小さい干渉RNA(siRNA)のポリアミン共役体の合成及びそれによって形成された共役体
リボ核酸(RNA)、好ましくは短い干渉RNAに共有結合させられたポリアミンを含む共役体が、記載される。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
序
本発明は、一般にリボ核酸(ribonucleic acid)(RNA)を、及び、特に短い干渉RNA(short interfering RNA)(siRNA)を、含有する共役体を作る際の、並びに、治療薬として共役体(conjugate)を使用する際の、ギャップを埋める。短い干渉RNA(siRNA)は、通俗的な科学の文献において“最近の五年間におけるターゲットの検証における最も評判なものの一つ”と称されてきた。この熱狂は、siRNAが、ターゲットにされた遺伝子の発現を特異的に抑制することに効能のあるものであることが示されてきたという事実のおかげである。
【0002】
siRNAの作用を介した遺伝子の発現のこの配列に特異的な転写後の沈黙は、真菌類及び植物において最初に発見された天然に起こる過程であると共に、細菌の及び動物の細胞において起こることが後に示された。短い干渉RNAは、酵素によってか又は化学合成によってかのいずれかで得られた、短い(およそ21−25個のヌクレオチド)RNAのフラグメントである。短い干渉RNAは、ターゲットにされたメッセンジャーRNA(messenger RNA)(mRNA)の配列に特異的な劣化を含むことによって、機能する。効力のある抗ウィルス性の及び抗癌性の薬物としてのsiRNAの潜在能力は、科学界において広く受け入れられる。しかしながら、この潜在能力が、薬学的な組成物の形態で現実になる前に、siRNAをそれらの意図されたターゲットへ送り出すことにおける根本的な問題が、解決されるものでなければならない。
【0003】
その送出の問題の根本には、siRNAがポリアニオンであるということがある。このように、脂質の二層にわたるsiRNAの援助を受けてない浸透は、無視できるものである。従来、siRNAは、陽イオン性のリポソームを、又はポリエチレンイミン類を伴ったポリプレックスを、使用することで、細胞へ送り出される。siRNAを送り出すためのリポソームの使用が、いくらかの成功を示してきたとはいえ、リポソームの送出のビヒクルの主要な不都合は、多くの細胞のタイプを、リポソームを使用することでは形質移入することができないというものである。また、数個の細胞のタイプを、顕著な生物学的な効果を生じさせる効率を伴って、リポソームで形質移入することができない。さらには、リポソームの送出のビヒクルを使用する実験では、細胞の数個の異なる手技が、要求される。手短に言えば、その過程は、厄介なものである。
【0004】
同様に、ポリエチレンイミン類は、それらが、高い分子量の重合体であるので、細胞の中へ送り出すことが困難なものである。このように、ポリエチレンイミン−siRNAポリプレックスの生体内での送り出しは、高い分子量の陽イオン性の複合体の全身の送り出しに固有な全ての障害物によって悩まされる:それら複合体は、意図されたサイトへのそれらの道筋を作ること、ターゲットにされた組織の中へ管外に遊出すること、などをしなければならない。従って、細胞外の環境からターゲットの細胞の細胞質の中へのsiRNAの分子を移動させる方法は、試験管内で(例、培養された及び体幹の細胞において)及び生体内で(例、薬物としてのsiRNAの全身の送出で)遺伝子を沈黙させるためのsiRNAの治療的な使用における顕著な飛躍的前進であるであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の概要
このように、本発明は、天然に起こる過程を模倣するsiRNA用の効能のある細胞の送出の系を作り出すための方法、及び、結果として生じるsiRNAの送出の系である。多数の抗生物質及び低い分子量の酵素の阻害剤は、アミン類に共役してきた。アミンの部位は、しばしば、生物学的な活性を増加させることに重大なものである。これらの化合物の多数において、アミンの部位は、共役体を細胞の中へ輸送するために要求された構造的な要素を提供するものである。特に、多数の抗生物質の抗菌性の活性は、(部分的には)グリコシドの、芳香族の、又は、ポリケチドの部位へ共役させられたアミン類又はポリアミン類のおかげである。陽イオン性のポリアミンの残基は、細胞の中へ抗生物質の輸送を容易にするように機能する。適切な例は、ストレプトマイシン(図4を参照のこと)であるが、それは、アミノグリコシドであると共に、そこでは、輸送する残基が、アミノグアニジノ基である。同様に、抗生物質のブレオマイシン−フレオマイシンの基(図2を参照のこと)においては、変性させられたスペルミン及びスペリミジンの基は、輸送する残基である。(スパガリン、ラテロスポラミン(laterosporamine)、エデイン(edein)類、グリスペリン(glisperin)A、B、及びC、並びに、グリコシンナモイルスペルミジン類のような)スペリミジンに共役させられた抗生物質及び抗腫瘍性のもの(図3を参照のこと)においては、共役させられたスペルミジンの部位は、細胞の中への生物学的に活性な作用薬の輸送体である。また、カナマイシン類と呼ばれたアミノグリコシドの抗生物質の言及は、なされるべきである。カナマイシン類においては、アミノの部位は、グリコシド類を細胞の中へ輸送する。これは、また、スクアラミン(図7を参照のこと)、幅広いスペクトル、ツノザメ科、メジロザメ科又はトラザメ科のサメの組織から単離されたステロイドの抗生物質に当てはまるものである。これらの化合物において、硫酸化された胆汁酸が、スペルミジンのアミノプロピル第一級アミンへ融合させられる。その分子のスペルミジン部位が、細胞膜にわたってその分子の残部を運ぶように作用するものである。
【0006】
本発明においては、天然の及び/又は合成のポリアミンの基は、1)細胞質において破壊されると共にsiRNA部位を遊離なものに設定するか;又は2)その共役体のsiRNAの部分が、RNAを誘導する沈黙する複合体(RNA-inducing silencing complex)(RISC)分子へ結び付くことを、及び、それによって、siRNAによってターゲットにされた特異的なmRNAを開裂させることを、なお可能とする一方で無傷なもののままにするか:いずれかの結合を介して、siRNAの分子へ共有結合させられる(Dykxhoorn et al.,Nature Reviews,RNAi Collection,p.7,December 2003を参照のこと)。
【0007】
本発明における使用のための好適なポリアミン類は、好ましくは、スペルミジン及びそれの誘導体、スペルミン及びそれの誘導体、並びに、ヒルドニン(hirudonine)及びそれの誘導体である。図1及び6を参照のこと。大部分の細胞は、担体に媒介されたエネルギー依存性の機構によって、ポリアミン類を摂取する。多数の細胞(例えば、ヒトの繊維芽細胞、マウスの白血病の細胞、ラットのモーリス(Morris)肺がん細胞、など。)は、全てのポリアミン類についての単一の輸送体を有するように見える。このように、一般的な提案として、輸送体の特異性は、ひどく厳密なものであることはない。例えば、アルキル置換基で置換されたポリアミン類の誘導体が、また、天然のポリアミン類を起動させる同じ輸送体の系によって、細胞の中へ効率的に輸送されることは、先の仕事から知られることである。
【0008】
また、ポリアミン類は、リボ核酸へのポリアミン類の大きい結び付きの親和性の理由のために、siRNA用の理想的な担体である。ポリアミン類は、特にスペルミンは、リボソームへ強く結び付くと共に、トランスファーRNA(transfer RNA)(t−RNA)の構成する部分である。強塩基性のポリアミン類は、静電的な電荷のみならず水素結合によって、t−RNAへ結び付く(Frydman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci(USA)(1992)89:9186;Fernandez et al.,(1994)Cell.Mol.Biol.40:93)。トランスファーRNAは、siRNAのサイズのおおざっぱに二倍のリボヌクレオチドであるが、しかし、リボヌクレオチドの鎖は、類似の構造を有する。いずれの特定の生物学的な機構に束縛されることなく、t−RNAの複合体において、スペルミン又はスペルミジンは、リボヌクレオチドのループへ結び付く;siRNAにおいては、ポリアミンは、siRNAが、RNAを誘導する沈黙の複合体へ結び付くまで、siRNAのアニールされた二本鎖の鎖へ結び付くこと、及び、その鎖を安定化させることができるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の第一の実施形態は、リボ核酸(ribonucleic acid)(RNA)へ共有結合させられたポリアミンを含む共役体に向けられる。RNAの共役体が、オリゴRNAであることは、好適なことであると共に、最も好ましくは、RNAが、短い干渉RNA(siRNA)であることである。
【0010】
共役体のポリアミンの部分は、限定無しに、いずれのポリアミンでもあることができる。好適なポリアミン類は、プトレッシン(putrescine)、スペルミン(spermine)、スペルミジン(spermidine)、ヒルドニン(hirudonine)、及びそれらの誘導体からなる群より選択されたものである。それらの誘導体内に明白に含まれるのは、米国特許第6,392,098号明細書及び米国特許第6,794,545号明細書に開示された立体配座的に制限されたポリアミン化合物である。より具体的には、立体配座的に制限されたポリアミン類について、共役体のポリアミンの部分は、好ましくは、式I:
E−NH−D−NH−B−A−B−NH−D−NH−E (I)
の化合物より選択されると共に、
そこでは、Aは、C2からC6までのアルケン、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択される;
Bは、独立して、単結合並びにC1からC6までのアルキル及びアルケニルからなる群より選択される;
Dは、独立して、C1からC6までのアルキル及びアルケニル、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択される;並びに、
Eは、メチルである;と共に、その共役体のポリアミンの部分は、それらの薬学的に適切な塩である。
【0011】
以下により詳細に詳述したように、これらの立体配座的に束縛されたポリアミン類を、以下に続く一般的な反応スキームに従って作ることができる:
式II:
HO−B−A−B−OH (II)
の化合物が、式III:
PROT−O−B−A−B−O−PROT (III)
の化合物を生じさせるために、保護試薬と、好ましくはメシチレンスルホニル=クロリドと、反応させられると共に、
そこでは、PROTは、保護基である。
【0012】
そして、式IIIの化合物は、式V:
E−N(PROT)−D−N(PROT)−B−A−B−N(PROT)−D−N(PROT)−E (V)
の化合物を生じさせるために、式IV:
E−N(PROT)−D−NH−(PROT) (IV)
の化合物と反応させられる。
【0013】
式IIIの中間体及び式IVの中間体の両方において、保護基、PROTが、メシチレンスルホニル部位であることは、大いに好適なことである。
【0014】
そして、式Vの化合物は、式Iの化合物(E−NH−D−NH−B−A−B−NH−D−NH−E)を生じさせるために、脱保護される。
【0015】
本発明の第二の実施形態は、生細胞へRNAを起動させる方法へ向けられる。その方法は、共役体を生じさせるために、ポリアミンにRNAを共役させること;及び、そして、生細胞へ共役体を接触させることを含む。RNAが、プトレッシン、スペルミン、スペルミジン、ヒルドニン、及びそれらの誘導体からなる群より選択されたポリアミンへ共役させられることは、好適なことである。siRNAが、ポリアミンへ共役させられることは、また、好適なことである。
【0016】
本発明の第三の実施形態は、生細胞へRNAを起動させるための材質の組成物に向けられると共に、その組成物は、薬学的に適切な担体との組み合わせで、リボ核酸(ribonucleic acid)(RNA)へ共有結合させられたポリアミンを含む。
【0017】
本発明においては、ポリアミンの輸送体は、リボヌクレオチドを、それらが、細胞に入ると、解放することになる、折りたたみ可能な結合によって、siRNAへ結び付けられる。生体内に投与されたとき全身の毒性の全くないものであるsiRNAでポリアミン類の不連続の共役体を作ることは、ほ乳類の細胞において天然に起こる過程を変調することによって、遺伝子の機能を研究するための道筋を開くと共に、究極的には、疾患を処置するための新しい遺伝子に特異的な治療薬に至る。このように、ここに開示された共役体は、細胞の外側から且つ細胞質及び/又は核の中へsiRNAを送り出すための高度に有用なものである。
【0018】
1.細胞の中への天然の生産物のポリアミン輸送:
このような組織を培養するための能力のみならず、動物の組織におけるポリアミンの偏在及び不可欠性の認識は、ほ乳類の細胞におけるポリアミンの輸送の非常に多く研究に帰着してきた。ポリアミンの合成の特異的な阻害剤による腫瘍細胞の成長の阻害及び外因的なポリアミン類による成長の回復は、ポリアミンの摂取の研究に対する主要な刺激であってきた。例えば、[14C]−ベンジルアミンの摂取の数個のモード:細胞の表面への吸着(吸着された分子は、洗浄することによって大部分において除去可能なものである);特異的な過程を示す飽和性の細胞内の輸送;並びに、拡散及び内部の結び付きのミックスを連想させる、より遅い非飽和性の摂取は、明白なものである(Cohen,A Guide to the Polyamines,Oxford,1998,pp.467)。
【0019】
ほ乳類の細胞;プトレッシン、スペルミジン、及びスペルミンに存在する三個の天然のポリアミン類がある(図1を参照のこと)。Seiler and Dezeure(1990)Int.J.Biochem,22:211によって手短に述べられたように、ほ乳類の細胞におけるポリアミンの摂取は、一般に、特異的な飽和性のものであると共に、エネルギーを要求すると共に、担体で媒介されたものである。ポリアミンの輸送を、また、RNAを要求する過程及びタンパク質の合成において規制することができる。ほ乳類の三個の膜の受容体についてのデータの再検討は、アミノ酸のための非常に多くの輸送タンパク質並びに真正細菌及び真菌類から単離されたポリアミン類に対するこれらのタンパク質の著しい類似性又は相同性を記述してきた(Reizer et al.,Protein Science(1993)2:20)。これらのデータは、ほ乳動物の細胞からの受容体タンパク質が、これらの微生物の輸送タンパク質と共通の起源を共有する変性させられた輸送タンパク質として記述されることもあることを提案する。
【0020】
多数の細胞は、マイクロモルの範囲におけるKmの値を伴った、プトレッシン、スペルミジン、及びスペルミン用の単一の輸送体を有する。ナトリウム依存性の系及びナトリウム非依存性の系の両方が、検出されてきた。癌におけるポリアミン輸送体の治療学上の重要性を力説するが、査閲者は、輸送体の系を欠く白血病の細胞系統の減少した毒性を指摘した。プトレッシンの摂取の数個の新しい阻害剤は、スペルミジンのものよりも活発に、このジアミンの摂取を阻害する、Minchin et al.(1991),Eur.J.Biochem,200:457を参照のこと。これは、また、黒色腫の細胞におけるこれらの異なるポリアミン類の輸送が、異なることを示す。
【0021】
ヒトの血小板におけるプトレッシンの摂取は、飽和性の且つエネルギー依存性のものであるが、しかし、複雑なものに見える。ヒトの赤血球内の研究は、それが、ポリアミン類を合成することができないものであるが、細胞の表面におけるポリアミン受容体のサイト並びに、主として(>95%)内部の可溶性の区画の中へのプトレッシン、スペルミジン、及びスペルミンの摂取を立証した。Moulinoux et al.(1984),Biochimie,66:385。その摂取は、4℃で最小限のものであったと共に、これは、主として、細胞の間質への結び付きに関係した。37℃で、血清からのプトレッシン及びスペルミジンの摂取は、スペルミンがゆっくりと入ったのに対して、相対的に急速なものであった。血漿からの飽和性のプトレッシン及びスペルミジンの摂取についてのKmの値は、それぞれ、125及び3.6μMであった。
【0022】
マウスの細胞の一つの糸において、Na+及びスペルミジンの両方が、1:1の関係性で細胞に入ることが示された。Khan et al.(1990)Cell.Mol.Biol.36:345。その輸送は、それが、ATPを枯渇させる、2−デオキシグルコースによって影響を及ぼされなかったので、ATP非依存性のものであるように見えた。ほ乳類の細胞の多数のより多くの糸の検査は、スペルミジンの摂取が、各々の事例において若干異なっているとはいえ、Na+の濃度によって影響を及ぼされなかったことを示した。Khan et al.(1990),Pathobiology,58:172。その摂取は、一般に、イオン透過孔及びいくつかのポリアミンの類自体によって阻害された。アスパラギンで細胞を前負荷することは、神経芽細胞腫の細胞におけるプトレッシンの摂取のもののみならず、二つの糸におけるプトレッシンの摂取を加速させた。Rinehart and Chen(1984)J.Biol.Chem.259:4570。ヒトの大腸癌の細胞によるプトレッシンの摂取は、アスパラギンによって>300倍に刺激される。McCormack and Johnson(1991)Am.J.Physiol.256:G868。プトレッシンの摂取についてのアスパラギンの効果の性質は、いくつかのヒトの癌細胞において大いに誇張されるものであるように見えた。アスパラギンが、膜のNa+/H+の対向輸送を活性化させる、H+の押し出しを誘発する、及び、Na+依存性の細胞内のアルカリ化を引き起こすことは、知られたことである。Fong and Law(1988)Biochem.Biophys.Res.Commun.155:937。
【0023】
多種多様な動物の細胞での研究は、ポリアミンの輸送の機構の共通の応答を示した。にもかかわらず、いくつかの組織の細胞及び癌細胞は、単一の共通の機構を所有するように見えた。対照的に、ブタの腎臓のLLC−PK細胞系統と同様の、他のものは、数個のより多くの識別系を明かした。後者の細胞は、異なる細胞のエリアに局在化したナトリウム依存性の輸送体及びナトリウム非依存性の輸送体の両方を含有した。Van der Bosch et al.(1990),Biochem.J.265:609。
【0024】
動物の細胞の中へのポリアミン類の前述した輸送の機構の利点をとることによって、異なる薬物及び化学薬剤は、天然のポリアミン類へ共有結合的に付けられたと共に、このように細胞の中へ輸送された。相対的に無毒性の化合物、ニトロイミダゾール−スペルミジン共役体は、細胞に入ったと共に、遊離のスペルミジンの摂取を阻害した、Holley et al.(1992),Biochem.Pharmacol.43:763を参照のこと。また、たとえ末端の置換基が、相当に大きいものであるとしても、鉄のキレート化剤のスペルミンの共役体が、腫瘍の細胞の中へ効率的に輸送されることを、述べることができる。Bergeron et al.(2003),J.Med.Chem.46:5478,2003を参照のこと。また、ナフタルイミド類を備えたポリアミン共役体は、細胞の中へ効率的に送り出される。Lin et al.(2003),Biochem.Soc.Trans.31(2):407;ポリアミン類と共役させられたインデノイソキノリン類(トポイソメラーゼI阻害剤)は、癌細胞の中へ送り出される,Nagarayan et al.(2003),J.Med.Chem.46:5712;Bowman−Birk阻害剤(Bowman-Birk inhibitor)(“BBI”,8000Daのポリペプチド)として知られたタンパク質分解酵素の阻害剤のスペルミン共役体は、肺及び肝臓にBBIを局在化させる際に非常に有効なものであると共に、ポリリシンの共役体の不適格な毒性の何も有するものではない、Kennedy et al.(2003),Pharm.Research,20(12):1908。
【0025】
天然の生産物は、細胞内の送り出し用のベクターとしてのポリアミン類の良好な試料採取器である。スペルミジン共役体のスパガリン及びエデイン類(図3を参照のこと)のみならず、ブレオマイシン(様々な化学構造について、図2を参照のこと)の言及は、ポリアミンのベクターのそれらの広い配列と共に、並びに、ストレプトマイシン、ジグアニジノ誘導体(図4を参照のこと)の言及が、なされるべきである。クマロイルアグマチンのような、植物に見出されたアミノグアニジン類、及び、ホルダチン(hordatine)類(図5を参照のこと)は、輸送用の強塩基性のグアニジンの残基、またヒルドニン(hirudonine)(図6を参照のこと)に見出された残基、重要な細菌性の且つ植物のポリアミンの重要性を例示する。スクアラミン(squalamine)(図7を参照のこと)は、スペルミジン−ステロイドであるが、そこでは、スペルミジンの部位は、細胞の中への送り出しのベクターである。これらの天然の生産物の全てが、ポリアミンの部位を含む。
【0026】
本発明者は、ポリアミンの輸送の機構の特異性が、驚くほど、許容的なものであることを見出してきた。スペルミン及びホモスペルミン(homospermine)の類自体、ペンタミン(pentamine)類、及び、異なるオリゴアミン類を含む、24個のポリアミン様の化合物を精査した後、それらが、ヒトの細胞の中へ効率的に輸送されることが、見出されたことであった。このように、主題の共役体は、ヒトの細胞を含む、ほ乳類の細胞の中へ効率的に輸送されることが、期待される。
【0027】
2.小さい干渉RNA(small interfering RNA)(siRNA)の合成:
小さい干渉RNA(Small interfering RNA)(siRNA)は、約21−23個のリボヌクレオチドの二本鎖にされたフラグメントである。siRNAの分子が、mRNAの劣化の媒介物であること、及び、上に述べられたフラグメントのパターンで化学的に合成された二重鎖が、mRNAの開裂を案内することが可能であることが、示されてきた。Elbashir et al.(2001),Genes and Development,15:188。mRNAのsiRNAに媒介された開裂における現在のところ受け入れられた一連の事象は、図8において概略的に与えられる。図8に示されたように、siRNAは、3’のオーバーハング、通常(TT)又は(UU)と共に、(図8の上部における5’から3’までに示した、赤色の)対にされたセンス鎖及び(図8の上部における3’から5’に示された、青色の)アンチセンス鎖を含む、図8における符号“a”を参照のこと。siRNAの経路は、長い二本鎖にされた(ds)RNAが、取るに足らない名前“ダイサー(Dicer)”を有するRNアーゼIIIの酵素によって、ATP依存性の反応において、siRNAの中へと開裂させられるとき、開始する。そして、これらのsiRNAが、RNAに誘発される沈黙の複合体(RNA-inducing silencing complex)(RISC)の中へ組み込まれる。一旦連結が解かれると、siRNAの一本鎖にされたアンチセンス鎖は、RISCの複合物をメッセンジャーRNA(messenger RNA)(mRNA、それは、一本鎖にされたものである)へ案内すると共にmRNAの相補的な配列をターゲットにする。これは、(図8の符号“b”に示されたような)ターゲットにされたmRNAのヌクレオチド鎖切断の開裂に帰着する。しかしながら、また、化学的に合成されたsiRNAの二重鎖において、アンチセンス鎖のみならずセンスの両方mRNAをターゲットにすることを提案するデータがある。この過程は、図9に概略的に例示される。図9に示されたように、形質移入されたsiRNAは、RISCの中へ組み込まれると共に、センス又はアンチセンス鎖のいずれか(それらは、図9には表されたものではない)は、ターゲットにされたmRNAにおける相補的な配列を認識することに役に立つことができる。Duxbury et al.(2004),J.Surgical Res.,117:339を参照のこと。
【0028】
化学的な過程によるsiRNAの合成、精製、及びアニーリングは、ますます通俗なものになっている。例えば、Micura(2002),Angew.Chem.Int.Ed.,41(13):2265及びHobartner et al.(2003),Monsatshefte fur Chemie,134:851,2003を参照のこと。化学的に合成されたRNAのオリゴヌクレオチドは、siRNAの技術の鍵となる構成要素によるものである。ヌクレオシドのカップリングは、図10に例示されたような従来の且つ周知のホスホルアミダイトの化学によって、達成される。その過程が、当業者に周知なものであるので、それを、極めて詳細には記載しないことにする。全部の処理については以下に続く段落における引用文献を参照のこと。また、慣行のRNAの合成における繁栄する商業的な市場がある。例えば、いずれの指定された配列のsiRNAを、多数の他の会社の中から、例えば、SynGen,Inc.(San Carlos,California),Midland Certified Reagent Company Inc.(Midland,Texas)、及びDharmacon,Inc.(Boulder,Colorado)から購入することができる。付加的に、多数の大学を本拠地とした研究室は、また、公衆に対する慣行のRNAの合成のサービスを販売する(多数の他のものの中から、例、The University of Wisconsin Biotechnology Center[Madison,Wisconsin]及びKansas State University[Manhattan,Kansas])。
【0029】
適切な保護基の構造における改善は、DNAの合成についての事例のものであるような生産物の質の水準及びアクセス可能なオリゴヌクレオチドの長さまで日常的なRNAの構成をとってきた。ロバストなRNAの構成のストラテジーについての要望は、新しい及び高級化された保護基の作製に帰着した。これらの手順は、1998年に導入されたと共に、様々な特許によってカバーされる(例えば、Pitsch et al.,米国特許第5,986,084号明細書を参照のこと)と共に、科学文献(Pitsch et al.,(2001)Helv.Chim Acta,84:3773)に記載される。(いくつかの技術的な調節の後における商業的な自動化されたDNAの合成において使用された)大部分の一般的な手順は、“TOM”保護基(2’−O−トリイソプロピルシリルオキシメチル)の使用をする(それは、2’−Oの位置におけるTOM保護基で保護されたリボヌクレオシドである、図10Aを参照のこと)。この保護基は、DNAの合成に使用された古典的な2’−O−tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基に対して優れたものである。
【0030】
図10Aに示されたもののような保護されたヌクレオチドの構築は、リボヌクレオシドの核酸塩基の環外のアミノ基におけるN−アセチル化で開始すると共に、5’−O−DMTを与えるための5’の酸素におけるトリチル化が後に続けられる。そして、これは、2’−O−TOMの誘導体を与えるための2’の酸素における“トミル化(TOMylation)”が後に続けられる。最後に、2−シアノエチルジイソプロピルホスホルアミド=クロリダイト(2-cyanoethyldiisopropylphosphoramido chloridite)を使用する3’の酸素における“ホスフィチル化”のステップは、図10Aに示された3’−O−CEPA誘導体を生じさせる。オリゴリボヌクレオチドの中へのホスホルアミダイトの組み込みは、良好に詳細に記録される。Micura et al.(2001),Nucleic Acid Res.29:3997;Hobartner et al.(2002),Angew.Chem.Int.Ed.41;605;Micura et al.(2000),Angew.Chem.Int.Ed.39:922;Micura et al.(2001),Nucleosides,Nucleotides,Nucleic Acids,20:1287;及びEbert et al.(2000),Helv.Chim.Acta,83:2238を参照のこと。
【0031】
オリゴリボヌクレオチド用の別の基礎単位は、図10Bに描かれる。この保護されたリボヌクレオシドは、米国特許第6,111,086号明細書において1998年に最初に報告された、Scaringe(2000),Methods in Enzymology,317:3をもまた参照のこと。図10Bに示された保護されたヌクレオシドの背後の理論的根拠は、合成のリボヌクレオチドの2’−O基における最終的な脱保護についての穏やかに酸性の水性の条件に対する要求であった。穏やかな酸性の条件に対してそれ自体が不安定なものである、5’−Oにおける保護基が、DMTであるとすれば、これを、達成することはできない。従って、DMTは、2’−O−ビス(2−アセトキシエチルオキシ)メチル(2’-O-bis(2-acetoxyethyloxy)methyl)(ACE)オルトエステルと一緒に、5’−O−ビス(トリメチルシロキシ)シクロドデシルオキシシリル=エーテル(5’-O-bis(trimethylsiloxy)cyclododecyloxysilyl ether)(DOD)で置き換えられた。ここで、3’−OH基は、(図10AのTOMで保護されたヌクレオシドにおいて使用された)シアノエチル基が、DODを開裂させるために必要とされたフッ素化物の試剤に対して不安定なものであることを証明したので、メチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト(methyl-N,N-diisopropylphosphoramidite)として誘導される。この保護されたリボヌクレオシドとのカップリングの収率は、99%よりも高いものである。
【0032】
オリゴヌクレオチドの集合の後に、ホスファートのメチルの保護基は、DMF中で2−カルバモイル−2−シアノエチレン−1,1−ジチオール酸二ナトリウム三水和物(disodium 2-carbamoyl-2-cyanoethylene-1,1-dithiolate trihydrate)(S2Na2)で取り除かれる(図12を参照のこと)。そして、塩基性の条件(40%の水性のメチルアミン)は、環外のアミノ基におけるアシル保護基及び2’−オルトエステル類におけるアセチル基の除去と一緒に、固体の支持体からオリゴヌクレオチドの開裂を引き起こす。結果として生じる2’−O−ビス(2−ヒドロキシエチルオキシ)メチルオルトエステル類は、アセチル基の除去の前よりも十倍を超えて不安定なものである。その結果として、非常に穏やかな条件(pH3.8,30分,60℃)は、最終的な脱保護のステップに要求されるものの全てである。5’−O−DOD基は、フッ素物の試剤で開裂させられる。この手順によって得られた粗オリゴリボヌクレオチドの公開されたHPLCクロマトグラムは、印象的なものであると共に、ほとんど無い副産物を提示する。
【0033】
オリゴリボヌクレオチドの自動化された合成の一般的なスキームは、図11(PG=保護基)に描かれる。その合成は、樹脂への付着によって3’の端から開始する。脱保護は、RNAの生産物の劣化無しに、二つのステップで、最初にエタノール/水中のCH3NH2で、テトラヒドロフラン中のBu4NFが後に続けられることで、達成される。その過程を、顕著な生産物の劣化が結果として生じる前に、約150単量体単位の生産物まで繰り返すことができる。
【0034】
3.立体配座的に束縛されたポリアミン類の合成:
プトレッシン、スペルミン、スペルミジン、及びヒルドニンを含む、天然に生ずるポリアミン類のホストを、Aldrich Chemical Co,Milwaukee,Wisconsine及びFisher Scientific,Hampton,New Hampshireのような多くの世界中の供給業者から商業的に購入することができる。Aldrichのカタログ番号は、プトレッシン(D1,320−8)、スペルミン(S383−6)、及びスペルミジン(S382−8):である。ヒルドニン(ジグアニルスペルミジン,CAS No.2465−97−6)についてのFisherのカタログ番号は、ICN222595である。
【0035】
本発明における使用に適切な立体配座的に束縛されたポリアミン類は、好ましくは、米国特許第6,392,098号明細書及び米国特許第6,794,545号明細書に開示されたもののように合成される。簡単に、様々な剛性の部位、環状の部位又は二重若しくは三重結合させられた部位のいずれかは、ポリアミンの骨格の中へ導入される。
【0036】
最初にターゲットにされた場所は、ポリアミンの中央の1,4−ジアミノブタンのセグメントであった。それのねじれ型の立体配座において、四個の半重なり型の立体配座の回転異性体は、ジアミノブタンのセグメントのまわりで可能なものである。四個は、鏡像異性の関係を有する。中央のジアミノブタンのセグメントのC−1の位置とC−3の位置との、又は、C−2の位置とC−4の位置との、間の結合の導入は、シクロプロパン環を発生させる。C−2の位置とC−3の位置との間の付加的な結合の導入は、立体配座的に制限されたアルケンの誘導体を発生させる。シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルの部位を、同じストラテジーの後に続く構造の中へ導入することができる。
【0037】
このアプローチを使用することで、四個の立体配座的に半剛性の構造が、得られたが、それらは、スペルミンの四個の半重なり型の立体配座の構造を模倣する。半剛性の構造の二個は、他の二個のエピマーである。
【0038】
本発明の目的について、主題の化合物のシス及びトランス異性体が、中央に位置させられた環の構造又は不飽和によって与えられた制限された結合の回転のおかげで、非常に明白な三次元の立体配座を仮定することに留意することは、重要なことである。ポリアミン類の純粋な単離されたシスの形態及び純粋な単離されたトランスの形態を含む、(光学的に活性な又はそうでない)全ての幾何異性体、並びに、それらの混合物は、明白に、本発明の範囲内にある。付加的に、主題の化合物の全ての位置異性体は、明白に、本発明の範囲内にある。式IのA又はDが、周期性の部位であるとき、二個のBの置換基又はアミノの部位は、それぞれ、相互に関して1,2又は1,3又は1,4の位置に配向させられることもある。
【0039】
(a)シクロプロピル環を含有するスペルミン類似体:
スペルミンのシス及びトランスのシクロプロピル類似体は、以下において、スキーム1、2、3、4、4A、5、及び5Aに例示された反応を介して調製された。
【0040】
スキーム1及び2を参照して、シクロプロピルジエスエル1及び2は、最初に、それらのヒドラジド103及び4へと転換されたと共に、ヒドラジドは、それぞれ、ジアミン5及び6へと転換された。そして、ジアミン5及び6は、アミド7及び8を与えるために、メシチル化されたと共に、そして、アミドは、それぞれ、10及び11を与えるために、9でアルキル化された。保護基の加水分解は、トランス類似体12及びシス類似体13を生じさせた。
【0041】
今スキーム3を参照することで、別個の反応において、トランスシクロプロピルジエステル1は、ベンジルアミン(BnNH2)との反応によって、アミド14へと転換されたと共に、アミドは、アミン15へ還元されたと共にアミンは16へアルキル化された。そして、フタリル残基は、17を与えるために、ヒドラジンで開裂させられた。そして、化合物17は、18を与えるための水素添加分解によって脱保護されたか;又は19へ十分にアルキル化されたかのいずれかであったと共に、ベンジル残基は、20を与えるための水素添加分解によって開裂させられた。
【0042】
スキーム4を参照して、アミン15は、また、22を与えるために、21でアルキル化された。そして、化合物22は、トランスシクロプロピル類似体23を生じさせるために、脱保護された。
【0043】
23への代替の(及び好適な)経路は、スキーム4Aに与えられる。ここで、3−エチルアミノプロピオニトリル101は、対応するアミン102へと転換されたが、それは、そして、3を生じさせるために、メシチル化された。並行の合成において、シスジエステル1は、ジアルコール15’へ還元されたが、それは、そして、ジメシチル誘導体16’を生じさせるために、メシチル化された。水素化ナトリウムの存在において、3及び16’を反応させることは、22’を生じさせた。
【0044】
【化1】
【0045】
【化2】
【0046】
【化3】
【0047】
【化4】
【0048】
【化5】
【0049】
【化6】
【0050】
【化7】
そして、スキーム4と同じ様式で、22’は、トランスシクロプロピル類似体23を生じさせるために、脱保護された。
【0051】
今スキーム5を参照することで、別個の反応において、シスシクロプロピルジエステル2は、ジアルコール24へ還元された。そして、ジアルコールは、アミン25へと転換されたと共に、アミンは、26へのメシチル化によって保護された。そして、化合物26は、27を生じさせるために、9でアルキル化されたと共に、そして、シスシクロプロピルテトラアミン28を生じさせるために、脱保護された。
【0052】
28への代替の(及び好適な)経路は、スキーム5Aに与えられる。ここで、シスシクロプロピルジエステル2は、スキーム5におけるのと同じ様式で、ジアルコール24へ還元される。そして、化合物24は、25’を生じさせるために、メシチル化によって保護された。そして、化合物25’は、27を生じさせるために、3と反応させられた。脱保護することは、テトラアミン28を生じさせた。
【0053】
(b)シクロブチル環を含有するスペルミン類似体:
スペルミンのシス及びトランスのシクロブチル類似体は、以下において、スキーム6、7、8、8A、9、及び9Aに例示された反応を介して、調製された。
【0054】
今スキーム6及び7を参照することで、シクロブチル誘導体の合成は、それぞれ、トランス及びシスの1,2−ジアミノブタン29及び30と共に開始した。これらの化合物は、最初に、アミド31及び32へ転換されたと共に、そして、それぞれ、33及び34へアルキル化された。そして、化合物33及び34は、トランステトラアミン35(スキーム6)及びシステトラアミン36(スキーム7)を生じさせるために、脱保護された。
【0055】
スキーム8及び9を参照して、別個の反応において、トランスシクロブチルエステル37及びシスシクロブチルジエステル38は、それぞれのジアルコール39及び40へ還元されたが、ジアルコールは、ジアミン41及び42へと転換された。そして、ジアミン41及び42は、それぞれ、43及び44を生じさせるためのメシチル化によって保護された。そして、これらの化合物は、45及び46を与えるために、アルキル化された。そして、保護基は、トランスシクロブチルテトラアミン47(スキーム8)及びシステトラアミン48(スキーム8)を生じさせるために、取り除かれた。
【0056】
【化8】
【0057】
【化9】
【0058】
【化10】
【0059】
【化11】
【0060】
【化12】
【0061】
【化13】
47及び48への代替の(及び好適な)経路は、それぞれ、スキーム8A及び9Aに与えられる。シス及びトランスのジエステル37及び38は、スキーム8及び9におけるものと同じ様式で、それぞれのジアルコール39及び40へ還元された。そして、化合物39及び40は、それぞれ、41’及び42’を生じさせるために、メシチル化された。3との41’及び42’の反応は、45(スキーム8A)及び46(スキーム9A)を生じさせる。脱保護することは、所望の生産物47及び48を生じさせる。
【0062】
(c)不飽和を含有するスペルミン類似体:
スペルミンのシス及びトランスの不飽和の類似体は、スキーム10、10A、11、及び11Aに例示された反応を介して調製された。
【0063】
スキーム10を参照することで、トランスジエステル49は、ジアルコール50へ還元されたが、それは、そして、トランスジアミン51へと転換された。スキーム11を参照することで、シスジアミン52は、商業的に入手可能なシスジアルコール43’から得られた。スキーム10及びスキーム11の両方を参照して、化合物51及び52は、それぞれ、53及び54を与えるためのメシチル化によって、保護された。化合物53及び54は、55及び56へアルキル化されたと共に、トランステトラアミン57(スキーム10)及びシステトラアミン58(スキーム11)を生じさせるために、最後に脱保護された。
【0064】
57及び58への代替の(及び好適な)経路は、それぞれ、スキーム10A及び11Aに与えられる。シス及びトランスのジアルコール50’及び50は、スキーム10及び11におけるものと同じ様式で、得られた。そして、化合物50’及び50は、それぞれ、51’及び52’を生じさせるために、メシチル化された。3との51’及び52’の反応は、55(スキーム10A)及び56(スキーム11A)を生じさせる。脱保護することは、所望の生産物57及び58を生じさせる。
【0065】
上の一般的なプロトコルの後に続けることで、並びに、適切な及び周知の出発の試剤を使用することで、A及びDが、独立に、C5の又はC6のシクロアルキル、シクロアルケニル、又は、シクロアリールであるところのものを含む、式Iの化合物の全てを、容易に得ることができる。式Iの化合物の例示的な列挙は、表1に与えられる。
【0066】
【化14】
【0067】
【化15】
【0068】
【化16】
【0069】
【化17】
【0070】
【表1】
純粋な共役体は、それらの薬学的に適切な塩のみならず、明白に、本発明の範囲内にある。用語“薬学的に適切な塩”によって、主題の共役体のいずれの塩の形態をも、意味されると共に、それは、それらを、選ばれた経路による投与に対してより受け入れられるものにする。広い範囲のこのような塩は、薬学的な技術における業者には周知のものである。好適な薬学的に適切な塩は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、及び同様のもののような酸付加塩である。
【0071】
4.siRNAのポリアミン共役体の合成
上に述べたデータに基づいて、図13に示された三個のヌクレオシドを調製することができる。ヌクレオシドAは、2’−O−TOMのヌクレオシドである、ヌクレオシドBは、2’−O−ACEのヌクレオシドである、及び、ヌクレオシドCは、5’−チオールのヌクレオシドである。ヌクレオシドCは、それの核酸塩基においてアセチル化される5’−チオリボシドから調製されると共に、それの2’−O−ACE誘導体へと転換されると共に3’の位置で最終的にホスフィチル化される。
【0072】
ヌクレオシドBは、5’−Oにおいてポリアミンの鎖へ付けられる。リンカーは、好ましくは、(図14に示されたような)カルバマート結合である。このリンカーを、5’−Oにおけるクロロホルマートを介してか、又は、アルキルイソシアナートへアルコールを付加することによってか、のいずれかで添付することができる。いずれかの事例において、ポリアミンの残基は、カルバマート結合によって、リボースへ付けられることになる。ポリアミンの鎖は、FMOC、トリフルオロアセタート、及び同様のもののような、アルカリに不安定な保護基で保護される。オリゴヌクレオチドの鎖が、(図11に示されたような)3’の端から5’の端まで成長すると、ポリアミンで共役されたヌクレオシドは、合成の最後のステップで付けられることになる。(図10に示されたような)穏やかなアルカリ性の条件の下での樹脂からのオリゴヌクレオチドの解放は、また、ポリアミンの鎖における保護基を開裂することになる。2’−Oを遊離させるために必要な穏やかな酸の条件は、カルバマート結合に影響を及ぼすものではないことになると共に、ポリアミンの残基へ共有結合的に結び付けられたオリゴヌクレオチドが、得られることになる。結果として生じるポリアミン−RNA共役体は、他のポリアミンの共役体のものと同じ様式で、生細胞へと輸送される。
【0073】
アニーリングに関して、二重鎖のsiRNAの鎖は、独立に構築される;センス鎖は、所望の配列のヌクレオチドで構築される、そして、アンチセンス鎖は、対応する相補的な塩基で構築される。一本鎖は、二重鎖を形成するために、互いに温置される(pH7.4,1分,90℃)。この対合は、siRNAをアニールすることとして知られたものである。本発明の好適な実施形態において、ポリアミンの部位は、センス鎖の5’−Oへ付けられる(図8を参照のこと)。
【0074】
ヌクレオシドCは、5’−チオリボースを使用することで、構築される。ポリアミンから誘導された残基(好適な残基の例示的な列挙については、図15を参照のこと)は、短いチオアルキルのリンカーに付けられる。図15に例示されたN−チオエチルポリアミンの残基を、S−ベンジルシステインアミンと共に開始することで、得ることができると共に、そして、確立された手順の後に続く継続的なアルキル化によってポリアミンの鎖を増強する。Valasinas et al.(2003)及びそれにおける参考文献、並びに、最終的に、ベンジル基を開裂させるための水素添加分解を使用することで、チオール基を脱保護することによって。
【0075】
5’−S−オリゴリボヌクレオシドへジスルフィドで連結されたポリアミンの合成は、ジアミン、知られたチオールの酸化剤での混合物の処理によって達成される。そして、共役したヌクレオシドは、以上において議論されたようなセンスオリゴリボヌクレオチドの鎖へ付けられる。センスオリゴリボヌクレオチドの鎖は、2’−Oの位置で脱保護される、ポリアミンの保護基は、開裂させられると共に、そして、鎖は、相補的なアンチセンス鎖へアニールされる。いずれの特定の生物学的な機構又は現象に限定されることがない一方で、このアプローチの背後における理論的根拠は、以下に続くようなものである:ポリアミンは、siRNA二重鎖の原形質膜にわたる輸送を容易にすることになると共に、共役体は、細胞質の中へ自由に転座されることになる。そして、ジスルフィド結合は、チオール類によって細胞質において還元されることになると共に、それによって、共役体のsiRNAの部分を解放する。解放されたsiRNAは、配列に特異的なmRNAの劣化を引き起こすために、進行することになるが、それは、それの予め決定された配列に基づいて達成することが、設計されたものであった。
【0076】
たとえ共役体が、細胞の中への送り出しの後で無傷のままであるとしても、siRNAの二つの鎖は、細胞質への共役体の送り出しの後に、RISCにおいて部分的に解離することになる。これは、一本鎖のアンチセンスsiRNAが、細胞において内因性の遺伝子の発現を沈黙させることができるものであると、siRNAの二重鎖の機能に影響を及ぼすものでないことになる。
【0077】
オリゴリボヌクレオチドのポリアミンの共役体の合成に対する第三のアプローチは、ペプチダーゼを首尾良く模倣すると共に分子内の触媒された開裂の方式によってそれに結び付けられた遊離のアミド類及びエステル類を設定するリンカーを使用する。ポリアミンの鎖及びヌクレオシドは、Kempの三酸(Kemp and Petrakis(1981),J.Org.Chem.46:5140)を通じて連結される。この注目すべき三酸は、全てのアキシャルの配向に三個のカルボキシラートを有する。一個のカルボキシルは、(アミドとして)アミンへ結び付けられると共に、第二のカルボキシルは、アルコールとエステルを形成する。約6のpHで、分子は、無水物の分子内の形成を介して、アミンの残基を最初に解放することになる。そして、アルコールは、分子内の無水物の転位によって解放されることになる(図16を参照のこと)。細胞質に入るとき、共役体は、いろいろなペプチダーゼ、並びに、アミド結合及びエステル結合の両方を開裂することになる、リソソーム酵素によって直面せさられることになる。この開裂は、カルボキシラートのアキシャルの幾何学的配置によって援助される。無水物の形成の間における内部の圧縮の軽減は、このように、加水分解の酵素に駆動された加速に寄与する。Kempの酸におけるファンデルワールス(van der Waals)の接触距離は、非常に短いものであると共に、エネルギー的に高価な脱溶媒和の過程を、このように避けることができる。
【0078】
合成は、Kempの酸塩化物−無水物を使用する、図16を参照のこと。ポリアミンとの反応によって、ポリアミドが、形成される。ヌクレオシドAの5’−Oのアルコールでの無水物の開環は、アミド及びエステルで置換されたKempの酸を生じる。そして、アミド及びヌクレオシドAのエステルでこのように置換されたKempの酸は、3’−O−CEPA基を通じて、センスリボヌクレオチドの成長する縁へカップリングされる(例、図11を参照のこと)。TOM保護基、N−アセチル、及び、ポリアミンにおける保護基は、穏やかなアルカリ中で開裂させられる。そして、エステルアミドのリボヌクレオチドは、アンチセンス鎖とアニールされると共に細胞質へと輸送される。
【0079】
ポリアミドの連鎖が、ポリアミンの鎖からオリゴリボヌクレオチドを遊離させることになる、細胞質のペプチダーゼによって最初に開裂させられることになることは、期待されることである。細胞のエステラーゼによるエステル基の開裂は、siRNAの二重鎖の解放と共に後に続くことになる。たとえ後者の加水分解が、遅い(時間の)ものであるとしても、細胞におけるsiRNAのリンガー(linger)が、数時間の間に劣化無しであることは、指摘されることであるべきである。このように、アミドの連鎖及びエステルの連鎖の両方の加水分解を達成するための十分な時間がある。分配されたKempの酸は、pH7.4での血漿において安定なものである。ヌクレオシドAは、この合成のシークエンスにおいて好適なものであると共に、低いpHの条件へのヌクレオシドBにおける2’−Oでのオルトエステルの保護基の感度のために(及び、また、共役させられたオリゴヌクレオチドの脱保護の間において置換されたKempの酸における開裂を回避するために)、ヌクレオシドBはそうではない。
【0080】
オリゴリボヌクレオチドとポリアミンを共役させるための第四のアプローチは、加水分解のステップのシークエンスの後で崩壊するコネクター連鎖の構築に基づいたものであることになる;第一のものが、酵素的な開裂を伴うと共に第二のものが、第一のステップが起こった後に自発的に進行する加溶媒分解を伴う。コネクター連鎖は、図17に示されたように構築される。(酸に安定な基;例、トリフルオロアセタートで保護された)ポリアミンの単位は、カルバマート結合を通じてリシンのα−アミノ基へ結び付けられることになる(PG−1は、ε−FMOCであることができるであろう);そして、リシンは、p−アミノベンジルアルコールでの処理によってそれの対応するアミドへと転換される。p−ニトロフェニルイソシアナートへのベンジルアルコールの付加は、p−ニトロアニリド1aに帰着する。α−アミノ残基における保護基の開裂は、1bを与える。
【0081】
化合物1bは、p−ニトロアニリンの解放と共にトリプシンの存在下で、急速な加水分解を受けることになる。本発明においては、p−ニトロアニリンの残基は、単純な追い出し反応を介して、ヌクレオシドAで置き換えられる(図15を参照のこと)。2aを与えるためのリシンの残基のα−アミノ基におけるPG1の脱保護の後で、リシンの残基におけるアミド結合を、トリプシン及び/又はリソソームのタンパク質分解酵素カテプシンB及びLによって加水分解することができるが、それによってベンジル=カルバマート3を解放する(図17を参照のこと)と共に、それは、ヌクレオシドA及びp−アミノベンジルアルコールへの自発的な加溶媒分解を受けることになる。
【0082】
手短に言えば、化合物2aは、ポリアミンの鎖へ折りたたみ可能なリンカーを通じて結び付けられたセンスリボヌクレオチド鎖を得るためのオリゴヌクレオチドの構築の最後のステップとして使用される。相補的なRNA鎖でアニールすることが後に続けられた、α−リシンにおけるポリアミンの保護基のもの及びP1のみならず、TOMの保護基の開裂は、生細胞へ送り出されると共に加水分解の後にそれの構成成分の部位へと崩壊する共役させられたsiRNAの複合体を与える。
【0083】
5.投与及び薬学的な単位の剤形:
上述した共役体が、生細胞の中へRNAを起動させることに有効なものであるので、共役体は、ヒトを含む、生体内で、ほ乳動物の治療的に処置することに、及び、ほ乳類の細胞の中へのRNAの起動を要求するいずれの処置の療法においても、試験管内で、ほ乳類の細胞を処置することに、適切なものである。手短に言えば、共役体は、細胞外の空間からほ乳類の細胞の細胞質の中へ、siRNAを含む、RNAを移動させることに有用なものである。
【0084】
ヒトの又はヒトでない患者に対する主題の複合体の投与を、薬学的な技術において知られたいずれの手段によっても、成し遂げることができる。好適な投与の経路は、純なもの又は選ばれた投与の経路に適切な薬学的な担体との組み合わせでのいずれかで、静脈内の投与、動脈内の投与、腫瘍内の投与、筋肉内の投与、腹腔内の投与、及び、皮下の投与を含む、非経口的なものである。処置の方法は、また、経口的な投与に対して受け入れられるものである。
【0085】
全ての医薬品と同様に、投与されたポリアミン−RNA共役体の濃度又は量が、処置される不快の重症度、投与のモード、処置される主体の条件及び年齢、並びに、使用される特定のポリアミン−RNA共役体又は共役体の組み合わせに依存して、変動することになることは、留意されなければならない。
【0086】
ここに記載された共役体は、錠剤、丸剤、粉末の混合物、カプセル、注射剤、溶液、坐剤、乳濁物、分散物、食品のプレミックスの形態で、及び、他の適切な形態で、投与可能なものである。ここに記載された共役体を含有する薬学的な剤形は、都合良くは、非毒性の薬学的な有機の担体又は非毒性の薬学的な無機の担体と混ぜられる。典型的な薬学的に許容可能な担体は、例えば、マンニトール、尿素、デキストラン、乳糖、ジャガイモ及びトウモロコシのデンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、ポリアルキレングリコール、エチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、炭酸カルシウム、エチル=オレアート、イソプロピル=ミリスタート、ベンジル=ベンゾアート、炭酸ナトリウム、ゼラチン、炭酸カリウム、ケイ酸、並びに、他の従来用いられた許容可能な担体を含む。薬学的な剤形は、また、乳化剤、保存剤、又は、湿潤剤、及び、同様のもののような非毒性の補助的な物質を含有することもある。
【0087】
錠剤、カプセル、及び、粉末のような、固体の形態を、従来の錠剤にする及びカプセルを充填する機械類を使用することで、製作することができるが、それは、当技術において周知のものである。固体の剤形は、賦形剤、潤滑剤、乾燥剤、結合剤、着色剤、崩壊剤、乾燥流動調整剤、防腐剤、及び同様のものを含む、当技術に知られたいずれの数の付加的な不活性な含有物をも含有することもある。
【0088】
経口摂取用の液体の形態を、水性の及び非水性の担体、懸濁物、水中油及び/又は油中水の乳濁物、及び同様のものを含む、知られた液体の担体を使用することで、調合することができる。液体の調合物は、また、着色剤、芳香剤、調味料、粘度調整剤、防腐剤、安定化剤、及び、同様のものを含む、いずれの数の付加的な不活性な含有物を含有することもある。
【0089】
非経口的な投与について、主題の共役体は、付加的な界面活性剤又は補助剤有り又は無しで、水又は油のような、生理学的に許容可能な希釈剤又は無菌の液体の担体における共役体の溶液又は懸濁物の注射可能な投与量のものとして投与されることもある。担体の油の例示的な列挙は、動物及び植物油(ピーナッツ油、大豆油)、石油から誘導された油(鉱物油)、及び合成の油を含むであろう。一般的には、注射可能な単位投薬量について、水、生理食塩水、水性の右旋性ブドウ糖及び関係付けられた糖質の溶液、並びに、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールのような、エタノール及びグリコールの溶液は、好適な液体の担体である。
【0090】
選ばれた薬学的な単位投与量は、例えば、約1μMから約10mMまでの、ターゲットの細胞との接触の点での共役体の濃度を提供するために、好ましくは、製作されると共に投与される。より好適なものは、約1μMから約100μMまでの濃度である。この濃度は、もちろん、投与の選ばれた経路及び処置される主体の質量に依存することになる。上に述べた範囲より上の及びより下の濃度は、本発明の範囲内にある。
【0091】
関連出願の相互参照
ここに文献によって援用された、2004年11月4日に出願された米国仮出願シリアル番号60/624,906に対する優先権は、これによって、請求される。
【0092】
文献の援用
以下に引用された論文及び先行特許の全ては、ここに文献によって援用される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、プトレッシン、スペルミジン、及びスペルミンの化学構造を描く。
【図2】図2は、ブレオマイシンの部類の化合物の化学構造を描く。
【図3】図3は、スパガリン並びにエデインA及びBの化学構造を描く。
【図4】図4は、ストレプトマイシンの化学構造を描く。
【図5】図5は、4−クマロイルアグマチン並びにホルダチンA、B、及びMの化学構造を描く。
【図6】図6は、ヒルドニンの化学構造を描く。
【図7】図7は、スクアラミンの化学構造を描く。
【図8】図8は、mRNAのsiRNAで媒介された配列に特異的な開裂を例示する概略的なものである。
【図9】図9は、mRNAのsiRNAで媒介された配列に特異的な開裂を例示すると共にRNAを誘導する沈黙の複合体(RISC)を例示する概略的なものである。
【図10】図10A及び10Bは、オリゴリボヌクレオチドsiRNAを製作するために使用することができる保護されたリボヌクレオオシドの化学構造を描く。
【図11】図11は、ホスホラマダイトに基づいたオリゴリボヌクレオチドの合成を例示する反応スキームである。
【図12】図12は、図10Bに示されたリボヌクレオシドの脱保護を例示する反応スキームである。
【図13】図13は、本発明における使用のための三個の異なる保護されたリボヌクレオシドの化学構造を描く。
【図14】図14は、本発明に従ったポリアミン−siRNAの共役体のある系列を描く。
【図15】図15は、本発明に従ったポリアミン−siRNAの共役体の別の系列を描く。
【図16】図16は、本発明に従ったポリアミン−siRNAの共役体の更に別の系列を描く。
【図17】図17は、本発明に従ったポリアミン−siRNAの共役体を製作するための一般的な反応スキームを描く。
【背景技術】
【0001】
序
本発明は、一般にリボ核酸(ribonucleic acid)(RNA)を、及び、特に短い干渉RNA(short interfering RNA)(siRNA)を、含有する共役体を作る際の、並びに、治療薬として共役体(conjugate)を使用する際の、ギャップを埋める。短い干渉RNA(siRNA)は、通俗的な科学の文献において“最近の五年間におけるターゲットの検証における最も評判なものの一つ”と称されてきた。この熱狂は、siRNAが、ターゲットにされた遺伝子の発現を特異的に抑制することに効能のあるものであることが示されてきたという事実のおかげである。
【0002】
siRNAの作用を介した遺伝子の発現のこの配列に特異的な転写後の沈黙は、真菌類及び植物において最初に発見された天然に起こる過程であると共に、細菌の及び動物の細胞において起こることが後に示された。短い干渉RNAは、酵素によってか又は化学合成によってかのいずれかで得られた、短い(およそ21−25個のヌクレオチド)RNAのフラグメントである。短い干渉RNAは、ターゲットにされたメッセンジャーRNA(messenger RNA)(mRNA)の配列に特異的な劣化を含むことによって、機能する。効力のある抗ウィルス性の及び抗癌性の薬物としてのsiRNAの潜在能力は、科学界において広く受け入れられる。しかしながら、この潜在能力が、薬学的な組成物の形態で現実になる前に、siRNAをそれらの意図されたターゲットへ送り出すことにおける根本的な問題が、解決されるものでなければならない。
【0003】
その送出の問題の根本には、siRNAがポリアニオンであるということがある。このように、脂質の二層にわたるsiRNAの援助を受けてない浸透は、無視できるものである。従来、siRNAは、陽イオン性のリポソームを、又はポリエチレンイミン類を伴ったポリプレックスを、使用することで、細胞へ送り出される。siRNAを送り出すためのリポソームの使用が、いくらかの成功を示してきたとはいえ、リポソームの送出のビヒクルの主要な不都合は、多くの細胞のタイプを、リポソームを使用することでは形質移入することができないというものである。また、数個の細胞のタイプを、顕著な生物学的な効果を生じさせる効率を伴って、リポソームで形質移入することができない。さらには、リポソームの送出のビヒクルを使用する実験では、細胞の数個の異なる手技が、要求される。手短に言えば、その過程は、厄介なものである。
【0004】
同様に、ポリエチレンイミン類は、それらが、高い分子量の重合体であるので、細胞の中へ送り出すことが困難なものである。このように、ポリエチレンイミン−siRNAポリプレックスの生体内での送り出しは、高い分子量の陽イオン性の複合体の全身の送り出しに固有な全ての障害物によって悩まされる:それら複合体は、意図されたサイトへのそれらの道筋を作ること、ターゲットにされた組織の中へ管外に遊出すること、などをしなければならない。従って、細胞外の環境からターゲットの細胞の細胞質の中へのsiRNAの分子を移動させる方法は、試験管内で(例、培養された及び体幹の細胞において)及び生体内で(例、薬物としてのsiRNAの全身の送出で)遺伝子を沈黙させるためのsiRNAの治療的な使用における顕著な飛躍的前進であるであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の概要
このように、本発明は、天然に起こる過程を模倣するsiRNA用の効能のある細胞の送出の系を作り出すための方法、及び、結果として生じるsiRNAの送出の系である。多数の抗生物質及び低い分子量の酵素の阻害剤は、アミン類に共役してきた。アミンの部位は、しばしば、生物学的な活性を増加させることに重大なものである。これらの化合物の多数において、アミンの部位は、共役体を細胞の中へ輸送するために要求された構造的な要素を提供するものである。特に、多数の抗生物質の抗菌性の活性は、(部分的には)グリコシドの、芳香族の、又は、ポリケチドの部位へ共役させられたアミン類又はポリアミン類のおかげである。陽イオン性のポリアミンの残基は、細胞の中へ抗生物質の輸送を容易にするように機能する。適切な例は、ストレプトマイシン(図4を参照のこと)であるが、それは、アミノグリコシドであると共に、そこでは、輸送する残基が、アミノグアニジノ基である。同様に、抗生物質のブレオマイシン−フレオマイシンの基(図2を参照のこと)においては、変性させられたスペルミン及びスペリミジンの基は、輸送する残基である。(スパガリン、ラテロスポラミン(laterosporamine)、エデイン(edein)類、グリスペリン(glisperin)A、B、及びC、並びに、グリコシンナモイルスペルミジン類のような)スペリミジンに共役させられた抗生物質及び抗腫瘍性のもの(図3を参照のこと)においては、共役させられたスペルミジンの部位は、細胞の中への生物学的に活性な作用薬の輸送体である。また、カナマイシン類と呼ばれたアミノグリコシドの抗生物質の言及は、なされるべきである。カナマイシン類においては、アミノの部位は、グリコシド類を細胞の中へ輸送する。これは、また、スクアラミン(図7を参照のこと)、幅広いスペクトル、ツノザメ科、メジロザメ科又はトラザメ科のサメの組織から単離されたステロイドの抗生物質に当てはまるものである。これらの化合物において、硫酸化された胆汁酸が、スペルミジンのアミノプロピル第一級アミンへ融合させられる。その分子のスペルミジン部位が、細胞膜にわたってその分子の残部を運ぶように作用するものである。
【0006】
本発明においては、天然の及び/又は合成のポリアミンの基は、1)細胞質において破壊されると共にsiRNA部位を遊離なものに設定するか;又は2)その共役体のsiRNAの部分が、RNAを誘導する沈黙する複合体(RNA-inducing silencing complex)(RISC)分子へ結び付くことを、及び、それによって、siRNAによってターゲットにされた特異的なmRNAを開裂させることを、なお可能とする一方で無傷なもののままにするか:いずれかの結合を介して、siRNAの分子へ共有結合させられる(Dykxhoorn et al.,Nature Reviews,RNAi Collection,p.7,December 2003を参照のこと)。
【0007】
本発明における使用のための好適なポリアミン類は、好ましくは、スペルミジン及びそれの誘導体、スペルミン及びそれの誘導体、並びに、ヒルドニン(hirudonine)及びそれの誘導体である。図1及び6を参照のこと。大部分の細胞は、担体に媒介されたエネルギー依存性の機構によって、ポリアミン類を摂取する。多数の細胞(例えば、ヒトの繊維芽細胞、マウスの白血病の細胞、ラットのモーリス(Morris)肺がん細胞、など。)は、全てのポリアミン類についての単一の輸送体を有するように見える。このように、一般的な提案として、輸送体の特異性は、ひどく厳密なものであることはない。例えば、アルキル置換基で置換されたポリアミン類の誘導体が、また、天然のポリアミン類を起動させる同じ輸送体の系によって、細胞の中へ効率的に輸送されることは、先の仕事から知られることである。
【0008】
また、ポリアミン類は、リボ核酸へのポリアミン類の大きい結び付きの親和性の理由のために、siRNA用の理想的な担体である。ポリアミン類は、特にスペルミンは、リボソームへ強く結び付くと共に、トランスファーRNA(transfer RNA)(t−RNA)の構成する部分である。強塩基性のポリアミン類は、静電的な電荷のみならず水素結合によって、t−RNAへ結び付く(Frydman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci(USA)(1992)89:9186;Fernandez et al.,(1994)Cell.Mol.Biol.40:93)。トランスファーRNAは、siRNAのサイズのおおざっぱに二倍のリボヌクレオチドであるが、しかし、リボヌクレオチドの鎖は、類似の構造を有する。いずれの特定の生物学的な機構に束縛されることなく、t−RNAの複合体において、スペルミン又はスペルミジンは、リボヌクレオチドのループへ結び付く;siRNAにおいては、ポリアミンは、siRNAが、RNAを誘導する沈黙の複合体へ結び付くまで、siRNAのアニールされた二本鎖の鎖へ結び付くこと、及び、その鎖を安定化させることができるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の第一の実施形態は、リボ核酸(ribonucleic acid)(RNA)へ共有結合させられたポリアミンを含む共役体に向けられる。RNAの共役体が、オリゴRNAであることは、好適なことであると共に、最も好ましくは、RNAが、短い干渉RNA(siRNA)であることである。
【0010】
共役体のポリアミンの部分は、限定無しに、いずれのポリアミンでもあることができる。好適なポリアミン類は、プトレッシン(putrescine)、スペルミン(spermine)、スペルミジン(spermidine)、ヒルドニン(hirudonine)、及びそれらの誘導体からなる群より選択されたものである。それらの誘導体内に明白に含まれるのは、米国特許第6,392,098号明細書及び米国特許第6,794,545号明細書に開示された立体配座的に制限されたポリアミン化合物である。より具体的には、立体配座的に制限されたポリアミン類について、共役体のポリアミンの部分は、好ましくは、式I:
E−NH−D−NH−B−A−B−NH−D−NH−E (I)
の化合物より選択されると共に、
そこでは、Aは、C2からC6までのアルケン、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択される;
Bは、独立して、単結合並びにC1からC6までのアルキル及びアルケニルからなる群より選択される;
Dは、独立して、C1からC6までのアルキル及びアルケニル、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択される;並びに、
Eは、メチルである;と共に、その共役体のポリアミンの部分は、それらの薬学的に適切な塩である。
【0011】
以下により詳細に詳述したように、これらの立体配座的に束縛されたポリアミン類を、以下に続く一般的な反応スキームに従って作ることができる:
式II:
HO−B−A−B−OH (II)
の化合物が、式III:
PROT−O−B−A−B−O−PROT (III)
の化合物を生じさせるために、保護試薬と、好ましくはメシチレンスルホニル=クロリドと、反応させられると共に、
そこでは、PROTは、保護基である。
【0012】
そして、式IIIの化合物は、式V:
E−N(PROT)−D−N(PROT)−B−A−B−N(PROT)−D−N(PROT)−E (V)
の化合物を生じさせるために、式IV:
E−N(PROT)−D−NH−(PROT) (IV)
の化合物と反応させられる。
【0013】
式IIIの中間体及び式IVの中間体の両方において、保護基、PROTが、メシチレンスルホニル部位であることは、大いに好適なことである。
【0014】
そして、式Vの化合物は、式Iの化合物(E−NH−D−NH−B−A−B−NH−D−NH−E)を生じさせるために、脱保護される。
【0015】
本発明の第二の実施形態は、生細胞へRNAを起動させる方法へ向けられる。その方法は、共役体を生じさせるために、ポリアミンにRNAを共役させること;及び、そして、生細胞へ共役体を接触させることを含む。RNAが、プトレッシン、スペルミン、スペルミジン、ヒルドニン、及びそれらの誘導体からなる群より選択されたポリアミンへ共役させられることは、好適なことである。siRNAが、ポリアミンへ共役させられることは、また、好適なことである。
【0016】
本発明の第三の実施形態は、生細胞へRNAを起動させるための材質の組成物に向けられると共に、その組成物は、薬学的に適切な担体との組み合わせで、リボ核酸(ribonucleic acid)(RNA)へ共有結合させられたポリアミンを含む。
【0017】
本発明においては、ポリアミンの輸送体は、リボヌクレオチドを、それらが、細胞に入ると、解放することになる、折りたたみ可能な結合によって、siRNAへ結び付けられる。生体内に投与されたとき全身の毒性の全くないものであるsiRNAでポリアミン類の不連続の共役体を作ることは、ほ乳類の細胞において天然に起こる過程を変調することによって、遺伝子の機能を研究するための道筋を開くと共に、究極的には、疾患を処置するための新しい遺伝子に特異的な治療薬に至る。このように、ここに開示された共役体は、細胞の外側から且つ細胞質及び/又は核の中へsiRNAを送り出すための高度に有用なものである。
【0018】
1.細胞の中への天然の生産物のポリアミン輸送:
このような組織を培養するための能力のみならず、動物の組織におけるポリアミンの偏在及び不可欠性の認識は、ほ乳類の細胞におけるポリアミンの輸送の非常に多く研究に帰着してきた。ポリアミンの合成の特異的な阻害剤による腫瘍細胞の成長の阻害及び外因的なポリアミン類による成長の回復は、ポリアミンの摂取の研究に対する主要な刺激であってきた。例えば、[14C]−ベンジルアミンの摂取の数個のモード:細胞の表面への吸着(吸着された分子は、洗浄することによって大部分において除去可能なものである);特異的な過程を示す飽和性の細胞内の輸送;並びに、拡散及び内部の結び付きのミックスを連想させる、より遅い非飽和性の摂取は、明白なものである(Cohen,A Guide to the Polyamines,Oxford,1998,pp.467)。
【0019】
ほ乳類の細胞;プトレッシン、スペルミジン、及びスペルミンに存在する三個の天然のポリアミン類がある(図1を参照のこと)。Seiler and Dezeure(1990)Int.J.Biochem,22:211によって手短に述べられたように、ほ乳類の細胞におけるポリアミンの摂取は、一般に、特異的な飽和性のものであると共に、エネルギーを要求すると共に、担体で媒介されたものである。ポリアミンの輸送を、また、RNAを要求する過程及びタンパク質の合成において規制することができる。ほ乳類の三個の膜の受容体についてのデータの再検討は、アミノ酸のための非常に多くの輸送タンパク質並びに真正細菌及び真菌類から単離されたポリアミン類に対するこれらのタンパク質の著しい類似性又は相同性を記述してきた(Reizer et al.,Protein Science(1993)2:20)。これらのデータは、ほ乳動物の細胞からの受容体タンパク質が、これらの微生物の輸送タンパク質と共通の起源を共有する変性させられた輸送タンパク質として記述されることもあることを提案する。
【0020】
多数の細胞は、マイクロモルの範囲におけるKmの値を伴った、プトレッシン、スペルミジン、及びスペルミン用の単一の輸送体を有する。ナトリウム依存性の系及びナトリウム非依存性の系の両方が、検出されてきた。癌におけるポリアミン輸送体の治療学上の重要性を力説するが、査閲者は、輸送体の系を欠く白血病の細胞系統の減少した毒性を指摘した。プトレッシンの摂取の数個の新しい阻害剤は、スペルミジンのものよりも活発に、このジアミンの摂取を阻害する、Minchin et al.(1991),Eur.J.Biochem,200:457を参照のこと。これは、また、黒色腫の細胞におけるこれらの異なるポリアミン類の輸送が、異なることを示す。
【0021】
ヒトの血小板におけるプトレッシンの摂取は、飽和性の且つエネルギー依存性のものであるが、しかし、複雑なものに見える。ヒトの赤血球内の研究は、それが、ポリアミン類を合成することができないものであるが、細胞の表面におけるポリアミン受容体のサイト並びに、主として(>95%)内部の可溶性の区画の中へのプトレッシン、スペルミジン、及びスペルミンの摂取を立証した。Moulinoux et al.(1984),Biochimie,66:385。その摂取は、4℃で最小限のものであったと共に、これは、主として、細胞の間質への結び付きに関係した。37℃で、血清からのプトレッシン及びスペルミジンの摂取は、スペルミンがゆっくりと入ったのに対して、相対的に急速なものであった。血漿からの飽和性のプトレッシン及びスペルミジンの摂取についてのKmの値は、それぞれ、125及び3.6μMであった。
【0022】
マウスの細胞の一つの糸において、Na+及びスペルミジンの両方が、1:1の関係性で細胞に入ることが示された。Khan et al.(1990)Cell.Mol.Biol.36:345。その輸送は、それが、ATPを枯渇させる、2−デオキシグルコースによって影響を及ぼされなかったので、ATP非依存性のものであるように見えた。ほ乳類の細胞の多数のより多くの糸の検査は、スペルミジンの摂取が、各々の事例において若干異なっているとはいえ、Na+の濃度によって影響を及ぼされなかったことを示した。Khan et al.(1990),Pathobiology,58:172。その摂取は、一般に、イオン透過孔及びいくつかのポリアミンの類自体によって阻害された。アスパラギンで細胞を前負荷することは、神経芽細胞腫の細胞におけるプトレッシンの摂取のもののみならず、二つの糸におけるプトレッシンの摂取を加速させた。Rinehart and Chen(1984)J.Biol.Chem.259:4570。ヒトの大腸癌の細胞によるプトレッシンの摂取は、アスパラギンによって>300倍に刺激される。McCormack and Johnson(1991)Am.J.Physiol.256:G868。プトレッシンの摂取についてのアスパラギンの効果の性質は、いくつかのヒトの癌細胞において大いに誇張されるものであるように見えた。アスパラギンが、膜のNa+/H+の対向輸送を活性化させる、H+の押し出しを誘発する、及び、Na+依存性の細胞内のアルカリ化を引き起こすことは、知られたことである。Fong and Law(1988)Biochem.Biophys.Res.Commun.155:937。
【0023】
多種多様な動物の細胞での研究は、ポリアミンの輸送の機構の共通の応答を示した。にもかかわらず、いくつかの組織の細胞及び癌細胞は、単一の共通の機構を所有するように見えた。対照的に、ブタの腎臓のLLC−PK細胞系統と同様の、他のものは、数個のより多くの識別系を明かした。後者の細胞は、異なる細胞のエリアに局在化したナトリウム依存性の輸送体及びナトリウム非依存性の輸送体の両方を含有した。Van der Bosch et al.(1990),Biochem.J.265:609。
【0024】
動物の細胞の中へのポリアミン類の前述した輸送の機構の利点をとることによって、異なる薬物及び化学薬剤は、天然のポリアミン類へ共有結合的に付けられたと共に、このように細胞の中へ輸送された。相対的に無毒性の化合物、ニトロイミダゾール−スペルミジン共役体は、細胞に入ったと共に、遊離のスペルミジンの摂取を阻害した、Holley et al.(1992),Biochem.Pharmacol.43:763を参照のこと。また、たとえ末端の置換基が、相当に大きいものであるとしても、鉄のキレート化剤のスペルミンの共役体が、腫瘍の細胞の中へ効率的に輸送されることを、述べることができる。Bergeron et al.(2003),J.Med.Chem.46:5478,2003を参照のこと。また、ナフタルイミド類を備えたポリアミン共役体は、細胞の中へ効率的に送り出される。Lin et al.(2003),Biochem.Soc.Trans.31(2):407;ポリアミン類と共役させられたインデノイソキノリン類(トポイソメラーゼI阻害剤)は、癌細胞の中へ送り出される,Nagarayan et al.(2003),J.Med.Chem.46:5712;Bowman−Birk阻害剤(Bowman-Birk inhibitor)(“BBI”,8000Daのポリペプチド)として知られたタンパク質分解酵素の阻害剤のスペルミン共役体は、肺及び肝臓にBBIを局在化させる際に非常に有効なものであると共に、ポリリシンの共役体の不適格な毒性の何も有するものではない、Kennedy et al.(2003),Pharm.Research,20(12):1908。
【0025】
天然の生産物は、細胞内の送り出し用のベクターとしてのポリアミン類の良好な試料採取器である。スペルミジン共役体のスパガリン及びエデイン類(図3を参照のこと)のみならず、ブレオマイシン(様々な化学構造について、図2を参照のこと)の言及は、ポリアミンのベクターのそれらの広い配列と共に、並びに、ストレプトマイシン、ジグアニジノ誘導体(図4を参照のこと)の言及が、なされるべきである。クマロイルアグマチンのような、植物に見出されたアミノグアニジン類、及び、ホルダチン(hordatine)類(図5を参照のこと)は、輸送用の強塩基性のグアニジンの残基、またヒルドニン(hirudonine)(図6を参照のこと)に見出された残基、重要な細菌性の且つ植物のポリアミンの重要性を例示する。スクアラミン(squalamine)(図7を参照のこと)は、スペルミジン−ステロイドであるが、そこでは、スペルミジンの部位は、細胞の中への送り出しのベクターである。これらの天然の生産物の全てが、ポリアミンの部位を含む。
【0026】
本発明者は、ポリアミンの輸送の機構の特異性が、驚くほど、許容的なものであることを見出してきた。スペルミン及びホモスペルミン(homospermine)の類自体、ペンタミン(pentamine)類、及び、異なるオリゴアミン類を含む、24個のポリアミン様の化合物を精査した後、それらが、ヒトの細胞の中へ効率的に輸送されることが、見出されたことであった。このように、主題の共役体は、ヒトの細胞を含む、ほ乳類の細胞の中へ効率的に輸送されることが、期待される。
【0027】
2.小さい干渉RNA(small interfering RNA)(siRNA)の合成:
小さい干渉RNA(Small interfering RNA)(siRNA)は、約21−23個のリボヌクレオチドの二本鎖にされたフラグメントである。siRNAの分子が、mRNAの劣化の媒介物であること、及び、上に述べられたフラグメントのパターンで化学的に合成された二重鎖が、mRNAの開裂を案内することが可能であることが、示されてきた。Elbashir et al.(2001),Genes and Development,15:188。mRNAのsiRNAに媒介された開裂における現在のところ受け入れられた一連の事象は、図8において概略的に与えられる。図8に示されたように、siRNAは、3’のオーバーハング、通常(TT)又は(UU)と共に、(図8の上部における5’から3’までに示した、赤色の)対にされたセンス鎖及び(図8の上部における3’から5’に示された、青色の)アンチセンス鎖を含む、図8における符号“a”を参照のこと。siRNAの経路は、長い二本鎖にされた(ds)RNAが、取るに足らない名前“ダイサー(Dicer)”を有するRNアーゼIIIの酵素によって、ATP依存性の反応において、siRNAの中へと開裂させられるとき、開始する。そして、これらのsiRNAが、RNAに誘発される沈黙の複合体(RNA-inducing silencing complex)(RISC)の中へ組み込まれる。一旦連結が解かれると、siRNAの一本鎖にされたアンチセンス鎖は、RISCの複合物をメッセンジャーRNA(messenger RNA)(mRNA、それは、一本鎖にされたものである)へ案内すると共にmRNAの相補的な配列をターゲットにする。これは、(図8の符号“b”に示されたような)ターゲットにされたmRNAのヌクレオチド鎖切断の開裂に帰着する。しかしながら、また、化学的に合成されたsiRNAの二重鎖において、アンチセンス鎖のみならずセンスの両方mRNAをターゲットにすることを提案するデータがある。この過程は、図9に概略的に例示される。図9に示されたように、形質移入されたsiRNAは、RISCの中へ組み込まれると共に、センス又はアンチセンス鎖のいずれか(それらは、図9には表されたものではない)は、ターゲットにされたmRNAにおける相補的な配列を認識することに役に立つことができる。Duxbury et al.(2004),J.Surgical Res.,117:339を参照のこと。
【0028】
化学的な過程によるsiRNAの合成、精製、及びアニーリングは、ますます通俗なものになっている。例えば、Micura(2002),Angew.Chem.Int.Ed.,41(13):2265及びHobartner et al.(2003),Monsatshefte fur Chemie,134:851,2003を参照のこと。化学的に合成されたRNAのオリゴヌクレオチドは、siRNAの技術の鍵となる構成要素によるものである。ヌクレオシドのカップリングは、図10に例示されたような従来の且つ周知のホスホルアミダイトの化学によって、達成される。その過程が、当業者に周知なものであるので、それを、極めて詳細には記載しないことにする。全部の処理については以下に続く段落における引用文献を参照のこと。また、慣行のRNAの合成における繁栄する商業的な市場がある。例えば、いずれの指定された配列のsiRNAを、多数の他の会社の中から、例えば、SynGen,Inc.(San Carlos,California),Midland Certified Reagent Company Inc.(Midland,Texas)、及びDharmacon,Inc.(Boulder,Colorado)から購入することができる。付加的に、多数の大学を本拠地とした研究室は、また、公衆に対する慣行のRNAの合成のサービスを販売する(多数の他のものの中から、例、The University of Wisconsin Biotechnology Center[Madison,Wisconsin]及びKansas State University[Manhattan,Kansas])。
【0029】
適切な保護基の構造における改善は、DNAの合成についての事例のものであるような生産物の質の水準及びアクセス可能なオリゴヌクレオチドの長さまで日常的なRNAの構成をとってきた。ロバストなRNAの構成のストラテジーについての要望は、新しい及び高級化された保護基の作製に帰着した。これらの手順は、1998年に導入されたと共に、様々な特許によってカバーされる(例えば、Pitsch et al.,米国特許第5,986,084号明細書を参照のこと)と共に、科学文献(Pitsch et al.,(2001)Helv.Chim Acta,84:3773)に記載される。(いくつかの技術的な調節の後における商業的な自動化されたDNAの合成において使用された)大部分の一般的な手順は、“TOM”保護基(2’−O−トリイソプロピルシリルオキシメチル)の使用をする(それは、2’−Oの位置におけるTOM保護基で保護されたリボヌクレオシドである、図10Aを参照のこと)。この保護基は、DNAの合成に使用された古典的な2’−O−tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基に対して優れたものである。
【0030】
図10Aに示されたもののような保護されたヌクレオチドの構築は、リボヌクレオシドの核酸塩基の環外のアミノ基におけるN−アセチル化で開始すると共に、5’−O−DMTを与えるための5’の酸素におけるトリチル化が後に続けられる。そして、これは、2’−O−TOMの誘導体を与えるための2’の酸素における“トミル化(TOMylation)”が後に続けられる。最後に、2−シアノエチルジイソプロピルホスホルアミド=クロリダイト(2-cyanoethyldiisopropylphosphoramido chloridite)を使用する3’の酸素における“ホスフィチル化”のステップは、図10Aに示された3’−O−CEPA誘導体を生じさせる。オリゴリボヌクレオチドの中へのホスホルアミダイトの組み込みは、良好に詳細に記録される。Micura et al.(2001),Nucleic Acid Res.29:3997;Hobartner et al.(2002),Angew.Chem.Int.Ed.41;605;Micura et al.(2000),Angew.Chem.Int.Ed.39:922;Micura et al.(2001),Nucleosides,Nucleotides,Nucleic Acids,20:1287;及びEbert et al.(2000),Helv.Chim.Acta,83:2238を参照のこと。
【0031】
オリゴリボヌクレオチド用の別の基礎単位は、図10Bに描かれる。この保護されたリボヌクレオシドは、米国特許第6,111,086号明細書において1998年に最初に報告された、Scaringe(2000),Methods in Enzymology,317:3をもまた参照のこと。図10Bに示された保護されたヌクレオシドの背後の理論的根拠は、合成のリボヌクレオチドの2’−O基における最終的な脱保護についての穏やかに酸性の水性の条件に対する要求であった。穏やかな酸性の条件に対してそれ自体が不安定なものである、5’−Oにおける保護基が、DMTであるとすれば、これを、達成することはできない。従って、DMTは、2’−O−ビス(2−アセトキシエチルオキシ)メチル(2’-O-bis(2-acetoxyethyloxy)methyl)(ACE)オルトエステルと一緒に、5’−O−ビス(トリメチルシロキシ)シクロドデシルオキシシリル=エーテル(5’-O-bis(trimethylsiloxy)cyclododecyloxysilyl ether)(DOD)で置き換えられた。ここで、3’−OH基は、(図10AのTOMで保護されたヌクレオシドにおいて使用された)シアノエチル基が、DODを開裂させるために必要とされたフッ素化物の試剤に対して不安定なものであることを証明したので、メチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト(methyl-N,N-diisopropylphosphoramidite)として誘導される。この保護されたリボヌクレオシドとのカップリングの収率は、99%よりも高いものである。
【0032】
オリゴヌクレオチドの集合の後に、ホスファートのメチルの保護基は、DMF中で2−カルバモイル−2−シアノエチレン−1,1−ジチオール酸二ナトリウム三水和物(disodium 2-carbamoyl-2-cyanoethylene-1,1-dithiolate trihydrate)(S2Na2)で取り除かれる(図12を参照のこと)。そして、塩基性の条件(40%の水性のメチルアミン)は、環外のアミノ基におけるアシル保護基及び2’−オルトエステル類におけるアセチル基の除去と一緒に、固体の支持体からオリゴヌクレオチドの開裂を引き起こす。結果として生じる2’−O−ビス(2−ヒドロキシエチルオキシ)メチルオルトエステル類は、アセチル基の除去の前よりも十倍を超えて不安定なものである。その結果として、非常に穏やかな条件(pH3.8,30分,60℃)は、最終的な脱保護のステップに要求されるものの全てである。5’−O−DOD基は、フッ素物の試剤で開裂させられる。この手順によって得られた粗オリゴリボヌクレオチドの公開されたHPLCクロマトグラムは、印象的なものであると共に、ほとんど無い副産物を提示する。
【0033】
オリゴリボヌクレオチドの自動化された合成の一般的なスキームは、図11(PG=保護基)に描かれる。その合成は、樹脂への付着によって3’の端から開始する。脱保護は、RNAの生産物の劣化無しに、二つのステップで、最初にエタノール/水中のCH3NH2で、テトラヒドロフラン中のBu4NFが後に続けられることで、達成される。その過程を、顕著な生産物の劣化が結果として生じる前に、約150単量体単位の生産物まで繰り返すことができる。
【0034】
3.立体配座的に束縛されたポリアミン類の合成:
プトレッシン、スペルミン、スペルミジン、及びヒルドニンを含む、天然に生ずるポリアミン類のホストを、Aldrich Chemical Co,Milwaukee,Wisconsine及びFisher Scientific,Hampton,New Hampshireのような多くの世界中の供給業者から商業的に購入することができる。Aldrichのカタログ番号は、プトレッシン(D1,320−8)、スペルミン(S383−6)、及びスペルミジン(S382−8):である。ヒルドニン(ジグアニルスペルミジン,CAS No.2465−97−6)についてのFisherのカタログ番号は、ICN222595である。
【0035】
本発明における使用に適切な立体配座的に束縛されたポリアミン類は、好ましくは、米国特許第6,392,098号明細書及び米国特許第6,794,545号明細書に開示されたもののように合成される。簡単に、様々な剛性の部位、環状の部位又は二重若しくは三重結合させられた部位のいずれかは、ポリアミンの骨格の中へ導入される。
【0036】
最初にターゲットにされた場所は、ポリアミンの中央の1,4−ジアミノブタンのセグメントであった。それのねじれ型の立体配座において、四個の半重なり型の立体配座の回転異性体は、ジアミノブタンのセグメントのまわりで可能なものである。四個は、鏡像異性の関係を有する。中央のジアミノブタンのセグメントのC−1の位置とC−3の位置との、又は、C−2の位置とC−4の位置との、間の結合の導入は、シクロプロパン環を発生させる。C−2の位置とC−3の位置との間の付加的な結合の導入は、立体配座的に制限されたアルケンの誘導体を発生させる。シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルの部位を、同じストラテジーの後に続く構造の中へ導入することができる。
【0037】
このアプローチを使用することで、四個の立体配座的に半剛性の構造が、得られたが、それらは、スペルミンの四個の半重なり型の立体配座の構造を模倣する。半剛性の構造の二個は、他の二個のエピマーである。
【0038】
本発明の目的について、主題の化合物のシス及びトランス異性体が、中央に位置させられた環の構造又は不飽和によって与えられた制限された結合の回転のおかげで、非常に明白な三次元の立体配座を仮定することに留意することは、重要なことである。ポリアミン類の純粋な単離されたシスの形態及び純粋な単離されたトランスの形態を含む、(光学的に活性な又はそうでない)全ての幾何異性体、並びに、それらの混合物は、明白に、本発明の範囲内にある。付加的に、主題の化合物の全ての位置異性体は、明白に、本発明の範囲内にある。式IのA又はDが、周期性の部位であるとき、二個のBの置換基又はアミノの部位は、それぞれ、相互に関して1,2又は1,3又は1,4の位置に配向させられることもある。
【0039】
(a)シクロプロピル環を含有するスペルミン類似体:
スペルミンのシス及びトランスのシクロプロピル類似体は、以下において、スキーム1、2、3、4、4A、5、及び5Aに例示された反応を介して調製された。
【0040】
スキーム1及び2を参照して、シクロプロピルジエスエル1及び2は、最初に、それらのヒドラジド103及び4へと転換されたと共に、ヒドラジドは、それぞれ、ジアミン5及び6へと転換された。そして、ジアミン5及び6は、アミド7及び8を与えるために、メシチル化されたと共に、そして、アミドは、それぞれ、10及び11を与えるために、9でアルキル化された。保護基の加水分解は、トランス類似体12及びシス類似体13を生じさせた。
【0041】
今スキーム3を参照することで、別個の反応において、トランスシクロプロピルジエステル1は、ベンジルアミン(BnNH2)との反応によって、アミド14へと転換されたと共に、アミドは、アミン15へ還元されたと共にアミンは16へアルキル化された。そして、フタリル残基は、17を与えるために、ヒドラジンで開裂させられた。そして、化合物17は、18を与えるための水素添加分解によって脱保護されたか;又は19へ十分にアルキル化されたかのいずれかであったと共に、ベンジル残基は、20を与えるための水素添加分解によって開裂させられた。
【0042】
スキーム4を参照して、アミン15は、また、22を与えるために、21でアルキル化された。そして、化合物22は、トランスシクロプロピル類似体23を生じさせるために、脱保護された。
【0043】
23への代替の(及び好適な)経路は、スキーム4Aに与えられる。ここで、3−エチルアミノプロピオニトリル101は、対応するアミン102へと転換されたが、それは、そして、3を生じさせるために、メシチル化された。並行の合成において、シスジエステル1は、ジアルコール15’へ還元されたが、それは、そして、ジメシチル誘導体16’を生じさせるために、メシチル化された。水素化ナトリウムの存在において、3及び16’を反応させることは、22’を生じさせた。
【0044】
【化1】
【0045】
【化2】
【0046】
【化3】
【0047】
【化4】
【0048】
【化5】
【0049】
【化6】
【0050】
【化7】
そして、スキーム4と同じ様式で、22’は、トランスシクロプロピル類似体23を生じさせるために、脱保護された。
【0051】
今スキーム5を参照することで、別個の反応において、シスシクロプロピルジエステル2は、ジアルコール24へ還元された。そして、ジアルコールは、アミン25へと転換されたと共に、アミンは、26へのメシチル化によって保護された。そして、化合物26は、27を生じさせるために、9でアルキル化されたと共に、そして、シスシクロプロピルテトラアミン28を生じさせるために、脱保護された。
【0052】
28への代替の(及び好適な)経路は、スキーム5Aに与えられる。ここで、シスシクロプロピルジエステル2は、スキーム5におけるのと同じ様式で、ジアルコール24へ還元される。そして、化合物24は、25’を生じさせるために、メシチル化によって保護された。そして、化合物25’は、27を生じさせるために、3と反応させられた。脱保護することは、テトラアミン28を生じさせた。
【0053】
(b)シクロブチル環を含有するスペルミン類似体:
スペルミンのシス及びトランスのシクロブチル類似体は、以下において、スキーム6、7、8、8A、9、及び9Aに例示された反応を介して、調製された。
【0054】
今スキーム6及び7を参照することで、シクロブチル誘導体の合成は、それぞれ、トランス及びシスの1,2−ジアミノブタン29及び30と共に開始した。これらの化合物は、最初に、アミド31及び32へ転換されたと共に、そして、それぞれ、33及び34へアルキル化された。そして、化合物33及び34は、トランステトラアミン35(スキーム6)及びシステトラアミン36(スキーム7)を生じさせるために、脱保護された。
【0055】
スキーム8及び9を参照して、別個の反応において、トランスシクロブチルエステル37及びシスシクロブチルジエステル38は、それぞれのジアルコール39及び40へ還元されたが、ジアルコールは、ジアミン41及び42へと転換された。そして、ジアミン41及び42は、それぞれ、43及び44を生じさせるためのメシチル化によって保護された。そして、これらの化合物は、45及び46を与えるために、アルキル化された。そして、保護基は、トランスシクロブチルテトラアミン47(スキーム8)及びシステトラアミン48(スキーム8)を生じさせるために、取り除かれた。
【0056】
【化8】
【0057】
【化9】
【0058】
【化10】
【0059】
【化11】
【0060】
【化12】
【0061】
【化13】
47及び48への代替の(及び好適な)経路は、それぞれ、スキーム8A及び9Aに与えられる。シス及びトランスのジエステル37及び38は、スキーム8及び9におけるものと同じ様式で、それぞれのジアルコール39及び40へ還元された。そして、化合物39及び40は、それぞれ、41’及び42’を生じさせるために、メシチル化された。3との41’及び42’の反応は、45(スキーム8A)及び46(スキーム9A)を生じさせる。脱保護することは、所望の生産物47及び48を生じさせる。
【0062】
(c)不飽和を含有するスペルミン類似体:
スペルミンのシス及びトランスの不飽和の類似体は、スキーム10、10A、11、及び11Aに例示された反応を介して調製された。
【0063】
スキーム10を参照することで、トランスジエステル49は、ジアルコール50へ還元されたが、それは、そして、トランスジアミン51へと転換された。スキーム11を参照することで、シスジアミン52は、商業的に入手可能なシスジアルコール43’から得られた。スキーム10及びスキーム11の両方を参照して、化合物51及び52は、それぞれ、53及び54を与えるためのメシチル化によって、保護された。化合物53及び54は、55及び56へアルキル化されたと共に、トランステトラアミン57(スキーム10)及びシステトラアミン58(スキーム11)を生じさせるために、最後に脱保護された。
【0064】
57及び58への代替の(及び好適な)経路は、それぞれ、スキーム10A及び11Aに与えられる。シス及びトランスのジアルコール50’及び50は、スキーム10及び11におけるものと同じ様式で、得られた。そして、化合物50’及び50は、それぞれ、51’及び52’を生じさせるために、メシチル化された。3との51’及び52’の反応は、55(スキーム10A)及び56(スキーム11A)を生じさせる。脱保護することは、所望の生産物57及び58を生じさせる。
【0065】
上の一般的なプロトコルの後に続けることで、並びに、適切な及び周知の出発の試剤を使用することで、A及びDが、独立に、C5の又はC6のシクロアルキル、シクロアルケニル、又は、シクロアリールであるところのものを含む、式Iの化合物の全てを、容易に得ることができる。式Iの化合物の例示的な列挙は、表1に与えられる。
【0066】
【化14】
【0067】
【化15】
【0068】
【化16】
【0069】
【化17】
【0070】
【表1】
純粋な共役体は、それらの薬学的に適切な塩のみならず、明白に、本発明の範囲内にある。用語“薬学的に適切な塩”によって、主題の共役体のいずれの塩の形態をも、意味されると共に、それは、それらを、選ばれた経路による投与に対してより受け入れられるものにする。広い範囲のこのような塩は、薬学的な技術における業者には周知のものである。好適な薬学的に適切な塩は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、及び同様のもののような酸付加塩である。
【0071】
4.siRNAのポリアミン共役体の合成
上に述べたデータに基づいて、図13に示された三個のヌクレオシドを調製することができる。ヌクレオシドAは、2’−O−TOMのヌクレオシドである、ヌクレオシドBは、2’−O−ACEのヌクレオシドである、及び、ヌクレオシドCは、5’−チオールのヌクレオシドである。ヌクレオシドCは、それの核酸塩基においてアセチル化される5’−チオリボシドから調製されると共に、それの2’−O−ACE誘導体へと転換されると共に3’の位置で最終的にホスフィチル化される。
【0072】
ヌクレオシドBは、5’−Oにおいてポリアミンの鎖へ付けられる。リンカーは、好ましくは、(図14に示されたような)カルバマート結合である。このリンカーを、5’−Oにおけるクロロホルマートを介してか、又は、アルキルイソシアナートへアルコールを付加することによってか、のいずれかで添付することができる。いずれかの事例において、ポリアミンの残基は、カルバマート結合によって、リボースへ付けられることになる。ポリアミンの鎖は、FMOC、トリフルオロアセタート、及び同様のもののような、アルカリに不安定な保護基で保護される。オリゴヌクレオチドの鎖が、(図11に示されたような)3’の端から5’の端まで成長すると、ポリアミンで共役されたヌクレオシドは、合成の最後のステップで付けられることになる。(図10に示されたような)穏やかなアルカリ性の条件の下での樹脂からのオリゴヌクレオチドの解放は、また、ポリアミンの鎖における保護基を開裂することになる。2’−Oを遊離させるために必要な穏やかな酸の条件は、カルバマート結合に影響を及ぼすものではないことになると共に、ポリアミンの残基へ共有結合的に結び付けられたオリゴヌクレオチドが、得られることになる。結果として生じるポリアミン−RNA共役体は、他のポリアミンの共役体のものと同じ様式で、生細胞へと輸送される。
【0073】
アニーリングに関して、二重鎖のsiRNAの鎖は、独立に構築される;センス鎖は、所望の配列のヌクレオチドで構築される、そして、アンチセンス鎖は、対応する相補的な塩基で構築される。一本鎖は、二重鎖を形成するために、互いに温置される(pH7.4,1分,90℃)。この対合は、siRNAをアニールすることとして知られたものである。本発明の好適な実施形態において、ポリアミンの部位は、センス鎖の5’−Oへ付けられる(図8を参照のこと)。
【0074】
ヌクレオシドCは、5’−チオリボースを使用することで、構築される。ポリアミンから誘導された残基(好適な残基の例示的な列挙については、図15を参照のこと)は、短いチオアルキルのリンカーに付けられる。図15に例示されたN−チオエチルポリアミンの残基を、S−ベンジルシステインアミンと共に開始することで、得ることができると共に、そして、確立された手順の後に続く継続的なアルキル化によってポリアミンの鎖を増強する。Valasinas et al.(2003)及びそれにおける参考文献、並びに、最終的に、ベンジル基を開裂させるための水素添加分解を使用することで、チオール基を脱保護することによって。
【0075】
5’−S−オリゴリボヌクレオシドへジスルフィドで連結されたポリアミンの合成は、ジアミン、知られたチオールの酸化剤での混合物の処理によって達成される。そして、共役したヌクレオシドは、以上において議論されたようなセンスオリゴリボヌクレオチドの鎖へ付けられる。センスオリゴリボヌクレオチドの鎖は、2’−Oの位置で脱保護される、ポリアミンの保護基は、開裂させられると共に、そして、鎖は、相補的なアンチセンス鎖へアニールされる。いずれの特定の生物学的な機構又は現象に限定されることがない一方で、このアプローチの背後における理論的根拠は、以下に続くようなものである:ポリアミンは、siRNA二重鎖の原形質膜にわたる輸送を容易にすることになると共に、共役体は、細胞質の中へ自由に転座されることになる。そして、ジスルフィド結合は、チオール類によって細胞質において還元されることになると共に、それによって、共役体のsiRNAの部分を解放する。解放されたsiRNAは、配列に特異的なmRNAの劣化を引き起こすために、進行することになるが、それは、それの予め決定された配列に基づいて達成することが、設計されたものであった。
【0076】
たとえ共役体が、細胞の中への送り出しの後で無傷のままであるとしても、siRNAの二つの鎖は、細胞質への共役体の送り出しの後に、RISCにおいて部分的に解離することになる。これは、一本鎖のアンチセンスsiRNAが、細胞において内因性の遺伝子の発現を沈黙させることができるものであると、siRNAの二重鎖の機能に影響を及ぼすものでないことになる。
【0077】
オリゴリボヌクレオチドのポリアミンの共役体の合成に対する第三のアプローチは、ペプチダーゼを首尾良く模倣すると共に分子内の触媒された開裂の方式によってそれに結び付けられた遊離のアミド類及びエステル類を設定するリンカーを使用する。ポリアミンの鎖及びヌクレオシドは、Kempの三酸(Kemp and Petrakis(1981),J.Org.Chem.46:5140)を通じて連結される。この注目すべき三酸は、全てのアキシャルの配向に三個のカルボキシラートを有する。一個のカルボキシルは、(アミドとして)アミンへ結び付けられると共に、第二のカルボキシルは、アルコールとエステルを形成する。約6のpHで、分子は、無水物の分子内の形成を介して、アミンの残基を最初に解放することになる。そして、アルコールは、分子内の無水物の転位によって解放されることになる(図16を参照のこと)。細胞質に入るとき、共役体は、いろいろなペプチダーゼ、並びに、アミド結合及びエステル結合の両方を開裂することになる、リソソーム酵素によって直面せさられることになる。この開裂は、カルボキシラートのアキシャルの幾何学的配置によって援助される。無水物の形成の間における内部の圧縮の軽減は、このように、加水分解の酵素に駆動された加速に寄与する。Kempの酸におけるファンデルワールス(van der Waals)の接触距離は、非常に短いものであると共に、エネルギー的に高価な脱溶媒和の過程を、このように避けることができる。
【0078】
合成は、Kempの酸塩化物−無水物を使用する、図16を参照のこと。ポリアミンとの反応によって、ポリアミドが、形成される。ヌクレオシドAの5’−Oのアルコールでの無水物の開環は、アミド及びエステルで置換されたKempの酸を生じる。そして、アミド及びヌクレオシドAのエステルでこのように置換されたKempの酸は、3’−O−CEPA基を通じて、センスリボヌクレオチドの成長する縁へカップリングされる(例、図11を参照のこと)。TOM保護基、N−アセチル、及び、ポリアミンにおける保護基は、穏やかなアルカリ中で開裂させられる。そして、エステルアミドのリボヌクレオチドは、アンチセンス鎖とアニールされると共に細胞質へと輸送される。
【0079】
ポリアミドの連鎖が、ポリアミンの鎖からオリゴリボヌクレオチドを遊離させることになる、細胞質のペプチダーゼによって最初に開裂させられることになることは、期待されることである。細胞のエステラーゼによるエステル基の開裂は、siRNAの二重鎖の解放と共に後に続くことになる。たとえ後者の加水分解が、遅い(時間の)ものであるとしても、細胞におけるsiRNAのリンガー(linger)が、数時間の間に劣化無しであることは、指摘されることであるべきである。このように、アミドの連鎖及びエステルの連鎖の両方の加水分解を達成するための十分な時間がある。分配されたKempの酸は、pH7.4での血漿において安定なものである。ヌクレオシドAは、この合成のシークエンスにおいて好適なものであると共に、低いpHの条件へのヌクレオシドBにおける2’−Oでのオルトエステルの保護基の感度のために(及び、また、共役させられたオリゴヌクレオチドの脱保護の間において置換されたKempの酸における開裂を回避するために)、ヌクレオシドBはそうではない。
【0080】
オリゴリボヌクレオチドとポリアミンを共役させるための第四のアプローチは、加水分解のステップのシークエンスの後で崩壊するコネクター連鎖の構築に基づいたものであることになる;第一のものが、酵素的な開裂を伴うと共に第二のものが、第一のステップが起こった後に自発的に進行する加溶媒分解を伴う。コネクター連鎖は、図17に示されたように構築される。(酸に安定な基;例、トリフルオロアセタートで保護された)ポリアミンの単位は、カルバマート結合を通じてリシンのα−アミノ基へ結び付けられることになる(PG−1は、ε−FMOCであることができるであろう);そして、リシンは、p−アミノベンジルアルコールでの処理によってそれの対応するアミドへと転換される。p−ニトロフェニルイソシアナートへのベンジルアルコールの付加は、p−ニトロアニリド1aに帰着する。α−アミノ残基における保護基の開裂は、1bを与える。
【0081】
化合物1bは、p−ニトロアニリンの解放と共にトリプシンの存在下で、急速な加水分解を受けることになる。本発明においては、p−ニトロアニリンの残基は、単純な追い出し反応を介して、ヌクレオシドAで置き換えられる(図15を参照のこと)。2aを与えるためのリシンの残基のα−アミノ基におけるPG1の脱保護の後で、リシンの残基におけるアミド結合を、トリプシン及び/又はリソソームのタンパク質分解酵素カテプシンB及びLによって加水分解することができるが、それによってベンジル=カルバマート3を解放する(図17を参照のこと)と共に、それは、ヌクレオシドA及びp−アミノベンジルアルコールへの自発的な加溶媒分解を受けることになる。
【0082】
手短に言えば、化合物2aは、ポリアミンの鎖へ折りたたみ可能なリンカーを通じて結び付けられたセンスリボヌクレオチド鎖を得るためのオリゴヌクレオチドの構築の最後のステップとして使用される。相補的なRNA鎖でアニールすることが後に続けられた、α−リシンにおけるポリアミンの保護基のもの及びP1のみならず、TOMの保護基の開裂は、生細胞へ送り出されると共に加水分解の後にそれの構成成分の部位へと崩壊する共役させられたsiRNAの複合体を与える。
【0083】
5.投与及び薬学的な単位の剤形:
上述した共役体が、生細胞の中へRNAを起動させることに有効なものであるので、共役体は、ヒトを含む、生体内で、ほ乳動物の治療的に処置することに、及び、ほ乳類の細胞の中へのRNAの起動を要求するいずれの処置の療法においても、試験管内で、ほ乳類の細胞を処置することに、適切なものである。手短に言えば、共役体は、細胞外の空間からほ乳類の細胞の細胞質の中へ、siRNAを含む、RNAを移動させることに有用なものである。
【0084】
ヒトの又はヒトでない患者に対する主題の複合体の投与を、薬学的な技術において知られたいずれの手段によっても、成し遂げることができる。好適な投与の経路は、純なもの又は選ばれた投与の経路に適切な薬学的な担体との組み合わせでのいずれかで、静脈内の投与、動脈内の投与、腫瘍内の投与、筋肉内の投与、腹腔内の投与、及び、皮下の投与を含む、非経口的なものである。処置の方法は、また、経口的な投与に対して受け入れられるものである。
【0085】
全ての医薬品と同様に、投与されたポリアミン−RNA共役体の濃度又は量が、処置される不快の重症度、投与のモード、処置される主体の条件及び年齢、並びに、使用される特定のポリアミン−RNA共役体又は共役体の組み合わせに依存して、変動することになることは、留意されなければならない。
【0086】
ここに記載された共役体は、錠剤、丸剤、粉末の混合物、カプセル、注射剤、溶液、坐剤、乳濁物、分散物、食品のプレミックスの形態で、及び、他の適切な形態で、投与可能なものである。ここに記載された共役体を含有する薬学的な剤形は、都合良くは、非毒性の薬学的な有機の担体又は非毒性の薬学的な無機の担体と混ぜられる。典型的な薬学的に許容可能な担体は、例えば、マンニトール、尿素、デキストラン、乳糖、ジャガイモ及びトウモロコシのデンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、ポリアルキレングリコール、エチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、炭酸カルシウム、エチル=オレアート、イソプロピル=ミリスタート、ベンジル=ベンゾアート、炭酸ナトリウム、ゼラチン、炭酸カリウム、ケイ酸、並びに、他の従来用いられた許容可能な担体を含む。薬学的な剤形は、また、乳化剤、保存剤、又は、湿潤剤、及び、同様のもののような非毒性の補助的な物質を含有することもある。
【0087】
錠剤、カプセル、及び、粉末のような、固体の形態を、従来の錠剤にする及びカプセルを充填する機械類を使用することで、製作することができるが、それは、当技術において周知のものである。固体の剤形は、賦形剤、潤滑剤、乾燥剤、結合剤、着色剤、崩壊剤、乾燥流動調整剤、防腐剤、及び同様のものを含む、当技術に知られたいずれの数の付加的な不活性な含有物をも含有することもある。
【0088】
経口摂取用の液体の形態を、水性の及び非水性の担体、懸濁物、水中油及び/又は油中水の乳濁物、及び同様のものを含む、知られた液体の担体を使用することで、調合することができる。液体の調合物は、また、着色剤、芳香剤、調味料、粘度調整剤、防腐剤、安定化剤、及び、同様のものを含む、いずれの数の付加的な不活性な含有物を含有することもある。
【0089】
非経口的な投与について、主題の共役体は、付加的な界面活性剤又は補助剤有り又は無しで、水又は油のような、生理学的に許容可能な希釈剤又は無菌の液体の担体における共役体の溶液又は懸濁物の注射可能な投与量のものとして投与されることもある。担体の油の例示的な列挙は、動物及び植物油(ピーナッツ油、大豆油)、石油から誘導された油(鉱物油)、及び合成の油を含むであろう。一般的には、注射可能な単位投薬量について、水、生理食塩水、水性の右旋性ブドウ糖及び関係付けられた糖質の溶液、並びに、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールのような、エタノール及びグリコールの溶液は、好適な液体の担体である。
【0090】
選ばれた薬学的な単位投与量は、例えば、約1μMから約10mMまでの、ターゲットの細胞との接触の点での共役体の濃度を提供するために、好ましくは、製作されると共に投与される。より好適なものは、約1μMから約100μMまでの濃度である。この濃度は、もちろん、投与の選ばれた経路及び処置される主体の質量に依存することになる。上に述べた範囲より上の及びより下の濃度は、本発明の範囲内にある。
【0091】
関連出願の相互参照
ここに文献によって援用された、2004年11月4日に出願された米国仮出願シリアル番号60/624,906に対する優先権は、これによって、請求される。
【0092】
文献の援用
以下に引用された論文及び先行特許の全ては、ここに文献によって援用される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、プトレッシン、スペルミジン、及びスペルミンの化学構造を描く。
【図2】図2は、ブレオマイシンの部類の化合物の化学構造を描く。
【図3】図3は、スパガリン並びにエデインA及びBの化学構造を描く。
【図4】図4は、ストレプトマイシンの化学構造を描く。
【図5】図5は、4−クマロイルアグマチン並びにホルダチンA、B、及びMの化学構造を描く。
【図6】図6は、ヒルドニンの化学構造を描く。
【図7】図7は、スクアラミンの化学構造を描く。
【図8】図8は、mRNAのsiRNAで媒介された配列に特異的な開裂を例示する概略的なものである。
【図9】図9は、mRNAのsiRNAで媒介された配列に特異的な開裂を例示すると共にRNAを誘導する沈黙の複合体(RISC)を例示する概略的なものである。
【図10】図10A及び10Bは、オリゴリボヌクレオチドsiRNAを製作するために使用することができる保護されたリボヌクレオオシドの化学構造を描く。
【図11】図11は、ホスホラマダイトに基づいたオリゴリボヌクレオチドの合成を例示する反応スキームである。
【図12】図12は、図10Bに示されたリボヌクレオシドの脱保護を例示する反応スキームである。
【図13】図13は、本発明における使用のための三個の異なる保護されたリボヌクレオシドの化学構造を描く。
【図14】図14は、本発明に従ったポリアミン−siRNAの共役体のある系列を描く。
【図15】図15は、本発明に従ったポリアミン−siRNAの共役体の別の系列を描く。
【図16】図16は、本発明に従ったポリアミン−siRNAの共役体の更に別の系列を描く。
【図17】図17は、本発明に従ったポリアミン−siRNAの共役体を製作するための一般的な反応スキームを描く。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リボ核酸(RNA)へ共有結合させられたポリアミンを含む共役体。
【請求項2】
前記RNAは、オリゴRNAである、請求項1に記載の共役体。
【請求項3】
前記RNAは、短い干渉RNA(siRNA)である、請求項1に記載の共役体。
【請求項4】
前記ポリアミンは、プトレッシン、スペルミン、スペルミジン、ヒルドニン、及びそれらの誘導体からなる群より選択される、請求項1、2、又は3に記載の共役体。
【請求項5】
前記ポリアミンは、式(I):
E−NH−D−NH−B−A−B−NH−D−NH−E (I)
の化合物からなる群より選択されると共に、
Aは、C2からC6までのアルケン、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
Bは、独立して、単結合並びにC1からC6までのアルキル及びアルケニルからなる群より選択され;
Dは、独立して、C1からC6までのアルキル及びアルケニル、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
且つ、
Eは、メチルである、請求項1、2、又は3に記載の共役体。
【請求項6】
プトレッシン、スペルミン、スペルミジン、ヒルドニン、及びそれらの誘導体、並びに、式(I):
E−NH−D−NH−B−A−B−NH−D−NH−E (I)
の化合物からなる群より選択されたポリアミンを含む共役体であって、
Aは、C2からC6までのアルケン、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
Bは、独立して、単結合並びにC1からC6までのアルキル及びアルケニルからなる群より選択され;
Dは、独立して、C1からC6までのアルキル及びアルケニル、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
且つ、
Eは、メチルであり;且つ、
該ポリアミンは、siRNAへ共有結合させられる、共役体。
【請求項7】
前記ポリアミンは、細胞質ゾルの酵素によって加水分解可能である結合によって、前記siRNAへ結合させられる、請求項6に記載の共役体。
【請求項8】
生細胞へRNAを起動させる方法であって、
当該方法は、
該共役体を生じるように、ポリアミンへRNAを共役させること:及び
そして該共役体を該生細胞へ接触させること
を含む、方法。
【請求項9】
前記RNAは、プトレッシン、スペルミン、スペルミジン、ヒルドニン、それらの誘導体、及び、式(I):
E−NH−D−NH−B−A−B−NH−D−NH−E (I)
の化合物からなる群より選択されたポリアミンへ共役させられると共に、
Aは、C2からC6までのアルケン、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
Bは、独立して、単結合並びにC1からC6までのアルキル及びアルケニルからなる群より選択され;
Dは、独立して、C1からC6までのアルキル及びアルケニル、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
且つ、
Eは、メチルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
siRNAは、前記ポリアミンに共役させられる、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
生細胞へRNAを起動させるための材質の組成物であって、
当該組成物は、リボ核酸(RNA)へ共有結合させられたポリアミンを、それの薬学的に適切な担体との組み合わせで、含む、組成物。
【請求項12】
前記RNAは、オリゴRNAである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記RNAは、短い干渉RNA(siRNA)である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリアミンは、プトレッシン、スペルミン、スペルミジン、ヒルドニン、それらの誘導体、及び、式(I):
E−NH−D−NH−B−A−B−NH−D−NH−E (I)
の化合物からなる群より選択されると共に、
Aは、C2からC6までのアルケン、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
Bは、独立して、単結合並びにC1からC6までのアルキル及びアルケニルからなる群より選択され;
Dは、独立して、C1からC6までのアルキル及びアルケニル、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
且つ、
Eは、メチルである、請求項11、12又は13に記載の組成物。
【請求項1】
リボ核酸(RNA)へ共有結合させられたポリアミンを含む共役体。
【請求項2】
前記RNAは、オリゴRNAである、請求項1に記載の共役体。
【請求項3】
前記RNAは、短い干渉RNA(siRNA)である、請求項1に記載の共役体。
【請求項4】
前記ポリアミンは、プトレッシン、スペルミン、スペルミジン、ヒルドニン、及びそれらの誘導体からなる群より選択される、請求項1、2、又は3に記載の共役体。
【請求項5】
前記ポリアミンは、式(I):
E−NH−D−NH−B−A−B−NH−D−NH−E (I)
の化合物からなる群より選択されると共に、
Aは、C2からC6までのアルケン、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
Bは、独立して、単結合並びにC1からC6までのアルキル及びアルケニルからなる群より選択され;
Dは、独立して、C1からC6までのアルキル及びアルケニル、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
且つ、
Eは、メチルである、請求項1、2、又は3に記載の共役体。
【請求項6】
プトレッシン、スペルミン、スペルミジン、ヒルドニン、及びそれらの誘導体、並びに、式(I):
E−NH−D−NH−B−A−B−NH−D−NH−E (I)
の化合物からなる群より選択されたポリアミンを含む共役体であって、
Aは、C2からC6までのアルケン、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
Bは、独立して、単結合並びにC1からC6までのアルキル及びアルケニルからなる群より選択され;
Dは、独立して、C1からC6までのアルキル及びアルケニル、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
且つ、
Eは、メチルであり;且つ、
該ポリアミンは、siRNAへ共有結合させられる、共役体。
【請求項7】
前記ポリアミンは、細胞質ゾルの酵素によって加水分解可能である結合によって、前記siRNAへ結合させられる、請求項6に記載の共役体。
【請求項8】
生細胞へRNAを起動させる方法であって、
当該方法は、
該共役体を生じるように、ポリアミンへRNAを共役させること:及び
そして該共役体を該生細胞へ接触させること
を含む、方法。
【請求項9】
前記RNAは、プトレッシン、スペルミン、スペルミジン、ヒルドニン、それらの誘導体、及び、式(I):
E−NH−D−NH−B−A−B−NH−D−NH−E (I)
の化合物からなる群より選択されたポリアミンへ共役させられると共に、
Aは、C2からC6までのアルケン、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
Bは、独立して、単結合並びにC1からC6までのアルキル及びアルケニルからなる群より選択され;
Dは、独立して、C1からC6までのアルキル及びアルケニル、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
且つ、
Eは、メチルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
siRNAは、前記ポリアミンに共役させられる、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
生細胞へRNAを起動させるための材質の組成物であって、
当該組成物は、リボ核酸(RNA)へ共有結合させられたポリアミンを、それの薬学的に適切な担体との組み合わせで、含む、組成物。
【請求項12】
前記RNAは、オリゴRNAである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記RNAは、短い干渉RNA(siRNA)である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリアミンは、プトレッシン、スペルミン、スペルミジン、ヒルドニン、それらの誘導体、及び、式(I):
E−NH−D−NH−B−A−B−NH−D−NH−E (I)
の化合物からなる群より選択されると共に、
Aは、C2からC6までのアルケン、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
Bは、独立して、単結合並びにC1からC6までのアルキル及びアルケニルからなる群より選択され;
Dは、独立して、C1からC6までのアルキル及びアルケニル、並びに、C3からC6までのシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアリールからなる群より選択され;
且つ、
Eは、メチルである、請求項11、12又は13に記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2008−519053(P2008−519053A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540118(P2007−540118)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/040227
【国際公開番号】WO2006/052854
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(507145400)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/040227
【国際公開番号】WO2006/052854
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(507145400)
【Fターム(参考)】
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