説明

導電性グリース組成物

【課題】良好な導電性を示すと共に良好な摩擦特性を有するグリース組成物を提供する。
【解決手段】
基油としてパーフルオロポリエーテル、および、導電性付与剤としてカーボンナノチューブを含み、前記カーボンナノチューブの直径が40〜200nmであり、かつ、前記カーボンナノチューブはグリース全体に0.1〜20重量%配合されることを特徴とする導電性グリース組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高導電性と摺動部材の摩耗抑制作用を有する導電性グリース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルPPCやカラーPPCなどの静電転写複写機による印字方法は、まず、感光ドラム上に静電潜像を形成してトナーを付着させ、感光ドラム上に形成された可視像を印字紙に転写電極の帯電によって転写することから始まる。次に、感光ドラムから離脱させた印字紙は定着部ロールに送られ、加熱および加圧によってトナーが紙面に定着する。このような印字過程の中、印字紙が通過することによって、例えば定着部ロールに静電気が発生する。この静電気を外部に逃がす手段として、一般にはロール軸端をアース(接地)して放電する機構が設けられている。しかし、このようにロール軸端に静電気の放電機構を設けると部品点数が増えるので、従来からロール軸受自体に導電性を具備させたいわゆる通電軸受を用いることで、部品点数の削減化を図っている。通電軸受には、軸受内部に導電性グリースを封入したもの、あるいは当該軸受に通電シールや通電部材を装着したものが知られている。その中でも、導電性グリースを封入した軸受は、特殊な構成部品や材料を使用する必要がなく、コスト的にも有利であることから、静電気の放電が求められる軸受個所に多用されている。
【0003】
一方、上記静電転写複写機の定着部は、印字紙に帯電して付着したトナーを100℃を超える高温で加圧して印字紙に定着させるものであるため、定着部ロールの支持軸受は高温下で稼働することとなる。特にその定着部ロールの中でも加熱ロール(ヒートロール)は中空シャフトの内部にヒータを配設して内部から加熱する構造となっており、それを回転支持する軸受の温度は200℃以上の高温に達することがある。したがって、そうした定着部ロールを支持する軸受には、導電性を備えて静電気を放電する機能が備わることに加えて、高温下稼働の長い潤滑寿命が要求されている。
【0004】
従来、放電機能が求められる導電性グリースは、カーボンブラックやグラファイト等の導電性付与物質を添加したものが一般的に用いられている(特許文献1)。しかし、従来の導電性付与物質を使用した場合、時間と共に導電性が劣化する傾向が見られる。この問題を解決するため、導電性付与物質として、直径0.7〜30nm、長さ0.5〜30μmのカーボンナノチューブを採用することによって、従来品より安定な導電性を提供することが可能となっている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭63−24038号公報
【特許文献2】特許第4178806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2では、基油として特定の構造を有するフッ素油を使用し、上記特性を有するカーボンナノチューブを使用した場合、摩擦特性が不十分であった。そこで、本発明が解決しようとする課題は、良好な導電性により静電気の放電を可能にすると共に、良好な摩擦特性を有するグリース組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、カーボンナノチューブの直径及び配合率とグリース組成物の摩擦特性の関係に着目し、基油としてパーフルオロポリエーテル、および、導電性付与物質としてカーボンナノチューブを使用し、前記カーボンナノチューブの直径が40〜200nmである前記カーボンナノチューブをグリース全体に0.1〜20重量%配合することにより、良好な導電性により静電気の放電を可能にすると共に、良好な摩擦特性を有するグリース組成物の創製に成功し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)に関する。
【0009】
(1)基油としてパーフルオロポリエーテル、および、導電性付与剤としてカーボンナノチューブを含み、前記カーボンナノチューブの直径が40〜200nmであり、かつ、前記カーボンナノチューブはグリース全体に0.1〜20重量%配合されることを特徴とする導電性グリース組成物。
【0010】
(2)前記カーボンナノチューブの直径が70〜120nmであり、かつ、前記カーボンナノチューブはグリース全体に0.1〜20重量%配合されることを特徴とする、(1)に記載の導電性グリース組成物。
【0011】
(3)前記パーフルオロポリエーテルが[CF(CF)CFO]の構造単位を有し、かつ、前記カーボンナノチューブはグリース全体に1〜10重量%配合されることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の導電性グリース組成物。
【0012】
(4)前記カーボンナノチューブはグリース全体に3〜10重量%配合されることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の導電性グリース組成物。
【0013】
(5)金属摺動部に使用されることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の導電性グリース組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明の導電性グリース組成物は、良好な導電性を示すと共に良好な摩擦特性を有することから、転がり軸受、すべり軸受等の潤滑剤として使用することが出来る。特に、静電転写複写機の感光ドラムや定着ロールの回転軸受に好適に使用することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施形態に即して詳細に説明する。
【0016】
(導電性グリース組成物について)
本発明の導電性グリース組成物は、基油としてパーフルオロポリエーテル(以下、PFPEとする)を使用し、導電性付与物質としてカーボンナノチューブを使用している。必要に応じて、増ちょう剤や各種添加剤を配合する。
【0017】
(PFPEについて)
基油として使用されるPFPEは、耐熱性に優れている。PFPEとしては、具体的に一般式(I)〜(IV)のようなものが用いられる。なお、Rfはパーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基などの炭素数1〜5のパーフルオロ低級アルキル基である。
【0018】
(I)RfO[CF(CF)CFO]Rf
ここでRfは前記定義と同じであり、i=2〜200である。
ヘキサフルオロプロピレンの光酸化重合で生成した先駆体を完全にフッ素化することにより、あるいはフッ化セシウム触媒下にヘキサフルオロプロピレンをアニオン重合させ、得られた末端CF(CF)COF基を有する酸フロライド化合物をフッ素ガスで処理することによって得られる。
【0019】
(II)RfO[CF(CF)CFO](CFO)Rf
ここでRfは前記定義と同じであり、l+m=3〜200、l:m=10:90でランダムに結合しており、これはヘキサフルオロプロペンの光酸化重合で生成した先駆体を完全にフッ素化することにより得られる。
【0020】
(III)RfO(CFCFO)j(CFO)Rf
ここでRfは前記定義と同じであり、j+k=3〜200であり、j:k=10:90〜90:10でランダムに結合しており、これはテトラフルオロエチレンの光酸化重合で生成した先駆体を完全にフッ素化することにより得られる。
【0021】
(IV)F(CFCFCFO)2〜100CFCF
これはフッ化セシウム触媒の存在下に2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンをアニオン重合させ、得られた含フッ素ポリエーテル(CFCFCFO)を160〜300℃の紫外線照射下のもとフッ素ガス処理することにより得られる。
【0022】
PFPEは、[CF(CF)CFO]の構造単位を有するものが好ましい。[CF(CF)CFO]の構造単位を有するPFPEは、直鎖構造のものに比べて、カーボンナノチューブと組み合わせた場合、より低摩擦化できる点ですぐれている。例えば、一般式(I)(II)である。また、コストパフォーマンスの点でも、一般式(I)(II)が望ましい。
【0023】
本発明のPFPEは、単独であるいは混合しても用いることができる。潤滑油として用いる場合には、40℃における動粘度(JIS K2283準拠により測定)が約5〜2000mm/sであることが好ましい。さらに好ましくは、動粘度が100〜800mm/sである。動粘度が5mm/s以下のものは蒸発量が多く、耐熱用のグリースの規則であるJIS転がり軸受用グリース3種で規定されている蒸発量(1.5%以下)という条件を満たさなくなる。また、動粘度が2000mm/s以上のものは、流動点(JIS K−2283)が高くなり、通常の方法では低温起動時にベアリングが回転しない。そのため、それを使用可能とするには加熱する必要があり、一般的なグリースとしては使用適格を欠くようになる。
【0024】
本発明の導電性グリース組成物におけるPFPEの配合率は50〜99.9重量%、好ましくは80〜99.9重量%である。50重量%未満である場合、組成物が硬くなり流動性に乏しくなるため、十分な潤滑性が得られなくなる。また、99.9重量%より多い場合には、半固体状になりにくく離油が多くなり、安定な導電性を保持することが難しい。
【0025】
(カーボンナノチューブについて)
カーボンナノチューブは、グラフェンという炭素六角網面をナノレベルの直径を持つ円筒に丸めた中空状のチューブである。一枚のグラフェンからなるものは単層カーボンナノチューブに、複数枚のグラフェンを丸めた径の異なる筒を入れ子状の構造としたものは多層カーボンナノチューブに分類されている。
【0026】
本発明のカーボンナノチューブの直径は、好ましくは40〜200nm、さらに好ましくは70〜120nmである。直径40nm未満の場合、容易に摺動面に入るため排徐されにくく、油膜形成を妨げることがある。また、200nmよりも直径が太い場合、摺動面に入りにくいため、固体潤滑剤としては適しない。なお、カーボンナノチューブの直径は、SEMにて1万〜6万倍に拡大した電子顕微鏡写真上で計測し、算術平均値を計算して求めたものである。
【0027】
本発明のカーボンナノチューブの繊維長さは、好ましくは5〜15μmである。
【0028】
本発明のカーボンナノチューブは、市販品として入手できる。たとえば、昭和電工社製の、気相成長法で合成したVGCF(直径150nm、繊維長さ8μm)、VGCF−S(直径80nm、繊維長さ10μm)、NANOAMOR社製の直径40〜60nm、繊維長さ5〜15μmのカーボンナノチューブである。
【0029】
本発明の導電性グリース組成物に良好な導電性、離油特性を提供し、さらに適度なちょう度を確保するために、カーボンナノチューブの配合率は0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは3〜10重量%である。0.1重量%未満である場合、十分な導電性、離油特性が得られない。また、20重量%より多い場合には、組成物が硬くなりすぎて、用途に適した特性を発揮できなくなる。
【0030】
(増ちょう剤について)
本発明の導電性グリース組成物は、必要に応じて、増ちょう剤を配合することができる。
【0031】
増ちょう剤としては、リチウム石けん、ナトリウム石けん、カリウム石けん、カルシウム石けん、アルミニウム石けん、バリウム石けんの金属石けんまたは金属複合石けん、脂肪族、脂環状または芳香族のジウレア、トリウレア、テトラウレア、ポリウレア等の尿素系化合物、ベントナイト、シリカ、有機顔料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等の非フッ素系増ちょう剤と、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロペン共重合体押(FEP)粉末、パープルオロアルキレン樹脂粉末等のフッ素系増ちょう剤とが挙げられる。
【0032】
非フッ素系増ちょう剤の中では、耐熱性、潤滑性の面から、ジウレア、トリウレア、テトラウレア、シリカ等が好ましい。
【0033】
フッ素系増ちょう剤の中では、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンは、テトラフルオロエチレンの乳化重合、けん濁重合、溶液重合などの方法によって数平均分子量Mnを約1000〜1000000程度としたポリテトラフルオロエチレンを製造し、それを熱分解,電子線照射分解、γ線照射、物理的粉砕などの方法によって処理し、数平均分子量Mnを約1000〜500000程度としたものが用いられる。なお、分子量の制御は、共重合反応時に連鎖移動剤を用いても行うことができる。得られた粉末状のポリテトラフルオロエチレンは、一般に約500μm以下の平均一次粒径を有する。本目的に使用される粒子径は1μm以下の平均一次粒子径を有するものが使用される。一次粒子径が1μm以上のものを使用すると、高温時での離油の悪化をまねき、耐飛散・漏洩性の向上、長寿命、安定した導電特性が十分期待されない。
【0034】
増ちょう剤の配合率は、導電性グリース組成物全体の0〜20重量%、好ましくは0〜7重量%である。過剰に増ちょう剤を添加した場合、離油と導電性が悪化する倒向がある。
【0035】
(各種添加剤について)
本発明の導電性グリース組成物は、必要に応じて、さらに、酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、極圧剤、油性剤、固体潤滑剤、導電性向上剤等の添加剤を配合することができる。
【0036】
酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ第3ブチル−4−メチルフェノール、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ第3ブチルフェノール)等のフェノール系の酸化防止剤、アルキルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェノチアジン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン、フェニチアジン、アルキル化フェニチアジン等のアミン系の酸化防止剤、さらにはリン酸系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられる。
【0037】
防錆剤としては、例えば脂肪酸、脂肪酸アミン、アルキルスルホン酸金属塩、アルキルスルホン酸アミン塩、酸化パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0038】
腐食防止剤としては、例えばペンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、チアジアゾール等が挙げられる。
【0039】
極圧剤としては、例えばリン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等のリン系化合物、スルフィド類、ジスルフィド類等の硫黄化合物、ジアルキルジチオリン酸金属塩、ジアルキルジチオカルバミン酸金属塩等の硫黄系金属塩、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル等の塩素化合物などが挙げられる。
【0040】
油性剤としては、例えば脂肪酸またはそのエステル、高級アルコール、多価アルコールまたはそのエステル、脂肪族エステル、脂肪族アミン、脂肪酸モノグリセライド、モンタンワックス、アミド系ワックス等が挙げられる。
【0041】
固体潤滑剤としては、例えば二硫化モリブデン、カーボンブラック、グラファイト、窒化ホウ素、窒化シラン、メラミンシアヌレート等が挙げられる。DBP吸油量(ジブチルフタレート吸油試験法で測定)は150ml/100g以下が好ましい。DBP吸油量が150ml/100g以上の固体潤滑剤を使用すると、グリース組成物が硬くなってしまい、良好な離油性を得ることができない。
【0042】
(導電性グリース組成物の製造方法)
本発明の導電性グリース組成物は、基油となるPFPEに、カーボンナノチューブ、増ちょう剤および添加剤を所定量配合し、3本ロールまたは高圧ホモジナイザーで十分に混練することにより得られる。混練に用いられる3本ロールミルとしては、一般に油圧式のものが用いられる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0044】
(実施例1〜4、比較例1〜4)
PFPE(40℃動粘度400mm/s)中に、導電性付与剤を添加し、3本ロールミルで2回混練して調製した。3本ロールミルの油圧は1MPaであり、1パス目の入口および出口は20μm、2パス目の入口および出口は100μm、3パス目の入口および出口は20μmであった。
【0045】
上記PFPE、導電性付与剤を表1のような配合率によって調製し、それぞれグリース組成物を得た。PFPEとしては、具体的に構造式(I)、(III)、(IV)が用いられている。
構造式(I) CFCFCFO[CF(CF)CFO]CFCF
40℃度粘度:400mm/s
構造式(III) RfO(CFCFO)(CFO)Rf
40℃度粘度:310mm/s
構造式(IV) F(CFCFCFO)CFCF
40℃度粘度:200mm/s
このグリース組成物の性質を以下の各種試験方法で評価した。
【0046】
<不混和ちょう度>
JIS K2220に準拠し、容器から試料をできるだけかき混ぜないで規定の混和器に採取し、25℃において、ちょう度(グリースの硬さ)を測定した。
【0047】
<摩擦摩耗試験>
試験機器:SRV試験機
振動数:50Hz
荷重:50N
摺動距離:1mm
温度:室温
時間:30分(正常終了時)
【0048】
<体積抵抗率>
体積抵抗率の測定は、φ10cmの2つの電極間に、厚さ1mmのグリース組成物を挟み、30分後の抵抗値と試料厚さと電極面積から、ρv=Rv×S/t(ρv:体積抵抗率(Ω・cm)、Rv:抵抗値(Ω)、S:電極面積(cm)、t=試料厚さ(cm))の式で計算できる。測定には絶縁抵抗計3224(HIOKI)を使用した。
【0049】
測定結果を表1に示す。CBとは、カーボンブラックの略称である。また、摩擦係数が0.35を超えるとトルクが大きく、試験が途中で中断されたため、比較例1〜3の摩擦係数は、>0.35と示すこととした。
【0050】
【表1】

【0051】
表1より、直径が40nmより小さいか、または、200nmより大きいカーボンナノチューブを含むグリース組成物(比較例1〜3)では摩擦係数が高く、摩擦特性が劣っていることが分かった。また、導電性付与剤としてカーボンブラックを含むグリース組成物(比較例4)では、体積抵抗率が1.18×10Ω・cmと高い値を示し、導電性が劣ることが分かった。
【0052】
一方、直径が40〜200nmのカーボンナノチューブを含むグリース組成物(実施例1〜6)では、摩擦係数が0.19〜0.33を示し、良好な摩擦特性を有することが分かった。特に、PFPE油として構造式(I)を使用した実施例1〜4では、摩擦係数が低く、摩擦特性がより優れていることが分かった。さらに、実施例1〜6のグリース組成物は、良好な導電性も示すことから、摩擦特性と導電性を両立する非常に優れたグリース組成物であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の導電性グリース組成物は、耐熱性、潤滑性、耐久寿命が要求される潤滑用途に使用できる。
【0054】
例えば自動車では、電動ラジエータファンモータ、ファンカップリング、電制EGR、電子制御スロットルバルブ、オルターネ一夕、アイドラプーリ、電動ブレーキ、ハブユニット、ウォーターポンプ、パワーウィンドウ、ワイパ、電動パワーステアリング等の耐熱性、耐荷重性、せん駈安定性が要求される転がり軸受、すべり軸受、または、ギヤ部分に使用できる。また、自動変速機用コントロールスイッチ、レバーコントロールスイッチ・プッシュスイッチ等の耐熱性、せん断安定性、耐摩耗性が要求される電気接点部分、同じく自動車用途のビスカスカップリングのXリング部分、排気ブレーキのOリング等、耐熱性、せん断安定性が要求されるゴムシール部分に使用できる。
【0055】
樹脂製造装置では、フィルムテンター、フィルムラミネータ、バンパリーミキサーの耐熱性・耐荷重性が要求される転がり軸受すべり軸受、ピン、オイルシール、ギヤ等、製紙装置ではコルゲートマシンの耐熱性、耐荷重性が要求される転がり軸受すべり軸受、ピン、オイルシール、ギヤ等に使用できる。
【0056】
木材加工装置では、コンテプレス等の耐熱性、耐荷重性が要求される転がり軸受、すべり軸受、ピン、オイルシール、ギヤ等に使用できる。
【0057】
食品用機械では、パン焼器、オーブン等のリニアガイド、耐熱性,耐摩耗性が要求される転がり軸受等に使用できる。
【0058】
その他、半導体製造装置、液晶製造装置、電子顕微鏡等の真空プンプにおける転がり軸受、ギヤ等・電力制御装置の遮断機の転がり軸受エ自動車のヘッドライト、シート,ABS,ドアロック、ドアヒンジ・クラッチブースタ,2分割フライホイール、ウィンドレギュレータ、ボールジョイント、クラッチブースタ等の転がり軸受、すべり軸受、ギヤ、揺動部等,パソコンの冷却ファン、掃除機、洗濯機等の転がり軸受、すべり軸受、オイルシール等の家電・情報機器,工作機械のスピンドル、または、サブモータ等の転がり軸受、すべり軸受等、携帯電話、パソコンのヒンジ揺動部等に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油としてパーフルオロポリエーテル、および、導電性付与剤としてカーボンナノチューブを含み、前記カーボンナノチューブの直径が40〜200nmであり、かつ、前記カーボンナノチューブはグリース全体に0.1〜20重量%配合されることを特徴とする導電性グリース組成物。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブの直径が70〜120nmであり、かつ、前記カーボンナノチューブはグリース全体に0.1〜20重量%配合されることを特徴とする、請求項1に記載の導電性グリース組成物。
【請求項3】
前記パーフルオロポリエーテルが[CF(CF)CFO]の構造単位を有し、かつ、前記カーボンナノチューブはグリース全体に1〜10重量%配合されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の導電性グリース組成物。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブはグリース全体に3〜10重量%配合されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性グリース組成物。
【請求項5】
金属摺動部に使用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性グリース組成物。

【公開番号】特開2013−1849(P2013−1849A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135662(P2011−135662)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000102670)NOKクリューバー株式会社 (36)
【Fターム(参考)】