導光板
【課題】輝度の向上を図ることができる導光板並びにその導光板を含む面光源装置及び透過型画像表示装置を提供する。
【解決手段】導光板50は、板状の本体部51と複数のレンズ部52とを備えている。本体部51は、一方向に延在すると共に、一方向に略直交する方向に並列配置された複数の凸条部55が形成された第1の面51aと、第1の面51aとは反対側の第2の面51bと、第1及び第2の面51a,51bに交差する面であり、光が入射される入射面51c,51dとを有する。複数のレンズ部52のそれぞれは、本体部51における第2の面51bに形成されており、第2の面51bから見て第1の面51aがある側とは反対側に凸である。
【解決手段】導光板50は、板状の本体部51と複数のレンズ部52とを備えている。本体部51は、一方向に延在すると共に、一方向に略直交する方向に並列配置された複数の凸条部55が形成された第1の面51aと、第1の面51aとは反対側の第2の面51bと、第1及び第2の面51a,51bに交差する面であり、光が入射される入射面51c,51dとを有する。複数のレンズ部52のそれぞれは、本体部51における第2の面51bに形成されており、第2の面51bから見て第1の面51aがある側とは反対側に凸である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導光板、面光源装置及び透過型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の透過型画像表示装置は、一般に、液晶表示パネルといった透過型画像表示部の背面側に配置され、透過型画像表示部にバックライトを供給する面光源装置を有する。このような面光源装置としてエッジライト型の面光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
エッジライト型の面光源装置は、透光性を有する導光板と、導光板の側方に配置され、導光板の側面に光を供給するための光源とを備える。導光板の背面側には、光を反射させるための白色ドットが設けられている。この構成では、光源から出力された光は、光源と対向する導光板の側面から導光板内に入射され、導光板内を全反射しながら伝搬する。導光板の背面側には、白色ドットが複数形成されている(例えば、特許文献1参照)ので、白色ドットで反射した光は導光板の透過型画像表示部側の出射面から出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−38768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、白色ドットを有する導光板では、導光板に入射させた光が十分に出射面から出射されず、輝度の向上を十分に図ることができないことがあった。
【0006】
そこで、本発明は、輝度の向上を図ることができる導光板並びにその導光板を含む面光源装置及び透過型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る導光板は、一方向に延在すると共に、一方向に略直交する方向に並列配置された複数の凸条部が形成された第1の面と、第1の面とは反対側の第2の面と、第1及び第2の面に交差する面であり、光が入射される入射面と、を有する板状の本体部と、本体部における第2の面に形成されており、第2の面から見て第1の面がある側とは反対側に凸である複数のレンズ部と、を備えている。
【0008】
本発明に係る面光源装置は、上述の導光板と、導光板における入射面と対向して配置されており、入射面に光を供給する光源部と、を備えている。
【0009】
また、本発明に係る透過型画像表示装置は、上述の導光板と、導光板における入射面と対向して配置されており、入射面に光を供給する光源部と、導光板の第1の面側に設けられており、導光板から出射される光により照明され画像を表示する透過型画像表示部と、を備えている。
【0010】
上記構成の導光板、面光源装置及び透過型画像表示装置において、導光板の入射面から入射した光は、導光板内を全反射しながら伝搬する。導光板内を伝搬する光が第2の面上に設けられたレンズ部に入射すると、レンズ部により全反射条件と異なる条件で反射する。よって、レンズ部で反射した光は本体部における第1の面から出射される。第1の面には凸条部が形成されているので、光出射効率が高くなる。これらの作用により、輝度が向上する。そして、本発明に係る透過型画像表示装置では、導光板上に透過型画像表示部が設けられているので、輝度がより高い光で透過型画像表示部が照明される。その結果、透過型画像表示部で表示される画像の輝度向上を図ることができる。
【0011】
また、本発明に係る導光板、面光源装置及び透過型画像表示装置では、第1の面に形成される凸条部をレンチキュラーレンズ又はプリズムとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、輝度の向上を図ることができる導光板並びにその導光板を含む面光源装置及び透過型画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る導光板の一実施形態を適用した透過型画像表示装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図1に示した導光板を背面側からみた場合の平面図である。
【図3】図1に示した導光板を光源側から見た場合の側面図である。
【図4】凸条部の外形形状の例を説明するための図面である。
【図5】凸条部の断面形状の例を示す図面である。
【図6】凸条部の断面形状の例を示す図面である。
【図7】凸条部の断面形状の例を示す図面である。
【図8】レンズ部の外形形状の例を説明するための図面である。
【図9】レンズ部の外形形状を規定する条件を示す図表である。
【図10】レンズ部の外形形状を示す図面である。
【図11】インクジェット法によって形成されたレンズ部のアスペクト比[hIIa/wIIa]ととがり方kIIaとを観察により算出した結果を示す図面である。
【図12】インクジェット法によって形成されたレンズ部のアスペクト比[hIIa/wIIa]ととがり方kIIaの範囲を示す図面である。
【図13】図12に示した、とがり方kIIaとアスペクト比[hIIa/wIIa]とで決まるレンズ形状の幅wIIaに対する先端部の曲率半径rIIを示す図表である。
【図14】図12に示した、とがり方kIIaとアスペクト比[hIIa/wIIa]とで決まるレンズ形状の幅wIIaに対する先端部の曲率半径rIIを示す図表である。
【図15】図12に示した、とがり方kIIaとアスペクト比[hIIa/wIIa]とで決まるレンズ形状の底部角度γIIを示す図表である。
【図16】図12に示した、とがり方kIIaとアスペクト比[hIIa/wIIa]とで決まるレンズ形状の底部角度γIIを示す図表である。
【図17】レンズ部の外形形状を規定する条件を示す図表である。
【図18】シミュレーションモデルを示す模式図である。
【図19】シミュレーションに用いた導光板の背面側に形成されたマイクロレンズの被覆率分布を示す図面である。
【図20】シミュレーションに用いた導光板の背面側に形成されたマイクロレンズの被覆率分布を示す図面である。
【図21】シミュレーションに用いた点状光源の指向特性を示す図面である。
【図22】シミュレーションの結果を示す図表である。
【図23】凸条部の他の断面形状の例(実施形態A1)を示す図面である。
【図24】凸条部の他の断面形状の例(実施形態A2)を示す図面である。
【図25】凸条部の他の断面形状の例(実施形態A3)を示す図面である。
【図26】凸条部の他の断面形状の例(実施形態A4)を示す図面である。
【図27】凸条部の他の断面形状の例(実施形態A5)を示す図面である。
【図28】凸条部の他の断面形状の部分を示す図面である。
【図29】凸条部の他の断面形状における線分長さLと傾斜角αとの関係(実施形態A1、A2)を示す図である。
【図30】凸条部の他の断面形状における線分長さLと傾斜角αとの関係(実施形態A3,A4)を示す図である。
【図31】凸条部の他の断面形状における線分長さLと傾斜角αとの関係(実施形態A5)を示す図である。
【図32】凸条部の他の断面形状の線分長さLとΔα/ΔLとの関係を示す図である。
【図33】凸条部の他の断面形状の例(実施形態B1)を示す図面である。
【図34】凸条部の他の断面形状の例(実施形態B2)を示す図面である。
【図35】凸条部の他の断面形状の例(実施形態B3)を示す図面である。
【図36】凸条部の他の断面形状の例(実施形態B4)を示す図面である。
【図37】凸条部の他の断面形状の例(実施形態B5)を示す図面である。
【図38】凸条部の他の断面形状の部分を示す図面である。
【図39】凸条部の他の断面形状における線分長さLと傾斜角αとの関係(実施形態B1、B2)を示す図である。
【図40】凸条部の他の断面形状における線分長さLと傾斜角αとの関係(実施形態B3,B4)を示す図である。
【図41】凸条部の他の断面形状における線分長さLと傾斜角αとの関係(実施形態B5)を示す図である。
【図42】凸条部の他の断面形状の線分長さLとΔα/ΔLとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。また、説明中、「上」、「下」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0015】
図1は、本発明に係る導光板の一実施形態を適用した透過型画像表示装置の概略構成を示す模式図である。図1では、透過型画像表示装置10の断面構成を分解して示している。透過型画像表示装置10は、携帯電話や各種電子機器の表示装置やテレビ装置として好適に利用することができる。
【0016】
透過型画像表示装置10は、透過型画像表示部20と、透過型画像表示部20に供給するための面状の光を出力する面光源装置30とを備える。以下、説明の便宜のため、図1に示すように、面光源装置30に対して、透過型画像表示部20が配列されている方向をZ軸方向又は正面方向と称する。また、Z軸方向に直交する2つの方向をX軸方向及びY軸方向と称する。X軸方向及びY軸方向は互いに直交する。
【0017】
透過型画像表示部20は、面光源装置30から出射される面状の光で照明されることによって画像を表示する。透過型画像表示部20の例は、液晶セル21の両面に直線偏光板22,23が配置された偏光板貼合体としての液晶表示パネルである。この場合、透過型画像表示装置10は、液晶表示装置(又は液晶テレビ)である。液晶セル21及び偏光板22,23は、従来の液晶表示装置等の透過型画像表示装置で用いられているものを用いることができる。液晶セル21の例は、TFT(Thin Film Transistor)型の液晶セルやSTN(SuperTwisted Nematic)型の液晶セル等である。
【0018】
面光源装置30は、透過型画像表示部20に対するバックライトを供給するエッジライト型のバックライトユニットである。面光源装置30は、導光板50と、導光板50の互いに対向する側面50a,50bのそれぞれに対向して配置された光源部60,60とを備える。
【0019】
光源部60,60は、ライン状に配列(図1では、Y軸方向に配列)された複数の点状光源61を有する。点状光源61の例は、発光ダイオードである。光源部60は、導光板50に光を効率的に入射するために、導光板50と反対側に、光を反射させる反射部としてのリフレクターを備えてもよい。ここでは、複数の点状光源61を有する光源部60を例示したが、光源部60は、冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)などの線状光源であってもよい。
【0020】
面光源装置30は、導光板50に対して透過型画像表示部20と反対側に位置する反射部70を備えてもよい。反射部70は、導光板50から反射部70側に出射された光を導光板50に再度入射させるためのものである。反射部70は、図1に示すようにシート状であってもよい。また、反射部70は、導光板50を収容する面光源装置30の筐体底面であって、鏡面加工を施された底面であってもよい。
【0021】
図1〜3を参照して、導光板50について説明する。図2は、図1に示した導光板50を背面側からみた場合の平面図である。図3は、図1に示した導光板50を左側面側からみた場合の左側面図である。導光板50の平面視形状の例は略長方形及び略正方形を含む。
【0022】
導光板50は、本体部51の出射面(第1の面)51aとなる側に凸条部55が形成された板状の本体部51と、凸条部55が形成された面とは反対側の本体部51の背面(第2の面)51bとなる側に形成された複数のレンズ部52とを有する。本体部51は、透光性材料(又は透明材料)からなる。透光性材料の屈折率の例は、1.46〜1.62である。透光性材料の例は、透光性樹脂材料、透光性ガラス材料である。透光性樹脂材料の例は、ポリカーボネート樹脂(屈折率:1.59)、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)(屈折率:1.56〜1.59)、ポリスチレン樹脂(屈折率:1.59)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)(屈折率:1.56〜1.59)、アクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率:1.46〜1.58)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(屈折率:1.49)などである。透光性樹脂材料としては、透明性の観点からPMMAがより好ましい。
【0023】
図1〜3に示すように、本体部51は、透過型画像表示部20と互いに対向する出射面51aと、出射面51aと反対側の背面51bと、出射面51a及び背面51bに交差する4つの側面51c,51d,51e,51fを有する。図1では、X軸方向において互いに対向している2つの側面51c及び51dを示している。側面51c及び側面51dは、光源部60と対向する上記側面50a及び側面50bでもある。この場合、側面51c及び側面51dは、光源部60からの光が入射される入射面である。本体部51が有する4つの側面51c,51d,51e,51fのうち残りの2つの側面51e,51f(図3参照)はY軸方向において互いに対向している。図1及び図3では、側面51c,51d,51e,51fと出射面51a及び背面51bとの配置関係の一例として、側面51c,51d,51e,51fのそれぞれが、出射面51a及び背面51bに略直交している状態を示している。
【0024】
次に、本体部51の出射面51a側に形成された凸条部55について説明する。ここでは、説明の簡略化のため、複数の凸条部55の大きさは同じであるとして説明する。凸条部55は、透明であり、導光板50内からの光を、透過型画像表示部20に向けて出射する。また、凸条部55の外形形状は、図3に示すようにレンチキュラーレンズの外形形状を有している。
【0025】
複数の凸条部55は、図1及び図3に示すX軸方向に沿って延在すると共に、Y軸方向において並列配置されている。凸条部55の延在方向に直交する断面形状はほぼ均一である。複数の凸条部55は、図3及び図4に示すように、短辺方向(Y軸方向)に隣接する凸条部55同士が一定の距離Sをあけて配置することができ、このときは互いに隣接する凸条部55の端である底部55bの間に平坦部55cが形成される。本体部51の出射面51aにおける複数の凸条部55の被覆率は、距離Sを変えることで調整することができる。例えば、短辺方向に隣接する凸条部55同士を隙間なく配置して、隣接する凸条部55の端である底部55bの位置を互いに一致(図4に示す距離Sが0)させれば、その被覆率は100%となる。本体部51の出射面51aにおける複数の凸条部55の被覆率は、通常50%〜100%である。
【0026】
次に、凸条部55の外形形状の種々の例について説明する。ここでは、説明の便宜のために、基準面51gを定義する。すなわち、基準面51gを、図4に示すように凸条部55の断面において、後述する底部55b同士を結ぶ線と平行な面(図4おいて一点鎖線で示す)、言い換えれば、凸条部55の底面を形成する平面と定義する。本実施形態では、導光板50における背面51b(図1参照)と基準面51gとは互いに平行となっている。
【0027】
例えば、凸条部55の外形形状は、以下に示すアスペクト比〔hIa/wIa〕、幅に対する曲率半径〔rI/wIa〕、底部角度γIの組み合わせによって規定される形状とすることができる。以下、図4を参照して、アスペクト比〔hIa/wIa〕、幅に対する曲率半径〔rI/wIa〕、底部角度γIについて説明する。
【0028】
(I)アスペクト比〔hIa/wIa〕
アスペクト比〔hIa/wIa〕とは、図4において、凸条部55の幅をwIa(μm)、凸条部55の最大高さをhIa(μm)としたとき、幅wIaに対する最大高さhIaの比である。
【0029】
(II)幅に対する曲率半径〔rI/wIa〕
幅に対する曲率半径〔rI/wIa〕とは、凸条部55の幅をwIa(μm)、凸条部55の先端部55aの曲率半径をrI(μm)としたとき、幅wIaに対する曲率半径rIの比である。先端部55aの曲率半径rIは、凸条部55の頂部としての先端部55aの曲がり具合を表すものである。例えば、先端部55aの曲率半径rIは、図4に示すように、先端部55aに接する円(図4中の破線で示す円)を仮定した場合の円の半径である。
(III)底部角度γI
底部角度γIは、延在方向に直交する断面での凸条部55の輪郭線と基準面51gとの交点の位置での凸条部55の接平面PIと基準面51gとの間のなす角度である。先端部55aに対して底部は凸条部55の裾部でもある。よって、底部角度γIは裾部角度でもある。
【0030】
図4は、凸条部55の延在方向に直交する断面の構成を示している。wIaは凸条部55の幅である。また、hIaは凸条部55の先端部55aの位置での厚さである。よって、上記アスペクト比[hIa/wIa]は、凸条部55の幅に対する先端部55aの位置での凸条部55の厚さ(又は高さ)、すなわち、[先端部位置での厚さ]/[凸条部の幅]に対応する。通常、先端部55aの位置での凸条部55の厚さは最大であるので、先端部55aの位置での凸条部55の厚さは凸条部55の最大厚さでもある。また、上記(II)に記載した比は、曲率半径rIと凸条部55の幅との比、すなわち、[曲率半径]/[凸条部の幅]に対応する。
【0031】
また、凸条部55の外形形状は、上記(I)〜(III)の条件に加え、凸条部55の輪郭線を下記式(1)で示す円錐曲線として規定することもできる。図5においては、図1及び図3に示す凸条部55の延在方向(X軸方向)に直交する並列方向(Y軸方向)をuI軸としてuIvI座標系を設定している。ここで、uI軸は、複数の凸条部55の並列方向に平行な軸(Y軸)に対応する。vI軸は、導光板50の厚み方向に平行な軸(Z軸)に対応する。このuIvI座標系のuIvI面において、凸条部55の断面形状は、両端部55b,55bがuI軸上に位置し、先端部55aがvI軸上に位置する。このとき凸条部55は、凸条部55に接する接平面PIと基準面51gとのなす角度が、凸条部55の底部55b側から先端部55a側にかけて単調に減少するような外形形状とすることができる。
【0032】
【数1】
【0033】
式(1)において、wIaは凸条部55のuI軸方向の長さであり、hIaは凸条部55をvI(uI)で示される形状とした場合における凸条部55の両端部55b,55b間における最大高さに対応する。kIaは凸条部55の先端部55aのとがり方を示すパラメータである。例えばとがり方kIaが0のとき、凸条部55の外形は放物線形状となり、とがり方kIaが1のとき、凸条部55の外形はプリズム形状となり、とがり方kIaが−1のとき、凸条部55の外形は楕円を半分に切った形状となる。
【0034】
さらに、凸条部55の外形形状は、凸条部55の輪郭線を所定の円錐曲線で表したとき、アスペクト比〔hIa/wIa〕と、とがり方kIaとの組み合わせにより規定することができる。これらの組み合わせの一例としては、以下の(A)、(B)などが挙げられる。
(A)hIa/wIa=0.390、kIa=−0.390
(B)hIa/wIa=0.232、kIa= 0.021
【0035】
図5は、上記(A)の組み合わせ(hIa/wIa=0.390、kIa=−0.390)によって規定される断面形状を示している。図6は、上記(B)の組み合わせ(hIa/wIa=0.232、kIa=0.021)によって規定される断面形状を示している。本体部51の出射面51aにおける複数の凸条部55の被覆率は、短辺方向(Y軸方向)に隣接する凸条部55同士の距離Sを調整して適宜設定することができる。凸条部55の断面形状は、vI軸に対して対称な輪郭線を有している。幅wIaの例は、10μm以上2mm以下であり、好ましくは20μm以上1mm以下であり、より好ましくは50μm以上600μm以下である。
【0036】
また、凸条部55の外形形状は、以下の(C)に示すアスペクト比〔hIa/wIa〕と、とがり方kIaとの組み合わせにより規定することもできる。
(C)hIa/wIa=0.500、kIa=1.000
図7は、上記(C)の組み合わせ(hIa/wIa=0.500、kIa=1.000)によって規定される断面形状を示している。この場合も、本体部51の出射面51aにおける複数の凸条部55の被覆率は、短辺方向(Y軸方向)に隣接する凸条部55同士の距離Sを調整して適宜設定することができる。凸条部55の断面形状は、vI軸に対して対称な輪郭線を有している。幅wIaの例は、10μm以上2mm以下であり、好ましくは20μm以上1mm以下であり、より好ましくは50μm以上600μm以下である。
【0037】
次に、レンズ部52について説明する。説明の簡略化のため、複数のレンズ部52の大きさは同じであるとして説明する。図1及び図2に示すように、複数のレンズ部52は、本体部51の背面51b上に形成されている。レンズ部52は、透明であり、導光板50内を伝搬する光を出射面51a側から出射するためのものである。また、各レンズ部52の外形形状はドーム状である。
【0038】
複数のレンズ部52は、図2に示すように、本体部51の短辺方向(Y軸方向)及び長辺方向(X軸方向)に格子状に配列されており、導光板50の出射面51aからの出射光量均斉度が95%となるように最適化された被覆率分布となっている。このような出射光量均斉度を満たすような一例として、背面51bの中央部での正方格子に対する1つのレンズ部52の被覆率を78.54%とすることができる。レンズ部52は、千鳥格子状、六方細密格子状に配置することも可能である。また、各格子に該当する箇所であってもレンズ部52を成形しないようにして被覆率を調整することもできる。
【0039】
次に、各レンズ部52の形状について説明する。図8は、レンズ部52の外形形状の例を説明するための図面であり、レンズ部52の中心軸線CIIを含む導光板50の断面構成の模式図である。レンズ部52において、レンズ部52の頂部をレンズ部52の先端部52aと称し、レンズ部52の裾部をレンズ部52の底部52bと称する。本実施形態では、レンズ部52の形状は、図8に示した断面形状を、中心軸線CIIを回転軸として回転させた形状であるとする。よって、レンズ部52の形状は、中心軸線CIIを含む任意の断面において左右対称となる。また、レンズ部52は、レンズ部52に接する接平面PIIと背面51bとのなす角度が、レンズ部52の底部52b側から先端部52a側にかけて単調に減少するような外形形状を有している。
【0040】
レンズ部52の外形形状の種々の例について説明する。例えば、レンズ部52の外形形状は、図9の図表に示すアスペクト比〔hIIa/wIIa〕、幅に対する曲率半径〔rII/wIIa〕、底部角度γIIの組み合わせによって規定される形状とすることができる。以下、図8を参照して、アスペクト比〔hIIa/wIIa〕、幅に対する曲率半径〔rII/wIIa〕、底部角度γIIについて説明する。
【0041】
(I)アスペクト比〔hIIa/wIIa〕
アスペクト比〔hIIa/wIIa〕とは、図8において、レンズ部52の幅をwIIa(μm)、レンズ部52の最大高さをhIIa(μm)としたとき、幅wIIaに対する最大高さhIIaの比である。
【0042】
(II)幅に対する曲率半径〔rII/wIIa〕
幅に対する曲率半径〔rII/wIIa〕とは、レンズ部52の幅をwIIa(μm)、レンズ部52の先端部52aの曲率半径をrII(μm)としたとき、幅wIIaに対する曲率半径rIIの比である。先端部52aの曲率半径rIIは、レンズ部52の頂部としての先端部52aの曲がり具合を表すものである。例えば、先端部52aの曲率半径rIIは、図8に示すように、先端部52aに接する円(図8中の破線で示す円)を仮定した場合の円の半径である。
(III)底部角度γII
底部角度γIIは、中心軸線CIIをとおる断面でのレンズ部52の輪郭線と背面51bとの交点の位置でのレンズ部52の接平面PIIと背面51bとの間のなす角度である。この底部角度γIIは、レンズ部52を液滴とみなした場合の接触角に対応する。また、先端部52aに対して底部52bはレンズ部52の裾部でもある。よって、底部角度γIIは裾部角度でもある。
【0043】
以下、図9の図表に示したアスペクト比[ha/wa]に基づいた場合分けに応じてレンズ部52が満たす外形形状の条件を具体的に例示する。
【0044】
(1)0.07≦hIIa/wIIa<0.09の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.8594≦rII/wIIa≦1.7969且つ12.46≦γII≦20.69
【0045】
(2)0.09≦hIIa/wIIa<0.11の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.5625≦rII/wIIa≦1.4375且つ14.48≦γII≦25.26
【0046】
(3)0.11≦hIIa/wIIa<0.13の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.4688≦rII/wIIa≦1.1979且つ17.22≦γII≦29.52
【0047】
(4)0.13≦hIIa/wIIa<0.15の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.4018≦rII/wIIa≦1.4732且つ19.88≦γII≦58.14
【0048】
(5)0.15≦hIIa/wIIa<0.17の場合
レンズ部52の外形形状は、r/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.2734≦rII/wIIa≦1.2891且つ21.22≦γII≦61.44
【0049】
(6)0.17≦hIIa/wIIa<0.19の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.2431≦rII/wIIa≦1.1458且つ23.59≦γII≦64.16
【0050】
(7)0.19≦hIIa/wIIa<0.21の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.2188≦rII/wIIa≦1.2188且つ25.88≦γII≦86.33
【0051】
(8)0.21≦hIIa/wIIa<0.23の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.3125≦rII/wIIa≦1.1080且つ31.28≦γII≦86.68
【0052】
(9)0.23≦hIIa/wIIa<0.25の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.2865≦rII/wIIa≦1.0156且つ33.53≦γII≦86.96
【0053】
(10)0.25≦hIIa/wIIa<0.27の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.4567≦rII/wIIa≦0.9375且つ44.76≦γII≦87.20
【0054】
(11)0.27≦hIIa/wIIa<0.29の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.6920≦rII/wIIa≦0.7813且つ68.14≦γII≦77.44
【0055】
(12)0.29≦hIIa/wIIa<0.31の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.6458≦rII/wIIa≦0.7292且つ69.47≦γII≦78.25
【0056】
図8は、レンズ部52の中心軸線CIIを含む断面の構成を示しているので、幅wIIaはレンズ部52の最大幅に対応する。また、hIIaはレンズ部52の先端部52aの位置での厚さである。よって、上記アスペクト比[hIIa/wIIa]は、レンズ部52の最大幅に対する先端部52aの位置でのレンズ部52の厚さ(又は高さ)、すなわち、[先端部位置での厚さ]/[レンズ部の最大幅]に対応する。通常、先端部52aの位置でのレンズ部52の厚さは最大であるので、先端部52aの位置でのレンズ部52の厚さはレンズ部52の最大厚さでもある。また、上記(II)に記載した比は、曲率半径rIIとレンズ部52の最大幅との比、すなわち、[曲率半径]/[レンズ部の最大幅]に対応する。
【0057】
また、レンズ部52の外形形状は、図10に示すようにレンズ部52の中心軸線CIIを含むレンズ部52の断面構成において、レンズ部52の輪郭線を円錐曲線として規定することもできる。具体的には、図10に示すように、uIIvII座標系を設定し、レンズ部52の断面形状を下記式(2)で示す円錐曲線vII(uII)により規定することができる。uIIvII座標系のvII軸は図8におけるレンズ部52の中心軸線CIIに対応する。また、uII軸は図1及び図2に示すX軸方向に対応する。
【数2】
【0058】
式(2)において、kIIaは、式(2)で表される円錐曲線のとがり方を示すパラメータであり、レンズ部52の先端部52aのとがり方を表している。例えばとがり方kIIaが0のとき、レンズ部52の外形は放物線形状となり、とがり方kIIaが1のとき、レンズ部52の外形はプリズム形状となり、とがり方kIIaが−1のとき、レンズ部52の外形は楕円を半分に切った形状となる。
【0059】
さらに、レンズ部52の外形形状は、レンズ部52の輪郭線を所定の円錐曲線として表したとき、アスペクト比[hIIa/wIIa]と、とがり方kIIaとの組み合わせにより規定することができる。これらの組み合わせの一例としては、以下の(a)〜(c)などの組み合わせが挙げられる。
(a)hIIa/wIIa=0.220、kIIa=0.200
(b)hIIa/wIIa=0.120、kIIa=0.400
(c)hIIa/wIIa=0.220、kIIa=0.000
【0060】
幅wIIaの例は、5μm以上1mm以下であり、好ましくは、10μm以上500μm以下である。このようなサイズのレンズ部52は、いわゆるマイクロレンズである。
【0061】
レンズ部52及び凸条部55の材料は、本体部51と同じ材料とすることができる。また、レンズ部52及び凸条部55の材料は、透光性材料であれば、本体部51の材料と異なっていてもよい。
【0062】
上記構成の導光板50の本体部51は、単独の透光性材料で構成された単層の板状体であってもよいし、互いに異なる透光性材料で構成された層が積層された多層構造の板状体でもよい。なお、レンズ部52及び凸条部55の材料が本体部51と同じ場合は、導光板50が単独の透光性材料で構成された板状体とすることができる。
【0063】
更に、本体部51、レンズ部52及び凸条部55を構成する透光性材料として透光性樹脂材料を用いる場合、この透光性樹脂材料に紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、加工安定剤、難燃剤、滑剤等の添加剤を添加することもできる。これらの添加剤はそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、導光板50に紫外線吸収剤が添加されていれば、光源部60から出力される光に紫外線が多く含まれている場合などにおいて、紫外線による導光板50の劣化を防止できるため好ましい。
【0064】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられ、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤である。
【0065】
透光性樹脂材料は、通常、添加剤として光拡散剤を添加することなく用いられるが、本発明の趣旨を逸脱しない僅かな量であれば、光拡散剤を添加して用いてもよい。
【0066】
光拡散剤として、通常は、導光板50、具体的には、本体部51、レンズ部52及び凸条部55を主に構成する上述したような透光性材料(又は透明材料)とは屈折率が異なる粉末が用いられ、これを透光性材料中に分散させて用いられる。かかる光拡散剤としては、例えばスチレン樹脂粒子、メタクリル樹脂粒子などの有機粒子、炭酸カリウム粒子、シリカ粒子等の無機粒子が用いられ、その粒子径は通常0.8μm〜50μmである。
【0067】
上記レンズ部52及び凸条部55を備えた導光板50は、インクジェット印刷(インクジェット法)、フォトポリマー法、押出成形又は射出成形などにより製造することができる。
【0068】
インクジェット印刷(インクジェット法)やフォトポリマー法を用いて導光板50を製造する際には、レンズ部52及び凸条部55の材料として、紫外線硬化樹脂を利用することができ、紫外線硬化樹脂としては、アクリル系紫外線硬化樹脂を用いることができる。
【0069】
レンズ部52の材料をアクリル系紫外線硬化樹脂とし、インクジェット法を利用する場合の導光板50の製造方法の一例について説明する。この場合、まず、出射面51a側に凸条部55を有する板状体としての本体部51を押出成形又は射出成形などにより形成する。次に、このように形成した本体部51の背面51bとなるべき面に、インクジェットヘッドを操作しながら、紫外線硬化樹脂を滴下(印刷)する。次いで、紫外線を紫外線硬化樹脂に照射して硬化させることでレンズ部52とする。
【0070】
レンズ部52の形成にインクジェット法を採用した場合、他の印刷手法の例であるスクリーン印刷において必須の原版などが不要となる。複数のレンズ部52は、通常、設計工程及び試作工程を適宜繰り返して、出射面51aから出射される光の輝度が高くなるように所定のドットパターンで配置される。原版を有しないインクジェット法では、上記所定のドットパターンの決定に要する時間を短縮できる。その結果、導光板50をより効率的に製造し得る。
【0071】
次に、上記インクジェット法によりレンズ部52を印刷した場合に形成されるレンズの形状について説明する。ここでは、1つのレンズ部52を形成するために滴下するインクの回数(ドロップ回数)、本体部51の背面となる面に施す撥液処理をそれぞれ変えながら、以下の条件で形成した場合のレンズ部52の形状について観察を行った。
条件1:撥液コートが施された面に対し、ドロップ回数を固定して印刷
条件2:撥液コートが施された面に対し、ドロップ回数を変えながら印刷
条件3:フッ化プラズマ処理が施された面に対し、ドロップ回数を変えながら印刷
【0072】
上記条件1〜3によって印刷されたレンズ部52をそれぞれ観察し、アスペクト比[hIIa/wIIa]及びとがり方kIIaをそれぞれ算出した。この観察による算出結果を図11(a)〜(c)に示す。図12は、図11(a)〜(c)のそれぞれの観察による算出結果を一つの表にまとめたものである。図12に示されるアスペクト比[hIIa/wIIa]ととがり方kIIaとの分布に基づけば、インクジェット法により印刷されたレンズ部52の形状が、図12に示す枠内に示すアスペクト比[hIIa/wIIa]及びとがり方kIIaの範囲内のものになることが分かる。
【0073】
また、上記観察による算出結果から得ることができる、とがり方ka及びアスペクト比[hIIa/wIIa]で規定されるレンズ形状と幅に対する曲率半径〔rII/wIIa〕との関係、並びにとがり方ka及びアスペクト比[hIIa/wIIa]で規定されるレンズ形状と幅に対する底部角度γIIとの関係について、それぞれ図13及び図14、図15及び図16に示す。図13及び図15は、とがり方kIIaが0.1以上且つ0.9以下の範囲を示している。図14及び図16は、kIIaが−0.9以上且つ0以下の範囲を示している。図13〜図16において、ハッチングが付されたセルは、図12における枠内のアスペクト比[hIIa/wIIa]及びとがり方kIIaで規定されるレンズ形状と対応する。
【0074】
図12〜図16に基づけば、インクジェット法により印刷することができるレンズ部52の形状を例示することができる。具体的には上記実施形態において例示したレンズ部52の形状、すなわち図9に示した図表内の組み合わせの何れかによって規定される形状とすることができる。言い換えれば、図9に示した図表内の組み合わせの何れかによって規定されるレンズ部52の形状は、インクジェット法により印刷することができるので、導光板50の本体部51にレンズ部52を形成する際に、容易に形成することができる形状といえる。
【0075】
また、レンズ部52の外形形状は、図9の図表に示したアスペクト比〔hIIa/wIIa〕、幅に対する曲率半径〔rII/wIIa〕及び底部角度γIIの組み合わせで規定される形状の範囲において、レンズ部52の輪郭線を上記式(2)で表される円錐曲線としたとき、とがり方を示すパラメータkIIaの条件をさらに追加することもできる。以下、図17の図表に示したアスペクト比[hIIa/wIIa]ごとにレンズ部52が満たす外形形状の条件を具体的に例示する。
【0076】
(1)0.07≦hIIa/wIIa<0.09の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.15≦kIIa≦0.45を満たす形状である。
(2)0.09≦hIIa/wIIa<0.11の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.15≦kIIa≦0.55を満たす形状である。
(3)0.11≦hIIa/wIIa<0.13の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.15≦kIIa≦0.55を満たす形状である。
(4)0.13≦hIIa/wIIa<0.15の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.65≦kIIa≦0.55を満たす形状である。
(5)0.15≦hIIa/wIIa<0.17の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.65≦kIIa≦0.65を満たす形状である。
(6)0.17≦hIIa/wIIa<0.19の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.65≦kIIa≦0.65を満たす形状である。
【0077】
(7)0.19≦hIIa/wIIa<0.21の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.95≦kIIa≦0.65を満たす形状である。
(8)0.21≦hIIa/wIIa<0.23の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.95≦kIIa≦0.45を満たす形状である。
(9)0.23≦hIIa/wIIa<0.25の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.95≦kIIa≦0.45を満たす形状である。
(10)0.25≦hIIa/wIIa<0.27の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.95≦kIIa≦0.05を満たす形状である。
(11)0.27≦hIIa/wIIa<0.29の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.75≦kIIa≦−0.55を満たす形状である。
(12)0.29≦hIIa/wIIa<0.31の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.75≦kIIa≦−0.55を満たす形状である。
【0078】
ここでは、上記レンズ形状について、インクジェット法により印刷することができるレンズ部52として説明をしたが、前述したように、インクジェット法以外の押出成形や射出成形などによっても上記レンズ形状のレンズ部52を形成することもできる。この場合には、図9及び図17の図表に示される範囲以外の形状とすることもできる。
【0079】
また、押出成形や射出成形などによって、レンズ部52及び凸条部55が形成された導光板50を製造することもできる。この場合、レンズ部52及び凸条部55の材料は、本体部51の材料と同じになる。また、凸条部55を有する板状体としての本体部51、凸条部55及びレンズ部52が形成された導光板50は、例えば透光性材料(又は透明材料)からなる板材を削り出す方法により製造することもできる。
【0080】
次に、上記導光板50の作用効果について、図1に示すように面光源装置30の一部として透過型画像表示装置10に適用した場合を例にして説明する。
【0081】
光源部60が有する点状光源61を発光させると、点状光源61からの光は、点状光源61に対向する導光板50の側面50aから導光板50に入射する。導光板50に入射した光は、導光板50内を全反射しながら伝搬する。導光板50内を伝搬する光が、レンズ部52に入射すると、レンズ部52内では光が全反射条件以外の条件で反射する。そのため、レンズ部52内で反射した光は出射面51aから出射される。出射面51aには凸条部55が形成されているので、出射面に凸条部が形成されていない導光板に比べ、光出射効率が高めることができる。これらの作用により輝度が向上する。そして、本実施形態の透過型画像表示装置10では、導光板50上に透過型画像表示部20が設けられているので、輝度がより高い光で透過型画像表示部20が照明される。その結果、透過型画像表示部20で表示される画像の輝度向上を図ることができる。
【0082】
次に、レンズ部52と凸条部55とが形成された導光板50の光出射効率が、従来の導光板と比べて高くなる点についてシミュレーション結果に基づいて説明する。ただし、本発明はこれらシミュレーションに限定されるものではない。
【0083】
図18は、シミュレーションモデルを示す模式図である。説明の便宜のため、図1に示した構成要素に対応する構成要素には、導光板50MのようにMを付して記載する。シミュレーションは、図18に示したように、後段にて詳述する評価の対象となる導光板50Mの側面50Ma(51Mc),50Mb(51Md)に対向する位置にそれぞれ点状光源61M,61Mを配置すると共に、導光板50Mの下方に反射部70Mとしての反射シートを配置したモデルにおいて、光線追跡法を用いて光出射効率Eを算出した。
【0084】
シミュレーション条件は、次のとおりである。
・導光板50Mの構成材料:凸条部55Mを有する本体部51M及びレンズ部52MはいずれもPMMA(屈折率:1.49)を仮定
・導光板50Mの平面視形状(板厚方向からみた形状):長方形
・導光板50Mの長辺の長さW1:540mm
・導光板50Mの短辺の長さW2: 20mm
・本体部51Mの厚さt:3mm
・導光板50Mのレンズ部52Mの先端部52Maと反射部70Mとの間の距離:0.1mm
・反射部70M:ソニー株式会社製「KDL40EX7」に使用されているバックライトユニットから取り出した白色反射板と同等の反射特性を仮定
・点状光源61Mから出射される光の波長:550nmを仮定
・点状光源61Mと導光板50Mとの距離:0.05mm
なお、本体部51Mの側面51Me及び側面51Mfでは周期的境界条件を仮定した。すなわち、側面51Me及び51Mfでは光はすべて反射し導光板50M内に戻るとした。このように、導光板50Mにおける短辺方向(Y軸方向)に周期的境界条件を設けることによって、短辺方向の長さが実質的に無限の導光板を想定したシミュレーションを実施していることになる。
【0085】
このような条件の下、評価の対象となる導光板50Mに入射する光の量Eiに対する出射面51Maからの全ての出射光の量Eoの比を算出することで光出射効率E(=Eo/Ei)を得た。
【0086】
次に、評価の対象となる導光板50Mについて説明する。評価対象となる導光板50Mとしては、出射面51Ma側の形状と背面51Mb側の形状とが下記の表1に示す組み合わせであるケース1〜ケース12の12種類の導光板50Mを想定した。
【表1】
【0087】
<出射面51Ma側>
ケース1〜ケース6の導光板50Mは、出射面51Ma側に、凸条部としてのレンチキュラーレンズ55Mが形成されたものを想定した。具体的には、図18に示すように、短辺方向に隣接するレンチキュラーレンズ55M同士が所定の間隔をあけて配置されているものを想定する。ここでは、レンチキュラーレンズ55Mの幅wIaを475μm、レンチキュラーレンズ55M同士の間隔Sを25μm、本体部51Mの出射面51Maにおける複数のレンチキュラーレンズ55Mの被覆率を95%に設定した。
【0088】
ケース7〜ケース9の導光板50Mは、出射面51Ma側に、凸条部としてのプリズム55Mを形成した。具体的には、図18におけるレンチキュラーレンズ55Mに代えて図7に示すプリズム55Mとし、短辺方向に隣接するプリズム55M同士が隙間なく配置されているものを想定する。ここでは、プリズム55Mの幅wIaを500μm、プリズム55M同士の間隔Sを0μm、本体部51Mの出射面51Maにおける複数のプリズム55Mの被覆率を100%に設定した。
【0089】
レンチキュラーレンズ55M及びプリズム55Mの断面形状は、下記式(3)で示される円錐曲線として規定したとき、アスペクト比hIa/wIa及びとがり方kIaをそれぞれ表1に示すものを想定した。
【数3】
【0090】
一方、ケース10〜ケース12の導光板50Mの出射面51Ma側には、凸条部としてのレンチキュラーレンズ55M又はプリズム55Mが形成されておらず、出射面51Maは略平坦となっているものを想定した。
【0091】
<背面51Mb側>
ケース1〜ケース12の導光板50Mの背面51Mb側には、レンズ部としてのマイクロレンズ52Mを一定間隔で配置した。具体的には、複数の正方形が配列されてなる正方格子を背面51Mbに対して設定し、正方格子の構成単位である各正方形に一つのレンズ部52Mを配置した。また、マイクロレンズ52Mは、出射面51Ma側に複数のレンチキュラーレンズ55Mが被覆率100%で配置されているとして、出射光量均斉度が95%以上となるように最適化した被覆率分布で配置した。図19は、ケース1〜ケース6におけるマイクロレンズ52Mの被覆率分布の例であり、横軸に導光板50Mの中心部からの距離(mm)を示し、縦軸に被覆率(%)を示している。図20は、ケース7〜ケース12におけるマイクロレンズ52Mの被覆率分布の例であり、横軸に導光板50Mの中心部からの距離(mm)を示し、縦軸に被覆率(%)を示している。図19及び図20によれば、いずれのケースにおいても、背面51MbにおけるX軸方向中心部での正方格子に対する1つのマイクロレンズ52Mの被覆率は74.61%となっている。
【0092】
マイクロレンズ52Mの断面形状は、下記式(4)で示す円錐曲線として規定したとき、アスペクト比hIIa/wIIa及びとがり方kIIaをそれぞれ表1に示すものとした。
【数4】
【0093】
次に、点状光源61Mについて詳細に説明する。点状光源61M,61Mは、導光板50Mの短辺方向にそれぞれ2つ配置されており、それぞれの端部からの距離L1が5mmであり、互いの光源間隔L2が10mmである。点状光源61Mは、横方向(奥行き方向)の長さが5.5mm、縦方向(導光板の厚み方向)の長さが2mmの大きさの面光源である。
【0094】
図21は、点状光源61Mの指向特性(配光特性)の一例を示す図面である。図21の横軸は出射角度θ(°)を示しており、縦軸は、最大の出射光強度で規格化した規格化出射光強度を示している。本実施形態において、θ=0は、図1におけるX軸方向に対応する。点状光源61Mは、いわゆるランバーシアン(Lambertian)型の光源を仮定し、点状光源61Mの例としては、発光ダイオードが挙げられる。ランバーシアン型の光源は、出射光強度が最大である最大出射光強度の出射角度が0°付近(正面方向)にあり、正面方向からの傾き(出射角度)が大きくなるにしたがって略単調減少していくという特徴を有している。図21中のPDは、理論的な完全拡散の場合の指向特性を示しており、本シミュレーションにおいてはこの特性が得られる光源を仮定した。
【0095】
ケース1〜ケース12のそれぞれの導光板50Mについて、上記シミュレーションを行った結果を図22の図表に示す。図22の図表において、各シミュレーション結果を示す欄における数値は光出射効率E(%)を示している。
【0096】
出射面51Ma側に凸条部としてのレンチキュラーレンズ55M又はプリズム55Mが形成されたケース1〜ケース9のそれぞれの導光板50Mの光出射効率Eは、出射面51Ma側に凸条部としてのレンチキュラーレンズ55M又はプリズム55Mがないケース10〜ケース12のそれぞれの導光板50Mの光出射効率Eに比べ高いことが確認できた。これにより、出射面51Ma側にレンチキュラーレンズ55M又はプリズム55Mなどの凸条部を形成することで、光出射効率Eが高められる。すなわち、出射効率の高い導光板50Mを面光源装置に用いることで、輝度の向上が図れることが確認できた。
【0097】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態及び上記シミュレーションに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0098】
上記実施形態では、背面51b上に形成されている複数のレンズ部52が、図9に示すアスペクト比〔hIIa/wIIa〕、幅に対する曲率半径〔rII/wIIa〕及び底部角度γIIの組み合わせで規定される形状の範囲とすることができるとして説明した。しかしながら、背面51b上に形成されている複数のレンズ部のうち、少なくも半分以上のレンズ部が上記実施形態で説明したレンズ部52であればよい。換言すれば、背面51bに形成される複数のレンズ部は、その半分が上記レンズ部52としての第1のレンズ部と、残りの半分が上記実施形態で説明した条件を満たしていない第2のレンズ部とから構成されていてもよい。レンズ部52としての第1のレンズ部の数と、上記第2のレンズ部との数の比は、6:4でもよい。
【0099】
また、レンズ部52の形状は、図8に例示したように、レンズ部52の接平面と背面51bとのなす角度が、レンズ部52の底部側から先端部側にかけて単調に減少する形状を有することが好ましい。しかしながら、レンズ部52は、図9の図表に示したhIIa/wIIa、rII/wIIa及びγIIで示した組み合わせで規定される形状を有していれば、レンズ部52の接平面と背面51bとのなす角度との先端部52a側にかけて単調に減少していなくてもよい。
【0100】
更に、光源部60の配置位置は、2つの箇所に限定されない。例えば、光源部60は、一箇所に配置することもできる。この場合、光源部60は、図1に示した側面51c及び側面51dのうちの一方に配置される。光源部60からの光が入射される一方の側面と対向する他方の側面には、光漏れを防止するための、ミラーテープや白色拡散テープなどの反射テープが貼付されてもよい。
【0101】
また、上記シミュレーションにおいては、理論的な完全拡散の場合の指向特性を有する点状光源61の例を示したが、本実施形態の面光源装置30、透過型画像表示装置10ではこれに限定されるものではない。例えば、図21に示すように、完全拡散を示す指向特性PDに対して、出射角度が30°のとき−0.6%、出射角度が60°のとき−11.0%ずれるような曲線PD1(図21において点線で示す)と、出射角度が30°のとき6.9%、出射角度が60°のとき16.4%ずれるような曲線PD2(図21において破線で示す)との間の領域の出射角度と規格化放射強度とを満たすランバーシアン型の指向特性を有する点状光源であればよい。
【0102】
また、上記実施形態では、凸条部55の外形形状の一例として、(I)アスペクト比〔hIa/wIa〕、(II)幅に対する曲率半径〔rI/wIa〕及び(III)底部角度γIによって特定できる外形形状の例を挙げて説明した。また、この条件に加えて、凸条部55の輪郭線を下記式(5)で示す円錐曲線として規定できることも説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0103】
【数5】
【0104】
例えば、凸条部55の延在方向に直交する断面にuIvI座標系を設定(uI軸方向をX軸方向、vI軸方向をZ軸方向に設定)したとき、凸条部55の断面形状を、下記式(6)を満足するvI(uI)で表すこともできる。
【数6】
ただし、式(6)において、vI0(uI)は、
【数7】
を満たす。式(7)は、上記式(1)と同様、wIaは凸条部55のuI軸方向の長さであり、hIaは凸条部55をvI0(uI)で示される形状とした場合における凸条部55の両端部55b,55b間における最大高さに対応する。kIaは凸条部55の先端部55aのとがり方を示すパラメータである。例えばとがり方kIaが0のとき、凸条部55の外形は放物線形状となり、とがり方kIaが1のとき、凸条部55の外形はプリズム形状となり、とがり方kIaが−1のとき、凸条部55の外形は楕円を半分に切った形状となる。
【0105】
また、本願発明では、出射面側に設けられる凸条部55の外形形状が、以下に示す凸条部155の外形形状となるように形成されてもよい。すなわち、複数の凸条部155の各々の延在方向に直交する断面において、当該凸条部155の断面における頂点(先端部)155aから輪郭線上の点Pまでの当該輪郭線に沿った長さをLとし、凸条部155の両端部をとおる軸をu軸とし、点Pにおける凸条部155の断面形状のu軸に対する傾き(絶対値)をαとしたとき、
−0.20<L<0.20の範囲において、下記式(8)及び(9)を満たし、
0<α…(8)
150≦Δα/ΔL<260…(9)
−0.65<L≦−0.20の範囲、及び0.20≦L<0.65の範囲において、下記式(10)及び(11)を満たし、
0≦α…(10)
0≦Δα/ΔL<30…(11)
−1.00<L≦−0.65の範囲、及び0.65≦L<1.00の範囲において、下記式(12)及び(13)を満たす形状となるように形成されてもよい。
0<α…(12)
5≦Δα/ΔL<75…(13)
【0106】
αおよびΔα/ΔLが上記の条件を満たす断面形状を有する複数の凸条部155が光出射面に形成された導光板においては、導光板の光入射面に入射された光は、凸条部155の延在方向に伝播されやすい。そのため、光の入射位置から導光板内を光が伝播した際に、光の広がりが抑制されるので、クロストークが低減され得る。なお、Lは、u軸方向における中央を0とし、中央から右へ進むほど増加し(L>0)、中央から左へ進むほど減少する(L<0)。
【0107】
凸条部155の外形形状は、−0.20<L<0.20の範囲において、下記式(14)を満たすことが好適である。
170≦Δα/ΔL<240…(14)
【0108】
凸条部155の外形形状は、−0.65<L≦−0.20の範囲、及び0.20≦L<0.65の範囲において、下記式(15)を満たすことが好適である。
0≦Δα/ΔL<20…(15)
【0109】
凸条部155の外形形状は、−1.00<L≦−0.65の範囲、及び0.65≦L<1.00の範囲において、下記式(16)を満たすことが好適である。
10≦Δα/ΔL<60…(16)
【0110】
凸条部155の外形形状は、凸条部155の幅をwaとし、凸条部155の最大高さをhaとしたとき、凸条部155のアスペクト比(ha/wa)が、0.3以上0.5未満であることが好ましい。
【0111】
このような凸条部155の外形形状の例である実施形態A1〜A5について、図23〜図27を使用して説明する。図23〜図27は、凸条部の延在方向に直交する断面形状の例を示す図面である。図23は実施形態A1、図24は実施形態A2、図25は実施形態A3、図26は実施形態A4、図27は実施形態A5を示している。図23〜図27においては、凸条部155の延在方向に直交する方向をu軸としてuv座標系を設定している。このuv座標系において、凸条部155の断面形状は、u軸上に両端部155b,155bを有する。uv座標系において、v軸は、u軸上における両端部155b,155b間の中心を通っている。図1及び図2に示した形態において、u軸方向はY軸方向である。また、v軸方向はZ軸方向である。
【0112】
uv座標系において、凸条部155の断面形状は、下記式(17)〜(22)を満たす。ただし、凸条部155のu軸方向の位置をwとし、位置wにおける凸条部155の断面形状のu軸に対する傾きをαとする。凸条部155の延在方向に直交する断面において、当該凸条部155の断面における頂点155aから輪郭線上の点Pまでの当該輪郭線に沿った長さをLとする。点Pのu軸方向の位置は上記の位置wであり、傾きα(絶対値)は、点Pにおける傾きである。Δα/ΔLは、Lの変化量に対するαの変化量の比率である。傾きαは、位置w(点P)における凸条部155の断面形状の接線と、u軸とが交差する角度のうち、小さい方の角度(0≦α≦90)である。
【0113】
u軸方向において、凸条部155の中心O(0、0)から端部155bまでの長さを1とする。凸条部155の端部155bの位置は、w=−1,1となる。位置wは、中心Oから右へ進むほど増加し(w>0)、中心Oから左へ進むほど減少する(w<0)。また、v軸方向において、凸条部155の中心Oから端部155bの長さに対応する高さをhaとしている。位置wは、凸条部155の幅waで規格化された値であり、幅waに対する比率で位置を表現する値である。
【0114】
凸条部155の断面形状は、第1区間A(−0.20<L<0.20の範囲)において、下記式(17)及び(18)を満たす。
0<α…(17)
150≦Δα/ΔL<260…(18)
【0115】
第1区間Aにおいて、凸条部155の断面形状は、傾きαが増加する。換言すれば、中心Oから離れるほど傾きαが大きくなる。
【0116】
凸条部155の断面形状は、第2区間B(−0.65<L≦−0.20の範囲、及び0.20≦L<0.65の範囲)において、下記式(19)及び(20)を満たす。
0≦α…(19)
0≦Δα/ΔL<30…(20)
【0117】
第2区間Bにおいて、凸条部155の断面形状は、傾きαが増加するか、又は変化しない。換言すれば、中心Oから離れるほど傾きαが大きくなるか、又は一定である。
【0118】
凸条部155の断面形状は、第3区間C(−1.00<L≦−0.65の範囲、及び0.65≦L<1.00の範囲)において、下記式(21)及び(22)を満たす。
0<α…(21)
5≦Δα/ΔL<75…(22)
【0119】
第3区間Cにおいて、凸条部155の断面形状は、傾きαが増加する。換言すれば、中心Oから離れるほど傾きαが大きくなる。
【0120】
第1区間Aにおいて、Δα/ΔLは、下記式(23)を満たしていてもよい。
170≦Δα/ΔL<240…(23)
【0121】
第2区間Bにおいて、Δα/ΔLは、下記式(24)を満たしていてもよい。
0≦Δα/ΔL<20…(24)
【0122】
第3区間Cにおいて、Δα/ΔLは、下記式(25)を満たしていてもよい。
10≦Δα/ΔL<60…(25)
【0123】
図28は、凸条部155の断面形状の部分を示す図面である。凸条部155の外形上の任意の2点をP1,P2とした場合、ΔL=L2−L1(ただし、L2>L1)であり、Δα=α2−α1(ただし、α2≧α1)である。ただし、L1は、輪郭線上における点P1の位置であり、α1は、点P1における傾き(u軸との交差角度)である。同様に、L2は、輪郭線上における点P2の位置であり、α2は、点P2における傾き(u軸との交差角度)である。
【0124】
図29〜図31は、凸条部155の断面形状の輪郭線上における位置Lと傾斜角αとの関係を示す図である。図29〜図31では、横軸に位置Lを示し、縦軸に傾斜角α[deg]を示している。横軸において、L=0は、凸条部155の輪郭線上における中心を示す。凸条部155の断面形状は、L=0において、凸条部155の頂点(先端部155a)を形成すると共に、傾斜角α=0である。位置Lは、凸条部155の幅方向(u軸方向)における端部155bの位置をL=1として、比率で示されている。L=0.5は、中心Oと端部155bとの中間の位置を示している。図29〜図31では、Lが0≦L≦1の範囲のときの傾斜角αを示しているが、Lが−1≦L≦0の範囲のときの傾斜角αの値は、0≦L≦1の値の折り返し値となる。
【0125】
図29(a)は実施形態A1、図29(b)は実施形態A2、図30(a)は実施形態A3、図30(b)は実施形態A4、図31は実施形態A5を示している。実施形態A1〜A5に係る凸条部155の断面形状は、第1区間Aにおいて、傾斜角αが増加している。すなわち、中心Oから端部155b(L=1)側へ離れるほど、傾斜角αが大きくなっている。
【0126】
実施形態A1に係る凸条部155の断面形状は、第2区間Bにおいて、傾斜角αが増加するか、又は変化していない。具体的には、実施形態A1に係る凸条部155の断面形状は、0.20≦L<0.60の範囲において、傾斜角αが変化せず、一定である。実施形態A1に係る凸条部155の断面形状は、0.60≦L<0.65の範囲において、傾斜角αが増加している。
【0127】
実施形態A2〜A5に係る凸条部155の断面形状は、第2区間Bにおいて、傾斜角αが増加している。すなわち、中心Oから端部155b(L=1)側へ離れるほど、傾斜角αが大きくなっている。
【0128】
実施形態A1〜A5に係る凸条部155の断面形状は、第3区間Cにおいて、傾斜角αが増加している。すなわち、中心Oから端部155b(L=1)側へ離れるほど、傾斜角αが大きくなっている。
【0129】
図32は、凸条部155の断面形状の線分長さLとΔα/ΔLとの関係を示す図である。図32では、横軸に線分長さLを示し、縦軸にΔα/ΔLを示している。図32では、Lが0≦L≦1の範囲のときのΔα/ΔLを示しているが、Lが−1≦L≦0の範囲のときのΔα/ΔLの値は、0≦L≦1の値の折り返し値となる。ここでの線分長さLは、頂点(先端部)155aから端部155bまでの輪郭線に沿った長さを“1”とした場合の比率で示している。
【0130】
実施形態A1〜A5に係る凸条部155の断面形状は、第1区間Aにおいて、Δα/ΔLが150以上260未満である。実施形態A1〜A5に係る凸条部155の断面形状は、第2区間Bにおいて、Δα/ΔLが0以上30未満である。実施形態A1〜A5に係る凸条部155の断面形状は、第3区間Cにおいて、Δα/ΔLが5以上75未満である。
【0131】
(アスペクト比)
u軸方向の凸条部155の幅waは、通常、隣接する点光源61間の距離より小さい。幅waの例は、50μm〜2000μmであり、好ましくは、100μm〜1000μmであり、更に好ましくは、200μm〜800μmである。haは、凸条部155の両端部155b,155b間における最大高さに対応する。凸条部155のアスペクト比(ha/wa)は、凸条部155の幅waに対する最大高さhaの比である。凸条部155のアスペクト比は、0.3以上0.5未満である。
【0132】
複数の凸条部155の断面形状は、凸条部155間でほぼ同一である。しかしながら、複数の凸条部155の各々の断面形状は、上記式(17)〜(22)を満たす断面形状であれば異なっていてもよい。
【0133】
上記構成の凸条部155を有する導光板は、例えば、単層構造に限らず多層構造であってもよい。本実施形態において、凸条部155を有する導光板の板厚は、本体部の板厚とする。本体部の板厚は、凸条部155の頂部(先端部)155aと本体部における背面との間の距離であり、通常、0.5mm〜8mmであり、好ましくは、1mm〜6mmであり、更に好ましくは、1.5mm〜4mmである。
【0134】
また、本願発明では、出射面側に設けられる凸条部55の外形形状を、以下に示す凸条部255の外形形状となるように形成されてもよい。すなわち、複数の凸条部255の各々の延在方向に直交する断面において、当該凸条部255の断面における頂点(先端部)255aから輪郭線上の点Pまでの当該輪郭線に沿った長さをLとし、凸条部255の両端部をとおる軸をu軸とし、点Pにおける凸条部255の断面形状のu軸に対する傾き(絶対値)をαとしたとき、
−0.20<L<0.20の範囲において、下記式(26)及び(27)を満たし、
0<α…(26)
60≦Δα/ΔL<140…(27)
−0.65<L≦−0.20の範囲、及び0.20≦L<0.65の範囲において、下記式(28)及び(29)を満たし、
0≦α…(28)
0≦Δα/ΔL<30…(29)
−1.00<L≦−0.65の範囲、及び0.65≦L<1.00の範囲において、下記式(30)及び(31)を満たす形状となるように形成されてもよい。
0<α…(30)
10≦Δα/ΔL<110…(31)
【0135】
αおよびΔα/ΔLが上記の条件を満たす断面形状を有する複数の凸条部255が光出射面に形成された導光板においては、導光板の光入射面に入射された光は、凸条部255の延在方向に伝播されやすい。そのため、光の入射位置から導光板内を光が伝播した際に、光の広がりが抑制されるので、クロストークが低減され得る。なお、Lは、u軸方向における中央を0とし、中央から右へ進むほど増加し(L>0)、中央から左へ進むほど減少する(L<0)。
【0136】
凸条部255の外形形状は、−0.20<L<0.20の範囲において、下記式(32)を満たすことが好適である。
80≦Δα/ΔL<120…(32)
【0137】
凸条部255の外形形状は、−0.65<L≦−0.20の範囲、及び0.20≦L<0.65の範囲において、下記式(33)を満たすことが好適である。
0≦Δα/ΔL<20…(33)
【0138】
凸条部255の外形形状は、−1.00<L≦−0.65の範囲、及び0.65≦L<1.00の範囲において、下記式(34)を満たすことが好適である。
30≦Δα/ΔL<90…(34)
【0139】
凸条部255の外形形状は、凸条部255の幅をwaとし、凸条部255の最大高さをhaとしたとき、凸条部255のアスペクト比(ha/wa)が、0.15以上0.3未満であることが好ましい。
【0140】
このような凸条部255の外形形状の例である実施形態B1〜B5について、図33〜図37を使用して説明する。図33〜図37は、凸条部の延在方向に直交する断面形状の例を示す図面である。図33は実施形態B1、図34は実施形態B2、図35は実施形態B3、図36は実施形態B4、図37は実施形態B5を示している。図33〜図37においては、凸条部255の延在方向に直交する方向をu軸としてuv座標系を設定している。このuv座標系において、凸条部255の断面形状は、u軸上に両端部255b,255bを有する。uv座標系において、v軸は、u軸上における両端部255b,255b間の中心を通っている。図1及び図2に示した形態において、u軸方向はY軸方向である。また、v軸方向はZ軸方向である。
【0141】
uv座標系において、凸条部255の断面形状は、下記式(35)〜(40)を満たす。ただし、凸条部255のu軸方向の位置をwとし、位置wにおける凸条部255の断面形状のu軸に対する傾きをαとする。凸条部255の延在方向に直交する断面において、当該凸条部255の断面における頂点から輪郭線上の点Pまでの当該輪郭線に沿った長さをLとする。Δα/ΔLは、Lの変化量に対するαの変化量の比率である。傾きαは、位置w(点P)における凸条部255の断面形状の接線と、u軸とが交差する角度のうち、小さい方の角度(0≦α≦90)である。
【0142】
u軸方向において、凸条部255の中心O(0、0)から端部255bまでの長さを1とする。凸条部255の端部255bの位置は、w=−1,1となる。位置wは、中心Oから右へ進むほど増加し(w>0)、中心Oから左へ進むほど減少する(w<0)。また、v軸方向において、凸条部255の中心Oから端部255bの長さに対応する高さをhaとしている。位置wは、凸条部255の幅waで規格化された値であり、幅waに対する比率で位置を表現する値である。
【0143】
凸条部255の断面形状は、第1区間A(−0.20<L<0.20の範囲)において、下記式(35)及び(36)を満たす。
0<α…(35)
60≦Δα/ΔL<140…(36)
【0144】
第1区間Aにおいて、凸条部255の断面形状は、傾きαが増加する。換言すれば、中心Oから離れるほど傾きαが大きくなる。
【0145】
凸条部255の断面形状は、第2区間B(−0.65<L≦−0.20の範囲、及び0.20≦L<0.65の範囲)において、下記式(37)及び(38)を満たす。
0≦α…(37)
0≦Δα/ΔL<30…(38)
【0146】
第2区間Bにおいて、凸条部255の断面形状は、傾きαが増加するか、又は変化しない。換言すれば、中心Oから離れるほど傾きαが大きくなるか、又は一定である。
【0147】
凸条部255の断面形状は、第3区間C(−1.00<L≦−0.65の範囲、及び0.65≦L<1.00の範囲)において、下記式(39)及び(40)を満たす。
0<α…(39)
10≦Δα/ΔL<110…(40)
【0148】
第3区間Cにおいて、凸条部255の断面形状は、傾きαが増加する。換言すれば、中心Oから離れるほど傾きαが大きくなる。
【0149】
第1区間Aにおいて、Δα/ΔLは、下記式(41)を満たしていてもよい。
80≦Δα/ΔL<120…(41)
【0150】
第2区間Bにおいて、Δα/ΔLは、下記式(42)を満たしていてもよい。
0≦Δα/ΔL<20…(42)
【0151】
第3区間Cにおいて、Δα/ΔLは、下記式(43)を満たしていてもよい。
30≦Δα/ΔL<90…(43)
【0152】
図38は、凸条部255の断面形状の部分を示す図面である。凸条部255の外形上の任意の2点をP1,P2とした場合、ΔL=L2−L1(ただし、L2>L1)であり、Δα=α2−α1(ただし、α2≧α1)である。ただし、L1は、輪郭線上における点P1の位置であり、α1は、点P1における傾き(u軸との交差角度)である。同様に、L2は、輪郭線上における点P2の位置であり、α2は、点P2における傾き(u軸との交差角度)である。
【0153】
図39〜図41は、凸条部255の断面形状の輪郭線上における位置Lと傾斜角αとの関係を示す図である。図39〜図41では、横軸に位置Lを示し、縦軸に傾斜角α[deg]を示している。横軸において、L=0は、凸条部255の輪郭線上における中心を示す。凸条部255の断面形状は、L=0において、凸条部255の頂点(先端部255a)を形成すると共に、傾斜角α=0である。位置Lは、凸条部255の幅方向(u軸方向)における端部255bの位置をL=1として、比率で示されている。L=0.5は、中心Oと端部255bとの中間の位置を示している。図39〜図41では、Lが0≦L≦1の範囲のときの傾斜角αを示しているが、Lが−1≦L≦0の範囲のときの傾斜角αの値は、0≦L≦1の値の折り返し値となる。
【0154】
図39(a)は実施形態B1、図39(b)は実施形態B2、図40(a)は実施形態B3、図40(b)は実施形態B4、図41は実施形態B5を示している。実施形態B1〜B5に係る凸条部255の断面形状は、第1区間Aにおいて、傾斜角αが増加している。すなわち、中心Oから端部255b(L=1)側へ離れるほど、傾斜角αが大きくなっている。
【0155】
実施形態B1に係る凸条部255の断面形状は、第2区間Bにおいて、傾斜角αが増加するか、又は変化していない。具体的には、実施形態B1に係る凸条部255の断面形状は、0.20≦L<0.60の範囲において、傾斜角αが変化せず、一定である。実施形態B1に係る凸条部255の断面形状は、0.60≦L<0.65の範囲において、傾斜角αが増加している。
【0156】
実施形態B2〜B5に係る凸条部255の断面形状は、第2区間Bにおいて、傾斜角αが増加している。すなわち、中心Oから端部255b(L=1)側へ離れるほど、傾斜角αが大きくなっている。
【0157】
実施形態B1〜B5に係る凸条部255の断面形状は、第3区間Cにおいて、傾斜角αが増加している。すなわち、中心Oから端部255b(L=1)側へ離れるほど、傾斜角αが大きくなっている。
【0158】
図42は、凸条部255の断面形状の線分長さLとΔα/ΔLとの関係を示す図である。図42では、横軸に線分長さLを示し、縦軸にΔα/ΔLを示している。図42では、Lが0≦L≦1の範囲のときのΔα/ΔLを示しているが、Lが−1≦L≦0の範囲のときのΔα/ΔLの値は、0≦L≦1の値の折り返し値となる。ここでの線分長さLは、頂点(先端部)255aから端部255bまでの輪郭線に沿った長さを“1”とした場合の比率で示している。
【0159】
実施形態B1〜B5に係る凸条部255の断面形状は、第1区間Aにおいて、Δα/ΔLが60以上160未満である。実施形態B1〜B5に係る凸条部255の断面形状は、第2区間Bにおいて、Δα/ΔLが0以上30未満である。実施形態B1〜B5に係る凸条部255の断面形状は、第3区間Cにおいて、Δα/ΔLが10以上110未満である。
【0160】
(アスペクト比)
u軸方向の凸条部255の幅waは、通常、隣接する点光源61間の距離より小さい。幅waの例は、50μm〜2000μmであり、好ましくは、100μm〜1000μmであり、更に好ましくは、200μm〜800μmである。haは、凸条部255の両端部255b,255b間における最大高さに対応する。凸条部255のアスペクト比(ha/wa)は、凸条部255の幅waに対する最大高さhaの比である。凸条部255のアスペクト比は、0.15以上0.30未満である。
【0161】
複数の凸条部255の断面形状は、凸条部255間でほぼ同一である。しかしながら、複数の凸条部255の各々の断面形状は、上記式(35)〜(40)を満たす断面形状であれば異なっていてもよい。
【0162】
上記構成の凸条部255を有する導光板は、例えば、単層構造に限らず多層構造であってもよい。本実施形態において、凸条部255を有する導光板の板厚は、本体部の板厚とする。本体部の板厚は、凸条部255の頂部(先端部)255aと本体部における背面との間の距離であり、通常、0.5mm〜8mmであり、好ましくは、1mm〜6mmであり、更に好ましくは、1.5mm〜4mmである。
【0163】
また、上記実施形態では、凸条部55を含めて一体的に形成された導光板50について説明したが、本発明の導光板はこれに限定されるものではない。例えば、フォトポリマー法を用いて、図4に示す基準面51gより下の部分である板状の本体部に対して、基準面51gより上の部分である凸条部55を形成してもよい。
【0164】
また、図1に示した透過型画像表示装置10において、本発明の趣旨を逸脱しなければ、導光板50と透過型画像表示部20との間に他の光学部材を配置したりすることもできる。導光板50と透過型画像表示部20との間に設ける他の光学部材の例は、反射型偏光分離シート、光拡散シート、マイクロレンズシート、レンチキュラーレンズシート及びプリズムシートが含まれる。
【符号の説明】
【0165】
10…透過型画像表示装置、20…透過型画像表示部、21…液晶セル、22,23…偏光板、30…面光源装置、50…導光板、50a,50b…側面、51…本体部、51a…出射面(第1の面)、51b…背面(第2の面)、51c,51d…側面(入射面)、52…レンズ部、52a…先端部、52b…底部、55,155,255…凸条部(レンチキュラーレンズ)、60…光源部、61…点状光源、70…反射部。
【技術分野】
【0001】
本発明は導光板、面光源装置及び透過型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の透過型画像表示装置は、一般に、液晶表示パネルといった透過型画像表示部の背面側に配置され、透過型画像表示部にバックライトを供給する面光源装置を有する。このような面光源装置としてエッジライト型の面光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
エッジライト型の面光源装置は、透光性を有する導光板と、導光板の側方に配置され、導光板の側面に光を供給するための光源とを備える。導光板の背面側には、光を反射させるための白色ドットが設けられている。この構成では、光源から出力された光は、光源と対向する導光板の側面から導光板内に入射され、導光板内を全反射しながら伝搬する。導光板の背面側には、白色ドットが複数形成されている(例えば、特許文献1参照)ので、白色ドットで反射した光は導光板の透過型画像表示部側の出射面から出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−38768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、白色ドットを有する導光板では、導光板に入射させた光が十分に出射面から出射されず、輝度の向上を十分に図ることができないことがあった。
【0006】
そこで、本発明は、輝度の向上を図ることができる導光板並びにその導光板を含む面光源装置及び透過型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る導光板は、一方向に延在すると共に、一方向に略直交する方向に並列配置された複数の凸条部が形成された第1の面と、第1の面とは反対側の第2の面と、第1及び第2の面に交差する面であり、光が入射される入射面と、を有する板状の本体部と、本体部における第2の面に形成されており、第2の面から見て第1の面がある側とは反対側に凸である複数のレンズ部と、を備えている。
【0008】
本発明に係る面光源装置は、上述の導光板と、導光板における入射面と対向して配置されており、入射面に光を供給する光源部と、を備えている。
【0009】
また、本発明に係る透過型画像表示装置は、上述の導光板と、導光板における入射面と対向して配置されており、入射面に光を供給する光源部と、導光板の第1の面側に設けられており、導光板から出射される光により照明され画像を表示する透過型画像表示部と、を備えている。
【0010】
上記構成の導光板、面光源装置及び透過型画像表示装置において、導光板の入射面から入射した光は、導光板内を全反射しながら伝搬する。導光板内を伝搬する光が第2の面上に設けられたレンズ部に入射すると、レンズ部により全反射条件と異なる条件で反射する。よって、レンズ部で反射した光は本体部における第1の面から出射される。第1の面には凸条部が形成されているので、光出射効率が高くなる。これらの作用により、輝度が向上する。そして、本発明に係る透過型画像表示装置では、導光板上に透過型画像表示部が設けられているので、輝度がより高い光で透過型画像表示部が照明される。その結果、透過型画像表示部で表示される画像の輝度向上を図ることができる。
【0011】
また、本発明に係る導光板、面光源装置及び透過型画像表示装置では、第1の面に形成される凸条部をレンチキュラーレンズ又はプリズムとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、輝度の向上を図ることができる導光板並びにその導光板を含む面光源装置及び透過型画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る導光板の一実施形態を適用した透過型画像表示装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図1に示した導光板を背面側からみた場合の平面図である。
【図3】図1に示した導光板を光源側から見た場合の側面図である。
【図4】凸条部の外形形状の例を説明するための図面である。
【図5】凸条部の断面形状の例を示す図面である。
【図6】凸条部の断面形状の例を示す図面である。
【図7】凸条部の断面形状の例を示す図面である。
【図8】レンズ部の外形形状の例を説明するための図面である。
【図9】レンズ部の外形形状を規定する条件を示す図表である。
【図10】レンズ部の外形形状を示す図面である。
【図11】インクジェット法によって形成されたレンズ部のアスペクト比[hIIa/wIIa]ととがり方kIIaとを観察により算出した結果を示す図面である。
【図12】インクジェット法によって形成されたレンズ部のアスペクト比[hIIa/wIIa]ととがり方kIIaの範囲を示す図面である。
【図13】図12に示した、とがり方kIIaとアスペクト比[hIIa/wIIa]とで決まるレンズ形状の幅wIIaに対する先端部の曲率半径rIIを示す図表である。
【図14】図12に示した、とがり方kIIaとアスペクト比[hIIa/wIIa]とで決まるレンズ形状の幅wIIaに対する先端部の曲率半径rIIを示す図表である。
【図15】図12に示した、とがり方kIIaとアスペクト比[hIIa/wIIa]とで決まるレンズ形状の底部角度γIIを示す図表である。
【図16】図12に示した、とがり方kIIaとアスペクト比[hIIa/wIIa]とで決まるレンズ形状の底部角度γIIを示す図表である。
【図17】レンズ部の外形形状を規定する条件を示す図表である。
【図18】シミュレーションモデルを示す模式図である。
【図19】シミュレーションに用いた導光板の背面側に形成されたマイクロレンズの被覆率分布を示す図面である。
【図20】シミュレーションに用いた導光板の背面側に形成されたマイクロレンズの被覆率分布を示す図面である。
【図21】シミュレーションに用いた点状光源の指向特性を示す図面である。
【図22】シミュレーションの結果を示す図表である。
【図23】凸条部の他の断面形状の例(実施形態A1)を示す図面である。
【図24】凸条部の他の断面形状の例(実施形態A2)を示す図面である。
【図25】凸条部の他の断面形状の例(実施形態A3)を示す図面である。
【図26】凸条部の他の断面形状の例(実施形態A4)を示す図面である。
【図27】凸条部の他の断面形状の例(実施形態A5)を示す図面である。
【図28】凸条部の他の断面形状の部分を示す図面である。
【図29】凸条部の他の断面形状における線分長さLと傾斜角αとの関係(実施形態A1、A2)を示す図である。
【図30】凸条部の他の断面形状における線分長さLと傾斜角αとの関係(実施形態A3,A4)を示す図である。
【図31】凸条部の他の断面形状における線分長さLと傾斜角αとの関係(実施形態A5)を示す図である。
【図32】凸条部の他の断面形状の線分長さLとΔα/ΔLとの関係を示す図である。
【図33】凸条部の他の断面形状の例(実施形態B1)を示す図面である。
【図34】凸条部の他の断面形状の例(実施形態B2)を示す図面である。
【図35】凸条部の他の断面形状の例(実施形態B3)を示す図面である。
【図36】凸条部の他の断面形状の例(実施形態B4)を示す図面である。
【図37】凸条部の他の断面形状の例(実施形態B5)を示す図面である。
【図38】凸条部の他の断面形状の部分を示す図面である。
【図39】凸条部の他の断面形状における線分長さLと傾斜角αとの関係(実施形態B1、B2)を示す図である。
【図40】凸条部の他の断面形状における線分長さLと傾斜角αとの関係(実施形態B3,B4)を示す図である。
【図41】凸条部の他の断面形状における線分長さLと傾斜角αとの関係(実施形態B5)を示す図である。
【図42】凸条部の他の断面形状の線分長さLとΔα/ΔLとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。また、説明中、「上」、「下」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0015】
図1は、本発明に係る導光板の一実施形態を適用した透過型画像表示装置の概略構成を示す模式図である。図1では、透過型画像表示装置10の断面構成を分解して示している。透過型画像表示装置10は、携帯電話や各種電子機器の表示装置やテレビ装置として好適に利用することができる。
【0016】
透過型画像表示装置10は、透過型画像表示部20と、透過型画像表示部20に供給するための面状の光を出力する面光源装置30とを備える。以下、説明の便宜のため、図1に示すように、面光源装置30に対して、透過型画像表示部20が配列されている方向をZ軸方向又は正面方向と称する。また、Z軸方向に直交する2つの方向をX軸方向及びY軸方向と称する。X軸方向及びY軸方向は互いに直交する。
【0017】
透過型画像表示部20は、面光源装置30から出射される面状の光で照明されることによって画像を表示する。透過型画像表示部20の例は、液晶セル21の両面に直線偏光板22,23が配置された偏光板貼合体としての液晶表示パネルである。この場合、透過型画像表示装置10は、液晶表示装置(又は液晶テレビ)である。液晶セル21及び偏光板22,23は、従来の液晶表示装置等の透過型画像表示装置で用いられているものを用いることができる。液晶セル21の例は、TFT(Thin Film Transistor)型の液晶セルやSTN(SuperTwisted Nematic)型の液晶セル等である。
【0018】
面光源装置30は、透過型画像表示部20に対するバックライトを供給するエッジライト型のバックライトユニットである。面光源装置30は、導光板50と、導光板50の互いに対向する側面50a,50bのそれぞれに対向して配置された光源部60,60とを備える。
【0019】
光源部60,60は、ライン状に配列(図1では、Y軸方向に配列)された複数の点状光源61を有する。点状光源61の例は、発光ダイオードである。光源部60は、導光板50に光を効率的に入射するために、導光板50と反対側に、光を反射させる反射部としてのリフレクターを備えてもよい。ここでは、複数の点状光源61を有する光源部60を例示したが、光源部60は、冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)などの線状光源であってもよい。
【0020】
面光源装置30は、導光板50に対して透過型画像表示部20と反対側に位置する反射部70を備えてもよい。反射部70は、導光板50から反射部70側に出射された光を導光板50に再度入射させるためのものである。反射部70は、図1に示すようにシート状であってもよい。また、反射部70は、導光板50を収容する面光源装置30の筐体底面であって、鏡面加工を施された底面であってもよい。
【0021】
図1〜3を参照して、導光板50について説明する。図2は、図1に示した導光板50を背面側からみた場合の平面図である。図3は、図1に示した導光板50を左側面側からみた場合の左側面図である。導光板50の平面視形状の例は略長方形及び略正方形を含む。
【0022】
導光板50は、本体部51の出射面(第1の面)51aとなる側に凸条部55が形成された板状の本体部51と、凸条部55が形成された面とは反対側の本体部51の背面(第2の面)51bとなる側に形成された複数のレンズ部52とを有する。本体部51は、透光性材料(又は透明材料)からなる。透光性材料の屈折率の例は、1.46〜1.62である。透光性材料の例は、透光性樹脂材料、透光性ガラス材料である。透光性樹脂材料の例は、ポリカーボネート樹脂(屈折率:1.59)、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)(屈折率:1.56〜1.59)、ポリスチレン樹脂(屈折率:1.59)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)(屈折率:1.56〜1.59)、アクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率:1.46〜1.58)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(屈折率:1.49)などである。透光性樹脂材料としては、透明性の観点からPMMAがより好ましい。
【0023】
図1〜3に示すように、本体部51は、透過型画像表示部20と互いに対向する出射面51aと、出射面51aと反対側の背面51bと、出射面51a及び背面51bに交差する4つの側面51c,51d,51e,51fを有する。図1では、X軸方向において互いに対向している2つの側面51c及び51dを示している。側面51c及び側面51dは、光源部60と対向する上記側面50a及び側面50bでもある。この場合、側面51c及び側面51dは、光源部60からの光が入射される入射面である。本体部51が有する4つの側面51c,51d,51e,51fのうち残りの2つの側面51e,51f(図3参照)はY軸方向において互いに対向している。図1及び図3では、側面51c,51d,51e,51fと出射面51a及び背面51bとの配置関係の一例として、側面51c,51d,51e,51fのそれぞれが、出射面51a及び背面51bに略直交している状態を示している。
【0024】
次に、本体部51の出射面51a側に形成された凸条部55について説明する。ここでは、説明の簡略化のため、複数の凸条部55の大きさは同じであるとして説明する。凸条部55は、透明であり、導光板50内からの光を、透過型画像表示部20に向けて出射する。また、凸条部55の外形形状は、図3に示すようにレンチキュラーレンズの外形形状を有している。
【0025】
複数の凸条部55は、図1及び図3に示すX軸方向に沿って延在すると共に、Y軸方向において並列配置されている。凸条部55の延在方向に直交する断面形状はほぼ均一である。複数の凸条部55は、図3及び図4に示すように、短辺方向(Y軸方向)に隣接する凸条部55同士が一定の距離Sをあけて配置することができ、このときは互いに隣接する凸条部55の端である底部55bの間に平坦部55cが形成される。本体部51の出射面51aにおける複数の凸条部55の被覆率は、距離Sを変えることで調整することができる。例えば、短辺方向に隣接する凸条部55同士を隙間なく配置して、隣接する凸条部55の端である底部55bの位置を互いに一致(図4に示す距離Sが0)させれば、その被覆率は100%となる。本体部51の出射面51aにおける複数の凸条部55の被覆率は、通常50%〜100%である。
【0026】
次に、凸条部55の外形形状の種々の例について説明する。ここでは、説明の便宜のために、基準面51gを定義する。すなわち、基準面51gを、図4に示すように凸条部55の断面において、後述する底部55b同士を結ぶ線と平行な面(図4おいて一点鎖線で示す)、言い換えれば、凸条部55の底面を形成する平面と定義する。本実施形態では、導光板50における背面51b(図1参照)と基準面51gとは互いに平行となっている。
【0027】
例えば、凸条部55の外形形状は、以下に示すアスペクト比〔hIa/wIa〕、幅に対する曲率半径〔rI/wIa〕、底部角度γIの組み合わせによって規定される形状とすることができる。以下、図4を参照して、アスペクト比〔hIa/wIa〕、幅に対する曲率半径〔rI/wIa〕、底部角度γIについて説明する。
【0028】
(I)アスペクト比〔hIa/wIa〕
アスペクト比〔hIa/wIa〕とは、図4において、凸条部55の幅をwIa(μm)、凸条部55の最大高さをhIa(μm)としたとき、幅wIaに対する最大高さhIaの比である。
【0029】
(II)幅に対する曲率半径〔rI/wIa〕
幅に対する曲率半径〔rI/wIa〕とは、凸条部55の幅をwIa(μm)、凸条部55の先端部55aの曲率半径をrI(μm)としたとき、幅wIaに対する曲率半径rIの比である。先端部55aの曲率半径rIは、凸条部55の頂部としての先端部55aの曲がり具合を表すものである。例えば、先端部55aの曲率半径rIは、図4に示すように、先端部55aに接する円(図4中の破線で示す円)を仮定した場合の円の半径である。
(III)底部角度γI
底部角度γIは、延在方向に直交する断面での凸条部55の輪郭線と基準面51gとの交点の位置での凸条部55の接平面PIと基準面51gとの間のなす角度である。先端部55aに対して底部は凸条部55の裾部でもある。よって、底部角度γIは裾部角度でもある。
【0030】
図4は、凸条部55の延在方向に直交する断面の構成を示している。wIaは凸条部55の幅である。また、hIaは凸条部55の先端部55aの位置での厚さである。よって、上記アスペクト比[hIa/wIa]は、凸条部55の幅に対する先端部55aの位置での凸条部55の厚さ(又は高さ)、すなわち、[先端部位置での厚さ]/[凸条部の幅]に対応する。通常、先端部55aの位置での凸条部55の厚さは最大であるので、先端部55aの位置での凸条部55の厚さは凸条部55の最大厚さでもある。また、上記(II)に記載した比は、曲率半径rIと凸条部55の幅との比、すなわち、[曲率半径]/[凸条部の幅]に対応する。
【0031】
また、凸条部55の外形形状は、上記(I)〜(III)の条件に加え、凸条部55の輪郭線を下記式(1)で示す円錐曲線として規定することもできる。図5においては、図1及び図3に示す凸条部55の延在方向(X軸方向)に直交する並列方向(Y軸方向)をuI軸としてuIvI座標系を設定している。ここで、uI軸は、複数の凸条部55の並列方向に平行な軸(Y軸)に対応する。vI軸は、導光板50の厚み方向に平行な軸(Z軸)に対応する。このuIvI座標系のuIvI面において、凸条部55の断面形状は、両端部55b,55bがuI軸上に位置し、先端部55aがvI軸上に位置する。このとき凸条部55は、凸条部55に接する接平面PIと基準面51gとのなす角度が、凸条部55の底部55b側から先端部55a側にかけて単調に減少するような外形形状とすることができる。
【0032】
【数1】
【0033】
式(1)において、wIaは凸条部55のuI軸方向の長さであり、hIaは凸条部55をvI(uI)で示される形状とした場合における凸条部55の両端部55b,55b間における最大高さに対応する。kIaは凸条部55の先端部55aのとがり方を示すパラメータである。例えばとがり方kIaが0のとき、凸条部55の外形は放物線形状となり、とがり方kIaが1のとき、凸条部55の外形はプリズム形状となり、とがり方kIaが−1のとき、凸条部55の外形は楕円を半分に切った形状となる。
【0034】
さらに、凸条部55の外形形状は、凸条部55の輪郭線を所定の円錐曲線で表したとき、アスペクト比〔hIa/wIa〕と、とがり方kIaとの組み合わせにより規定することができる。これらの組み合わせの一例としては、以下の(A)、(B)などが挙げられる。
(A)hIa/wIa=0.390、kIa=−0.390
(B)hIa/wIa=0.232、kIa= 0.021
【0035】
図5は、上記(A)の組み合わせ(hIa/wIa=0.390、kIa=−0.390)によって規定される断面形状を示している。図6は、上記(B)の組み合わせ(hIa/wIa=0.232、kIa=0.021)によって規定される断面形状を示している。本体部51の出射面51aにおける複数の凸条部55の被覆率は、短辺方向(Y軸方向)に隣接する凸条部55同士の距離Sを調整して適宜設定することができる。凸条部55の断面形状は、vI軸に対して対称な輪郭線を有している。幅wIaの例は、10μm以上2mm以下であり、好ましくは20μm以上1mm以下であり、より好ましくは50μm以上600μm以下である。
【0036】
また、凸条部55の外形形状は、以下の(C)に示すアスペクト比〔hIa/wIa〕と、とがり方kIaとの組み合わせにより規定することもできる。
(C)hIa/wIa=0.500、kIa=1.000
図7は、上記(C)の組み合わせ(hIa/wIa=0.500、kIa=1.000)によって規定される断面形状を示している。この場合も、本体部51の出射面51aにおける複数の凸条部55の被覆率は、短辺方向(Y軸方向)に隣接する凸条部55同士の距離Sを調整して適宜設定することができる。凸条部55の断面形状は、vI軸に対して対称な輪郭線を有している。幅wIaの例は、10μm以上2mm以下であり、好ましくは20μm以上1mm以下であり、より好ましくは50μm以上600μm以下である。
【0037】
次に、レンズ部52について説明する。説明の簡略化のため、複数のレンズ部52の大きさは同じであるとして説明する。図1及び図2に示すように、複数のレンズ部52は、本体部51の背面51b上に形成されている。レンズ部52は、透明であり、導光板50内を伝搬する光を出射面51a側から出射するためのものである。また、各レンズ部52の外形形状はドーム状である。
【0038】
複数のレンズ部52は、図2に示すように、本体部51の短辺方向(Y軸方向)及び長辺方向(X軸方向)に格子状に配列されており、導光板50の出射面51aからの出射光量均斉度が95%となるように最適化された被覆率分布となっている。このような出射光量均斉度を満たすような一例として、背面51bの中央部での正方格子に対する1つのレンズ部52の被覆率を78.54%とすることができる。レンズ部52は、千鳥格子状、六方細密格子状に配置することも可能である。また、各格子に該当する箇所であってもレンズ部52を成形しないようにして被覆率を調整することもできる。
【0039】
次に、各レンズ部52の形状について説明する。図8は、レンズ部52の外形形状の例を説明するための図面であり、レンズ部52の中心軸線CIIを含む導光板50の断面構成の模式図である。レンズ部52において、レンズ部52の頂部をレンズ部52の先端部52aと称し、レンズ部52の裾部をレンズ部52の底部52bと称する。本実施形態では、レンズ部52の形状は、図8に示した断面形状を、中心軸線CIIを回転軸として回転させた形状であるとする。よって、レンズ部52の形状は、中心軸線CIIを含む任意の断面において左右対称となる。また、レンズ部52は、レンズ部52に接する接平面PIIと背面51bとのなす角度が、レンズ部52の底部52b側から先端部52a側にかけて単調に減少するような外形形状を有している。
【0040】
レンズ部52の外形形状の種々の例について説明する。例えば、レンズ部52の外形形状は、図9の図表に示すアスペクト比〔hIIa/wIIa〕、幅に対する曲率半径〔rII/wIIa〕、底部角度γIIの組み合わせによって規定される形状とすることができる。以下、図8を参照して、アスペクト比〔hIIa/wIIa〕、幅に対する曲率半径〔rII/wIIa〕、底部角度γIIについて説明する。
【0041】
(I)アスペクト比〔hIIa/wIIa〕
アスペクト比〔hIIa/wIIa〕とは、図8において、レンズ部52の幅をwIIa(μm)、レンズ部52の最大高さをhIIa(μm)としたとき、幅wIIaに対する最大高さhIIaの比である。
【0042】
(II)幅に対する曲率半径〔rII/wIIa〕
幅に対する曲率半径〔rII/wIIa〕とは、レンズ部52の幅をwIIa(μm)、レンズ部52の先端部52aの曲率半径をrII(μm)としたとき、幅wIIaに対する曲率半径rIIの比である。先端部52aの曲率半径rIIは、レンズ部52の頂部としての先端部52aの曲がり具合を表すものである。例えば、先端部52aの曲率半径rIIは、図8に示すように、先端部52aに接する円(図8中の破線で示す円)を仮定した場合の円の半径である。
(III)底部角度γII
底部角度γIIは、中心軸線CIIをとおる断面でのレンズ部52の輪郭線と背面51bとの交点の位置でのレンズ部52の接平面PIIと背面51bとの間のなす角度である。この底部角度γIIは、レンズ部52を液滴とみなした場合の接触角に対応する。また、先端部52aに対して底部52bはレンズ部52の裾部でもある。よって、底部角度γIIは裾部角度でもある。
【0043】
以下、図9の図表に示したアスペクト比[ha/wa]に基づいた場合分けに応じてレンズ部52が満たす外形形状の条件を具体的に例示する。
【0044】
(1)0.07≦hIIa/wIIa<0.09の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.8594≦rII/wIIa≦1.7969且つ12.46≦γII≦20.69
【0045】
(2)0.09≦hIIa/wIIa<0.11の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.5625≦rII/wIIa≦1.4375且つ14.48≦γII≦25.26
【0046】
(3)0.11≦hIIa/wIIa<0.13の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.4688≦rII/wIIa≦1.1979且つ17.22≦γII≦29.52
【0047】
(4)0.13≦hIIa/wIIa<0.15の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.4018≦rII/wIIa≦1.4732且つ19.88≦γII≦58.14
【0048】
(5)0.15≦hIIa/wIIa<0.17の場合
レンズ部52の外形形状は、r/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.2734≦rII/wIIa≦1.2891且つ21.22≦γII≦61.44
【0049】
(6)0.17≦hIIa/wIIa<0.19の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.2431≦rII/wIIa≦1.1458且つ23.59≦γII≦64.16
【0050】
(7)0.19≦hIIa/wIIa<0.21の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.2188≦rII/wIIa≦1.2188且つ25.88≦γII≦86.33
【0051】
(8)0.21≦hIIa/wIIa<0.23の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.3125≦rII/wIIa≦1.1080且つ31.28≦γII≦86.68
【0052】
(9)0.23≦hIIa/wIIa<0.25の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.2865≦rII/wIIa≦1.0156且つ33.53≦γII≦86.96
【0053】
(10)0.25≦hIIa/wIIa<0.27の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.4567≦rII/wIIa≦0.9375且つ44.76≦γII≦87.20
【0054】
(11)0.27≦hIIa/wIIa<0.29の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.6920≦rII/wIIa≦0.7813且つ68.14≦γII≦77.44
【0055】
(12)0.29≦hIIa/wIIa<0.31の場合
レンズ部52の外形形状は、rII/wIIa及びγII(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.6458≦rII/wIIa≦0.7292且つ69.47≦γII≦78.25
【0056】
図8は、レンズ部52の中心軸線CIIを含む断面の構成を示しているので、幅wIIaはレンズ部52の最大幅に対応する。また、hIIaはレンズ部52の先端部52aの位置での厚さである。よって、上記アスペクト比[hIIa/wIIa]は、レンズ部52の最大幅に対する先端部52aの位置でのレンズ部52の厚さ(又は高さ)、すなわち、[先端部位置での厚さ]/[レンズ部の最大幅]に対応する。通常、先端部52aの位置でのレンズ部52の厚さは最大であるので、先端部52aの位置でのレンズ部52の厚さはレンズ部52の最大厚さでもある。また、上記(II)に記載した比は、曲率半径rIIとレンズ部52の最大幅との比、すなわち、[曲率半径]/[レンズ部の最大幅]に対応する。
【0057】
また、レンズ部52の外形形状は、図10に示すようにレンズ部52の中心軸線CIIを含むレンズ部52の断面構成において、レンズ部52の輪郭線を円錐曲線として規定することもできる。具体的には、図10に示すように、uIIvII座標系を設定し、レンズ部52の断面形状を下記式(2)で示す円錐曲線vII(uII)により規定することができる。uIIvII座標系のvII軸は図8におけるレンズ部52の中心軸線CIIに対応する。また、uII軸は図1及び図2に示すX軸方向に対応する。
【数2】
【0058】
式(2)において、kIIaは、式(2)で表される円錐曲線のとがり方を示すパラメータであり、レンズ部52の先端部52aのとがり方を表している。例えばとがり方kIIaが0のとき、レンズ部52の外形は放物線形状となり、とがり方kIIaが1のとき、レンズ部52の外形はプリズム形状となり、とがり方kIIaが−1のとき、レンズ部52の外形は楕円を半分に切った形状となる。
【0059】
さらに、レンズ部52の外形形状は、レンズ部52の輪郭線を所定の円錐曲線として表したとき、アスペクト比[hIIa/wIIa]と、とがり方kIIaとの組み合わせにより規定することができる。これらの組み合わせの一例としては、以下の(a)〜(c)などの組み合わせが挙げられる。
(a)hIIa/wIIa=0.220、kIIa=0.200
(b)hIIa/wIIa=0.120、kIIa=0.400
(c)hIIa/wIIa=0.220、kIIa=0.000
【0060】
幅wIIaの例は、5μm以上1mm以下であり、好ましくは、10μm以上500μm以下である。このようなサイズのレンズ部52は、いわゆるマイクロレンズである。
【0061】
レンズ部52及び凸条部55の材料は、本体部51と同じ材料とすることができる。また、レンズ部52及び凸条部55の材料は、透光性材料であれば、本体部51の材料と異なっていてもよい。
【0062】
上記構成の導光板50の本体部51は、単独の透光性材料で構成された単層の板状体であってもよいし、互いに異なる透光性材料で構成された層が積層された多層構造の板状体でもよい。なお、レンズ部52及び凸条部55の材料が本体部51と同じ場合は、導光板50が単独の透光性材料で構成された板状体とすることができる。
【0063】
更に、本体部51、レンズ部52及び凸条部55を構成する透光性材料として透光性樹脂材料を用いる場合、この透光性樹脂材料に紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、加工安定剤、難燃剤、滑剤等の添加剤を添加することもできる。これらの添加剤はそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、導光板50に紫外線吸収剤が添加されていれば、光源部60から出力される光に紫外線が多く含まれている場合などにおいて、紫外線による導光板50の劣化を防止できるため好ましい。
【0064】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられ、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤である。
【0065】
透光性樹脂材料は、通常、添加剤として光拡散剤を添加することなく用いられるが、本発明の趣旨を逸脱しない僅かな量であれば、光拡散剤を添加して用いてもよい。
【0066】
光拡散剤として、通常は、導光板50、具体的には、本体部51、レンズ部52及び凸条部55を主に構成する上述したような透光性材料(又は透明材料)とは屈折率が異なる粉末が用いられ、これを透光性材料中に分散させて用いられる。かかる光拡散剤としては、例えばスチレン樹脂粒子、メタクリル樹脂粒子などの有機粒子、炭酸カリウム粒子、シリカ粒子等の無機粒子が用いられ、その粒子径は通常0.8μm〜50μmである。
【0067】
上記レンズ部52及び凸条部55を備えた導光板50は、インクジェット印刷(インクジェット法)、フォトポリマー法、押出成形又は射出成形などにより製造することができる。
【0068】
インクジェット印刷(インクジェット法)やフォトポリマー法を用いて導光板50を製造する際には、レンズ部52及び凸条部55の材料として、紫外線硬化樹脂を利用することができ、紫外線硬化樹脂としては、アクリル系紫外線硬化樹脂を用いることができる。
【0069】
レンズ部52の材料をアクリル系紫外線硬化樹脂とし、インクジェット法を利用する場合の導光板50の製造方法の一例について説明する。この場合、まず、出射面51a側に凸条部55を有する板状体としての本体部51を押出成形又は射出成形などにより形成する。次に、このように形成した本体部51の背面51bとなるべき面に、インクジェットヘッドを操作しながら、紫外線硬化樹脂を滴下(印刷)する。次いで、紫外線を紫外線硬化樹脂に照射して硬化させることでレンズ部52とする。
【0070】
レンズ部52の形成にインクジェット法を採用した場合、他の印刷手法の例であるスクリーン印刷において必須の原版などが不要となる。複数のレンズ部52は、通常、設計工程及び試作工程を適宜繰り返して、出射面51aから出射される光の輝度が高くなるように所定のドットパターンで配置される。原版を有しないインクジェット法では、上記所定のドットパターンの決定に要する時間を短縮できる。その結果、導光板50をより効率的に製造し得る。
【0071】
次に、上記インクジェット法によりレンズ部52を印刷した場合に形成されるレンズの形状について説明する。ここでは、1つのレンズ部52を形成するために滴下するインクの回数(ドロップ回数)、本体部51の背面となる面に施す撥液処理をそれぞれ変えながら、以下の条件で形成した場合のレンズ部52の形状について観察を行った。
条件1:撥液コートが施された面に対し、ドロップ回数を固定して印刷
条件2:撥液コートが施された面に対し、ドロップ回数を変えながら印刷
条件3:フッ化プラズマ処理が施された面に対し、ドロップ回数を変えながら印刷
【0072】
上記条件1〜3によって印刷されたレンズ部52をそれぞれ観察し、アスペクト比[hIIa/wIIa]及びとがり方kIIaをそれぞれ算出した。この観察による算出結果を図11(a)〜(c)に示す。図12は、図11(a)〜(c)のそれぞれの観察による算出結果を一つの表にまとめたものである。図12に示されるアスペクト比[hIIa/wIIa]ととがり方kIIaとの分布に基づけば、インクジェット法により印刷されたレンズ部52の形状が、図12に示す枠内に示すアスペクト比[hIIa/wIIa]及びとがり方kIIaの範囲内のものになることが分かる。
【0073】
また、上記観察による算出結果から得ることができる、とがり方ka及びアスペクト比[hIIa/wIIa]で規定されるレンズ形状と幅に対する曲率半径〔rII/wIIa〕との関係、並びにとがり方ka及びアスペクト比[hIIa/wIIa]で規定されるレンズ形状と幅に対する底部角度γIIとの関係について、それぞれ図13及び図14、図15及び図16に示す。図13及び図15は、とがり方kIIaが0.1以上且つ0.9以下の範囲を示している。図14及び図16は、kIIaが−0.9以上且つ0以下の範囲を示している。図13〜図16において、ハッチングが付されたセルは、図12における枠内のアスペクト比[hIIa/wIIa]及びとがり方kIIaで規定されるレンズ形状と対応する。
【0074】
図12〜図16に基づけば、インクジェット法により印刷することができるレンズ部52の形状を例示することができる。具体的には上記実施形態において例示したレンズ部52の形状、すなわち図9に示した図表内の組み合わせの何れかによって規定される形状とすることができる。言い換えれば、図9に示した図表内の組み合わせの何れかによって規定されるレンズ部52の形状は、インクジェット法により印刷することができるので、導光板50の本体部51にレンズ部52を形成する際に、容易に形成することができる形状といえる。
【0075】
また、レンズ部52の外形形状は、図9の図表に示したアスペクト比〔hIIa/wIIa〕、幅に対する曲率半径〔rII/wIIa〕及び底部角度γIIの組み合わせで規定される形状の範囲において、レンズ部52の輪郭線を上記式(2)で表される円錐曲線としたとき、とがり方を示すパラメータkIIaの条件をさらに追加することもできる。以下、図17の図表に示したアスペクト比[hIIa/wIIa]ごとにレンズ部52が満たす外形形状の条件を具体的に例示する。
【0076】
(1)0.07≦hIIa/wIIa<0.09の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.15≦kIIa≦0.45を満たす形状である。
(2)0.09≦hIIa/wIIa<0.11の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.15≦kIIa≦0.55を満たす形状である。
(3)0.11≦hIIa/wIIa<0.13の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.15≦kIIa≦0.55を満たす形状である。
(4)0.13≦hIIa/wIIa<0.15の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.65≦kIIa≦0.55を満たす形状である。
(5)0.15≦hIIa/wIIa<0.17の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.65≦kIIa≦0.65を満たす形状である。
(6)0.17≦hIIa/wIIa<0.19の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.65≦kIIa≦0.65を満たす形状である。
【0077】
(7)0.19≦hIIa/wIIa<0.21の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.95≦kIIa≦0.65を満たす形状である。
(8)0.21≦hIIa/wIIa<0.23の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.95≦kIIa≦0.45を満たす形状である。
(9)0.23≦hIIa/wIIa<0.25の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.95≦kIIa≦0.45を満たす形状である。
(10)0.25≦hIIa/wIIa<0.27の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.95≦kIIa≦0.05を満たす形状である。
(11)0.27≦hIIa/wIIa<0.29の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.75≦kIIa≦−0.55を満たす形状である。
(12)0.29≦hIIa/wIIa<0.31の場合
レンズ部52の外形形状は、−0.75≦kIIa≦−0.55を満たす形状である。
【0078】
ここでは、上記レンズ形状について、インクジェット法により印刷することができるレンズ部52として説明をしたが、前述したように、インクジェット法以外の押出成形や射出成形などによっても上記レンズ形状のレンズ部52を形成することもできる。この場合には、図9及び図17の図表に示される範囲以外の形状とすることもできる。
【0079】
また、押出成形や射出成形などによって、レンズ部52及び凸条部55が形成された導光板50を製造することもできる。この場合、レンズ部52及び凸条部55の材料は、本体部51の材料と同じになる。また、凸条部55を有する板状体としての本体部51、凸条部55及びレンズ部52が形成された導光板50は、例えば透光性材料(又は透明材料)からなる板材を削り出す方法により製造することもできる。
【0080】
次に、上記導光板50の作用効果について、図1に示すように面光源装置30の一部として透過型画像表示装置10に適用した場合を例にして説明する。
【0081】
光源部60が有する点状光源61を発光させると、点状光源61からの光は、点状光源61に対向する導光板50の側面50aから導光板50に入射する。導光板50に入射した光は、導光板50内を全反射しながら伝搬する。導光板50内を伝搬する光が、レンズ部52に入射すると、レンズ部52内では光が全反射条件以外の条件で反射する。そのため、レンズ部52内で反射した光は出射面51aから出射される。出射面51aには凸条部55が形成されているので、出射面に凸条部が形成されていない導光板に比べ、光出射効率が高めることができる。これらの作用により輝度が向上する。そして、本実施形態の透過型画像表示装置10では、導光板50上に透過型画像表示部20が設けられているので、輝度がより高い光で透過型画像表示部20が照明される。その結果、透過型画像表示部20で表示される画像の輝度向上を図ることができる。
【0082】
次に、レンズ部52と凸条部55とが形成された導光板50の光出射効率が、従来の導光板と比べて高くなる点についてシミュレーション結果に基づいて説明する。ただし、本発明はこれらシミュレーションに限定されるものではない。
【0083】
図18は、シミュレーションモデルを示す模式図である。説明の便宜のため、図1に示した構成要素に対応する構成要素には、導光板50MのようにMを付して記載する。シミュレーションは、図18に示したように、後段にて詳述する評価の対象となる導光板50Mの側面50Ma(51Mc),50Mb(51Md)に対向する位置にそれぞれ点状光源61M,61Mを配置すると共に、導光板50Mの下方に反射部70Mとしての反射シートを配置したモデルにおいて、光線追跡法を用いて光出射効率Eを算出した。
【0084】
シミュレーション条件は、次のとおりである。
・導光板50Mの構成材料:凸条部55Mを有する本体部51M及びレンズ部52MはいずれもPMMA(屈折率:1.49)を仮定
・導光板50Mの平面視形状(板厚方向からみた形状):長方形
・導光板50Mの長辺の長さW1:540mm
・導光板50Mの短辺の長さW2: 20mm
・本体部51Mの厚さt:3mm
・導光板50Mのレンズ部52Mの先端部52Maと反射部70Mとの間の距離:0.1mm
・反射部70M:ソニー株式会社製「KDL40EX7」に使用されているバックライトユニットから取り出した白色反射板と同等の反射特性を仮定
・点状光源61Mから出射される光の波長:550nmを仮定
・点状光源61Mと導光板50Mとの距離:0.05mm
なお、本体部51Mの側面51Me及び側面51Mfでは周期的境界条件を仮定した。すなわち、側面51Me及び51Mfでは光はすべて反射し導光板50M内に戻るとした。このように、導光板50Mにおける短辺方向(Y軸方向)に周期的境界条件を設けることによって、短辺方向の長さが実質的に無限の導光板を想定したシミュレーションを実施していることになる。
【0085】
このような条件の下、評価の対象となる導光板50Mに入射する光の量Eiに対する出射面51Maからの全ての出射光の量Eoの比を算出することで光出射効率E(=Eo/Ei)を得た。
【0086】
次に、評価の対象となる導光板50Mについて説明する。評価対象となる導光板50Mとしては、出射面51Ma側の形状と背面51Mb側の形状とが下記の表1に示す組み合わせであるケース1〜ケース12の12種類の導光板50Mを想定した。
【表1】
【0087】
<出射面51Ma側>
ケース1〜ケース6の導光板50Mは、出射面51Ma側に、凸条部としてのレンチキュラーレンズ55Mが形成されたものを想定した。具体的には、図18に示すように、短辺方向に隣接するレンチキュラーレンズ55M同士が所定の間隔をあけて配置されているものを想定する。ここでは、レンチキュラーレンズ55Mの幅wIaを475μm、レンチキュラーレンズ55M同士の間隔Sを25μm、本体部51Mの出射面51Maにおける複数のレンチキュラーレンズ55Mの被覆率を95%に設定した。
【0088】
ケース7〜ケース9の導光板50Mは、出射面51Ma側に、凸条部としてのプリズム55Mを形成した。具体的には、図18におけるレンチキュラーレンズ55Mに代えて図7に示すプリズム55Mとし、短辺方向に隣接するプリズム55M同士が隙間なく配置されているものを想定する。ここでは、プリズム55Mの幅wIaを500μm、プリズム55M同士の間隔Sを0μm、本体部51Mの出射面51Maにおける複数のプリズム55Mの被覆率を100%に設定した。
【0089】
レンチキュラーレンズ55M及びプリズム55Mの断面形状は、下記式(3)で示される円錐曲線として規定したとき、アスペクト比hIa/wIa及びとがり方kIaをそれぞれ表1に示すものを想定した。
【数3】
【0090】
一方、ケース10〜ケース12の導光板50Mの出射面51Ma側には、凸条部としてのレンチキュラーレンズ55M又はプリズム55Mが形成されておらず、出射面51Maは略平坦となっているものを想定した。
【0091】
<背面51Mb側>
ケース1〜ケース12の導光板50Mの背面51Mb側には、レンズ部としてのマイクロレンズ52Mを一定間隔で配置した。具体的には、複数の正方形が配列されてなる正方格子を背面51Mbに対して設定し、正方格子の構成単位である各正方形に一つのレンズ部52Mを配置した。また、マイクロレンズ52Mは、出射面51Ma側に複数のレンチキュラーレンズ55Mが被覆率100%で配置されているとして、出射光量均斉度が95%以上となるように最適化した被覆率分布で配置した。図19は、ケース1〜ケース6におけるマイクロレンズ52Mの被覆率分布の例であり、横軸に導光板50Mの中心部からの距離(mm)を示し、縦軸に被覆率(%)を示している。図20は、ケース7〜ケース12におけるマイクロレンズ52Mの被覆率分布の例であり、横軸に導光板50Mの中心部からの距離(mm)を示し、縦軸に被覆率(%)を示している。図19及び図20によれば、いずれのケースにおいても、背面51MbにおけるX軸方向中心部での正方格子に対する1つのマイクロレンズ52Mの被覆率は74.61%となっている。
【0092】
マイクロレンズ52Mの断面形状は、下記式(4)で示す円錐曲線として規定したとき、アスペクト比hIIa/wIIa及びとがり方kIIaをそれぞれ表1に示すものとした。
【数4】
【0093】
次に、点状光源61Mについて詳細に説明する。点状光源61M,61Mは、導光板50Mの短辺方向にそれぞれ2つ配置されており、それぞれの端部からの距離L1が5mmであり、互いの光源間隔L2が10mmである。点状光源61Mは、横方向(奥行き方向)の長さが5.5mm、縦方向(導光板の厚み方向)の長さが2mmの大きさの面光源である。
【0094】
図21は、点状光源61Mの指向特性(配光特性)の一例を示す図面である。図21の横軸は出射角度θ(°)を示しており、縦軸は、最大の出射光強度で規格化した規格化出射光強度を示している。本実施形態において、θ=0は、図1におけるX軸方向に対応する。点状光源61Mは、いわゆるランバーシアン(Lambertian)型の光源を仮定し、点状光源61Mの例としては、発光ダイオードが挙げられる。ランバーシアン型の光源は、出射光強度が最大である最大出射光強度の出射角度が0°付近(正面方向)にあり、正面方向からの傾き(出射角度)が大きくなるにしたがって略単調減少していくという特徴を有している。図21中のPDは、理論的な完全拡散の場合の指向特性を示しており、本シミュレーションにおいてはこの特性が得られる光源を仮定した。
【0095】
ケース1〜ケース12のそれぞれの導光板50Mについて、上記シミュレーションを行った結果を図22の図表に示す。図22の図表において、各シミュレーション結果を示す欄における数値は光出射効率E(%)を示している。
【0096】
出射面51Ma側に凸条部としてのレンチキュラーレンズ55M又はプリズム55Mが形成されたケース1〜ケース9のそれぞれの導光板50Mの光出射効率Eは、出射面51Ma側に凸条部としてのレンチキュラーレンズ55M又はプリズム55Mがないケース10〜ケース12のそれぞれの導光板50Mの光出射効率Eに比べ高いことが確認できた。これにより、出射面51Ma側にレンチキュラーレンズ55M又はプリズム55Mなどの凸条部を形成することで、光出射効率Eが高められる。すなわち、出射効率の高い導光板50Mを面光源装置に用いることで、輝度の向上が図れることが確認できた。
【0097】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態及び上記シミュレーションに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0098】
上記実施形態では、背面51b上に形成されている複数のレンズ部52が、図9に示すアスペクト比〔hIIa/wIIa〕、幅に対する曲率半径〔rII/wIIa〕及び底部角度γIIの組み合わせで規定される形状の範囲とすることができるとして説明した。しかしながら、背面51b上に形成されている複数のレンズ部のうち、少なくも半分以上のレンズ部が上記実施形態で説明したレンズ部52であればよい。換言すれば、背面51bに形成される複数のレンズ部は、その半分が上記レンズ部52としての第1のレンズ部と、残りの半分が上記実施形態で説明した条件を満たしていない第2のレンズ部とから構成されていてもよい。レンズ部52としての第1のレンズ部の数と、上記第2のレンズ部との数の比は、6:4でもよい。
【0099】
また、レンズ部52の形状は、図8に例示したように、レンズ部52の接平面と背面51bとのなす角度が、レンズ部52の底部側から先端部側にかけて単調に減少する形状を有することが好ましい。しかしながら、レンズ部52は、図9の図表に示したhIIa/wIIa、rII/wIIa及びγIIで示した組み合わせで規定される形状を有していれば、レンズ部52の接平面と背面51bとのなす角度との先端部52a側にかけて単調に減少していなくてもよい。
【0100】
更に、光源部60の配置位置は、2つの箇所に限定されない。例えば、光源部60は、一箇所に配置することもできる。この場合、光源部60は、図1に示した側面51c及び側面51dのうちの一方に配置される。光源部60からの光が入射される一方の側面と対向する他方の側面には、光漏れを防止するための、ミラーテープや白色拡散テープなどの反射テープが貼付されてもよい。
【0101】
また、上記シミュレーションにおいては、理論的な完全拡散の場合の指向特性を有する点状光源61の例を示したが、本実施形態の面光源装置30、透過型画像表示装置10ではこれに限定されるものではない。例えば、図21に示すように、完全拡散を示す指向特性PDに対して、出射角度が30°のとき−0.6%、出射角度が60°のとき−11.0%ずれるような曲線PD1(図21において点線で示す)と、出射角度が30°のとき6.9%、出射角度が60°のとき16.4%ずれるような曲線PD2(図21において破線で示す)との間の領域の出射角度と規格化放射強度とを満たすランバーシアン型の指向特性を有する点状光源であればよい。
【0102】
また、上記実施形態では、凸条部55の外形形状の一例として、(I)アスペクト比〔hIa/wIa〕、(II)幅に対する曲率半径〔rI/wIa〕及び(III)底部角度γIによって特定できる外形形状の例を挙げて説明した。また、この条件に加えて、凸条部55の輪郭線を下記式(5)で示す円錐曲線として規定できることも説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0103】
【数5】
【0104】
例えば、凸条部55の延在方向に直交する断面にuIvI座標系を設定(uI軸方向をX軸方向、vI軸方向をZ軸方向に設定)したとき、凸条部55の断面形状を、下記式(6)を満足するvI(uI)で表すこともできる。
【数6】
ただし、式(6)において、vI0(uI)は、
【数7】
を満たす。式(7)は、上記式(1)と同様、wIaは凸条部55のuI軸方向の長さであり、hIaは凸条部55をvI0(uI)で示される形状とした場合における凸条部55の両端部55b,55b間における最大高さに対応する。kIaは凸条部55の先端部55aのとがり方を示すパラメータである。例えばとがり方kIaが0のとき、凸条部55の外形は放物線形状となり、とがり方kIaが1のとき、凸条部55の外形はプリズム形状となり、とがり方kIaが−1のとき、凸条部55の外形は楕円を半分に切った形状となる。
【0105】
また、本願発明では、出射面側に設けられる凸条部55の外形形状が、以下に示す凸条部155の外形形状となるように形成されてもよい。すなわち、複数の凸条部155の各々の延在方向に直交する断面において、当該凸条部155の断面における頂点(先端部)155aから輪郭線上の点Pまでの当該輪郭線に沿った長さをLとし、凸条部155の両端部をとおる軸をu軸とし、点Pにおける凸条部155の断面形状のu軸に対する傾き(絶対値)をαとしたとき、
−0.20<L<0.20の範囲において、下記式(8)及び(9)を満たし、
0<α…(8)
150≦Δα/ΔL<260…(9)
−0.65<L≦−0.20の範囲、及び0.20≦L<0.65の範囲において、下記式(10)及び(11)を満たし、
0≦α…(10)
0≦Δα/ΔL<30…(11)
−1.00<L≦−0.65の範囲、及び0.65≦L<1.00の範囲において、下記式(12)及び(13)を満たす形状となるように形成されてもよい。
0<α…(12)
5≦Δα/ΔL<75…(13)
【0106】
αおよびΔα/ΔLが上記の条件を満たす断面形状を有する複数の凸条部155が光出射面に形成された導光板においては、導光板の光入射面に入射された光は、凸条部155の延在方向に伝播されやすい。そのため、光の入射位置から導光板内を光が伝播した際に、光の広がりが抑制されるので、クロストークが低減され得る。なお、Lは、u軸方向における中央を0とし、中央から右へ進むほど増加し(L>0)、中央から左へ進むほど減少する(L<0)。
【0107】
凸条部155の外形形状は、−0.20<L<0.20の範囲において、下記式(14)を満たすことが好適である。
170≦Δα/ΔL<240…(14)
【0108】
凸条部155の外形形状は、−0.65<L≦−0.20の範囲、及び0.20≦L<0.65の範囲において、下記式(15)を満たすことが好適である。
0≦Δα/ΔL<20…(15)
【0109】
凸条部155の外形形状は、−1.00<L≦−0.65の範囲、及び0.65≦L<1.00の範囲において、下記式(16)を満たすことが好適である。
10≦Δα/ΔL<60…(16)
【0110】
凸条部155の外形形状は、凸条部155の幅をwaとし、凸条部155の最大高さをhaとしたとき、凸条部155のアスペクト比(ha/wa)が、0.3以上0.5未満であることが好ましい。
【0111】
このような凸条部155の外形形状の例である実施形態A1〜A5について、図23〜図27を使用して説明する。図23〜図27は、凸条部の延在方向に直交する断面形状の例を示す図面である。図23は実施形態A1、図24は実施形態A2、図25は実施形態A3、図26は実施形態A4、図27は実施形態A5を示している。図23〜図27においては、凸条部155の延在方向に直交する方向をu軸としてuv座標系を設定している。このuv座標系において、凸条部155の断面形状は、u軸上に両端部155b,155bを有する。uv座標系において、v軸は、u軸上における両端部155b,155b間の中心を通っている。図1及び図2に示した形態において、u軸方向はY軸方向である。また、v軸方向はZ軸方向である。
【0112】
uv座標系において、凸条部155の断面形状は、下記式(17)〜(22)を満たす。ただし、凸条部155のu軸方向の位置をwとし、位置wにおける凸条部155の断面形状のu軸に対する傾きをαとする。凸条部155の延在方向に直交する断面において、当該凸条部155の断面における頂点155aから輪郭線上の点Pまでの当該輪郭線に沿った長さをLとする。点Pのu軸方向の位置は上記の位置wであり、傾きα(絶対値)は、点Pにおける傾きである。Δα/ΔLは、Lの変化量に対するαの変化量の比率である。傾きαは、位置w(点P)における凸条部155の断面形状の接線と、u軸とが交差する角度のうち、小さい方の角度(0≦α≦90)である。
【0113】
u軸方向において、凸条部155の中心O(0、0)から端部155bまでの長さを1とする。凸条部155の端部155bの位置は、w=−1,1となる。位置wは、中心Oから右へ進むほど増加し(w>0)、中心Oから左へ進むほど減少する(w<0)。また、v軸方向において、凸条部155の中心Oから端部155bの長さに対応する高さをhaとしている。位置wは、凸条部155の幅waで規格化された値であり、幅waに対する比率で位置を表現する値である。
【0114】
凸条部155の断面形状は、第1区間A(−0.20<L<0.20の範囲)において、下記式(17)及び(18)を満たす。
0<α…(17)
150≦Δα/ΔL<260…(18)
【0115】
第1区間Aにおいて、凸条部155の断面形状は、傾きαが増加する。換言すれば、中心Oから離れるほど傾きαが大きくなる。
【0116】
凸条部155の断面形状は、第2区間B(−0.65<L≦−0.20の範囲、及び0.20≦L<0.65の範囲)において、下記式(19)及び(20)を満たす。
0≦α…(19)
0≦Δα/ΔL<30…(20)
【0117】
第2区間Bにおいて、凸条部155の断面形状は、傾きαが増加するか、又は変化しない。換言すれば、中心Oから離れるほど傾きαが大きくなるか、又は一定である。
【0118】
凸条部155の断面形状は、第3区間C(−1.00<L≦−0.65の範囲、及び0.65≦L<1.00の範囲)において、下記式(21)及び(22)を満たす。
0<α…(21)
5≦Δα/ΔL<75…(22)
【0119】
第3区間Cにおいて、凸条部155の断面形状は、傾きαが増加する。換言すれば、中心Oから離れるほど傾きαが大きくなる。
【0120】
第1区間Aにおいて、Δα/ΔLは、下記式(23)を満たしていてもよい。
170≦Δα/ΔL<240…(23)
【0121】
第2区間Bにおいて、Δα/ΔLは、下記式(24)を満たしていてもよい。
0≦Δα/ΔL<20…(24)
【0122】
第3区間Cにおいて、Δα/ΔLは、下記式(25)を満たしていてもよい。
10≦Δα/ΔL<60…(25)
【0123】
図28は、凸条部155の断面形状の部分を示す図面である。凸条部155の外形上の任意の2点をP1,P2とした場合、ΔL=L2−L1(ただし、L2>L1)であり、Δα=α2−α1(ただし、α2≧α1)である。ただし、L1は、輪郭線上における点P1の位置であり、α1は、点P1における傾き(u軸との交差角度)である。同様に、L2は、輪郭線上における点P2の位置であり、α2は、点P2における傾き(u軸との交差角度)である。
【0124】
図29〜図31は、凸条部155の断面形状の輪郭線上における位置Lと傾斜角αとの関係を示す図である。図29〜図31では、横軸に位置Lを示し、縦軸に傾斜角α[deg]を示している。横軸において、L=0は、凸条部155の輪郭線上における中心を示す。凸条部155の断面形状は、L=0において、凸条部155の頂点(先端部155a)を形成すると共に、傾斜角α=0である。位置Lは、凸条部155の幅方向(u軸方向)における端部155bの位置をL=1として、比率で示されている。L=0.5は、中心Oと端部155bとの中間の位置を示している。図29〜図31では、Lが0≦L≦1の範囲のときの傾斜角αを示しているが、Lが−1≦L≦0の範囲のときの傾斜角αの値は、0≦L≦1の値の折り返し値となる。
【0125】
図29(a)は実施形態A1、図29(b)は実施形態A2、図30(a)は実施形態A3、図30(b)は実施形態A4、図31は実施形態A5を示している。実施形態A1〜A5に係る凸条部155の断面形状は、第1区間Aにおいて、傾斜角αが増加している。すなわち、中心Oから端部155b(L=1)側へ離れるほど、傾斜角αが大きくなっている。
【0126】
実施形態A1に係る凸条部155の断面形状は、第2区間Bにおいて、傾斜角αが増加するか、又は変化していない。具体的には、実施形態A1に係る凸条部155の断面形状は、0.20≦L<0.60の範囲において、傾斜角αが変化せず、一定である。実施形態A1に係る凸条部155の断面形状は、0.60≦L<0.65の範囲において、傾斜角αが増加している。
【0127】
実施形態A2〜A5に係る凸条部155の断面形状は、第2区間Bにおいて、傾斜角αが増加している。すなわち、中心Oから端部155b(L=1)側へ離れるほど、傾斜角αが大きくなっている。
【0128】
実施形態A1〜A5に係る凸条部155の断面形状は、第3区間Cにおいて、傾斜角αが増加している。すなわち、中心Oから端部155b(L=1)側へ離れるほど、傾斜角αが大きくなっている。
【0129】
図32は、凸条部155の断面形状の線分長さLとΔα/ΔLとの関係を示す図である。図32では、横軸に線分長さLを示し、縦軸にΔα/ΔLを示している。図32では、Lが0≦L≦1の範囲のときのΔα/ΔLを示しているが、Lが−1≦L≦0の範囲のときのΔα/ΔLの値は、0≦L≦1の値の折り返し値となる。ここでの線分長さLは、頂点(先端部)155aから端部155bまでの輪郭線に沿った長さを“1”とした場合の比率で示している。
【0130】
実施形態A1〜A5に係る凸条部155の断面形状は、第1区間Aにおいて、Δα/ΔLが150以上260未満である。実施形態A1〜A5に係る凸条部155の断面形状は、第2区間Bにおいて、Δα/ΔLが0以上30未満である。実施形態A1〜A5に係る凸条部155の断面形状は、第3区間Cにおいて、Δα/ΔLが5以上75未満である。
【0131】
(アスペクト比)
u軸方向の凸条部155の幅waは、通常、隣接する点光源61間の距離より小さい。幅waの例は、50μm〜2000μmであり、好ましくは、100μm〜1000μmであり、更に好ましくは、200μm〜800μmである。haは、凸条部155の両端部155b,155b間における最大高さに対応する。凸条部155のアスペクト比(ha/wa)は、凸条部155の幅waに対する最大高さhaの比である。凸条部155のアスペクト比は、0.3以上0.5未満である。
【0132】
複数の凸条部155の断面形状は、凸条部155間でほぼ同一である。しかしながら、複数の凸条部155の各々の断面形状は、上記式(17)〜(22)を満たす断面形状であれば異なっていてもよい。
【0133】
上記構成の凸条部155を有する導光板は、例えば、単層構造に限らず多層構造であってもよい。本実施形態において、凸条部155を有する導光板の板厚は、本体部の板厚とする。本体部の板厚は、凸条部155の頂部(先端部)155aと本体部における背面との間の距離であり、通常、0.5mm〜8mmであり、好ましくは、1mm〜6mmであり、更に好ましくは、1.5mm〜4mmである。
【0134】
また、本願発明では、出射面側に設けられる凸条部55の外形形状を、以下に示す凸条部255の外形形状となるように形成されてもよい。すなわち、複数の凸条部255の各々の延在方向に直交する断面において、当該凸条部255の断面における頂点(先端部)255aから輪郭線上の点Pまでの当該輪郭線に沿った長さをLとし、凸条部255の両端部をとおる軸をu軸とし、点Pにおける凸条部255の断面形状のu軸に対する傾き(絶対値)をαとしたとき、
−0.20<L<0.20の範囲において、下記式(26)及び(27)を満たし、
0<α…(26)
60≦Δα/ΔL<140…(27)
−0.65<L≦−0.20の範囲、及び0.20≦L<0.65の範囲において、下記式(28)及び(29)を満たし、
0≦α…(28)
0≦Δα/ΔL<30…(29)
−1.00<L≦−0.65の範囲、及び0.65≦L<1.00の範囲において、下記式(30)及び(31)を満たす形状となるように形成されてもよい。
0<α…(30)
10≦Δα/ΔL<110…(31)
【0135】
αおよびΔα/ΔLが上記の条件を満たす断面形状を有する複数の凸条部255が光出射面に形成された導光板においては、導光板の光入射面に入射された光は、凸条部255の延在方向に伝播されやすい。そのため、光の入射位置から導光板内を光が伝播した際に、光の広がりが抑制されるので、クロストークが低減され得る。なお、Lは、u軸方向における中央を0とし、中央から右へ進むほど増加し(L>0)、中央から左へ進むほど減少する(L<0)。
【0136】
凸条部255の外形形状は、−0.20<L<0.20の範囲において、下記式(32)を満たすことが好適である。
80≦Δα/ΔL<120…(32)
【0137】
凸条部255の外形形状は、−0.65<L≦−0.20の範囲、及び0.20≦L<0.65の範囲において、下記式(33)を満たすことが好適である。
0≦Δα/ΔL<20…(33)
【0138】
凸条部255の外形形状は、−1.00<L≦−0.65の範囲、及び0.65≦L<1.00の範囲において、下記式(34)を満たすことが好適である。
30≦Δα/ΔL<90…(34)
【0139】
凸条部255の外形形状は、凸条部255の幅をwaとし、凸条部255の最大高さをhaとしたとき、凸条部255のアスペクト比(ha/wa)が、0.15以上0.3未満であることが好ましい。
【0140】
このような凸条部255の外形形状の例である実施形態B1〜B5について、図33〜図37を使用して説明する。図33〜図37は、凸条部の延在方向に直交する断面形状の例を示す図面である。図33は実施形態B1、図34は実施形態B2、図35は実施形態B3、図36は実施形態B4、図37は実施形態B5を示している。図33〜図37においては、凸条部255の延在方向に直交する方向をu軸としてuv座標系を設定している。このuv座標系において、凸条部255の断面形状は、u軸上に両端部255b,255bを有する。uv座標系において、v軸は、u軸上における両端部255b,255b間の中心を通っている。図1及び図2に示した形態において、u軸方向はY軸方向である。また、v軸方向はZ軸方向である。
【0141】
uv座標系において、凸条部255の断面形状は、下記式(35)〜(40)を満たす。ただし、凸条部255のu軸方向の位置をwとし、位置wにおける凸条部255の断面形状のu軸に対する傾きをαとする。凸条部255の延在方向に直交する断面において、当該凸条部255の断面における頂点から輪郭線上の点Pまでの当該輪郭線に沿った長さをLとする。Δα/ΔLは、Lの変化量に対するαの変化量の比率である。傾きαは、位置w(点P)における凸条部255の断面形状の接線と、u軸とが交差する角度のうち、小さい方の角度(0≦α≦90)である。
【0142】
u軸方向において、凸条部255の中心O(0、0)から端部255bまでの長さを1とする。凸条部255の端部255bの位置は、w=−1,1となる。位置wは、中心Oから右へ進むほど増加し(w>0)、中心Oから左へ進むほど減少する(w<0)。また、v軸方向において、凸条部255の中心Oから端部255bの長さに対応する高さをhaとしている。位置wは、凸条部255の幅waで規格化された値であり、幅waに対する比率で位置を表現する値である。
【0143】
凸条部255の断面形状は、第1区間A(−0.20<L<0.20の範囲)において、下記式(35)及び(36)を満たす。
0<α…(35)
60≦Δα/ΔL<140…(36)
【0144】
第1区間Aにおいて、凸条部255の断面形状は、傾きαが増加する。換言すれば、中心Oから離れるほど傾きαが大きくなる。
【0145】
凸条部255の断面形状は、第2区間B(−0.65<L≦−0.20の範囲、及び0.20≦L<0.65の範囲)において、下記式(37)及び(38)を満たす。
0≦α…(37)
0≦Δα/ΔL<30…(38)
【0146】
第2区間Bにおいて、凸条部255の断面形状は、傾きαが増加するか、又は変化しない。換言すれば、中心Oから離れるほど傾きαが大きくなるか、又は一定である。
【0147】
凸条部255の断面形状は、第3区間C(−1.00<L≦−0.65の範囲、及び0.65≦L<1.00の範囲)において、下記式(39)及び(40)を満たす。
0<α…(39)
10≦Δα/ΔL<110…(40)
【0148】
第3区間Cにおいて、凸条部255の断面形状は、傾きαが増加する。換言すれば、中心Oから離れるほど傾きαが大きくなる。
【0149】
第1区間Aにおいて、Δα/ΔLは、下記式(41)を満たしていてもよい。
80≦Δα/ΔL<120…(41)
【0150】
第2区間Bにおいて、Δα/ΔLは、下記式(42)を満たしていてもよい。
0≦Δα/ΔL<20…(42)
【0151】
第3区間Cにおいて、Δα/ΔLは、下記式(43)を満たしていてもよい。
30≦Δα/ΔL<90…(43)
【0152】
図38は、凸条部255の断面形状の部分を示す図面である。凸条部255の外形上の任意の2点をP1,P2とした場合、ΔL=L2−L1(ただし、L2>L1)であり、Δα=α2−α1(ただし、α2≧α1)である。ただし、L1は、輪郭線上における点P1の位置であり、α1は、点P1における傾き(u軸との交差角度)である。同様に、L2は、輪郭線上における点P2の位置であり、α2は、点P2における傾き(u軸との交差角度)である。
【0153】
図39〜図41は、凸条部255の断面形状の輪郭線上における位置Lと傾斜角αとの関係を示す図である。図39〜図41では、横軸に位置Lを示し、縦軸に傾斜角α[deg]を示している。横軸において、L=0は、凸条部255の輪郭線上における中心を示す。凸条部255の断面形状は、L=0において、凸条部255の頂点(先端部255a)を形成すると共に、傾斜角α=0である。位置Lは、凸条部255の幅方向(u軸方向)における端部255bの位置をL=1として、比率で示されている。L=0.5は、中心Oと端部255bとの中間の位置を示している。図39〜図41では、Lが0≦L≦1の範囲のときの傾斜角αを示しているが、Lが−1≦L≦0の範囲のときの傾斜角αの値は、0≦L≦1の値の折り返し値となる。
【0154】
図39(a)は実施形態B1、図39(b)は実施形態B2、図40(a)は実施形態B3、図40(b)は実施形態B4、図41は実施形態B5を示している。実施形態B1〜B5に係る凸条部255の断面形状は、第1区間Aにおいて、傾斜角αが増加している。すなわち、中心Oから端部255b(L=1)側へ離れるほど、傾斜角αが大きくなっている。
【0155】
実施形態B1に係る凸条部255の断面形状は、第2区間Bにおいて、傾斜角αが増加するか、又は変化していない。具体的には、実施形態B1に係る凸条部255の断面形状は、0.20≦L<0.60の範囲において、傾斜角αが変化せず、一定である。実施形態B1に係る凸条部255の断面形状は、0.60≦L<0.65の範囲において、傾斜角αが増加している。
【0156】
実施形態B2〜B5に係る凸条部255の断面形状は、第2区間Bにおいて、傾斜角αが増加している。すなわち、中心Oから端部255b(L=1)側へ離れるほど、傾斜角αが大きくなっている。
【0157】
実施形態B1〜B5に係る凸条部255の断面形状は、第3区間Cにおいて、傾斜角αが増加している。すなわち、中心Oから端部255b(L=1)側へ離れるほど、傾斜角αが大きくなっている。
【0158】
図42は、凸条部255の断面形状の線分長さLとΔα/ΔLとの関係を示す図である。図42では、横軸に線分長さLを示し、縦軸にΔα/ΔLを示している。図42では、Lが0≦L≦1の範囲のときのΔα/ΔLを示しているが、Lが−1≦L≦0の範囲のときのΔα/ΔLの値は、0≦L≦1の値の折り返し値となる。ここでの線分長さLは、頂点(先端部)255aから端部255bまでの輪郭線に沿った長さを“1”とした場合の比率で示している。
【0159】
実施形態B1〜B5に係る凸条部255の断面形状は、第1区間Aにおいて、Δα/ΔLが60以上160未満である。実施形態B1〜B5に係る凸条部255の断面形状は、第2区間Bにおいて、Δα/ΔLが0以上30未満である。実施形態B1〜B5に係る凸条部255の断面形状は、第3区間Cにおいて、Δα/ΔLが10以上110未満である。
【0160】
(アスペクト比)
u軸方向の凸条部255の幅waは、通常、隣接する点光源61間の距離より小さい。幅waの例は、50μm〜2000μmであり、好ましくは、100μm〜1000μmであり、更に好ましくは、200μm〜800μmである。haは、凸条部255の両端部255b,255b間における最大高さに対応する。凸条部255のアスペクト比(ha/wa)は、凸条部255の幅waに対する最大高さhaの比である。凸条部255のアスペクト比は、0.15以上0.30未満である。
【0161】
複数の凸条部255の断面形状は、凸条部255間でほぼ同一である。しかしながら、複数の凸条部255の各々の断面形状は、上記式(35)〜(40)を満たす断面形状であれば異なっていてもよい。
【0162】
上記構成の凸条部255を有する導光板は、例えば、単層構造に限らず多層構造であってもよい。本実施形態において、凸条部255を有する導光板の板厚は、本体部の板厚とする。本体部の板厚は、凸条部255の頂部(先端部)255aと本体部における背面との間の距離であり、通常、0.5mm〜8mmであり、好ましくは、1mm〜6mmであり、更に好ましくは、1.5mm〜4mmである。
【0163】
また、上記実施形態では、凸条部55を含めて一体的に形成された導光板50について説明したが、本発明の導光板はこれに限定されるものではない。例えば、フォトポリマー法を用いて、図4に示す基準面51gより下の部分である板状の本体部に対して、基準面51gより上の部分である凸条部55を形成してもよい。
【0164】
また、図1に示した透過型画像表示装置10において、本発明の趣旨を逸脱しなければ、導光板50と透過型画像表示部20との間に他の光学部材を配置したりすることもできる。導光板50と透過型画像表示部20との間に設ける他の光学部材の例は、反射型偏光分離シート、光拡散シート、マイクロレンズシート、レンチキュラーレンズシート及びプリズムシートが含まれる。
【符号の説明】
【0165】
10…透過型画像表示装置、20…透過型画像表示部、21…液晶セル、22,23…偏光板、30…面光源装置、50…導光板、50a,50b…側面、51…本体部、51a…出射面(第1の面)、51b…背面(第2の面)、51c,51d…側面(入射面)、52…レンズ部、52a…先端部、52b…底部、55,155,255…凸条部(レンチキュラーレンズ)、60…光源部、61…点状光源、70…反射部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延在すると共に、前記一方向に略直交する方向に並列配置された複数の凸条部が形成された第1の面と、前記第1の面とは反対側の第2の面と、前記第1及び第2の面に交差する面であり、光が入射される入射面と、を有する板状の本体部と、
前記本体部における前記第2の面に形成されており、前記第2の面から見て前記第1の面がある側とは反対側に凸である複数のレンズ部と、
を備えている導光板。
【請求項2】
前記凸条部は、レンチキュラーレンズ又はプリズムである、
請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の導光板と、
前記導光板における前記入射面と対向して配置されており、前記入射面に光を供給する光源部と、
を備えている面光源装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の導光板と、
前記導光板における前記入射面と対向して配置されており、前記入射面に光を供給する光源部と、
前記導光板の前記第1の面側に設けられており、前記導光板から出射される光により照明され画像を表示する透過型画像表示部と、
を備えている透過型画像表示装置。
【請求項1】
一方向に延在すると共に、前記一方向に略直交する方向に並列配置された複数の凸条部が形成された第1の面と、前記第1の面とは反対側の第2の面と、前記第1及び第2の面に交差する面であり、光が入射される入射面と、を有する板状の本体部と、
前記本体部における前記第2の面に形成されており、前記第2の面から見て前記第1の面がある側とは反対側に凸である複数のレンズ部と、
を備えている導光板。
【請求項2】
前記凸条部は、レンチキュラーレンズ又はプリズムである、
請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の導光板と、
前記導光板における前記入射面と対向して配置されており、前記入射面に光を供給する光源部と、
を備えている面光源装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の導光板と、
前記導光板における前記入射面と対向して配置されており、前記入射面に光を供給する光源部と、
前記導光板の前記第1の面側に設けられており、前記導光板から出射される光により照明され画像を表示する透過型画像表示部と、
を備えている透過型画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図2】
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【図5】
【図6】
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【図9】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
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【図19】
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【図21】
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【図23】
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【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【公開番号】特開2013−69683(P2013−69683A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−196268(P2012−196268)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
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