説明

小型秤量システムのための平行案内機構

【課題】荷重作用方向に直交する平面内における秤量モジュールの寸法を可及的に小さくでき、かつ計測結果の分解能に悪影響を及ぼさないようにする。
【解決手段】秤量モジュールは、力伝達ロッドによって相互に連結された荷重受け部材と秤量セルとを備える。秤量モジュールは、設計空間の内部に設けられ、荷重作用方向に直交する平面内における前記設計空間の寸法は、隣接する秤量セルが占有する設計空間によってその限界が規定される。前記秤量セルは、平行案内機構を備え、前記力伝達ロッドに結合された1つの可動平行リンク構成部と、1つの固定平行リンク構成部とが、互いに所定の案内距離だけ離隔して配置され、1つの上側平行案内部と1つの下側平行案内部とを介して互いに連結されている。前記平行案内部の実効長さを前記案内距離より長くし、また、前記可動平行リンク構成部が前記設計空間の外へ突出することがないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、秤量モジュールに関し、また、実質的に均一性を有する秤量対象物を秤量するための装置に関するものであり、この装置は、所与の個数の秤量モジュールを備えており、それら秤量モジュールの各々は、力伝達ロッドを介して秤量セルに連結された荷重受け部材を有しており、各々の力伝達ロッドには、そのロッドの運動を規制してそのロッドを荷重作用方向にのみ移動させるための平行案内機構が備えられている。
【背景技術】
【0002】
実質的に均一性を有する秤量対象物を秤量することを目的として設計された装置が好適に用いられる用途としては、自動製造システムや自動試験システムにおける用途があり、これらのシステムは、複数のモジュール型の秤量装置(いわゆる秤量モジュール)を組込むのに、特に適したものである。基本的に、この種の用途に用いられる秤量装置では、秤量装置とは別に表示装置を設けるようにしており、具体的には、複数の秤量モジュールに対して1つの中央表示装置を設けてシステムを組むるようにしている。この種の組込型の秤量モジュールは、寸法が小さく比較的高価な物品の製造システムや試験システムに用いられ、例えば、製薬業界においては、錠剤、カプセル、それにアンプルなどの、充填機械やパッケージング機械に用いられており、また、ボールベアリングの検査などにも用いられている。実質的に均一性を有する秤量対象物の秤量や、いわゆるバッチ秤量などでは、その秤量の目的が、検査、定量供給、充填、等々のいずれにある場合であれ、限られた空間内で、複数の荷重の大きさを個別に秤量することが求められる。
【0003】
秤量対象物を個々の秤量モジュールの荷重受け部材の上に載置し、また、秤量後にそれを荷重受け部材の上から除去するには、例えばロボットアームに複数の把持機構を取付けた構造の搬送装置などが、一般的に用いられているため、個々の荷重受け部材どうしの間の相対位置、並びに、それら荷重受け部材の搬送装置に対する相対位置は、高精度で、しかも耐久性をもって設定されている必要がある。
【0004】
実質的に均一性を有する秤量対象物を秤量するために用いるこの種の装置として、従来より様々な装置が公知となっている。多くの場合、この種の装置は、複数の秤量モジュールを、列または2次元アレイを成すように配設して構成されている。また、別の構成として、一列に並べた複数の荷重伝達部材の周囲に、複数の秤量モジュールを衛星状に2次元的に配列したものがあり、複数の荷重伝達部材は、設置されている搬送装置の複数の供給装置の配設間隔に合わせるようにしており、このようにするのは、秤量モジュールの寸法が大きすぎるために、要求されている小さな間隔で複数の秤量モジュールを配設することが不可能なことがしばしばあるからである。
【0005】
複数の秤量セルを2次元的に配列した構成が、JP 01−212327 A公報に開示されており、同特許公報には、バネ材料から成る板材を使用して、センサ素子としての歪ゲージを備えた多数の秤量セルを製作するようにした、コスト的に有利な方法が記載されている。しかしながら、歪ゲージを用いた秤量セルは、電磁力補償方式の秤量セルとは異なり、マイクログラム単位からグラム単位の範囲の質量を測定するという用途には適していない。
【0006】
マルチチャネルピペットの重量測定試験のための装置が、DE 299 17 940 U1公報に開示されている。この装置は複数の秤量セルを備えており、それら秤量セルは同一平面上に、衛星状または行列状に配設される。マルチチャネルピペットの複数の試験体積を同時に重量測定するために、それら複数の秤量セルの夫々の荷重受け部材は、密集して配設されている。秤量セルを衛星状に配設するようにすれば、比較的大型の秤量セルを使用して、マルチチャネルピペットの試験を行うことができる。
【0007】
単一ストリング振動系方式の秤量セルが、CH 654 412 A5公報に開示されている。ジグザグ形状の2つのスプリング部材によって荷重受け部材を案内することで、荷重受け部材がコンソールに対して平行に移動するようにしている。この秤量セルにおいては、計測しようとする力が常に同一方向からストリングに作用するようにしていることが、秤量セルの計測精度に大きな影響を及ぼす原因となっている。2本の案内アームをジグザグ形状とすることで、それら案内アームの夫々の長さの変化の影響が相殺されるようにしてあり、それによって、温度が変化しても、コンソールに対する荷重受け部材の相対的な位置が変化しないようになっている。
【0008】
電磁力補償方式で機能する秤量セルは、秤量皿に作用する荷重によって発生する力を、永久磁石とコイルとで構成した力補償機構で補償するようにしたものであり、この補償力を発生させるためにそのコイルの中に流す電流を測定している。この電流の測定値は、秤量皿の上に載置された荷重に比例している。ただし、この電流の測定値は、永久磁石の磁界に対するコイルの相対位置によっても変化するため、その測定値を読み取るときには、コイルが永久磁石に対して常に同一の相対位置にある必要がある。そのためには、荷重を作用させているときのコイルの位置を位置センサで計測しつつ、そのコイルに流す電流を増大させて行き、それによって、荷重を作用させたことによって発生した永久磁石に対するコイルの相対的な変位をゼロに戻す。そして、その時点でコイルの電流を測定すれば、その測定値が、作用している荷重の重量を表すものとなる。この種の秤量セルは、CH 638 894 A5公報に開示されており、同特許公報の秤量セルでは、荷重受け部材と力補償機構との間に力伝達機構が配設されており、この力伝達機構が、荷重によって荷重受け部材に発生した力を、その荷重レンジに応じて縮小または増大した上で、力補償機構に伝達するようにしている。
【0009】
以上のものと同一の方式で機能する秤量セルが、CH 593 481 A5公報に開示されている。同特許公報において、荷重受け部材は、力伝達ロッドを介して力補償機構に直接的に連結されている。力伝達ロッドには、位置センサの構成要素のうちの可動部材が取付けられており、一方、位置センサの構成要素のうちの固定部材は、秤量セルのハウジング側取付部に固定結合されており、より一般的に述べるならば、力補償機構の不動部分に固定連結されている。この構成は、直接測定方式と呼ばれており、小荷重の荷重レンジで用いるのに適している。位置センサの分解能はそれほど大きなものではないため、この方式における計測精度は、事実上、位置センサの分解能によって決まる。
【0010】
荷重受け部材及び力補償機構のコイルは、秤量セルの不動部分に対して相対的に移動するように案内され、この案内は高精度で行われなければならない。この案内を行うための平行案内機構は、その可動平行リンク構成部が力伝達ロッドに結合され、その固定平行リンク構成部が秤量セルのハウジング側取付部に固定結合されている。可動平行リンク構成部と固定平行リンク構成部とは、2本の平行案内部を介して互いに連結されており、それら2本の平行案内部は、曲げ変形を生じないだけの剛性を有しており、薄肉可撓性連結部を備えている。ただし、それら平行案内部を、スプリングのように弾性変形するものとすることも可能であり、そうした場合には、薄肉可撓性連結部を省略することができる。荷重受け部材に荷重が作用すると、力伝達ロッドがその荷重作用方向に移動し、それによって平行案内部が変位するため、薄肉可撓性連結部が曲げ変形を生じるか、または、スプリングのように弾性変形する平行案内部が曲げ変形を生じる。薄肉可撓性連結部またはスプリングのように弾性変形する平行案内部は、板バネと同様に、平行案内部の変位角度に比例した大きさの回転モーメントを発生し、この回転モーメントによる力の作用方向は、曲げと逆方向であり、従って、荷重作用方向と逆方向である。薄肉可撓性連結部を厚く設計するほど、位置センサが検出可能な最小変位を発生させるために要する荷重差も大きくなる。従って、薄肉可撓性連結部ないし弾性変形可能な可撓性平行案内部の寸法もまた、秤量セルの分解能に大きな影響を及ぼす。
【0011】
以上に説明した従来技術に係る参考文献に開示されている平行案内機構に付随する短所は、使用材料の最大許容応力が、薄肉可撓性連結部の厚さの低減に対する制約となるために、可撓性連結部を更に薄くしたならば、ないしは、弾性変形する平行案内部を更に細くしたならば、過荷重が作用したときに非常に損傷し易いものとなるということである。この問題は、平行案内部を長くすることによって軽減することができる。なぜならば、それによって、位置センサが検出可能な最小変位に対応する可撓性連結部の角度変位量が減少するからである。しかしながら、それによって、均一性を有する秤量対象物を秤量するための装置に用いる秤量モジュールにとっては、その秤量モジュールの寸法が不都合なほど大きなものとなり、従って、その種の装置が、より高コストで、より大型で、より複雑なものとなってしまう。
【特許文献1】JP 01−212327 A公報
【特許文献2】DE 299 17 940 U1公報
【特許文献3】CH 654 412 A5公報
【特許文献4】CH 638 894 A5公報
【特許文献5】CH 593 481 A5公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って本発明の目的は、荷重作用方向に直交する平面内における秤量モジュールの寸法を可及的に小さくすることができ、しかも、その寸法が小さいということが、計測結果の分解能に悪影響を及ぼすことのない、秤量モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するための解決手段は、請求項1の特徴によって得られる。秤量モジュールは、力伝達ロッドによって相互に連結された荷重受け部材と秤量セルとを備えたものであり、この秤量モジュールは、設計空間の内部に設けられ、この設計空間の(荷重作用方向に直交する平面内における)寸法は、隣接する秤量セルが占有する設計空間によってその限界が規定され、従ってこの秤量セルのその平面内における最大寸法を表すものである。前記秤量セルは、平行案内機構を備えており、該平行案内機構は、前記力伝達ロッドに結合された少なくとも1つの可動平行リンク構成部と、少なくとも1つの固定平行リンク構成部とを備えており、それら平行リンク構成部は、互いに所定の案内距離だけ離隔して配置されて、少なくとも1つの上側平行案内部と少なくとも1つの下側平行案内部とを介して互いに連結されている。荷重作用方向に直交する方向における前記秤量モジュールの寸法を可及的に小さく抑えつつ、前記可動平行リンク構成部に作用させる変位力の最小限必要とされる大きさを軽減するための手段として、前記平行案内部の真っ直ぐに延ばしたときの実際の長さを、前記案内距離より長くしてある。ここでいう真っ直ぐに延ばしたときの長さは、前記平行案内部の曲げ応力中立軸線の長さで表すことができ、また、その長さは、前記平行リンク構成部に結合している結合部分までも含めた長さであって、前記平行案内部が薄肉可撓性連結部を含むものである場合には、その薄肉可撓性連結部までも含めた長さである。更に、前記可動平行リンク構成部が、前記設計空間の外へ突出することがないようにしてある。
【0014】
ここでいう「案内距離」とは、前記可動平行リンク構成部と前記固定平行リンク構成部との間の直接的な離隔距離である。この包括的概念に関しては、それら2つの平行リンク構成部を連結している平行案内部がいかなる形状に形成されていようと関係のないことである。
【0015】
前記平行リンク構成部に結合している結合部分までも含めた、また、前記平行案内部が薄肉可撓性連結部を含むものである場合にはその薄肉可撓性連結部までも含めた、前記平行案内部の、真っ直ぐに延ばしたときの実際の長さ、即ち、曲げ応力中立軸線の長さを、以下の説明では実効長さという。
【0016】
秤量モジュールの製作を簡明なものとするためには、また、均一性を有する秤量対象物を秤量するための装置において、個々の秤量モジュールの交換を容易にするためには、更に、平行案内機構の一部分たりとも、秤量セルから、荷重作用方向に直交するどの方向へも突出することがないようにしておくことが求められる。従って、前記可動平行リンク構成部が、対応する秤量モジュールの設計空間の内部に収まるようにしておく必要がある。その極限の場合としては、荷重作用方向に直交する平面で切断したときの、前記可動平行リンク構成部の切断面の輪郭形状、ないしは前記固定平行リンク構成部の切断面の輪郭形状が、当該設計空間の切断面の輪郭形状と一致しているようにすることができる。
【0017】
請求項1に記載したところの、力伝達ロッドの平行案内機構の構成によれば、可撓性連結部ないし弾性変形可能な平行案内部によって発生する弾性復元力が小さなものとなり、そのため、測定値の分解能の低下は非常に小さなもので済み、しかも、平行案内機構の寸法を非常に小さく抑えることができる。
【0018】
平行案内部は、スプリングのように弾性変形可能なものとして、それを固定平行リンク構成部及び可動平行リンク構成部に剛結合した構成とすることができる。或いはまた、平行案内部を、剛性の比較的大きなものとして、薄肉可撓性連結部を介して固定平行リンク構成部及び可動平行リンク構成部に連結した構成とすることも可能である。
【0019】
1つの実施の形態では、平行案内機構を、複数の個別部品を組立てて構成するようにしており、ここで複数の個別部品とするのは、例えば、固定平行リンク構成部、可動平行リンク構成部、薄肉可撓性連結部、平行案内部などであり、それらを、例えばネジやリベットなどの止着手段によって、互いに結合するようにする。
【0020】
別の実施の形態に係る平行案内機構では、上側平行案内部を、上側固定平行リンク構成部及び上側可動平行リンク構成部と一体的に形成している。同様に、下側平行案内部も、下側固定平行リンク構成部及び下側平行リンク構成部と一体的に形成している。そして、上側固定平行リンク構成部及び下側固定平行リンク構成部が、秤量セル・ハウジングに固定結合され、この固定結合は、直接結合としてもよく、或いは中間部材を介した結合としてもよい。一方、上側可動平行リンク構成部及び下側可動平行リンク構成部は、力伝達ロッドを介して互いに連結される。
【0021】
平行案内機構を、秤量セルと荷重受け部材との間に配設し、可動平行リンク構成部によって力伝達ロッドに結合するようにするのもよい。
【0022】
更に別の可能な構成形態として、上側平行案内部を、秤量セルと荷重受け部材との間に配設して、上側可動平行リンク構成部によって力伝達ロッドに結合するようにし、一方、下側平行案内部は、秤量セルの荷重受け部材とは反対側の面に配設して、下側可動平行リンク構成部によって力伝達ロッドの秤量セルから突出している部分に結合するようにするのもよい。
【0023】
複数の平行案内機構を単一のブロック部材または板状部材に形成することが好ましく、またその場合には、材料除去部を形成するために、ドリル加工やフライス加工、ウォータージェット切削加工、レーザ切削加工、打ち抜き加工、それに放電加工などを用いるとよい。
【0024】
以上のようにして平行案内機構を製作することにより、多種多様な構成形態の平行案内機構を製作することができる。可能な構成形態のうちには、平行案内部の形状を、荷重作用方向に直交する方向に延在する平面内においてジグザグ形状に折り返した形状としたものが含まれる。このようなジグザグ形状の平行案内機構を弾性変形させて、荷重作用方向またはそれと逆方向に変位させて、その可動平行リンク構成部が、固定平行リンク構成部の延在平面から平行にオフセットした荷重作用方向と直交する平面内に位置するようにしたならば、それによって、ジグザグ形状のパターンを有する平行案内部は、四角錐形状を呈するようになる。
【0025】
ジグザグ形状の平行案内部を備えた平行案内機構の更に別の実施の形態として、その平行案内部を、荷重作用方向を包含する平面内において折り返した形状にしたものがある。
【0026】
更に、同心円形状の平行案内ダイアフラムを使用して、その断面形状を、台形波形状、三角波形状、または正弦波形状とすることも可能である。
【0027】
平行案内ダイアフラムを平板形状のものとし、そのダイアフラムの延在平面に直交する方向に渦巻形または同心円状の複数の開口を形成したものとすることも可能である。同心円状の複数の開口を備えた平行案内ダイアフラムは、複数のリング形バネ部分を有するものであり、各々の開口ごとに、少なくとも1つの材料連結部を必要とし、その材料連結部によって、1つのバネ部を別のバネ部に連結し、或いは、バネ部を固定平行リンク構成部や可動平行リンク構成部に連結する。また、かかる材料連結部は、平行案内ダイアフラムの剛性を可及的に小さくするために、互いに位置をずらして配置する。このような、渦巻形または同心円状の複数の開口を形成した平行案内ダイアフラムを弾性変形させて、荷重作用方向またはそれと逆方向に変位させて、その可動平行リンク構成部が、固定平行リンク構成部の延在平面から平行にオフセットした荷重作用方向と直交する平面内に位置するようにしたならば、それによって、渦巻形または同心円状に開口を形成したパターンを有する平行案内部は、円錐形状を呈するようになる。
【0028】
ダイアフラムの延在平面に直交する方向に複数の線状の開口を穿設することによって、平行案内ダイアフラムを、複数の板バネ部が組合わされた構成とすることも可能である。
【0029】
ジグザグ形状の平行案内部を備えた平行案内機構ないしは平行案内ダイアフラムを備えた平行案内機構では、全ての平行案内機構において特に次のことを留意する必要があり、それは、固定平行リンク構成部と可動平行リンク構成部との間を連結して延在する上側平行案内部及び下側平行案内部を、夫々複数ずつ備えた構成においては、複数の上側平行案内部の間に、また、複数の下側平行案内部の間に、対称性が存在している必要があるということであり、このことは、可動平行リンク構成部の変位が、荷重作用方向またはその逆方向以外には発生しないようにするために、即ち、個々の上側平行案内部の間に、及び/または、個々の下側平行案内部の間に、非対称的に分布する力が作用することによって、可動平行リンク構成部が傾き、荷重作用方向からずれてしまうことがないようにするために、必要なことである。
【0030】
ダイアフラム・スプリングの概要については、例えば、"Konstruktionselemente der Feinmechanik"(精密機構の構成要素)、W. Krause著、第2版、Carl Hanser Verlag発行、Munich/Vienna(1993年刊)などに記載されているが、ただし、同文献の422頁に列挙されているダイアフラム・スプリングの全てが、平行案内機構に用いるのに適しているわけではないことに注意されたい。平行案内ダイアフラムは、非常に薄い部品であるため、開口を形成するには、放電加工、打ち抜き加工、ウォータージェット切削加工、レーザ切削加工、フォトエッチング加工、等々の方法を用いるとよい。
【0031】
秤量セルを用いて高精度の計測結果を得る上で重要な要因として、固定平行リンク構成部の形状安定性と、固定平行リンク構成部を秤量セルで支持する支持の仕方、ないしは、固定平行リンク構成部を秤量セルへ固定する固定の仕方がある。理想的には、固定平行リンク構成部は、秤量セル・ハウジングの輪郭形状と同じ輪郭形状を持つものとするのがよい。更に、固定平行リンク構成部を、その内部に平行案内部を配置した閉じた枠状体として構成すると非常に有利である。更に、非常に薄い固定平行リンク構成部は、その外縁領域にロール加工或いは折曲げ加工を施したり、補強ビードを圧印形成したりするとよく、それによって、その曲げ剛性を飛躍的に向上させることができる。外縁領域のロール加工は、薄い金属板の外縁領域の部分を巻上げるものであり、これは、例えば金属板で缶を製造するためなどに使用されている技法である。外縁領域を折曲げるというのは、本発明に関しては、外縁部分を折曲げて金属板部材の直立させることを意味しており、これによって、外縁領域をアングル形状として、金属板部材の曲げ剛性を向上させることができる。ただし、例えばフライス加工などにより、同様の外縁領域を形成するようにしてもよい。また、このことは、圧印によってビードを形成する替わりに突条を形成する場合にも、いえることである。以上の概念を採用することによって、固定平行リンク構成部が可及的に広い領域で支持されるようになり、そのため、装置に作用する荷重によって変形することがなくなり、また、材料に内部応力を発生させるおそれのある結合部材を、弾性変形により曲げ変形を生じる平行案内部ないしは薄肉可撓性連結部から、可及的に遠く離すことが可能となる。もし必要と思われるのであれば、可動平行リンク構成部にも、同様にして、剛性を高めるためのビードまたは突条を形成して、その全長に亘って、またはその長さの一部に亘って、曲げ剛性を向上させるようにすればよい。
【0032】
実質的に均一性を有する秤量対象物を秤量するための装置を構成するためには、複数の秤量モジュールを、所定の3次元的または2次元的な配列として、互いに固定結合するようにするとよい。
【0033】
個々の秤量セルは、様々な止着手段によってそれらを互いに直接結合することができるように構成されている。ただし、複数の秤量モジュールを互いに固定結合する際に、個々の秤量モジュールを取付ける搭載構造体を介して、それらを間接的に結合するようにしてもよい。搭載構造体としては、例えば、複数の孔を適切な配列で形成した板状部材や、中間部材であるスペーサ部材、枠状部材、等々を用いることができる。ここでいう「適切な配列で形成した複数の孔」とは、板状部材などの本体部材に所定の相対位置をもって形成された複数の孔ないし開口の配列のことである。
【0034】
共通する特徴として、複数の秤量セルを互いに固定結合するための止着手段は、例えばネジ、ピン・リベット、ボルトなどのような、一定の形に合うように作られた取外し可能もしくは取外し不能な止着手段を含む他に、更に、秤量セル自体に形成された、突起、嵌合凹部、係止凸部、孔部、陥凹部、等々をも含むものである。変位の限界を定める直線案内移動の規制部なども、止着手段ないし止着領域として好適に利用することができる。更に、秤量セル、平行案内機構、それに場合によっては更に搭載構造体などを相互に結合するための手段としては、クランプ結合、くさび結合、スナップ結合、カシメ結合、接着結合、ハンダ付け、溶着、融着、収縮嵌合、等々の、取付手段として用いられている様々な方法を採用することができる。
【0035】
1つの実施の形態では、少なくとも2つの秤量モジュールを並設するようにしている。このように列を成すよう複数の秤量モジュールを配設する場合には、それら複数の秤量モジュールの複数の秤量セル・ハウジングを、一体的に形成することができる。また同様にして、全ての秤量セル・ハウジングを一列に並べて互いに結合し、或いは全体として板状に成るように一体化することができ、即ち、全ての秤量セル・ハウジングを一体的に接続した状態の単一の板状部材として製作することができる。
【0036】
好適な1つの実施の形態においては、荷重受け部材に結合した力伝達ロッドが、秤量セルを完全に貫通して延在するようにしている。上側平行案内部は、荷重受け部材と秤量セルとの間で、秤量セルの力伝達ロッドに結合されている。下側平行案内部は、秤量セルの荷重受け部材とは反対側の面に設けられ、その位置において、秤量セルを完全に貫通して延在している力伝達ロッドに結合されている。
【0037】
本発明において荷重受け部材とは、秤量対象物を載置するために使用することのできる任意の形状の器具をいう。これに含まれるものとして、特に、その上に上部構造体を取付けることのできる荷重受けプラットフォームがある。また更に、一般的に秤量皿と呼ばれているものもこれに含まれる。荷重受け部材の上に、付加的な上部構造物やアダプタを載置するようにしてもよい。
【0038】
平行案内機構が材料ブロックから一体形成したものであるにせよ、また個別の部品を組立てて構成したものであるにせよ、各々の秤量モジュールは、その秤量モジュールに対応した平行案内機構を備えている。
【0039】
特に好適な実施の形態においては、複数の平行案内機構が組合わされて単一の板状部材として形成されており、この場合、それら複数の平行案内機構は、個別の部品を組立てて構成したものとしてもよく、その板状部材に直接形成したものとしてもよい。また、その板状部材は、全ての秤量セルに亘って延在するものとしてもよく、その場合には、その板状部材は、均一性を有する秤量対象物を秤量するための1台の装置に含まれる全ての平行案内機構を含むものとなる。一方、その板状部材は、そのような1台の装置に含まれる全て平行案内機構を、複数の板状部材に分配して、それら複数の板状部材を並設するようにしてもよく、その場合には、それら複数の板状部材を、荷重作用方向に直交する方向に延在する同一平面上に配設してもよいが、ただしそのようにすることは必ずしも必要なことではない。当然のことながら、複数の秤量セルは、複数の平行案内機構の固定平行リンク構成部集合体を形成している板部材に固定結合されている必要があり、一方、複数の平行案内機構の夫々の可動平行リンク構成部(それらは、板状部材からkせいせいされているものであっても、板状部材に取付けられたものでもよい)は、複数の秤量セルの夫々の力伝達ロッドに結合されている。
【0040】
複数の秤量セル及び複数の板状部材に関するこの構成を更に発展させた実施の形態においては、全ての上側平行案内部を上側固定平行リンク構成部集合体に設け、全ての下側平行案内部を下側固定平行リンク構成部集合体に設けるようにしている。上側固定平行リンク構成部集合体の複数の可動平行リンク構成部は、荷重受け部材と秤量セルとの間において、夫々の秤量セルの力伝達ロッドに結合されている。下側固定平行リンク構成部集合体の複数の可動平行リンク構成部は、夫々の秤量セルの荷重受け部材とは反対側の面に設けられ、秤量セルを貫通して延在している対応する力伝達ロッドに結合されている。
【0041】
好適な更に発展させた1つの実施の形態においては、複数の秤量モジュールが少なくとも2つの平面内に配設されて上下に配設されており、各々の平面内の複数の秤量モジュールが列または2次元的配列を成すようにしている。下側平面の複数の力伝達ロッドが、上側平面の複数の秤量モジュールの外部を、適切に延在できるように、1つの平面内の複数の秤量モジュールを、その上及び/またはその下の平面内の複数の秤量モジュールに対して相対的にオフセットさせて配設するとよい。各々の秤量モジュールは、他の秤量モジュールから完全に独立した平行案内機構を有する。
【0042】
特に好適な更に発展させた1つの実施の形態においては、複数の秤量モジュールが少なくとも2つの上下に位置する平面内に配設され、複数の平行案内機構が固定平行リンク構成部集合体に組込まれている。
【0043】
複数の平面の各々において、複数の秤量モジュールの夫々の上側平行案内部を一体的に組合わせて上側固定リンク構成部集合体とし、夫々の下側平行案内部を一体的に組合せて下側固定リンク構成部集合体とする場合には、2つの平面の間に配設される複数の固定リンク構成部集合体を一体的に組合せて、固定リンク構成部集合体の結合体とし、そして、2つの平面の間に位置するこの固定リンク構成部集合体の結合体が、上側平面の複数の秤量セルの夫々の平行案内部と、下側平面の複数の秤量モジュールの平行案内部とを共に担持しているようにすることができる。秤量モジュールを配設する平面の数は、秤量モジュールの寸法と、荷重受け部材の必要個数とに応じて適宜定めればよく、荷重受け部材の必要個数は、秤量対象物が荷重受け部材の上へ移相する位相の仕方によって異なったものとなる。
【0044】
複数の秤量モジュールを複数の平面内に配設した場合には、例えば、それら秤量モジュールの夫々の荷重受け部材を単一の平面内に配設するためには、それら秤量モジュールが夫々に異なった長さの力伝達ロッドを備えることになり、そのような場合には、それら秤量モジュールが互いに異なった予荷重を持つことになる。このような異なった予荷重は、補償用錘を利用して、即ち、例えば、より短い力伝達ロッドを備えた秤量モジュールには螺合部材を付加することによって用いて大きさを揃えることができる。空間上懸架許すならば、補償用錘は、より具体的には予荷重補償用錘は、力伝達ロッドと、平行案内機構の可動平行リンク構成部との間の、取付領域取付けるようにするとよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明に係る秤量モジュールの詳細、並びに、均一性を有する秤量対象物を秤量するための秤量装置の詳細については、図面に示した実施の形態の説明を通して明らかにして行く。
【0046】
図1に斜視図で示したのは、搭載構造体101及び2つの本発明に係る秤量モジュール110A、110Bであり、それらによって、実質的に均一性を有する秤量対象物を秤量するための装置100が構成されている。秤量モジュール110A、110Bの各々は秤量セル111A、111Bを有しており、それら秤量セル111A、11Bには荷重受け部材150A、150Bが取付けられている。秤量モジュール110A、110Bの各々は、設計空間112A、112Bの中に収まるように構成されている。荷重作用方向に直交する平面内における各々の設計空間の寸法は、隣接する秤量セル111A、111Bが占有する設計空間によってその限界が規定され、従って、夫々の設計空間112A、112Bの内部に収まる秤量セル111A、111Bのその平面内における最大寸法を表すものである。一方、荷重作用方向における寸法は、例えば、搭載構造体に固定結合されるハウジング床部113などによってその限界が規定される。荷重作用方向と逆方向における設計空間112A、112Bの限界は、例えば、荷重受け部材150A、150Bの上側リムによって規定され、なぜならば、荷重受け部材150A、150Bの上方の空間は、通常、コンベヤ装置(図1では不図示)の作動空間に取られてしまうからである。
【0047】
秤量モジュール110Aは止着手段190を介して搭載構造体101に固定結合されており、この止着手段190は例えばネジなどである。秤量モジュール111Aの秤量セル111Aは、コイル(図1では不図示)を有している。このコイルは秤量セル111Aの中に収容されており、秤量セル111Aを貫通して荷重作用方向に延在している力伝達ロッド160Aに結合されている。荷重受け部材150Aは、力伝達ロッド160Aの上端に取付けられている。
【0048】
荷重受け部材150Aと秤量セル111Aとの間に、上側平行案内ダイアフラム130Aが配設されており、この上側平行案内ダイアフラム130Aの上側平行案内部131Aが、上側可動平行リンク構成部132Aを、上側固定平行リンク構成部133Aから所定の案内距離だけ離隔させて、この上側固定平行リンク構成部133Aに連結している。
【0049】
ここでいう「案内距離」とは、平行案内ダイアフラム130Aの可動平行リンク構成部132Aと固定平行リンク構成部133Aとの間の直接的な離隔距離である。この概念に関しては、それら2つの平行リンク構成部を連結している平行案内部131Aがいかなる形状に形成されていようと関係のないことである。
【0050】
ただし、平行案内部131Aは、その実効長さが平行案内ダイアフラム130Aの案内距離よりはるかに長くなるように構成されている。ここでいう実効長さとは、平行リンク構成部132A、133Aに結合している結合部分までも含めた、この平行案内部131Aの、真っ直ぐに延ばしたときの実際の長さ、即ち、曲げ応力中立軸線の長さのことである。
【0051】
上側可動平行案内リンク構成部132Aは力伝達ロッド160Aに結合されており、上側固定平行案内リンク構成部133Aは秤量セル111Aに固定されている。同様に、下側平行案内ダイアフラム140Aが、秤量セル111Aの、荷重受け部材150Aとは反対側の面に設けられており、この下側平行案内ダイアフラム140Aの下側平行案内部141Aは、図1の秤量セル111Aの破断部分に示したように、下側可動平行リンク構成部142Aを下側固定平行リンク構成部143Aに連結している。更に、下側可動平行リンク構成部142Aは力伝達ロッド160Aに結合されており、下側固定平行リンク構成部143Aは秤量セル111Aに固定されている。
【0052】
秤量モジュール111Aについての以上の説明は、秤量モジュール110Bにも、また秤量モジュール110Bの上側平行案内ダイアフラム130B及び下側平行案内ダイアフラム140Bにも、同じく当てはまるものである。
【0053】
均一性を有する秤量対象物を秤量するための秤量装置100において、隣接して配設されている秤量モジュール110A、110Bを何ら支障なく交換できるようにするには、どの秤量モジュール110Aも、その一部分たりとも、その設計空間112Aの境界面を超えて突出することがないようにしておくことが求められる。従って、可動平行リンク構成部132Aが、設計空間112Aの内部に収まるようにしておく必要がある。その極限の場合としては、荷重作用方向に直交する平面で切断したときの、可動平行リンク構成部132Aの切断面の輪郭形状、ないしは平行案内部131Aの切断面の輪郭形状、ないしは固定平行リンク構成部133Aの切断面の輪郭形状が、設計空間の切断面の輪郭形状と一致しているようにすることができる。
【0054】
当然のことながら、本発明に係る構成は、2つの秤量モジュール110A、110Bを備えた構成に限定されない。任意の個数の秤量モジュールを、前後に或いは左右に並べて2次元配列とすることができ、その場合に、互いに隣接する2つずつの秤量セルを図示したようにグループとすることができる。
【0055】
図2に様々な形態の平行案内ダイアフラムを示した。ただし、それらは可能な全ての形態を網羅したものではない。図2a〜図2cに示したのは、回転対称形状の平行案内ダイアフラム20、30、40の断面図であり、それらは、平行案内部21、31、41の断面形状が異なるだけで、その他の点では互いに同一である。回転対称形状の平行案内ダイアフラム20、30、40は、荷重受け部材(図2a〜図2cでは不図示とした)と秤量セル1000との間に配設され、固定平行リンク構成部23、33、43は秤量セル1000に固定結合されている。回転対称形状の平行案内ダイアフラム20、30、40の可動平行リンク構成部22、32、42は力伝達ロッド1600に固定結合されている。固定平行リンク構成部23、33、43と、可動平行リンク構成部22、32、42との間に位置し、それら2つの平行リンク構成部を互いに連結している平行案内部21、31、41は、荷重作用方向から見たときに回転対称形状を呈するように形成されている。それら平行案内部21、31、41は、同心円形状に形成されており、図示したそれら可能な形態の平行リンク構成部うち、平行リンク構成部21の断面形状は三角波状であり、平行リンク構成部31の断面形状は台形波状であり、平行リンク構成部41の断面形状は正弦波状である。力伝達ロッド1600の運動を規制して平行案内移動させるには、第2の平行案内ダイアフラム20、30、40(図2a〜図2cでは不図示)が必要であり、これは、上で説明した回転対称形状の平行案内ダイアフラム20、30、40と同一構成のものであって、第1の平行案内ダイアフラム20、30、40から離隔した位置に配設される。
【0056】
図3aに示したのは、平行案内ダイアフラム50の平面図であり、この平行案内ダイアフラム50においては、固定平行リンク構成部53の輪郭形状が、秤量モジュールの荷重作用方向に直交する平面で切断した設計空間の断面形状に一致している。弾性変形可能な平行案内部51は、平行案内ダイアフラム50の延在平面に直交する方向に穿設された複数のU字形の開口56によって、ジグザグ形状に形成されている。平行案内部51は、平行案内ダイアフラムの中央に位置する可動平行リンク構成部52を固定平行リンク構成部53に連結しており、この固定平行リンク構成部53は、平行案内ダイアフラム50の延在平面内において平行案内部51及び可動平行リンク構成部52を囲繞する閉じた枠体を形成している。固定平行リンク構成部53の外縁領域に形成されている複数の孔54は、平行案内ダイアフラム50を秤量セル・ハウジングに固定するためのものである。可動平行リンク構成部52には、秤量セルの構成要素である力伝達ロッドを結合するための貫通孔55が形成されている。
【0057】
図3bに示したのは、平行案内ダイアフラム60の平面図であり、この平行案内ダイアフラム60においては、固定平行リンク構成部63の輪郭形状が、秤量モジュールの荷重作用方向に直交する平面で切断した設計空間の断面形状に一致している。弾性変形可能な平行案内部61には、複数のU字形及びアングル形の開口66が平行案内ダイアフラム60の延在平面に直交する方向に穿設されることで複数の板バネ部分が画成されており、それら複数の板バネ部が直列及び並列に組合わされることによって平行案内部61が形成されている。平行案内部61は、平行案内ダイアフラム60の中央に位置する可動平行リンク構成部62を固定平行リンク構成部63に連結しており、この固定平行リンク構成部63は、平行案内ダイアフラム60の延在平面内において平行案内部61及び可動平行リンク構成部62を囲繞する閉じた枠体を形成している。固定平行リンク構成部63の外縁領域に形成されている複数の孔64は、平行案内ダイアフラム60を秤量セル・ハウジングに固定するためのものである。可動平行リンク構成部62には、秤量セルの構成要素である力伝達ロッドを結合するための貫通孔65が形成されている。
【0058】
上述した開口は、その延在方向が直角に変化するものであることを必ずしも必要とはしていない。その角度を90°より大きなものとすることも、90°より小さなものとすることも可能であり、平行案内部61の星形配列に対応した角度とすればよい。U字形の開口66に替えて、M字形の開口66を穿設するようにしてもよい。
【0059】
図3cに示したのは、平行案内ダイアフラム70の平面図であり、この平行案内ダイアフラム70においては、固定平行リンク構成部73の輪郭形状が、秤量モジュールの荷重作用方向に直交する平面で切断した設計空間の断面形状に一致している。平行案内ダイアフラム70の延在平面に直交する方向に穿設されてこの平行案内ダイアフラムの中心に対して同心的に設けられた複数の円弧形の開口76によって、材料架橋部78を介して相互に連結された複数のリング形バネ部分77から成る構造が形成されている。それら複数のリング形バネ部分77の各々は、2つの材料架橋部を介して隣接するリング形バネ部分に連結されており、2つのリング形バネ部分77の間に設けられた2つの材料架橋部78は互いに180°離隔して、輪郭形状における互いに対向する二辺に平行に延在している。更に、互いに隣接するリング形バネ部分77の材料架橋部どうしは、互いに角度を90°ずらしてあり、これによって、平行案内部71の実行長さを最大にしている。平行案内部71は、平行案内ダイアフラム70の中央に位置する可動平行リンク構成部72を固定平行リンク構成部73に連結しており、この固定平行リンク構成部73は、平行案内ダイアフラム70の延在平面内において平行案内部71及び可動平行リンク構成部72を囲繞する閉じた枠体を形成している。固定平行リンク構成部73の外縁領域に形成されている複数の孔74は、平行案内ダイアフラム70を秤量セル・ハウジングに固定するためのものである。可動平行リンク構成部72には、秤量セルの構成要素である力伝達ロッドを結合するための貫通孔75が形成されている。
【0060】
図4aに示したのは、平行案内ダイアフラム80の平面図及び断面図であり、この平行案内ダイアフラム80の構成は、図3cに関して詳細に説明した平行案内ダイアフラムと非常によく似ている。図3cの実施の形態との相違点は、固定平行リンク構成部83の強度を高めるために、この固定平行リンク構成部83の外縁領域89がその全周に亘って折曲げられていることにある。更に、平行案内部81の材料架橋部88は、固定平行リンク構成部83に形成されている孔84へ向かって延在しており、即ち、固定平行リンク構成部83の正方形の輪郭形状の対角線方向に延在している。孔84は、止着手段を介して、平行案内ダイアフラム70を秤量セル・ハウジングに固定するためのものである。
【0061】
図4bに示したのは、平行案内ダイアフラム90の平面図及び断面図であり、この平行案内ダイアフラム90においては、固定平行リンク構成部93の輪郭形状が、秤量モジュールの荷重作用方向に直交する平面で切断した設計空間の断面形状に一致している。弾性変形可能な平行案内部91は、平行案内ダイアフラム90の延在平面に直交する方向に穿設された複数の渦巻形の開口96によって、渦巻形に形成されている。平行案内部91は平行案内ダイアフラム90の中央に位置する可動平行リンク構成部92を固定平行リンク構成部93に連結しており、この固定平行リンク構成部93は、平行案内ダイアフラム90の延在平面内において平行案内部91及び可動平行リンク構成部92を囲繞する閉じた枠体を形成している。固定平行リンク構成部93の外縁領域に形成されている複数の孔94は、平行案内ダイアフラム90を秤量セル・ハウジングに固定するためのものである。可動平行リンク構成部92には、秤量セルの構成要素である力伝達ロッドを結合するための貫通孔95が形成されている。固定平行リンク構成部93にはその全周に亘って補強ビード97が圧印されており、これによって固定平行リンク構成部93の剛性が高められている。補強ビード97の内周縁は渦巻形の開口96の貫通孔95から遠い側の端部に隣接している。当然のことながら、補強ビード97の形状を、貫通孔95に対して同心的なものとすることは必ずしも必要とされない。補強ビード97の形状は、平行案内ダイアフラム90の延在平面内を延在する多角形の形状としてもよく、また、非連続的な形状としてもよい。圧印加工により形成するビード97に替えて、フライス加工によって固定平行リンク構成部93に突条を一体形成することによって、或いは、別部材として形成した突条を、カシメ、接合、あるいは締結などの方法によって固定平行リンク構成部93に取付けることによって、固定平行リンク構成部93を補強するようにしてもよい。
【0062】
図4cに示した平行案内ダイアフラム10は、図4bに示した平行案内ダイアフラムと殆ど同一構成のものであるが、ただし、この平行案内ダイアフラム10の形状は、可動平行リンク構成部12が、固定平行リンク構成部13の延在平面から離隔してそれと平行に延在する別の平面内を延在するような形状に形成されている。そのため、複数の渦巻形の平行案内部11が、固定平行リンク構成部13から可動平行リンク構成部12まで、円錐面に沿って旋回するように延在している。図2aに関連して説明したように、平行案内ダイアフラムを用いて構成する平行案内機構は、1つの平行案内機構が2つの平行案内ダイアフラムを必要とする。図4cの平行案内ダイアフラムを使用する場合には、第1の平行案内ダイアフラム10の円錐台形状の部分と第2の平行案内ダイアフラム10の円錐台形状の部分とが、同一方向を向くようにするとよく、そうした場合には、それら2つの平行案内ダイアフラムは、その形状に関しても互いにパラレルな関係になる。ただし、第2の平行案内ダイアフラム10の円錐台形状の部分を、第1の平行案内ダイアフラム10の円錐台形状の部分とは逆方向に向けることも可能である。更に、当然のことながら、2つの平行案内ダイアフラム10の円錐台形状の部分が、互いに向き合うようにすることも可能であり、そうした場合には、それらの可動平行リンク構成部12どうしの間隔が、それらの固定平行リンク構成部13どうしの間隔よりも狭くなることになる。
【0063】
図5に示したのは、秤量モジュール310の斜視図であり、この秤量モジュール310の秤量セル311は基本的に、図1に関連して説明した秤量セルと同一の設計概念に従って構成されている。図1に示した秤量モジュールとの相違点は、この秤量モジュール310においては、上側平行案内構造部330が、荷重受け部材350と秤量セル311との間に設けられ、下側平行案内構造部340が、秤量セルの荷重受け部材350とは反対側の面に設けられ、また、それら平行案内構造部330及び340が、秤量セル311の秤量セル・ハウジング319に一体に接続した状態で形成されていることにある。上側平行案内部331は、荷重作用方向を包含する平面内で折り返された形状に形成されている。荷重作用方向に直交する平面に沿って秤量セル・ハウジング319に切り込むように形成され三方の側面に開口している切り込み335が3つ設けられ、それによって平行案内部331が形成されている。それら切り込みは三段に重ねて設けられており、荷重作用方向に隣接する切り込み335どうしは互いに反対側の側面から切り込むように形成されている。各々の切り込み335の最奥部は、幅の広い切り込み先端縁部336として形成されており、この切り込み先端縁部336と、その切り込み335の延在平面上で、ただし秤量セル・ハウジングのその切り込みが通っていない側面に形成された凹溝部337とによって、薄肉可撓性連結部338が形成されている。複数の切り込み335によって形成された平行案内部331の複数の板状部は、それら薄肉可撓性連結部338を介して、相互に連結され、また可動平行リンク構成部332に連結され、また秤量セル・ハウジング319に連結されている。エンドプレート339が、可動平行リンク構成部332と力伝達ロッド360とを連結している。平行案内部341を備えている下側平行案内構造部340も、上側平行案内構造部330と同様に構成されている。
【0064】
尚、当然のことながら、平行案内部331は、弾性変形する可撓性を有する部材とすることも可能であり、そうした場合には薄肉可撓性連結部338は不要となる。
【0065】
図6は、秤量モジュール410の斜視図であり、この秤量モジュール410では、上側平行案内ダイアフラム430が荷重受け部材350と秤量セル311との間に配設され、上側固定平行リンク構成部433が止着手段490を介して秤量セル411の秤量セル・ハウジング419に固定されている。秤量セル411の荷重受け部材450とは反対側の面において、下側平行案内ダイアフラム440の下側固定平行リンク構成部443が同様に秤量セル・ハウジング419に固定されている。上側平行案内ダイアフラム430は、図3aに示したダイアフラムに対応した構成であるが、ただし、荷重伝達ロッド460に結合している上側可動平行リンク構成部432を、固定平行リンク構成部433に対して相対的に、荷重作用方向と逆方向にオフセットさせたものである。このようにオフセットさせた上側可動平行リンク構成部432と、上側固定平行リンク構成部433と、上側平行案内部431とで、ジグザグ形のパターンを有する四角錐形状の平行案内ダイアフラム430が形成されている。以上の説明は、下側平行案内ダイアフラム440にもそのまま当てはまるものであり、秤量セル・ハウジング419の破断図により明らかなように、下側平行案内ダイアフラム440の下側平行案内部441は、秤量セル411を貫通して延在している力伝達ロッド442に、下側可動平行リンク構成部442を介して連結されている。ただし下側可動平行リンク構成部442をオフセットさせる方向は、上側可動平行リンク構成部432のオフセットの方向と同一方向(図示例では荷重作用方向と逆方向)にすることは必ずしも必要ではなく、下側可動平行リンク構成部442を、下側固定平行リンク構成部443に対して相対的に、荷重作用方向と同一方向にオフセットさせたものとしてもよい。
【0066】
図7に示したのは、実質的に均一性を有する秤量対象物を秤量するための装置500の斜視図であり、この装置500は複数の秤量モジュール510A、510B、510C、510D、510E、510Fを備えており、それら秤量モジュールは2次元的に配列されている。秤量モジュール510Aは、例えばネジなどの止着手段(図7では不図示)を介して搭載構造体501に固定結合されており、秤量セル511Aを備えている。秤量セル511Aの中にはコイル(不図示)が収容されており、このコイルは力伝達ロッド560に結合されている。力伝達ロッド560Aの上端には、荷重受け部材550Aが取付けられている。力伝達ロッド560Aは、上側可動平行リンク構成部532Aに結合している。上側平行案内部531Aと、上側可動平行リンク構成部532Aと、上側固定平行リンク構成部とで、上側平行案内ダイアフラム530Aが形成されている。上側平行案内部531A及び上側可動平行リンク構成部532は、図1の上側平行案内ダイアフラム130Aと同様に構成されている。
【0067】
複数の秤量モジュール510A、510B、510C、510D、510E、510Fはいずれも、以上に説明した秤量モジュール510Aと同様に構成されており、それら全ての秤量モジュールの夫々の上側平行案内ダイアフラム530A、530B、……は、連続した一枚の板状部材により形成されている。この板状部材には複数の材料除去部が形成されており、それら材料除去部は、フライス加工、ドリル加工、打抜き加工、レーザ切削加工、ウォータージェット切削加工、放電加工、フォトエッチング加工、等々の方法により形成することができる。このようにした結果、全ての上方平行案内ダイアフラム530A、530B、……が、単一の上側固定平行リンク構成部集合体533を共有する構成となっている。
【0068】
上述した板状部材と完全に同一の構成の第2の板状部材が、複数の下側平行案内ダイアフラム540A、540B、……を形成すると共に、単一の下側固定平行リンク構成部集合体543を形成しており、この下側固定平行リンク構成部集合体543には、複数の下側可動平行リンク構成部542A、542B、……が、複数の下側平行案内部541A、542B、……を介して連結されている。単一の板状部材に形成されている複数の下側可動平行リンク構成部532A、542B、……の夫々の位置は、それら下側可動平行リンク構成部が力伝達ロッド560A、560B、……を介して連結されている対応する複数の上側可動平行リンク構成部532A、532Bに対して正確に揃っている必要があり、このことは、力伝達ロッド560A、560B、……の運動を規制して、それらが平行案内された状態で変位するようにする上で必要なことである。上側固定平行リンク構成部集合体533と、下側固定平行リンク構成部集合体543とは、複数のスペーサ部材521を介して互いに固定連結されている。更に、こうして互いに固定連結された2つの固定平行リンク構成部集合体533、543が、複数の支柱507を介して搭載構造体501に固定されている。
【0069】
秤量モジュール510Aにおいては、上側可動平行リンク構成部532A及び下側可動平行リンク構成部542Aが、この秤量モジュール510Aの力伝達ロッド560Aに連結されており、上下の可動平行リンク構成部532A及び542Aは、それらの間の離隔距離が、上側固定平行リンク構成部集合体533と下側固定平行リンク構成部集合体543との間の離隔距離と等しくなるように配設されている。
【0070】
図中において秤量モジュール510Aの設計空間を示している破線は、この秤量モジュール510Aが、隣接する他の秤量モジュールに対してどのように限界が定められているかを視覚表示すると共に、上側平行案内ダイアフラム530A及び下側平行案内ダイアフラム540Aが、上下の固定平行リンク構成部集合体533、543における隣接する他の平行案内ダイアフラムに対してどのように限界が定められているかを併せて視覚表示するためのものである。
【0071】
秤量モジュール510Aについて以上に説明したのと同じ構成により、複数の秤量モジュール510A、510B、510C、510D、510E、510Fの全ての力伝達ロッドが、同様にして、それら秤量モジュールの夫々の可動平行リンク構成部に結合されている。
【0072】
当然のことながら、この構成は6個の秤量モジュール510A、510B、510C、510D、510E、510Fを備えたものに限定されない。任意の個数の秤量モジュールを、前後ないし左右に並設して、2次元的に配列することができ、その場合、上側固定平行リンク構成部集合体533及び下側固定平行リンク構成部集合体543は、それら秤量モジュールの個数に合わせて形成することになる。
【0073】
図8に示したのは、実質的に均一性を有する秤量対象物を秤量するための装置600の斜視図であり、この装置600は複数の秤量モジュール610A、610B、610C、610D、610E、610Fを備えており、それらは2次元的に配列されている。またそれら複数の秤量モジュールの複数の秤量セル・ハウジングは、それらが互いに一体化されて、単一の秤量セル・ハウジング集合体613として形成されている。実質的に均一性を有する秤量対象物を秤量するためのこの装置600は、上側固定平行リンク構成部集合体633及び下側固定平行リンク構成部集合体643を有しており、それらは、図7の平行リンク構成部集合体と非常に類似した構成のものである。また同様に、複数の秤量モジュール610A、610B、……は、夫々、秤量セル611A、611B、……を備えており、それら秤量セルには荷重受け部材650A、650、……が取付けられている。図中において秤量モジュール610Aの設計空間を示している破線は、この秤量モジュール610Aが、隣接する他の秤量モジュールに対してどのように限界が定められているかを視覚表示すると共に、互いに一体に接続した状態で形成されている固定平行リンク構成部の限界がどのように定められているかを併せて視覚表示するためのものである。図7の構成との相違点は、上側平行リンク構成部集合体が、複数のスペーサ部材621を介して秤量セル・ハウジング集合体613に直接結合されていることにある。更に、下側平行リンク構成部集合体643は、複数の間隔保持部材622を介して、秤量セル・ハウジング611A、611Bの、荷重受け部材650A、650B、……とは反対側の面において、秤量セル・ハウジング集合体613に固定結合されている。力伝達ロッド660A、660B、……は、夫々の秤量セル611A、611B、……を貫通して、荷重作用方向に延在している。秤量モジュール610A、610B、610C、610D、610E、610Fの構成要素である、個々の上側可動平行リンク構成部及び下側可動平行リンク構成部は、夫々に力伝達ロッド660A、660B、660C、660D、660E、660Fに結合されている。
【0074】
当然のことながら、この構成は6個の秤量モジュール610A、610B、610C、610D、610E、610Fを備えたものに限定されない。任意の個数の秤量モジュールを、前後ないし左右に並設して、2次元的に配列することができ、その場合、上側固定平行リンク構成部集合体633及び下側固定平行リンク構成部集合体643は、それら秤量モジュールの個数に合わせて形成することになる。
【0075】
図9に示したのは、実質的に均一性を有する秤量対象物を秤量するための装置700の斜視図であり、この装置600は、図8に関連して上で説明したものと同様に2次元的に配列した複数の秤量モジュールを2組備えており、それら2組の秤量モジュールは夫々、第1平面701と第2平面702とに配設されている。ただし、上側平行リンク構成部集合体733及び下側平行リンク構成部集合体743を、秤量セル・ハウジング集合体713に固定結合するのに、間隔保持部材及びスペーサ部材を用いることなく直接結合している。上側平面701の複数の秤量モジュール710A、710B、710C、710D、710E、710Fは、秤量セル・ハウジング集合体713を介して相互に固定接合された状態にある。秤量セル・ハウジング集合体713の外周には、連続して延在するフランジ715が形成されており、このフランジ715は、平面701の複数の秤量モジュールと平面702の複数の秤量モジュールとを、搭載構造体(不図示)を介して相互に連結できるようにするためのものである。下側平面702の複数の秤量モジュール710U、710V、710W、710X、710Y、710Zも、上側平面701の複数の秤量モジュールと同様に、相互に固定接合された状態にある。
【0076】
平面701は平面702に対して相対的にオフセットした位置にあり、これによって、下側平面702の複数の秤量モジュール710U、710V、710W、710X、710Y、710Zの、夫々の力伝達ロッド760U、760V、760W、760X、760Y、760Zが、上側平面701の複数の秤量モジュール710A、710B、710C、710D、710E、710Fを避けて延在できるようになっている。また、この構成では、下側平面702の複数の荷重受け部材750U、……と、上側平面701の複数の荷重受け部材750A、……とが、荷重作用方向に直交して延在する単一の共通平面内に位置している。この構成を可能にするには、上側平面701の秤量セル・ハウジング集合体711に、下側平面702の複数の力伝達ロッド760U、760V、760W、760X、760Y、760Zが貫通して延在することのできる複数の通路717を形成しておく必要がある。
【0077】
全ての秤量セルは、それが上側平面701のものであるか、それとも下側平面702のものであるかにかかわらず、いわゆる予荷重を構成する荷重受け部材及び力伝達ロッドによる荷重に関して、互いに同一条件にあることが好ましい。より具体的には、力伝達ロッド760U、760V、760W、760X、760Y、760Zは、力伝達ロッド760A、……と比べて、その長さがかなり長く、従ってその質量がかなり大きいため、上側平面701の秤量モジュール710A、710B、710C、710D、710E、710Fの夫々の力伝達ロッドに取付けた予荷重補償用錘708によって、上側平面701の秤量モジュールと下側平面702の秤量モジュールとの間で、予荷重の差が存在しないようにしている。
【0078】
当然のことながら、この構成は6個の秤量モジュール610A、610B、610C、610D、610E、610Fと6個の秤量モジュール710U、710V、710W、710X、710Y、710Zとを備えたものに限定されない。任意の個数の秤量モジュールを、平面701、702の各々に、図示したように配置することができ、即ち、前後ないし左右に並設して2次元的に配列することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】秤量セルの上下に配設された平行案内ダイアフラムを有する秤量モジュールを2つ備えた搭載構造体の斜視図であり、1つの秤量モジュールが占有する設計空間を併せて示した図である。
【図2】a〜cは、同心円形状の平行案内部を備えた回転対称形状の平行案内ダイアフラムの様々な構成形態を示した断面図であり、1つの平行案内機構を構成するために必要とされる2つの平行案内ダイアフラムのうちの一方のみを示した図である。
【図3】a〜cは、複数の開口が形成された平板形状の平行案内ダイアフラムの様々な構成形態を示した平面図である。
【図4】a〜cは、複数の開口が形成されると共に固定平行リンク構成部に補強部が設けられた平行案内ダイアフラムの様々な構成形態を示した平面図である。
【図5】鉛直方向にジグザグ形状に折り畳まれた形状に形成され、秤量セルに一体的に接続した状態で形成された平行案内部が、秤量セルの上下に設けられた秤量モジュールの斜視図である。
【図6】ジグザグ形状に折り返され四角錐形状に形成された平行案内部を秤量セルの上下に結合した秤量モジュールの斜視図である。
【図7】複数の平行案内機構が組合されて単一の板状の固定平行リンク構成部集合体として形成されたものが複数の秤量セルの上側に取付けられた、6つの秤量モジュールが板状の搭載構造体に搭載された装置の斜視図であり、1つの秤量モジュールが占有する設計空間を併せて模式的に示した図である。
【図8】複数のモジュールの複数の秤量セル・ハウジングが一体的に組合されて形成されており、複数の平行案内機構が組合わされて単一の板状の固定平行リンク構成部集合体として形成されており、上側固定平行リンク構成部集合体が荷重受け部材と秤量セルとの間に配設されており、下側固定平行リンク構成部集合体が秤量セルの荷重受け部材とは反対側の面に設けられている、6つの秤量モジュールを備えた装置の斜視図であり、1つの秤量モジュールが占有する設計空間を併せて模式的に示した図である。
【図9】各々が6つの秤量モジュールから成る2組のアレイが、互いにオフセットして2つの平面内に配設され、各アレイの複数の平行案内機構が秤量セルの上下に配設された装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0080】
20、30、40 回転対称形状の平行案内ダイアフラム
11、21、31、41、51、61、71、81、91 平行案内部
12、22、32、42、52、62、72、92 可動平行リンク構成部
13、23、33、43、53、63、73、83、93 固定平行リンク構成部
10、50、60、70、80、90 平行案内ダイアフラム
54、64、74、84、94 孔
55、65、75、95 貫通孔
56、66、76、96 開口
77 リング形バネ部分
78、88 材料架橋部
89 外縁領域
97 補強ビード
100、500、600、700 実質的に均一性を有する対象物を秤量するための装置
101、501 搭載構造体
110A〜B、310、410、510A〜F、610A〜F、710A〜F、710U〜Z 秤量モジュール
111A〜B、311、411、511A、611A〜B、1000 秤量セル
112A〜B、512A、612A 設計空間
113 ハウジング床部
130A〜B、430、530A〜B 上側平行案内ダイアフラム
131A、331、431、531A 上側平行案内部
132A、332、432、532A 上側可動平行リンク構成部
133A、433 上側固定平行リンク構成部
140A〜B、440、540A〜B 下側平行案内ダイアフラム
141A、341、441 下側平行案内部
142A、442 下側可動平行リンク構成部
143A、443 下側固定平行リンク構成部
150A〜B、350、450、550A、650A、750A、750U 荷重受け部材
160A、360、460、560A〜B、660A〜F、760F、760U〜Z、1600 力伝達ロッド
190、490 止着手段
319、419 秤量セル・ハウジング
330 上側平行案内構造部
335 切り込み
336 幅の広い切り込み先端縁部
337 凹溝部
338 薄肉可撓性連結部
339 エンドプレート
340 下側平行案内構造部
507 支柱
521、621 スペーサ部材
533、633、733 上側固定平行リンク構成部集合体
541A〜B 下側平行案内部
542A〜B 下側可動平行リンク構成部
543、643、743 下側固定平行リンク構成部集合体
613、713 秤量セル・ハウジング集合体
622 間隔保持部材
701 第1平面
702 第2平面
708 予荷重補償用錘
715 連続フランジ
717 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
力伝達ロッド(160A)によって相互に連結された荷重受け部材(150A)と秤量セル(111A)とを備えた、設計空間(112A)の内部に設けられる秤量モジュール(110A)であり、荷重作用方向に直交する平面内における前記設計空間(112A)の寸法は、隣接する秤量セル(111B)が占有する設計空間(112B)によってその限界が規定され、従って前記秤量セル(111A)のその平面内における最大寸法を表すものであり、前記秤量セル(111A)は、平行案内機構(130A、140A)を備えており、該平行案内機構(130A、140A)は、前記力伝達ロッド(160A)に結合された少なくとも1つの可動平行リンク構成部(132A、142A)と、少なくとも1つの固定平行リンク構成部(133A、143A)とを備えており、それら平行リンク構成部(132A、142A、133A、143A)は、互いに所定の案内距離だけ離隔して配置され、少なくとも1つの上側平行案内部(131A)と少なくとも1つの下側平行案内部(141A)とを介して互いに連結されている、秤量モジュール(110A)において、
荷重作用方向に直交する方向における前記秤量モジュール(111A、111B)の寸法を可及的に小さく抑えつつ、前記可動平行リンク構成部(132A、142A)に作用させる変位力の最小限必要とされる大きさを軽減するための手段として、
・前記平行リンク構成部に結合している結合部分までも含めた、また、前記平行案内部(131A、141A)が薄肉可撓性連結部(338)を含むものである場合にはその薄肉可撓性連結部(338)までも含めた、前記平行案内部(131A、141A)の、真っ直ぐに延ばしたときの実際の長さ、即ち、曲げ応力中立軸線の長さを、前記案内距離より長くし、
・前記可動平行リンク構成部(132A、142A)が前記設計空間(112A)の外へ突出することがないようにした、
ことを特徴とする秤量モジュール。
【請求項2】
前記少なくとも1つの上側平行案内部(331)及び前記少なくとも1つの下側平行案内部(341)が、荷重作用方向を包含する平面内で折り返されたジグザグ形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の秤量モジュール。
【請求項3】
前記少なくとも1つの上側平行案内部(131A)と、上側可動平行リンク構成部(132A)と、上側固定平行リンク構成部(133A)とによって、上側平行案内ダイアフラム(133A)が形成されており、前記少なくとも1つの下側平行案内部(141A)と、下側可動平行リンク構成部(142A)と、下側固定平行リンク構成部(143A)とによって、下側平行案内ダイアフラム(133A)が形成されていることを特徴とする請求項1記載の秤量モジュール。
【請求項4】
前記少なくとも1つの上側平行案内部(51)及び前記少なくとも1つの下側平行案内部(51)が、荷重作用方向に穿設された複数の開口(56)によって、荷重作用方向に直交する方向に延在する平面内においてジグザグ形状に形成されていることを特徴とする請求項3記載の秤量モジュール。
【請求項5】
前記少なくとも1つの上側平行案内部(431)及び前記少なくとも1つの下側平行案内部(441)が、ジグザグ形状のパターンを有する四角錐形状に形成されていることを特徴とする請求項3記載の秤量モジュール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの上側平行案内部(91)及び前記少なくとも1つの下側平行案内部(91)が、複数の渦巻形の開口(96)により形成されており、それら渦巻形の開口(96)は、荷重作用方向に穿設され、荷重作用方向に直交する平面内を前記固定平行リンク構成部(93)から前記可動平行リンク構成部(92)まで延在していることを特徴とする請求項3記載の秤量モジュール。
【請求項7】
前記少なくとも1つの上側平行案内部(11)及び前記少なくとも1つの下側平行案内部(11)が、渦巻形状のパターンをもって、前記固定リンク構成部(13)から前記可動平行リンク構成部(12)まで延在する円錐形状に形成されており、前記可動平行リンク構成部(12)が、前記固定平行リンク構成部(13)の延在平面から離隔してそれと平行に延在する別の平面内を延在していることを特徴とする請求項3記載の秤量モジュール。
【請求項8】
前記平行案内ダイアフラム(20、30、40)が同心円形状に形成されており、前記平行案内部の断面形状が三角波状(21)、台形波状(31)、または正弦波状(41)であることを特徴とする請求項3記載の秤量モジュール。
【請求項9】
前記少なくとも1つの上側平行案内部(71)及び前記少なくとも1つの下側平行案内部(71)が、同心的に設けられた複数の細い線状の開口(76)によって、複数のバネ部分77から成る形状に形成されており、前記バネ部分77の1つにつき少なくとも2本ずつの前記線状開口(76)の各々が少なくとも一度ずつ途切れることによって、互いにずれた位置に材料架橋部(78)が形成されており、各々の前記材料架橋部(78)が互いに隣接する2つの前記バネ部分(77)を互いに連結していることを特徴とする請求項3記載の秤量モジュール。
【請求項10】
前記少なくとも1つの固定平行リンク構成部(23、53、73、……)が、閉じた枠状体を有しており、及び/または、前記少なくとも1つの固定平行リンク構成部(23、53、73、……)に、少なくとも1つの補強ビード(97)、または補強リブ、またはロール加工或いは折曲げ加工された外縁領域(89)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項記載の秤量モジュール。
【請求項11】
前記上側平行案内部(531A)及び前記下側平行案内部(541A)が、前記秤量セル(511A)と前記荷重受け部材(550A)との間に設けられて、前記可動平行リンク構成部(532A、542A)によって前記力伝達ロッド(560A)に結合されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項記載の秤量モジュール。
【請求項12】
前記上側平行案内部(131A)が、前記秤量セル(111A)と前記荷重受け部材(150A)との間に設けられ、上側可動平行リンク構成部(132A)によって、前記力伝達ロッド(160A)に結合されており、前記平行案内部(141A)が、前記秤量セル(111A)の前記荷重受け部材(150A)とは反対側の面に設けられ、下側可動平行リンク構成部(141A)によって、前記秤量セル(111A)から突出している前記力伝達ロッド(160A)に結合されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項記載の秤量モジュール。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1項記載の秤量モジュール(110A、110B)を、実質的に均一性を有する秤量対象物を秤量するための装置(100)に用いる用途において、
複数の前記秤量モジュール(110A、110B)が所定の3次元的または2次元的な配列とされて互いに固定結合されていることを特徴とする用途。
【請求項14】
少なくとも2つの前記秤量モジュール(610A、610B)の夫々の秤量セル・ハウジングが互いに一体的に接続した状態で形成されていることを特徴とする請求項13記載の用途。
【請求項15】
複数の前記上側平行案内部(531A)の幾つかまたは全部が、それら上側平行案内部(531A)のための上側固定平行リンク構成部集合体(533)を形成している1枚または複数枚の板状部材に結合しており、複数の前記下側平行案内部(541A)の幾つかまたは全部が、それら下側平行案内部(541A)のための下側固定平行リンク構成部集合体(533)を形成している1枚または複数枚の板状部材に結合していることを特徴とする請求項13又は14記載の用途。
【請求項16】
複数の前記上側平行案内ダイアフラム(530A、53B、……)の夫々の構成部分の全てが、互いに一体的に接続した状態で1枚の板状部材に設けられており、複数の前記下側平行案内ダイアフラム(540A、540B、……)の夫々の構成部分の全てが、互いに一体的に接続した状態で1枚の板状部材に設けられており、複数の前記上側平行案内ダイアフラム(530A、53B、……)の各々と、複数の前記下側平行案内ダイアフラム(540A、540B、……)の各々とがいずれも、前記板状部材の延在平面に直交する方向に前記板状部材を貫通して延在し、及び/または、前記板状部材の延在平面に平行に延在する複数の材料除去部によって形成されていることを特徴とする請求項13又は14記載の用途。
【請求項17】
複数の前記秤量モジュール(710A、710B、……)が、上側平面(701)の平面内に配設され、複数の前記秤量モジュール(710U、710V、……)が、少なくとも1つの下側平面(701)の平面内に配設されており、それら平面は互いに上下に位置しており、前記上側平面(701)の平面内において前記複数の秤量モジュール(710A、710B、……)が列及び/または2次元アレイを形成しており、前記下側平面(702)の平面内において前記複数の秤量モジュール(710A、710B、……)が列及び/または2次元アレイを形成していることを特徴とする請求項13乃至16の何れか1項記載の用途。
【請求項18】
前記上側平面(701)の前記複数の秤量モジュール(710A、710B、……)が前記下側平面(702)の前記複数の秤量モジュール(710U、710V、……)に対して相対的にオフセットした位置に配設されていることを特徴とする請求項17記載の用途。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−329989(P2006−329989A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144844(P2006−144844)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland