説明

小動物収納箱

【課題】室内に簡易に設置でき、また、手軽に折り畳んで移動・設置可能な、小動物・愛玩動物収納箱を提供することを課題とする。
【解決手段】膜状素材からなる箱と該箱を支える構造材とで小動物収納箱を構成し、構造材として対面にX状構造の部材を配置し、両X状構造部材を直棒状部材で着脱容易に連結した。また、該箱の底面部分を2重構造とし、該2重構造の膜状素材の間に直棒状部材を挟持させた。さらに、直棒状部材の外側に自在に回転する機構を設け、箱に適切な張り具合をもたせて展張させることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
室内に簡易に設置でき、また、手軽に折り畳んで移動・設置可能な、小動物・愛玩動物収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
現今、愛玩動物、それも小動物を、室内で飼育する人が多い。
この場合、室内の汚れを防ぎ、また、時に応じて隔離する必要があることから、室内片隅に小動物・愛玩動物収納箱を設置しているのが通常である。
【0003】
このため、図5図に示すような、小動物・愛玩動物収納箱も市販されているが、市販されている収納箱は、動物園の檻の形状を流用したもの、即ち、底面をなす平面状の部材に金属丸棒素材からなる一定の高さの柵を四周にめぐらせているものである。
【0004】
このような檻型の小動物収納箱の場合、組み立てられるように設計されていることから、組立・使用した後、分解・折り畳み・移設することは可能ではあるものの、容易とは言えず、また、分解折り畳むにしても、底面部材である板状の底板の大きさそのものより小さくすることは、底面部材が厚手の硬質素材で製作されていることから、困難である。
【0005】
さらに、金属丸棒素材を柵状・格子状に用いていることから、以下のような諸問題がある。
まず、金属丸棒素材を柵状・格子状に用いて、収納箱4面を構成することから、金属丸棒素材の量が多くなり、かなりの重量のものにならざるを得ない。
小動物用であるから、細い径の丸棒素材を用いることはできるというものの、小動物であるがゆえに柵・格子の間隔を狭くせざるを得ず、素材全体としての長さが必然的に長くなることから、期待する程軽量な収納箱にはなりにくい。
また、軽量化が困難なことから、非力な人、特に飼育の主体者たる女性・子供、にとって、分解・移動・設置は困難であり、少々動かすことも相当の力仕事となる。
さらに、安価にするために、多量に使用する金属丸棒素材には鉄材を用いざるを得ず、防錆上塗装仕上げとしていることから、小動物が噛んだりして傷をつけると、飛散した飲食物・放尿等により錆が生じ、小動物の健康面でも良いとは言えず、再塗装を必要とされる等、収納箱を維持していく上でも問題が多い。
また、細すぎる径の丸棒素材を用いた場合には、小動物が噛んだりすると、柵に変形が生じ、その補修に手間がかかる。
さらに、金属丸棒素材を柵状・格子状に用いていることから、日々必要となる清掃も厄介な仕事となる。
また、柵状・格子状であることから、餌等が外側へ飛散しやすい。
さらに、小動物の頭の大きさに応じた間隔の柵・格子を用いなければ、柵に頭を挟んだりまた足を挟む等の事故を生じることとなり、小動物の保護に万全を期し難いが、柵・格子状であるがゆえに、その対処は困難である。
【0006】
さらに、狭い間隔の柵状・格子状の金属丸棒素材と底板との構造上の取り合いから、床を構成する底板は構造的に硬質のかつ厚みのある素材とせざるを得ず、それに起因して次のような問題が生じる。
まず、柵・格子と底板との構造上の取り合いや残飯・排便等の残渣の処理のため、底板の四周辺を曲げて船底状に立ち上がり部分を設け(図5)ざるを得ず、それが却って残渣の集積を招き、清掃を困難にし、清潔感を損なう結果となっている。
また、底板が硬質な素材であることから、クッション性にかけており、そのままでは睡眠に支障が生ずることからタオル・布・ペットマット等を使用するが、それが却って、毛羽立ったり寄り集まってかたまりとなってしまい、汚物の蓄積を招き易くしている。
また、愛玩動物用のシート状クーラ・ヒータを設けることがあるが、底板の構造上、それらは底板の上面に置かざる得ず、クーラ・ヒータの損傷や汚れを招きやすい。
【0007】
【特許文献1】特許電子図書館のFI・Fターム検索で、以下の条件で検索したが、該当すると思料できるものはありません。 「テーマ」 「2B101」 「条件」 「AA13*GA03」 発見された件数は、79件
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明は、上記のような諸事情を解決すべく考えだされたもので、室内片隅に簡易に設置でき、容易に分解し折り畳んで移動・設置ができ、非力な女性・子供にとって扱い易く、清掃・維持が容易な、かつ、小動物にとってもクッション性・居住性の良い、軽量・安価な小動物収納箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
膜状素材で箱を構成し、その膜状素材からなる箱を構造材で支える構造とした。
構造材は、対向する2面にX状構造の部材で面を構成し、両X状構造の部材の鏡像関係にある端子相互を直棒状部材で連結した。
【0010】
さらに、膜状素材からなる箱の底面部分を2重構造として、その2重構造の膜状素材の間に直棒状部材を挟持させる構造とした。
【0011】
また、直棒状部材を芯材と該芯材の回りに自在に回転する部材とから構成し、箱を構成する膜状素材が該直棒状部材に密着して展開が困難になることを防止した。
【発明の効果】
【0012】
膜状素材からなる箱を構造材で支える構造とし、構造材としては、対向する2面のX状構造の部材の端子を直棒状部材で連結する構造としたことから、小動物収納箱を構成する部材数を少なくすることができ、軽量化が可能となった。
さらに、直棒状部材の連結を外し、X状構造の部材を折り畳むことによって、構造材は、棒状の一括りに纏めることが可能となった。
また、箱は膜状素材からなることから、容易に折り畳んだり巻物状にすることができ、さらに棒状に一括りにされた構造材と一括りにできるようになった。
全体が軽量なこともあって、非力な人でも簡単に移動することができ、分解・組立が容易なことから他所への移設が可能となった。
【0013】
小動物収納箱を構成する構造材の数を少なくすることができたことから、従来品と比べて価格を上昇させることなく、構造材として硬質アルミニュウム材等を使用することができた。
これにより、さらなる軽量化が可能となるとともに、塗装等による防錆処理が不要となり、小動物に清潔かつ居住性の良い環境を提供することができ、飼育者にとっても収納箱維持のための費用・労力を軽減することができた。
【0014】
膜状素材からなる箱とし、構造材に直棒状部材を用いたのは、発明者が次の事項、即ち、膜状素材を所定な張り具合で展張させると犬歯と言えども噛むことはできないという効果に着目したからである。
また、膜状素材に厚手の素材を使用すれば、小動物の爪と言えども、切り裂くことは困難であることにも注視したからである。
なお、たとえ切り裂かれたとしても、補修は至って容易であり、また膜状素材からなる箱は安価であるから取替も廉価にかつ簡単に行うことができる。
【0015】
膜状素材からなる箱としたことから、構造材が直接小動物に噛まれることも無く、飲食物・餌等が外側へ飛散することもなく、小動物の頭を挟むこともなく、残飯・排便等の残渣・汚物の処理・清掃も至って容易である。また、同様の理由により、悪臭の広がりを減少させることができる。
【0016】
特に、膜状素材からなる箱の底面部分を2重構造としたことから、この2重部分にタオル・布・ペットマット等を挟みこめば、クッション性を確保でき、底面上面におくタオル・布・ペットマット等の量を少なくすることができることから、毛羽立つたり寄り集まってかたまりとなってしまう事態を大幅に軽減できる。
また、愛玩動物用のシート状クーラ・ヒータを2重構造部分に挟めば、クーラ・ヒータは移動せず位置が一定となって飼育し易くなり、その上、クーラ・ヒータが損傷を受けることもなく汚れとも無縁となる。
さらに、底面部分の2重構造の間に直棒状部材を挟持させたことから、箱の横幅を一定に保って、箱の膜状素材に所定の張り具合を与えて箱を展張させることができる。
【0017】
なお、箱の膜状素材には、厚手の塩化ビニール等の合成樹脂シートが用いられるが、これらは金属素材に密着しやすく、一旦密着すると、合成樹脂シートは金属素材の回りに自在に回転しなくなり、箱の膜状素材に所定の張り具合を与えて箱を展張させることが困難なものとなる。
そこで、本願発明では直棒状部材の芯材の外側に自在に回転する機構を設けて、密着することを防止し、膜状素材が直棒状部材の芯材回りに自在に回転するようにした。
【0018】
さらに、膜状素材からなる箱と該膜状素材を支える構造材とからなる小動物収納箱としたことから、小動物が飛び跳ねたりしても発生する騒音は小さくなり、また、小動物が噛んだり、掻きむしる部材も無くなったことから、騒音が格段に小さくなった。
これにより、特に夜間、飼育者自身の安眠が妨げられることも少なくなったことから、その効果は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
第1図は、本願発明の実施例の使用状態を示す斜視図である。
【0020】
膜状素材からなる箱30は、図2・図3に示すように、箱状に成型され、底面は箱底部上面材31および箱底部下面材32の2重構造となっている。
箱の上部において、直棒状部材20が設けられる部分は該直棒状部材が貫通できるように筒状に製作されており、他2辺の部分は紐36が貫通できるような筒状に製作されている。なお、箱には蓋を設けることもでき、図2に、蓋38を設けた場合を示す。
【0021】
X状構造部材10は、角状中空素材を2本用い、各素材の中点に開孔を設け、両開孔にピンを貫通させ、ピン回りに2本の素材が自在に回転するように、ピン結合したものである(図3)。
なお、図1には、1面にX状構造部材を1個使用した実施例を示したが、複数個使用してもよい。
【0022】
直棒状部材20は、図4に示す実施例では、芯材21の外側に回転自在な外管22が設けられており、芯材端部にはめねじが切られていて、固定部材26の端部のおねじに螺合するようになっている。
なお、外管は、筒状・網状の合成樹脂材を使用してもよく、また網状の合成樹脂材の場合には箱30の上部に設けた筒状部分と一体化してもよい。
また、実施例では、箱の上部の直棒状部材と箱下部の直棒状部材とは同一形状のものを使用しているが、異なる形状のものも使用できる。
【0023】
構造材として組立てられる際には、固定部材26は、X状構造部材10に設けられた開孔11を貫通して、芯材端部のめねじと螺合される(図4)。
固定部材の頂部には、硬片で回転締付けができるように溝27が切られているが、6角ボルト型式等としてもよい。
なお、実施例では、X状構造部材の直棒状部材20側には開孔12を設けており、その径は直棒状部材の芯材21が貫通する程度の径としてある。
一方、開孔11は、固定部材の端部の外径より少し大きめの径としてあるから、開孔12から貫通してきた芯材の端部はX状構造部材の内部で停止することになり、がたつきの少ない極めて堅固な組立が可能となっている。
【0024】
実施例の場合の組立て方は、次のようになる。
箱30の上部2辺に直棒状部材20を貫通させ、箱の底面の2重構造部分に2本の直棒状部材を通す。
次に、折り畳まれた状態のX状構造部材10を用い、X状構造部材に設けられた開孔11に固定部材26を通し、さらに、固定部材の端部のねじを直棒状部材の芯材21端部のめねじに螺合させる。
次に、折り畳まれた状態のX状構造部材をX状に開けば、収納箱は完成する。
この際、箱上部の紐36は、箱上面2辺が所定の張り具合となるように、伸長され、該2辺を有する面を所定の張り具合になるように展張し保持する。
また、直棒状部材の外管22と箱の上部に設けられた筒状部分が密着しても、外管は芯材に回転自在なことから、箱に適切な張り具合をもたせて展張させることができる。
その後、箱の2重構造部分にタオル・布等のクッション性のある詰め物41やヒータ等を挟みこめ、所定の位置に移動すれば、即快適な住環境を小動物に与えることが可能となる。
【0025】
なお、膜状素材からなる箱を所定な張り具合で展張させるには、以下の関係があることに注視する。
箱の底辺の幅を B、箱の高さを H、X構造部材の長さを A、X構造部材と底辺のなす角度を Θ とすると、箱の周長 L は、L=2H+B=A・2・SINΘ +A・COSΘ で与えられ、L は 折り畳んだ状態の Θ=90度 で 2A、Θが減少する(X状になる)につれ増加して最大値に達してから減少し、Θ=0度の状態で Aの長さとなる。
周長Lの最大値は、Θ=63.43度で、2.236A で与えられ、Θが37.26度で 2A になる。
一般に、通常の使用状態でのΘは、37.26度より大きいことから、37.26度より大きいΘが与えられると、底面の2重構造の長さBは決定し、高さHも決定されるから、箱に適切な張り具合をもたせて展張させることができる条件を算出し設計することができる。
具体的には、L を 2A より少し長めに製作しておけば、折り畳みに支障がなく、かつ展張容易な、所定の角度で展張できる収納箱とすることができる。
【0026】
分解は、上述の過程を逆にすればよく、構造材は棒状の一括りにでき、膜状素材からなる箱も折り畳んで、構造材と一括りにすることができる。
【0027】
なお、箱を構成する膜状素材には、一般には厚手の塩化ビニール等の合成樹脂シートが用いられ、それも透明なものが用いられるが、絵模様の付いたシートでもよく、また不織布・布等でもよい。
構造材としては、錆びない硬質アルミニュウム材や硬質の合成樹脂材が用いられる。
特に本願発明の収納箱の場合には、構造材は小動物に噛まれることもなく、飲食物や放尿等にさらされることもないから、従来品に比べ錆が発生する度合は極めて小さく、一層安価な製品とする場合には鉄素材も使用可能である。
【0028】
また、実施例では、箱を構成する1側面に、小動物の出し入れに出入用開孔34を設け、該開孔の両側にファスナーを設けて開閉の便を図っている。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本願発明は、愛玩用小動物愛好家にとって日常必要とする程の必需品となるものであり、産業上の利用可能性は極めて高いものである。
【0030】
また、本願発明を製品化するに際しては、構成部品が多分野に及ぶことから、多くの産業分野においても役立つものである。
【0031】
さらに、愛玩小動物を必要とする愛好家にとって、小動物の保護に完璧を期することができるものであるから、愛好家自身の精神面の健康を図る上でも多いに貢献できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例の全体を示す斜視図である。
【図2】実施例のA矢視断面を示す断面図である。
【図3】実施例のB矢視断面を示す断面図である。
【図4】X状構造材と直棒状部材の結合状態を示す斜視図である。
【図5】従来品を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
10 X状構造部材 30 箱
11 開孔 31 箱底部上面材
12 開孔 32 箱底部下面材
34 出入口用開孔
36 紐
38 蓋
20 直棒状部材
21 芯材 41 詰め物
22 外管
26 固定部材
27 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜状素材からなる箱と該膜状素材を支える構造材とからなる小動物収納箱であって、構造材は、対面にX状構造の部材を備え、両X状構造の部材の鏡像関係にある端子相互を直棒状部材で連結し、該箱は、底面部分に2重構造を有し該2重構造の膜状素材の間に直棒状部材を挟持させたこと、を特徴とする小動物収納箱
【請求項2】
請求項1記載の発明において、直棒状部材は芯材と該芯材の回りに自在に回転する部材とから構成されること、を特徴とする小動物収納箱

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−325414(P2006−325414A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149549(P2005−149549)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(505189350)
【Fターム(参考)】