導通遮断装置
【課題】大型化を抑えつつ導通の遮断を好適に行うことのできる導通遮断装置を提供する。
【解決手段】導通遮断装置20は、ケース21内の可動室22に設けられた可動部材23と、可動部材23の移動方向前側の部分に突設されたカッター部25と、可動部材23の移動方向後ろ側に配設されたガス発生器26と、一対の外部接続部28A,28B間を連通する形状で延設された導通経路27とを備える。導通経路27は、ケース21の側壁内において可動部材23の移動方向に沿う形状で延設される一対の基部30A,30Bと、それら基部30A,30B間を繋ぐ形状に形成されるとともに可動部材23の移動方向前側を遮る形状に延設される被切断部31とを有する。被切断部31の延設方向における中間部分には段差形状の段差部32A,32Bが形成される。ケース21には段差部32A,32Bと係合する形状の係合部33A,33Bが形成される。
【解決手段】導通遮断装置20は、ケース21内の可動室22に設けられた可動部材23と、可動部材23の移動方向前側の部分に突設されたカッター部25と、可動部材23の移動方向後ろ側に配設されたガス発生器26と、一対の外部接続部28A,28B間を連通する形状で延設された導通経路27とを備える。導通経路27は、ケース21の側壁内において可動部材23の移動方向に沿う形状で延設される一対の基部30A,30Bと、それら基部30A,30B間を繋ぐ形状に形成されるとともに可動部材23の移動方向前側を遮る形状に延設される被切断部31とを有する。被切断部31の延設方向における中間部分には段差形状の段差部32A,32Bが形成される。ケース21には段差部32A,32Bと係合する形状の係合部33A,33Bが形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッター部による導通経路の切断を通じて電気機器間の導通を遮断する導通遮断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の導通遮断装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この導通遮断装置は、電気機器間に設けられて、それら電気機器の異常時や電気機器が搭載されたシステムの異常時に作動することによって電気機器間における導通を遮断する。
【0003】
そうした導通遮断装置の一例を図12に示す。図12に示すように、ケース101の内部には可動室102が区画形成されている。この可動室102内には可動部材103が移動可能に設けられている。可動部材103の移動方向(図中に白抜きの矢印で示す方向)における前側の部分には板形状のカッター部104が突設されている。また、可動室102内における可動部材103の移動方向後ろ側には、外部からの信号入力によって作動してガスを発生するガス発生器105が配設されている。
【0004】
各電気機器間を繋ぐ導通経路106は電気伝導率の高い材料(例えば銅)によって薄板形状に形成されており、一対の基部107A,107Bとそれら基部107A,107B間を繋ぐ被切断部108とを備えている。各基部107A,107Bはそれぞれ、ケース101の側壁内において上記可動部材103の移動方向に沿って延びる形状に形成されるとともに、ケース外に露出した外部接続部109A,109B(具体的には、各電気機器に接続される部分)に接続されている。被切断部108は、可動室102内部において可動部材103の移動方向前側を遮る形状に延設されている。
【0005】
この導通遮断装置は次のように作動する。すなわち先ず、ガス発生器105に作動信号が入力されると、同ガス発生器105がガスを発生する。そして、この発生したガスにより押圧されることによって可動部材103が導通経路106の被切断部108に向けて移動するようになる。その後、可動部材103のカッター部104の突端が被切断部108に衝突するとともに同被切断部108を破断させる。その結果、導通経路106が切断されて外部接続部109A,109B間の導通が遮断され、各電気機器間の導通が遮断されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−306946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した導通遮断装置では、その作動に際して、カッター部104によって導通経路106の被切断部108(詳しくは、薄板形状の導電体)が押し切られる。そのため、そうした導通遮断装置の作動中において、カッター部104による押圧によって被切断部108が破断する前に、被切断部108が伸長することが避けられない。したがって、被切断部108の破断後における破断端部間の距離を確保して電気機器間の導通の遮断を確実に行うためには、そうした被切断部108の伸長分を考慮した上で、作動時におけるカッター部104の移動量を十分に大きく設定することが望ましい。ただし、単にカッター部104の移動量を大きくすると、その分だけ導通遮断装置の大型化を招いてしまうために、これが設置スペースの増加や製造コストの上昇などを招く一因になってしまう。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、大型化を抑えつつ導通の遮断を好適に行うことのできる導通遮断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、ケース内部に区画形成された可動室と、前記可動室内に移動可能に設けられた可動部材と、前記可動部材の移動方向前側の部分に突設されたカッター部と、前記可動室内における前記可動部材の移動方向後ろ側に配設されるとともに作動信号の入力に伴い作動してガスを発生するガス発生器と、一対の外部接続部を有するとともにそれら外部接続部間を連通する形状で延設されてなる導通経路とを備えてなり、前記導通経路は、前記ケースの側壁内において前記可動部材の移動方向に沿う形状で延設されるとともに前記一対の外部接続部に各別に接続される一対の基部と、それら基部間を繋ぐ形状に形成されるとともに前記可動室内において前記可動部材の移動方向前側を遮る形状に延設される被切断部とを有してなる導通遮断装置において、前記被切断部はその延設方向における中間部分に段差形状をなすように折曲げられた形状の段差部が形成されてなり、前記ケースは前記段差部と係合する形状の係合部が設けられてなることをその要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、導通経路の被切断部における段差部とケースに設けられた係合部とが係合しているために、ガス発生器からのガス発生に伴って導通経路の被切断部が可動部材のカッター部によって押し切られる際に、被切断部における段差部よりも上記カッター部によって押圧される部分(押圧部分)から遠い側の部分が同押圧部分に近づく方向に伸長して移動することを規制することができる。そのため、カッター部による押圧に際して被切断部が伸長するとはいえ、同被切断部の一部のみが伸長する構造とすることができ、上記段差部や係合部が形成されないために被切断部の全体が伸長するようになる装置と比較して、被切断部の伸長分を短くすることができる。したがって、カッター部が設けられる可動部材の移動量を比較的小さく抑えて導通遮断装置の大型化を抑えつつ、被切断部の切断端部間の距離を十分に確保して同装置による導通の遮断を好適に行うことができるようになる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の導通遮断装置において、前記段差部と同段差部に係合する前記係合部とが二箇所に形成されてなり、前記カッター部は、前記被切断部における二つの前記段差部によって挟まれた部分を切断する位置に配設されてなることをその要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、カッター部による被切断部の押圧に際して、被切断部における二つの段差部に挟まれた部分のみが伸長する構造とすることができる。これにより、被切断部において伸長してしまう部分の長さを短くして同被切断部の伸長分をより短くすることができるため、導通遮断装置の大型化を好適に抑えることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の導通遮断装置において、前記二つの段差部はそれぞれ、前記被切断部における前記挟まれた部分がそれ以外の部分より前記移動方向後ろ側の位置になる形状に形成されてなることをその要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、可動部材がカッター部ともども移動して被切断部を切断した後に同カッター部が二つの段差部の間に収まる構造にすることができる。そのため、被切断部を切断した後のカッター部の大部分が二つの段差部に挟まれたスペースを越えた位置まで移動するものと比較して、カッター部を移動させるためのスペース(すなわち可動室)の移動方向における長さを短くすることが可能になり、導通遮断装置の小型化を図ることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導通遮断装置において、前記カッター部は、その先端部分と基端部分との間の外面に、前記被切断部の延設方向に沿う方向に突出する凸部が設けられてなることをその要旨とする。
【0016】
上記構成によれば、ガス発生器からのガス発生に伴って導通経路の被切断部がカッター部によって押し切られた後に、切断後の被切断部をカッター部に設けられた凸部によって押圧することにより、切断された端部がカッター部から離間するように被切断部を曲げることができる。そのため、カッター部に凸部が形成されないものと比較して、被切断部の切断端部間の距離を大きくすることができる。これにより、被切断部の切断端部間の距離を十分に確保することができるため、導通遮断装置による導通の遮断をより好適に行うことができるようになる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、ケース内部に区画形成された可動室と、前記可動室内に移動可能に設けられた可動部材と、前記可動部材の移動方向前側の部分に突設されたカッター部と、前記可動室内における前記可動部材の移動方向後ろ側に配設されるとともに作動信号の入力に伴い作動してガスを発生するガス発生器と、一対の外部接続部を有するとともにそれら外部接続部間を連通する形状であり且つ前記可動室内において前記可動部材の移動方向前側を遮る形状で延設されてなる導通経路とを備えてなる導通遮断装置において、
前記カッター部は、その先端部分と基端部分との間の外面に、前記導通経路の延設方向に沿う方向に突出する凸部が設けられてなることをその要旨とする。
【0018】
上記構成によれば、ガス発生器からのガス発生に伴って導通経路が可動部材のカッター部によって押し切られた後に、切断後の導通経路をカッター部に設けられた凸部によって押圧することにより、切断された端部がカッター部から離間するように導通経路を曲げることができる。そのため、カッター部に凸部が形成されないものと比較して、導通経路の切断端部間の距離を大きくすることができる。したがって、カッター部が設けられる可動部材の移動量を比較的小さく抑えて導通遮断装置の大型化を抑えつつ、導通経路の切断端部間の距離を十分に確保して同装置による導通の遮断を好適に行うことができるようになる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の導通遮断装置において、前記カッター部は、合成樹脂により、先端に向かうほど薄くなる板形状に形成されるとともに前記凸部が一体に形成されてなり、前記凸部は前記基端部分から前記先端部分の手前まで直線状に延びる形状で形成されてなることをその要旨とする。
【0020】
上記構成によれば、カッター部の外面に凸部が形成されるとはいえ、同凸部の形状を、合成樹脂を用いた金型成形によってカッター部を形成する際に成形後のカッター部の金型からの取り出しを容易に行うことができる形状にすることができる。そのため、単純な構造の金型を用いてカッター部を容易に形成することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の導通遮断装置において、当該装置は、車両走行用のモータと同モータに電力を供給する蓄電池との間に設けられて、前記蓄電池から走行用モータへの電力供給を遮断するべく作動するものであることをその要旨とする。
【0022】
走行用モータと蓄電池とが搭載された車両に、その異常時における安全を確保するために、導通遮断装置を設けて蓄電池から走行用モータへの電力供給を遮断するようにしたものがある。そうした装置では、蓄電池から走行用モータへの電力供給の遮断を確実に行う必要があるために、導通経路の切断端部間の距離が問題になりやすい。また近年、車両の高機能化による搭載機器の増加によって車両における空きスペースが小さくなっているために、車両に設けられる導通遮断装置はその大型化による搭載性の悪化を招きやすいと云える。上記構成によれば、そうした車両に搭載される導通遮断装置の大型化を抑えつつ、同装置による導通の遮断を好適に行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の導通遮断装置によれば、大型化を抑えつつ導通の遮断を好適に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を具体化した一実施形態にかかる導通遮断装置が適用される電気回路の概略構成を示す略図。
【図2】同導通遮断装置の内部構造を示す断面図。
【図3】導通経路の斜視構造を示す斜視図。
【図4】導通経路を図3における矢印C方向から見た平面構造を示す平面図。
【図5】可動部材の斜視構造を示す斜視図。
【図6】(a)可動部材の平面図(b)可動部材の側面図。
【図7】作動後における導通遮断装置の内部構造を示す断面図。
【図8】作動後の導通遮断装置におけるカッター部周辺の内部構造を拡大して示す断面図。
【図9】(a)および(b)変形例の可動部材の側面構造を示す側面図。
【図10】変形例の導通遮断装置の内部構造を示す断面図。
【図11】他の変形例の導通遮断装置の内部構造を示す断面図。
【図12】従来の導通遮断装置の内部構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した一実施形態にかかる導通遮断装置について説明する。
図1に示すように、本実施形態の導通遮断装置20は電気回路11に適用される。電気回路11は蓄電池12と電気機器13とを備えている。この電気回路11では、蓄電池12からの電力供給によって電気機器13が作動する。電気機器13は、蓄電池12から入力される電力を昇圧したうえで出力するコンバータ14と、同コンバータ14から入力される直流電力をモータ駆動に適した交流電力に変換して出力するインバータ15と、インバータ15から出力される交流電力によって駆動されるモータ16とにより構成されている。
【0026】
なお上記電気回路11は車両10に搭載されている。この車両10が衝突などによってダメージを受けた場合には電気機器13が適正に作動しなくなったり上記電気回路11からの漏電を招いたりするおそれがある。そのため車両10には、その衝突に際して蓄電池12と電気機器13との間の導通を遮断する導通遮断装置20が設けられている。この導通遮断装置20は、電気回路11における蓄電池12(詳しくは、その正極)と電気機器13との間に設けられている。車両10には、その衝突の有無を検出するための衝突センサ17と、マイクロコンピュータを中心に構成される電子制御ユニット18とが取り付けられている。電子制御ユニット18には衝突センサ17の出力信号が取り込まれている。そして電子制御ユニット18は、衝突センサ17の出力信号をもとに車両10の衝突を検知すると、導通遮断装置20を作動させる。これにより蓄電池12から電気機器13への電力供給が遮断されるようになる。
【0027】
以下、導通遮断装置20の具体構造について説明する。
図2に示すように、導通遮断装置20のケース21の内部には可動室22が区画形成されている。この可動室22の内部には、可動部材23が直線方向(図中に白抜きの矢印で示す方向)に移動可能な状態で配設されている。可動部材23の移動方向後ろ側の部分(本体部24)は有蓋円筒形状に形成されている。この本体部24の外周面には移動方向に延びる突部24Aが二つ形成されている。また本体部24の移動方向前側にはカッター部25が突設されている。このカッター部25は、上記可動部材23の移動方向と交差する方向(図2における奥行き方向)において断面略台形形状で延びる板形状に形成されている。可動室22は詳しくは、上記本体部24に対応する形状である略円柱形状で延びるスペース(主室22A)と、同主室22Aにおける上記移動方向前側に形成されて導通遮断装置20の作動後にカッター部25が収まるスペース(副室22B)とを備えている。なお、可動室22において可動部材23の本体部24が移動する部分(具体的には、主室22A)の内周面と同本体部24の外周面とはともに、同可動部材23の移動方向前側に向かうほど先細のテーパ形状に形成されている。また主室22Aの内面には、上記可動部材23の移動方向において延びる形状の凹部であり、且つ内部を上記本体部24の突部24Aが移動可能な形状の凹部22Cが形成されている。
【0028】
可動室22の内部における上記可動部材23の移動方向後ろ側には火薬式のガス発生器26が配設されている。このガス発生器26は電子制御ユニット18に接続されている。ガス発生器26には、導通遮断装置20の作動に際して、電子制御ユニット18から作動信号(詳しくは、ガス発生器26に燃焼ガスを発生させるための信号)が入力される。ガス発生器26は、電子制御ユニット18からの信号入力に伴って内蔵の火薬を着火燃焼させて燃焼ガスを発生させる。
【0029】
導通遮断装置20には電気機器間を導通させるための導通経路27が設けられている。この導通経路27は電気伝導率の高い材料(具体的には、銅)によって薄板形状に形成されている。導通経路27は両端が外部に露出した状態でケース21に取り付けられている。導通遮断装置20では、それら導通経路27の両端が電気機器(本実施形態では、蓄電池12およびコンバータ14)に接続される外部接続部28A,28Bとして機能する。導通経路27は一対の外部接続部28A,28B間を連通する形状で延設されている。それら外部接続部28A,28Bにはそれぞれ貫通孔29が形成されている。
【0030】
導通遮断装置20では、上記貫通孔29を利用してねじ等によって、外部接続部28A,28Bのうちの一方が電気回路11(図1)における蓄電池12に導通する端子に接続されるとともに、他方が電気回路11における電気機器13(詳しくは、コンバータ12)に導通する端子に接続される。このようにして導通経路27の各外部接続部28A,28Bが電気回路11の端子にそれぞれ接続されることにより、それら電気回路11の各端子間が導通経路27を通じて導通されるようになる。
【0031】
上記導通経路27(図2)は、各外部接続部28A,28Bの他、一対の基部30A,30Bとそれら基部30A,30B間を繋ぐ被切断部31とを備えている。各基部30A,30Bは、ケース21の側壁内において上記可動部材23の移動方向に沿って延びる形状(詳しくは、移動方向と並行に延びる形状)に形成されるとともに外部接続部28A,28Bのいずれかに結合されている。また被切断部31は、可動室22の内部において可動部材23の移動方向前側を遮る形状で延設されている。
【0032】
図3に導通経路27の斜視構造を示す。
図2および図3に示すように、導通経路27の被切断部31は、その延設方向(図2における左右方向)における中間部分に段差形状をなすように折曲げられた形状の段差部32A,32Bが形成されている。それら段差部32A,32Bの曲げ角度(具体的には、被切断部31の折り曲げ部分の前後がなす角度)は90°に設定されている。被切断部31の二つの段差部32A,32Bは、それら段差部32A,32Bによって挟まれた部分がそれ以外の部分より可動部材23(図2)の移動方向後ろ側の位置になる形状に形成されている。またケース21には、段差部32Aに係合する係合部33Aと上記段差部32Bに係合する係合部33Bとがそれぞれ形成されている。本実施形態では、それら係合部33A,33Bとして、段差部32A(あるいは段差部32B)に沿って延びる形状の溝であり且つ段差部32A(あるいは段差部32B)の全体が埋没する形状の溝が形成されている。また本実施の形態では、可動室22の副室22Bが、二つの段差部32A,32Bや二つの係合部33A,33Bに挟まれた位置に形成されている。
【0033】
図4に、図3の矢印C方向から見た導通経路27の平面構造を示す。
図2〜図4のいずれかに示すように、可動部材23の移動に際して導通経路27の被切断部31における上記カッター部25先端の一方のエッジED1が衝突する位置において、その幅方向における両端には、三角形状に切り欠かれた形状の切り欠き部34がそれぞれ形成されている。こうした切り欠き部34を形成することにより、カッター部25の先端のエッジED1が被切断部31に衝突した際に切り欠き部34の先端の角部に応力が集中するようになるため、各切り欠き部34の角部を起点にしてそれら角部を繋ぐように被切断部31が破断するようになる。したがって、被切断部31を所望の位置で容易に破断させることができるようになる。
【0034】
また、被切断部31における上記切り欠き部34が形成された部分よりも上記可動部材23の移動に際して上記カッター部25の先端のエッジED2が衝突する位置側の部分には、その幅方向における両端に、ほぼ半円形状に切り欠かれた形状の切り欠き部35がそれぞれ形成されている。これら切り欠き部35は角部がないため、上記切り欠き部34とは異なり、カッター部25の先端が被切断部31に衝突した際に応力集中が生じ難い。ただし、こうした切り欠き部35を形成することにより、その強度が他の部分と比較して低くなるために、カッター部25の先端が被切断部31に衝突した際に切り欠き部35の形成部分において被切断部31が曲がり易い構造になっている。
【0035】
図5および図6に可動部材23を示す。なお図6において(a)は図5の矢印D方向から見た可動部材23の平面構造を示し、(b)は図5の矢印E方向から見た可動部材23の側面構造を示している。
【0036】
図5および図6に示すように、可動部材23は略円柱形状の本体部24と同本体部24から突設されたカッター部25とを備えている。このカッター部25は、前述したように断面略台形形状で延びる板形状に形成されている。詳しくは、カッター部25は先端に向かうほど薄くなる板形状に形成されている。このカッター部25の外面には被切断部31(図2参照)の延設方向(図6(a)における左右方向)に沿う方向に突出する凸部36が形成されている。この凸部36としては、カッター部25の基端部分(本体部24側の端部)から先端部分の手前まで同カッター部25の移動方向に沿って直線状に延びる形状のものが間隔をおいて二つ形成されている。これら本体部24、カッター部25および二つの凸部36により構成される可動部材23は、合成樹脂により、一体に形成されている。
【0037】
本実施形態では、可動部材23のカッター部25の外面に凸部36が形成されるとはいえ、同凸部36の形状が、合成樹脂を用いた金型成形によってカッター部25を形成する際に成形後のカッター部25の金型からの取り出しを容易に行うことができる形状になっている。そのため、単純な構造の金型を用いて可動部材23を容易に形成することができる。
【0038】
以下、本実施形態の導通遮断装置20を採用することによる作用についてその作動態様とともに説明する。
先ず、導通遮断装置20が作動していない状態(図2に示す状態)で電子制御ユニット18からガス発生器26に作動信号が入力されると、同ガス発生器26が作動して燃焼ガスを発生するようになる。そして、この発生したガスにより押圧されることによって可動部材23が導通経路27の被切断部31に向けて移動するようになる。このとき可動部材23はその本体部24に形成された突部24Aがケース21の主室22Aに形成された凹部22C内を移動することによって案内される。本実施形態では、導通遮断装置20の駆動源として火薬式のガス発生器26が用いられる。火薬式のガス発生器26を用いて駆動されるものは一般に、駆動源として他の方式(電磁式など)のものが用いられる装置と比較して迅速な駆動が可能であり、安価であり、且つ動作信頼性が高い。本実施の形態では、そうした火薬式のものを駆動源として用いて導通遮断装置20が駆動される。
【0039】
その後、可動部材23のカッター部25の先端が被切断部31に衝突すると、カッター部25による押圧力によって被切断部31の各切り欠き部34の角部に応力集中が生じて、それら切り欠き部34の角部を繋ぐように被切断部31が破断されるようになる。また、このときカッター部25による押圧力により、被切断部31の切り欠き部35が形成された部分の近傍において被切断部31が湾曲するようになる。
【0040】
その結果、導通経路27が切断されて外部接続部28A,28B間の導通が遮断された状態(図7に示す状態)になって、蓄電池12(図1参照)とコンバータ14との間の導通が遮断されるようになる。なお図7は、作動後における導通遮断装置20の内部構造を示している。
【0041】
前述のように導通遮断装置20では、その可動室22の内周面と可動部材23の本体部24の外周面とが共に、同可動部材23の移動方向前側に向かうほど先細のテーパ形状に形成されている。そのため導通遮断装置20では、ガス発生器26からのガス発生に伴って可動部材23が移動すると、同可動部材23の本体部24が可動室22の移動方向前側の部分に嵌り込むようになる。
【0042】
このとき、可動部材23の本体部24の移動方向が同本体部24の外周面と可動室22の内周面との接触によって矯正されるようになるため、可動部材23(詳しくは、カッター部25)が適正な位置に案内されつつ移動するようになる。これにより、カッター部25による被切断部31の切断を予め見込んだ態様で適正に行うことができるようになる。
【0043】
また導通遮断装置20の作動後、すなわち可動部材23の本体部24が可動室22の移動方向前側の部分に嵌り込んだ後においては、同可動部材23が作動後の位置(図7に示す位置)に固定されるようになる。ここでカッター部25によって被切断部31を押し切った後に、同カッター部25が作動前の位置に戻ってしまうと、弾性変形している被切断部31が元の形状に戻ろうとするため、同被切断部31の切断端部が互いに不要に近づくおそれがある。本実施形態では、カッター部25によって被切断部31が押し切られた後において切断端部の間にカッター部25が挟まれた状態を保持することができ、カッター部25が作動前の位置に戻ることに伴って被切断部31の切断端部が互いに近づくことを防止することができる。
【0044】
ここで上記導通遮断装置20では、被切断部31の破断前にカッター部25によって同被切断部31が押圧されるときに、被切断部31が伸長することが避けられない。そのため、被切断部31の破断後における破断端部間の距離を確保して導通遮断装置20による導通遮断を確実に行うためには、そうした被切断部31の伸長分を考慮した上で、作動時におけるカッター部25の移動量を十分に大きく設定することが望ましい。ただし、単にカッター部25の移動量を大きくすると、その分だけ導通遮断装置20の大型化を招いてしまうために、これが設置スペースの増加や製造コストの上昇などを招く一因になってしまう。
【0045】
しかも上記導通遮断装置20は、車両10の異常時における安全を確保するべく蓄電池12から走行用のモータ16への電力供給を遮断するものであるために、その遮断を確実に行う必要があり、導通経路27の切断端部間の距離が問題になりやすい。また近年、車両10の高機能化による搭載機器の増加によって車両10における空きスペースが小さくなっているために、導通遮断装置20はその大型化による搭載性の悪化を招き易いと云える。
【0046】
この点をふまえて上記導通遮断装置20は、その導通経路27の被切断部31の延設方向における中間部分に二つの段差部32A,32Bが形成されるとともに、それら段差部32A,32Bがケース21に形成された二つの係合部33A,33Bと各別に係合する構造になっている。そのため、被切断部31がカッター部25によって押し切られる際に、被切断部31における各段差部32A,32Bよりも上記カッター部25によって押圧される部分(押圧部分)から遠い側の部分が同押圧部分に近づく方向に伸長して移動することが規制される。詳しくは、被切断部31において各段差部32A,32Bによって挟まれた部分のみが伸長するようになって、それ以外の部分が伸長することが規制されるようになる。そのため、カッター部25による押圧に際して被切断部31が伸長するとはいえ、同被切断部31の一部のみが伸長する構造とすることができ、上記段差部32A,32Bや係合部33A,33Bが形成されないために被切断部31の全体が伸長するようになる装置と比較して、被切断部31の伸長分を短くすることができる。したがって、カッター部25が設けられる可動部材23の移動量を比較的小さく抑えて導通遮断装置20の大型化を抑えつつ、被切断部31の切断端部間の距離を十分に確保して同装置20による導通の遮断を好適に行うことができるようになる。
【0047】
なお仮に段差部32A,32Bにおいて被切断部31の折り曲げ部分がなす角度を鈍角に設定すると、その設定角度が大きいものほど、被切断部31がその延設方向に引っ張られたときに同被切断部31の段差部32A,32Bがケース21の係合部33A,33Bに対して滑って相対移動し易い構造になる。そのため被切断部31の伸長分が大きくなる可能性が高くなる。本実施形態では、各段差部32A,32Bの曲げ角度が90°に設定されているため、カッター部25による被切断部31の押圧に際して同被切断部31の段差部32A,32Bがケース21の係合部33A,33Bに対して滑ることによって押圧部分側に相対移動することを抑えることができ、被切断部31の伸長分を好適に小さくすることができる。
【0048】
また上記導通遮断装置20では、二つの段差部32A,32Bがそれぞれ、被切断部31において各段差部32A,32Bに挟まれた部分がそれ以外の部分より可動部材23の移動方向後ろ側の位置になる形状に形成されている。そのため、可動部材23がカッター部25ともども移動して被切断部31を切断した後に同カッター部25が二つの段差部32A,32Bの間(詳しくは、可動室22の副室22B内)に収まる構造になる。したがって、被切断部31を破断させた後のカッター部25の大部分が二つの段差部32A,32Bの間を越えた位置まで移動するものと比較して、カッター部25を移動させるためのスペース(すなわち可動室22)の移動方向における長さを短くすることが可能になり、導通遮断装置20の小型化を図ることができる。
【0049】
図8に、作動後の導通遮断装置20におけるカッター部25周辺の内部構造を拡大して示す。
図8に示すように、上記導通遮断装置20では、被切断部31が破断した後において、その破断した端部を押しのけるようにしてカッター部25がさらに移動するようになる。上記導通遮断装置20では、カッター部25の先端部分と基端部分との間の外面に、被切断部31の延設方向に沿う方向に突出する形状の凸部36が形成されている。そのため、被切断部31がカッター部25によって押し切られた後に、被切断部31の切断端部がカッター部25に設けられた凸部36によって押圧されるようになる。
【0050】
これにより、カッター部25に凸部36が形成されないものにおける被切断部31の接続端部(図8中に一点鎖線で示す)の変形量と比較して、本実施形態の導通遮断装置20における被切断部31(図8中に一点鎖線で示す)の切断端部の変形量を大きくすることができる。そのため、切断された被切断部31の端部同士が互いに離間するように同被切断部31を曲げることができる。したがって、被切断部31の切断端部間の距離を大きくして同距離を十分に確保することができるため、導通遮断装置20による導通の遮断をより好適に行うことができるようになる。
【0051】
ちなみに金型成型によって樹脂成形品を形成する場合、成型後の冷却過程における収縮によって樹脂成形品の寸法精度が低下するおそれがある。そうした寸法精度の低下を抑えるためには、樹脂材料の量を少なくして、収縮の度合いを小さくすることが望ましい。また上記導通遮断装置20では、可動部材23が可動室22の内周面によって案内されつつ同可動室22内を移動するとともに、同可動部材23のカッター部25によって導通経路27の被切断部31における所定位置が切断される。そのため、可動部材23の適正な移動やカッター部25による被切断部31の適正な位置での切断を実現するためには、可動部材23を高い精度で形成することが重要なポイントになる。
【0052】
この点、上記導通遮断装置20では、カッター部25の外面に凸部36が形成されているために、凸部36によって破断後の破断端部を押し広げて端部間の距離を大きくする機能を発揮させることができ、さらにはカッター部25を薄く形成することもできる。したがって、成型後の冷却過程における可動部材23の収縮度合いを小さく抑えることができ、可動部材23の寸法精度の向上を図ることができる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)導通経路27の被切断部31の延設方向における中間部分に段差形状をなす段差部32A,32Bを形成するとともに、ケース21に段差部32A,32Bと係合する形状の係合部33A,33Bを形成した。そのため、カッター部25による押圧に際して被切断部31が伸長するとはいえ、同被切断部31の一部のみが伸長する構造とすることができ、上記段差部32A,32Bや係合部33A,33Bが形成されないために被切断部31の全体が伸長するようになる装置と比較して、被切断部31の伸長分を短くすることができる。したがって、カッター部25が設けられる可動部材23の移動量を比較的小さく抑えて導通遮断装置20の大型化を抑えつつ、被切断部31の切断端部間の距離を十分に確保して同装置20による導通の遮断を好適に行うことができるようになる。
【0054】
(2)段差部32A,32Bと係合部33A,33Bとを二箇所に形成するとともに、被切断部31における二つの段差部32A,32Bによって挟まれた部分を切断する位置に可動部材23のカッター部25を配設した。そのため、カッター部25による被切断部31の押圧に際して、被切断部31における二つの段差部32A,32Bによって挟まれた部分のみが伸長する構造とすることができる。したがって、被切断部31において伸長してしまう部分の長さを短くして同被切断部31の伸長分をより短くすることができ、導通遮断装置20の大型化を好適に抑えることができる。
【0055】
(3)二つの段差部32A,32Bをそれぞれ、被切断部31において各段差部32A,32Bに挟まれた部分がそれ以外の部分より可動部材23の移動方向後ろ側の位置になる形状に形成した。そのため、被切断部31を破断させた後のカッター部25の大部分が二つの段差部32A,32Bの間を越えた位置まで移動するものと比較して、カッター部25を移動させるためのスペースの移動方向における長さを短くすることが可能になり、導通遮断装置20の小型化を図ることができる。
【0056】
(4)カッター部25の先端部分と基端部分との間の外面に、被切断部31の延設方向に沿う方向に突出する形状の凸部36を形成した。そのため、被切断部31がカッター部25によって押し切られた後に、被切断部31の切断端部がカッター部25に設けられた凸部36によって押圧されるようになる。これにより、被切断部31の切断端部間の距離を大きくして同距離を十分に確保することができるため、導通遮断装置20による導通の遮断をより好適に行うことができるようになる。
【0057】
(5)カッター部25を合成樹脂により先端に向かうほど薄くなる板形状に形成するとともに、同カッター部25に凸部36を一体形成した。凸部36を可動部材23の移動方向に沿って直線状に延びる形状で形成した。そのため、可動部材23のカッター部25の外面に凸部36が形成されるとはいえ、同凸部36の形状を、合成樹脂を用いた金型成形によってカッター部25を形成する際に成形後のカッター部25の金型からの取り出しを容易に行うことができる形状とすることができる。したがって、単純な構造の金型を用いて可動部材23を容易に形成することができる。
【0058】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・可動室22の内周面および可動部材23の本体部24の外周面の一方あるいは双方を、例えば可動部材23の移動方向において同一の太さで延びる形状で形成するなど、可動部材23の移動方向前側に向かうほど先細のテーパ形状以外の形状に形成してもよい。
【0059】
・導通経路27の被切断部31に形成された段差部32A,32Bの曲げ角度を90°に設定することに限らず、90°より小さい角度に設定するようにしてもよい。こうした構成によっても、カッター部25による被切断部31の押圧に際して同被切断部31の段差部32A,32Bがケース21の係合部33A,33Bに対して滑ることによって押圧部分側に相対移動することを抑えることができる。なお、そうした段差部32A,32Bの押圧部分側への相対移動を適正に抑えることができるのであれば、段差部32A,32Bの曲げ角度を90°より大きい角度に設定することも可能である。
【0060】
・係合部33A,33Bとして、必ずしも段差部32A,32Bの全体が埋没する形状の溝を形成する必要はなく、段差部32A,32Bの一部が埋没する形状の溝を形成することも可能である。
【0061】
・係合部33A,33Bとしてケース21に溝を形成することに代えて、ケース21に段差部32A,32Bに係合する形状の突部を形成して同突部を係合部としてもよい。
・段差部32A,32Bに係合する係合部としては、ケース21に一体に形成されたものを採用することの他、ケース21内に取り付けられる別部材に形成されたものを採用することができる。
【0062】
・導通経路27の被切断部31に切り欠き部34,35を形成することに代えて、貫通孔を形成するようにしてもよい。この貫通孔の形状として角部を有する形状を採用することにより、カッター部25による被切断部31の押圧に際して応力集中する部分を形成することができ、同部分を起点にして容易に被切断部31を破断させることができる。また貫通孔の形状として角部の無い形状を採用することにより、同貫通孔の形成部分において被切断部31が容易に折り曲がる構造にすることができる。
【0063】
・切り欠き部34や切り欠き部35を省略してもよい。
・カッター部25に二つの凸部36を形成することに限らず、凸部36を一つのみ形成したり、三つ以上の凸部36を形成したりしてもよい。
【0064】
・カッター部25の一つの側面のみに凸部36を形成することに限らず、複数の側面に凸部を形成してもよい。
・カッター部25の基端部分から先端部分の手前まで延びる形状の凸部36を形成することに代えて、図9(a)および(b)に一例を示すように、カッター部25の基端部分および先端部分の双方から離間した状態で突出する形状の凸部40を形成するようにしてもよい。なお図9(b)は図9(a)の矢印F方向から見た可動部材の側面構造を示している。
【0065】
・凸部36が設けられない可動部材を採用することができる。
・図10に示すように、導通経路27の被切断部31に断面略コの字形状に折り曲げられた部分を形成して同部分を段差部50A,50Bとしてもよい。その他、断面略V字形状に折り曲げられた部分を形成して段差部としたり、断面略U字形状に折り曲げられた部分を形成して段差部としたりすることもできる。こうした構成においては、段差部(図10に示す例では50A,50B)の形状に対応する形状の係合部(同51A,51B)をケース21に設けるようにすればよい。
【0066】
・図11に示すように、二つの段差部60A,60Bをそれぞれ、被切断部31における各段差部60A,60Bに挟まれた部分がそれ以外の部分より可動部材23から離間する側の位置になる形状に形成してもよい。こうした構成においては、段差部60A,60Bの形状に対応する形状の係合部61A,61Bをケース21に設けるようにすればよい。
【0067】
・段差部と同段差部に係合する係合部とを被切断部の一箇所のみに形成するようにしてもよい。
・カッター部25を含む可動部材23を形成する材料としては、樹脂材料に限らず、被切断部31を切断可能な程度に強度の高い材料であって且つ適度な絶縁性を有する材料であれば、任意の材料を採用することができる。また、可動部材23を形成する手法としては、金型成形を用いて形成する手法に限らず、切削加工により形成する手法など、任意の手法を採用することができる。
【0068】
・以下の「構成イ」および「構成ロ」のうちの一方のみを採用してもよい。
「構成イ」導通経路の被切断部の延設方向における中間部分に段差部を形成するとともにケースに同段差部と係合する係合部を設ける。
「構成ロ」可動部材のカッター部の先端部分と基端部分との間の外面に、被切断部の延設方向に沿う方向に突出する凸部を形成する。
【0069】
・本発明にかかる導通遮断装置は、車両走行用モータと蓄電池との間に設けられるものに限らず、電気機器間に設けられてそれら電気機器間における導通を遮断する装置であれば適用することができる。そうした装置としては、例えば燃料電池車両において燃料電池と車両走行用モータとの間に設けられる導通遮断装置や、据置式のシステムの電源と電気機器との間に設けられる導通遮断装置、据置式のシステムの電気機器間に設けられる導通遮断装置などを挙げることができる。
【符号の説明】
【0070】
10…車両、11…電気回路、12…蓄電池、13…電気機器、14…コンバータ、15…インバータ、16…モータ、17…衝突センサ、18…電子制御ユニット、20…導通遮断装置、21…ケース、22…可動室、22A…主室、22B…副室、23…可動部材、24…本体部、25…カッター部、26…ガス発生器、27…導通経路、28A,28B…外部接続部、29…貫通孔、30A,30B…基部、31…被切断部、32A,32B…段差部、33A,33B…係合部、34…切り欠き部、35…切り欠き部、36…凸部、40…凸部、50A,50B…段差部、51A,51B…係合部、60A,60B…段差部、61A,61B…係合部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッター部による導通経路の切断を通じて電気機器間の導通を遮断する導通遮断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の導通遮断装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この導通遮断装置は、電気機器間に設けられて、それら電気機器の異常時や電気機器が搭載されたシステムの異常時に作動することによって電気機器間における導通を遮断する。
【0003】
そうした導通遮断装置の一例を図12に示す。図12に示すように、ケース101の内部には可動室102が区画形成されている。この可動室102内には可動部材103が移動可能に設けられている。可動部材103の移動方向(図中に白抜きの矢印で示す方向)における前側の部分には板形状のカッター部104が突設されている。また、可動室102内における可動部材103の移動方向後ろ側には、外部からの信号入力によって作動してガスを発生するガス発生器105が配設されている。
【0004】
各電気機器間を繋ぐ導通経路106は電気伝導率の高い材料(例えば銅)によって薄板形状に形成されており、一対の基部107A,107Bとそれら基部107A,107B間を繋ぐ被切断部108とを備えている。各基部107A,107Bはそれぞれ、ケース101の側壁内において上記可動部材103の移動方向に沿って延びる形状に形成されるとともに、ケース外に露出した外部接続部109A,109B(具体的には、各電気機器に接続される部分)に接続されている。被切断部108は、可動室102内部において可動部材103の移動方向前側を遮る形状に延設されている。
【0005】
この導通遮断装置は次のように作動する。すなわち先ず、ガス発生器105に作動信号が入力されると、同ガス発生器105がガスを発生する。そして、この発生したガスにより押圧されることによって可動部材103が導通経路106の被切断部108に向けて移動するようになる。その後、可動部材103のカッター部104の突端が被切断部108に衝突するとともに同被切断部108を破断させる。その結果、導通経路106が切断されて外部接続部109A,109B間の導通が遮断され、各電気機器間の導通が遮断されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−306946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した導通遮断装置では、その作動に際して、カッター部104によって導通経路106の被切断部108(詳しくは、薄板形状の導電体)が押し切られる。そのため、そうした導通遮断装置の作動中において、カッター部104による押圧によって被切断部108が破断する前に、被切断部108が伸長することが避けられない。したがって、被切断部108の破断後における破断端部間の距離を確保して電気機器間の導通の遮断を確実に行うためには、そうした被切断部108の伸長分を考慮した上で、作動時におけるカッター部104の移動量を十分に大きく設定することが望ましい。ただし、単にカッター部104の移動量を大きくすると、その分だけ導通遮断装置の大型化を招いてしまうために、これが設置スペースの増加や製造コストの上昇などを招く一因になってしまう。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、大型化を抑えつつ導通の遮断を好適に行うことのできる導通遮断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、ケース内部に区画形成された可動室と、前記可動室内に移動可能に設けられた可動部材と、前記可動部材の移動方向前側の部分に突設されたカッター部と、前記可動室内における前記可動部材の移動方向後ろ側に配設されるとともに作動信号の入力に伴い作動してガスを発生するガス発生器と、一対の外部接続部を有するとともにそれら外部接続部間を連通する形状で延設されてなる導通経路とを備えてなり、前記導通経路は、前記ケースの側壁内において前記可動部材の移動方向に沿う形状で延設されるとともに前記一対の外部接続部に各別に接続される一対の基部と、それら基部間を繋ぐ形状に形成されるとともに前記可動室内において前記可動部材の移動方向前側を遮る形状に延設される被切断部とを有してなる導通遮断装置において、前記被切断部はその延設方向における中間部分に段差形状をなすように折曲げられた形状の段差部が形成されてなり、前記ケースは前記段差部と係合する形状の係合部が設けられてなることをその要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、導通経路の被切断部における段差部とケースに設けられた係合部とが係合しているために、ガス発生器からのガス発生に伴って導通経路の被切断部が可動部材のカッター部によって押し切られる際に、被切断部における段差部よりも上記カッター部によって押圧される部分(押圧部分)から遠い側の部分が同押圧部分に近づく方向に伸長して移動することを規制することができる。そのため、カッター部による押圧に際して被切断部が伸長するとはいえ、同被切断部の一部のみが伸長する構造とすることができ、上記段差部や係合部が形成されないために被切断部の全体が伸長するようになる装置と比較して、被切断部の伸長分を短くすることができる。したがって、カッター部が設けられる可動部材の移動量を比較的小さく抑えて導通遮断装置の大型化を抑えつつ、被切断部の切断端部間の距離を十分に確保して同装置による導通の遮断を好適に行うことができるようになる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の導通遮断装置において、前記段差部と同段差部に係合する前記係合部とが二箇所に形成されてなり、前記カッター部は、前記被切断部における二つの前記段差部によって挟まれた部分を切断する位置に配設されてなることをその要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、カッター部による被切断部の押圧に際して、被切断部における二つの段差部に挟まれた部分のみが伸長する構造とすることができる。これにより、被切断部において伸長してしまう部分の長さを短くして同被切断部の伸長分をより短くすることができるため、導通遮断装置の大型化を好適に抑えることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の導通遮断装置において、前記二つの段差部はそれぞれ、前記被切断部における前記挟まれた部分がそれ以外の部分より前記移動方向後ろ側の位置になる形状に形成されてなることをその要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、可動部材がカッター部ともども移動して被切断部を切断した後に同カッター部が二つの段差部の間に収まる構造にすることができる。そのため、被切断部を切断した後のカッター部の大部分が二つの段差部に挟まれたスペースを越えた位置まで移動するものと比較して、カッター部を移動させるためのスペース(すなわち可動室)の移動方向における長さを短くすることが可能になり、導通遮断装置の小型化を図ることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導通遮断装置において、前記カッター部は、その先端部分と基端部分との間の外面に、前記被切断部の延設方向に沿う方向に突出する凸部が設けられてなることをその要旨とする。
【0016】
上記構成によれば、ガス発生器からのガス発生に伴って導通経路の被切断部がカッター部によって押し切られた後に、切断後の被切断部をカッター部に設けられた凸部によって押圧することにより、切断された端部がカッター部から離間するように被切断部を曲げることができる。そのため、カッター部に凸部が形成されないものと比較して、被切断部の切断端部間の距離を大きくすることができる。これにより、被切断部の切断端部間の距離を十分に確保することができるため、導通遮断装置による導通の遮断をより好適に行うことができるようになる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、ケース内部に区画形成された可動室と、前記可動室内に移動可能に設けられた可動部材と、前記可動部材の移動方向前側の部分に突設されたカッター部と、前記可動室内における前記可動部材の移動方向後ろ側に配設されるとともに作動信号の入力に伴い作動してガスを発生するガス発生器と、一対の外部接続部を有するとともにそれら外部接続部間を連通する形状であり且つ前記可動室内において前記可動部材の移動方向前側を遮る形状で延設されてなる導通経路とを備えてなる導通遮断装置において、
前記カッター部は、その先端部分と基端部分との間の外面に、前記導通経路の延設方向に沿う方向に突出する凸部が設けられてなることをその要旨とする。
【0018】
上記構成によれば、ガス発生器からのガス発生に伴って導通経路が可動部材のカッター部によって押し切られた後に、切断後の導通経路をカッター部に設けられた凸部によって押圧することにより、切断された端部がカッター部から離間するように導通経路を曲げることができる。そのため、カッター部に凸部が形成されないものと比較して、導通経路の切断端部間の距離を大きくすることができる。したがって、カッター部が設けられる可動部材の移動量を比較的小さく抑えて導通遮断装置の大型化を抑えつつ、導通経路の切断端部間の距離を十分に確保して同装置による導通の遮断を好適に行うことができるようになる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の導通遮断装置において、前記カッター部は、合成樹脂により、先端に向かうほど薄くなる板形状に形成されるとともに前記凸部が一体に形成されてなり、前記凸部は前記基端部分から前記先端部分の手前まで直線状に延びる形状で形成されてなることをその要旨とする。
【0020】
上記構成によれば、カッター部の外面に凸部が形成されるとはいえ、同凸部の形状を、合成樹脂を用いた金型成形によってカッター部を形成する際に成形後のカッター部の金型からの取り出しを容易に行うことができる形状にすることができる。そのため、単純な構造の金型を用いてカッター部を容易に形成することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の導通遮断装置において、当該装置は、車両走行用のモータと同モータに電力を供給する蓄電池との間に設けられて、前記蓄電池から走行用モータへの電力供給を遮断するべく作動するものであることをその要旨とする。
【0022】
走行用モータと蓄電池とが搭載された車両に、その異常時における安全を確保するために、導通遮断装置を設けて蓄電池から走行用モータへの電力供給を遮断するようにしたものがある。そうした装置では、蓄電池から走行用モータへの電力供給の遮断を確実に行う必要があるために、導通経路の切断端部間の距離が問題になりやすい。また近年、車両の高機能化による搭載機器の増加によって車両における空きスペースが小さくなっているために、車両に設けられる導通遮断装置はその大型化による搭載性の悪化を招きやすいと云える。上記構成によれば、そうした車両に搭載される導通遮断装置の大型化を抑えつつ、同装置による導通の遮断を好適に行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の導通遮断装置によれば、大型化を抑えつつ導通の遮断を好適に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を具体化した一実施形態にかかる導通遮断装置が適用される電気回路の概略構成を示す略図。
【図2】同導通遮断装置の内部構造を示す断面図。
【図3】導通経路の斜視構造を示す斜視図。
【図4】導通経路を図3における矢印C方向から見た平面構造を示す平面図。
【図5】可動部材の斜視構造を示す斜視図。
【図6】(a)可動部材の平面図(b)可動部材の側面図。
【図7】作動後における導通遮断装置の内部構造を示す断面図。
【図8】作動後の導通遮断装置におけるカッター部周辺の内部構造を拡大して示す断面図。
【図9】(a)および(b)変形例の可動部材の側面構造を示す側面図。
【図10】変形例の導通遮断装置の内部構造を示す断面図。
【図11】他の変形例の導通遮断装置の内部構造を示す断面図。
【図12】従来の導通遮断装置の内部構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した一実施形態にかかる導通遮断装置について説明する。
図1に示すように、本実施形態の導通遮断装置20は電気回路11に適用される。電気回路11は蓄電池12と電気機器13とを備えている。この電気回路11では、蓄電池12からの電力供給によって電気機器13が作動する。電気機器13は、蓄電池12から入力される電力を昇圧したうえで出力するコンバータ14と、同コンバータ14から入力される直流電力をモータ駆動に適した交流電力に変換して出力するインバータ15と、インバータ15から出力される交流電力によって駆動されるモータ16とにより構成されている。
【0026】
なお上記電気回路11は車両10に搭載されている。この車両10が衝突などによってダメージを受けた場合には電気機器13が適正に作動しなくなったり上記電気回路11からの漏電を招いたりするおそれがある。そのため車両10には、その衝突に際して蓄電池12と電気機器13との間の導通を遮断する導通遮断装置20が設けられている。この導通遮断装置20は、電気回路11における蓄電池12(詳しくは、その正極)と電気機器13との間に設けられている。車両10には、その衝突の有無を検出するための衝突センサ17と、マイクロコンピュータを中心に構成される電子制御ユニット18とが取り付けられている。電子制御ユニット18には衝突センサ17の出力信号が取り込まれている。そして電子制御ユニット18は、衝突センサ17の出力信号をもとに車両10の衝突を検知すると、導通遮断装置20を作動させる。これにより蓄電池12から電気機器13への電力供給が遮断されるようになる。
【0027】
以下、導通遮断装置20の具体構造について説明する。
図2に示すように、導通遮断装置20のケース21の内部には可動室22が区画形成されている。この可動室22の内部には、可動部材23が直線方向(図中に白抜きの矢印で示す方向)に移動可能な状態で配設されている。可動部材23の移動方向後ろ側の部分(本体部24)は有蓋円筒形状に形成されている。この本体部24の外周面には移動方向に延びる突部24Aが二つ形成されている。また本体部24の移動方向前側にはカッター部25が突設されている。このカッター部25は、上記可動部材23の移動方向と交差する方向(図2における奥行き方向)において断面略台形形状で延びる板形状に形成されている。可動室22は詳しくは、上記本体部24に対応する形状である略円柱形状で延びるスペース(主室22A)と、同主室22Aにおける上記移動方向前側に形成されて導通遮断装置20の作動後にカッター部25が収まるスペース(副室22B)とを備えている。なお、可動室22において可動部材23の本体部24が移動する部分(具体的には、主室22A)の内周面と同本体部24の外周面とはともに、同可動部材23の移動方向前側に向かうほど先細のテーパ形状に形成されている。また主室22Aの内面には、上記可動部材23の移動方向において延びる形状の凹部であり、且つ内部を上記本体部24の突部24Aが移動可能な形状の凹部22Cが形成されている。
【0028】
可動室22の内部における上記可動部材23の移動方向後ろ側には火薬式のガス発生器26が配設されている。このガス発生器26は電子制御ユニット18に接続されている。ガス発生器26には、導通遮断装置20の作動に際して、電子制御ユニット18から作動信号(詳しくは、ガス発生器26に燃焼ガスを発生させるための信号)が入力される。ガス発生器26は、電子制御ユニット18からの信号入力に伴って内蔵の火薬を着火燃焼させて燃焼ガスを発生させる。
【0029】
導通遮断装置20には電気機器間を導通させるための導通経路27が設けられている。この導通経路27は電気伝導率の高い材料(具体的には、銅)によって薄板形状に形成されている。導通経路27は両端が外部に露出した状態でケース21に取り付けられている。導通遮断装置20では、それら導通経路27の両端が電気機器(本実施形態では、蓄電池12およびコンバータ14)に接続される外部接続部28A,28Bとして機能する。導通経路27は一対の外部接続部28A,28B間を連通する形状で延設されている。それら外部接続部28A,28Bにはそれぞれ貫通孔29が形成されている。
【0030】
導通遮断装置20では、上記貫通孔29を利用してねじ等によって、外部接続部28A,28Bのうちの一方が電気回路11(図1)における蓄電池12に導通する端子に接続されるとともに、他方が電気回路11における電気機器13(詳しくは、コンバータ12)に導通する端子に接続される。このようにして導通経路27の各外部接続部28A,28Bが電気回路11の端子にそれぞれ接続されることにより、それら電気回路11の各端子間が導通経路27を通じて導通されるようになる。
【0031】
上記導通経路27(図2)は、各外部接続部28A,28Bの他、一対の基部30A,30Bとそれら基部30A,30B間を繋ぐ被切断部31とを備えている。各基部30A,30Bは、ケース21の側壁内において上記可動部材23の移動方向に沿って延びる形状(詳しくは、移動方向と並行に延びる形状)に形成されるとともに外部接続部28A,28Bのいずれかに結合されている。また被切断部31は、可動室22の内部において可動部材23の移動方向前側を遮る形状で延設されている。
【0032】
図3に導通経路27の斜視構造を示す。
図2および図3に示すように、導通経路27の被切断部31は、その延設方向(図2における左右方向)における中間部分に段差形状をなすように折曲げられた形状の段差部32A,32Bが形成されている。それら段差部32A,32Bの曲げ角度(具体的には、被切断部31の折り曲げ部分の前後がなす角度)は90°に設定されている。被切断部31の二つの段差部32A,32Bは、それら段差部32A,32Bによって挟まれた部分がそれ以外の部分より可動部材23(図2)の移動方向後ろ側の位置になる形状に形成されている。またケース21には、段差部32Aに係合する係合部33Aと上記段差部32Bに係合する係合部33Bとがそれぞれ形成されている。本実施形態では、それら係合部33A,33Bとして、段差部32A(あるいは段差部32B)に沿って延びる形状の溝であり且つ段差部32A(あるいは段差部32B)の全体が埋没する形状の溝が形成されている。また本実施の形態では、可動室22の副室22Bが、二つの段差部32A,32Bや二つの係合部33A,33Bに挟まれた位置に形成されている。
【0033】
図4に、図3の矢印C方向から見た導通経路27の平面構造を示す。
図2〜図4のいずれかに示すように、可動部材23の移動に際して導通経路27の被切断部31における上記カッター部25先端の一方のエッジED1が衝突する位置において、その幅方向における両端には、三角形状に切り欠かれた形状の切り欠き部34がそれぞれ形成されている。こうした切り欠き部34を形成することにより、カッター部25の先端のエッジED1が被切断部31に衝突した際に切り欠き部34の先端の角部に応力が集中するようになるため、各切り欠き部34の角部を起点にしてそれら角部を繋ぐように被切断部31が破断するようになる。したがって、被切断部31を所望の位置で容易に破断させることができるようになる。
【0034】
また、被切断部31における上記切り欠き部34が形成された部分よりも上記可動部材23の移動に際して上記カッター部25の先端のエッジED2が衝突する位置側の部分には、その幅方向における両端に、ほぼ半円形状に切り欠かれた形状の切り欠き部35がそれぞれ形成されている。これら切り欠き部35は角部がないため、上記切り欠き部34とは異なり、カッター部25の先端が被切断部31に衝突した際に応力集中が生じ難い。ただし、こうした切り欠き部35を形成することにより、その強度が他の部分と比較して低くなるために、カッター部25の先端が被切断部31に衝突した際に切り欠き部35の形成部分において被切断部31が曲がり易い構造になっている。
【0035】
図5および図6に可動部材23を示す。なお図6において(a)は図5の矢印D方向から見た可動部材23の平面構造を示し、(b)は図5の矢印E方向から見た可動部材23の側面構造を示している。
【0036】
図5および図6に示すように、可動部材23は略円柱形状の本体部24と同本体部24から突設されたカッター部25とを備えている。このカッター部25は、前述したように断面略台形形状で延びる板形状に形成されている。詳しくは、カッター部25は先端に向かうほど薄くなる板形状に形成されている。このカッター部25の外面には被切断部31(図2参照)の延設方向(図6(a)における左右方向)に沿う方向に突出する凸部36が形成されている。この凸部36としては、カッター部25の基端部分(本体部24側の端部)から先端部分の手前まで同カッター部25の移動方向に沿って直線状に延びる形状のものが間隔をおいて二つ形成されている。これら本体部24、カッター部25および二つの凸部36により構成される可動部材23は、合成樹脂により、一体に形成されている。
【0037】
本実施形態では、可動部材23のカッター部25の外面に凸部36が形成されるとはいえ、同凸部36の形状が、合成樹脂を用いた金型成形によってカッター部25を形成する際に成形後のカッター部25の金型からの取り出しを容易に行うことができる形状になっている。そのため、単純な構造の金型を用いて可動部材23を容易に形成することができる。
【0038】
以下、本実施形態の導通遮断装置20を採用することによる作用についてその作動態様とともに説明する。
先ず、導通遮断装置20が作動していない状態(図2に示す状態)で電子制御ユニット18からガス発生器26に作動信号が入力されると、同ガス発生器26が作動して燃焼ガスを発生するようになる。そして、この発生したガスにより押圧されることによって可動部材23が導通経路27の被切断部31に向けて移動するようになる。このとき可動部材23はその本体部24に形成された突部24Aがケース21の主室22Aに形成された凹部22C内を移動することによって案内される。本実施形態では、導通遮断装置20の駆動源として火薬式のガス発生器26が用いられる。火薬式のガス発生器26を用いて駆動されるものは一般に、駆動源として他の方式(電磁式など)のものが用いられる装置と比較して迅速な駆動が可能であり、安価であり、且つ動作信頼性が高い。本実施の形態では、そうした火薬式のものを駆動源として用いて導通遮断装置20が駆動される。
【0039】
その後、可動部材23のカッター部25の先端が被切断部31に衝突すると、カッター部25による押圧力によって被切断部31の各切り欠き部34の角部に応力集中が生じて、それら切り欠き部34の角部を繋ぐように被切断部31が破断されるようになる。また、このときカッター部25による押圧力により、被切断部31の切り欠き部35が形成された部分の近傍において被切断部31が湾曲するようになる。
【0040】
その結果、導通経路27が切断されて外部接続部28A,28B間の導通が遮断された状態(図7に示す状態)になって、蓄電池12(図1参照)とコンバータ14との間の導通が遮断されるようになる。なお図7は、作動後における導通遮断装置20の内部構造を示している。
【0041】
前述のように導通遮断装置20では、その可動室22の内周面と可動部材23の本体部24の外周面とが共に、同可動部材23の移動方向前側に向かうほど先細のテーパ形状に形成されている。そのため導通遮断装置20では、ガス発生器26からのガス発生に伴って可動部材23が移動すると、同可動部材23の本体部24が可動室22の移動方向前側の部分に嵌り込むようになる。
【0042】
このとき、可動部材23の本体部24の移動方向が同本体部24の外周面と可動室22の内周面との接触によって矯正されるようになるため、可動部材23(詳しくは、カッター部25)が適正な位置に案内されつつ移動するようになる。これにより、カッター部25による被切断部31の切断を予め見込んだ態様で適正に行うことができるようになる。
【0043】
また導通遮断装置20の作動後、すなわち可動部材23の本体部24が可動室22の移動方向前側の部分に嵌り込んだ後においては、同可動部材23が作動後の位置(図7に示す位置)に固定されるようになる。ここでカッター部25によって被切断部31を押し切った後に、同カッター部25が作動前の位置に戻ってしまうと、弾性変形している被切断部31が元の形状に戻ろうとするため、同被切断部31の切断端部が互いに不要に近づくおそれがある。本実施形態では、カッター部25によって被切断部31が押し切られた後において切断端部の間にカッター部25が挟まれた状態を保持することができ、カッター部25が作動前の位置に戻ることに伴って被切断部31の切断端部が互いに近づくことを防止することができる。
【0044】
ここで上記導通遮断装置20では、被切断部31の破断前にカッター部25によって同被切断部31が押圧されるときに、被切断部31が伸長することが避けられない。そのため、被切断部31の破断後における破断端部間の距離を確保して導通遮断装置20による導通遮断を確実に行うためには、そうした被切断部31の伸長分を考慮した上で、作動時におけるカッター部25の移動量を十分に大きく設定することが望ましい。ただし、単にカッター部25の移動量を大きくすると、その分だけ導通遮断装置20の大型化を招いてしまうために、これが設置スペースの増加や製造コストの上昇などを招く一因になってしまう。
【0045】
しかも上記導通遮断装置20は、車両10の異常時における安全を確保するべく蓄電池12から走行用のモータ16への電力供給を遮断するものであるために、その遮断を確実に行う必要があり、導通経路27の切断端部間の距離が問題になりやすい。また近年、車両10の高機能化による搭載機器の増加によって車両10における空きスペースが小さくなっているために、導通遮断装置20はその大型化による搭載性の悪化を招き易いと云える。
【0046】
この点をふまえて上記導通遮断装置20は、その導通経路27の被切断部31の延設方向における中間部分に二つの段差部32A,32Bが形成されるとともに、それら段差部32A,32Bがケース21に形成された二つの係合部33A,33Bと各別に係合する構造になっている。そのため、被切断部31がカッター部25によって押し切られる際に、被切断部31における各段差部32A,32Bよりも上記カッター部25によって押圧される部分(押圧部分)から遠い側の部分が同押圧部分に近づく方向に伸長して移動することが規制される。詳しくは、被切断部31において各段差部32A,32Bによって挟まれた部分のみが伸長するようになって、それ以外の部分が伸長することが規制されるようになる。そのため、カッター部25による押圧に際して被切断部31が伸長するとはいえ、同被切断部31の一部のみが伸長する構造とすることができ、上記段差部32A,32Bや係合部33A,33Bが形成されないために被切断部31の全体が伸長するようになる装置と比較して、被切断部31の伸長分を短くすることができる。したがって、カッター部25が設けられる可動部材23の移動量を比較的小さく抑えて導通遮断装置20の大型化を抑えつつ、被切断部31の切断端部間の距離を十分に確保して同装置20による導通の遮断を好適に行うことができるようになる。
【0047】
なお仮に段差部32A,32Bにおいて被切断部31の折り曲げ部分がなす角度を鈍角に設定すると、その設定角度が大きいものほど、被切断部31がその延設方向に引っ張られたときに同被切断部31の段差部32A,32Bがケース21の係合部33A,33Bに対して滑って相対移動し易い構造になる。そのため被切断部31の伸長分が大きくなる可能性が高くなる。本実施形態では、各段差部32A,32Bの曲げ角度が90°に設定されているため、カッター部25による被切断部31の押圧に際して同被切断部31の段差部32A,32Bがケース21の係合部33A,33Bに対して滑ることによって押圧部分側に相対移動することを抑えることができ、被切断部31の伸長分を好適に小さくすることができる。
【0048】
また上記導通遮断装置20では、二つの段差部32A,32Bがそれぞれ、被切断部31において各段差部32A,32Bに挟まれた部分がそれ以外の部分より可動部材23の移動方向後ろ側の位置になる形状に形成されている。そのため、可動部材23がカッター部25ともども移動して被切断部31を切断した後に同カッター部25が二つの段差部32A,32Bの間(詳しくは、可動室22の副室22B内)に収まる構造になる。したがって、被切断部31を破断させた後のカッター部25の大部分が二つの段差部32A,32Bの間を越えた位置まで移動するものと比較して、カッター部25を移動させるためのスペース(すなわち可動室22)の移動方向における長さを短くすることが可能になり、導通遮断装置20の小型化を図ることができる。
【0049】
図8に、作動後の導通遮断装置20におけるカッター部25周辺の内部構造を拡大して示す。
図8に示すように、上記導通遮断装置20では、被切断部31が破断した後において、その破断した端部を押しのけるようにしてカッター部25がさらに移動するようになる。上記導通遮断装置20では、カッター部25の先端部分と基端部分との間の外面に、被切断部31の延設方向に沿う方向に突出する形状の凸部36が形成されている。そのため、被切断部31がカッター部25によって押し切られた後に、被切断部31の切断端部がカッター部25に設けられた凸部36によって押圧されるようになる。
【0050】
これにより、カッター部25に凸部36が形成されないものにおける被切断部31の接続端部(図8中に一点鎖線で示す)の変形量と比較して、本実施形態の導通遮断装置20における被切断部31(図8中に一点鎖線で示す)の切断端部の変形量を大きくすることができる。そのため、切断された被切断部31の端部同士が互いに離間するように同被切断部31を曲げることができる。したがって、被切断部31の切断端部間の距離を大きくして同距離を十分に確保することができるため、導通遮断装置20による導通の遮断をより好適に行うことができるようになる。
【0051】
ちなみに金型成型によって樹脂成形品を形成する場合、成型後の冷却過程における収縮によって樹脂成形品の寸法精度が低下するおそれがある。そうした寸法精度の低下を抑えるためには、樹脂材料の量を少なくして、収縮の度合いを小さくすることが望ましい。また上記導通遮断装置20では、可動部材23が可動室22の内周面によって案内されつつ同可動室22内を移動するとともに、同可動部材23のカッター部25によって導通経路27の被切断部31における所定位置が切断される。そのため、可動部材23の適正な移動やカッター部25による被切断部31の適正な位置での切断を実現するためには、可動部材23を高い精度で形成することが重要なポイントになる。
【0052】
この点、上記導通遮断装置20では、カッター部25の外面に凸部36が形成されているために、凸部36によって破断後の破断端部を押し広げて端部間の距離を大きくする機能を発揮させることができ、さらにはカッター部25を薄く形成することもできる。したがって、成型後の冷却過程における可動部材23の収縮度合いを小さく抑えることができ、可動部材23の寸法精度の向上を図ることができる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)導通経路27の被切断部31の延設方向における中間部分に段差形状をなす段差部32A,32Bを形成するとともに、ケース21に段差部32A,32Bと係合する形状の係合部33A,33Bを形成した。そのため、カッター部25による押圧に際して被切断部31が伸長するとはいえ、同被切断部31の一部のみが伸長する構造とすることができ、上記段差部32A,32Bや係合部33A,33Bが形成されないために被切断部31の全体が伸長するようになる装置と比較して、被切断部31の伸長分を短くすることができる。したがって、カッター部25が設けられる可動部材23の移動量を比較的小さく抑えて導通遮断装置20の大型化を抑えつつ、被切断部31の切断端部間の距離を十分に確保して同装置20による導通の遮断を好適に行うことができるようになる。
【0054】
(2)段差部32A,32Bと係合部33A,33Bとを二箇所に形成するとともに、被切断部31における二つの段差部32A,32Bによって挟まれた部分を切断する位置に可動部材23のカッター部25を配設した。そのため、カッター部25による被切断部31の押圧に際して、被切断部31における二つの段差部32A,32Bによって挟まれた部分のみが伸長する構造とすることができる。したがって、被切断部31において伸長してしまう部分の長さを短くして同被切断部31の伸長分をより短くすることができ、導通遮断装置20の大型化を好適に抑えることができる。
【0055】
(3)二つの段差部32A,32Bをそれぞれ、被切断部31において各段差部32A,32Bに挟まれた部分がそれ以外の部分より可動部材23の移動方向後ろ側の位置になる形状に形成した。そのため、被切断部31を破断させた後のカッター部25の大部分が二つの段差部32A,32Bの間を越えた位置まで移動するものと比較して、カッター部25を移動させるためのスペースの移動方向における長さを短くすることが可能になり、導通遮断装置20の小型化を図ることができる。
【0056】
(4)カッター部25の先端部分と基端部分との間の外面に、被切断部31の延設方向に沿う方向に突出する形状の凸部36を形成した。そのため、被切断部31がカッター部25によって押し切られた後に、被切断部31の切断端部がカッター部25に設けられた凸部36によって押圧されるようになる。これにより、被切断部31の切断端部間の距離を大きくして同距離を十分に確保することができるため、導通遮断装置20による導通の遮断をより好適に行うことができるようになる。
【0057】
(5)カッター部25を合成樹脂により先端に向かうほど薄くなる板形状に形成するとともに、同カッター部25に凸部36を一体形成した。凸部36を可動部材23の移動方向に沿って直線状に延びる形状で形成した。そのため、可動部材23のカッター部25の外面に凸部36が形成されるとはいえ、同凸部36の形状を、合成樹脂を用いた金型成形によってカッター部25を形成する際に成形後のカッター部25の金型からの取り出しを容易に行うことができる形状とすることができる。したがって、単純な構造の金型を用いて可動部材23を容易に形成することができる。
【0058】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・可動室22の内周面および可動部材23の本体部24の外周面の一方あるいは双方を、例えば可動部材23の移動方向において同一の太さで延びる形状で形成するなど、可動部材23の移動方向前側に向かうほど先細のテーパ形状以外の形状に形成してもよい。
【0059】
・導通経路27の被切断部31に形成された段差部32A,32Bの曲げ角度を90°に設定することに限らず、90°より小さい角度に設定するようにしてもよい。こうした構成によっても、カッター部25による被切断部31の押圧に際して同被切断部31の段差部32A,32Bがケース21の係合部33A,33Bに対して滑ることによって押圧部分側に相対移動することを抑えることができる。なお、そうした段差部32A,32Bの押圧部分側への相対移動を適正に抑えることができるのであれば、段差部32A,32Bの曲げ角度を90°より大きい角度に設定することも可能である。
【0060】
・係合部33A,33Bとして、必ずしも段差部32A,32Bの全体が埋没する形状の溝を形成する必要はなく、段差部32A,32Bの一部が埋没する形状の溝を形成することも可能である。
【0061】
・係合部33A,33Bとしてケース21に溝を形成することに代えて、ケース21に段差部32A,32Bに係合する形状の突部を形成して同突部を係合部としてもよい。
・段差部32A,32Bに係合する係合部としては、ケース21に一体に形成されたものを採用することの他、ケース21内に取り付けられる別部材に形成されたものを採用することができる。
【0062】
・導通経路27の被切断部31に切り欠き部34,35を形成することに代えて、貫通孔を形成するようにしてもよい。この貫通孔の形状として角部を有する形状を採用することにより、カッター部25による被切断部31の押圧に際して応力集中する部分を形成することができ、同部分を起点にして容易に被切断部31を破断させることができる。また貫通孔の形状として角部の無い形状を採用することにより、同貫通孔の形成部分において被切断部31が容易に折り曲がる構造にすることができる。
【0063】
・切り欠き部34や切り欠き部35を省略してもよい。
・カッター部25に二つの凸部36を形成することに限らず、凸部36を一つのみ形成したり、三つ以上の凸部36を形成したりしてもよい。
【0064】
・カッター部25の一つの側面のみに凸部36を形成することに限らず、複数の側面に凸部を形成してもよい。
・カッター部25の基端部分から先端部分の手前まで延びる形状の凸部36を形成することに代えて、図9(a)および(b)に一例を示すように、カッター部25の基端部分および先端部分の双方から離間した状態で突出する形状の凸部40を形成するようにしてもよい。なお図9(b)は図9(a)の矢印F方向から見た可動部材の側面構造を示している。
【0065】
・凸部36が設けられない可動部材を採用することができる。
・図10に示すように、導通経路27の被切断部31に断面略コの字形状に折り曲げられた部分を形成して同部分を段差部50A,50Bとしてもよい。その他、断面略V字形状に折り曲げられた部分を形成して段差部としたり、断面略U字形状に折り曲げられた部分を形成して段差部としたりすることもできる。こうした構成においては、段差部(図10に示す例では50A,50B)の形状に対応する形状の係合部(同51A,51B)をケース21に設けるようにすればよい。
【0066】
・図11に示すように、二つの段差部60A,60Bをそれぞれ、被切断部31における各段差部60A,60Bに挟まれた部分がそれ以外の部分より可動部材23から離間する側の位置になる形状に形成してもよい。こうした構成においては、段差部60A,60Bの形状に対応する形状の係合部61A,61Bをケース21に設けるようにすればよい。
【0067】
・段差部と同段差部に係合する係合部とを被切断部の一箇所のみに形成するようにしてもよい。
・カッター部25を含む可動部材23を形成する材料としては、樹脂材料に限らず、被切断部31を切断可能な程度に強度の高い材料であって且つ適度な絶縁性を有する材料であれば、任意の材料を採用することができる。また、可動部材23を形成する手法としては、金型成形を用いて形成する手法に限らず、切削加工により形成する手法など、任意の手法を採用することができる。
【0068】
・以下の「構成イ」および「構成ロ」のうちの一方のみを採用してもよい。
「構成イ」導通経路の被切断部の延設方向における中間部分に段差部を形成するとともにケースに同段差部と係合する係合部を設ける。
「構成ロ」可動部材のカッター部の先端部分と基端部分との間の外面に、被切断部の延設方向に沿う方向に突出する凸部を形成する。
【0069】
・本発明にかかる導通遮断装置は、車両走行用モータと蓄電池との間に設けられるものに限らず、電気機器間に設けられてそれら電気機器間における導通を遮断する装置であれば適用することができる。そうした装置としては、例えば燃料電池車両において燃料電池と車両走行用モータとの間に設けられる導通遮断装置や、据置式のシステムの電源と電気機器との間に設けられる導通遮断装置、据置式のシステムの電気機器間に設けられる導通遮断装置などを挙げることができる。
【符号の説明】
【0070】
10…車両、11…電気回路、12…蓄電池、13…電気機器、14…コンバータ、15…インバータ、16…モータ、17…衝突センサ、18…電子制御ユニット、20…導通遮断装置、21…ケース、22…可動室、22A…主室、22B…副室、23…可動部材、24…本体部、25…カッター部、26…ガス発生器、27…導通経路、28A,28B…外部接続部、29…貫通孔、30A,30B…基部、31…被切断部、32A,32B…段差部、33A,33B…係合部、34…切り欠き部、35…切り欠き部、36…凸部、40…凸部、50A,50B…段差部、51A,51B…係合部、60A,60B…段差部、61A,61B…係合部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内部に区画形成された可動室と、前記可動室内に移動可能に設けられた可動部材と、前記可動部材の移動方向前側の部分に突設されたカッター部と、前記可動室内における前記可動部材の移動方向後ろ側に配設されるとともに作動信号の入力に伴い作動してガスを発生するガス発生器と、一対の外部接続部を有するとともにそれら外部接続部間を連通する形状で延設されてなる導通経路とを備えてなり、前記導通経路は、前記ケースの側壁内において前記可動部材の移動方向に沿う形状で延設されるとともに前記一対の外部接続部に各別に接続される一対の基部と、それら基部間を繋ぐ形状に形成されるとともに前記可動室内において前記可動部材の移動方向前側を遮る形状に延設される被切断部とを有してなる導通遮断装置において、
前記被切断部はその延設方向における中間部分に段差形状をなすように折曲げられた形状の段差部が形成されてなり、
前記ケースは前記段差部と係合する形状の係合部が設けられてなる
ことを特徴とする導通遮断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の導通遮断装置において、
前記段差部と同段差部に係合する前記係合部とが二箇所に形成されてなり、
前記カッター部は、前記被切断部における二つの前記段差部によって挟まれた部分を切断する位置に配設されてなる
ことを特徴とする導通遮断装置。
【請求項3】
請求項2に記載の導通遮断装置において、
前記二つの段差部はそれぞれ、前記被切断部における前記挟まれた部分がそれ以外の部分より前記移動方向後ろ側の位置になる形状に形成されてなる
ことを特徴とする導通遮断装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の導通遮断装置において、
前記カッター部は、その先端部分と基端部分との間の外面に、前記被切断部の延設方向に沿う方向に突出する凸部が設けられてなる
ことを特徴とする導通遮断装置。
【請求項5】
ケース内部に区画形成された可動室と、前記可動室内に移動可能に設けられた可動部材と、前記可動部材の移動方向前側の部分に突設されたカッター部と、前記可動室内における前記可動部材の移動方向後ろ側に配設されるとともに作動信号の入力に伴い作動してガスを発生するガス発生器と、一対の外部接続部を有するとともにそれら外部接続部間を連通する形状であり且つ前記可動室内において前記可動部材の移動方向前側を遮る形状で延設されてなる導通経路とを備えてなる導通遮断装置において、
前記カッター部は、その先端部分と基端部分との間の外面に、前記導通経路の延設方向に沿う方向に突出する凸部が設けられてなる
ことを特徴とする導通遮断装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の導通遮断装置において、
前記カッター部は、合成樹脂により、先端に向かうほど薄くなる板形状に形成されるとともに前記凸部が一体に形成されてなり、
前記凸部は前記基端部分から前記先端部分の手前まで直線状に延びる形状で形成されてなる
ことを特徴とする導通遮断装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の導通遮断装置において、
当該装置は、車両走行用のモータと同モータに電力を供給する蓄電池との間に設けられて、前記蓄電池から走行用モータへの電力供給を遮断するべく作動するものである
ことを特徴とする導通遮断装置。
【請求項1】
ケース内部に区画形成された可動室と、前記可動室内に移動可能に設けられた可動部材と、前記可動部材の移動方向前側の部分に突設されたカッター部と、前記可動室内における前記可動部材の移動方向後ろ側に配設されるとともに作動信号の入力に伴い作動してガスを発生するガス発生器と、一対の外部接続部を有するとともにそれら外部接続部間を連通する形状で延設されてなる導通経路とを備えてなり、前記導通経路は、前記ケースの側壁内において前記可動部材の移動方向に沿う形状で延設されるとともに前記一対の外部接続部に各別に接続される一対の基部と、それら基部間を繋ぐ形状に形成されるとともに前記可動室内において前記可動部材の移動方向前側を遮る形状に延設される被切断部とを有してなる導通遮断装置において、
前記被切断部はその延設方向における中間部分に段差形状をなすように折曲げられた形状の段差部が形成されてなり、
前記ケースは前記段差部と係合する形状の係合部が設けられてなる
ことを特徴とする導通遮断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の導通遮断装置において、
前記段差部と同段差部に係合する前記係合部とが二箇所に形成されてなり、
前記カッター部は、前記被切断部における二つの前記段差部によって挟まれた部分を切断する位置に配設されてなる
ことを特徴とする導通遮断装置。
【請求項3】
請求項2に記載の導通遮断装置において、
前記二つの段差部はそれぞれ、前記被切断部における前記挟まれた部分がそれ以外の部分より前記移動方向後ろ側の位置になる形状に形成されてなる
ことを特徴とする導通遮断装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の導通遮断装置において、
前記カッター部は、その先端部分と基端部分との間の外面に、前記被切断部の延設方向に沿う方向に突出する凸部が設けられてなる
ことを特徴とする導通遮断装置。
【請求項5】
ケース内部に区画形成された可動室と、前記可動室内に移動可能に設けられた可動部材と、前記可動部材の移動方向前側の部分に突設されたカッター部と、前記可動室内における前記可動部材の移動方向後ろ側に配設されるとともに作動信号の入力に伴い作動してガスを発生するガス発生器と、一対の外部接続部を有するとともにそれら外部接続部間を連通する形状であり且つ前記可動室内において前記可動部材の移動方向前側を遮る形状で延設されてなる導通経路とを備えてなる導通遮断装置において、
前記カッター部は、その先端部分と基端部分との間の外面に、前記導通経路の延設方向に沿う方向に突出する凸部が設けられてなる
ことを特徴とする導通遮断装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の導通遮断装置において、
前記カッター部は、合成樹脂により、先端に向かうほど薄くなる板形状に形成されるとともに前記凸部が一体に形成されてなり、
前記凸部は前記基端部分から前記先端部分の手前まで直線状に延びる形状で形成されてなる
ことを特徴とする導通遮断装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の導通遮断装置において、
当該装置は、車両走行用のモータと同モータに電力を供給する蓄電池との間に設けられて、前記蓄電池から走行用モータへの電力供給を遮断するべく作動するものである
ことを特徴とする導通遮断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−156103(P2012−156103A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16608(P2011−16608)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
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