの第3の層14g側の面までの距離をD2とすると、D1及びD2がそれぞれ0.2〜1.5mmである。
光入射面14dおよび光射出面14aと垂直な面で切断した溝14cの断面形状が左右対称である。
【0025】
本発明に係わる導光板14の主原料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、メタアクリルスチレン共重合体(MS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS)樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、これらを成分とする共重合体若しくはこれらの樹脂の混合物を用いることができるが、耐熱性の観点から、薄型ディスプレイに組み込む際には、PCを用いることが好ましい。
【0026】
本発明に係わる導光板14に含まれる光路変更要素、即ち導光板14を構成する主原料と屈折率が異なる成分を導光板14内に分散させることで、光源から入射し、光入射面14dと対向する面に向かって直進する光、即ち光射出面14aに到達し得ない光の量を低減させ、且つ導光板14内を移動する光の経路を多岐に亘らせることが可能となる為、正面輝度の向上と輝度均一化の面で有効である。
【0027】
本発明に係わる導光板14に含まれる光路変更要素としては、例えば、三酸化アルミニウム、二酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラスビーズ、中空微粒子、及び発泡剤等による気泡等を用いることができるが、製造法とコストの観点からは拡散剤が、輝度の観点からは気泡が好ましい。光路変更要素の形状としては、真球状、球状、鱗片状、キュービック状、不定形等特に限定されるものではない。
【0028】
透明熱可塑性樹脂中に分散される拡散剤の粒子径は、0.01〜2.0μmが好ましい。粒子径が2.0μmより大きくなると、光源から入射した光の光路を変更させる際に後方反射等による光損失が大きく、0.01μmより小さくなると、入射光の光路変更にあまり効果が無い。また、透明熱可塑性樹脂中に分散される拡散剤の含有量は、光路変更要素を含む層中の熱可塑性樹脂の重量に対して1〜100ppmppmが好ましい。拡散剤の含有量が1ppmより小さくなると、光入射面14dと対向する面に向かって直進する光、即ち光射出面14aに到達し得ない光の量が多く、100ppmより大きくなると、光源近くで光路が変更される光の量が多すぎる為、輝度均一化の面で好ましくない。
【0029】
透明熱可塑性樹脂中に分散される気泡の空孔径は0.1〜20μmが好ましい。空孔径が20μmより大きくなると、光源から入射した光の光路を変更させる際に後方反射等による光損失が大きく、0.1μmより小さくなると、入射光の光路変更量にあまり効果が無い。また、透明熱可塑性樹脂中の空孔率は、光路変更要素を含む層中で1.0×10−4〜0.1%が好ましい。空孔率が1.0×10−4%より小さくなると、光入射面14dと対向する面に向かって直進する光、即ち光射出面14aに到達し得ない光の量が多く、0.1%より大きくなると、導光体の光源近くで光路が変更される光の量が多すぎる為、輝度均一化の面で好ましくない。
【0030】
本発明に係わる導光板14において、光路変更要素を含む第1の層14eは光射出面14a及び反光射出面14bに平行に存在し、導光板14の層構成は、第1の層14eの光射出面14a側に、光路変更要素を含まない第2の層14fが位置し、反光射出面14b側に、光路変更要素を含まない第3の層14gが位置する3層構造である。
これは、光路変更要素が導光板14全体に含有されると、光入射面14dと対向する面に向かって直進する光のみでなく、光射出面14a側に向かう光まで光路を変更される量が多くなり、正面輝度に関与し得ない光の量が増加する点、光射出面14aに対向する面にある溝14cの形状を歪ませてしまう点、及びバックライトユニット部への導光板14の設置、及び使用時の導光板14表面における光路変更要素が欠損する危険性が考えられる点で不利である為、光路変更要素を含む面の光射出面14a側及び反光射出面14b側に光路変更要素を含まない層が配された3層構造とすることが望ましい。
光路変更要素含有層が非含有層に挟まれていると、光射出面14a側に向かう光の光路の変更される量が少なくなり、正面輝度に関与し得ない光の量が減少する点、光射出面14aに対向する面にある溝14cの形状を変化させない点、及びバックライトユニット部への導光板14の設置、及び使用時の導光板14表面における光路変更要素が欠損する危険性が小さくなる点で有利である。
【0031】
本発明に係わる導光板14は、図7に示すように全体の厚さが0.5〜4mmである。
導光板14の全体の厚さが0.5mmより小さくなると、光源6から導光板14に入射する光の量が少なくなったり、光が導光板14内に均一に行き渡らない為、輝度及び輝度均一化の面で好ましくない。4mmより大きくなると、バックライト部材の薄型化、及び作製コストの観点から不利である。
導光板14の厚さ方向の中心から第1の層14eの第2の層14f側の面までの距離をD1とし、第1の層14eの第3の層14g側の面までの距離をD2とすると、D1及びD2がそれぞれ0.2〜1.5mmである。D1及びD2の最適値は光源の種類、及び大きさによって異なるが、D1及びD2が0.2mmより小さくなると、光源から光入射面14dと対向する面に向かって直進し、光射出面14aに到達し得ない光の量が多くなり、D1及びD2が1.5mmより大きくなると、光入射面14dと対向する面に向かって直進する光のみでなく、光射出面14a側に向かう光まで光路を変更される量が多くなり、輝度が低下する。
【0032】
本発明に係わる導光板14の形状は、光入射面14dから入射し、反光射出面14b側に進んで来た光の光路を光射出面14a側に変更させるための形状が、反光射出面14bが仰向けになるように置いた時に凸になる形状、即ち反光射出面14bにレンズを備える場合、最外面に先端に細くなる箇所が発生する為、傷が付きやすくなる危険性が高まる点で不利となるためである。同様の理由で、鋭角な箇所が生じる溝14c同士が接する配置は耐擦傷性の面で不利となる。
【0033】
また、溝14cが平面で構成される場合、例えば溝14cの延在方向と垂直な面での断面図が三角形状である場合は、溝14cに到達して屈折または散乱する光の進行方向が限られる為、光射出面14aにおける輝度のムラが大きくなる点で不利である。ここで、溝14cに達して屈折する光は、溝14cから導光板14外に射出され、リフレクタに向かって進む光を、散乱する光は、溝14cの境界面で全反射し、導光板14内部を通って光射出面14a側に向かう光を指す。
【0034】
更に、溝14cが曲面で構成される場合、溝14cに到達して屈折または散乱する光の進行方向が多岐に亘る為、光射出面14aに向かったり、導光板14外に射出され、導光板14下に配されたリフレクタによって再度導光板14内に入射して光射出面14aに向かったりする光が、光射出面14aの方々に散らばり、光射出面14aにおける輝度の均一化の面で利点がある。
【0035】
ここで、反光射出面14bに設けられた溝14cの形状について説明する。図4、図5、図10は、導光板14を、光入射面14dおよび光射出面14aと垂直な面で切断した断面模式図、図8、図9、図11は溝14c部分のみを拡大した模式図である。
【0036】
図から分かる様に、第1の層14eと反対に位置する第3の層14gの面に設けられた溝14cは、光入射面14dと平行に直線状に延在している。
そして、第1の層14eと反対に位置する第3の層14gの面と、複数の溝14cをそれぞれ構成する曲面とで反光射出面14bを構成している。
溝14cを光入射面14dと平行に延在させたのは、溝14cの延在方向が、光入射面14dに対して斜めであると、光入射面14dに溝14cの開口部が存在しない配置とする為に、溝14cを設けることができる範囲が内側の一定の範囲に限られることで、効果的に屈折若しくは散乱されない光の割合が増加したり、溝14cの開始位置を導光板14内部に設定しようとすると、押出成形による連続作製性の優位性を殺ぐことになったりする点で不利となる為である。また、光射出面14aにおける光入射面14dに平行な線上での輝度に着目すると、前記線上の各点で光の屈折・散乱要因となる溝14cとの距離が異なるため、射出光同士の干渉の仕方が異なり、光射出面14aにおける輝度の不均一化につながる点で不利となる。
【0037】
一方、反光射出面14bに設けられた溝14cが光入射面14dと平行方向に延在していると、押出成形の連続作製性の有効に活用することが可能である点や、光射出面14aにおける光入射面14dに平行な線上での輝度に着目した時、前記線上の各点で光の屈折・散乱要因となる溝14cとの距離が同一である為、射出光同士の干渉の仕方が均等となり、光射出面14aにおける輝度の均一化につながる点で有利である。
【0038】
また、溝14cは、光入射面14dから離れる程、溝14c同士の間隔が狭くなったり、溝14cの深さが深くなったり、その両方の特徴を兼ね備えていたりする。これは、光源から遠ざかる程、反光射出面14bの各点に到達する光の角度が浅くなったり、輝度が低下したりする為、何れの場所でも均一な溝14cが設けられていると、光射出面14aの光入射面14dから遠い位置程暗くなる点で不利となる為である。
【0039】
一方、光入射面14dから離れる程、前記溝14c同士の間隔が狭くなったり、溝14cの深さが深くなったり、その両方の特徴を兼ね備えていたりすると、角度が浅く、輝度が低下した光も効率的に散乱または屈折させ、光射出面14a側に光路を変更させることで、全面的に均一な輝度を提供する点で有利である。
【0040】
このとき溝14cの形状は、図8及び9に示すように、第1の層14eと反対に位置する第3の層14gの面に交差する溝14cの根元から溝14cの全幅に対して30〜47.5%の幅を構成する曲面において、曲面根本の接線と反光射出面14bの略平面とがなす角度θが0°より大きく60°より小さくなる曲率半径R1を有し、溝14cの底部の最深部を中心に溝14cの全幅に対して5〜40%の幅を構成する曲面の曲率半径R2がR1よりも小さいことを特徴とする。この時、溝14cの全幅に対して、曲率半径R1を有する曲面が存在する幅の割合をα、曲率半径R2を有する曲面が存在する幅の割合をβとする(α×2+β=100%)と、範囲βにおける曲率が、範囲αにおける曲率よりも小さい、即ち溝14cの先端(底部)が尖り気味な形状とすることで、種々の形状の溝14cを組み合わせることなく、浅い角度で反光射出面14bに到達した光にも、深い角度で反光射出面14bに到達した光にも対応可能となる。
【0041】
θの限定は、θが60°以上になると、溝14cの壁面が立ちすぎて、ロスする光が多くなりすぎる点や溝14cの元にする版を作製し難い点で不利となる為である。θが0°の場合は溝14cが存在し得ないので、0°は不可である。また、溝14cの中心側と根本側の曲率半径が等しい、若しくは中心側の曲率半径の方が大きい場合は、溝14cの上面が平面とほぼ同等になる為、光の散乱や、屈折の観点で不利となる。
前記溝14cの全幅に対してのαが30%より少なく、βが40%より大きいと深い角度で反光射出面14bに到達した光のロスが大きくなり、またαが47.5%より大きく、βが5%より小さいと、浅い角度で反光射出面14bに到達した光のロスが大きくなり、効率的に光射出面14aに向かう光量が減少する。そのため、正面輝度の向上や輝度ムラの解消の観点からαは30〜47.5%、βは5〜40%が好ましく、正面輝度と輝度均一性のバランスの観点からαは35〜45%、βは10〜30%がより好ましい。
【0042】
一方、上記のようにθや曲率を規定し、溝14cの高さや密度を変えて並列させることで、少なくとも一面の光入射面14dから入射した光は、反光射出面14bに深い角度で到達しても、浅い角度で到達しても、光射出面14aから射出される際に正面輝度向上の面で有利な角度となるように散乱若しくは屈折される点で有利である。
【0043】
更に、図10、図11に示すように、光射出面14aに略垂直な対向する二面の光入射面14dを有する導光板14の場合、溝14cの底部の最深部より光入射面14dに近い側と、遠い側で形状が異なる溝14cを並列させ、最深部より光源に近い側では、最深部と光源に近い側の根本までの幅d1に対して60〜95%の幅を構成する曲面が、曲率半径R1と0°<θ<60°となる接線を有し、d1に対して頂点から5〜40%の範囲を構成する曲面の曲率半径R2がR1よりも小さいことを特徴とし、最深部と最深部より光源から遠い側の根本までの幅d2とd1が、4<d1/d2<10 の不等式で表されることとする。d1、d2については、図11に示すように、最深部から反光射出面14bの略平面に下ろした垂線と曲面の根本との距離を指す。この時は、曲率半径R1を有する幅のd1に対する割合をα、曲率半径R2を有する幅のd1に対する割合をβとする。このd1に対するαは70〜90%、βは10〜30%がより好ましい。
【0044】
こうすることで、光入射面14dと平行な線で導光板14を二分割したとき、近い側の光入射面14dから入射する光のみが有効に光射出面14aに届くこととなり、光源をLEDとしてローカルディミングを行なう際に、不要な光が混ざることがなくなる点で有利となる。
【0045】
本発明に係わる導光板14は、全光線透過率が80%以上であることを特徴とする。これは、全光線透過率が80%を下回ると、十分な輝度が得られず画像が暗くなる点で不利となる為である。物理的に全光線透過率が100%になることはありえず、全光線透過率が高いことで特に不利益は生じない為、全光線透過率の上限は設定していない。
【0046】
本発明に係わる導光板14の作製方法としては、押出成形法が挙げられる。加熱した熱可塑性樹脂、及び熱可塑性樹脂と光路変更要素の混合物を、十分に溶融した状態でTダイから3層で押出し、シーティングを行なう。その際、Tダイから吐出された樹脂を最初に挟み込む二つのロールの片方の表面に導光板14成形後に所望する溝14c形状及び溝14c間の間隔に対応した凸形状を付与しておいたり、導光板14成形後に所望する溝14c形状及び溝14c間の間隔に対応した凸形状を有する版を挿入して、前記版ともう片方のロールで吐出された樹脂を挟み込んだりすることで、一工程且つ短いタクトタイムで安定して反光射出面14bに溝14cを有する導光板14を作製することが可能となる。これは、射出成形やレーザ加工にはない利点である。
【0047】
図12は本発明に係わる導光板14と、光源6と、を少なくとも具備したバックライトユニット20を、図13は、本発明に係わるバックライトユニット20と、表示パネル21とを、少なくとも具備した画像表示装置22を示した俯瞰模式図である。バックライトユニット20、及び画像表示装置22に、必要があれば前記以外の部材を追加することは、当然可能である。また、光源6としては、CCFLのような線光源を用いても構わないし、LEDのような点光源を並べて使用しても構わない。
【0048】
本発明の効果を示す為に、透明樹脂としてポリカーボネートを用い、光路変更要素の種類、径、含有量、及び反光射出面14bの形状を種々変化させて、厚み4mmの導光板14を試作し、LEDを光源とし対向する2辺のエッジに配置した表示装置に設置し、正面輝度並びに面内の輝度均一性の比較を行なった。このとき、導光板14の耐擦傷性、及び量産性についても同時に評価した。
【0049】
各々の評価は、下記の基準に則り実施した。
正面輝度:ディスプレイとして優れた輝度が得られれば◎、ディスプレイとして使用に堪える輝度が得られれば○、得られなければ×。輝度均一性:面内での輝度がほぼ均一ならば◎、面内で明暗ムラが見えなければ○、明暗ムラが見えたら×。耐擦傷性:ハンドリング中に・・・量産阻害要因が見られれば×。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表1は、本発明の効果を示す為の実施例条件を示し、表2は、本発明の効果を示す為の実施例結果を示している。
表1,2に示したように、光射出面14及び反光射出面14bに平行に存在する光路変更要素を含む第1の層14eと、第1の層14eの光射出面14a側に設けられた光路変更要素を含まない第2の層14fと、第1の層14eの反光射出面14b側に設けられた光路変更要素を含まない第3の層14gとの3層構造であり、第1の層14eと反対に位置する第3の層14gの面に、光入射面14dと平行に直線状に延在し、曲面から構成される複数の溝14cが配され、D1及びD2がそれぞれ0.2mm以上1.5mm以下である導光板14を、押出一体成形にて作成した時のみ、正面輝度、輝度均一化、耐擦傷性、量産性の全てを満たすことが確認された。また、前記溝14cの根本側は、溝14cを構成する曲面の接線と溝14c間に存在する略平面とがなす角度が0°より大きく60°未満となる曲率半径R1を有し、溝の頂点側はR1よりも小さな曲率半径R2を有する形状であることが特徴であり、光入射面14d及び光射出面14aと垂直な面で切断した溝14cの断面形状が左右対称である場合、αは30〜47.5%、βは5〜40%、左右非対称である場合、αは60〜95%、βは5〜40%、d2とd1は4<d1/d2<10の不等式で表され、全光線透過率が80%以上であると、正面輝度、及び輝度均一性のさらなる向上が確認された。表には載せていないが、光入射面から遠い溝ほど、深かったり、溝間の間隔が狭かったりすることで、より正面輝度や輝度均一性が向上した。作製方法の違いの比較として、射出成形とレーザ切削でもサンプルを作製したが、量産性に難があったため、形状を変化させた結果は載せていない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係わる導光板、及び前記導光板を用いたバックライトユニット、並びに表示装置を用いることで、工程数や使用部材点数の削減を伴うディスプレイの薄型化が可能になり、産業上の利用に耐え得る。
【符号の説明】
【0054】
1…偏光板、2…液晶パネル、3…偏光板、4…拡散フィルム、5…リフレクタ、6…光源、7…導光板14、8…反射フィルム、9…プリズムフィルム(延伸方向横)、10…プリズムフィルム(延伸方向縦)、11…拡散板、14…本発明に係わる導光板、14a…本発明に係わる導光板14の光射出面、14b…本発明に係わる導光板14の反光射出面、14c…本発明に係わる導光板14に設けられた溝、14c’…本発明に係わる導光板14に設けられた溝14cの壁面、14d…本発明に係わる導光板14の光入射面、14e…本発明に係わる光路変更要素を含む第1の層、14f…本発明に係わる光路変更要素を含まない第2の層、14g…本発明に係わる光路変更要素を含まない第3の層、15…本発明に係わる導光板14に設けられた溝14cの壁面を示す曲線の接線、16…半径R1の曲率円、17…半径R2の曲率円、20…本発明に係わるバックライトユニット、21…画像表示パネル、22…本発明に係わる画像表示装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッジライト型光源を有する表示装置に用いられる導光板であり、かつ、画像表示パネル側に光を照射する光射出面と、前記光射出面に対向する面である反光射出面と、前記二面に略垂直な少なくとも一面である光入射面とを有する熱可塑性樹脂からなり、半透明な矩形板状の押出一体成形品であって、
前記導光板の厚さが0.5〜4mmであり、
前記導光板は、前記光射出面及び反光射出面に平行に存在する光路変更要素を含む第1の層と、前記第1の層の前記光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第2の層と、前記第1の層の前記反光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第3の層との3層構造であり、
前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に、前記光入射面と平行に直線状に延在し、曲面から構成される複数の溝が配され、
前記第1の層と反対に位置する前記第2の層の面が前記光射出面を構成しており、
前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面と、前記複数の溝をそれぞれ構成する曲面とで前記反光射出面を構成しており、
前記導光板の厚さ方向の中心から前記第1の層の前記第2の層側の面までの距離をD1とし、前記第1の層の前記第3の層側の面までの距離をD2とすると、前記D1及びD2がそれぞれ0.2〜1.5mmであり、
前記光入射面および前記光射出面と垂直な面で切断した前記溝の断面形状が左右対称である、
ことを特徴とする導光板。
【請求項2】
請求項1に記載の導光板において、前記溝の前記光入射面および前記光射出面と垂直な面での断面形状は、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に交差する前記溝の根元から前記溝の全幅に対して30〜47.5%の幅を構成する曲面が、前記根元の接線と、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面との成す角度が0°より大きく60°未満となる曲率半径R1を有し、
前記溝の底部の最深部を中心に、前記全幅に対して5〜40%の幅を構成する曲面の曲率半径R2と、前記R1との関係がR1>R2の不等式を満たし、且つ、前記曲率半径R1とR2の変位点が滑らかな連続性を有している、
ことを特徴とする導光板。
【請求項3】
エッジライト型光源を有する表示装置に用いられる導光板であり、かつ、画像表示パネル側に光を照射する光射出面と、前記光射出面に対向する面である反光射出面と、前記二面に略垂直な少なくとも一面である光入射面とを有する熱可塑性樹脂からなり、半透明な矩形板状の押出一体成形品であって、
前記導光板の厚さが0.5〜4mmであり、
前記導光板は、前記光射出面及び反光射出面に平行に存在する光路変更要素を含む第1の層と、前記第1の層の前記光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第2の層と、前記第1の層の前記反光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第3の層との3層構造であり、
前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に、前記光入射面と平行に直線状に延在し、曲面から構成される複数の溝が配され、
前記第1の層と反対に位置する前記第2の層の面が前記光射出面を構成しており、
前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面と、前記複数の溝をそれぞれ構成する曲面とで前記反光射出面を構成しており、
前記導光板の厚さ方向の中心から前記第1の層の前記第2の層側の面までの距離をD1とし、前記第1の層の前記第3の層側の面までの距離をD2とすると、前記D1及びD2がそれぞれ0.2〜1.5mmであり、
前記光入射面および前記光射出面と垂直な面で切断した前記溝の断面形状が左右非対称である、
ことを特徴とする導光板。
【請求項4】
請求項3に記載の導光板の前記溝の断面形状において、前記溝の底部の最深部よりも前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に近い側の曲線形状は、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に交差する前記溝の根本から前記最深部までの幅d1に対して、前記根元から60〜95%の幅を構成する曲線が、前記根本の接線と、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面との成す角度が0°より大きく60°未満となる曲率半径R1を有し、
前記d1に対して、前記最深部から5〜40%の幅を構成する曲面が有する曲率半径R2と、前記R1との関係がR1>R2の不等式で表され、且つ曲率半径の変位点が滑らかな連続性を有し、
前記最深部と前記光入射面に近い側の前記根本との距離d1と、前記最深部と前記光入射面から遠い側の根本との前記距離d2との距離が、4<d1/d2<10の不等式で表される、
ことを特徴とする導光板。
【請求項5】
請求項1乃至4の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、前記複数の溝間に、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面が前記光射出面と平行な平面として残存している、
ことを特徴とする導光板。
【請求項6】
請求項1乃至5の少なく何れか1項に記載の導光板において、前記複数の溝間の距離が、前記光入射面から遠ざかる程狭くなる、
ことを特徴とする導光板。
【請求項7】
請求項1乃至6の少なく何れか1項に記載の導光板において、前記溝の深さが、前記光入射面から遠ざかる程大きくなる、
ことを特徴とする導光板。
【請求項8】
請求項1乃至7の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、全光線透過率が80%以上である、
ことを特徴とする導光板。
【請求項9】
請求項1乃至8の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、導光板を構成する熱可塑性樹脂がポリカーボネートである、
ことを特徴とする導光板。
【請求項10】
請求項1乃至9の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、導光板に含まれる光路変更要素が拡散剤である、
ことを特徴とする導光板。
【請求項11】
請求項10に記載の導光板において、導光板に含まれる拡散剤の粒子径が0.01〜2.0μm、含有量が光路変更要素を含む層中の熱可塑性樹脂の重量に対して、1〜100ppmである、
ことを特徴とする導光板。
【請求項12】
請求項1乃至9の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、導光板に含まれる光路変更要素が気泡である、
ことを特徴とする導光板。
【請求項13】
請求項12に記載の導光板において、導光板に含まれる気泡の空孔径が0.1〜20μm、空孔率が光路変更要素を含む層中で、1.0×10−4〜0.1%である、
ことを特徴とする導光板。
【請求項14】
請求項1乃至13の少なくとも何れか1項に記載の導光板と、前記光入射面に対向して設けられた光源とを少なくとも具備してなる、
ことを特徴とするバックライトユニット。
【請求項15】
請求項14に記載のバックライトユニットと、画像表示パネルとを少なくとも具備してなる、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項1】
エッジライト型光源を有する表示装置に用いられる導光板であり、かつ、画像表示パネル側に光を照射する光射出面と、前記光射出面に対向する面である反光射出面と、前記二面に略垂直な少なくとも一面である光入射面とを有する熱可塑性樹脂からなり、半透明な矩形板状の押出一体成形品であって、
前記導光板の厚さが0.5〜4mmであり、
前記導光板は、前記光射出面及び反光射出面に平行に存在する光路変更要素を含む第1の層と、前記第1の層の前記光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第2の層と、前記第1の層の前記反光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第3の層との3層構造であり、
前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に、前記光入射面と平行に直線状に延在し、曲面から構成される複数の溝が配され、
前記第1の層と反対に位置する前記第2の層の面が前記光射出面を構成しており、
前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面と、前記複数の溝をそれぞれ構成する曲面とで前記反光射出面を構成しており、
前記導光板の厚さ方向の中心から前記第1の層の前記第2の層側の面までの距離をD1とし、前記第1の層の前記第3の層側の面までの距離をD2とすると、前記D1及びD2がそれぞれ0.2〜1.5mmであり、
前記光入射面および前記光射出面と垂直な面で切断した前記溝の断面形状が左右対称である、
ことを特徴とする導光板。
【請求項2】
請求項1に記載の導光板において、前記溝の前記光入射面および前記光射出面と垂直な面での断面形状は、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に交差する前記溝の根元から前記溝の全幅に対して30〜47.5%の幅を構成する曲面が、前記根元の接線と、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面との成す角度が0°より大きく60°未満となる曲率半径R1を有し、
前記溝の底部の最深部を中心に、前記全幅に対して5〜40%の幅を構成する曲面の曲率半径R2と、前記R1との関係がR1>R2の不等式を満たし、且つ、前記曲率半径R1とR2の変位点が滑らかな連続性を有している、
ことを特徴とする導光板。
【請求項3】
エッジライト型光源を有する表示装置に用いられる導光板であり、かつ、画像表示パネル側に光を照射する光射出面と、前記光射出面に対向する面である反光射出面と、前記二面に略垂直な少なくとも一面である光入射面とを有する熱可塑性樹脂からなり、半透明な矩形板状の押出一体成形品であって、
前記導光板の厚さが0.5〜4mmであり、
前記導光板は、前記光射出面及び反光射出面に平行に存在する光路変更要素を含む第1の層と、前記第1の層の前記光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第2の層と、前記第1の層の前記反光射出面側に設けられた光路変更要素を含まない第3の層との3層構造であり、
前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に、前記光入射面と平行に直線状に延在し、曲面から構成される複数の溝が配され、
前記第1の層と反対に位置する前記第2の層の面が前記光射出面を構成しており、
前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面と、前記複数の溝をそれぞれ構成する曲面とで前記反光射出面を構成しており、
前記導光板の厚さ方向の中心から前記第1の層の前記第2の層側の面までの距離をD1とし、前記第1の層の前記第3の層側の面までの距離をD2とすると、前記D1及びD2がそれぞれ0.2〜1.5mmであり、
前記光入射面および前記光射出面と垂直な面で切断した前記溝の断面形状が左右非対称である、
ことを特徴とする導光板。
【請求項4】
請求項3に記載の導光板の前記溝の断面形状において、前記溝の底部の最深部よりも前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に近い側の曲線形状は、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面に交差する前記溝の根本から前記最深部までの幅d1に対して、前記根元から60〜95%の幅を構成する曲線が、前記根本の接線と、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面との成す角度が0°より大きく60°未満となる曲率半径R1を有し、
前記d1に対して、前記最深部から5〜40%の幅を構成する曲面が有する曲率半径R2と、前記R1との関係がR1>R2の不等式で表され、且つ曲率半径の変位点が滑らかな連続性を有し、
前記最深部と前記光入射面に近い側の前記根本との距離d1と、前記最深部と前記光入射面から遠い側の根本との前記距離d2との距離が、4<d1/d2<10の不等式で表される、
ことを特徴とする導光板。
【請求項5】
請求項1乃至4の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、前記複数の溝間に、前記第1の層と反対に位置する前記第3の層の面が前記光射出面と平行な平面として残存している、
ことを特徴とする導光板。
【請求項6】
請求項1乃至5の少なく何れか1項に記載の導光板において、前記複数の溝間の距離が、前記光入射面から遠ざかる程狭くなる、
ことを特徴とする導光板。
【請求項7】
請求項1乃至6の少なく何れか1項に記載の導光板において、前記溝の深さが、前記光入射面から遠ざかる程大きくなる、
ことを特徴とする導光板。
【請求項8】
請求項1乃至7の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、全光線透過率が80%以上である、
ことを特徴とする導光板。
【請求項9】
請求項1乃至8の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、導光板を構成する熱可塑性樹脂がポリカーボネートである、
ことを特徴とする導光板。
【請求項10】
請求項1乃至9の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、導光板に含まれる光路変更要素が拡散剤である、
ことを特徴とする導光板。
【請求項11】
請求項10に記載の導光板において、導光板に含まれる拡散剤の粒子径が0.01〜2.0μm、含有量が光路変更要素を含む層中の熱可塑性樹脂の重量に対して、1〜100ppmである、
ことを特徴とする導光板。
【請求項12】
請求項1乃至9の少なくとも何れか1項に記載の導光板において、導光板に含まれる光路変更要素が気泡である、
ことを特徴とする導光板。
【請求項13】
請求項12に記載の導光板において、導光板に含まれる気泡の空孔径が0.1〜20μm、空孔率が光路変更要素を含む層中で、1.0×10−4〜0.1%である、
ことを特徴とする導光板。
【請求項14】
請求項1乃至13の少なくとも何れか1項に記載の導光板と、前記光入射面に対向して設けられた光源とを少なくとも具備してなる、
ことを特徴とするバックライトユニット。
【請求項15】
請求項14に記載のバックライトユニットと、画像表示パネルとを少なくとも具備してなる、
ことを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−233285(P2011−233285A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100768(P2010−100768)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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