導光板、面光源装置、透過型画像表示装置、導光板用配光パターンの設計方法、及び、導光板の製造方法
【課題】インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することが可能な導光板を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る導光板1は、導光板基材11の少なくとも一方の面S2に光反射ドットが形成された導光板において、導光板基材11の少なくとも一方の面S2を複数の領域に分割してなる個々の領域には、印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された当該格子点上に複数の光反射ドット12が形成されており、個々の領域では、複数の光反射ドット12における一部の光反射ドットが間引かれている。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る導光板1は、導光板基材11の少なくとも一方の面S2に光反射ドットが形成された導光板において、導光板基材11の少なくとも一方の面S2を複数の領域に分割してなる個々の領域には、印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された当該格子点上に複数の光反射ドット12が形成されており、個々の領域では、複数の光反射ドット12における一部の光反射ドットが間引かれている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、面光源装置、透過型画像表示装置、導光板用配光パターンの設計方法、及び、導光板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の透過型画像表示装置は、一般に、導光板により面状の光を供給する面光源装置をバックライトとして有している。面光源装置の方式としては、導光板の背面側に光源が設けられる直下式と、導光板の側面に沿って光源が設けられるエッジライト方式とがある。エッジライト方式は画像表示装置の薄型化の観点で有利である。
【0003】
エッジライト方式の面光源装置では、導光板の側面から入射した光が、導光板の背面側に設けられた配光パターン(例えば、光反射ドットからなる配光パターン)の作用により反射及び拡散(散乱)し、臨界角度以上の角度成分の光が導光板の出射面から出射することによって、面状の光を供給する。その発光面の輝度を均一にするために、特許文献1及び2に記載の導光板では、光源から離れるに従い配光パターンの密度を粗から密にしたグラデーションを施している。
【0004】
また、特許文献1には、この種のドット状の配光パターンを液滴吐出(例えば、インクジェット印刷)によって形成する手法も開示されている。例えば、インクジェット印刷手法では、印刷タクトを短縮するために、インクジェットヘッドを複数配列させて印刷することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−240294号公報
【特許文献2】特開2008−27609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インクジェットヘッドを複数配列させて印刷すると、その取り付け精度及び位置調整精度に起因して、インクジェットヘッド同士の連結部分に線状の輝度の不均一(スジムラ)が発生してしまう。この点に関し、インクジェットヘッドの位置を更に高精度に調整しようとすると、多くの時間と労力が必要となってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することが可能な導光板、面光源装置、透過型画像表示装置、導光板用配光パターンの設計方法、及び、導光板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、配光パターンにおける複数の光反射ドットのうちの一部を間引くことにより、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減できることを見出した。
【0009】
そこで、本発明の導光板は、導光板基材の少なくとも一方の面に光反射ドットが形成された導光板において、導光板基材の少なくとも一方の面を複数の領域に分割してなる個々の領域には、印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された当該格子点上に複数の光反射ドットが形成されており、個々の領域では、前記複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが間引かれている。
【0010】
この導光板によれば、規則的に二次元配列された複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが間引かれているので、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0011】
上記した複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットの間引き率は、格子点の数の1%〜30%であることが好ましい。光反射ドットの間引き率を大きくすると、光源に近い入光部側のように配光パターンの被覆率が低い領域において輝度の不均一が目立ってしまう。これによれば、光反射ドットの間引き率が1%〜30%と比較的小さいので、入光部側の輝度の均一性を損なうことなく、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0012】
また、上記した複数の光反射ドットは、大きさが2種類以上の光反射ドットを含み、当該2種類以上の光反射ドットは、不規則な順序で配置されていることが好ましい。これによれば、2種類以上の大きさを有する光反射ドットが不規則な順序で配置されているので、光反射ドットによる階調変化を小さくすることができる。したがって、光源に近い入光部側のように配光パターンの被覆率が低い領域において、輝度の不均一を低減することができる。
【0013】
また、本発明の導光板用配光パターンの設計方法は、導光板基材の少なくとも一方の面に形成される光反射ドットからなる配光パターンの設計方法において、導光板基材の少なくとも一方の面を複数の領域に分割し、分割してなる個々の領域ごとに被覆率を設定する被覆率設定工程と、個々の領域ごとに、印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された当該格子点を設定する格子点設定工程と、個々の領域ごとに、格子点の数を求める格子点算出工程と、個々の領域ごとに、被覆率と格子点の数とに基づいて、格子点上に形成する複数の光反射ドットの大きさ、及び、複数の光反射ドットの間引き数を設定する間引数設定工程と、間引数設定工程で得られた結果に基づいて、複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが間引かれるように、格子点上に複数の光反射ドットを配置する配置工程とを含む。
【0014】
この導光板用配光パターンの設計方法でも、上記したように、規則的に二次元配列された複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが間引かれるので、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0015】
上記した間引数設定工程では、複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットの間引き率が、格子点の数の1%〜30%となるように、複数の光反射ドットの間引き数を設定することが好ましい。これによれば、上記したように、光反射ドットの間引き率が1%〜30%と比較的小さくなるので、入光部側の輝度の均一性を損なうことなく、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0016】
また、上記した間引数設定工程では、複数の光反射ドットは、大きさが2種類以上の光反射ドットを含むように、格子点上に形成する複数の光反射ドットの大きさを設定し、上記した配置工程では、2種類以上の光反射ドットは、不規則な順序で配置されるように、複数の光反射ドットを配置することが好ましい。これによれば、上記したように、2種類以上の大きさを有する光反射ドットが不規則な順序で配置されるので、光反射ドットによる階調変化を小さくすることができる。したがって、光源に近い入光部側のように配光パターンの被覆率が低い領域において、輝度の不均一を低減することができる。
【0017】
本発明の導光板の製造方法は、印刷を行うための印刷部位が複数配列されているユニットを2つ以上備え、印刷部位の配列方向にユニットが並んでいる印刷装置を用いて、導光板基材の少なくとも一方の面に光反射ドットからなる配光パターンが形成された導光板を製造する方法において、上記した導光板用配光パターンの設計方法によって配光パターンを設計し、導光板基材に対してユニットを相対移動しながら、ユニットの印刷部位により導光板基材に前記配光パターンを印刷する。
【0018】
この導光板の製造方法によれば、上記した導光板用配光パターンの設計方法を用いるので、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0019】
上記した印刷部位は、ノズルであり、上記したユニットは、ノズルを複数配列したインクジェットヘッドであり、上記した光反射ドットは、導光板用紫外線硬化型インクジェットインクである。
【0020】
本発明の別の導光板は、上記した導光板用配光パターンの設計方法によって設計された配光パターンを備える。また、本発明の更に別の導光板は、上記した導光板の製造方法によって製造される。
【0021】
この導光板でも、上記したように、規則的に二次元配列された複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが間引かれるので、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0022】
本発明の面光源装置は、エッジライト型の面光源装置であって、上記した導光板と、導光板の側面に光を供給する光源とを備える。この面光源装置によれば、上記した導光板を備えているので、エッジライト型の面光源装置の輝度の不均一を低減することができる。
【0023】
本発明の透過型画像表示装置は、上記した面光源装置と、面光源装置の出射面と対向して配置された透過型画像表示部とを備える。この透過型画像表示装置によれば、上記した導光板を有する面光源装置を備えているので、透過型画像表示装置の輝度の不均一を低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を簡便に低減することができる。また、この導光板を用いたエッジライト型の面光源装置、及び、このエッジライト型の面光源装置を用いた透過型画像表示装置の輝度の不均一を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る導光板の一実施形態を備える透過型画像表示装置を示す断面図である。
【図2】図2は、導光板を背面側からみた場合の平面図である。
【図3】複数の反射ドットによる配光パターンの一実施形態を詳細に示す図である。
【図4】本発明に係る導光板用配光パターンの設計方法における被覆率設定工程の一実施形態を示す図である。
【図5】本発明に係る導光板用配光パターンの設計方法における格子点設定工程の一実施形態を示す図である。
【図6】図5に示す格子点設定工程の変形例を示す図である。
【図7】図5に示す格子点設定工程の変形例を示す図である。
【図8】図5に示す格子点設定工程の変形例を示す図である。
【図9】本発明に係る導光板用配光パターンの設計方法における格子点算出工程の一実施形態を示す図である。
【図10】本発明に係る導光板用配光パターンの設計方法における間引数設定工程及び配置工程の一実施形態を示す図である。
【図11】導光板の製造方法の一実施形態を示す斜視図である。
【図12】従来の印刷方法を示す模式図である。
【図13】本実施形態の印刷方法を示す模式図である。
【図14】本発明に係る導光板の変形例を示す図である。
【図15】本発明に係る一実施例の導光板の配光パターンの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0027】
図1は、本発明に係る導光板の一実施形態を備える透過型画像表示装置を示す断面図である。図1に示す透過型画像表示装置100は、面光源装置20と、透過型画像表示部30とから主として構成される。面光源装置20は、導光板基材11を有する導光板1と、導光板1の側方に設けられており導光板1に光を供給する光源3とを備えるエッジライト型面光源装置である。
【0028】
導光板基材11は略直方体形状を呈しており、出射面S1と、出射面S1の反対側の背面S2と、出射面S1及び背面S2に交差する4つの端面S31〜S34とを有する。本実施形態において、4つの端面S31〜S34は、出射面S1及び背面S2に略直交する。
【0029】
導光板基材11は、透光性材料からなり、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル樹脂シート、ポリスチレンシート又はポリカーボネート系樹脂シートであることが好ましく、これらのなかでも、ポリメチルメタクリレート樹脂シート(PMMA樹脂シート)が好ましい。導光板基材11は拡散粒子を含んでいてもよい。導光板基材11の反射ドット12が形成される表面(背面S2)と反対側の表面(出射面S1)は、本実施形態のように平坦面であってもよいが、凹凸形状を有していてもよい。なお、導光板基材11の厚みは1.0mm以上4.5mm以下であることが好ましい。
【0030】
導光板基材11の背面S2は、背面S2のほぼ全面に撥液処理が施された面であってもよい。背面S2に施す撥液処理は、背面S2に水滴を滴下した際の接触角が80度〜130度となるような撥液処理であり、好ましくは接触角が85度〜120度、より好ましくは接触角が90度〜110度となるような撥液処理である。本実施形態において、接触角とは、静的接触角である。
【0031】
この導光板基材11の背面S2側には複数の反射ドット12が形成されている。すなわち、導光板1は、背面S2側に設けられた複数の反射ドット12を更に有する。各反射ドット12の最大厚さは、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。
【0032】
複数の反射ドット12は、図2に示すように、背面S2上に互いに離間して配置されている。図2は、導光板を背面側からみた場合の平面図である。図2では、説明の便宜のため、光源3も一緒に示している。図2に示すように、反射ドット12は、光源3に近い入光部側では小さく、光源3から離れるに従って大きくなる。反射ドット12は、背面S2の全面にわたって規則的に二次元配列された格子点に形成されているので、反射ドット12の被覆率は、光源3に近い入光部側では低く、光源3から離れるに従って高くなる。反射ドット12同士は連結しないことが好ましいが、実際には連結してしまうこともある。図2では、反射ドット12の大きさや個数などは説明の便宜のために変更されており、後述するように、反射ドット12の個数及び配置パターンは、均一な面状の光が効率的に出射面S1から出射されるように調整される。
【0033】
図3は、複数の反射ドット12による配光パターンを詳細に示す図である。図3に示すように、本実施形態では、導光板基材11の背面S2を7×9個の領域A1,1〜A7,9に分割されており、個々の領域Am,nごとに反射ドット12の大きさ等が設計されている(mは1以上7以下、nは1以上9以下)。個々の領域Am,nでは、複数の光反射ドット12が、印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された格子点上に形成され、複数の光反射ドット12における一部の光反射ドットが間引かれている。複数の光反射ドット12の間引き率は、格子点の数の1%〜30%に設定されている。
【0034】
図1及び図2に戻り、光源3は、互いに対向する一対の端面S31,S32の側方に配置される。光源3は、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)等の線状光源であってもよいが、LED等の点状光源であることが好ましい。この場合、図2に示すように、透光性樹脂シート11の例えば矩形の背面S2を構成する4辺のうち互いに対向する2辺に沿って、複数の点状光源が配列される。後述のインクジェットインクにより形成される反射ドット12とLEDとを組み合わせることが、自然な色調の光を得るために特に有利である。
【0035】
図1に示すように、透過型画像表示部30は、導光板1の出射面S1側において導光板1と対向配置されている。透過型画像表示部30は、例えば、液晶セルを有する液晶表示部である。
【0036】
上記構成において、光源3から出力された光は、端面S31,S32から導光板基材11に入射する。導光板基材11に入射した光は、反射ドット12において乱反射することにより、主として出射面S1から出射される。出射面S1から出射した光は透過型画像表示部30に供給される。均一な面状の光が効率的に出射面S1から出射されるように、反射ドット12の個数及び配置パターンは調整されている。
【0037】
次に、導光板1の配光パターンの設計方法について説明する。
【0038】
まず、図4に示すように、例えば導光板基材11の背面S2を7×9個の領域A1,1〜A7,9に分割し、個々の領域Am,nごとに被覆率を設定する(mは1以上7以下、nは1以上9以下)。具体的には、均一な面状の光が効率的に出射面から出射されるように、被覆率を設定する(被覆率設定工程)。
【0039】
次に、図5に示すように、個々の領域Am,nごとに、光反射ドットの印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された格子点Pを設定する。具体的には、互いに平行な第1の直線群L1と、互いに平行な第2の直線群L2との交点を格子点Pとする。なお、図5では、第1の直線群L1と第2の直線群L2とが直交している(格子点設定工程)。
【0040】
第1の直線群L1と第2の直線群L2とは、図6〜図8に示すように、直交せずともよい。第1の直線群L1と第2の直線群L2との交差角度θは、30度〜150度、好ましくは60度〜120度である。第1の直線群L1と第2の直線群L2との交差角度θを30度〜150度とすることにより、光反射ドット同士を離間して配置することができ、光反射ドットによる配光パターンをより高い被覆率で印刷することができる。その結果、面光源装置の出射光の輝度を高めることができる。
【0041】
また、第1の直線群L1及び第2の直線群L2における各直線間の距離は、40μm〜200μm、好ましくは50μm〜180μm、更に好ましくは60μm〜120μmである。各直線間の距離を40μm〜200μmとすることにより、光反射ドット同士を離間して配置することができ、光反射ドットによる配光パターンをより高い被覆率で印刷することができる。その結果、面光源装置の出射光の輝度を高めることができる。
【0042】
次に、図9に示すように、個々の領域Am,nごとに、設定した格子点Pの数を算出する。本実施形態では、格子点Pの数は5×5個である(格子点算出工程)。
【0043】
次に、図10に示すように、個々の領域Am,nごとに、設定した被覆率と格子点Pの数とに基づいて、格子点P上に形成する光反射ドット12の大きさ、及び、光反射ドットの間引き数(すなわち、光反射ドット12の数)を求める(間引数設定工程)。
【0044】
次に、個々の領域Am,nごとに、間引数設定工程で得られた結果に基づいて、複数の光反射ドット12における一部の光反射ドットが間引かれるように、格子点P上に複数の光反射ドット12を配置する(配置工程)。
【0045】
次に、この導光板1の配光パターンの設計方法によって設計された配光パターンを用いて、導光板1を製造する方法について説明する。
【0046】
図11に示す導光板1の製造装置200は、導光板基材11を搬送する搬送手段40と、インクジェットヘッド部5と、UVランプ7と、検査装置9とから構成される。インクジェットヘッド部5、UVランプ7及び検査装置9は、導光板基材11の移動方向Aにおいて上流側からこの順に配置される。
【0047】
導光板基材11は、搬送手段40によって、方向Aに沿って連続的又は間欠的に搬送される。導光板基材11は、インクジェットヘッド部5の上流側に配置される除電装置(図示せず)により除電されてから、インクジェットヘッド部5に搬送されることが好ましい。除電は通常、導光板基材11の帯電量が±300V以内となるように行われる。導光板基材11は、製造される導光板のサイズに合わせて予め裁断されていてもよいし、長尺の導光板基材11上に反射ドット12を形成し、その後導光板基材11を裁断してもよい。本実施形態における搬送手段40はテーブルシャトルであるが、搬送手段はこれに限られるものではなく、例えばベルトコンベア、コロ、又はエア浮上移送であってもよい。
【0048】
導光板基材11の表面S0に、支持部41に支持されたインクジェットヘッド部5により液滴状のインクジェットインクがドット状にパターン印刷される。このとき、パターン印刷は、表面S0に滴下する液滴状のインクジェットインクが互いに離間するように行う。
【0049】
インクジェットヘッド部5は、導光板基材11の表面S0における反射ドット12が形成される領域の幅方向(Aに対して垂直な方向)全体にわたって、導光板基材11の表面S0(背面S2)と対向して配列固定された1列又は2列以上の複数のノズルを有している。これら複数のノズルからインクジェット方式により吐出された液滴状のインクが、導光板基材11の幅方向全体において同時に一括して印刷される。好ましくは、導光板基材11を一定の速度で連続的に移動させながら、インクが印刷される。或いは、導光板基材11を停止した状態でインクを印刷することと、導光板基材11を次の印刷位置まで移動させてから停止することとを繰り返して、複数列のドットから構成されるパターンでインクを効率的に印刷することもできる。
【0050】
導光板基材11の移動速度は、インクが適切に印刷されるように調整される。本実施形態の場合、図12及び図13に示すように、インクジェットヘッド部5は、それぞれ複数のノズル51を有する複数のインクジェットヘッド(ユニット)5a〜5cから構成される。これら複数のインクジェットヘッド5a〜5cは、導光板基材11が搬送される方向Aに直交する方向に配列され、搬送方向Aにおいて互いの端部が重なるように固定部材52(図11参照)を介して連結されている。
【0051】
本実施形態の場合、インクジェットヘッド部5の複数のノズルを固定した状態で、インクを導光板基材11の幅方向全体にわたって一括して印刷することができる。これにより、可動式のノズルを導光板基材11の幅方向に沿って移動させながらインクを順次印刷する場合と比較して、導光板1の生産性が飛躍的に向上する。
【0052】
特に、導光板基材11の短辺の長さが200mm以上1000mm以下であるような大型の導光板1を製造する場合、本実施形態の方法による生産性向上の効果が大きい。さらに、インクジェット法によれば、例えば最大径が100μm以下であるような微小な反射ドット12であっても、容易にかつ正確に形成することができる。導光板基材11が薄い場合、出射面S1側から反射ドット12が透けて見える可能性があるが、反射ドット12を小さくすることによりこれを防ぐことができる。
【0053】
インクジェットヘッド部5のノズルは、導管55を介してインク供給ユニット50と連結されている。インク供給ユニット50は、例えば、インクが収容されたインクタンクと、インクを送り出すためのポンプとを有している。複数の導管55が単一のインクタンクに連結されていてもよいし、複数のインクタンクにそれぞれ連結されていてもよい。
【0054】
反射ドット12を形成するためにインクジェット印刷に用いられるインクジェットインクは、顔料と、光重合性成分と、光重合開始剤とを含有する紫外線硬化型のインクであってもよいし、水系インクや溶剤系インク等であってもよい。なお、インクジェットインクには、顔料が必ずしも含まれていなくともよい。
【0055】
顔料は、好ましくは炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子及び二酸化チタン粒子の少なくとも何れか一つである。炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子及び二酸化チタン粒子それぞれの累積50%粒子径D50は、50〜3000nm、より好ましくは、100〜1500nm、更に好ましくは300〜600nmである。累積50%粒子径D50が50〜3000nmの範囲内にある炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、二酸化チタン粒子は、市販品から粒度分布に基づいて適宜選択することにより入手が可能である。顔料のインクにおける含有割合は、通常、インクの全体質量を基準として0.5〜15.0質量%程度である。炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子及び二酸化チタン粒子の少なくとも一つである顔料を利用したインクは、無機物を利用したインクである。このような無機物を利用したインクの保存安定性、すなわち、無機顔料沈降性を考慮した場合、3つの粒子のうち一番比重の小さい炭酸カルシウム粒子を顔料として利用することがインクとしてより好ましい。
【0056】
50±10℃におけるインクジェットインクの粘度は、好ましくは5.0〜15.0mPa・s、より好ましくは8.0〜12.0mPa・sである。インクジェットインクの粘度は、例えば、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量及び/又は含有割合により調整することができる。脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量及び含有割合が大きくなると、インクの粘度が大きくなる傾向がある。
【0057】
25.0℃におけるインクジェットインクの表面張力は、好ましくは25.0〜45.0mJ/m2、より好ましくは25.0〜37.0mJ/m2である。インクジェットインクの表面張力は、例えば、シリコン系及びフッ素系等の界面活性剤をインクに配合することにより調整することができる。
【0058】
印刷されたインクは、支持部42に支持されたUVランプ7から照射される紫外線により、領域70において硬化される。インクを印刷したのち紫外線を照射するまでの時間は通常5秒〜120秒である。これにより、硬化したインクからなる反射ドット12が形成される。
【0059】
その後、形成された反射ドット12の状態を、支持部43に支持された検査装置9によって検査する工程を経て、導光板1が得られる。導光板1は必要により所望のサイズに裁断される。本実施形態のように、インクジェットヘッド部の下流側に設けられた検査装置により導光板が連続的に検査される必要は必ずしもなく、別途準備された検査装置によりオフラインで導光板を検査することもできる。あるいは、検査装置による導光板の検査が省略されることもあり得る。
【0060】
通常、反射ドット12となるべきインクの印刷パターンは、均一な面状の光が効率的に出射面S1から出射されるような所望のパターンに設計される。この場合、複数の反射ドット12の配置パターンがほぼ所望のパターンになることから、光源3から透光性樹脂シート11に供給される光を光出射面S1から効率的に取り出すことができる。その結果、導光板1の光出射面S1から光をより高い輝度で出射可能である。また、上記のように反射ドット12の配置パターンが所望のパターンであることから、光出射面S1からほぼ均一に光を出射可能である。
【0061】
面光源装置20は、導光板1を備えているので、光をより高い輝度で出射できる。また、透過型画像表示装置100は、面光源装置20から出射されるより輝度の高い光で照明されるので、コントラストがよりはっきり表示できるといった表示品質の良い画像を表示することが可能である。
【0062】
ここで、図12に示すように、インクジェットヘッド(ユニット)5a〜5cを複数配列させて印刷すると、その取り付け精度及び位置調整精度に起因して、インクジェットヘッド(ユニット)5a〜5c同士の連結部分Cに線状の輝度の不均一(スジムラ)が発生してしまう。
【0063】
しかしながら、この第1の実施形態の導光板1によれば、図13に示すように、規則的に二次元配列された複数の光反射ドット12における一部の光反射ドットが間引かれているので、インクジェットヘッド(ユニット)5a〜5c同士の連結部分Cにおける線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0064】
また、第1の実施形態の導光板1によれば、光反射ドット12の間引き率が1%〜30%と比較的小さいので、光源に近い入光部側のように被覆率が低い領域において、輝度の均一性を損なうことなく、インクジェットヘッド(ユニット)5a〜5c同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0065】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットを不規則に間引いた配光パターンを例示したが、複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットを規則的に間引いた配光パターンであってもよい。
【0066】
また、本実施形態では、1種類の大きさを有する光反射ドット12による配光パターンを例示したが、図14に示すように、2種類の大きさを有する光反射ドット12a,12bを不規則な順序で配置してもよいし、更に、3種類以上の大きさを有する光反射ドットを不規則な順序で配置してもよい。
【0067】
このように、2種類以上の大きさを有する光反射ドットを不規則な順序で配置すると、光反射ドットによる階調変化を小さくすることができる。その結果、光源に近い入光部側のように配光パターンの被覆率が低い領域において、輝度の不均一を低減することができる。特に、複数の光反射ドットによる隠蔽率が50%以下である個々の領域において効果がある。
【0068】
また、本実施形態では、導光板基材11における配光パターンの印刷面を7×9個の領域に分割する一例を示したが、導光板基材11の印刷面は、任意のM×N個の領域A1,1〜AM,N(M、Nは2以上の任意の整数)分割することが可能である。
【0069】
また、本実施形態では、個々の領域Am,nにおいて、印刷目標のための格子点Pが5×5個である一例を示したが、格子点Pは任意の数に設定することが可能である。
【0070】
また、本実施形態では、互いに対向する端面S31,S32の側方に光源3をそれぞれ配置した場合を例示した。しかしながら、光源3は、透光性樹脂シート11の光出射面S1(又は背面S2)と交差する少なくとも一つの端面の側方に配置されていればよい。
【0071】
また、本実施形態では、インクジェット印刷を例示したが、本発明の特徴は、レーザ印刷等、複数のヘッドを連結配列して印刷を行うもの全てに適用可能である。
【実施例1】
【0072】
本発明の実施形態に係る導光板1を実施例として試作し、比較例の導光板との対比評価を行った。実施例及び比較例の導光板は以下の通りである。
(実施例1)
【0073】
600mm×345mmのPMMA樹脂シートを透光性樹脂シートとして準備し、顔料として炭酸カルシウムを含有する紫外線硬化型インクジェットインクを用いて導光板を製造した。
【0074】
具体的には、まず、導光板基材11の背面S2を複数の領域に分割し、個々の領域(422.5μm×422.5μm)ごとに被覆率を48%に設定した。次に、個々の領域ごとに、光反射ドットの印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された格子点を5×5個に設定した。次に、個々の領域ごとに、被覆率48%、格子点25個、及び、光反射ドットの間引き率4%に基づいて、格子点上に形成する光反射ドットの大きさ及び数を求めた。次に、個々の領域ごとに、求めた光反射ドットの大きさ及び数に基づいて、複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが不規則に間引かれるように、格子点上に複数の光反射ドットを配置した。このようにして、被覆率48%一様、間引き率4%、及び、不規則的に間引きされた配光パターンを得た。
【0075】
次に、PMMA樹脂シートからマスキングフィルムを剥離し、剥離した面に、得られた配光パターンを、紫外線硬化型インクジェットインクによってインクジェット印刷した。インクジェットヘッドとしては、ノズル間距離d1が約84.5μmのものを使用した(図13参照)。また、このインクジェットヘッドを複数連結配列する際の取り付け精度及び位置調整精度が約15μmであることから、インクジェットヘッド同士の連結部分におけるノズル間距離d2を約99.5μmとした。次に、印刷したインクジェットインクに紫外線を照射し、インクを光硬化させた。具体的には、紫外線硬化型インクジェットインクをPMMA樹脂シートにパターン印刷した後、6秒後に紫外線を照射してインクを光硬化させた。その結果、被覆率48%一様、間引き率4%、及び、不規則的に間引きされた配光パターンが形成された実施例1の導光板を得た。
(実施例2)
【0076】
間引き率を10%として配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例1と同様にして実施例2の導光板を得た。
(実施例3)
【0077】
間引き率を20%として配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例1と同様にして実施例3の導光板を得た。
(実施例4)
【0078】
間引き率を30%として配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例1と同様にして実施例4の導光板を得た。
(実施例5)
【0079】
間引き率を50%として配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例1と同様にして実施例5の導光板を得た。
(実施例6)
【0080】
複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが規則的に間引かれるように配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例3と同様にして実施例6の導光板を得た。具体的には、図15(a)に示すように、個々の領域ごとに、中央付近を間引くように配光パターンを設計及び形成した。
(実施例7)
【0081】
同様に、複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが規則的に間引かれるように配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例3と同様にして実施例7の導光板を得た。具体的には、図15(b)に示すように、個々の領域ごとに、中央付近の一列であって、インクジェットヘッドの印刷方向Aの一列を間引くように配光パターンを設計及び形成した。
(実施例8)
【0082】
複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが規則的に間引かれるように配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例3と同様にして実施例8の導光板を得た。具体的には、図15(c)に示すように、個々の領域ごとに、中央付近及び四隅を間引くように配光パターンを設計及び形成した。
(比較例1)
【0083】
間引き率を0%として、すなわち、光反射ドットを間引かないように配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例1と同様にして比較例1の導光板を得た。
【0084】
本評価では、光源としてLEDを用いるテレビユニットにおいて、拡散フィルム、プリズムフィルム、DBEF、及び、導光板に代えて、実施例1〜8及び比較例1の導光板をそれぞれ組み込んだ。そして、これらのテレビユニットを点灯させ、スジムラ(線状の輝度の不均一)を目視評価した(拡散フィルム、プリズムフィルム、及び、DBEFのフィルム無し)。また、拡散フィルム、プリズムフィルム、及び、DBEFを用いたときのスジムラも目視評価した(フィルム有り)。また、拡散フィルム、プリズムフィルム、及び、DBEFを用いたときの入光部の明暗さを目視評価した。これらの評価結果を表1に示す。
【表1】
【0085】
この評価結果によれば、配光パターンにおける複数の光反射ドットのうちの一部を間引くことにより、インクジェットヘッド同士の連結部分におけるスジムラ(線状の輝度の不均一)を低減できることがわかった。なお、この評価結果では、光反射ドットを規則的に間引いた実施例6〜8よりも、光反射ドットを不規則的に間引いた実施例1〜5の方がスジムラの低減度合いが大きかった。
【0086】
また、実施例5によれば、光反射ドットの間引き率を50%と大きくすると、光源に近い入光部側のように配光パターンの被覆率が低い領域において輝度の不均一が目立ってしまうことがわかった。
【符号の説明】
【0087】
1…導光板、3…光源、11…導光板基材、12…光反射ドット、20…面光源装置、30…透過型画像表示部、100…透過型画像表示装置(液晶表示装置)、S0…表面(撥液処理された一面)、S1…出射面、S2…背面(撥液処理された一面)、S31〜S34…端面、A1,1〜A7,9…個々の領域、格子点P。
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、面光源装置、透過型画像表示装置、導光板用配光パターンの設計方法、及び、導光板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の透過型画像表示装置は、一般に、導光板により面状の光を供給する面光源装置をバックライトとして有している。面光源装置の方式としては、導光板の背面側に光源が設けられる直下式と、導光板の側面に沿って光源が設けられるエッジライト方式とがある。エッジライト方式は画像表示装置の薄型化の観点で有利である。
【0003】
エッジライト方式の面光源装置では、導光板の側面から入射した光が、導光板の背面側に設けられた配光パターン(例えば、光反射ドットからなる配光パターン)の作用により反射及び拡散(散乱)し、臨界角度以上の角度成分の光が導光板の出射面から出射することによって、面状の光を供給する。その発光面の輝度を均一にするために、特許文献1及び2に記載の導光板では、光源から離れるに従い配光パターンの密度を粗から密にしたグラデーションを施している。
【0004】
また、特許文献1には、この種のドット状の配光パターンを液滴吐出(例えば、インクジェット印刷)によって形成する手法も開示されている。例えば、インクジェット印刷手法では、印刷タクトを短縮するために、インクジェットヘッドを複数配列させて印刷することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−240294号公報
【特許文献2】特開2008−27609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インクジェットヘッドを複数配列させて印刷すると、その取り付け精度及び位置調整精度に起因して、インクジェットヘッド同士の連結部分に線状の輝度の不均一(スジムラ)が発生してしまう。この点に関し、インクジェットヘッドの位置を更に高精度に調整しようとすると、多くの時間と労力が必要となってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することが可能な導光板、面光源装置、透過型画像表示装置、導光板用配光パターンの設計方法、及び、導光板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、配光パターンにおける複数の光反射ドットのうちの一部を間引くことにより、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減できることを見出した。
【0009】
そこで、本発明の導光板は、導光板基材の少なくとも一方の面に光反射ドットが形成された導光板において、導光板基材の少なくとも一方の面を複数の領域に分割してなる個々の領域には、印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された当該格子点上に複数の光反射ドットが形成されており、個々の領域では、前記複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが間引かれている。
【0010】
この導光板によれば、規則的に二次元配列された複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが間引かれているので、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0011】
上記した複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットの間引き率は、格子点の数の1%〜30%であることが好ましい。光反射ドットの間引き率を大きくすると、光源に近い入光部側のように配光パターンの被覆率が低い領域において輝度の不均一が目立ってしまう。これによれば、光反射ドットの間引き率が1%〜30%と比較的小さいので、入光部側の輝度の均一性を損なうことなく、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0012】
また、上記した複数の光反射ドットは、大きさが2種類以上の光反射ドットを含み、当該2種類以上の光反射ドットは、不規則な順序で配置されていることが好ましい。これによれば、2種類以上の大きさを有する光反射ドットが不規則な順序で配置されているので、光反射ドットによる階調変化を小さくすることができる。したがって、光源に近い入光部側のように配光パターンの被覆率が低い領域において、輝度の不均一を低減することができる。
【0013】
また、本発明の導光板用配光パターンの設計方法は、導光板基材の少なくとも一方の面に形成される光反射ドットからなる配光パターンの設計方法において、導光板基材の少なくとも一方の面を複数の領域に分割し、分割してなる個々の領域ごとに被覆率を設定する被覆率設定工程と、個々の領域ごとに、印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された当該格子点を設定する格子点設定工程と、個々の領域ごとに、格子点の数を求める格子点算出工程と、個々の領域ごとに、被覆率と格子点の数とに基づいて、格子点上に形成する複数の光反射ドットの大きさ、及び、複数の光反射ドットの間引き数を設定する間引数設定工程と、間引数設定工程で得られた結果に基づいて、複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが間引かれるように、格子点上に複数の光反射ドットを配置する配置工程とを含む。
【0014】
この導光板用配光パターンの設計方法でも、上記したように、規則的に二次元配列された複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが間引かれるので、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0015】
上記した間引数設定工程では、複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットの間引き率が、格子点の数の1%〜30%となるように、複数の光反射ドットの間引き数を設定することが好ましい。これによれば、上記したように、光反射ドットの間引き率が1%〜30%と比較的小さくなるので、入光部側の輝度の均一性を損なうことなく、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0016】
また、上記した間引数設定工程では、複数の光反射ドットは、大きさが2種類以上の光反射ドットを含むように、格子点上に形成する複数の光反射ドットの大きさを設定し、上記した配置工程では、2種類以上の光反射ドットは、不規則な順序で配置されるように、複数の光反射ドットを配置することが好ましい。これによれば、上記したように、2種類以上の大きさを有する光反射ドットが不規則な順序で配置されるので、光反射ドットによる階調変化を小さくすることができる。したがって、光源に近い入光部側のように配光パターンの被覆率が低い領域において、輝度の不均一を低減することができる。
【0017】
本発明の導光板の製造方法は、印刷を行うための印刷部位が複数配列されているユニットを2つ以上備え、印刷部位の配列方向にユニットが並んでいる印刷装置を用いて、導光板基材の少なくとも一方の面に光反射ドットからなる配光パターンが形成された導光板を製造する方法において、上記した導光板用配光パターンの設計方法によって配光パターンを設計し、導光板基材に対してユニットを相対移動しながら、ユニットの印刷部位により導光板基材に前記配光パターンを印刷する。
【0018】
この導光板の製造方法によれば、上記した導光板用配光パターンの設計方法を用いるので、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0019】
上記した印刷部位は、ノズルであり、上記したユニットは、ノズルを複数配列したインクジェットヘッドであり、上記した光反射ドットは、導光板用紫外線硬化型インクジェットインクである。
【0020】
本発明の別の導光板は、上記した導光板用配光パターンの設計方法によって設計された配光パターンを備える。また、本発明の更に別の導光板は、上記した導光板の製造方法によって製造される。
【0021】
この導光板でも、上記したように、規則的に二次元配列された複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが間引かれるので、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0022】
本発明の面光源装置は、エッジライト型の面光源装置であって、上記した導光板と、導光板の側面に光を供給する光源とを備える。この面光源装置によれば、上記した導光板を備えているので、エッジライト型の面光源装置の輝度の不均一を低減することができる。
【0023】
本発明の透過型画像表示装置は、上記した面光源装置と、面光源装置の出射面と対向して配置された透過型画像表示部とを備える。この透過型画像表示装置によれば、上記した導光板を有する面光源装置を備えているので、透過型画像表示装置の輝度の不均一を低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を簡便に低減することができる。また、この導光板を用いたエッジライト型の面光源装置、及び、このエッジライト型の面光源装置を用いた透過型画像表示装置の輝度の不均一を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る導光板の一実施形態を備える透過型画像表示装置を示す断面図である。
【図2】図2は、導光板を背面側からみた場合の平面図である。
【図3】複数の反射ドットによる配光パターンの一実施形態を詳細に示す図である。
【図4】本発明に係る導光板用配光パターンの設計方法における被覆率設定工程の一実施形態を示す図である。
【図5】本発明に係る導光板用配光パターンの設計方法における格子点設定工程の一実施形態を示す図である。
【図6】図5に示す格子点設定工程の変形例を示す図である。
【図7】図5に示す格子点設定工程の変形例を示す図である。
【図8】図5に示す格子点設定工程の変形例を示す図である。
【図9】本発明に係る導光板用配光パターンの設計方法における格子点算出工程の一実施形態を示す図である。
【図10】本発明に係る導光板用配光パターンの設計方法における間引数設定工程及び配置工程の一実施形態を示す図である。
【図11】導光板の製造方法の一実施形態を示す斜視図である。
【図12】従来の印刷方法を示す模式図である。
【図13】本実施形態の印刷方法を示す模式図である。
【図14】本発明に係る導光板の変形例を示す図である。
【図15】本発明に係る一実施例の導光板の配光パターンの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0027】
図1は、本発明に係る導光板の一実施形態を備える透過型画像表示装置を示す断面図である。図1に示す透過型画像表示装置100は、面光源装置20と、透過型画像表示部30とから主として構成される。面光源装置20は、導光板基材11を有する導光板1と、導光板1の側方に設けられており導光板1に光を供給する光源3とを備えるエッジライト型面光源装置である。
【0028】
導光板基材11は略直方体形状を呈しており、出射面S1と、出射面S1の反対側の背面S2と、出射面S1及び背面S2に交差する4つの端面S31〜S34とを有する。本実施形態において、4つの端面S31〜S34は、出射面S1及び背面S2に略直交する。
【0029】
導光板基材11は、透光性材料からなり、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル樹脂シート、ポリスチレンシート又はポリカーボネート系樹脂シートであることが好ましく、これらのなかでも、ポリメチルメタクリレート樹脂シート(PMMA樹脂シート)が好ましい。導光板基材11は拡散粒子を含んでいてもよい。導光板基材11の反射ドット12が形成される表面(背面S2)と反対側の表面(出射面S1)は、本実施形態のように平坦面であってもよいが、凹凸形状を有していてもよい。なお、導光板基材11の厚みは1.0mm以上4.5mm以下であることが好ましい。
【0030】
導光板基材11の背面S2は、背面S2のほぼ全面に撥液処理が施された面であってもよい。背面S2に施す撥液処理は、背面S2に水滴を滴下した際の接触角が80度〜130度となるような撥液処理であり、好ましくは接触角が85度〜120度、より好ましくは接触角が90度〜110度となるような撥液処理である。本実施形態において、接触角とは、静的接触角である。
【0031】
この導光板基材11の背面S2側には複数の反射ドット12が形成されている。すなわち、導光板1は、背面S2側に設けられた複数の反射ドット12を更に有する。各反射ドット12の最大厚さは、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。
【0032】
複数の反射ドット12は、図2に示すように、背面S2上に互いに離間して配置されている。図2は、導光板を背面側からみた場合の平面図である。図2では、説明の便宜のため、光源3も一緒に示している。図2に示すように、反射ドット12は、光源3に近い入光部側では小さく、光源3から離れるに従って大きくなる。反射ドット12は、背面S2の全面にわたって規則的に二次元配列された格子点に形成されているので、反射ドット12の被覆率は、光源3に近い入光部側では低く、光源3から離れるに従って高くなる。反射ドット12同士は連結しないことが好ましいが、実際には連結してしまうこともある。図2では、反射ドット12の大きさや個数などは説明の便宜のために変更されており、後述するように、反射ドット12の個数及び配置パターンは、均一な面状の光が効率的に出射面S1から出射されるように調整される。
【0033】
図3は、複数の反射ドット12による配光パターンを詳細に示す図である。図3に示すように、本実施形態では、導光板基材11の背面S2を7×9個の領域A1,1〜A7,9に分割されており、個々の領域Am,nごとに反射ドット12の大きさ等が設計されている(mは1以上7以下、nは1以上9以下)。個々の領域Am,nでは、複数の光反射ドット12が、印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された格子点上に形成され、複数の光反射ドット12における一部の光反射ドットが間引かれている。複数の光反射ドット12の間引き率は、格子点の数の1%〜30%に設定されている。
【0034】
図1及び図2に戻り、光源3は、互いに対向する一対の端面S31,S32の側方に配置される。光源3は、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)等の線状光源であってもよいが、LED等の点状光源であることが好ましい。この場合、図2に示すように、透光性樹脂シート11の例えば矩形の背面S2を構成する4辺のうち互いに対向する2辺に沿って、複数の点状光源が配列される。後述のインクジェットインクにより形成される反射ドット12とLEDとを組み合わせることが、自然な色調の光を得るために特に有利である。
【0035】
図1に示すように、透過型画像表示部30は、導光板1の出射面S1側において導光板1と対向配置されている。透過型画像表示部30は、例えば、液晶セルを有する液晶表示部である。
【0036】
上記構成において、光源3から出力された光は、端面S31,S32から導光板基材11に入射する。導光板基材11に入射した光は、反射ドット12において乱反射することにより、主として出射面S1から出射される。出射面S1から出射した光は透過型画像表示部30に供給される。均一な面状の光が効率的に出射面S1から出射されるように、反射ドット12の個数及び配置パターンは調整されている。
【0037】
次に、導光板1の配光パターンの設計方法について説明する。
【0038】
まず、図4に示すように、例えば導光板基材11の背面S2を7×9個の領域A1,1〜A7,9に分割し、個々の領域Am,nごとに被覆率を設定する(mは1以上7以下、nは1以上9以下)。具体的には、均一な面状の光が効率的に出射面から出射されるように、被覆率を設定する(被覆率設定工程)。
【0039】
次に、図5に示すように、個々の領域Am,nごとに、光反射ドットの印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された格子点Pを設定する。具体的には、互いに平行な第1の直線群L1と、互いに平行な第2の直線群L2との交点を格子点Pとする。なお、図5では、第1の直線群L1と第2の直線群L2とが直交している(格子点設定工程)。
【0040】
第1の直線群L1と第2の直線群L2とは、図6〜図8に示すように、直交せずともよい。第1の直線群L1と第2の直線群L2との交差角度θは、30度〜150度、好ましくは60度〜120度である。第1の直線群L1と第2の直線群L2との交差角度θを30度〜150度とすることにより、光反射ドット同士を離間して配置することができ、光反射ドットによる配光パターンをより高い被覆率で印刷することができる。その結果、面光源装置の出射光の輝度を高めることができる。
【0041】
また、第1の直線群L1及び第2の直線群L2における各直線間の距離は、40μm〜200μm、好ましくは50μm〜180μm、更に好ましくは60μm〜120μmである。各直線間の距離を40μm〜200μmとすることにより、光反射ドット同士を離間して配置することができ、光反射ドットによる配光パターンをより高い被覆率で印刷することができる。その結果、面光源装置の出射光の輝度を高めることができる。
【0042】
次に、図9に示すように、個々の領域Am,nごとに、設定した格子点Pの数を算出する。本実施形態では、格子点Pの数は5×5個である(格子点算出工程)。
【0043】
次に、図10に示すように、個々の領域Am,nごとに、設定した被覆率と格子点Pの数とに基づいて、格子点P上に形成する光反射ドット12の大きさ、及び、光反射ドットの間引き数(すなわち、光反射ドット12の数)を求める(間引数設定工程)。
【0044】
次に、個々の領域Am,nごとに、間引数設定工程で得られた結果に基づいて、複数の光反射ドット12における一部の光反射ドットが間引かれるように、格子点P上に複数の光反射ドット12を配置する(配置工程)。
【0045】
次に、この導光板1の配光パターンの設計方法によって設計された配光パターンを用いて、導光板1を製造する方法について説明する。
【0046】
図11に示す導光板1の製造装置200は、導光板基材11を搬送する搬送手段40と、インクジェットヘッド部5と、UVランプ7と、検査装置9とから構成される。インクジェットヘッド部5、UVランプ7及び検査装置9は、導光板基材11の移動方向Aにおいて上流側からこの順に配置される。
【0047】
導光板基材11は、搬送手段40によって、方向Aに沿って連続的又は間欠的に搬送される。導光板基材11は、インクジェットヘッド部5の上流側に配置される除電装置(図示せず)により除電されてから、インクジェットヘッド部5に搬送されることが好ましい。除電は通常、導光板基材11の帯電量が±300V以内となるように行われる。導光板基材11は、製造される導光板のサイズに合わせて予め裁断されていてもよいし、長尺の導光板基材11上に反射ドット12を形成し、その後導光板基材11を裁断してもよい。本実施形態における搬送手段40はテーブルシャトルであるが、搬送手段はこれに限られるものではなく、例えばベルトコンベア、コロ、又はエア浮上移送であってもよい。
【0048】
導光板基材11の表面S0に、支持部41に支持されたインクジェットヘッド部5により液滴状のインクジェットインクがドット状にパターン印刷される。このとき、パターン印刷は、表面S0に滴下する液滴状のインクジェットインクが互いに離間するように行う。
【0049】
インクジェットヘッド部5は、導光板基材11の表面S0における反射ドット12が形成される領域の幅方向(Aに対して垂直な方向)全体にわたって、導光板基材11の表面S0(背面S2)と対向して配列固定された1列又は2列以上の複数のノズルを有している。これら複数のノズルからインクジェット方式により吐出された液滴状のインクが、導光板基材11の幅方向全体において同時に一括して印刷される。好ましくは、導光板基材11を一定の速度で連続的に移動させながら、インクが印刷される。或いは、導光板基材11を停止した状態でインクを印刷することと、導光板基材11を次の印刷位置まで移動させてから停止することとを繰り返して、複数列のドットから構成されるパターンでインクを効率的に印刷することもできる。
【0050】
導光板基材11の移動速度は、インクが適切に印刷されるように調整される。本実施形態の場合、図12及び図13に示すように、インクジェットヘッド部5は、それぞれ複数のノズル51を有する複数のインクジェットヘッド(ユニット)5a〜5cから構成される。これら複数のインクジェットヘッド5a〜5cは、導光板基材11が搬送される方向Aに直交する方向に配列され、搬送方向Aにおいて互いの端部が重なるように固定部材52(図11参照)を介して連結されている。
【0051】
本実施形態の場合、インクジェットヘッド部5の複数のノズルを固定した状態で、インクを導光板基材11の幅方向全体にわたって一括して印刷することができる。これにより、可動式のノズルを導光板基材11の幅方向に沿って移動させながらインクを順次印刷する場合と比較して、導光板1の生産性が飛躍的に向上する。
【0052】
特に、導光板基材11の短辺の長さが200mm以上1000mm以下であるような大型の導光板1を製造する場合、本実施形態の方法による生産性向上の効果が大きい。さらに、インクジェット法によれば、例えば最大径が100μm以下であるような微小な反射ドット12であっても、容易にかつ正確に形成することができる。導光板基材11が薄い場合、出射面S1側から反射ドット12が透けて見える可能性があるが、反射ドット12を小さくすることによりこれを防ぐことができる。
【0053】
インクジェットヘッド部5のノズルは、導管55を介してインク供給ユニット50と連結されている。インク供給ユニット50は、例えば、インクが収容されたインクタンクと、インクを送り出すためのポンプとを有している。複数の導管55が単一のインクタンクに連結されていてもよいし、複数のインクタンクにそれぞれ連結されていてもよい。
【0054】
反射ドット12を形成するためにインクジェット印刷に用いられるインクジェットインクは、顔料と、光重合性成分と、光重合開始剤とを含有する紫外線硬化型のインクであってもよいし、水系インクや溶剤系インク等であってもよい。なお、インクジェットインクには、顔料が必ずしも含まれていなくともよい。
【0055】
顔料は、好ましくは炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子及び二酸化チタン粒子の少なくとも何れか一つである。炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子及び二酸化チタン粒子それぞれの累積50%粒子径D50は、50〜3000nm、より好ましくは、100〜1500nm、更に好ましくは300〜600nmである。累積50%粒子径D50が50〜3000nmの範囲内にある炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、二酸化チタン粒子は、市販品から粒度分布に基づいて適宜選択することにより入手が可能である。顔料のインクにおける含有割合は、通常、インクの全体質量を基準として0.5〜15.0質量%程度である。炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子及び二酸化チタン粒子の少なくとも一つである顔料を利用したインクは、無機物を利用したインクである。このような無機物を利用したインクの保存安定性、すなわち、無機顔料沈降性を考慮した場合、3つの粒子のうち一番比重の小さい炭酸カルシウム粒子を顔料として利用することがインクとしてより好ましい。
【0056】
50±10℃におけるインクジェットインクの粘度は、好ましくは5.0〜15.0mPa・s、より好ましくは8.0〜12.0mPa・sである。インクジェットインクの粘度は、例えば、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量及び/又は含有割合により調整することができる。脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量及び含有割合が大きくなると、インクの粘度が大きくなる傾向がある。
【0057】
25.0℃におけるインクジェットインクの表面張力は、好ましくは25.0〜45.0mJ/m2、より好ましくは25.0〜37.0mJ/m2である。インクジェットインクの表面張力は、例えば、シリコン系及びフッ素系等の界面活性剤をインクに配合することにより調整することができる。
【0058】
印刷されたインクは、支持部42に支持されたUVランプ7から照射される紫外線により、領域70において硬化される。インクを印刷したのち紫外線を照射するまでの時間は通常5秒〜120秒である。これにより、硬化したインクからなる反射ドット12が形成される。
【0059】
その後、形成された反射ドット12の状態を、支持部43に支持された検査装置9によって検査する工程を経て、導光板1が得られる。導光板1は必要により所望のサイズに裁断される。本実施形態のように、インクジェットヘッド部の下流側に設けられた検査装置により導光板が連続的に検査される必要は必ずしもなく、別途準備された検査装置によりオフラインで導光板を検査することもできる。あるいは、検査装置による導光板の検査が省略されることもあり得る。
【0060】
通常、反射ドット12となるべきインクの印刷パターンは、均一な面状の光が効率的に出射面S1から出射されるような所望のパターンに設計される。この場合、複数の反射ドット12の配置パターンがほぼ所望のパターンになることから、光源3から透光性樹脂シート11に供給される光を光出射面S1から効率的に取り出すことができる。その結果、導光板1の光出射面S1から光をより高い輝度で出射可能である。また、上記のように反射ドット12の配置パターンが所望のパターンであることから、光出射面S1からほぼ均一に光を出射可能である。
【0061】
面光源装置20は、導光板1を備えているので、光をより高い輝度で出射できる。また、透過型画像表示装置100は、面光源装置20から出射されるより輝度の高い光で照明されるので、コントラストがよりはっきり表示できるといった表示品質の良い画像を表示することが可能である。
【0062】
ここで、図12に示すように、インクジェットヘッド(ユニット)5a〜5cを複数配列させて印刷すると、その取り付け精度及び位置調整精度に起因して、インクジェットヘッド(ユニット)5a〜5c同士の連結部分Cに線状の輝度の不均一(スジムラ)が発生してしまう。
【0063】
しかしながら、この第1の実施形態の導光板1によれば、図13に示すように、規則的に二次元配列された複数の光反射ドット12における一部の光反射ドットが間引かれているので、インクジェットヘッド(ユニット)5a〜5c同士の連結部分Cにおける線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0064】
また、第1の実施形態の導光板1によれば、光反射ドット12の間引き率が1%〜30%と比較的小さいので、光源に近い入光部側のように被覆率が低い領域において、輝度の均一性を損なうことなく、インクジェットヘッド(ユニット)5a〜5c同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0065】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットを不規則に間引いた配光パターンを例示したが、複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットを規則的に間引いた配光パターンであってもよい。
【0066】
また、本実施形態では、1種類の大きさを有する光反射ドット12による配光パターンを例示したが、図14に示すように、2種類の大きさを有する光反射ドット12a,12bを不規則な順序で配置してもよいし、更に、3種類以上の大きさを有する光反射ドットを不規則な順序で配置してもよい。
【0067】
このように、2種類以上の大きさを有する光反射ドットを不規則な順序で配置すると、光反射ドットによる階調変化を小さくすることができる。その結果、光源に近い入光部側のように配光パターンの被覆率が低い領域において、輝度の不均一を低減することができる。特に、複数の光反射ドットによる隠蔽率が50%以下である個々の領域において効果がある。
【0068】
また、本実施形態では、導光板基材11における配光パターンの印刷面を7×9個の領域に分割する一例を示したが、導光板基材11の印刷面は、任意のM×N個の領域A1,1〜AM,N(M、Nは2以上の任意の整数)分割することが可能である。
【0069】
また、本実施形態では、個々の領域Am,nにおいて、印刷目標のための格子点Pが5×5個である一例を示したが、格子点Pは任意の数に設定することが可能である。
【0070】
また、本実施形態では、互いに対向する端面S31,S32の側方に光源3をそれぞれ配置した場合を例示した。しかしながら、光源3は、透光性樹脂シート11の光出射面S1(又は背面S2)と交差する少なくとも一つの端面の側方に配置されていればよい。
【0071】
また、本実施形態では、インクジェット印刷を例示したが、本発明の特徴は、レーザ印刷等、複数のヘッドを連結配列して印刷を行うもの全てに適用可能である。
【実施例1】
【0072】
本発明の実施形態に係る導光板1を実施例として試作し、比較例の導光板との対比評価を行った。実施例及び比較例の導光板は以下の通りである。
(実施例1)
【0073】
600mm×345mmのPMMA樹脂シートを透光性樹脂シートとして準備し、顔料として炭酸カルシウムを含有する紫外線硬化型インクジェットインクを用いて導光板を製造した。
【0074】
具体的には、まず、導光板基材11の背面S2を複数の領域に分割し、個々の領域(422.5μm×422.5μm)ごとに被覆率を48%に設定した。次に、個々の領域ごとに、光反射ドットの印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された格子点を5×5個に設定した。次に、個々の領域ごとに、被覆率48%、格子点25個、及び、光反射ドットの間引き率4%に基づいて、格子点上に形成する光反射ドットの大きさ及び数を求めた。次に、個々の領域ごとに、求めた光反射ドットの大きさ及び数に基づいて、複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが不規則に間引かれるように、格子点上に複数の光反射ドットを配置した。このようにして、被覆率48%一様、間引き率4%、及び、不規則的に間引きされた配光パターンを得た。
【0075】
次に、PMMA樹脂シートからマスキングフィルムを剥離し、剥離した面に、得られた配光パターンを、紫外線硬化型インクジェットインクによってインクジェット印刷した。インクジェットヘッドとしては、ノズル間距離d1が約84.5μmのものを使用した(図13参照)。また、このインクジェットヘッドを複数連結配列する際の取り付け精度及び位置調整精度が約15μmであることから、インクジェットヘッド同士の連結部分におけるノズル間距離d2を約99.5μmとした。次に、印刷したインクジェットインクに紫外線を照射し、インクを光硬化させた。具体的には、紫外線硬化型インクジェットインクをPMMA樹脂シートにパターン印刷した後、6秒後に紫外線を照射してインクを光硬化させた。その結果、被覆率48%一様、間引き率4%、及び、不規則的に間引きされた配光パターンが形成された実施例1の導光板を得た。
(実施例2)
【0076】
間引き率を10%として配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例1と同様にして実施例2の導光板を得た。
(実施例3)
【0077】
間引き率を20%として配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例1と同様にして実施例3の導光板を得た。
(実施例4)
【0078】
間引き率を30%として配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例1と同様にして実施例4の導光板を得た。
(実施例5)
【0079】
間引き率を50%として配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例1と同様にして実施例5の導光板を得た。
(実施例6)
【0080】
複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが規則的に間引かれるように配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例3と同様にして実施例6の導光板を得た。具体的には、図15(a)に示すように、個々の領域ごとに、中央付近を間引くように配光パターンを設計及び形成した。
(実施例7)
【0081】
同様に、複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが規則的に間引かれるように配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例3と同様にして実施例7の導光板を得た。具体的には、図15(b)に示すように、個々の領域ごとに、中央付近の一列であって、インクジェットヘッドの印刷方向Aの一列を間引くように配光パターンを設計及び形成した。
(実施例8)
【0082】
複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが規則的に間引かれるように配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例3と同様にして実施例8の導光板を得た。具体的には、図15(c)に示すように、個々の領域ごとに、中央付近及び四隅を間引くように配光パターンを設計及び形成した。
(比較例1)
【0083】
間引き率を0%として、すなわち、光反射ドットを間引かないように配光パターンを設計及び形成した点以外は実施例1と同様にして比較例1の導光板を得た。
【0084】
本評価では、光源としてLEDを用いるテレビユニットにおいて、拡散フィルム、プリズムフィルム、DBEF、及び、導光板に代えて、実施例1〜8及び比較例1の導光板をそれぞれ組み込んだ。そして、これらのテレビユニットを点灯させ、スジムラ(線状の輝度の不均一)を目視評価した(拡散フィルム、プリズムフィルム、及び、DBEFのフィルム無し)。また、拡散フィルム、プリズムフィルム、及び、DBEFを用いたときのスジムラも目視評価した(フィルム有り)。また、拡散フィルム、プリズムフィルム、及び、DBEFを用いたときの入光部の明暗さを目視評価した。これらの評価結果を表1に示す。
【表1】
【0085】
この評価結果によれば、配光パターンにおける複数の光反射ドットのうちの一部を間引くことにより、インクジェットヘッド同士の連結部分におけるスジムラ(線状の輝度の不均一)を低減できることがわかった。なお、この評価結果では、光反射ドットを規則的に間引いた実施例6〜8よりも、光反射ドットを不規則的に間引いた実施例1〜5の方がスジムラの低減度合いが大きかった。
【0086】
また、実施例5によれば、光反射ドットの間引き率を50%と大きくすると、光源に近い入光部側のように配光パターンの被覆率が低い領域において輝度の不均一が目立ってしまうことがわかった。
【符号の説明】
【0087】
1…導光板、3…光源、11…導光板基材、12…光反射ドット、20…面光源装置、30…透過型画像表示部、100…透過型画像表示装置(液晶表示装置)、S0…表面(撥液処理された一面)、S1…出射面、S2…背面(撥液処理された一面)、S31〜S34…端面、A1,1〜A7,9…個々の領域、格子点P。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板基材の少なくとも一方の面に光反射ドットが形成された導光板において、
前記導光板基材の少なくとも一方の面を複数の領域に分割してなる個々の領域には、印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された当該格子点上に複数の光反射ドットが形成されており、
前記個々の領域では、前記複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが間引かれている、
導光板。
【請求項2】
前記複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットの間引き率は、前記格子点の数の1%〜30%である、請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記複数の光反射ドットは、大きさが2種類以上の光反射ドットを含み、
前記2種類以上の光反射ドットは、不規則な順序で配置されている、
請求項1又は2に記載の導光板。
【請求項4】
導光板基材の少なくとも一方の面に形成される光反射ドットからなる配光パターンの設計方法において、
前記導光板基材の少なくとも一方の面を複数の領域に分割し、分割してなる個々の領域ごとに被覆率を設定する被覆率設定工程と、
前記個々の領域ごとに、印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された当該格子点を設定する格子点設定工程と、
前記個々の領域ごとに、前記格子点の数を求める格子点算出工程と、
前記個々の領域ごとに、前記被覆率と前記格子点の数とに基づいて、前記格子点上に形成する複数の光反射ドットの大きさ、及び、前記複数の光反射ドットの間引き数を設定する間引数設定工程と、
前記間引数設定工程で得られた結果に基づいて、前記複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが間引かれるように、格子点上に複数の光反射ドットを配置する配置工程と、
を含む、導光板用配光パターンの設計方法。
【請求項5】
前記間引数設定工程では、前記複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットの間引き率が、前記格子点の数の1%〜30%となるように、前記複数の光反射ドットの間引き数を設定する、請求項4に記載の導光板用配光パターンの設計方法。
【請求項6】
前記間引数設定工程では、前記複数の光反射ドットは、大きさが2種類以上の光反射ドットを含むように、前記格子点上に形成する複数の光反射ドットの大きさを設定し、
前記配置工程では、前記2種類以上の光反射ドットは、不規則な順序で配置されるように、複数の光反射ドットを配置する、
請求項4又は5に記載の導光板用配光パターンの設計方法。
【請求項7】
請求項4〜6の何れか1項に記載の導光板用配光パターンの設計方法によって設計された配光パターンを備える導光板。
【請求項8】
印刷を行うための印刷部位が複数配列されているユニットを2つ以上備え、前記印刷部位の配列方向に前記ユニットが並んでいる印刷装置を用いて、導光板基材の少なくとも一方の面に光反射ドットからなる配光パターンが形成された導光板を製造する方法において、
請求項4〜6の何れか1項に記載の導光板用配光パターンの設計方法によって前記配光パターンを設計し、
前記導光板基材に対して前記ユニットを相対移動しながら、前記ユニットの印刷部位により前記導光板基材に前記配光パターンを印刷する、
導光板の製造方法。
【請求項9】
前記印刷部位が、ノズルであり、
前記ユニットが、ノズルを複数配列したインクジェットヘッドであり、
前記光反射ドットは、導光板用紫外線硬化型インクジェットインクである、
請求項8に記載の導光板の製造方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の導光板の製造方法によって製造された導光板。
【請求項11】
請求項1〜3、請求項7及び請求項10の何れか1項に記載の導光板と、
前記導光板の側面に光を供給する光源と、
を備える、エッジライト型の面光源装置。
【請求項12】
請求項11に記載の面光源装置と、
前記面光源装置の出射面と対向して配置された透過型画像表示部と、
を備える透過型画像表示装置。
【請求項1】
導光板基材の少なくとも一方の面に光反射ドットが形成された導光板において、
前記導光板基材の少なくとも一方の面を複数の領域に分割してなる個々の領域には、印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された当該格子点上に複数の光反射ドットが形成されており、
前記個々の領域では、前記複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが間引かれている、
導光板。
【請求項2】
前記複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットの間引き率は、前記格子点の数の1%〜30%である、請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記複数の光反射ドットは、大きさが2種類以上の光反射ドットを含み、
前記2種類以上の光反射ドットは、不規則な順序で配置されている、
請求項1又は2に記載の導光板。
【請求項4】
導光板基材の少なくとも一方の面に形成される光反射ドットからなる配光パターンの設計方法において、
前記導光板基材の少なくとも一方の面を複数の領域に分割し、分割してなる個々の領域ごとに被覆率を設定する被覆率設定工程と、
前記個々の領域ごとに、印刷目標のための格子点であって、規則的に二次元配列された当該格子点を設定する格子点設定工程と、
前記個々の領域ごとに、前記格子点の数を求める格子点算出工程と、
前記個々の領域ごとに、前記被覆率と前記格子点の数とに基づいて、前記格子点上に形成する複数の光反射ドットの大きさ、及び、前記複数の光反射ドットの間引き数を設定する間引数設定工程と、
前記間引数設定工程で得られた結果に基づいて、前記複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットが間引かれるように、格子点上に複数の光反射ドットを配置する配置工程と、
を含む、導光板用配光パターンの設計方法。
【請求項5】
前記間引数設定工程では、前記複数の光反射ドットにおける一部の光反射ドットの間引き率が、前記格子点の数の1%〜30%となるように、前記複数の光反射ドットの間引き数を設定する、請求項4に記載の導光板用配光パターンの設計方法。
【請求項6】
前記間引数設定工程では、前記複数の光反射ドットは、大きさが2種類以上の光反射ドットを含むように、前記格子点上に形成する複数の光反射ドットの大きさを設定し、
前記配置工程では、前記2種類以上の光反射ドットは、不規則な順序で配置されるように、複数の光反射ドットを配置する、
請求項4又は5に記載の導光板用配光パターンの設計方法。
【請求項7】
請求項4〜6の何れか1項に記載の導光板用配光パターンの設計方法によって設計された配光パターンを備える導光板。
【請求項8】
印刷を行うための印刷部位が複数配列されているユニットを2つ以上備え、前記印刷部位の配列方向に前記ユニットが並んでいる印刷装置を用いて、導光板基材の少なくとも一方の面に光反射ドットからなる配光パターンが形成された導光板を製造する方法において、
請求項4〜6の何れか1項に記載の導光板用配光パターンの設計方法によって前記配光パターンを設計し、
前記導光板基材に対して前記ユニットを相対移動しながら、前記ユニットの印刷部位により前記導光板基材に前記配光パターンを印刷する、
導光板の製造方法。
【請求項9】
前記印刷部位が、ノズルであり、
前記ユニットが、ノズルを複数配列したインクジェットヘッドであり、
前記光反射ドットは、導光板用紫外線硬化型インクジェットインクである、
請求項8に記載の導光板の製造方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の導光板の製造方法によって製造された導光板。
【請求項11】
請求項1〜3、請求項7及び請求項10の何れか1項に記載の導光板と、
前記導光板の側面に光を供給する光源と、
を備える、エッジライト型の面光源装置。
【請求項12】
請求項11に記載の面光源装置と、
前記面光源装置の出射面と対向して配置された透過型画像表示部と、
を備える透過型画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−256594(P2012−256594A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−108898(P2012−108898)
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]