導光板、面光源装置、及び、透過型画像表示装置
【課題】エッジライト型の面光源装置のための導光板における入光部側の輝度の不均一を低減することが可能な導光板を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る導光板は、導光板基材12の少なくとも一方の面12cに光散乱ドットが形成された導光板において、導光板基材12の少なくとも一方の面12cを複数の領域に分割してなる個々の領域A1〜A10には、複数の光散乱ドット24が形成されており、複数の光散乱ドット24による隠蔽率が50%以下である個々の領域A1〜A5では、複数の光散乱ドット24は、大きさが2種類以上の光散乱ドット24a、24bを含み、かつ、当該2種類以上の光散乱ドット24a、24bは、不規則な順序で配置されている。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る導光板は、導光板基材12の少なくとも一方の面12cに光散乱ドットが形成された導光板において、導光板基材12の少なくとも一方の面12cを複数の領域に分割してなる個々の領域A1〜A10には、複数の光散乱ドット24が形成されており、複数の光散乱ドット24による隠蔽率が50%以下である個々の領域A1〜A5では、複数の光散乱ドット24は、大きさが2種類以上の光散乱ドット24a、24bを含み、かつ、当該2種類以上の光散乱ドット24a、24bは、不規則な順序で配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、面光源装置、及び、透過型画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の透過型画像表示装置は、一般に、導光板により面状の光を供給する面光源装置をバックライトとして有している。面光源装置の方式としては、導光板の背面側に光源が設けられる直下式と、導光板の側面に沿って光源が設けられるエッジライト方式とがある。エッジライト方式は画像表示装置の薄型化の観点で有利である。
【0003】
エッジライト方式の面光源装置では、導光板の側面から入射した光が、導光板の背面側に設けられた配光パターン(例えば、光散乱ドットからなる配光パターン)の作用により拡散し、臨界角度以上の角度成分の光が導光板の出射面から出射することによって、面状の光を供給する。その発光面の輝度を均一にするために、特許文献1及び2に記載の導光板では、光源から離れるに従い配光パターンの密度を粗から密にしたグラデーションを施している。
【0004】
また、特許文献1には、この種のドット状の配光パターンを液滴吐出(例えば、インクジェット印刷)によって形成する手法も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−240294号公報
【特許文献2】特開2008−27609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、液滴吐出によってドット状のグラデーション配光パターンを形成する場合、光源に近い入光部側のように配光パターンの密度が粗である領域では、輝度の不均一が目立つという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、入光部側の輝度の不均一を低減することが可能な導光板、面光源装置、及び、透過型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、光源に近い入光部側の領域であって、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下の領域において輝度の不均一が発生することを見出し、更に、この領域において、大きさが2種類以上の光散乱ドットを不規則な順序で配置することにより、輝度の不均一を低減できることを見出した。
【0009】
そこで、本発明の導光板は、導光板基材の少なくとも一方の面に光散乱ドットが形成された導光板において、導光板基材の少なくとも一方の面を複数の領域に分割してなる個々の領域には、複数の光散乱ドットが形成されており、複数の光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下である個々の領域では、複数の光散乱ドットは、大きさが2種類以上の光散乱ドットを含み、かつ、当該2種類以上の光散乱ドットは、不規則な順序で配置されている。
【0010】
この導光板によれば、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下である領域において、2種類以上の大きさを有する光散乱ドットが不規則な順序で配置されるので、導光板の入光部側において光散乱ドットによる階調変化を小さくすることができる。その結果、この導光板の入光部側の輝度の不均一を低減することができる。
【0011】
上記した複数の領域の隠蔽率は、入光部からの距離に応じて大きくなることが好ましい。これによれば、光源からの距離に応じて、光散乱ドットによる配光パターンの密度を粗から密にするグラデーションを施し、導光板の発光面の輝度を均一にすることができる。
【0012】
上記した個々の領域は、1mm〜10mmの矩形領域であることが好ましい。これによれば、光源からの距離に応じて、光散乱ドットによる配光パターンの密度を粗から密にするグラデーションをより滑らかに施すことができ、導光板の発光面の輝度をより均一にすることができる。
【0013】
上記した光散乱ドットは、インクジェット方式により印刷されることが好ましい。これによれば、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下である領域において、2種類以上の大きさを有する光散乱ドットを不規則な順序で配置することが簡易となる。
【0014】
本発明の面光源装置は、エッジライト型の面光源装置であって、上記した導光板と、導光板の側面に光を供給する光源とを備える。
【0015】
この面光源装置によれば、上記した導光板を備えているので、エッジライト型の面光源装置の輝度の不均一を低減することができる。
【0016】
本発明の透過型画像表示装置は、上記した面光源装置と、面光源装置の出射面と対向して配置された透過型画像表示部とを備える。
【0017】
この透過型画像表示装置によれば、上記した導光板を有する面光源装置を備えているので、透過型画像表示装置の輝度の不均一を低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、導光板における入光部側の輝度の不均一を低減することができる。また、この導光板を用いたエッジライト型の面光源装置、及び、このエッジライト型の面光源装置を用いた透過型画像表示装置の輝度の不均一を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る透過型画像表示装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す導光板における導光板基材の背面側、すなわち光散乱ドットの配置を示す平面図である。
【図3】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図4】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図5】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図6】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図7】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図8】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図9】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図10】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図11】実施例の導光板における導光板基材の背面側、すなわち光散乱ドットの配置を示す平面図である。
【図12】比較例の導光板における導光板基材の背面側、すなわち光散乱ドットの配置を示す平面図である。
【図13】実施例及び比較例の導光板における輝度の不均一の目視評価結果を示す図である。
【図14】実施例の導光板の入光部近傍の領域を撮影した図、及び、その拡大図を示す図である。
【図15】比較例の導光板の入光部近傍の領域を撮影した図、及び、その拡大図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る透過型画像表示装置の概略構成を示す模式図である。なお、図1では、透過型画像表示装置10を分解して示している。この透過型画像表示装置10は、透過型画像表示部18と、透過型画像表示部18と対向して配置された面光源装置22とを備える。
【0022】
透過型画像表示部18は、面光源装置22から出射される面状の光で照明されて画像を表示するものである。透過型画像表示部18の例は、液晶セルの両面に直線偏光板が配置された偏光板貼合体としての液晶表示パネルである。この場合、透過型画像表示装置10は、液晶表示装置である。
【0023】
面光源装置22は、エッジライト方式の面光源装置であり、導光板11と、導光板11のための導光板基材12の側面(入光部)12a近傍に配置された光源部14と、導光板基材12の背面12c側に配置された反射シート16と、導光板基材12の出射面12bと透過型画像表示部18との間に配置された複数枚の光学フィルム20とを備える。光学フィルム20の例は、拡散フィルム、プリズムフィルム及び輝度向上フィルムである。
【0024】
導光板11は、導光板基材12と、導光板基材12の背面12c上に設けられた複数の光散乱ドット24とを有する。導光板基材12は、平面視形状が略矩形の板状体である。導光板基材12の厚さt、すなわち出射面12bと背面12cとの間の距離の例は約3mmであるが、約2mmや約4mmであってもよい。導光板基材12は透光性材料からなり、透光性材料の屈折率は通常1.46〜1.62である。透光性材料としては、透光性樹脂材料、透光性ガラス材料が例示でき、透光性樹脂材料としては、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)、ポリスチレン樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)などが例示できる。なお、透光性樹脂材料としては、コストの面、透明性が高い、着色性が低い点で好ましくはアクリル樹脂である。導光板基材12の背面12c上には、光を拡散させるための複数の光散乱ドット24が形成されている。
【0025】
この導光板11では、光源部14から導光板基材12の側面12aに入射した光が、導光板基材12の背面12c上に設けられた複数の光散乱ドット24の作用により拡散し、臨界角度以上の角度成分の光が導光板基材12の出射面12bから出射することによって、面状の光を出射する。導光板11における光散乱ドット24の詳細は後述する。
【0026】
光源部14は、導光板基材12の側面12aに沿って設けられた光源14Aを有する。光源14Aは、発光ダイオード、ハロゲンランプ及びタングステンランプのような点光源であってもよいし、蛍光ランプ(冷陰極線ランプ)のような線状光源であってもよい。赤色光、緑色光及び青色光を発光するRGBタイプの発光ダイオードが好適に用いられる。
【0027】
光源14Aと導光板基材12の側面12aとの距離は、通常1mm〜15mmであり、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。光源が点光源である場合、側面12aに沿って複数の点光源が直線状に配列される。隣り合う点光源同士の間隔は、通常1〜25mmであり、省電力化の観点から、点光源の数を減らせるように好ましくは10mm以上である。
【0028】
光源部14は、導光板11と反対側に設けられた、光を反射させる反射部としてのリフレクター14Bを有している。リフレクター14Bは、例えば、白色樹脂板又は白色樹脂フィルムから形成される。
【0029】
本実施形態の透過型画像表示装置10に導光板11を適用する場合、導光板基材12の裏面12cが反射シート16と対向し、出射面12bが透過型画像表示部18側に位置するように導光板11を設置する。この構成では、光源部14から出射された光は、側面12aを介して導光板基材12内に入射する。導光板基材12内に入射した光は、導光板基材12内を全反射しながら伝搬する。この際、所定のドットパターンで配置された光散乱ドット24で光が拡散され、出射面12bから面状の光として出射される。また、導光板基材12を伝搬する光の一部が裏面12cから外側に出射された場合には、反射シート16で反射されて再度導光板基材12内に入射される。出射面12bから出射された面状の光は、光学フィルム20を通過して透過型画像表示部18を照明し、透過型画像表示部18は、その照明光を利用して画像を表示する。
【0030】
次に、導光板11における光散乱ドット24について説明する。図2は、図1に示す導光板11における導光板基材12の背面12c側、すなわち光散乱ドット24の配置を示す平面図である。
【0031】
本実施形態では、導光板基材12の背面12cは複数の領域A1〜A10に分割されている。複数の領域A1〜A10それぞれには、複数の光散乱ドット24が形成されている。光散乱ドット24は、例えば、インクジェット印刷による白色ドットを用いて形成される。
【0032】
ここで、複数の領域A1〜A10では、光源部14、すなわち導光板基材12の側面(入光部)12aに近い領域ほど光が強く、側面12aから遠ざかる領域ほど光が弱くなる。そのため、複数の領域A1〜A10では、導光板基材12の出射面12bから出射される光の照度が略均一になるように、側面(入光部)12aからの距離に応じて、光散乱ドット24による隠蔽率が大きくなるグラデーションが施されている。
【0033】
このグラデーションを滑らかに施すために、複数の領域A1〜A10それぞれは、約1mm〜10mmの矩形領域であり、好ましくは約1mm〜5mmの矩形領域であり、更に好ましくは約1mm〜3mmの矩形領域である。
【0034】
複数の領域A1〜A10において、側面12aから遠ざかる領域であって、光散乱ドット24による隠蔽率が50%を超える領域A6〜A10では、1種類の光散乱ドット24が、一定の中心間隔で配置されている。そして、この一定の中心間隔を保ちつつ、側面12aから遠ざかる領域ほど、光散乱ドット24の大きさ(面積)が大きくなる。
【0035】
一方、側面12aに近い領域であって、光散乱ドット24による隠蔽率が50%以下、実質的には10%〜50%となる領域A1〜A5では、2種類の大きさ(面積)の光散乱ドット24a、24bが、一定の中心間隔で、かつ、不規則な順序(順不同)で配置されている。そして、この一定の中心間隔を保ちつつ、側面12aから遠ざかる領域ほど、光散乱ドット24a、24bの大きさが大きくなる。
【0036】
本実施形態では、光散乱ドット24a、24bの大きさは、例えばインクジェット印刷におけるインクのドロップ数によって決定される。一方、光散乱ドット24a、24bの不規則な順序は、例えば乱数を用いて決定される。この決定方法によって求めた2種類の大きさの光散乱ドット24a、24bの不規則な順序配列を、いくつか例示する。
(第1例)
【0037】
第1例では、約1mm四方の領域に6×6個の光散乱ドットを配置し、これらの光散乱ドットによる隠蔽率を10.8%とする。2種類の光散乱ドット24a、24bの大きさは、それぞれ、インク1ドロップによる直径52.5μm、インク2ドロップによる直径65.0μmとする。これらの光散乱ドット24a、24bの不規則な配置を、乱数を用いて求めた結果を図3及び図4に示す。図中の数値はインクのドロップ数を示す。
【0038】
図3によれば、下式のように隠蔽率10.8%を満たしつつ、インク1ドロップによる直径52.5μmのドット10個、及び、インク2ドロップによる直径65.0μmのドット26個が不規則な順序で配置される。
((52.5/2)2π×10+(65.0/2)2π×26)/10002×100=10.8%
【0039】
また、図4でも、下式のように隠蔽率10.8%を満たしつつ、インク1ドロップによる直径52.5μmのドット10個、及び、インク2ドロップによる直径65.0μmのドット26個が不規則な順序で配置される。
((52.5/2)2π×10+(65.0/2)2π×26)/10002×100=10.8%
(第2例)
【0040】
第2例では、約1mm四方の領域に6×6個の光散乱ドットを配置し、これらの光散乱ドットによる隠蔽率を46.3%とする。2種類の光散乱ドット24a、24bの大きさは、それぞれ、インク6ドロップによる直径126.5μm、インク7ドロップによる直径133.2μmとする。これらの光散乱ドット24a、24bの不規則な配置を、乱数を用いて求めた結果を図5及び図6に示す。
【0041】
図5によれば、下式のように隠蔽率46.3%を満たしつつ、インク6ドロップによる直径126.5μmのドット28個、及び、インク7ドロップによる直径133.2μmのドット8個が不規則な順序で配置される。
((126.5/2)2π×28+(133.2/2)2π×8)/10002×100=46.3%
【0042】
また、図6でも、下式のように隠蔽率46.3%を略満たしつつ、インク6ドロップによる直径126.5μmのドット29個、及び、インク7ドロップによる直径133.2μmのドット7個が不規則な順序で配置される。
((126.5/2)2π×29+(133.2/2)2π×7)/10002×100=46.2%
(第3例)
【0043】
第3例では、約3mm四方の領域に18×18個の光散乱ドットを配置し、これらの光散乱ドットによる隠蔽率を20.7%とする。2種類の光散乱ドット24a、24bの大きさは、それぞれ、インク3ドロップによる直径84.0μm、インク4ドロップによる直径92.4μmとする。これらの光散乱ドット24a、24bの不規則な配置を、乱数を用いて求めた結果を図7及び図8に示す。
【0044】
図7によれば、下式のように隠蔽率20.7%を満たしつつ、インク3ドロップによる直径84.0μmのドット269個、及び、インク4ドロップによる直径92.4μmのドット55個が不規則な順序で配置される。
((84.0/2)2π×269+(92.4/2)2π×55)/30002×100=20.7%
【0045】
また、図8でも、下式のように隠蔽率20.7%を満たしつつ、インク3ドロップによる直径84.0μmのドット267個、及び、インク4ドロップによる直径92.4μmのドット57個が不規則な順序で配置される。
((84.0/2)2π×267+(92.4/2)2π×57)/30002×100=20.7%
(第4例)
【0046】
第4例では、約3mm四方の領域に18×18個の光散乱ドットを配置し、これらの光散乱ドットによる隠蔽率を30.8%とする。2種類の光散乱ドット24a、24bの大きさは、それぞれ、インク2ドロップによる直径98.8μm、インク3ドロップによる直径114.0μmとする。これらの光散乱ドット24a、24bの不規則な配置を、乱数を用いて求めた結果を図9及び図10に示す。
【0047】
図9によれば、下式のように隠蔽率30.8%を満たしつつ、インク2ドロップによる直径98.8μmのドット209個、及び、インク3ドロップによる直径114.0μmのドット115個が不規則な順序で配置される。
((98.8/2)2π×209+(114.0/2)2π×115)/30002×100=30.8%
【0048】
また、図10でも、下式のように隠蔽率30.8%を略満たしつつ、インク2ドロップによる直径98.8μmのドット208個、及び、インク3ドロップによる直径114.0μmのドット116個が不規則な順序で配置される。
((98.8/2)2π×208+(114.0/2)2π×116)/30002×100=30.9%
【0049】
なお、第4例では、第3例に比べて、導光板基材12上でのインクの広がり具合が大きい。このように、導光板基材12上でのインクの広がり具合も考慮して隠蔽率を調整することが好ましい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の導光板11によれば、光散乱ドット24による隠蔽率が50%以下である領域A1〜A5において、2種類以上の大きさを有する光散乱ドット24a、24bが不規則な順序で配置されているので、導光板11の入光部12a側において光散乱ドット24a、24bによる階調変化を小さくすることができる。その結果、この導光板11の入光部12a側の輝度の不均一を低減することができる。
【0051】
また、本実施形態の面光源装置22によれば、上記した導光板11を備えているので、エッジライト型の面光源装置22の輝度の不均一を低減することができる。
【0052】
また、本実施形態の透過型画像表示装置10によれば、上記した導光板11を有する面光源装置22を備えているので、透過型画像表示装置10の輝度の不均一を低減することができる。
【0053】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、導光板11の側面12aに近い領域であって、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下となる領域A1〜A5において、2種類の大きさの光散乱ドット24a、24bを不規則な順序で配置したが、3種類以上の大きさの光散乱ドットを不規則な順序で配置してもよい。
【0054】
また、本実施形態では、インクジェット印刷のインクのドロップ数を1以上として光散乱ドットの中心間隔を一定としたが、インク0ドロップを含んでもよい。この場合、光散乱ドットの中心間隔は一定(等間隔)ではなくなる。
【0055】
また、本実施形態では、導光板基材12の4つの側面のうち1つの側面12a側のみに光源14Aが設けられたが、導光板基材12の対向する一対の側面それぞれに沿って光源が設けられてもよい。この場合、一対の側面(入光部)に近い領域であって、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下である領域において、2種類以上の大きさの光散乱ドットが、一定の中心間隔で、かつ、不規則な順序で配置される。
【0056】
また、導光板基材12の4つの側面全てに沿って光源が設けられてもよい。この場合、4つの側面(入光部)に近い領域であって、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下である領域において、2種類以上の大きさの光散乱ドットが、一定の中心間隔で、かつ、不規則な順序で配置される。
【0057】
また、本実施形態では、導光板基材12の出射面12bから出射される光の照度が略均一になるように、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下である領域A1〜A5では、一定の中心間隔を保ちつつ、側面(入光部)12aから遠ざかる領域ほど、光散乱ドット24a、24bの大きさを大きくしたが、この種のグラデーションのかけ方は本実施形態に限定されない。例えば、光散乱ドット24a,24bのうちの一方のみを大きくしてもよいし、光散乱ドット24a、24bの大きさは変更せず、小さい光散乱ドット24aの数を減らし、その分大きな光散乱ドット24bを増やしてもよい。
【0058】
また、本発明は、エッジライト型の面光源装置のための導光板の入光部側における光散乱ドットに限定されることなく、入射する光が強く、光散乱ドットによる隠蔽率が小さいものにおいて輝度の不均一を低減する用途全てに適用可能である。
【実施例1】
【0059】
図1及び図2に示す本発明の実施形態に係る導光板11を実施例1として試作し、比較例1の導光板との対比評価を行った。実施例1及び比較例1の導光板は以下の通りである。
(実施例1)
【0060】
導光板基材12として、長さ922mm、幅540mm、厚み4mmのPMMAの成形物を用いた。この導光板基材12の両面にはマスキングフィルムが貼合されていたので、その一方の面からマスキングフィルムを剥離した後、IPAを染込ませた紙ワイプで剥離面を拭き取ることで剥離面の洗浄を行った。この剥離面を背面12cとし、背面12cに対してインクジェット印刷によって幅50mmの範囲でインクを塗布した。
【0061】
インクは酸化チタン及び紫外線硬化型樹脂からなる白インクを用いた。インクジェット印刷のためのインクジェットヘッドの各条件は、解像度150dpi、印字幅53.57mm、走査速度200mm/secとした。印刷パターンとしては、長さ方向589点、幅方向300点であり、本発明の実施形態に示すグラデーションパターンとなるようにした。なお、本実施例1では、上記した本実施形態のパターンに対して、以下の変更を行った。すなわち、後述する評価のためのテレビユニットが導光板基材の対向する一対の側面に光源を備える構造であるため、一対の側面(入光部)側の領域から中心側の領域に向けて光散乱ドットの大きさを大きくした。また、印刷パターン試作の容易性のために、光散乱ドットによる隠蔽率が50%より大きい領域においても、2種類の大きさの光散乱ドットを一定の中心間隔で、かつ、不規則な順序で配置した。具体的には、図11に示すように、領域A1〜A10において、2種類の大きさの光散乱ドット24a、24bが、一定の中心間隔で、かつ、不規則な順序(順不同)で配置されるようにした。そして、この一定の中心間隔を保ちつつ、一対の側面のうちの一方の側面12a側の領域A1から中心側の領域A5へ向けて光散乱ドット24a、24bの大きさが大きくなると共に、他方の側面12d側の領域A10から中心側の領域A6へ向けて光散乱ドット24a、24bの大きさが大きくなるようにした。
【0062】
印刷後、照射強度120W/cmのUVランプ(メタルハライドランプ)にて硬化を行い、図2に示す光散乱ドットによるグラデーションパターンが背面12cに形成された導光板11を実施例1として得た。
(比較例1)
【0063】
比較例1の導光板は、本願発明者らの鋭意検討の過程における試作品である。図12は、比較例1の導光板における導光板基材12の背面12c側、すなわち光散乱ドット24の配置を示す平面図である。
【0064】
比較例1では、本願課題を解決するために、一対の側面(入光部)12a,12dに近い領域であって、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下となる領域A1〜A4,A7〜A10では、1種類の大きさの光散乱ドット24が、不規則な中心間隔で、すなわち不規則な位置に配置されるようにした。なお、光散乱ドットによる隠蔽率が50%を超える領域A5〜A6では、1種類の光散乱ドット24が、一定の中心間隔で配置されるようにした。そして、一対の側面のうちの一方の側面12a側の領域A1から中心側の領域A5へ向けて光散乱ドット24の大きさが大きくなると共に、他方の側面12d側の領域A10から中心側の領域A6へ向けて光散乱ドット24の大きさが大きくなるようにした。導光板基材12、インク、及び、インクジェット印刷のための条件等は実施例1と同様である。
【0065】
本評価では、光源としてLEDを用いるテレビユニット(Sony社製KDL−40EX)において、導光板に代えて実施例1及び比較例1の導光板をそれぞれ組み込んだ。そして、これらのテレビユニットを点灯させ、テレビ上端中心部から100mmの範囲における輝度分布の不均一を目視評価した。この目視評価の評価結果を図13に示す。なお、図13では、導光板の表面に光学フィルム(拡散フィルム、プリズムフィルム及び輝度向上フィルム)20を堆積させた場合と堆積させない場合との評価結果を示す。図13において、輝度の不均一がない場合に「○」を、輝度の不均一が略低減されているものの良く見ると少々ある場合に「△」を、輝度の不均一がある場合に「×」を示す。
【0066】
この評価結果によれば、比較例1に比べて実施例1の方が輝度の不均一の改善効果が大きかった。また、導光板の表面に光学フィルムを用いることにより、輝度の不均一を略完全に改善することができた。
【0067】
また、実施例1及び比較例1の導光板の入光部における隠蔽率50%以下の領域を撮影した図、及び、その拡大図を、図14(実施例1、光学フィルム有)及び図15(比較例1)に示す。これによれば、比較例1では、図15に示すように、入光部に輝度の不均一が発生した。一方、実施例1では、図14に示すように、入光部の輝度の不均一が解消された。
【0068】
このように、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下となる領域では、2種類の大きさの光散乱ドットを不規則な順序で配置することにより、換言すれば、光散乱ドットによる階調変化を小さくすることにより、輝度の不均一を低減する効果が大きかった。
【符号の説明】
【0069】
10…透過型画像表示装置、11…導光板、12…導光板基材、12a…側面(入光部)、12b…出射面、12c…背面、14…光源部、14A…光源、14B…リフレクター、16…反射シート、18…透過型画像表示部、20…光学フィルム、22…面光源装置、24、24a、24b…光散乱ドット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、面光源装置、及び、透過型画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の透過型画像表示装置は、一般に、導光板により面状の光を供給する面光源装置をバックライトとして有している。面光源装置の方式としては、導光板の背面側に光源が設けられる直下式と、導光板の側面に沿って光源が設けられるエッジライト方式とがある。エッジライト方式は画像表示装置の薄型化の観点で有利である。
【0003】
エッジライト方式の面光源装置では、導光板の側面から入射した光が、導光板の背面側に設けられた配光パターン(例えば、光散乱ドットからなる配光パターン)の作用により拡散し、臨界角度以上の角度成分の光が導光板の出射面から出射することによって、面状の光を供給する。その発光面の輝度を均一にするために、特許文献1及び2に記載の導光板では、光源から離れるに従い配光パターンの密度を粗から密にしたグラデーションを施している。
【0004】
また、特許文献1には、この種のドット状の配光パターンを液滴吐出(例えば、インクジェット印刷)によって形成する手法も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−240294号公報
【特許文献2】特開2008−27609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、液滴吐出によってドット状のグラデーション配光パターンを形成する場合、光源に近い入光部側のように配光パターンの密度が粗である領域では、輝度の不均一が目立つという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、入光部側の輝度の不均一を低減することが可能な導光板、面光源装置、及び、透過型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、光源に近い入光部側の領域であって、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下の領域において輝度の不均一が発生することを見出し、更に、この領域において、大きさが2種類以上の光散乱ドットを不規則な順序で配置することにより、輝度の不均一を低減できることを見出した。
【0009】
そこで、本発明の導光板は、導光板基材の少なくとも一方の面に光散乱ドットが形成された導光板において、導光板基材の少なくとも一方の面を複数の領域に分割してなる個々の領域には、複数の光散乱ドットが形成されており、複数の光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下である個々の領域では、複数の光散乱ドットは、大きさが2種類以上の光散乱ドットを含み、かつ、当該2種類以上の光散乱ドットは、不規則な順序で配置されている。
【0010】
この導光板によれば、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下である領域において、2種類以上の大きさを有する光散乱ドットが不規則な順序で配置されるので、導光板の入光部側において光散乱ドットによる階調変化を小さくすることができる。その結果、この導光板の入光部側の輝度の不均一を低減することができる。
【0011】
上記した複数の領域の隠蔽率は、入光部からの距離に応じて大きくなることが好ましい。これによれば、光源からの距離に応じて、光散乱ドットによる配光パターンの密度を粗から密にするグラデーションを施し、導光板の発光面の輝度を均一にすることができる。
【0012】
上記した個々の領域は、1mm〜10mmの矩形領域であることが好ましい。これによれば、光源からの距離に応じて、光散乱ドットによる配光パターンの密度を粗から密にするグラデーションをより滑らかに施すことができ、導光板の発光面の輝度をより均一にすることができる。
【0013】
上記した光散乱ドットは、インクジェット方式により印刷されることが好ましい。これによれば、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下である領域において、2種類以上の大きさを有する光散乱ドットを不規則な順序で配置することが簡易となる。
【0014】
本発明の面光源装置は、エッジライト型の面光源装置であって、上記した導光板と、導光板の側面に光を供給する光源とを備える。
【0015】
この面光源装置によれば、上記した導光板を備えているので、エッジライト型の面光源装置の輝度の不均一を低減することができる。
【0016】
本発明の透過型画像表示装置は、上記した面光源装置と、面光源装置の出射面と対向して配置された透過型画像表示部とを備える。
【0017】
この透過型画像表示装置によれば、上記した導光板を有する面光源装置を備えているので、透過型画像表示装置の輝度の不均一を低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、導光板における入光部側の輝度の不均一を低減することができる。また、この導光板を用いたエッジライト型の面光源装置、及び、このエッジライト型の面光源装置を用いた透過型画像表示装置の輝度の不均一を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る透過型画像表示装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す導光板における導光板基材の背面側、すなわち光散乱ドットの配置を示す平面図である。
【図3】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図4】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図5】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図6】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図7】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図8】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図9】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図10】2種類の大きさの光散乱ドットの不規則な順序配列の一例を示す図である。
【図11】実施例の導光板における導光板基材の背面側、すなわち光散乱ドットの配置を示す平面図である。
【図12】比較例の導光板における導光板基材の背面側、すなわち光散乱ドットの配置を示す平面図である。
【図13】実施例及び比較例の導光板における輝度の不均一の目視評価結果を示す図である。
【図14】実施例の導光板の入光部近傍の領域を撮影した図、及び、その拡大図を示す図である。
【図15】比較例の導光板の入光部近傍の領域を撮影した図、及び、その拡大図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る透過型画像表示装置の概略構成を示す模式図である。なお、図1では、透過型画像表示装置10を分解して示している。この透過型画像表示装置10は、透過型画像表示部18と、透過型画像表示部18と対向して配置された面光源装置22とを備える。
【0022】
透過型画像表示部18は、面光源装置22から出射される面状の光で照明されて画像を表示するものである。透過型画像表示部18の例は、液晶セルの両面に直線偏光板が配置された偏光板貼合体としての液晶表示パネルである。この場合、透過型画像表示装置10は、液晶表示装置である。
【0023】
面光源装置22は、エッジライト方式の面光源装置であり、導光板11と、導光板11のための導光板基材12の側面(入光部)12a近傍に配置された光源部14と、導光板基材12の背面12c側に配置された反射シート16と、導光板基材12の出射面12bと透過型画像表示部18との間に配置された複数枚の光学フィルム20とを備える。光学フィルム20の例は、拡散フィルム、プリズムフィルム及び輝度向上フィルムである。
【0024】
導光板11は、導光板基材12と、導光板基材12の背面12c上に設けられた複数の光散乱ドット24とを有する。導光板基材12は、平面視形状が略矩形の板状体である。導光板基材12の厚さt、すなわち出射面12bと背面12cとの間の距離の例は約3mmであるが、約2mmや約4mmであってもよい。導光板基材12は透光性材料からなり、透光性材料の屈折率は通常1.46〜1.62である。透光性材料としては、透光性樹脂材料、透光性ガラス材料が例示でき、透光性樹脂材料としては、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)、ポリスチレン樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)などが例示できる。なお、透光性樹脂材料としては、コストの面、透明性が高い、着色性が低い点で好ましくはアクリル樹脂である。導光板基材12の背面12c上には、光を拡散させるための複数の光散乱ドット24が形成されている。
【0025】
この導光板11では、光源部14から導光板基材12の側面12aに入射した光が、導光板基材12の背面12c上に設けられた複数の光散乱ドット24の作用により拡散し、臨界角度以上の角度成分の光が導光板基材12の出射面12bから出射することによって、面状の光を出射する。導光板11における光散乱ドット24の詳細は後述する。
【0026】
光源部14は、導光板基材12の側面12aに沿って設けられた光源14Aを有する。光源14Aは、発光ダイオード、ハロゲンランプ及びタングステンランプのような点光源であってもよいし、蛍光ランプ(冷陰極線ランプ)のような線状光源であってもよい。赤色光、緑色光及び青色光を発光するRGBタイプの発光ダイオードが好適に用いられる。
【0027】
光源14Aと導光板基材12の側面12aとの距離は、通常1mm〜15mmであり、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。光源が点光源である場合、側面12aに沿って複数の点光源が直線状に配列される。隣り合う点光源同士の間隔は、通常1〜25mmであり、省電力化の観点から、点光源の数を減らせるように好ましくは10mm以上である。
【0028】
光源部14は、導光板11と反対側に設けられた、光を反射させる反射部としてのリフレクター14Bを有している。リフレクター14Bは、例えば、白色樹脂板又は白色樹脂フィルムから形成される。
【0029】
本実施形態の透過型画像表示装置10に導光板11を適用する場合、導光板基材12の裏面12cが反射シート16と対向し、出射面12bが透過型画像表示部18側に位置するように導光板11を設置する。この構成では、光源部14から出射された光は、側面12aを介して導光板基材12内に入射する。導光板基材12内に入射した光は、導光板基材12内を全反射しながら伝搬する。この際、所定のドットパターンで配置された光散乱ドット24で光が拡散され、出射面12bから面状の光として出射される。また、導光板基材12を伝搬する光の一部が裏面12cから外側に出射された場合には、反射シート16で反射されて再度導光板基材12内に入射される。出射面12bから出射された面状の光は、光学フィルム20を通過して透過型画像表示部18を照明し、透過型画像表示部18は、その照明光を利用して画像を表示する。
【0030】
次に、導光板11における光散乱ドット24について説明する。図2は、図1に示す導光板11における導光板基材12の背面12c側、すなわち光散乱ドット24の配置を示す平面図である。
【0031】
本実施形態では、導光板基材12の背面12cは複数の領域A1〜A10に分割されている。複数の領域A1〜A10それぞれには、複数の光散乱ドット24が形成されている。光散乱ドット24は、例えば、インクジェット印刷による白色ドットを用いて形成される。
【0032】
ここで、複数の領域A1〜A10では、光源部14、すなわち導光板基材12の側面(入光部)12aに近い領域ほど光が強く、側面12aから遠ざかる領域ほど光が弱くなる。そのため、複数の領域A1〜A10では、導光板基材12の出射面12bから出射される光の照度が略均一になるように、側面(入光部)12aからの距離に応じて、光散乱ドット24による隠蔽率が大きくなるグラデーションが施されている。
【0033】
このグラデーションを滑らかに施すために、複数の領域A1〜A10それぞれは、約1mm〜10mmの矩形領域であり、好ましくは約1mm〜5mmの矩形領域であり、更に好ましくは約1mm〜3mmの矩形領域である。
【0034】
複数の領域A1〜A10において、側面12aから遠ざかる領域であって、光散乱ドット24による隠蔽率が50%を超える領域A6〜A10では、1種類の光散乱ドット24が、一定の中心間隔で配置されている。そして、この一定の中心間隔を保ちつつ、側面12aから遠ざかる領域ほど、光散乱ドット24の大きさ(面積)が大きくなる。
【0035】
一方、側面12aに近い領域であって、光散乱ドット24による隠蔽率が50%以下、実質的には10%〜50%となる領域A1〜A5では、2種類の大きさ(面積)の光散乱ドット24a、24bが、一定の中心間隔で、かつ、不規則な順序(順不同)で配置されている。そして、この一定の中心間隔を保ちつつ、側面12aから遠ざかる領域ほど、光散乱ドット24a、24bの大きさが大きくなる。
【0036】
本実施形態では、光散乱ドット24a、24bの大きさは、例えばインクジェット印刷におけるインクのドロップ数によって決定される。一方、光散乱ドット24a、24bの不規則な順序は、例えば乱数を用いて決定される。この決定方法によって求めた2種類の大きさの光散乱ドット24a、24bの不規則な順序配列を、いくつか例示する。
(第1例)
【0037】
第1例では、約1mm四方の領域に6×6個の光散乱ドットを配置し、これらの光散乱ドットによる隠蔽率を10.8%とする。2種類の光散乱ドット24a、24bの大きさは、それぞれ、インク1ドロップによる直径52.5μm、インク2ドロップによる直径65.0μmとする。これらの光散乱ドット24a、24bの不規則な配置を、乱数を用いて求めた結果を図3及び図4に示す。図中の数値はインクのドロップ数を示す。
【0038】
図3によれば、下式のように隠蔽率10.8%を満たしつつ、インク1ドロップによる直径52.5μmのドット10個、及び、インク2ドロップによる直径65.0μmのドット26個が不規則な順序で配置される。
((52.5/2)2π×10+(65.0/2)2π×26)/10002×100=10.8%
【0039】
また、図4でも、下式のように隠蔽率10.8%を満たしつつ、インク1ドロップによる直径52.5μmのドット10個、及び、インク2ドロップによる直径65.0μmのドット26個が不規則な順序で配置される。
((52.5/2)2π×10+(65.0/2)2π×26)/10002×100=10.8%
(第2例)
【0040】
第2例では、約1mm四方の領域に6×6個の光散乱ドットを配置し、これらの光散乱ドットによる隠蔽率を46.3%とする。2種類の光散乱ドット24a、24bの大きさは、それぞれ、インク6ドロップによる直径126.5μm、インク7ドロップによる直径133.2μmとする。これらの光散乱ドット24a、24bの不規則な配置を、乱数を用いて求めた結果を図5及び図6に示す。
【0041】
図5によれば、下式のように隠蔽率46.3%を満たしつつ、インク6ドロップによる直径126.5μmのドット28個、及び、インク7ドロップによる直径133.2μmのドット8個が不規則な順序で配置される。
((126.5/2)2π×28+(133.2/2)2π×8)/10002×100=46.3%
【0042】
また、図6でも、下式のように隠蔽率46.3%を略満たしつつ、インク6ドロップによる直径126.5μmのドット29個、及び、インク7ドロップによる直径133.2μmのドット7個が不規則な順序で配置される。
((126.5/2)2π×29+(133.2/2)2π×7)/10002×100=46.2%
(第3例)
【0043】
第3例では、約3mm四方の領域に18×18個の光散乱ドットを配置し、これらの光散乱ドットによる隠蔽率を20.7%とする。2種類の光散乱ドット24a、24bの大きさは、それぞれ、インク3ドロップによる直径84.0μm、インク4ドロップによる直径92.4μmとする。これらの光散乱ドット24a、24bの不規則な配置を、乱数を用いて求めた結果を図7及び図8に示す。
【0044】
図7によれば、下式のように隠蔽率20.7%を満たしつつ、インク3ドロップによる直径84.0μmのドット269個、及び、インク4ドロップによる直径92.4μmのドット55個が不規則な順序で配置される。
((84.0/2)2π×269+(92.4/2)2π×55)/30002×100=20.7%
【0045】
また、図8でも、下式のように隠蔽率20.7%を満たしつつ、インク3ドロップによる直径84.0μmのドット267個、及び、インク4ドロップによる直径92.4μmのドット57個が不規則な順序で配置される。
((84.0/2)2π×267+(92.4/2)2π×57)/30002×100=20.7%
(第4例)
【0046】
第4例では、約3mm四方の領域に18×18個の光散乱ドットを配置し、これらの光散乱ドットによる隠蔽率を30.8%とする。2種類の光散乱ドット24a、24bの大きさは、それぞれ、インク2ドロップによる直径98.8μm、インク3ドロップによる直径114.0μmとする。これらの光散乱ドット24a、24bの不規則な配置を、乱数を用いて求めた結果を図9及び図10に示す。
【0047】
図9によれば、下式のように隠蔽率30.8%を満たしつつ、インク2ドロップによる直径98.8μmのドット209個、及び、インク3ドロップによる直径114.0μmのドット115個が不規則な順序で配置される。
((98.8/2)2π×209+(114.0/2)2π×115)/30002×100=30.8%
【0048】
また、図10でも、下式のように隠蔽率30.8%を略満たしつつ、インク2ドロップによる直径98.8μmのドット208個、及び、インク3ドロップによる直径114.0μmのドット116個が不規則な順序で配置される。
((98.8/2)2π×208+(114.0/2)2π×116)/30002×100=30.9%
【0049】
なお、第4例では、第3例に比べて、導光板基材12上でのインクの広がり具合が大きい。このように、導光板基材12上でのインクの広がり具合も考慮して隠蔽率を調整することが好ましい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の導光板11によれば、光散乱ドット24による隠蔽率が50%以下である領域A1〜A5において、2種類以上の大きさを有する光散乱ドット24a、24bが不規則な順序で配置されているので、導光板11の入光部12a側において光散乱ドット24a、24bによる階調変化を小さくすることができる。その結果、この導光板11の入光部12a側の輝度の不均一を低減することができる。
【0051】
また、本実施形態の面光源装置22によれば、上記した導光板11を備えているので、エッジライト型の面光源装置22の輝度の不均一を低減することができる。
【0052】
また、本実施形態の透過型画像表示装置10によれば、上記した導光板11を有する面光源装置22を備えているので、透過型画像表示装置10の輝度の不均一を低減することができる。
【0053】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、導光板11の側面12aに近い領域であって、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下となる領域A1〜A5において、2種類の大きさの光散乱ドット24a、24bを不規則な順序で配置したが、3種類以上の大きさの光散乱ドットを不規則な順序で配置してもよい。
【0054】
また、本実施形態では、インクジェット印刷のインクのドロップ数を1以上として光散乱ドットの中心間隔を一定としたが、インク0ドロップを含んでもよい。この場合、光散乱ドットの中心間隔は一定(等間隔)ではなくなる。
【0055】
また、本実施形態では、導光板基材12の4つの側面のうち1つの側面12a側のみに光源14Aが設けられたが、導光板基材12の対向する一対の側面それぞれに沿って光源が設けられてもよい。この場合、一対の側面(入光部)に近い領域であって、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下である領域において、2種類以上の大きさの光散乱ドットが、一定の中心間隔で、かつ、不規則な順序で配置される。
【0056】
また、導光板基材12の4つの側面全てに沿って光源が設けられてもよい。この場合、4つの側面(入光部)に近い領域であって、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下である領域において、2種類以上の大きさの光散乱ドットが、一定の中心間隔で、かつ、不規則な順序で配置される。
【0057】
また、本実施形態では、導光板基材12の出射面12bから出射される光の照度が略均一になるように、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下である領域A1〜A5では、一定の中心間隔を保ちつつ、側面(入光部)12aから遠ざかる領域ほど、光散乱ドット24a、24bの大きさを大きくしたが、この種のグラデーションのかけ方は本実施形態に限定されない。例えば、光散乱ドット24a,24bのうちの一方のみを大きくしてもよいし、光散乱ドット24a、24bの大きさは変更せず、小さい光散乱ドット24aの数を減らし、その分大きな光散乱ドット24bを増やしてもよい。
【0058】
また、本発明は、エッジライト型の面光源装置のための導光板の入光部側における光散乱ドットに限定されることなく、入射する光が強く、光散乱ドットによる隠蔽率が小さいものにおいて輝度の不均一を低減する用途全てに適用可能である。
【実施例1】
【0059】
図1及び図2に示す本発明の実施形態に係る導光板11を実施例1として試作し、比較例1の導光板との対比評価を行った。実施例1及び比較例1の導光板は以下の通りである。
(実施例1)
【0060】
導光板基材12として、長さ922mm、幅540mm、厚み4mmのPMMAの成形物を用いた。この導光板基材12の両面にはマスキングフィルムが貼合されていたので、その一方の面からマスキングフィルムを剥離した後、IPAを染込ませた紙ワイプで剥離面を拭き取ることで剥離面の洗浄を行った。この剥離面を背面12cとし、背面12cに対してインクジェット印刷によって幅50mmの範囲でインクを塗布した。
【0061】
インクは酸化チタン及び紫外線硬化型樹脂からなる白インクを用いた。インクジェット印刷のためのインクジェットヘッドの各条件は、解像度150dpi、印字幅53.57mm、走査速度200mm/secとした。印刷パターンとしては、長さ方向589点、幅方向300点であり、本発明の実施形態に示すグラデーションパターンとなるようにした。なお、本実施例1では、上記した本実施形態のパターンに対して、以下の変更を行った。すなわち、後述する評価のためのテレビユニットが導光板基材の対向する一対の側面に光源を備える構造であるため、一対の側面(入光部)側の領域から中心側の領域に向けて光散乱ドットの大きさを大きくした。また、印刷パターン試作の容易性のために、光散乱ドットによる隠蔽率が50%より大きい領域においても、2種類の大きさの光散乱ドットを一定の中心間隔で、かつ、不規則な順序で配置した。具体的には、図11に示すように、領域A1〜A10において、2種類の大きさの光散乱ドット24a、24bが、一定の中心間隔で、かつ、不規則な順序(順不同)で配置されるようにした。そして、この一定の中心間隔を保ちつつ、一対の側面のうちの一方の側面12a側の領域A1から中心側の領域A5へ向けて光散乱ドット24a、24bの大きさが大きくなると共に、他方の側面12d側の領域A10から中心側の領域A6へ向けて光散乱ドット24a、24bの大きさが大きくなるようにした。
【0062】
印刷後、照射強度120W/cmのUVランプ(メタルハライドランプ)にて硬化を行い、図2に示す光散乱ドットによるグラデーションパターンが背面12cに形成された導光板11を実施例1として得た。
(比較例1)
【0063】
比較例1の導光板は、本願発明者らの鋭意検討の過程における試作品である。図12は、比較例1の導光板における導光板基材12の背面12c側、すなわち光散乱ドット24の配置を示す平面図である。
【0064】
比較例1では、本願課題を解決するために、一対の側面(入光部)12a,12dに近い領域であって、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下となる領域A1〜A4,A7〜A10では、1種類の大きさの光散乱ドット24が、不規則な中心間隔で、すなわち不規則な位置に配置されるようにした。なお、光散乱ドットによる隠蔽率が50%を超える領域A5〜A6では、1種類の光散乱ドット24が、一定の中心間隔で配置されるようにした。そして、一対の側面のうちの一方の側面12a側の領域A1から中心側の領域A5へ向けて光散乱ドット24の大きさが大きくなると共に、他方の側面12d側の領域A10から中心側の領域A6へ向けて光散乱ドット24の大きさが大きくなるようにした。導光板基材12、インク、及び、インクジェット印刷のための条件等は実施例1と同様である。
【0065】
本評価では、光源としてLEDを用いるテレビユニット(Sony社製KDL−40EX)において、導光板に代えて実施例1及び比較例1の導光板をそれぞれ組み込んだ。そして、これらのテレビユニットを点灯させ、テレビ上端中心部から100mmの範囲における輝度分布の不均一を目視評価した。この目視評価の評価結果を図13に示す。なお、図13では、導光板の表面に光学フィルム(拡散フィルム、プリズムフィルム及び輝度向上フィルム)20を堆積させた場合と堆積させない場合との評価結果を示す。図13において、輝度の不均一がない場合に「○」を、輝度の不均一が略低減されているものの良く見ると少々ある場合に「△」を、輝度の不均一がある場合に「×」を示す。
【0066】
この評価結果によれば、比較例1に比べて実施例1の方が輝度の不均一の改善効果が大きかった。また、導光板の表面に光学フィルムを用いることにより、輝度の不均一を略完全に改善することができた。
【0067】
また、実施例1及び比較例1の導光板の入光部における隠蔽率50%以下の領域を撮影した図、及び、その拡大図を、図14(実施例1、光学フィルム有)及び図15(比較例1)に示す。これによれば、比較例1では、図15に示すように、入光部に輝度の不均一が発生した。一方、実施例1では、図14に示すように、入光部の輝度の不均一が解消された。
【0068】
このように、光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下となる領域では、2種類の大きさの光散乱ドットを不規則な順序で配置することにより、換言すれば、光散乱ドットによる階調変化を小さくすることにより、輝度の不均一を低減する効果が大きかった。
【符号の説明】
【0069】
10…透過型画像表示装置、11…導光板、12…導光板基材、12a…側面(入光部)、12b…出射面、12c…背面、14…光源部、14A…光源、14B…リフレクター、16…反射シート、18…透過型画像表示部、20…光学フィルム、22…面光源装置、24、24a、24b…光散乱ドット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板基材の少なくとも一方の面に光散乱ドットが形成された導光板において、
前記導光板基材の少なくとも一方の面を複数の領域に分割してなる個々の領域には、複数の光散乱ドットが形成されており、
前記複数の光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下である前記個々の領域では、前記複数の光散乱ドットは、大きさが2種類以上の光散乱ドットを含み、かつ、当該2種類以上の光散乱ドットは、不規則な順序で配置されている、
導光板。
【請求項2】
前記複数の領域の隠蔽率は、入光部からの距離に応じて大きくなる、請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記個々の領域は、1mm〜10mmの矩形領域である、請求項1に記載の導光板。
【請求項4】
前記光散乱ドットは、インクジェット方式により印刷される、請求項1に記載の導光板。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の導光板と、
前記導光板の側面に光を供給する光源と、
を備える、エッジライト型の面光源装置。
【請求項6】
請求項5に記載の面光源装置と、
前記面光源装置の出射面と対向して配置された透過型画像表示部と、
を備える透過型画像表示装置。
【請求項1】
導光板基材の少なくとも一方の面に光散乱ドットが形成された導光板において、
前記導光板基材の少なくとも一方の面を複数の領域に分割してなる個々の領域には、複数の光散乱ドットが形成されており、
前記複数の光散乱ドットによる隠蔽率が50%以下である前記個々の領域では、前記複数の光散乱ドットは、大きさが2種類以上の光散乱ドットを含み、かつ、当該2種類以上の光散乱ドットは、不規則な順序で配置されている、
導光板。
【請求項2】
前記複数の領域の隠蔽率は、入光部からの距離に応じて大きくなる、請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記個々の領域は、1mm〜10mmの矩形領域である、請求項1に記載の導光板。
【請求項4】
前記光散乱ドットは、インクジェット方式により印刷される、請求項1に記載の導光板。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の導光板と、
前記導光板の側面に光を供給する光源と、
を備える、エッジライト型の面光源装置。
【請求項6】
請求項5に記載の面光源装置と、
前記面光源装置の出射面と対向して配置された透過型画像表示部と、
を備える透過型画像表示装置。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図2】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図2】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−151100(P2012−151100A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−280301(P2011−280301)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】
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