説明

導電性チューブ

【課題】内周壁と外周壁に設けた導電部間の導通を容易に得ることができる構造の導電性チューブを提供する。
【解決手段】断面構造がO型で、外周壁の少なくとも一部と内周壁の少なくとも一部とにそれぞれ導電体1及び2を設けた導電性チューブにおいて、半径方向に向けて拡開された断面がくさび状の導電部材3を設けた。前記くさび状の導電部材3は、外周壁の少なくとも一部に設けた導電体1と内周壁の少なくとも一部に設けた導電体2とを導通させる。または、内周壁の少なくとも一部に設けた導電体1と導通し、外周壁の少なくとも一部に設けた導電体23は絶縁させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属筐体の気密性、防水性、防塵性を保ちながら金属面の導電性を保つための導電性チューブの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属筐体の気密対策、防水対策、防塵対策などのガスケットやOリングとして使われる導電性チューブにおいて、それ自体を導電性材料で形成し、その外周壁と内周壁に導電性を具備したものが提案されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−246757号公報
【特許文献2】特開2005−263943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、断面がO型の構造で、チューブ内部を絶縁性材料で形成した場合、導電性外周壁と導電性内周壁とを導通させることが困難になるという問題点があった。
【0005】
この発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、断面構造がO型で、外周壁の少なくとも一部と内周壁の少なくとも一部とにそれぞれ導電部を設けた導電性チューブにおいて、内周壁と外周壁に設けた導電部間の導通を容易に得ることができる構造の導電性チューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る導電性チューブは、断面構造がO型で、外周壁の少なくとも一部と内周壁の少なくとも一部とにそれぞれ導電体を設けた導電性チューブにおいて、半径方向に向けて拡開された断面がくさび状の導電部材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、断面構造がO型で、外周壁の少なくとも一部と内周壁の少なくとも一部とにそれぞれ導電体を設けた導電性チューブにおいて、半径方向に向けて拡開された断面がくさび状の導電部材を設けることで、内周壁と外周壁との導通構造や、外周壁の一部に内周壁との導通構造を備えた導電性チューブの提供が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態を詳細に説明するが、この発明は、実施の形態に限定されるものではない。
【0009】
実施の形態1.
図1及び図2は、この発明の実施の形態1に係る導電性チューブを示す斜視図と断面図である。図1及び図2に示す導電性チューブの外周壁には導電体1が設けられ、内周壁2には導電体2が設けられている。また、断面構造がO型でなる導電性チューブの半径方向には、半径方向に向けて拡開された断面がくさび状の導電部材3が設けられている。くさび状の導電部材3以外のチューブを形成する材料は、導電性または非導電性のどちらでも構わない。また、導電体1及び2は、導電性チューブの外周壁及び内周壁の少なくとも一部にそれぞれ設けられるものであってもよい。
【0010】
次に、導電性チューブの内周壁の導電体2と外周壁の導電体1の導通方法について説明する。O型の断面構造の半径方向に設けたくさび状の導電部材3が、内周壁の一部乃至全周に設けた導電体2と外周壁の一部乃至全周に設けた導電体1の一方もしくは両方と導通することにより、内周壁の導電体2と外周壁の導電体1との導通構造を設けることが可能になる。
【0011】
このため、チューブの材料が、導電性/非導電性のどちらにも関わらず、内周壁の導電体2と外周壁の導電体1との導通構造が可能になる。
【0012】
よって、チューブの材料の選択肢が増えるために、安価な材料や柔軟または硬質な材料等を使うことが可能になるため、様々な用途のチューブを提供することが可能になる。
【0013】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2に係る導電性チューブを示す断面図である。図3に示す導電性チューブでは、O型の断面構造の半径方向に設けたくさび状の導電部材3と内周壁の導電体2とが導通する構造で、このくさび状の導電部材3とチューブ外周壁の一部乃至全周に設けた導電体1とは絶縁させて非導通な構造が設けられている。
【0014】
このような構造によれば、チューブに非導電性の材料を用いた場合でも、チューブ外周壁の導電体1とは非導通な内周壁の導電体2をチューブ外周壁に出すことが可能になる。
【0015】
また、このような構造によれば、チューブの外周壁には導電体を設けず、内周壁にのみ導電体を設けた構造においても、チューブ内周壁の導電体と導通した導電部を部分的にチューブ外周壁に設けることが可能になる。
【0016】
なお、上記実施の形態1及び2は、導電性チューブについて説明したが、導電性ガスケットとしても適用できるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態1に係る導電性チューブを示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る導電性チューブの断面図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る導電性チューブの断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 導電性チューブの外周壁側に設けた導電体、2 導電性チューブの内周壁側に設けた導電体、3 くさび状の導電部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面構造がO型で、外周壁の少なくとも一部と内周壁の少なくとも一部とにそれぞれ導電体を設けた導電性チューブにおいて、
半径方向に向けて拡開された断面がくさび状の導電部材を設けた
ことを特徴とする導電性チューブ。
【請求項2】
請求項1に記載の導電性チューブにおいて、
前記くさび状の導電部材は、外周壁の少なくとも一部に設けた導電体と内周壁の少なくとも一部に設けた導電体とを導通させる
ことを特徴とする導電性チューブ。
【請求項3】
請求項1に記載の導電性チューブにおいて、
前記くさび状の導電部材は、内周壁の少なくとも一部に設けた導電体と導通し、外周壁の少なくとも一部に設けた導電体とは絶縁させた
ことを特徴とする導電性チューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−328988(P2007−328988A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158351(P2006−158351)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】