説明

小分け装置、小分け装置から物品を供給する方法、及び小分け装置に物品を導入する方法

【課題】さまざまなサイズの薬剤に対応するように容易に変更することができる供給機構。
【解決手段】物品を供給する小分け装置4であって、スクリュ1と、スクリュ外表面で物品寸法に対応する幅及び深さに形成されるチャネル2と、近位端及び遠位端を有しかつスクリュを着脱可能とする受け部材3と、底部を有しかつ受け部材に取付けられたスクリュを底部に平行な姿勢で受け入れる中空の本体であって、その遠位側壁に当接し、同近位端がその近位側壁の開口に当接する、中空の本体と、受け部材の近位端付近で本体内部に取付けられた小分け用ブレードと、受け部材内側の着脱式の棚状部であって、少なくともその一部分が、スクリュ及び受け部材の組み合わせの近位端付近で、スクリュのチャネルと棚状部とによって物品の一部分を囲む物品寸法に対応して位置する、棚状部と、スクリュ近位端の回動式ドライバ接続部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、物品を供給するための装置及びプロセスに関する。特に、本発明は、固形の経口薬、特に、錠剤(ピル、pill)を供給するための装置及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
供給小分け装置(供給キャニスタ、dispensing canister)を利用する薬局自動化システムは、異なる形状及びサイズの固形の経口薬に対応するために常に再調整を行わなければならない。薬剤のサイズは、製薬業界の競争的性質ゆえに定期的に変更される。卸売業者又は後発医薬品メーカーが、より低コストの製品を発売するたびに、薬局は、そのような薬剤のコスト低下が、小分け装置の再調整のコストに値するか否かを判断しなければならない。この判断は、競争力ある価格での薬剤の供給を薬局に依存している消費者に影響を及ぼす。本発明は、さまざまなサイズの薬剤に対応するように容易に変更することができる供給機構を持つというニーズに対処する。
【0003】
現時点において市場で入手できる錠剤供給装置は、一般に、垂直方向への送り機構によって動作するように構成されている。そのような供給装置は、錠剤の処理及び脱進方式の小分けを補助するために、重力を利用した構成となっている。重力を利用する方式の送りシステムは、いくつかの欠点を有している。脱進方式の機構が故障した場合に、錠剤が供給装置から自由に抜けてしまうことがある。供給装置が供給台から移動して、再び供給台に置かれる場合に、送り機構が揺すられて、結果として錠剤が意図せずに小分け装置から排出されてしまうことがある。この点に加え、薬剤を持ち逃げしようとする者による供給装置の不正使用を防ぐための機構が、存在していないということがある。従来からの錠剤供給装置と対照的に、本発明の送り機構は、略水平方向に動作するものである。
【0004】
物品、特に、薬剤を供給する従来技術の装置は、小分け、すなわち、対象物を一度に1つずつ供給することに不調が生ずること、損壊した対象物が供給される製品に混ざること等、多数の問題を抱えている。本発明は、効果的かつ継続的な小分けを提供するものである。さらに、本発明は、その設計及び供給方法によって、物品の損壊を防止して、経口薬等の物品が粉砕された場合における不都合な影響を防止するものである。とりわけ、本発明は、錠剤が一貫しないで送られること、意図せずに錠剤が供給されること、ほこり、調整の難易性、通信トラブル、及びセキュリティ上のトラブルを克服するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4560086号明細書
【特許文献2】米国特許第4759469号明細書
【特許文献3】米国特許第5884806号明細書
【発明の概要】
【0006】
第1の実施形態において、本発明の装置及びプロセスは、所定の量の物品、特に固形の経口薬(以下では、広く「錠剤」と称する)について、人間の介在を必要としない自動化された1つずつの供給を提供する。本発明は、薬剤をその梱包に先立ってカウントするために理想的なものである。本発明の装置は、特定の錠剤の種類の寸法に対応する特定の幅及び深さのチャネルを備えたスクリュを収容する小分け装置となっている。スクリュが、受け部材(クレードル、cradle)に着脱可能に取り付けられ、スクリュ及び受け部材の組み合わせが、小分け装置の底部に略平行であるように小分け装置の内部に配置されている。すなわち、スクリュは略水平となっている。スクリュは、着脱可能に取り付けられることによって、供給されるべき特定の錠剤に対応する種々の寸法のチャネルを有しており、このようなスクリュを、小分け装置の内部の受け部材に配置することができる。着脱式の棚状部が、受け部材の少なくとも1つの内面に取り付けられ、かつスクリュ及び受け部材の組み合わせの近位端の付近に配置されている。スクリュのチャネルと同様に、棚状部も、特定の錠剤のサイズに対応する特定の幅となっている。棚状部も、特定の錠剤に対応するために、容易に取り外して交換することが可能となっている。スクリュは、小分け装置を横切り、スクリュの近位端における小分け装置の開口に位置している。小分け装置の開口には、錠剤を一度に1つずつ供給できるように構成された小分け用ブレードが取り付けられている。
【0007】
スクリュのチャネル及び棚状部が、錠剤の一部分を囲むように構成されている。スクリュを回動させると、錠剤が小分け装置の遠位端から小分け装置の近位端へと棚状部に沿って移動して、開口へと進入し、小分け用ブレードを通過した後に小分け装置から出ることとなる。回動式ドライバ接続部が、スクリュの近位端に取り付けられ、スクリュに係合することによって小分け装置を作動させることができる。
【0008】
明らかに、本発明によれば、小分け装置を特定のサイズの薬剤に対応するように容易に構成及び再調整することができる。本発明によれば、現場での変更が可能である、すなわち小分け装置を再調整するプロセスを実行するために製造者に送り返さなくとも、ユーザが装置の再調整を行うことが可能である。薬剤師から錠剤の納入業者までの範囲にわたるユーザは、単に3つの構成部品、すなわちスクリュ、側壁、及び側壁棚状部を交換するだけでよいこととなる。あるいは、最小限な作業として、ユーザは、単に受け部材を、適切なスクリュ、側壁、及び側壁棚状部によってあらかじめ構成された別の受け部材に交換するだけでよい。ユーザが小分け用ブレードを交換する必要があるか否かは、次に供給すべき錠剤のサイズ及び形状に依存して決まってくる。本発明のこの特徴は、ユーザが高額な輸送コスト、及び薬剤の受け取りが遅れることを回避する上で役に立つため、極めて好都合なものとなっている。
【0009】
さらに、本発明の設計は、薬剤の効果的な小分けを可能にし、錠剤が大量に移動するという従来技術に存在する問題を克服するというものである。本発明は、その開発において大きな問題を克服するものである。第一に、スクリュ及び側壁棚状部に錠剤が確実に送られるように保証するために、本発明の発明者は、スクリュのピッチ及びスクリュの長さを変えなければならなかった。さらに、本発明の発明者は、片側送りを放棄して、両側送りを採用している。両側送りにおいては、スクリュのチャネル間における錠剤の移動が、完全には避けられないかもしれないが少なくなり、また、装置の攪拌の必要性をなくすことができる。
【0010】
さらに、本発明の開発において、本発明の発明者は、意図しない物品の供給を克服するものである。小分け用ブレードが、一度に2つ以上の錠剤が小分け装置から供給されることを防止するために組み込まれている。さらに、本発明の供給方法は、スクリュを逆に回動させるステップを含み、このことによって、錠剤が側壁棚状部の縁に位置することを防止でき、小分け装置の開口を通って落下する可能性をなくすことができる。
【0011】
ユーザフレンドリかつ経済的な供給をする小分け装置を設計する取り組みにおいて、本発明は、別の種類の錠剤を供給すべきときに小分け装置を供給者へと送り返す必要をなくすことができる。むしろ、本発明は、別の種類の錠剤を供給するために、現場で変更が可能であり、最終ユーザは、スクリュ、側壁、及び側壁棚状部又は受け部材全体を交換することができる。
【0012】
開発段階においては、さらに本発明の発明者は、通信に関する課題を克服し、本発明を情報の受信器及び送信器の両方として二重に機能するように構成している。例えば、本発明の一実施形態においては、小分け装置が非接触の電子通信によって動作するように構成されている。さらに別の実施形態においては、本発明にて、点灯若しくはさまざまな色の光又は光の脈動等によってユーザへと信号を発する照明が設けられていてもよい。
【0013】
さらに本発明は、本発明の開発において明らかになったほこりによる問題を取り除くことができる。好ましい1つの実施形態において、本発明では、ゴミ箱が設けられている。ほこりは、小分け装置の動きを悪くする可能性があり、さらにはセンサを覆って検出能力を低下させる可能性もあるため、物品、特に、錠剤を供給する装置において、多くの問題を引き起こすことになる。本発明の略水平なスクリュは、小分け装置における底部へのほこりの落下を可能にし、その小分け装置の底部においてほこりがゴミ箱に集められることとなる。このゴミ箱によって、小分け装置の清浄度及び精度を改善することができる。日頃の保守の一部として、装置の補充時にゴミ箱を空にすることができる。
【0014】
セキュリティ上のトラブルが、本発明の開発段階にて克服されたさらなる課題である。従来技術において利用可能な錠剤供給装置では、供給装置の多数の機能を一度に封じることが可能となっていない。当然ながら、好ましい一実施形態において、本発明は、受け部材、電子記憶システム、開口、及び小分け装置の外表面を含む本発明のすべての機能をシールで包むことを可能にしている。このようなシールによって、不正を明らかにするだけでなく、実質的に不正を防止することができる。さらに、本発明では、スイング式ドア機構として具現化されるロック装置が設けられ、供給を行なう小分け装置を第1種郵便又は速達サービスによってユーザに安全に送ることを可能にしている。
【0015】
他の実施形態において、本発明の装置は、硬貨又はキャンディ等といった別の物品を供給することができる。例えば、本発明の装置を、硬貨(又は、他の通貨)によって動作する装置においてキャンディ又は景品を供給するために使用することができる。またさらなる実施形態においては、本発明にて、組み立てラインにおける部品のプロキシ・ラボラトリ・フィード(proxy laboratory feed)として機能するように構成することができる。
【0016】
本発明の第1の方法は、所定のサイズ及び形状の物品、具体的には、錠剤の供給を、該物品の寸法に対応する所定の幅及び深さのチャネルを有するスクリュに接続されたドライバ接続部を作動させ、該スクリュを回動させ、物品の落下が検出されたときに該スクリュの回動を停止させることによって行う。高度に好ましい実施形態においては、スクリュの順方向の回動を停止させた後で、スクリュが1回転の何分の1かだけ逆転させられることによって、錠剤が縁から落下することを防ぎ、従って意図せずに供給が行なわれるということを減らすころができる。これらの工程は、所定数の錠剤を供給するまで繰り返される。この供給方法は、錠剤の1つずつの供給を保証する一方で、錠剤の詰まり又は損壊の可能性を排除とまでとはいかないけれども、少なくとも最小限にすることができる。
【0017】
本発明の別の方法は、大量に供給される物品が実質的に小分け装置の中央部に流し込まれるという、装置に関する簡単な補充を提供する。
【0018】
以上、本発明を一般論として説明したので、次に添付の図面を参照する。図面は、必ずしも比例尺ではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】組み立てられた状態の小分け装置における上方からの斜視図である。
【図2】小分け装置のいくつかの構成要素の分解図である。
【図3】スクリュ及び受け部材の組み合わせの上方からの斜視図である。
【図4】小分け装置内のスクリュ及び受け部材の組み合わせの近位端の拡大正面図である。
【図5A】閉じられた状態の小分け装置における近位端の下方かつ後方からの斜視図である。
【図5B】開かれた状態の小分け装置における近位端の下方かつ後方からの斜視図である。
【図6】組み立てられた状態の小分け装置における近位端の側方からの斜視図である。
【図7】組み立てられた状態の小分け装置における上方からの斜視図であり、不正防止のために密封されている。
【図8】照明を含む組み立てられた状態の小分け装置における上方からの斜視図である。
【図9】スクリュの段階的回動による錠剤の供給を説明するフロー図を示している。
【図10】スクリュの連続的回動による錠剤の供給を説明するフロー図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を、本発明の、すべてではないが、いくつかの実施形態、が示されている添付の図面を参照しつつ、以下でさらに詳しく説明する。説明される実施形態はいずれも、一実施形態の実施例にすぎず、決して特許請求の範囲を限定するものとして解釈してはならない。同様の参照番号は、全体を通して同様の構成要素を指し示している。
【0021】
大まかに言うと、本発明は、物品、特に、さまざまなサイズ及び形状の錠剤(ピル、pill)を1つずつ供給するための方法及び装置を提供する。本発明の装置は、着脱可能に取り付けられるスクリュを収容する小分け装置(キャニスタ、canister)であって、そのスクリュが、特定の錠剤の寸法に対応する特定の幅及び深さのチャネルを有している。供給すべき特定の錠剤に応じて、スクリュ及び側壁棚状部を、適切なサイズのチャネルを有するスクリュが組み込まれるように、置き換えることが可能である。着脱式の棚状部が、受け部材(クレードル、cradle)の少なくとも1つの内面に取り付けられ、スクリュのチャネルと同様に、棚状部も、特定の錠剤のサイズに対応する特定の幅となっている。スクリュを回動させると、スクリュのチャネル及び棚状部が錠剤の一部分を囲み、錠剤が小分け装置の遠位端から小分け装置の近位端へと棚状部に沿って移動し、近位端の開口へと進入し、小分け用ブレードを通過した後に小分け装置から出ることとなる。回動式ドライバ接続部が、スクリュの近位端に取り付けられ、スクリュに係合することによって小分け装置を作動させることができる。本発明の方法は、スクリュを回動させるドライバ接続部を作動させることによって錠剤を供給し、錠剤の落下が検出されると、好ましい1つの実施形態においては、スクリュが1回転の何分の1かだけ逆に回動させられる。これらの工程が、所定の数の錠剤が供給されるまで繰り返される。
【0022】
図1は、組み立てられた状態の小分け装置における上方からの斜視図である。図1に示した実施形態は、遠位端及び近位端を有するスクリュ1を備えている。スクリュ1の外表面を、供給すべき特定の物品(第1の実施形態においては、物品が錠剤、カプセル、又は丸薬等の薬剤である)の寸法に対応する所定の幅及び深さに形成されたチャネル2が横切っている。スクリュ1は、近位端及び遠位端を有する受け部材3の内部に着脱可能に取り付けられている。受け部材3は、別の種類の錠剤を供給するときに交換する必要があるスクリュ及び他の構成部品を保持する受けとなっている。受け部材3及びスクリュ1の組み合わせが、小分け装置4の内部に位置し、小分け装置4の底面に対して略平行となっている。さらに、スクリュ1及び受け部材3の組み合わせは、小分け装置4の遠位側の壁に当接し、さらに小分け装置4の近位側の壁の開口(図示されていない)に当接している。本明細書において使用されるとき、「当接」は、接触点が形成されることや、接触することを意味せず、むしろ2つの部品の間の隙間が装置の完全な機能を妨げることがないように十分に小さくなるように、他の物体に十分に近く位置することを意味する。例えば、隙間が、供給すべき物品が隙間を通って落下することができないように十分に小さくなっている。
【0023】
受け部材3の近位端の付近に、小分け用ブレード6が位置し、小分け用ブレードの取り付け部7に取り付けられている。小分け用ブレード6は、錠剤が一度に1つだけブレードを通過できるような特定の寸法となっている。小分け用ブレードは、交換可能に構成され、小分け取り付け部7が、いくつかある小分け用ブレードのうちの1つを受け入れることができる標準部品となっている。小分け用ブレードは、形状、素材、浅さ等に関して、さまざまな形態に構成されていてもよい。一実施形態においては、小分け用ブレード及び小分け取り付け部が、2つの別個の部品となっている。本発明の別の実施形態においては、小分け用ブレード及び取り付け部が、1つにまとめられた部品となっている。本発明のまた別の実施形態においては、小分け用ブレード及び小分け用ブレード取り付け部が、小分け装置における中空の本体の内部に組み込まれ、すなわち小分け用ブレード及び取り付け部が、小分け装置の内部の着脱不可能な構成要素となっている。
【0024】
さらに、図1は、受け部材3へと着脱可能に接続され、小分け装置4の底面に対して略垂直に形成された側壁8を含んでいる。着脱可能な側壁棚状部9が、受け部材3の少なくとも1つの内側に取り付けられている。より具体的には、側壁棚状部9が、受け部材3に接続された側壁8にはまり込んでおり、棚状部ハンドル10が、受け部材3の外側に位置し、棚状部9を所定の場所に保持している。側壁棚状部9は、好ましくはスクリュ1の全長にわたって延び、スクリュ1の最も外側の部分に当接している。側壁棚状部9は、錠剤が小分け装置4を通って移動するとき、錠剤の一部分がチャネル2及び側壁棚状部9に入れられた状態で、錠剤がチャネル2によって案内されて側壁棚状部9に沿って移動するように、特定の錠剤のサイズ及び形状に対応する所定の幅を有している。好ましい実施形態においては、側壁8及び側壁棚状部9が、受け部材3の左側及び右側の両方に接続されている。側壁棚状部9は、側壁8に対して実質的に垂直であるが、側壁棚状部9の側壁8に対する位置は、錠剤が一度に1つだけしか小分け用ブレードを通過できないように調節可能となっている。例えば、薬剤が小分け用ブレードを通過可能とするために、側壁棚状部を高く設定することが、小さな丸い錠剤にとって理想的であると考えられる一方で、ジェルカプセルにおいては、棚状部を下方へと調節する必要があることも考えられる。
【0025】
極めて好ましい実施形態においては、錠剤の幅又は直径のうちの約25%〜約65%が、スクリュチャネル2の中に収容され、残りの部分が、スクリュ1の最も外側の部分と側壁8との間の隙間に位置しており、すなわち錠剤の幅の約75%〜約35%が、側壁棚状部9上に位置しているとよい。
【0026】
図1は、スクリュ1の近位端に取り付けられた回動式ドライバ接続部(図示されていない)をさらに含んでいる。回動式ドライバ接続部は、小分け装置の外部の機構によって本発明の小分け装置の内部のスクリュを回動可能にする任意の従来からの構造とすることができる。
【0027】
図1に示した好ましい実施形態は、電子記憶システム20をさらに含んでいる。現時点で入手可能な供給システムにおいて利用できる限られたメモリと異なり、本発明の電子記憶システム20は、2つのカテゴリ、すなわち識別情報及び周辺情報へと分類されることができる一連の情報を保存することができる。識別情報は、これらに限られるわけではないが、例えば小分け装置のシリアル番号又は型番、製造者、製造年、及び最後の検査の日付等、小分け装置に特有の情報を含んでいる。周辺情報は、これらに限られるわけではないが、例えば小分け装置の物理的な位置、並びに薬剤の名称、有効成分、ロット番号、及び有効期限等といった薬剤に特有の情報等、他のすべての情報を含む。小分け装置の位置に関する情報は、薬剤の安全性及び完全性を確認するために有用な一連の管理情報を含むと考えられる。他の好ましい実施形態においては、電子記憶システムが、カウンタを含んでいる。カウンタは、錠剤が小分け装置から出るときに、それを識別するために、小分け装置の開口又は開口付近のセンサと通信することができる。センサが、錠剤の落下を感知するたびに作動して、カウントを1つだけ増やすようにカウンタへとメッセージを送信する。さらに、カウンタが所定の数に達したときにドライバ接続部が無効にされるように、カウンタを回動式ドライバ接続部に接続することができる。さらなる好ましい実施形態においては、容器が、開口の下方で小分け装置の外壁へと接続されている。容器は、錠剤を梱包装置の底面へと流し込むことができる湾曲した性状(性質及び状態)とすることができる。錠剤の落下を容易に記録できるよう、錠剤落下検出センサを、容器又は容器の付近に配置することができる。
【0028】
その1つの好ましい実施形態が、図1に示されている本発明は、従来技術には見られず、さまざまなサイズの薬剤を供給するように容易に変更することができる新規な供給機構を提供する。特許文献1、特許文献2等の特許に見られるように、らせん状のツールを使用することによって物品を供給することは、この技術分野において公知である。より具体的には、特許文献3は、らせん状の内側の畝を含むチューブを備える複数の標準化されたモジュールを使用することによって、さまざまな形状及びサイズのさまざまな一連の錠剤を供給するためのシステムを開示したとされている。極めて対照的なものとしては、本発明のスクリュは、外表面にチャネルを有している。特許文献3の発明が、異なる錠剤のサイズをスクリュ式の送り及び供給機構の速度を調節することによって供給する一方で、本発明は、個々の錠剤サイズに特有のスクリュ、側壁棚状部、及び側壁を使用するように構成されている。特許文献3に開示の供給装置は、供給される錠剤を有するトラフ(trough)を介して、錠剤をらせん状のチューブへと送り込むように構成されている。これに対して、本発明のスクリュは、ホッパ供給式(hopper−fed)として構成されている。さらに、特許文献3の発明は、後方への反転を生じさせる内部の形状によって、小分けを達成するとされている。本発明は、小分け装置の内部の2つの機構を使用することによって、正確な小分けを常に達成するものである。第1に、特定の幅及び深さのスクリュのチャネルが、チャネルに沿ったすべての地点に錠剤が1つだけ入るようにすることができる所定の幅を有する棚状部によって、側壁から隔てられている。これらの所定の寸法は、錠剤がチャネルの2つ条を横切って、錠剤の詰まりを生じさせかねない錠剤の架橋を防止することとなる。第2に、小分け用ブレードが、小分け装置を出るときの錠剤の小分けを保証することとなる。対照的に、特許文献3から供給される錠剤は、あくまでも「典型的には」一度に1つずつ供給されるにすぎない。
【0029】
別の好ましい実施形態においては、錠剤を、小分け装置の遠位端から供給することができる。小分け装置の内部のスクリュ及び受け部材の配置に変更はないが、この実施形態においては、スクリュが、小分け装置の本体の遠位側の壁の開口に当接することとなる。結果として、小分け用ブレードが、受け部材の遠位端の付近に取り付けられ、着脱式の棚状部が、スクリュ及び受け部材の組み合わせの遠位端の付近に配置されている。さらに、回動式ドライバ接続部が、スクリュの近位端の付近に取り付けられている。
【0030】
別の好ましい実施形態においては、小分け装置が、中空の本体内における電磁石からの変成器結合によって駆動されるように構成された非接触の赤外線インターフェイスを含んでいる。インターフェイスが、誘導(すなわち、相互)結合によって電力を伝えることとなる。さらなる好ましい実施形態においては、小分け装置が、外部のコンピュータから指示を取り出すことができる受信器を備えている。受信器及び外部のコンピュータは、無線周波数、赤外線、有線、磁気、及び光ファイバによって通信することができる。受信器を介して小分け装置が取得できる命令として、これらに限られるわけではないが、供給すべき錠剤の数、錠剤の供給速度、又は特定の数の錠剤からなるバッチの供給回数が挙げられる。さらに、コマンドを発することができるコントローラ装置によって、受信器を補うことができる。従って、この好ましい実施形態によれば、小分け装置が両方に機能することとなる。すなわちコマンドを送信及び受信することができる。考えられるコントローラ装置として、組み込みのコンピュータ又は送信器を挙げることができる。
【0031】
さらなる好ましい実施形態においては、小分け装置が、電力接続部を備えている。電力接続部として、直接的な電気接続、電源の内蔵、及び小分け装置内に収容された変成器の非接触の結合によるものを挙げることができる。持続的な電力の接続が、電子記憶システムが組み込まれてなる小分け装置の実施形態にとって有用である。考えられる内蔵電源として、電池、電気化学的に生じる供給源、又は燃料電池を挙げることができる。
【0032】
他の好ましい実施形態においては、小分け装置の略平行なスクリュが、遠位側の壁から近位側の壁に向かって、約0度〜約60度の範囲内における上向きの傾きを有している。
【0033】
図2が、小分け装置のいくつかの構成要素の分解図である。図2は、特定の錠剤の種類に対応する所定の幅及び深さを有するチャネル2を備えるスクリュ1を含んでいる。スクリュ1が、受け部材3の内部に位置している。受け部材3の近位端の付近に、小分け用ブレード6が配置されている。小分け取り付け部7が、小分け用ブレード6に取り付けられている。側壁8が、受け部材3の少なくとも1つの内側に、着脱可能に取り付けられている。さらに、側壁8は、小分け装置が完全に組み立てられたときにスクリュ1に境を接することとなる。側壁棚状部9が、受け部材3へと着脱可能に取り付けられ、側壁8に対して実質的に垂直に延びている。側壁棚状部9は、受け部材の外側に位置する棚状部ハンドル10によって所定の位置に保持されることとなる。好ましい実施形態においては、側壁棚状部9の一部分が、側壁8及び受け部材3を貫いて延び、この側壁棚状部9の延長部へと棚状部ハンドル10がラッチして、側壁棚状部9の移動を防止することとなる。回動式ドライバ接続部11が、スクリュ1の近位端へと取り付けられている。接続部11が、作動時にスクリュ1に係合し、スクリュ1を回動させることとなる。回動するスクリュ1が、ホッパ(hopper)から錠剤を取り出し、1つずつ錠剤を供給することとなる。
【0034】
本発明の小分け装置は、一度に1種類の錠剤を供給する。ユーザが別の種類の錠剤の供給を望む場合、供給小分け装置を、図2に見られる部品のうちのわずかに3つ、すなわちスクリュ1、側壁8、及び側壁棚状部9だけを交換することによって、容易に調整し直すことが可能である。最初に、ユーザは、棚状部ハンドル10、側壁棚状部9、側壁8、及びスクリュ1を、好ましくはこの順序で取り外すことができる。これらの部品を、人の手又は平頭のねじ回しの助けを借りて、容易に取り外すことができる。次いで、ユーザは、再調整のマニュアル、表、キット等を参照して、特定の錠剤の種類のためにどのスクリュ1、側壁8、及び側壁棚状部9を小分け装置に組み込むべきかを決定することができる。各々のスクリュ1は、特定の錠剤の種類に適合するために適切な特定の幅及び深さのチャネル2を有している。各々の側壁8の厚さも、特定の錠剤の種類に対応する。さらに、各々の側壁棚状部9も、特定の錠剤の種類又は錠剤と同類のものに対応するために適切な特定の幅を有している。適切なスクリュ1、側壁8、及び棚状部9を選択した後で、ユーザは、側壁8、側壁棚状部9、側壁ハンドル10、及びスクリュ1を、好ましくはこの順序で受け部材へと単にはめ戻すだけでよい。さらに簡単な手法においては、ユーザが、単純に受け部材及び受け部材に取り付けられた構成部品の全体を取り外し、あらかじめ別の種類の錠剤に合わせて特定的に構成された受け部材と交換することができる。ユーザは、表、マニュアル等の参考資料を参考にして、スクリュ及び受け部材の組み合わせの傾きを調節する必要があるか否かを判断し、あるいは小分け用ブレード6の高さを変更すべきであるか否かを判断することができる。このことによって、再調整が完了し、小分け装置を、別の種類の錠剤を供給及びカウントするために使用することができる。
【0035】
図3は、スクリュ及び受け部材の組み合わせにおける上方からの斜視図である。図3に示した実施形態は、特定の錠剤の寸法に対応する所定の幅及び深さのチャネル2を有するスクリュ1を含む。スクリュ1が、近位端及び遠位端を有する受け部材3の内部に着脱可能に取り付けられている。受け部材3の近位端の付近に、小分け用ブレード6が位置し、小分け用ブレード6に、小分け用ブレード取り付け部7が取り付けられている。小分け用ブレード6は、供給されようとする錠剤の上又は近傍に乗り上げているあらゆる錠剤を偏向させる。この好ましい実施形態においては、側壁8が、受け部材3の右側及び左側の両方に着脱可能に接続されている。着脱式の側壁棚状部9も、受け部材3の右内側及び左内側の両方に取り付けられている。この好ましい実施形態において、側壁棚状部9は、ほぼスクリュ1の全長にわたって延びている。側壁棚状部9の一部分が、側壁8及び受け部材3を貫いて延び、棚状部ハンドル10が、この延長部へと係合し、受け部材3の外側に位置し、棚状部9を所定の場所に保持している。さらに図3は、スクリュ1の遠位端に取り付けられた回動式ドライバ接続部11を含んでいる。
【0036】
他の好ましい実施形態においては、ドライバ接続部が、双方向性となっている。すでに述べたように、本発明の方法は、錠剤を供給するときにスクリュを順方向に回動させることに拠り、次いで錠剤の落下が検出されると、スクリュが回動を停止することとなる。1つの極めて好ましい実施形態においては、次に、スクリュが逆方向に回動する。本発明の方法は、次の錠剤が落下目前の位置から取り去られることによって誤って供給されることがないよう、スクリュを1回転の何分の1かだけ逆方向に回動させることを含んでいる。
【0037】
さらなる好ましい実施形態においては、小分け装置が、回動式ドライバ接続部へと接続された回動式ドライバをさらに備える。ドライバは、摩擦方式のドライバとすることができる。
【0038】
図4は、小分け装置4内のスクリュ及び受け部材の組み合わせにおける供給端の拡大正面図である。このさらなる好ましい実施形態においては、スクリュ1が受け部材3の内部に位置し、スクリュ及び受け部材の組み合わせが、小分け装置の底面に略平行となっている。側壁8が、受け部材3の各側の内壁に着脱可能に取り付けられる。側壁8の上部は、斜めの傾斜を有し、錠剤が小分け装置の上部から注ぎ込まれて斜めのパネルを流れ落ちるときに、途切れのない移動を可能にしている。側壁棚状部9が、受け部材3の内側の各々に着脱可能に取り付けられ、棚状部ハンドル10によって所定の位置に保持されている。錠剤は、ひとたび小分け装置へと導入されると、小分け装置のチャネル及びホッパに位置することとなる。スクリュが回動させられると、錠剤が、小分け装置の遠位端から小分け装置の近位端へと移動することとなる。図示の通り、スクリュ1が回動式ドライバ接続部11によって回動させられるため、錠剤(カプセルとして描かれている)が、側壁棚状部9に沿って移動することとなる。スクリュ1が回動させられると同時に、チャネル2が、小分け装置の遠位端から小分け装置の近位端へと棚状部9に沿って錠剤を案内する。側壁8及び側壁棚状部9が、錠剤を、その搬送目的のためにスクリュ1に対して支持し、錠剤の送り経路を形成する。次いで、錠剤は一度に1つずつ小分け用ブレード6を通過することとなる。
【0039】
図5Aは、閉じられた状態の小分け装置における近位端の下方の後方からの斜視図である。図5Bは、開かれた状態の小分け装置の近位端の下方の後方からの斜視図である。好ましい各々の実施形態において、スイング式ドア機構13を備える分配器(ディバイダ、divider)が、小分け装置4の近位端の下部に接続されている。具体的には、スイング式ドア機構13を備える分配器が、小分け装置の近位側の壁の開口を覆っている。スイング式ドア機構13は、装置が薬局にあろうと、あるいは受取人に向けて輸送中であろうと、小分け装置が使用されておらず、すなわちドライバ接続部が作動させられていないときは常に、図5Aに示されるとおりに閉鎖位置にあるように意図されている。スイング式ドア機構13は、自由状態にある錠剤が意図せずに小分け装置から供給されることを防止する。さらに、スイング式ドア機構13は、小分け装置に不正防止の構成部品を追加するように構成されている。小分け装置の内部に保管される薬剤がかなりの価値である可能性もあるため、望ましくない者による小分け装置の内部の錠剤へのアクセスを防止することが、理想的である。スイング式ドア機構13は、回動式ドライバ接続部の作動によって開閉する。ドライバ接続部の作動時に、スイング式ドア機構13が開く。この実施形態に記載の小分け装置を動作させる前には、スイング式ドア機構13の中央部に描かれているロック機構を、開放位置に位置させなければならない。
【0040】
図6は、組み立てられた状態の小分け装置における近位端の側方からの斜視図である。この好ましい実施形態は、特定の錠剤の寸法に対応する所定の幅及び深さのチャネル2を有するスクリュ1を含む。スクリュ1は、受け部材3の内部に着脱可能に取り付けられている。受け部材3の近位端の付近に小分け用ブレード6が位置し、小分け用ブレード6に、小分け用ブレード取り付け部7が取り付けられている。この好ましい実施形態においては、斜めのパネル14が、小分け装置4の上部の内側へと取り付けられ、側壁8又は側壁8の付近を終端としている。より好ましい実施形態においては、斜めのパネル14が、小分け装置4の左及び右の両方の内側へと取り付けられる。図6に示した小分け装置の該小分け装置への導入を、単に上面、すなわち、蓋を開き、大量に供給される錠剤を実質的にこの小分け装置の中央部へと注ぎ込むことによって行うことができる。次いで、錠剤が斜めのパネル14を流れ下り、スクリュ1に向かって案内されることとなる。すなわち、スクリュが、ホッパ供給式となっている。錠剤は、深さ、幅、及び長さという3つの寸法にもとづいて錠剤のチャネルへの進入を制限することによって、個々に選択されることとなる。一度にただ1つの錠剤(長円として描かれている)だけが、側壁棚状部9上かつ適切な寸法とされたチャネル2の内部の特定の地点を占めることができる。スクリュが回動するにつれて、錠剤は、側壁棚状部9を左方から右方へと移動する。らせん状のチャネルのおかげで、まったく同じ時点においてスクリュ1の近位端に近付く錠剤は存在しなくなっている。極めて好ましい実施形態においては、スクリュのチャネルのピッチが、錠剤が180度又は360度ごとに排出されるように選択されることができる。しかしながら、ピッチが、錠剤が排出される角度の度数を調節するために、さらに変更されることが可能である。各々の錠剤がスクリュ1の近位端に近付くとき、ただ1つの錠剤が小分け用ブレード6を通過し、小分け装置4の開口を出ることになる。他の好ましい実施形態においては、小分け用ブレードが、可撓性材料で作製されている。考えられるいくつかの可撓性材料として、テフロン(登録商標)(Teflon)、シリコーン、ポリウレタン、及び軟質ゴム(例えば、食品用のポリマー)が挙げられる。可撓性材料は、万が一に錠剤が小分け用ブレードに詰まったときの錠剤の損壊(及び、そのような破壊からの小片に起因する汚損)を防止するために、有効である。さらなる好ましい実施形態においては、小分け装置、受け部材、側壁、及び棚状部が、USP(United States Pharmacopeial)グレードのプラスチックにより作製されている。本発明の構成部品が、小分け装置から供給される物品、特に、病人が摂取する薬剤の汚損又は劣化を生じさせない材料で作製されることが、理想的である。
【0041】
蓋を除去又は開放することによって小分け装置の上部を通って小分け装置へと大量の導入を行うほかに、ユーザは、小分け装置をひっくり返し(上下を反転させ)、この小分け装置の底面を開き、受け部材を取り除き、錠剤の大量の供給を実質的に小分け装置の中央部へと注ぎ込み、受け部材を小分け装置へと戻し、底面を閉じ、小分け装置を正しい向きに回動させることができる。この場合において、受け部材を取り除き、再び配置する場合に、受け部材が完全に組み立てられた状態であってもよく、すなわちスクリュ、側壁、側壁棚状部、及び棚状部ハンドルを含んだ状態となっている。
【0042】
さらなる好ましい実施形態においては、小分け装置が、ゴミ箱18を含む。ゴミ箱は、錠剤が小分け装置4に保管され、あるいは供給されるときに、錠剤から生じ得るほこり又は他の堆積物を受け止めて集めるように構成されている。ほこりを一領域に収容し、スクリュ1又は小分け装置4内の他のあらゆる部品(特に、センサ)の動作及び回動がほこりによって妨げられる可能性を減らすように、ほこりを溜めるゴミ箱を有することが理想的である。
【0043】
図7は、組み立てられた状態の小分け装置における上方からの斜視図であり、不正防止のために密封されている。すでに述べたように、薬剤がかなりの価値である可能性があり、本発明の小分け装置が、そのような薬剤を悪用しようとする望ましくない者を引き付ける可能性がある。この好ましい実施形態においては、蓋12が小分け装置4へと取り付けられる。好ましい一実施形態においては、蓋をヒンジによって小分け装置へと接続することができる。他の好ましい実施形態においては、蓋を、小分け装置へと恒久的に取り付けることができる。同様に、さらなる好ましい実施形態においては、小分け装置が、ヒンジ又は恒久的な固定によって小分け装置へと接続された底面を有することができる。この実施形態においては、不正開封防止シール19が、蓋12の上部の角に配置されている。さらなる好ましい実施形態においては、不正開封防止シールが、小分け装置4の任意の部分を覆うことができる。高度に好ましい実施形態においては、不正開封防止シールが、小分け装置4のすべての入口部品を覆い、それらを不正防止にすることができる。不正開封防止シールを、プラスチック、金属、又はこれらの組み合わせにより作製することができる。小分け装置の輸送の際に、小分け装置4が何者かによって開けられることがないように、蓋12及び不正開封防止シール19を小分け装置4に追加することができる。万が一に蓋又はシールに対して不正が行われると、そのことが小分け装置の受取人にとって明らかになり、内部に収容された薬剤を、危うくされている可能性があるため使用すべきでないことを知ることができる。
【0044】
さらに図7には、取っ手21が示されている。本発明の好ましい一実施形態においては、取っ手21がT字形であり、棚又はベース等の位置から小分け装置を容易に取り出すことができるようにしている。他の好ましい実施形態においては、取っ手21が、容易な把持を可能にするために側面に沿ってパッドを有している。
【0045】
本発明の別の好ましい実施形態においては、小分け装置の容積が、約0.1L〜約0.4Lの容積を有している。
【0046】
図8は、照明を含む組み立てられた状態の小分け装置における上方からの斜視図を示している。照明17が、小分け装置の外表面に取り付けられ、該小分け装置の内部のセンサに接続されている。照明17は、ライト又はビーコンであって、種々の信号をユーザへともたらすことができる。例えば、照明は、錠剤の十分な供給が存在するか否かを示すことができ、それによって小分け装置が空であるときに発光する。また、照明が、小分け装置の電池が減っているか否かを示すことができる。他の例として、さらに照明が、錠剤が有効期限であり、あるいは有効期限が近いことを、知らせることができる。照明は、任意の数の状態を伝えることができる。種々の色の照明で、特定の錠剤の種類を知らせることもできる。単純に照明の作動が信号を伝えることができ、あるいは異なる色の照明が、種々の信号を知らせることができる。
【0047】
図9が、スクリュの段階的回動によって錠剤を供給するための好ましい一実施形態を説明するフロー図を示している。この方法は、(a)該物品の寸法に対応する所定の幅及び深さのチャネル2を有するスクリュ1へと接続されたドライバ接続部11を作動させるステップ、(b)該スクリュを所定の度数だけ回動させるステップ、(c)該チャネルから第2の物品を取り除くステップ、(d)物品の落下が検出されるまでステップ(b)を繰り返すステップ、及び(e)物品の落下が検出されたときに該スクリュの回動を停止させるステップを含む。高度に好ましい実施形態においては、該スクリュの回動を停止させるステップに、1回転の数分の1だけ該スクリュを逆に回動させるステップが後続する。さらに高度に好ましい実施形態においては、スクリュが、45度〜90度だけ逆転させられる。一般に、スクリュの逆転の度数は、スクリュのピッチに依存して決まる。この上述の供給方法は、小分けの観点において、特許文献3に開示の供給方法と相違する。特許文献3に記載の発明は、小分けのために後方への反転の作用に頼っているため、錠剤の排出に必要な角度回動を予測することができない。特許文献3の発明は、錠剤がチャネルから出た旨が検出されるまで、らせん状のスクリュを連続的に激しく動かさなければならない。上述した本発明の好ましい実施形態の各ステップが、錠剤の落下の検出後における逆方向の回動を含め、所定の数の物品が供給されるまで繰り返される。
【0048】
図10が、スクリュの連続的回動によって錠剤を供給するための好ましい一実施形態を説明するフロー図を示している。この方法は、(a)該物品の寸法に対応する所定の幅及び深さのチャネル2を有するスクリュ1へと接続されたドライバ接続部11を作動させるステップ、(b)該チャネルから第2の物品を取り除くステップ、(c)物品の落下が検出されるまで該スクリュを回動させるステップ、及び(d)物品の落下が検出されたときに該スクリュの回動を停止させるステップを含む。高度に好ましい実施形態においては、前記スクリュを停止させるステップに、1回転の数分の1だけ該スクリュを逆に回動させるステップが後続する。これらのステップが、所定の数の物品が供給されるまで繰り返される。
【0049】
別の好ましい実施形態においては、連続回動法を利用することができるが、錠剤の詰まり及びその後の錠剤の損壊を防止するために、さらなるステップを追加することができる。すなわち、ステップ(a)〜ステップ(d)、並びに錠剤の落下のたびごとのスクリュにおける逆の回動を、所定の数の物品が供給されるまで、又はスクリュへと加わるトルクの増加が検出されるまで、繰り返すことが可能である。スクリュを回動させるために加えなければならないトルクの増加は、側壁棚状部に沿い、あるいは小分け用ブレードを通過する錠剤の前進が何かに妨げられていることを意味する。そのような状況においては、錠剤又は複数の錠剤の損壊につながる可能性があるため、スクリュの回動を続けない方が賢明である。錠剤の粉砕は、薬剤の無駄につながるとともに、かなりの量のほこり及び破片を小分け装置内に蓄積させる可能性もあるため、望ましくない結果である。従って、この好ましい実施形態においては、トルクの増加が検出されると、錠剤の供給が中断される。この方法は、本質的に、錠剤の詰まりの解消を可能にする。
【0050】
さらなる好ましい実施形態においては、錠剤の詰まり等の原因で、トルクの増加が検出された場合に、以下のステップに従わなければならず、すなわち前記スクリュへと加えられるトルクの増加が検出されたときに、前記スクリュを1回転の数分の1だけ逆に回動させるステップ、及び所定の数の物品が供給されるまで、又は前記スクリュへと加えられるトルクの増加が検出されるまで、連続回動法の各ステップを繰り返すステップに従わなければならない。この実施形態においては、トルクの増加が検出されたとき、詰まりを取り除くためにスクリュが逆方向に回動させられる。これにより、錠剤が取り除かれた後で錠剤の供給を続行することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のサイズ及び形状の物品を供給するように構成される小分け装置であって、
a.遠位端及び近位端を有するスクリュと、
b.前記スクリュの外表面に設けられ、かつ前記物品の寸法に対応する所定の幅及び深さに形成されるチャネルと、
c.近位端及び遠位端を有し、かつ前記スクリュを着脱可能とする受け部材と、
d.底部を有し、かつ前記受け部材に取り付けられた前記スクリュを、前記底部に対して略平行な姿勢にて受け入れるように構成された中空の本体であって、
(i)前記スクリュ及び受け部材の組み合わせの前記遠位端が、中空の本体における遠位側の壁に当接し、
(ii)前記スクリュ及び受け部材の組み合わせの前記近位端が、中空の本体における近位側の壁の開口に当接する、
中空の本体と、
e.前記受け部材の近位端の付近で前記本体の内部に取り付けられた小分け用ブレードと、
f.前記受け部材の少なくとも1つの内側に取り付けられる着脱式の棚状部であって、少なくともその一部分が、
(i)前記スクリュ及び受け部材の組み合わせの前記近位端の付近にて、
(ii)前記スクリュのチャネルと前記棚状部とによって前記物品の一部分を囲むように前記物品の寸法に対応して位置する構成となっている、
着脱式の棚状部と、
g.前記スクリュの近位端に取り付けられた回動式ドライバ接続部と
を備えている小分け装置。
【請求項2】
識別情報及び周辺情報で構成されるグループのうちの少なくとも1つを含む情報を保存する電子記憶システムをさらに備えている請求項1に記載の小分け装置。
【請求項3】
前記電子記憶システムがカウンタを含んでいる、請求項2に記載の小分け装置。
【請求項4】
前記中空の本体内の電磁石からの変成器結合によって駆動されるように構成された非接触の赤外線インターフェイスをさらに備えている請求項2に記載の小分け装置。
【請求項5】
前記小分け装置が、外部のコンピュータからの命令を取出し可能とする受信器をさらに備えている、請求項2に記載の小分け装置。
【請求項6】
前記コンピュータが、無線周波数、赤外線、有線、磁気、及び光ファイバにより構成されるグループから選択される方法によって前記受信器と通信するように構成されている、請求項5に記載の小分け装置。
【請求項7】
電力接続部をさらに備えている請求項1に記載の小分け装置。
【請求項8】
前記電力接続部が、直接的な電気接続、電源の内蔵、及び前記中空の本体内に収容された変成器の非接触の結合により構成されるグループから選択される、請求項7に記載の小分け装置。
【請求項9】
前記小分け装置が、コマンドを発することができるコントローラ装置をさらに備えている、請求項5に記載の小分け装置。
【請求項10】
前記スクリュ及び受け部材の組み合わせの近位端の付近に位置する前記棚状部が、前記スクリュのほぼ全長にわたって延びている、請求項1に記載の小分け装置。
【請求項11】
前記中空の本体の近位側の壁の前記開口が、前記ドライバ接続部の作動時に開くスイング式ドア機構によって覆われている、請求項1に記載の小分け装置。
【請求項12】
前記小分け用ブレードが可撓性材料により作製されている、請求項1に記載の小分け装置。
【請求項13】
前記中空の本体、受け部材、側壁、及び棚状部が、USPグレードのプラスチックにより作製されている、請求項1に記載の小分け装置。
【請求項14】
前記中空の本体が、前記側壁の付近で終端する斜めのパネルを有している、請求項1に記載の小分け装置。
【請求項15】
前記略平行なスクリュが、前記遠位側の壁から前記近位側の壁に向かって、約0度〜約60度の範囲内の上向きの傾きを有している、請求項1に記載の小分け装置。
【請求項16】
前記ドライバ接続部が双方向性となっている、請求項1に記載の小分け装置。
【請求項17】
前記周辺情報が、前記小分け装置の場所と、薬剤情報と、前記小分け装置に収容された物品のロット番号及び有効期限とを含んでいる、請求項2に記載の小分け装置。
【請求項18】
不正開封防止シールをさらに備えている請求項1に記載の小分け装置。
【請求項19】
前記中空の本体にヒンジによって接続された蓋をさらに備えている請求項1に記載の小分け装置。
【請求項20】
前記中空の本体に恒久的に取付けられた蓋をさらに備えている請求項1に記載の小分け装置。
【請求項21】
前記中空の本体にヒンジによって接続された底部をさらに備えている請求項1に記載の小分け装置。
【請求項22】
前記中空の本体に恒久的に取付けられた底部をさらに備えている請求項1に記載の小分け装置。
【請求項23】
前記近位側の開口の下方で前記中空の本体の前記外壁に、容器が接続されている、請求項1に記載の小分け装置。
【請求項24】
錠剤落下検出センサをさらに備えている請求項1に記載の小分け装置。
【請求項25】
前記中空の本体が、約0.1L〜約4.0Lの容積を有している、請求項1に記載の小分け装置。
【請求項26】
前記回動式ドライバ接続部に接続された回動式ドライバをさらに備えている請求項1に記載の小分け装置。
【請求項27】
前記中空の本体の外表面に取り付けられ、かつ前記小分け装置内のセンサに接続されている照明をさらに備えている請求項1に記載の小分け装置。
【請求項28】
所定のサイズ及び形状の物品を供給するように構成される小分け装置であって、
a.遠位端及び近位端を有するスクリュと、
b.前記スクリュの外表面に位置し、かつ前記物品の寸法に対応する所定の幅及び深さに形成されるチャネルと、
c.近位端及び遠位端を有し、かつ前記スクリュを着脱可能とする受け部材と、
d.底部を有し、前記受け部材に取り付けられた前記スクリュを受け入れ、かつ前記スクリュを前記底部に略平行な姿勢に位置させるように構成される中空の本体であって、
(i)前記スクリュ及び受け部材の組み合わせの遠位端が、中空の本体における遠位側の壁に当接し、
(ii)前記スクリュ及び受け部材の組み合わせの近位端が、中空の本体における近位側の壁の開口に当接する、
中空の本体と、
e.前記受け部材の近位端の付近で前記本体の内部に取り付けられる小分け用ブレードと、
f.前記受け部材の少なくとも1つの内側に取り付けられる着脱式の棚状部であって、少なくともその一部分が、
(i)前記スクリュ及び受け部材の組み合わせの近位端の付近に、
(ii)前記スクリュのチャネルと前記棚状部とで前記物品の一部分を囲むように前記物品の寸法に対応して位置する構成となっている、
着脱式の棚状部と、
g.前記受け部材の下方にて前記中空の本体に着脱可能に取り付けられるゴミ箱と、
h.前記スクリュの近位端に取り付けられる回動式ドライバ接続部と
を備えている小分け装置。
【請求項29】
所定のサイズ及び形状の物品を供給するように構成される小分け装置であって、
a.遠位端及び近位端を有するスクリュと、
b.前記スクリュの外表面に位置し、かつ前記物品の寸法に対応する所定の幅及び深さに形成されるチャネルと、
c.近位端及び遠位端を有し、かつ前記スクリュを着脱可能とする受け部材と、
d.底部を有し、かつ前記受け部材に取り付けられた前記スクリュを、前記底部に略平行な姿勢にて受け入れるように構成された中空の本体であって、
(i)前記スクリュ及び受け部材の組み合わせの近位端が、中空の本体における近位側の壁に当接し、
(ii)前記スクリュ及び受け部材の組み合わせの遠位端が、中空の本体における遠位側の壁の開口に当接する、
中空の本体と、
e.前記受け部材の遠位端の付近で前記本体の内部に取り付けられた小分け用ブレードと、
f.前記受け部材の少なくとも1つの内側に取り付けられる着脱式の棚状部であって、少なくともその一部分が、
(i)前記スクリュ及び受け部材の組み合わせの遠位端の付近に、
(ii)前記スクリュのチャネルと前記棚状部とによって前記物品の一部分を囲むように前記物品の寸法に対応して位置する構成となっている、
着脱式の棚状部と、
g.前記スクリュの近位端に取り付けられた回動式ドライバ接続部と
を備えている小分け装置。
【請求項30】
所定のサイズ及び形状の物品を小分け装置から供給する方法であって、
a.前記物品の寸法に対応する所定の幅及び深さに形成されるチャネルを有するスクリュに接続されたドライバ接続部を作動させるステップと、
b.前記スクリュを、所定の回数分回動させるステップと、
c.前記チャネルから物品を取り除くステップと、
d.物品の落下が検出されるまで、ステップ(b)を繰り返すステップと
e.物品の落下が検出されたときに、前記スクリュの回動を停止させるステップと
を含む方法。
【請求項31】
a.前記スクリュを、1回転の何分の1分逆に回動させるステップをさらに含む請求項30に記載の方法。
【請求項32】
複数の物品を供給するために、供給される各々の物品について1回ずつ請求項30及び31の各ステップを繰り返す請求項31に記載の方法。
【請求項33】
所定のサイズ及び形状の物品を小分け装置から供給する方法であって、
a.前記物品の寸法に対応する所定の幅及び深さに形成されるチャネルを有するスクリュに接続されるドライバ接続部を作動させるステップと、
b.物品の落下が検出されるまで、前記スクリュを回動させるステップと、
c.前記チャネルから第2の物品を取り除くステップと、
d.物品の落下が検出されたときに、前記スクリュの回動を停止させるステップと
を含む方法。
【請求項34】
a.前記スクリュを、1回転の何分の1分逆に回動させるステップをさらに含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
複数の物品を供給するために、供給される各々の物品について1回ずつ請求項33及び34の各ステップを繰り返す請求項34に記載の方法。
【請求項36】
a.所定の数の物品が供給されたとき、又は前記スクリュに加えられるトルクの増加が検出されたときに、前記スクリュの回動を停止させるステップをさらに含む請求項33に記載の方法。
【請求項37】
a.前記スクリュへと加えられるトルクの増加が検出されたときに、前記スクリュを、1回転の何分の1分逆に回動させるステップと、
b.所定の数の物品が供給されるまで、又は前記スクリュへと加えられるトルクの増加が検出されるまで、請求項33及び34の各ステップを繰り返すステップと
をさらに含む請求項34に記載の方法。
【請求項38】
所定のサイズ及び形状の物品を供給する小分け装置に物品を導入する方法であって、
a.前記小分け装置の上部を開くステップと、
b.大量に供給される物品を実質的に前記小分け装置の中央部に流し込むステップと、
c.前記上部を閉じるステップと
を含む方法。
【請求項39】
所定のサイズ及び形状の物品を供給する小分け装置に物品を導入する方法であって、
a.前記小分け装置を上下反転させるステップと、
b.前記小分け装置の底部を開くステップと、
c.受け部材を取り除くステップと、
d.大量に供給される物品を実質的に前記小分け装置の中央部に流し込むステップと、
e.前記受け部材を前記小分け装置に戻すステップと、
f.前記底部を閉じるステップと、
g.前記小分け装置を基本姿勢へと回転させるステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−280509(P2010−280509A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−127790(P2010−127790)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(509038898)タリスト インコーポレイテッド (3)