説明

小切手処理装置、小切手処理システム、小切手処理装置の動作制御方法およびそのプログラム

【課題】安全性の高い動作許可領域内(特定の金融機関、その窓口付近、営業時間等)のみで動作する小切手処理装置を提供する。
【解決手段】動作許可領域内にあるか否かを判定する領域検知部12を備え、領域検知部12は、小切手処理装置10の現在の位置情報を取得する位置取得部14と、予め動作許可領域が登録されている特定領域情報登録部15と、小切手処理装置10の現在の位置情報と動作許可領域とを比較し、小切手処理装置10の現在位置が、動作許可領域内にあるか否かを判定する位置比較部16と、を有し、動作許可領域内にあると判定された場合は、小切手処理装置10の動作を許可し、動作許可領域内にないと判定された場合は、小切手処理装置10の動作を許可しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小切手券面の情報を読み取り、電子データに変換する小切手処理装置、小切手処理システム、小切手処理装置の動作制御方法およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
小切手が決済手段として広く流通している米国では、近年、現物の小切手を輸送して処理する代わりに、券面の情報を電子データに変換し、受入銀行から支払銀行に伝送することによって決済を行う電子決済が行えるようになった。この決済方法によれば、ペーパレス化や処理時間の短縮化が図られるため、処理に対応できる各種の小切手処理装置(スキャナ)が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−146211号公報(第4頁−第9頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小切手処理装置は、銀行などの金融機関の店舗内等、決められた場所で使用されるべきものである。さらに、小切手処理装置の操作者が誰であるか、操作に不正がないかなど、衆人環視の元で業務を行う環境、即ち、銀行の窓口など金融機関における日常の金融業務を行う所定の場所で行われることが望ましい。
しかしながら、店舗における設置スペースの要請から小切手処理装置は小型化が進んでおり、小切手処理装置を持ち出して、環視の無い場所で不正な操作をされてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することに係り、安全性の高い動作許可領域内(特定の金融機関、その窓口付近、営業時間等)のみで動作する小切手処理装置、小切手処理システム、小切手処理装置の動作制御方法およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る小切手処理装置は、小切手から小切手情報を読取って読み取った情報を処理する小切手処理装置であって、
当該小切手処理装置が、動作許可領域内にあるか否かを判定する領域検知部と、
前記領域検知部により、当該小切手処理装置が前記動作許可領域内にあると判定された場合は当該小切手処理装置の動作を許可し、当該小切手処理装置が前記動作許可領域内にないと判定された場合は当該小切手処理装置の動作を許可しない動作許可部と、
を備えることを特徴とする。
上記構成により、予め小切手処理装置の使用を許可された領域内でのみ小切手処理装置の動作が許可されるため、安全性の高い動作許可領域のみで小切手の処理を行うことができる。
また、好ましくは、前記領域検知部は、
当該小切手処理装置の現在位置を取得する位置取得部と、
予め特定領域情報が登録されている特定領域情報登録部と、
当該小切手処理装置の現在位置と前記特定領域情報とを比較する位置比較部と、を有し、
前記位置比較部の比較結果、当該小切手処理装置の現在位置が前記特定領域情報登録部に登録された範囲に含まれる位置である場合に、動作許可領域内にあると判定することを特徴とする。
上記構成により、当該小切手処理装置の現在位置が前記特定領域情報登録部に登録された範囲に含まれる位置である場合に、動作許可領域内にあると判定し、動作が許可され、小切手の処理を行うことができる。よって、動作許可領域外へ持ち出して、不正な操作をされてしまうことを防ぐことができる。
また、好ましくは、前記領域検知部は、
動作許可信号送信装置から送信される動作許可信号を受信する動作許可信号受信部を有し、
前記動作許可信号受信部が、前記動作許可信号を受信した場合、当該小切手処理装置が動作許可領域内にあると判定することを特徴とする。
上記構成により、動作許可信号送信装置から送信される動作許可信号は、動作許可領域内にのみ到達し、領域外には届かないように設定されるので、動作許可領域内に置かれている場合のみ、動作が許可されて小切手の処理行うことができる。よって、動作許可領域外へ持ち出して、不正な操作をされてしまうことを防ぐことができる。
また、好ましくは、前記領域検知部は、
当該小切手処理装置の現在位置を取得する位置取得部と、
予め特定領域情報が登録されている特定領域情報登録部と、
当該小切手処理装置の現在位置と前記特定領域情報とを比較する位置比較部と、
動作許可信号送信装置から送信される動作許可信号を受信する動作許可信号受信部と、
を有し、
前記位置比較部の比較結果により、当該小切手処理装置の現在位置が前記特定領域情報登録部に登録された範囲に含まれる位置であり、かつ、前記動作許可信号受信部が前記動作許可信号を受信した場合、当該小切手処理装置が動作許可領域内にあると判定することを特徴とする。
上記構成により、当該小切手処理装置の現在位置が、特定領域情報登録部に登録された範囲に含まれる位置であり、かつ、動作許可信号送信装置から送信される動作許可信号が受信可能な範囲に当該小切手処理装置が置かれている場合のみ、動作が許可されて、小切手の処理を行うことができる。
また、好ましくは、前記特定領域情報登録部は、複数の特定領域情報を登録可能であることを特徴とする。
上記構成により、登録された複数の特定領域内のいずれかであれば、動作が可能である。
また、好ましくは、起動時に、当該小切手処理装置が動作許可領域内にあるか否かを検知することを特徴とする。
上記構成により、小切手処理装置を動作許可領域外で起動しても、動作が許可されないので、動作許可領域外に持ち出して、不正な使用をされることを防ぐことができる。
また、好ましくは、動作中、所定時間毎に、当該小切手処理装置が動作許可領域内にあるか否かを検知することを特徴とする。
上記構成により、動作許可領域で装置を起動させ、起動させたまま、動作許可領域外へ小切手処理装置を持ち出したとしても、所定時間毎に動作許可領域内か否かがチェックされるので、そのチェック時に動作が停止し、不正な使用を阻止することができる。
【0007】
また、本発明に係る小切手処理システムは、小切手処理装置の使用が許可された領域である動作許可領域内にのみ動作許可信号を送信する動作許可信号送信装置と、
請求項1又は請求項3〜7のいずれかに記載の小切手処理装置と、
を有することを特徴とする。
上記システムにより、動作許可信号送信装置から送信される動作許可信号は、動作許可領域内にのみ到達し、領域外には届かないように設定されるので、動作許可領域内に置かれている場合のみ、動作が許可されて小切手の処理を行うことができる。
また、好ましくは、前記動作許可信号送信装置は、所定の日時および時間帯のみ動作許可信号を送信することを特徴とする。
上記システムは、所定の日時および時間帯のみ動作許可信号の送信をするので、深夜や休日など人目の無い時間帯に不正な操作がなされてしまうことも防ぐことができる。
【0008】
また、本発明に係る小切手処理装置の動作制御方法は、小切手から小切手情報を読取って読み取った情報を処理する小切手処理装置の動作制御方法であって、
起動しても小切手処理の動作が出来ないように動作ロックをかけておき、
起動を検知すると、現在位置を取得するステップと、
予め登録された特定領域情報と、取得した前記現在位置とを比較し、当該小切手処理装置の現在位置が前記特定領域情報に含まれる位置であるか否かを判定するステップと、
現在位置が前記特定領域情報に含まれる位置である場合は、前記動作ロックをはずし、当該小切手処理装置の動作を許可するステップと、
を含むことを特徴とする。
上記制御方法により、当該小切手処理装置の現在位置が前記特定領域情報登録部に登録された範囲に含まれる位置である場合に、動作許可領域内にあると判定されることにより、動作ロックがはずされて動作が許可され、小切手の処理を行うことができる。よって、特定の動作許可領域外へ持ち出して、不正な操作をされてしまうことを防ぐことができる。
【0009】
また、本発明に係る小切手処理装置の動作制御方法は、小切手から小切手情報を読取って読み取った情報を処理する小切手処理装置の動作制御方法であって、
起動しても小切手処理の動作が出来ないように動作ロックをかけておき、
起動を検知すると、一定時間、動作許可信号受信の待ち受け状態とするステップと、
待ち受け状態になっている間に、前記動作許可信号を受信することにより、当該小切手処理装置の現在位置が動作許可領域内であるか否かを判定するステップと、
現在位置が動作許可領域内である場合は、前記動作ロックをはずし、当該小切手処理装置の動作を許可するステップと、
を含むことを特徴とする。
上記制御方法により、動作許可信号送信装置から送信される動作許可信号は、動作許可領域内にのみ到達し、領域外には届かないように設定されるので、動作許可領域内に当該小切手処理装置が置かれている場合のみ、動作ロックがはずされて動作が許可され、小切手の処理を行うことができる。よって、動作許可領域外へ持ち出して、不正な操作をされてしまうことを防ぐことができる。
【0010】
また、本発明に係る小切手処理装置の動作制御方法は小切手の情報を読み込む小切手処理装置の動作制御方法であって、
起動しても小切手処理の動作が出来ないように動作ロックをかけておき、
起動を検知すると、現在位置を取得するステップと、
予め登録された特定領域情報と、取得した前記現在位置とを比較し、当該小切手処理装置の現在位置が前記特定領域情報に含まれる位置であるか否かを判定するステップと、
現在位置が前記特定領域情報に含まれる位置である場合は、一定時間、動作許可信号受信の待ち受け状態とするステップと、
待ち受け状態になっている間に、前記動作許可信号を受信した場合、前記動作ロックをはずし、当該小切手処理装置の動作を許可するステップと、
を含むことを特徴とする。
上記制御方法により、当該小切手処理装置の現在位置が、特定領域情報登録部に登録された範囲に含まれる位置であり、かつ、動作許可信号送信装置から送信される動作許可信号が受信可能な範囲に当該小切手処理装置が置かれている場合のみ、動作ロックがはずされて動作が許可され、小切手の処理を行うことができる。よって、動作許可領域外へ持ち出して、不正な操作をされてしまうことを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明に係る小切手処理装置の動作制御プログラムは、請求項10〜12のいずれかに記載された小切手処理装置の動作制御方法の各ステップを、前記小切手処理装置に搭載されたコンピュータに実行させることを特徴とする。
上記動作制御プログラムを実行することにより、予め小切手処理装置の使用を許可された領域内でのみ小切手処理装置の動作が許可されるため、安全性の高い動作許可領域のみで小切手の処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明に係る小切手処理装置の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る小切手処理装置の概略構成を示すブロック図である。小切手処理装置10は、主に、処理制御部11と領域検知部12と動作許可部13とによって構成される。処理制御部11は、小切手から小切手情報を読取って読み取った情報を処理する小切手処理動作全般を統括制御する。領域検知部12は、位置取得部14、特定領域情報登録部15、位置比較部16を備えている。
【0013】
動作許可部13は、領域検知部12から動作許可領域内にあるか否かの判定結果を受けて、小切手処理装置10が動作許可領域内にあると判定された場合は小切手処理装置10の動作ロックをはずして動作を許可し、小切手処理装置10が動作許可領域内にないと判定された場合は小切手処理装置10の動作ロックをかけて(若しくは動作ロック状態を維持し)動作を許可しないようにする。ここで、動作ロックは、例えば、小切手の搬送モーター(図示省略)や小切手読取用のスキャナ(図示省略)に電源を供給しないように、小切手処理装置10のファームウェアが処理制御部11を制御することで実現される。
【0014】
位置取得部14は、GPS(Global Positioning System)装置などを備え、小切手処理装置10の現在の位置情報を取得する。
【0015】
特定領域情報登録部15には、不揮発性記憶装置(ROM等)によって構成され、小切手処理装置10の使用を許可すべき領域である特定領域情報を登録する。例えば、特定の銀行の特定の店舗(本店や支店等)が存在する位置座標を元に、小切手処理装置10を使用を許可すべき範囲の領域を特定領域情報として登録しておく。なお、登録する特定領域情報は、1つとは限らず、複数の店舗に関する特定領域情報を登録しておいてもよい。
【0016】
位置比較部16は、小切手処理装置10の現在の位置情報と特定領域情報とを比較し、小切手処理装置10の現在位置が、特定領域情報に登録した範囲に含まれるか否かを検知する。
【0017】
次に、上記構成の小切手処理装置の動作制御方法について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態における小切手処理装置の動作制御手順を示すフローチャートである。
【0018】
はじめに、例えば、電源スイッチをオンにするなどして、小切手処理装置10を起動する(ステップS101)。なお、起動しても小切手処理の動作が出来ないように動作ロックがかかっている。領域検知部12は、起動を検知すると、位置取得部14によって位置情報(現在位置)を取得する(ステップS102)。
【0019】
次に、位置比較部16は、特定領域情報登録部15に予め登録された特定領域情報と、位置取得部14が取得した現在位置の情報とを比較し、小切手処理装置10の現在位置が特定領域情報に登録した範囲に含まれる位置であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0020】
現在位置が特定領域情報登録部15に登録した範囲に含まれる位置である場合(ステップS103:Yes)は、領域検知部12は、動作許可部13へ現在位置が動作許可領域内であることを通知し、この通知を受けて動作許可部13は、動作ロックをはずし、小切手処理装置10の小切手処理の動作を許可する(ステップS104)。動作ロックがはずされた場合、金融機関の行員等の操作者は、小切手処理の処理を行うことが出来るようになる。
【0021】
一方、現在位置が特定領域情報登録部15に登録した範囲に含まれる位置でない場合(ステップS103:No)は、領域検知部12は、動作許可部13へ現在位置が動作許可領域内ではないことを通知し、この通知を受けて動作許可部13は、小切手処理の動作ロックははずさずロックがかかった状態を維持させる(ステップS105)。
【0022】
次に、起動してから、所定時間経過したら(ステップS106のYes)、起動時と同様に、領域検知部12は、位置取得部14によって位置情報(現在位置)を取得する(ステップS107)。
【0023】
そして、特定領域情報登録部15内に予め登録された特定領域情報と、位置取得部14が取得した現在位置の情報とを比較し、小切手処理装置10の現在位置が特定領域情報に登録した範囲に含まれる位置であるか否かを判定する(ステップS108)。
【0024】
現在位置が特定領域情報登録部15に登録した範囲に含まれる位置でない場合(ステップS108:No)は、領域検知部12は、動作許可部13へ現在位置が動作許可領域内でないことを通知し、この通知を受けて動作許可部13は、小切手処理の動作を停止させ、動作ロックをかける(ステップS111)。
なお、この時に警告表示やアラーム鳴動等で報知を行ってもよい。
【0025】
一方、現在位置が特定領域情報登録部15に登録した範囲に含まれる位置である場合(ステップS108:Yes)は、動作許可部13は、動作ロックをはずしたままとし、ステップS106に戻り、上記のステップを繰り返す。これにより、所定時間が経過する毎に、小切手処理装置10の現在位置が動作許可領域内であるか否かをチェックできる。
【0026】
上述のステップS106〜ステップS109のように、小切手処理装置10の動作中にも所定周期で領域検知を行うのは、動作許可領域で装置を起動させたまま別の場所に持って行き、使用するおそれがあるからである。動作中も所定時間毎に領域検知を行っておけば、動作許可領域外へ小切手処理装置10が移動した時点で、操作を阻止することができる。
【0027】
なお、上述のステップS106〜ステップS109を省略して、小切手処理装置10を起動させて、電源がオン状態のまま別の場所に移動させるおそれが無い場合は、起動時のみ、現在位置が動作許可領域内であるか否かのチェックを行うだけでもよい。
【0028】
なお、さらに安全性を向上させるため、小切手処理装置10の起動時に、ユーザIDやパスワードの入力を要求するようにしてもよい。
【0029】
以上の第1の実施の形態に係る小切手処理装置10によれば、特定領域情報登録部15にその領域情報が登録された、例えば、特定の金融機関の特定の店舗内でのみで動作が可能である。従って、小切手処理装置を上記金融機関の店舗の外へ持ち出して、電源をオンにして、起動させたとしても、小切手処理に係わる動作が許可されないので、不正な操作をされてしまうことを防ぐことができる。
【0030】
また、登録する特定領域情報は、1つとは限らず、複数の店舗の領域情報を登録しておいてもよいので、登録された店舗内であれば、動作が可能である。
【0031】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る小切手処理装置の概略構成を示すブロック図である。
小切手処理装置20は、主に、処理制御部21と領域検知部22と動作許可部23とによって構成される。処理制御部21は、小切手処理装置20の小切手処理動作全般を統括制御する。
【0032】
領域検知部22は、動作許可信号受信部24を備えている。動作許可信号受信部24は、動作許可信号送信装置200から送信され、動作許可領域内にのみ到達し、領域外には届かないように設定された動作許可信号を受信するものである。動作許可信号送信装置200は、例えば、光通信(赤外線通信等)や近距離無線通信(Bluetooth(登録商標)、無線LAN(IEEE802.11.b/a/g等)など)により動作許可信号を送信する装置である。
【0033】
領域検知部22は、動作許可信号受信部24が動作許可信号を受信した場合、小切手処理装置20の現在位置が動作許可領域内にあると判定するものである。
【0034】
動作許可部23は、領域検知部22から動作許可領域内にあるか否かの判定結果を受けて、小切手処理装置20が動作許可領域内にあると判定された場合は小切手処理装置20の動作ロックをはずして動作を許可し、小切手処理装置20が動作許可領域内にないと判定された場合は小切手処理装置20の動作ロックをかけて(若しくは動作ロック状態を維持し)動作を許可しないようにする。
【0035】
なお、図3に示すように、小切手処理システム100は、小切手処理装置20と動作許可信号送信装置200とにより構成される。
【0036】
次に、上記構成の小切手処理装置の動作制御方法について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態における小切手処理装置の動作制御手順を示すフローチャートである。
【0037】
はじめに、例えば、電源スイッチをオンにするなどして、小切手処理装置20を起動する(ステップS201)。なお、このときは、小切手処理の動作が出来ないように動作ロックがかかっている。領域検知部22は、起動を検知すると、動作許可信号受信部24を、一定時間、動作許可信号受信の待ち受け状態にする(ステップS202)。
【0038】
待ち受け状態になっている動作許可信号受信部24が、動作許可信号を受信するかしないかにより、小切手処理装置20の現在位置が動作許可領域であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0039】
動作許可信号受信部24が動作許可信号を受信したことを領域検知部22が検知し、小切手処理装置20の現在位置が動作許可領域であると判定された場合(ステップS203:Yes)、動作許可部23へ現在位置が動作許可領域内であることを通知し、この通知を受けて動作許可部23は、小切手処理の動作ロックをはずす(ステップS204)。そして、動作許可信号受信部24は待ち受け状態を解除される。
【0040】
一方、一定時間待ち受け状態になっている間に、動作許可信号の受信が検知されない場合(ステップS203:No)は、動作許可部23は、小切手処理の動作を許可せず、動作ロックを維持させる(ステップS205)。そして、動作許可信号受信部24は待ち受け状態を解除される。
【0041】
次に、起動してから、所定時間経過したら(ステップS206のYes)、動作許可信号受信部24は、一定時間、動作許可信号受信の待ち受け状態になる(ステップS207)。
【0042】
待ち受け状態になっている動作許可信号受信部24が、動作許可信号を受信するかしないかにより、小切手処理装置20の現在位置が動作許可領域であるか否かを判定する(ステップS208)。
【0043】
一定時間内に、動作許可信号受信部24への動作許可信号が受信されない場合(S208:No)は、動作許可部23は動作ロックをかける(ステップS209)。なお、動作ロックをかける時に、警告表示やアラーム鳴動等で報知を行ってもよい。
【0044】
一方、一定時間内に、動作許可信号受信部24への動作許可信号が受信された場合(ステップS208:Yes)は、領域検知部22は、小切手処理装置20の現在位置が動作許可領域であると判定し、動作許可部23へ現在位置が動作許可領域内であることを通知し、この通知を受けて動作許可部23は、動作ロックをはずしたままとし、ステップS206に戻り、上記のステップを繰り返す。これにより、所定時間が経過する毎に、小切手処理装置20の現在位置が動作許可領域内であるか否かをチェックできる。
【0045】
上述のステップS205〜ステップS208のように、小切手処理装置20の動作中にも所定周期で領域検知を行うのは、動作許可領域で装置を起動させたまま別の場所に持って行き、使用するおそれがあるからである。動作中も所定時間毎に領域検知を行っておけば、動作許可領域外へ小切手処理装置20が移動した時点で、操作を阻止することができる。
【0046】
なお、小切手処理装置10の電源がオン状態のまま別の場所に移動させるおそれが無い場合は、上述のステップS205〜ステップS208を省略して、起動時のみ、現在位置が動作許可領域内であるか否かをのチェックを行うだけでもよい。
【0047】
なお、さらに安全性を向上させるため、小切手処理装置の起動時に、ユーザIDやパスワードの入力を要求するようにしてもよい。
【0048】
以上の第2の実施の形態に係る小切手処理装置20および小切手処理システム100によれば、動作許可信号送信装置200から送信される動作許可信号は、動作許可領域内にのみ到達し、領域外には届かないように設定されるので、金融機関(銀行等)の店舗の窓口付近を動作許可領域とすれば、小切手処理装置20が、衆人環視の元で業務を行う環境、即ち、金融機関の窓口付近に置かれている場合のみ、動作が許可されて、小切手処理の業務を行うことができる。
【0049】
なお、小切手処理システム100は、所定の日時および時間帯のみ、動作許可信号送信装置200から動作許可信号を送信するようにしてもよい。例えば、金融機関の窓口営業時間内のみ動作許可信号を送信し、それ以外の時間帯や休日には送信を止めるように設定する。
【0050】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態における小切手処理装置の概略構成を示すブロック図である。
小切手処理装置30は、第1の実施形態と第2の実施形態は合わせた実施形態である。即ち、本実施の形態では、小切手処理装置30の現在位置が特定領域情報登録部に登録された範囲に含まれる位置であり、かつ、動作許可信号を受信した場合、小切手処理装置30が動作許可領域内にあると判定され、動作が許可される。
【0051】
小切手処理装置30は、図5に示すように、主に、処理制御部31と領域検知部32と動作許可部33とによって構成される。処理制御部31は、小切手から小切手情報を読取って読み取った情報を処理する小切手処理動作全般を統括制御する。
【0052】
領域検知部32は、位置取得部34、特定領域情報登録部35、位置比較部36と、動作許可信号受信部37と、を備えている。
【0053】
位置取得部34、特定領域情報登録部35、位置比較部36は、それぞれ、第1の実施形態における位置取得部14、特定領域情報登録部15、位置比較部16と同様の構成である。また、動作許可信号受信部37は、第2の実施形態における動作許可信号受信部24と同様の構成である。
【0054】
なお、図5に示すように、小切手処理システム101は、小切手処理装置30と動作許可信号送信装置201とにより構成される。
【0055】
次に、上記構成の小切手処理装置の動作制御方法について説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態における小切手処理装置の動作制御手順を示すフローチャートである。
【0056】
はじめに、例えば、電源スイッチをオンにするなどして、小切手処理装置30を起動する(ステップS301)。なお、このときは、小切手処理の動作が出来ないように動作ロックがかかっている。そして、動作確認処理を開始する(ステップS302)。
【0057】
上記ステップS302の動作確認処理の詳細について説明する。図7は、動作確認処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【0058】
動作確認処理を開始すると、領域検知部32は、位置取得部34によって現在位置の位置情報を取得する(ステップS401)。
【0059】
次に、位置比較部36は、特定領域情報登録部35に予め登録された特定領域情報と、位置取得部34が取得した位置情報とを比較し、小切手処理装置30の現在位置が特定領域情報に登録した範囲に含まれる位置であるか否かを判定する(ステップS402)。
【0060】
現在位置が特定領域情報登録部35に登録した範囲に含まれる位置である場合(ステップS402:Yes)は、動作許可信号受信部37を動作許可信号の待ち受け状態とする(ステップS404)。
【0061】
一方、現在位置が特定領域情報に登録した範囲に含まれる位置でない場合(ステップS402:No)、動作許可部33は、動作開始(若しくは動作続行)を「不可」とする(ステップS403)。
【0062】
動作許可信号受信部37が動作許可信号を受信した場合(ステップS405:Yes)、動作許可部33は、小切手処理装置30の動作開始(若しくは動作続行)を「可」とする(ステップS406)。
【0063】
一方、一定時間、動作許可信号が受信されなければ(ステップS405:No)は、動作許可部33は、動作開始(若しくは動作続行)を「不可」とする(ステップS407)。以上の動作確認処理により、動作開始(若しくは動作続行)が「可」であるか「不可」であるかの判定が確定する。
【0064】
次に、図6のフローチャートに戻り、上記図6のフローで判定結果が、動作開始が「可」である場合(ステップS303:Yes)、動作許可部33は、動作ロックをはずし、小切手処理装置30の小切手処理の動作を許可する(ステップS304)。
【0065】
一方、動作開始が「不可」である場合(ステップS303:No)、小切手処理の動作ロックははずさずロックがかかった状態を維持する(ステップS305)。
【0066】
次に、起動してから、所定時間経過したら(ステップS306のYes)、図7のステップS401〜ステップS407の動作確認処理を実行する(ステップS307)。
【0067】
動作許可部33は、ステップS307の動作確認処理の結果により、動作続行が「可」であるか「不可」であるかを判定する(ステップS308)。動作続行が「不可」である場合(ステップS308:No)、動作許可部33は、小切手処理の動作を停止させ、動作ロックをかける(ステップS309)。
【0068】
なお、この時に警告表示やアラーム鳴動等で報知を行ってもよい。一方、動作続行が「可」である場合(ステップS308:Yes)、そのまま動作の継続が可能であるので、ステップS306に戻り、上記のステップを繰り返す。
【0069】
また、小切手処理システム101は、所定の日時および時間帯のみ、動作許可信号送信装置201から動作許可信号を送信するようにしてもよい。例えば、金融機関の窓口営業時間内のみ動作許可信号を送信し、それ以外の時間帯や休日には送信を止めるように設定する。
【0070】
なお、さらに安全性を向上させるため、小切手処理装置の起動時や小切手読取操作を行う毎に、ユーザIDやパスワードの入力を要求するようにしてもよい。
【0071】
以上の第3の実施の形態に係る小切手処理装置30および小切手処理システム101によれば、特定領域情報登録部35にその領域情報が登録された、例えば、特定の金融機関の特定の店舗内でのみで動作が可能であると共に、動作許可信号送信装置201から送信される動作許可信号が届く範囲である、例えば窓口付近等に置かれている場合のみ、動作が許可されて、小切手の券面の情報読み取り等の業務を行うことができる。
【0072】
さらに、金融機関の窓口営業時間以外は、動作許可信号の送信を止めるようにすれば、深夜や休日など人目の無い時間帯に不正な操作がなされてしまうことも防ぐことができる。
【0073】
なお、例えば、X銀行で使用する小切手処理装置A,B,Cがあり、
・小切手処理装置Aの特定領域情報登録部35にはX銀行本店のみ
・小切手処理装置Bの特定領域情報登録部35にはX銀行本店、東京都内支店
・小切手処理装置Cの特定領域情報登録部35はX銀行本店、全国支店
の位置情報が登録されている場合は、各小切手処理装置A,B,Cは、上記の指定された店舗における動作許可領域内(窓口付近等)のみでその動作が許可される。
【0074】
以上のように、本発明の各実施形態に係る小切手処理装置または小切手処理システムによれば、安全性の高い動作許可領域内(特定の金融機関、特定の金融機関の窓口付近、窓口営業時間内等)のみで小切手の処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る小切手処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における小切手処理装置の動作制御手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る小切手処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における小切手処理装置の動作制御手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施形態における小切手処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第3の実施形態における小切手処理装置の動作制御手順を示すフローチャートである。
【図7】動作確認処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
10,20,30…小切手処理装置、11,21,31…処理制御部、12,22,32…領域検知部、13,23,33…動作許可部、14,34…位置取得部、24,37…動作許可信号受信部、15,35…特定領域情報登録部、16,36…位置比較部、200、201…動作許可信号送信装置、100、101…小切手処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小切手から小切手情報を読取って読み取った情報を処理する小切手処理装置であって、
当該小切手処理装置が、動作許可領域内にあるか否かを判定する領域検知部と、
前記領域検知部により、当該小切手処理装置が前記動作許可領域内にあると判定された場合は当該小切手処理装置の動作を許可し、当該小切手処理装置が前記動作許可領域内にないと判定された場合は当該小切手処理装置の動作を許可しない動作許可部と、
を備えることを特徴とする小切手処理装置。
【請求項2】
前記領域検知部は、
当該小切手処理装置の現在位置を取得する位置取得部と、
予め特定領域情報が登録されている特定領域情報登録部と、
当該小切手処理装置の現在位置と前記特定領域情報とを比較する位置比較部と、を有し、
前記位置比較部の比較結果、当該小切手処理装置の現在位置が前記特定領域情報登録部に登録された範囲に含まれる位置である場合に、動作許可領域内にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の小切手処理装置。
【請求項3】
前記領域検知部は、
動作許可信号送信装置から送信される動作許可信号を受信する動作許可信号受信部を有し、
前記動作許可信号受信部が、前記動作許可信号を受信した場合、当該小切手処理装置が動作許可領域内にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の小切手処理装置。
【請求項4】
前記領域検知部は、
当該小切手処理装置の現在位置を取得する位置取得部と、
予め特定領域情報が登録されている特定領域情報登録部と、
当該小切手処理装置の現在位置と前記特定領域情報とを比較する位置比較部と、
動作許可信号送信装置から送信される動作許可信号を受信する動作許可信号受信部と、
を有し、
前記位置比較部の比較結果により、当該小切手処理装置の現在位置が前記特定領域情報登録部に登録された範囲に含まれる位置であり、かつ、前記動作許可信号受信部が前記動作許可信号を受信した場合、当該小切手処理装置が動作許可領域内にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の小切手処理装置。
【請求項5】
前記特定領域情報登録部は、複数の特定領域情報を登録可能であることを特徴とする請求項1、2又は4に記載の小切手処理装置。
【請求項6】
起動時に、当該小切手処理装置が動作許可領域内にあるか否かを検知することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の小切手処理装置。
【請求項7】
動作中、所定時間毎に、当該小切手処理装置が動作許可領域内にあるか否かを検知することを特徴とする請求項6に記載の小切手処理装置。
【請求項8】
小切手処理装置の使用が許可された領域である動作許可領域内にのみ動作許可信号を送信する動作許可信号送信装置と、
請求項1又は請求項3〜7のいずれかに記載の小切手処理装置と、
を有することを特徴とする小切手処理システム。
【請求項9】
前記動作許可信号送信装置は、所定の日時および時間帯のみ動作許可信号を送信することを特徴とする請求項8に記載の小切手処理システム。
【請求項10】
小切手から小切手情報を読取って読み取った情報を処理する小切手処理装置の動作制御方法であって、
起動しても小切手処理の動作が出来ないように動作ロックをかけておき、
起動を検知すると、現在位置を取得するステップと、
予め登録された特定領域情報と、取得した前記現在位置とを比較し、当該小切手処理装置の現在位置が前記特定領域情報に含まれる位置であるか否かを判定するステップと、
現在位置が前記特定領域情報に含まれる位置である場合は、前記動作ロックをはずし、当該小切手処理装置の動作を許可するステップと、
を含むことを特徴とする小切手処理装置の動作制御方法。
【請求項11】
小切手から小切手情報を読取って読み取った情報を処理する小切手処理装置の動作制御方法であって、
起動しても小切手処理の動作が出来ないように動作ロックをかけておき、
起動を検知すると、一定時間、動作許可信号受信の待ち受け状態とするステップと、
待ち受け状態になっている間に、前記動作許可信号を受信することにより、当該小切手処理装置の現在位置が動作許可領域内であるか否かを判定するステップと、
現在位置が動作許可領域内である場合は、前記動作ロックをはずし、当該小切手処理装置の動作を許可するステップと、
を含むことを特徴とする小切手処理装置の動作制御方法。
【請求項12】
小切手の情報を読み込む小切手処理装置の動作制御方法であって、
起動しても小切手処理の動作が出来ないように動作ロックをかけておき、
起動を検知すると、現在位置を取得するステップと、
予め登録された特定領域情報と、取得した前記現在位置とを比較し、当該小切手処理装置の現在位置が前記特定領域情報に含まれる位置であるか否かを判定するステップと、
現在位置が前記特定領域情報に含まれる位置である場合は、一定時間、動作許可信号受信の待ち受け状態とするステップと、
待ち受け状態になっている間に、前記動作許可信号を受信した場合、前記動作ロックをはずし、当該小切手処理装置の動作を許可するステップと、
を含むことを特徴とする小切手処理装置の動作制御方法。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかに記載された小切手処理装置の動作制御方法の各ステップを、前記小切手処理装置に搭載されたコンピュータに実行させることを特徴とする小切手処理装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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