説明

小物干し具

【課題】 下着、衣服などを洗濯した後、その洗濯物を乾燥させる物干し具であって、特に女性用の下着などを隠した状態にして干すことができるようにして、洗濯物の厚さ違いに応じて洗濯物の間隔を調整できるようにした小物干し具を提供するものである。
【解決手段】 全体の形状が矩形や長方形からなる枠体からなり、該枠体には多数の洗濯バサミが取付けられており、この枠体を吊るすための吊下部材と竿などに掛けるフック部を連結した物干し具であって、各コーナー部に摺動可能な引出板を装備することで物干し具の内側に干された衣服と外側に干される洗濯物の間隔を調整できることで洗濯物がお互いに密着することなく乾燥させることができ、また室内干しにおいても壁などに半乾きの洗濯物が壁などに着かないようにできて簡単に使用できものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、下着、衣類などを洗濯した後、その洗濯物を干して乾燥させる物干し具であり、特に女性の下着など気になる洗濯物を隠して干せることが出来る小物干し具である。
【背景技術】
【0002】
物干し具において、女性の下着類を干す場合は、ネット籠などで中の下着が見えないようにしたものや、外側の物干し枠に吊るした洗濯ばさみと内側にある洗濯ばさみとの形状や色を変えて、下着類は内側に干して外側の洗濯ばさみにはタオル、セーターなど気にならない洗濯物が干せるようにしたもの、また物干し枠の四隅に各々外側に突出させて形成した吊部に洗濯ばさみを取付けた物干し具などが提案されている。
【特許文献1】 特開平9−327595号
【特許文献2】 実開平6−036593号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の下着類を隠して干す物干し具においては、物干し枠体に吊るされた洗濯バサミの形状や種類を区別して配設してあり、物干し枠体の内側に取付けてある洗濯バサミの大きさはランジェリーのような薄くて軽い物が挟める程度の小さな洗濯バサミにして、物干し枠体の外側に取付けた洗濯バサミは比較的厚目で重い物が挟めるようにしてある物干し具は、洗濯バサミの数が少ないのでパジャマなど厚目で重くなる洗濯物は余り干せない欠点があり、隠し干し機能を設けた実開平6−36593号においては、前記の隠し干しができる物干し具に比べ、厚手の洗濯物を干した場合、物干し枠体の周縁から張り出し部が突出するように成型してあるため、内側に干してある洗濯物との接触が少なくなることで乾燥し易い状態が保てるが、物干し枠体の外枠フレームから突出して成型された張り出し部の長さが余り長いと収納時に邪魔となり、また逆に短いと内側に干した洗濯物との間隔が狭くて乾きが悪くなる虞れが生じる。
この発明は、下着など余り見せたくない洗濯物を隠し干しする場合に、内側に干された洗濯物との間隔が調整出来る機能を備えることで、内側に厚手の洗濯物が挟める洗濯バサミを設けても、外側にある洗濯バサミとの間隔が充分とれて洗濯ものがより多く干せて乾燥も速く、物干し具を片付ける時も張り出し部が邪魔にならないように収納でき、また、室内干しにおいても半乾きの衣服が壁などに着かないようにした小物干し具を提供する。
【発明が解決するための手段】
【0004】
前述した課題を達成するために、この発明は多数の洗濯バサミを取付けてなる矩形の枠体本体と該枠体本体を吊るすための吊下部材と吊下フックを連結した物干し具において、前記枠体本体の各コーナー部には支持部を形成して挿入孔を設けてあり、引出板はスライド孔を有し先端には吊掛部を施し、前記コーナー部の裏面に突設してある筒状の嵌込部と近傍に施した該挿入孔に該引出板を差込んで、該嵌込部の上面部とスライド孔を重ね合わせて留め具を挿着し、該引出板を前後に摺動可能としたことを特徴とする小物干し具である。
【発明の効果】
【0005】
枠体本体の外側フレームの各コーナー部に支持部を形成して挿入孔を施し、該挿入孔の幅より狭い幅の引出板を前記の挿入孔に差込み、留め具を固定することにより摺動可能に装備してあるので、該引出板の先端に取付けた洗濯バサミを前後に動かして、内側に干した洗濯物との間隔を簡単に調整できるものあり、洗濯物を取り込んで小物干し具を収納する時においても、該引出板を内側に押し込むだけで外側フレームから突出することなく収納することができる。
また、各コーナー部に設けた挿入孔は、両側壁と支持部によって差込まれている該引出板は左右に揺れないから、各引出板に取付けた洗濯バサミ間に干された洗濯物が弛んだりすることもなく、該引出板を該挿入孔より最大に外方向に伸ばしても支持部があるので、洗濯物の重みで下方に曲がったり、折れたりすることもなくなり安心して洗濯物が干せるものである。
【0006】
更に、外側フレームの各コーナー部の裏面に一体成型してなる筒状の嵌込部の高さは、該引出板が挿入孔に差込んだ際に当接しない程度で該嵌込部の上面部に密接するように設けてあり、該引出板の横長のスライド孔の幅も留め具の径と略同径にしてあるから、該嵌込部の上面部に該スライド孔を合わせて留め部を嵌込部に挿着すれば、該引出板は手で以って摺動させない限り前後に移動でない状態が保持できるため、内側に干している洗濯物との間隔を調整する場合、その都度留め具を緩めて該引出板を前後に動かす手間が無くなるようにしてあるので極めて便利に使用できる小物干し具である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図面に基づいてこの発明に係る小物干し具についての最良の形態を詳細に説明する。
合成樹脂素材などからなる略矩形の枠体本体2は断面が下方に向かってコ字状になるように設計しあり、内側に設けた内側フレーム20と外側フレーム19からなり、該内側フレーム20は数本の連接体11により該外側フレーム19と一体に成型して、内側フレーム20及び該外側フレーム19には洗濯バサミ18を吊紐14などで多数取付けてある。
該枠体本体2の各コーナー部10からの連接体11と内側フレーム20の交差部にある掛部22に吊下部材13を引掛けて吊下フック16に連結し、該吊下フック16の摘み部15を開いて物干し竿に挟めるようにしてあり、前記の各コーナー部10のには支持部9を形成して挿入部12を施し、該コーナー部10の裏面には筒状の嵌込部8を該挿入部12の近傍に形成する。
引出板3は、細長く偏平状で横長のスライド孔6を設け、先端には吊掛部21を施して吊紐14を介して洗濯バサミ18を吊下げてある。
該引出板3は枠体本体2の各コーナー部10にそれぞれ設けてあり、各コーナー部10の挿入部12に差込んで固定孔5を嵌込部8の上面部17の位置に移動させた後、留め具7を筒状の嵌込部8に押し入れて摺動可能に固定しすることで各コーナー部10に該引出板3がそれぞれに装備される。
【0008】
各コーナー部10に施した挿入部12の幅は、該引出板3が無理なく差込める寸法にしてあり、横長のスライド孔6の内側周縁28を段差状に成型しているので、留め具7を筒状の固定孔5から嵌込部8に固定してあっても該留め部7の頭部がネジ形状にして窪み部25に前記の段差状を鋏む状態を保ち、引出板3の摺動もスムーズに行うことができ、留め具7のネジ部となる部分に縦長のスリット23を設けて弾性を持たせて留め具7が嵌込部8から容易に抜けないようにしてある。
また、該引出板3の長さを7cm乃至8cmにしてあるので外側フレーム19にある洗濯バサミとの間隔は充分にとれるので、厚手の洗濯物を干しても乾燥も良好であり、該挿入部12の両側壁と支持部9を設けているから該引出板3を最長に引き伸ばして洗濯物を干しても該引出板3が洗濯物の重みで曲がったり、留め具7が外れて落下する心配はなく、洗濯物を取り込んだ後、小物干し具1を収納する場合も該引出板3を内側に押し込むだけでコーナー部10から突出することなく収納することができる。
【実施例1】
【0009】
全体の形状が略矩形からなる枠体本体2は断面がコ字状であって、内側フレーム20と外側フレーム19は連接体11で一体に成型し、内側フレーム20の四隅には掛部22を設け、該掛部22に吊下部材13を引掛けて吊下フック16に連結してこの吊下フック16の摘み部15を開いて竿などに吊るせるものであり、内側フレーム20と外側フレーム19には吊紐14を介して洗濯バサミ18を取付け、枠体本体2の各コーナー部10において第2図乃至第4図に示すように、コーナー部10の裏面には筒状の嵌込部8を設け前方に挿入部12のある支持部9を施し引出板3を矢印の方向(第2図参照)から挿入部12に差込んで引出板3の固定孔5が嵌込部8の上面部に重なる位置にした後、第3図に示すように留め部7を矢印の方向から挿着して、第4図のような状態で引出板3が前後に摺動可能に装備される。
【0010】
該留め具7はネジ状の形状であり弾性を持たせるための縦割りスリット23を設け、下端には嵌込部8からの抜け防止の突起部24が施してある。
この実施例による第6図の引出板3は、細長のスライド孔6を有し洗濯バサミ18の吊紐14を吊り下げる吊掛部21の手前に固定孔5を設け、左右には小突起27と後端側にも小突起26を設けたので第5図に示すように引出板3を引き伸ばして使用する時や収納した場合のスットパー機能の効果があり、後端の突片4の幅を連接体11の幅に嵌まる寸法にしたので、引出板3の摺動時に左右のガタ付をなくすように設計してある。
【実施例2】
【0011】
第7図の引出板3′は他の実施例を示すものであって、全体が長方形や矩形のフレーム枠からなり連接体がない小物干し具あるいは内側に折り畳める小物干し具の各コーナー部において使用されるものである。
該引出板3′は、各コーナー部10′の外側から挿入部12′に差込んで、該嵌込部8′の上面部17′とスライド孔6′を重ね合わせて留め具7′を挿着し、該引出板3′の先端にU字状の吊掛部21′を設けて吊紐14′で洗濯バサミ18′を取付けてあり、引出板3′の出し入れの使用に際して任意の位置でスットパー機能を得るためにスライド孔6′の内側の左右前後に小突起(図示せず)を施すことで、手で持って動かさない限り前後に移動せず、必要とする長さで引出板3が使えるので内側に干した洗濯物の厚み応じた乾し方ができると同時に室内干しでの壁などに半乾きの衣服が着くことないように操作できる便利な小物干し具を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明に係る小物干し具の全体斜視図。
【図2】引出板を装備する状態を示すコーナー部裏面の部分斜視図。
【図3】引出板を挿入孔に差込んだ状態を示すコーナー部裏面の部分斜視図。
【図4】引出板を留め具で挿着固定した状態のコーナー部裏面の部分斜視図。
【図5】引出 板を伸ばしたコーナー部の部分斜視図。
【図6】引出 板の斜視図。
【図7】引出板の他の実施例を示す裏面斜視図。
【符号の説明】
【0013】
2 枠体本体
3 引出板
4 突片
5 固定孔
6 スライド孔
7 留め具
8 嵌込部
9 支持部
12 挿入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
この発明は多数の洗濯バサミを取付けてなる矩形の枠体本体と該枠体本体を吊るすための吊下部材と吊下フックを連結した物干し具において、前記枠体本体の各コーナー部には支持部を形成して挿入部を設けてあり、引出板はスライド孔を有し先端には吊掛部を施し、前記コーナー部の裏面に突設してある筒状の嵌込部と近傍に施した該挿入部に該引出板を差込んで、該嵌込部の上面部とスライド孔を重ね合わせて留め具を挿着し、該引出板を前後に摺動可能としたことを特徴とする小物干し具である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−87866(P2006−87866A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307402(P2004−307402)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000108351)ソーコー株式会社 (11)