説明

導光板の製造方法

【課題】紫外線硬化型インクのドット印刷により反射ドットが形成された樹脂製の導光板であって、紫外線照射による樹脂の劣化が抑制された導光板の製造方法を提供すること。
【解決手段】光を出射する出射面12b及び出射面12bと反対側の背面12cを有して、樹脂を含む導光板基材部12と、導光板基材部12の背面12c側に設けられており出射面12b側に光を反射する反射ドット24と、を備える導光板11の製造方法を提供する。本製造方法は、背面12cに紫外線硬化型インクによるドット印刷を施すことによってインクドット24Aを形成する工程と、インクドット24Aに紫外線ランプ52からの紫外線を照射してインクドット24Aを硬化することによって反射ドット24を形成する工程と、を含む。紫外線は、波長200〜380nmにおける紫外線強度に対する波長200〜280nmにおける紫外線強度の比が8%以下の紫外線である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板の製造方法、導光板、面光源装置及び透過型画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の透過型画像表示装置は、一般に、導光板により光を供給するエッジライト方式の面光源装置をバックライトとして有している。
【0003】
エッジライト方式の面光源装置の場合、導光板の側面から入射した光が、導光板の背面側に設けられた拡散ドット等の反射ドットの作用により反射し、臨界角度以上の角度成分の光が導光板の出射面から出射する。
【0004】
反射ドットを形成する方法として、インクジェットインクを用いたインクジェット印刷の適用が提案されている。そして、紫外線硬化型インクを用いた導光板用途のインクジェット印刷のプロセスにおいて、樹脂製の導光板基材部に射出された紫外線硬化型インクは通常のメタルハライドランプ等により紫外線を照射することによって硬化させている(特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4464578号
【特許文献2】特開2007−206694号公報
【特許文献3】特許第4604696号
【特許文献4】特開2001−174609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の方法で製造された導光板では、メタルハライドランプ等の照射によって導光板基材部に含まれる樹脂が劣化し、導光板基材部が黄色く変色(黄変)していた。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、紫外線硬化型インクのドット印刷により反射ドットが形成された樹脂製の導光板であって、紫外線照射による樹脂の劣化が抑制された導光板の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意研究を行った結果、波長200〜280nmの紫外線が樹脂の劣化に影響を与える一方で、紫外線硬化型インクの硬化反応には影響しないことを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、光を出射する出射面及び出射面と反対側の背面を有しており、樹脂を含む導光板基材部と、導光板基材部の背面側に設けられており出射面側に光を反射する反射ドットと、を備える導光板の製造方法であって、背面に紫外線硬化型インクによるドット印刷を施すことによって、インクドットを背面に形成する工程と、インクドットに紫外線ランプからの紫外線を照射してインクドットを硬化することによって、反射ドットを形成する工程と、を含み、紫外線は、波長200〜380nmにおける紫外線強度に対する波長200〜280nmにおける紫外線強度の比が8%以下の紫外線である、導光板の製造方法を提供する。
【0010】
本発明で用いられる紫外線では、波長200〜280nmの紫外線強度が、波長200〜380nmの紫外線強度に対して低く抑えられていることから、紫外線照射によって樹脂の劣化を抑制しながらインクドットを硬化させて反射ドットとし得る。その結果、黄色味が抑制され、紫外線硬化型インクのドット印刷により反射ドットが形成された樹脂製の導光板の製造が可能になる。
【0011】
本発明は、上記製造方法によって製造された導光板を提供する。上記製造方法によって製造された導光板は、黄色味が抑制されたものであるため、より自然の色合いに近い画像表示が可能になる。
【0012】
本発明の他の側面は、上記導光板と、導光板基材部の側面に光を供給する光源部と、を備える面光源装置を提供する。
【0013】
本発明の他の側面は、上記導光板と、導光板基材部の側面に光を供給する光源部と、導光板基材部の出射面側に設けられ、出射面から出射される光で照明される透過型画像表示部と、を備える透過型画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、紫外線硬化型インクのドット印刷により反射ドットが形成された樹脂製の導光板であって、紫外線照射による樹脂の劣化が抑制された導光板の製造方法の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】面光源装置を備える透過型画像表示装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】導光板の製造方法の一工程を示す模式図である。
【図3】導光板の製造方法の一工程を示す模式図である。
【図4】導光板の製造方法の一工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0017】
(導光板を備える透過型画像表示装置)
図1の透過型画像表示装置10は、導光板11を有する面光源装置22と、導光板11が有する導光板基材部12の出射面12b側に設けられた透過型画像表示部18とを有する。以下の説明では、図1に示すように、面光源装置22と透過型画像表示部18の配列方向をz方向と称し、z方向に直交する2方向であって、互いに直交する2方向をそれぞれx方向及びy方向と称す。
【0018】
透過型画像表示部18は、面光源装置22から出射される光によって画像を表示する。透過型画像表示部18の例は液晶表示パネルが挙げられる。この場合、透過型画像表示装置10は液晶表示装置(又は液晶テレビ)である。
【0019】
透過型画像表示装置10は、導光板11と透過型画像表示部18との間に配置された複数枚の光学フィルム20を更に備えてもよい。光学フィルム20の例は、拡散フィルム、プリズムフィルム及び輝度向上フィルムである。
【0020】
面光源装置22は、板状の導光板基材部12を有する導光板11と、導光板基材部12の側面12aの近傍に配置された光源部14とを備えるエッジライト方式の面光源装置22である。面光源装置22は、導光板基材部12の背面12c側に配置された反射部材16を更に備えてもよい。反射部材16の例は、反射シートである。また、反射部材16は、導光板11を収容する面光源装置22の筐体底面であって、鏡面加工を施された底面でもよい。反射部材16を備えることで、導光板11から反射部材16側に出射された光を導光板11に戻すことができる。その結果、光源部14からの光をより有効に利用できる。
【0021】
光源部14は、入射面である導光板基材部12の側面12aのy方向に沿って設けられた光源14Aを有する。光源14Aは、発光ダイオード、ハロゲンランプ及びタングステンランプのような点光源であってもよいし、蛍光管のような線状光源であってもよい。赤色光、緑色光及び青色光を発光するRGBタイプの発光ダイオードが、光源14Aとして好適に用いられる。
【0022】
光源14Aと導光板基材部12の側面(入射面)12aとの距離は、通常1mm〜15mmであり、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。光源14Aが点光源である場合、側面12aのy方向に沿って複数の点光源が直線状に配列される。隣り合う点光源同士の間隔は、通常1mm〜25mmであり、省電力化の観点から、点光源の数を減らせるように好ましくは10mm以上である。
【0023】
光源部14は、導光板11と反対側に設けられた、光を反射させるリフレクター14Bを更に有していてもよい。リフレクター14Bを有することにより、光源14Aからの光が効率良く導光板基材部12の側面12aに入射され得る。リフレクター14Bは、例えば、白色樹脂板又は白色樹脂フィルムから形成される。
【0024】
図1に示す面光源装置22においては、導光板基材部12の4つの側面のうち1つの側面のみに光源部14が設けられている。しかしながら、光源部14は、導光板基材部12の側方に設けられていればよい。例えば、導光板基材部12の対向する一対の側面それぞれに対して光源部14が設けられてもよいし、出射面12b及び背面12cと交差する(図1では直交する)4つの側面全てに対して光源部14が設けられてもよい。
【0025】
導光板11は、導光板基材部12と、導光板基材部12の背面12cに設けられた反射ドット24を有する。
【0026】
導光板基材部12は、z方向から見た場合の平面視形状が略矩形又は正方形の板状体である。導光板基材部12は、光を出射する出射面12b及び出射面12bと反対側の背面12cを有する。
【0027】
導光板基材部12は、樹脂で構成される。樹脂の例は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂である。
【0028】
導光板基材部12は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、光安定剤、ブルーイング剤、蛍光増白剤及び加工安定剤等の各種添加剤、並びに、光拡散粒子を含んでいてもよい。
【0029】
導光板基材部12の厚さは、好ましくは1mm〜30mm、より好ましくは1mm〜10mmである。導光板基材部12の側面12aは、研磨処理等により平滑化されていることが好ましい。導光板基材部12は、樹脂板の成形方法として通常採用されている方法により得ることができる。例えば、導光板基材部12は、熱プレス法、溶融押出法及び射出成形法等により作製され得る。
【0030】
反射ドット24は、導光板基材部12の背面12c側に設けられ、側面12aから入射して全反射しながら進む光を背面12c側で反射、散乱又は屈折させて導光板11の透過型画像表示部18側の面に出射する向きの成分を生じさせる。その結果、出射面12bから光を取り出すことが可能になる。光の散乱は反射ドット24の表面で生じる場合もあり、反射ドット24の内部の粒子により生じる場合もある。反射ドット24は典型的には白色ドットであるが、透明ドットであってもよい。反射ドット24は、出射光が均一になるように設計されたパターンで形成される。反射ドット24は、例えば、インクジェット印刷により形成することができる。
【0031】
(導光板の製造方法)
次に本実施形態に係る導光板11の製造方法の一例について、図2〜図4を利用して説明する。本実施形態に係る導光板11の製造方法は、樹脂から導光板基材部12を製造する工程(図2参照)と、導光板基材部12の背面12cに紫外線硬化型インクによるドット印刷を施すことによって、インクドット24Aを形成する工程(図3参照)と、紫外線ランプ50からインクドット24Aへ紫外線を照射することによって、インクドット24Aを硬化させて反射ドット24を形成する工程(図4参照)と、を含む。以下、各工程について詳細に説明する。なお、温度、材料等を例示して具体的に説明するが、本実施形態は例示される製造条件に限定されるものではない。
【0032】
(導光板基材部を製造する工程)
図2は、樹脂から導光板基材部12を製造する工程を示す模式図である。まず、製造装置30の構成について説明する。図2に示す製造装置30は、マルチマニホールドダイ33に接続される第1押出機31と、同じくマルチマニホールドダイ33に接続される第2押出機32とを備える。また、マルチマニホールドダイ33から押し出される樹脂シートを成形するために、製造装置30は、第一押圧ロール34と、第二押圧ロール35と、第三押圧ロール36とを備える。第一押圧ロール34、第二押圧ロール35及び第三押圧ロール36は、各ロールの軸が略平行に配置されている。第一押圧ロール34、第二押圧ロール35及び第三押圧ロール36の表面は鏡面である。
【0033】
次に、導光板基材部12の製造工程について説明する。まず、スチレン系樹脂をシリンダー内の温度が200℃〜245℃の第1押出機31で溶融混練して、マルチマニホールドダイ33に供給する。そして、マルチマニホールドダイ33によりダイ温度245℃で押出成形を行う。押出成形された樹脂を第一押圧ロール34、第二押圧ロール35、及び第三押圧ロール36で挟圧と冷却とを行うことによって、スチレン系樹脂で構成される導光板基材部12を得る。
【0034】
この製造工程では、図2に示した第一押圧ロール34、第二押圧ロール35及び第三押圧ロール36の隣り合う押圧ロール同士の間隔を調整することで導光板基材部12の厚さ等を調整し得る。このようにして得られた導光板基材部12は、所定のサイズに切断され、次のインクドット24Aを形成する工程に用いられる。
【0035】
(インクドットを形成する工程)
インクドット24Aを形成する工程では、図3に示すように、紫外線硬化型インク(以下、単にインクという場合がある)によるドット印刷を導光板基材部12の背面12cに施すことによってインクドット24Aを形成する。導光板基材部12にインクドット24Aを印刷する方法の例は、インクジェットヘッド40を走査しながら液滴状のインクを印刷するインクジェット印刷である。この場合、設計されたドットパターンを印刷データとして背面12cに印刷されたインクがインクドット24Aとなる。印刷されたインクから形成された複数のインクドット24Aは、互いに分離していてもよいし、一部が連結していてもよい。
【0036】
紫外線硬化型インクは、例えば、光重合性成分と、光重合開始剤とを含有する。
【0037】
光重合性成分は、ビニル基等の光重合性官能基を有し、好ましくはヒドロキシル基を有しない光重合性モノマー及び/又は光重合性オリゴマーから構成される。ヒドロキシル基を有しない光重合性モノマーの含有割合は、好ましくは、インクの全体質量を基準として65〜75質量%である。ヒドロキシル基を有しない光重合性オリゴマーの含有割合は、好ましくは、インクの全体質量を基準として10〜20質量%である。
【0038】
ヒドロキシル基を有しない光重合性モノマーは、例えば、1,4−ブタンジオールジアクリレート(例えば、サートマージャパン(株)製、SR213)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(例えば、サートマージャパン(株)製、SR238F)、1,3−ブチレンジアクリレート(例えば、サートマージャパン(株)製、SR212)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(例えば、新中村化学工業(株)製、A−NOD−N)、及び、プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート(例えば、サートマージャパン(株)製、SR9003)から選ばれる。
【0039】
ヒドロキシル基を有しない光重合性オリゴマーは、好ましくは、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、サートマージャパン(株)製、CN985B88、CN991)を含む。脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートは、脂肪族ポリイソシアネートと脂肪族ポリオールとから形成されるポリウレタンオリゴマー鎖と、これに結合したアクリレート基又はメタクリレート基とを有する光重合性オリゴマーである。脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートのガラス転移温度は、好ましくは40℃以上である。
【0040】
光重合開始剤は、紫外線硬化型樹脂の分野において通常用いられているものから適宜選択することができる。光重合開始剤の例は、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モンフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)等である。光重合開始剤のインクにおける含有割合は、通常、0.5〜10.0質量%程度である。
【0041】
紫外線硬化型インクは、必要に応じて、更に顔料を含有してもよい。
【0042】
顔料は、好ましくは炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子及び二酸化チタン粒子の少なくとも何れか一つである。炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子及び二酸化チタン粒子それぞれの累積50%粒子径D50は、50〜3000nm、より好ましくは、100〜1500nm、更に好ましくは300〜600nmである。累積50%粒子径D50が50〜3000nmの範囲内にある炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、二酸化チタン粒子は、市販品から粒度分布に基づいて適宜選択することにより入手が可能である。顔料のインクにおける含有割合は、通常、インクの全体質量を基準として0.5〜15.0質量%程度である。炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子及び二酸化チタン粒子の少なくとも一つである顔料を利用したインクは、無機物を利用したインクである。このような無機物を利用したインクの保存安定性、すなわち、無機顔料沈降性を考慮した場合、3つの粒子のうち一番比重の小さい炭酸カルシウム粒子を顔料として利用することがインクとしてより好ましい。
【0043】
以上、インクジェット印刷を例にインクドット24Aを形成する工程を説明したが、スクリーン印刷等の他の方法によってインクドット24Aを形成してもよい。
【0044】
(反射ドットを形成する工程)
反射ドット24を形成する工程では、図4に示すように、インクドット24Aに紫外線照射装置50からの紫外線(UV)を照射する。上述のインクドット24Aを形成する工程において導光板基材部12の背面12cに印刷されたインクドット24Aは、紫外線の照射により硬化する。これにより、硬化したインクドット24Aからなる反射ドット24が形成され、導光板11が得られる。本実施形態の場合、紫外線照射装置50を固定した状態で、インクドット24Aが背面12cに印刷された導光板基材部12を一定速度で連続的に移動させながら、紫外線をインクドット24Aに照射する。
【0045】
紫外線照射装置50は、インクドット24Aを硬化するための紫外線を出力する紫外線ランプ52と、紫外線ランプ52から出力された紫外線をインクドット24Aの側へ反射するための反射板54とを備える。
【0046】
インクドット24Aに紫外線を照射するときのランプ照度は、適宜設定が可能であるが、例えば1.0〜2.5W/cmが好ましく適用される。このときのランプ照度は、例えばEIT社製UVICURE PLUS(中心波長365nm)にて測定できる。
【0047】
インクドット24Aに紫外線を照射するときの照射時間は、適宜設定が可能であるが、例えば0.2〜5.0秒が好ましく適用される。
【0048】
インクドット24Aに紫外線を照射するときの紫外線ランプ52と導光板基材部12の背面21cとの距離(照射距離)は、適宜設定が可能であるが、例えば、使用するランプの焦点距離をf(mm)とした場合、(f−5)mm〜(f+50)mmの範囲が好ましく適用される。
【0049】
そして、インクドット24Aに照射する紫外線は、波長200〜380nmにおける紫外線強度に対する波長200〜280nmにおける紫外線強度の比(以下、単に紫外線強度比という場合がある)が8%以下の紫外線であり、好ましくは、紫外線強度比が5%以下の紫外線である。紫外線照射装置50としては、上記条件を満たす紫外線を出力可能な装置であればよい。例えば、上記条件を満たす紫外線を出力可能なランプを備えた装置でもよい。このような装置としては例えば、アイグラフィックス社製のメタルハライドランプ(オゾンレスタイプ、型番M168−L4215X)が挙げられる。また、紫外線強度比が8%より大きな紫外線を出力するランプと例えば波長200〜280nmの紫外線を吸収するフィルタとを組み合わせることによって、紫外線強度比が8%以下の紫外線を出力するような装置でもよい。紫外線強度比を上記範囲とすることで、紫外線照射による導光板基材部12の樹脂の劣化を抑えつつ、インクドット24Aの硬化反応を行うことが可能である。その結果、黄色味が抑制され、紫外線硬化型インクのドット印刷により反射ドット24が形成された樹脂製の導光板11の製造が可能になる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるもの
ではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。反射ドット24を形成する工程では、ドット24Aが背面12cに印刷された導光板基材部12を固定した状態で、紫外線照射装置50を一定速度で連続的に移動させながら、紫外線をドット24Aに照射するような構成としてもよい。
【0051】
導光板基材部12は、単層に限らず多層体であってもよい。この場合、図2に示す製造装置30の第1押出機31にて第1の樹脂を溶融混練して、マルチマニホールドダイ33に供給する。同様に第2押出機32にて第2の樹脂を溶融混練して、マルチマニホールドダイ33に供給する。そして、マルチマニホールドダイ33により共押出成形することで、多層体である導光板基材部12を得ることができる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
<実施例1>
PMMA樹脂製の導光板基材部12にインクジェット印刷によりインクドット24Aからなるドットパターンを印刷した。導光板基材部12の平面視形状は長方形であった。導光板基材部12の長辺は922mmであり、導光板基材部12の短辺は533mmであり、導光板基材部12の厚みは4mmであった。波長200〜380nmにおける紫外線強度に対する波長200〜280nmにおける紫外線強度の比(紫外線強度比)が5%である紫外線を照射することでインクドット24Aを硬化させ、上記ドットパターンで形成された複数の反射ドット24を有する導光板11を得た。印刷条件、紫外線の照射条件は、以下のとおりである。
【0054】
(紫外線の照射条件)
A)ランプの種類:アイグラフィックス社製メタルハライドランプ(オゾンレスタイプ、型番M168−L4215X)
B)ランプ照度 :1.5W/cm(中心波長365nmにて測定)
C)照射時間 :0.5秒
D)照射距離 :焦点距離(15mm)+5mm
【0055】
<実施例2>
実施例1で用いたものと同じ導光板基材部12に、ドットパターンを印刷せず、そのまま実施例1と同じ条件で紫外線照射を行った。
【0056】
<比較例1>
紫外線ランプとして、紫外線強度比が12%となる紫外線を照射する紫外線ランプを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、導光板を得た。
【0057】
(紫外線の照射条件)
A)ランプの種類: アイグラフィックス社製メタルハライドランプ(通常タイプ、型番M168−L4115X)
B)ランプ照度 :1.5W/cm(中心波長365nmにて測定)
C)照射時間 :0.5秒
D)照射距離 :焦点距離(15mm)+5mm
【0058】
<比較例2>
比較例1で用いたものと同じ導光板基材部に、ドットパターンを印刷せず、比較例1と同じ条件で紫外線照射を行った。
【0059】
<実施例1及び比較例1の評価結果>
色度の評価
SONY社製KDL−400EX700の液晶表示装置(透過型画像表示装置)の面光源装置から拡散フィルム2枚、プリズムフィルム1枚及び導光板を取り外して、光源として複数のLEDが配置されたフレームを準備した。このフレーム内部に、上記<実施例1>及び<比較例1>において作製した導光板を組み込み、さらに上述の拡散フィルム2枚及び上述のプリズムフィルム1枚を重ね、それらをフレームに固定した。この状態にてLEDを点灯し出射面から出射した光を、輝度計(KONICA MINOLTA社製、製品名、2次元色彩輝度計CA−2000)を用いて測定することによって、出射面の各位置における色度を得た。導光板の互いに対向する長辺の中心を通る直線上における各位置の色度を抽出し、抽出した各色度の算術平均値より平均色度xを求めた。表1に導光板の平均色度xの値と、導光板に紫外線照射を行ったランプの紫外線強度比を示す。
【0060】
【表1】

【0061】
実施例1の紫外線ランプを用いて硬化された反射ドット24を有する導光板11は、比較例1の紫外線ランプを用いて得られた導光板に比べ平均色度xが低下していることが分かる。これにより、面光源装置として画面の黄変が十分に抑制されていることが確認された。
【0062】
<実施例2及び比較例2の評価結果>
目視評価及び色度の評価
実施例2及び比較例2にて作製した導光板基材部において、光の入射面である導光板基材部の側面からの目視評価を行った。紫外線照射面側の表面で明らかに黄変が確認されるものを(×)、黄変が見られないものを(○)とした。また、実施例1及び比較例1における「色度の評価」と同様の手法により導光板基材部の平均色度xを求めた。結果を表2に示す。
【0063】
【表2】

【0064】
紫外線強度比が12%である紫外線を照射した比較例2の導光板基材部では、樹脂の黄変が見られたのに対し、紫外線強度比が5%である紫外線を照射した実施例2の導光板基材部では、樹脂の黄変が見られないことが分かった。
【符号の説明】
【0065】
11…導光板、12…導光板基材部、12b…出射面、12c…背面、24…反射ドット、24A…インクドット、52…紫外線ランプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する出射面及び前記出射面と反対側の背面を有しており、樹脂を含む導光板基材部と、
前記導光板基材部の背面側に設けられており前記出射面側に光を反射する反射ドットと、
を備える導光板の製造方法であって、
前記背面に紫外線硬化型インクによるドット印刷を施すことによって、インクドットを前記背面に形成する工程と、
前記インクドットに紫外線ランプからの紫外線を照射して前記インクドットを硬化することによって、前記反射ドットを形成する工程と、を含み、
前記紫外線は、波長200〜380nmにおける紫外線強度に対する波長200〜280nmにおける紫外線強度の比が8%以下の紫外線である、導光板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法によって製造された導光板。
【請求項3】
請求項2に記載の導光板と、
前記導光板基材部の側面に光を供給する光源部と、
を備える面光源装置。
【請求項4】
請求項2に記載の導光板と、
前記導光板基材部の側面に光を供給する光源部と、
前記導光板基材部の前記出射面側に設けられ、前記出射面から出射される光で照明される透過型画像表示部と、
を備える透過型画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−45723(P2013−45723A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184040(P2011−184040)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】