説明

少なくとも1つのスピノシンおよび1つの殺軟体動物剤を含有する餌組成物

金属コンプレクソンおよび他の殺軟体動物剤と組み合わせたスピノシンの餌組成物が、広範囲の昆虫および軟体動物害虫を処理および/または防除するのに有効で環境に安全な組成物中で提供される。本発明の1つの実施形態により、環境に安全で、植物無害である殺虫性/殺軟体動物性の餌組成物が提供され、この組成物は、少なくとも1つのスピノシンの活性量、少なくとも1つの殺軟体動物剤、および少なくとも1つの餌担体を含み、植物または植物産物に損傷を与えることなく昆虫および軟体動物を殺傷する効力を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、米国仮特許出願第60/718,246号(2005年9月16日出願、発明の名称「Wide Spectrum Insecticide and Molluscicide Composition」)に対する優先権を主張し、その開示は、本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、植物および植物産物上の昆虫および軟体動物の処理のための組成物および方法に関し、特に、広範囲の昆虫および軟体動物害虫に起因する損傷から植物および植物産物を保護する組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
昆虫および軟体動物害虫は植物および植物産物に著しい損害を与えるので、植物の世話に関係する者にとって、環境を保護するのと同時に昆虫および軟体動物害虫と戦うのに有効である方法で、昆虫および軟体動物害虫を防除することが主要な目標である。家庭園芸市場ならびに商業的農業での使用のために、いくつかの環境にやさしい活性化合物が特定、開発された。しかし、これらの物質の多くは有害生物防除の範囲がせまく、したがって、十分な有害生物防除を可能にするために複数の組成物の施用を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、昆虫および軟体動物害虫に起因する植物および植物産物の損傷を処理および予防するために、改善された組成物の必要性が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
本発明は、植物および植物産物上の昆虫および軟体動物の処理のための様々な組成物および方法を提供し、特に、広範囲の昆虫および軟体動物害虫に起因する損傷から植物および植物産物を保護する組成物および方法を提供する。一態様では、少なくとも1つのスピノシンの活性量、少なくとも1つの殺軟体動物剤、および少なくとも1つの餌担体を含み、環境に安全で、植物に無害である殺虫性/殺軟体動物性の餌組成物が提供される。使用時、組成物は、植物または植物産物に損害を与えることなく、昆虫および軟体動物を殺傷する効力を有する。
【0006】
殺軟体動物剤は、様々な化合物、例えば鉄塩、金属化合物およびキレート剤、遷移金属コンプレクソン、ならびに合成殺軟体動物剤から選択することができる。一実施形態では、例示的な鉄塩には、リン酸鉄を含めることができる。
【0007】
他の実施形態において、殺軟体動物剤は金属化合物およびキレート剤を含むことができる。例えば、そのような化合物は、金属タンパク質、金属塩、金属炭水化物またはそれらの組合せなどの第1の成分と、アミノポリカルボン酸キレート剤、ポリホスホン酸キレート剤およびそれらの組合せであることができる第2の成分との組合せを含むことができる。例示的な金属には、鉄、銅、亜鉛およびアルミニウムを含めることができる。例示的なアミノポリカルボン酸キレート化剤には、エデト酸、エデト酸二ナトリウムカルシウム、エデト酸一ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸二ナトリウムカルシウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸一ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、イミノ二コハク酸、イミノ二フマル酸、イミノ二酒石酸、イミノ二マレイン酸、エチレンジアミン二フマル酸、エチレンジアミン二リンゴ酸、イミノ二リンゴ酸、エチレンジアミン二酒石酸、エチレンジアミン二マレイン酸、エチレンジアミン二コハク酸、エチレンジアミン二コハク酸の異性体を含めることができ、例示的なポリホスホン酸キレート剤にはアミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、ヒドロキシエチルジホスホン酸(HEDP)を含めることができる。
【0008】
他の実施形態において、殺軟体動物剤は遷移金属コンプレクソンであることができる。例示的な遷移金属コンプレクソンには、アミノポリカルボン酸キレート剤、ポリホスホン酸キレート剤およびそれらの組合せなどのキレート剤と錯体を形成した鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびそれらの混合物などの金属を有する、遷移金属化合物を含めることができる。例示的な遷移金属コンプレクソンには、エチレンジアミン四酢酸第二鉄、エチレンジアミン四酢酸第一鉄、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸第二鉄、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸第一鉄、エチレンジアミン二コハク酸第二鉄、エチレンジアミン二コハク酸第一鉄、エチレンジアミン二コハク酸銅、エチレンジアミン二コハク酸亜鉛、エチレンジアミン二コハク酸アルミニウム、およびそれらの混合物ならびにそれらの種および塩を含めることができる。
【0009】
さらに、および/または代わりに、殺軟体動物剤は、メタアルデヒド、メチオカルブ、カルバリル、イソラン、メクスカルベート、メルカプトジメツル、ニクロサミド、トリフェンモルフ、カルボフラン、アナルカルド酸、植物由来サポニン、リグノスルホン酸、リグノスルホン酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩およびそれらの組合せなどの、合成殺軟体動物剤であることができる。
【0010】
本発明の組成物を形成するために、昆虫/軟体動物食品などの様々な餌担体を用いることもできる。例示的な昆虫/軟体動物食品には、寒天、ポテトデキストロース寒天、テンサイ、ゼラチン、油かす、ペット食品、小麦、小麦粉、大豆、オート麦、トウモロコシ、米、果物、魚副産物、糖、コーティングされた野菜種子、コーティングされた穀類種子、カゼイン、乳漿、血粉、骨粉、酵母、紙製品、天然粘土、合成粘土、タルク、珪酸アルミニウムマグネシウム、カオリナイト、炭酸カルシウム、チョーク、脂肪、穀類およびそれらの組合せを含めることができる。
【0011】
組成物は、使用目的によって様々な他の成分を含むことができる。限定されない例として、組成物は、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、アスコルビン酸、酒石酸およびクエン酸からなる群から選択されるpH調節剤を含むことができる。使用時、乾燥前の生地で測定すると、pH調節剤により組成物のpHは約5〜9となる。
【0012】
他の態様では、少なくとも1つのスピノシンの有効量、少なくとも1つの殺軟体動物剤および少なくとも1つの餌担体を有する組成物を提供すること、およびその組成物の有効量を軟体動物および昆虫の少なくとも1つが加害する領域に投与することを含む、望ましくない軟体動物および昆虫害虫を絶滅させる方法が提供される。本方法は、軟体動物および昆虫の少なくとも1つに、組成物を摂食させることを含むこともできる。
【0013】
他の態様では、殺軟体動物剤の少なくとも1つ、スピノシンおよび担体を一緒に混合して混合組成物を形成すること、餌を結合するために組成物に溶媒を加えること、ならびに餌を少なくとも1つのペレットに形成することを含む、殺虫性および殺軟体動物性の餌を調製する方法が提供される。
【0014】
他の態様では、少なくとも1つの担体を用いてコアを形成すること、スピノシンおよび殺軟体動物剤の少なくとも1つのある量を油に分散させてコーティングを形成すること、ならびに殺軟体動物剤およびスピノシンの少なくとも1つがコアの表面に結合するようにコーティングをコアに適用することを含む、殺虫性および殺軟体動物性の餌を調製する方法が提供される。一実施形態では、この方法は担体および少なくとも1つの殺軟体動物剤からコアを形成すること、ならびに、スピノシンのある量を油に分散させて、担体および殺軟体動物剤のコアの表面を被覆するためのコーティングを形成することをさらに含むことができる。他の実施形態では、この方法は担体および少なくとも1つのスピノシンからコアを形成すること、ならびに、殺軟体動物剤のある量を油に分散させて、担体およびスピノシンのコアの表面を被覆するためのコーティングを形成することをさらに含むことができる。
【0015】
他の態様では、殺軟体動物剤の少なくとも1つ、スピノシンおよび担体を一緒に混合して混合組成物を形成すること、ワックスを混合組成物に加えること、ならびに、混合組成物をペレット化機構に通して組成物へのワックスの結合を達成し、それによって少なくとも1つのペレットを形成することを含む、殺虫性および殺軟体動物性の餌を調製する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(例示的な実施形態の詳細な説明)
次に、本明細書で開示される組成物および方法の構造、機能、製造および使用の原理の全体的な理解を提供するために、ある例示的な実施形態を記載する。これらの実施形態の1つまたは複数の例を、添付の表に示す。当業者は、本明細書で具体的に記載する組成物および方法が非限定的で例示的な実施形態であり、本発明の範囲は請求項だけによって定義されることを理解されよう。1つの例示的な実施形態と関連して例示または記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。そのような修正形態および変形形態は、本発明の範囲に入るものとする。
【0017】
本発明は、昆虫および軟体動物害虫に起因する損傷を処理および予防するための、環境に安全で殺虫剤として効果のある組成物を提供する。例示的な実施形態において、組成物は、スピノシンを少なくとも1つの殺軟体動物剤として活性のある組成物と一緒に含むことができる。組成物は、使用者の必要に応じて、即時使用用(Ready−To−Use(RTU))餌、RTU液体スプレー、粉末または濃厚液として利用することができる。例示的な餌の構成には、昆虫および軟体動物の加害領域またはその周辺、ならびに昆虫および軟体動物の加害を予防する領域に散布することのできる、粉剤、粒剤、キューブまたはペレットなどの任意の固体組成物を含めることができる。
【0018】
当業者ならば、本明細書で開示される組成物および方法は、様々な家庭および園芸の昆虫および軟体動物害虫、例えば、非限定的な例として、サザーンアーミーワーム、コドリンガ、ヨトウムシ、イガ、ノシメマダラメイガ、ハマキムシ、トウモロコシオオタバコガ、綿オオタバコガ(トマトオオタバコガとも呼ばれる)、アワノメイガ、アオムシ、イラクサキンウワバ、ワタアカミムシ、アメリカオオタバコガ、トマトスズメガ、ミノムシ、東部テンマクケムシ(Easter tent caterpillar)、シバツトガ、コナガ、トマトピンワーム(tomato pinworm)、グレープベリーモス、ハスモンヨトウ(cotton leafworm)、ビートシロイチモンジヨトウおよびフォールアーミーワーム(fall armyworm)を含む鱗翅目の昆虫のメンバー;綿のアブラムシヨコバイ、ウンカ、ヨーロッパナシキジラミ、リンゴキジラミ(apple sucker)、カイガラムシ類、コナジラミ類およびアワフキムシを含む同翅目の昆虫のメンバー;イエバエ、サシバエ、クロバエおよびカを含む双翅目の昆虫のメンバー;ダニならびにアリを処理するのに用いることができることを理解されよう。本組成物は、ミナミキイロアザミウマおよびミカンキイロアザミウマを含む総翅目の昆虫のメンバー;コロラドハムシを含む鞘翅目の昆虫のメンバー;直翅目の昆虫のメンバー;ならびに鱗翅目(ガおよびチョウ)、膜翅目(葉もぐりハバチ)、鞘翅目(甲虫類)および双翅目(真正のハエ)の葉もぐり虫を処理するために用いることもできる。本組成物は、ニヨリチャコウラナメクジ(Arion ater)、A.ruus、A.hortensisおよびA.subfuscusなどのコウラクロナメクジ科(Family Arionidae)の軟体動物;ノハラナメクジ(Deroceras reticulatum)などのコウラナメクジ科(Family Limacide)の軟体動物;ならびに、Helix apertaおよびプチグリ(Helix aspersa)などのマイマイ科(Family Helicidae)の軟体動物を含む、多種多様な軟体動物に対しても有効である。例示的な実施形態では、下の実施例1〜11で示すように、組成物は、アリ、ハサミムシ、ニヨリチャコウラナメクジ、およびノハラナメクジを防除および/または処理するために用いることができる。
【0019】
上記したように、一実施形態では、組成物は少なくとも1つのスピノシンを、少なくとも1つの殺軟体動物剤および餌担体と一緒に、固体、粉末または液体の形態で含む。スピノシンは、2つの異なる糖が結合した四環系を含むマクロライドである。一実施形態では、スピノシンは、土壌細菌サッカロポリスポラ・スピノサ(Saccharopolyspora spinosa)、コード名A83543、からの殺虫性分画から単離される。スピノシンは発酵法を用いて単離することができるが、それらは、商品名ConserveTMSC、SpinTorTM、およびEntrustTM(全てDow AgroSciences LLC、9330 Zionsville Road Indianapolis、IN 46268から販売)、Monterey Lawn and Garden Products社、P.O.Box 35000 Fresno、CA、93745−5000から販売のFire Ant NightmareTM、ならびにGardens−Alive!、5100 Schenley Place、Lawrenceburg、IN 47025、から販売のBulls−EyeTMBioinsecticideとして市販されてもいる。
【0020】
例示的な組成物は少なくとも1つのスピノシンを含むが、本組成物は他のスピノシンを含むこともできる。例えば、スピノシンは、最も活性の強い天然代謝産物のうちの2つ(スピノシンAおよびD)の混合物であるスピノサドであることができる。本発明で用いるように、スピノサドは、上で記した市販製品であるDow社のEntrustTMから得ることができる。スピノサドは、S.スピノサの栄養培地での好気性発酵に由来する、二次代謝産物である。発酵後、スピノサドを抽出、処理して、使用および流通の容易さのために高濃縮の従来の水性懸濁液を形成することができる。スピノサドは、わずかにカビ臭い水に類似した土臭を有する、淡灰色から白色の結晶質固体である。それはpHが約7.74であり、金属および金属イオンに対して約28日間安定であり、製剤化された物質として約3年の有効期間を有する。それは不揮発性であるとも思われ、約1010mmHgの蒸気圧を有する。接触毒および摂取毒として作用するという点でスピノサドは特に有利であり、それは、昆虫神経系を興奮させて非自発的筋収縮、震えを伴う虚脱および麻痺をもたらす。スピノサドはGABA受容体機能にも影響を及ぼし、そのことは、その殺虫活性にさらに寄与することができる。
【0021】
本組成物が提供される形態、例えば液体、RTU液体スプレー、粉末、または固体に関係なく、本組成物は、個々の昆虫または軟体動物を処理するのに有効な量のスピノシンを含まなければならない。例示的な実施形態において、即時使用用固体組成物中のスピノシンの濃度は、約1ppm〜20,000ppm、より好ましくは約1ppm〜10,000ppm、より好ましくは約10ppm〜4,000ppm、最も好ましくは約100ppm〜1,000ppmの範囲内であることができる。さらに、施用する組成物のpHは、使用者の個別の必要によって、酸性、アルカリ性または中性に調節することができる。例示的なpHは、約6〜7の範囲内である、
1つの例示的な実施形態では、スピノシンを少なくとも1つの殺軟体動物剤および少なくとも1つの餌担体と組み合わせて、環境に安全で植物無害である殺虫性および殺軟体動物性の組成物を形成することができる。本明細書で開示される組成物を形成するために様々な殺軟体動物剤を用いることができるが、殺軟体動物剤は、陸生の軟体動物に致死性である摂取可能な毒であることが好ましい。殺軟体動物剤は、様々な化合物、例えば鉄塩、金属化合物およびキレート剤、遷移金属コンプレクソン、ならびに合成殺軟体動物剤から選択することができる。一実施形態では、例示的な鉄塩には、リン酸鉄を含めることができる。
【0022】
他の実施形態において、殺軟体動物剤は金属化合物およびキレート剤を含むことができる。そのような化合物は、金属タンパク質、金属塩、金属炭水化物またはそれらの組合せなどの第1の成分(金属化合物)と、アミノポリカルボン酸キレート剤、ポリホスホン酸キレート剤およびそれらの組合せであることができる第2の成分との組合せでよい。例示的な金属には、鉄、銅、亜鉛およびアルミニウムを含めることができる。例示的なアミノポリカルボン酸キレート化剤には、エデト酸、エデト酸二ナトリウムカルシウム、エデト酸一ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸二ナトリウムカルシウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸一ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、イミノ二コハク酸、イミノ二フマル酸、イミノ二酒石酸、イミノ二マレイン酸、エチレンジアミン二フマル酸、エチレンジアミン二リンゴ酸、イミノ二リンゴ酸、エチレンジアミン二酒石酸、エチレンジアミン二マレイン酸、エチレンジアミン二コハク酸、エチレンジアミン二コハク酸の異性体、イミノ二コハク酸(IDS)、またはこれらの酸の種もしくは塩を含めることができ、例示的なポリホスホン酸キレート剤には、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、ヒドロキシエチルジホスホン酸(HEDP)、およびこれらの組合せを含めることができる。
【0023】
他の実施形態において、殺軟体動物剤は遷移金属コンプレクソンでよい。例示的な遷移金属コンプレクソンには、アミノポリカルボン酸キレート剤、ポリホスホン酸キレート剤およびそれらの組合せなどのキレート剤と錯体を形成した鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびそれらの混合物などの金属を有する、遷移金属化合物を含めることができる。例示的な遷移金属コンプレクソンには、エチレンジアミン四酢酸第二鉄、エチレンジアミン四酢酸第一鉄、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸第二鉄、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸第一鉄、エチレンジアミン二コハク酸第二鉄、エチレンジアミン二コハク酸第一鉄、エチレンジアミン二コハク酸銅、エチレンジアミン二コハク酸亜鉛、エチレンジアミン二コハク酸アルミニウム、およびそれらの混合物ならびにそれらの種および塩を含めることができる。例示的なアミノポリカルボン酸キレート剤およびポリホスホン酸キレート剤は、上に記されている。
【0024】
それらが、環境、植物、動物および他の非害虫に著しい脅威を及ぼさない構成化合物で形成されるという点で、これらの化合物は特に有利である。殺軟体動物剤は使用者の必要によって様々な量で用いることもできるが、本組成物が固体である一実施形態では、殺軟体動物剤は約0.1%〜10%、より好ましくは約0.2%〜8%、最も好ましくは約0.5%〜6%の範囲内の濃度で存在する。
【0025】
他の実施形態では、殺軟体動物剤は、メタアルデヒド、メチオカルブ、カルバリル、イソラン、メクスカルベート、メルカプトジメツル、ニクロサミド、トリフェンモルフ、カルボフラン、アナルカルド酸、植物由来サポニン、リグノスルホン酸、リグノスルホン酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩およびそれらの組合せなどの、合成殺軟体動物剤であることができる。あるいは、合成殺軟体動物剤は、組成物中の第2の殺軟体動物剤として存在することができる。アセトアルデヒドの重合生成物であるメタアルデヒドは、Monterey AgResources、P.O.Box 35000 Fresno、CA93745−5000、が生産するDeadline 40 Deadlineバレットなどのブランドを含む、様々な製剤で販売される。メタアルデヒドの製剤は、約2%〜6重量パーセントの有効成分を含むことができる。メチオカルブは、住宅所有者用のMesurol2%(Gowan社、P.O.Box 5569 Yuma、AZ 85366、が生産)を含む、様々なブランドの下で販売されるカルバメート剤4−メチルチオ−3,5−キシリルメチルカルバメートである。一方メチオカルブは様々な濃度で利用可能であるが、例示的な実施形態において、それは約2%の有効成分を有する。
【0026】
一実施形態では、本組成物は、食用の不活性餌担体と組み合わせて、スピノシンさらに単一の殺軟体動物性有効成分を含むことができる。単一の有効成分は、鉄塩または金属キレート、例えばエチレンジアミン二コハク酸鉄、エデト酸第二鉄、イミノ二コハク酸鉄、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸鉄、アミノトリ(メチレンホスホン酸)鉄、ヒドロキシエチルジホスホン酸鉄およびそれらの組合せであることができる。好ましくは、有効成分は、組成物中の鉄の濃度が約200ppm〜60,000ppmの範囲内であるような量で存在する。金属コンプレクソン、例えば、本明細書に参照により組み込まれている米国特許第5,437,870号、米国特許第6,352,706号、米国特許第6,093,416号、米国特許第6,703,036号および米国特許第6,852,329号で記載のものなどを用いることもできる。鉄塩はSluggoTM(Monterey Lawn and Garden Products社から販売)などの様々な商品名でも市販され、有効成分としてリン酸鉄を有する。他の実施形態では、組成物は2つ以上の殺軟体動物剤を含むことができ、これらの2つ以上の殺軟体動物剤は本明細書で開示される殺軟体動物剤のいずれも含むことができる。
【0027】
上記の殺軟体動物剤は昆虫害虫に対して活性でなく、したがってそれらは、広範囲の昆虫さらに軟体動物の農薬を得るために様々なスピノシン製剤と組み合わせるのに理想的であることが、特に有利である。
【0028】
上記のように、組成物が昆虫および軟体動物によって容易に食されるように、害虫を組成物に引き寄せるように適合させた餌を、組成物は含むことができる。様々な餌が公知であり、本発明の組成物で用いることができる。例示的な餌には、寒天、ポテトデキストロース寒天、テンサイ、ゼラチン、油かす、ペット食品、小麦、小麦粉、大豆、オート麦、トウモロコシ、米、果物、魚副産物、糖、コーティングされた野菜および穀類の種子、カゼイン、乳漿、血粉、骨粉、酵母、紙製品、珪藻土、タルク、珪酸アルミニウムマグネシウム、カオリナイト、炭酸カルシウム、チョークなどの天然および合成の粘土、スエットおよびラードを含む脂肪、小麦穀類を含む様々な穀類、ならびにそれらの組合せなどの、昆虫/軟体動物食品を含めることができる。例示的な実施形態では、餌は、例えば、Cargill社、P.O.Box 9300 Minneapolis、MN、から市販の小麦穀物である。他の実施形態では、組成物が粉末または液体である場合、組成物は、乾燥担体および/または溶媒をそれぞれ含むことができる。
【0029】
当業者は、本明細書で開示されるスピノシンを含む組成物は、殺虫剤として有効なだけでなく、環境的に健全でありヒトが用いても安全であることを理解するであろう。さらに、一部の組成物は、降雨のときに餌から浸出しないという点で残効性を有することができ、したがって、雨天の間およびその後も、昆虫および軟体動物害虫から保護することができる。当業者は、使用者の必要に応じて、他の様々な化合物を殺虫性/殺軟体動物性組成物に加えることができることを理解するであろう。一実施形態では、界面活性剤、好ましくは非イオン性および両性の界面活性剤が、本組成物に有用であり得る。好ましい非イオン性界面活性剤には、エトキシル化ソルビタン誘導体、エトキシル化脂肪酸、およびそれらの混合物が含まれる。例示的なエトキシル化ソルビタン誘導体には、ICI Americas社、Agricultural Products Division、Wilmington、DE、から入手可能な、TWEEN81およびTWEEN85などのTWEEN界面活性剤が含まれる。他の適当なソルビタン誘導体には、Henkel社、Cincinnati、OH、から入手可能なEMSORB 6903およびEMSORB 6913が含まれる。適当なエトキシル化脂肪酸には、Chemax社、Greenville、SC、から入手可能なCHEMAX T09およびCHEMAX E400MO、ならびに、Rhone Poulenc、Cranberry、NJ、から入手可能なALKASURF 014およびALKASURF 09が含まれる。好ましい両性界面活性剤には、化学的には1−ヘキサデカナミニウム、N−(カルボキシメチル)N,N−ジメチル−、内塩(CAS番号693−33−4)として知られる、Deforest Enterprises FL、USA、から入手可能なセチル(C16)ベタインが含まれる。
【0030】
他の実施形態において、組成物の酸化の影響を低減するために、抗酸化剤を組成物に加えることができる。適当な抗酸化剤の例には、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、α−トコフェロール、エトキシキン(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)および2,6−ジオクタデシル−P−クレゾール(DOPC)が含まれる。
【0031】
組成物は、pH調節剤を含むこともできる。様々なpH調節剤を用いることができるが、例示的なpH調節剤には、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、アスコルビン酸、酒石酸およびクエン酸を含めることができる。使用時、乾燥前の担体で測定すると、pH調節剤により組成物のpHは約5〜9となる。
【0032】
当業者は、殺虫性/殺軟体動物性の組成物が、防腐剤もしくは抗微生物薬、摂食刺激物質、紫外線保護剤、抗酸化剤、防水剤、風味改変添加剤またはその任意の組合せなどの、追加の製剤強化添加剤を含むこともできることを理解するであろう。
【0033】
様々な防腐剤を本発明の殺虫性/殺軟体動物性の組成物と一緒に効果的に用いることができ、例示的な防腐剤には、Rohm & Haas社、Philadelphia、PA、から入手可能なLegend MK(登録商標)、および、Dr.Lehmann and Co.、Memmingen/Allgaeu、Germany、から入手可能なCA−24が含まれる。一方防腐剤は様々な量で組成物中に存在することができるが、好ましくは、例えば上で列挙したものなどの防腐剤は、水と混合して、約1ppm〜750ppmの濃度で製剤に加えるための保存溶液を形成することができる。
【0034】
昆虫および軟体動物を誘引して組成物を摂食するように誘導するために、摂食刺激物質を組成物に加えることができる。糖、酵母生成物およびカゼインを含め、様々な摂食刺激物質を用いることができ、例示的な実施形態においては、ショ糖などの糖が用いられる。これらの添加剤は、通常、乾燥状態の組成物中に様々な量で組み込まれるが、一般には、それらは、総組成物重量の約1パーセント〜2.5パーセントで組成物に加えることができる。
【0035】
組成物の耐候性を改善するために、結合剤の作用をすることもできる防水剤を組成物に加えることもできる。これらは、一般的に、ろう様の物質および他の炭化水素などの、水不溶性化合物である。適当な防水剤の例は、パラフィンワックス、ステアリン酸塩、蜜蝋および類似の化合物である。1つの好ましいワックス化合物は、Conros社、Scarborough、Ontario、Canada、から入手可能なPAROWAX(登録商標)である。防水剤は、乾燥状態の組成物中に様々な量で組み込むことができるが、例示的な実施形態では、防水剤は、総組成物重量の約5パーセント〜12パーセントで組成物に組み込まれる。
【0036】
組成物は、組成物を動物の口に合わないようにするために、殺虫性/殺軟体動物性の風味改変化合物を含むこともできる。例示的な組成物としては苦味を有するものがあり、適当な市販化合物には、McFarlane Smith社、Edinburgh、Scotland、から入手可能なBITREXが含まれる。これらの化合物は一般的に非常に低い濃度で加えられ、例えば、一般的に、0.1%BITREX溶液を、総組成物重量の約1パーセント〜2パーセントで組成物に加えることができる。
【0037】
本発明の殺虫性/殺軟体動物性の組成物は一般的に乾燥状態で用いられ、組成物の構成成分の多くは乾燥状態で含まれる。しかし、成分をより容易に形成することができるように餌を形成するために、組成物に十分な水量を含ませることは有用であり得る。加える水量は様々でよいが、一般的に、水は総組成物重量の約15パーセント〜60パーセントで加えられる。しかし、一般的に、この水は、組成物の使用前に、組成物を加熱および乾燥させることによってとばされる。
【0038】
本発明による乾燥状態の殺虫性/殺軟体動物性の組成物は、様々な技術を用いて調製することができる。一実施形態では、スピノシンおよび殺軟体動物剤、例えばスピノサドおよびEDTA鉄の適当な量を、小麦粉などの乾燥した餌と一緒に、乾燥状態で混合することができる。その後、他の乾燥成分(例えば摂食刺激物質および防水剤)を混ぜ、組成物と混合することができる。液体添加剤(例えば、防腐剤、風味改変添加剤および水などの溶媒)の適当な量を乾燥混合物に加えて、生地を形成することもできる。次に、好ましくは、組成物を例えばラップで覆い、加熱する。組成物を加熱するために様々な技術を用いることができるが、一実施形態では、組成物の構造によって約30秒〜10分間、組成物を電子レンジで加熱することができる。加熱後、生地を食品粉砕機で処理して糸状の組成物を得ることができ、それを上昇させた温度または周囲温度で乾燥させ、所望の形態、例えば、粉末、ペレット、キューブまたは粒剤などに成形することができる。他の実施形態では、スピノシン、殺軟体動物剤および餌担体を一緒に混ぜて、混合組成物を形成することができる。次にワックスなどの結合剤を組成物に加えることができ、組成物をペレット化機構に通して結合剤を活性化することができる。ペレット化剤は用いる結合剤の種類によって様々でよいが、結合剤がワックスの場合、ワックスは、加熱して溶かすことができる。
【0039】
他の実施形態では、最初に餌ペレットを餌担体から形成し、次に、ペレットの周囲のコーティングとして殺軟体動物剤およびスピノシンを加える技術を用いて、餌を形成することができる。例えば、餌ペレットを餌担体から形成する場合、殺軟体動物剤およびスピノシンを油(例えば鉱油、トリグリセリド油およびそれらの組合せ)で分散させて、コーティング溶液を形成することができる。次に、このコーティング溶液がペレットを被覆するように、それを餌担体ペレットに適用することができる。あるいは他の実施形態では、殺軟体動物剤または少なくとも1つのスピノシンのいずれかを担体コアの中に組み込み、殺軟体動物剤およびスピノシンの他のものを油で分散して、生じたペレットに適用するために用いることができる。例えば、一実施形態では、この方法は担体および少なくとも1つの殺軟体動物剤からコアを形成すること、ならびに、スピノシンのある量を油に分散させて、担体および殺軟体動物剤コアの表面を被覆するためのコーティングを形成することを含むことができる。他の実施形態では、この方法は担体および少なくとも1つのスピノシンからコアを形成すること、ならびに、殺軟体動物剤のある量を油に分散させて、担体およびスピノシンのコアの表面を被覆するためのコーティングを形成することを含むことができる。当業者は、餌ペレットを形成するために用いることができる様々な技術を理解されよう。
【0040】
昆虫および軟体動物害虫を処理するために有効な組成物の例示的な製剤としては、以下のものを挙げることができる。
【0041】
【化1】

以下の非限定的な実施例は、本発明をさらに説明する役目を果たす。全ての実施例において、有効成分の百分率は重量パーセントである。
【実施例】
【0042】
(実施例1)
スピノサドおよび脂肪酸塩の組合せのハサミムシ防除試験
この試験の目的は、F.auricularia(ヨーロッパハサミムシ)を防除することについてスピノサドを評価することであった。市販型のスピノシンであるスピノサドおよびSluggoTM(有効成分としてリン酸鉄を含む)を用いて乾燥状態の殺虫性/殺軟体動物性の餌を形成した後、ハサミムシを、水で湿らせた砂を含む桶に入れた。砂を湿った紙タオルの層によって覆い、表1に示す餌を紙の上に置いた。各処理は、それぞれ10匹のハサミムシおよび餌1gの2反復で構成された。箱をボール箱内に入れて研究所の日陰の場所に放置し、死亡率は、処理から5、7および12日目に調査した。
【0043】
下記表1は、スピノサド、脂肪酸塩およびそれらの組合せの組成物から得た結果を示す。
【0044】
【化2】

(実施例2)
スピノサドおよびカノーラ油の組合せのアリ防除試験
この試験の目的は、アリを防除することについて、カノーラ油と組み合わせたスピノサドを評価することであった。スピノサドベースの乾燥状態の殺虫性/殺軟体動物性の餌を形成後、5匹のアリをそれぞれペトリ皿に置いた。下の表2に記載の餌1.0gを各皿に入れ、脱出を予防するためにペトリ皿を固定した。各処理は5匹の昆虫の8反復からなり、死亡率は処理から1、2および5日目に調査した。
【0045】
【化3】

(実施例3)
スピノサドおよびリン酸鉄の餌の組合せのハサミムシ若虫防除試験
この試験の目的は、ハサミムシ若虫を防除することについて、リン酸鉄餌と組み合わせたスピノサドを評価することであった。スピノサドを用いて乾燥状態の殺虫性/殺軟体動物性の餌組成物を形成した後、ハサミムシ若虫を桶に入れた。桶には1cmの深さの湿った鉢土を入れ、中央には単一のラディッシュ植物(2〜3葉期)を植えた。各処理は、植物の基部の周辺に散布された、表3および4に記載の餌1.0gからなった。各処理は、それぞれ10匹のハサミムシ若虫の5反復からなり、死亡率は処理から1、2、3、6および7日目に調査した。
【0046】
【化4】

(実施例4)
スピノサドおよび鉄の餌の組合せのハサミムシ成虫防除試験
この試験の目的は、ハサミムシ成虫を防除することについて、鉄の餌と組み合わせたスピノサドを評価することであった。スピノサドを用いて乾燥状態の殺虫性/殺軟体動物性の餌組成物を形成した後、ハサミムシ成虫および表5記載の餌組成物1.0gを皿に入れた。各処理は、それぞれ5匹のハサミムシの8反復からなり、死亡率は処理から1、2、3、6、7、8、10、13および14日目に調査した。
【0047】
【化5】

(実施例5)
スピノサドおよび鉄の餌の組合せのハサミムシ成虫防除試験
この試験の目的は、ハサミムシ成虫を防除することについて、鉄の餌と組み合わせたスピノサドを評価することであった。スピノサドを用いて乾燥状態の殺虫性/殺軟体動物性の餌組成物を形成した後、ハサミムシ成虫および表6記載の餌組成物1.0gを皿に入れた。各処理はそれぞれ5匹のハサミムシの8反復からなり、死亡率は処理から1、2、5および6日目に調査した。
【0048】
【化6】

(実施例6)
スピノサドおよびSluggoTMの組合せのナメクジ防除試験
この試験の目的は、ナメクジを防除することについて、SluggoTMと組み合わせたスピノサドを評価することであった。下の表7および8に記載の餌の形成後、10匹のニヨリチャコウラナメクジを桶に入れた。各桶に鉢植えのレタス幼植物を1つおよび餌5gを入れ、餌製剤につき2つの桶を用いた。桶は試験期間中屋外に置き、死亡率は、処理後5日目および7日目に観察した。
【0049】
【化7】

(実施例7)
スピノサドおよびSluggoの組合せのナメクジ防除試験
この試験の目的は、ナメクジを防除することについて、SluggoTMと組み合わせたスピノサドを評価することであった。下の表9に記載の餌を形成後、餌を15匹のノハラナメクジと一緒に桶に入れた。各桶に鉢植えのレタス幼植物を1つおよび餌2gを入れ、餌製剤につき2つの桶を用いた。桶は試験期間中日陰の屋外に置き、死亡率は、7日後に調査した。
【0050】
【化8】

(実施例8)
スピノサドおよび餌の組合せのナメクジ防除試験
この試験の目的は、ナメクジを防除することについて、MetarexTMまたはSluggoTMと組み合わせたスピノサドを評価することであった。下の表10および11に記載の餌の形成後、ノハラナメクジを野外から収集して、その日に桶に加えた。各桶に鉢植えのレタス幼植物を1つおよび餌2gを入れ、処理につき2つの桶を用いた。桶は試験期間中実験室内に置き、死亡率を5日後に調査した。
【0051】
【化9】

【0052】
【化10】

(実施例9)
スピノサドおよび餌の組合せのナメクジ防除試験
この試験の目的は、ナメクジを防除することについて、EDTA鉄の餌と組み合わせたスピノサドを評価することであった。下の表12および13に記載の餌の形成後、ノハラナメクジを野外から収集して、その日に桶に加えた。各桶に10匹のノハラナメクジ、鉢植えのレタス幼植物を1つ、および餌2gを入れ、処理につき2つの桶を用いた。桶は試験期間中実験室内に置き、死亡率を5日後に調査した。
【0053】
【化11】

(実施例10)
スピノサドおよび餌の組合せのハサミムシ防除試験
この試験の目的は、ハサミムシを防除することについて、様々な餌と組み合わせたスピノサドを評価することであった。乾燥状態の殺虫性/殺軟体動物性の餌を、下の表14に記載のとおり作製した。コロニーからのハサミムシを、16ドラムバイアル内の水0.8gで湿らせた砂4.0gの上に置いた餌1.0gと一緒に、ペトリ皿に置いた。各処理はそれぞれ3匹の昆虫の5反復からなり、死亡率は、処理から1、2および3日目に調査した。
【0054】
【化12】

(実施例11)
スピノサドおよび餌の組合せのアリ防除試験
この試験の目的は、アリを防除することについて、MetarexTM餌と組み合わせたスピノサドを評価することであった。餌は、下記の表15で示すように異なる量のスピノサドでコーティングした。餌の形成後、コロニーからのアリを餌1.0gとともにペトリ皿に置いた。各処理は5匹の昆虫の5反復からなり、死亡率は、処理から1、2および3日目に調査した。
【0055】
【化13】

当業者は、上記の実施形態に基づき、本発明のさらなる特徴および利点を理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除いて、本発明は、個別に示され記載されたことによって限定されるものではない。本明細書で引用した全ての刊行物および参照は、その全体において参照により本明細書に明示的に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境に安全で、植物無害である殺虫性/殺軟体動物性の餌組成物であって、
少なくとも1つのスピノシンの活性量、
少なくとも1つの殺軟体動物剤、および
少なくとも1つの餌担体
を含み、植物または植物産物に損傷を与えることなく昆虫および軟体動物を殺傷する効力を有する組成物。
【請求項2】
前記殺軟体動物剤が鉄塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記鉄塩がリン酸鉄である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記殺軟体動物剤が少なくとも1つのキレート剤と組み合わせた単純な遷移金属化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記単純な遷移金属が、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される金属を有する金属タンパク質、金属塩および金属炭水化物からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのキレート剤が、アミノポリカルボン酸キレート剤、ポリホスホン酸キレート剤およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記アミノポリカルボン酸キレート剤が、エデト酸、エデト酸二ナトリウムカルシウム、エデト酸一ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸二ナトリウムカルシウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸一ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、イミノ二コハク酸、イミノ二フマル酸、イミノ二酒石酸、イミノ二マレイン酸、エチレンジアミン二フマル酸、エチレンジアミン二マレイン酸、イミノ二マレイン酸、エチレンジアミン二酒石酸、エチレンジアミン二コハク酸、エチレンジアミン二コハク酸の異性体、エチレンジアミン二コハク酸の塩、エチレンジアミン二コハク酸の金属錯体、エチレンジアミン二コハク酸の混合物およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリホスホン酸キレート剤がアミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、ヒドロキシエチルジホスホン酸(HEDP)およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記殺軟体動物剤が遷移金属コンプレクソンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記遷移金属コンプレクソンが、アミノポリカルボン酸キレート剤、ポリホスホン酸キレート剤およびそれらの組合せからなる群から選択されるキレート剤と錯体を形成した、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される金属を有する遷移金属化合物を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記遷移金属コンプレクソンが、エチレンジアミン四酢酸第二鉄、エチレンジアミン四酢酸第一鉄、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸第二鉄、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸第一鉄、エチレンジアミン二コハク酸第二鉄、エチレンジアミン二コハク酸第一鉄、エチレンジアミン二コハク酸銅、エチレンジアミン二コハク酸亜鉛、エチレンジアミン二コハク酸アルミニウム、およびそれらの混合物ならびにそれらの種および塩からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記殺軟体動物剤が合成殺軟体動物剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記合成殺軟体動物剤が、メタアルデヒド、メチオカルブ、カルバリル、イソラン、メクスカルベート、メルカプトジメツル、ニクロサミド、トリフェンモルフ、カルボフラン、アナルカルド酸、植物由来サポニン、リグノスルホン酸、リグノスルホン酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項14】
pH調節剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記pH調節剤が、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、アスコルビン酸、酒石酸およびクエン酸からなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
乾燥前の生地で測定すると、pH調節剤により前記組成物のpHが約5〜9となる、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの殺軟体動物剤が約0.1%〜10%の濃度で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1つのスピノシンが約1ppm〜2.0%の濃度で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記餌担体が昆虫/軟体動物食品である、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記昆虫/軟体動物食品が、寒天、ポテトデキストロース寒天、テンサイ、ゼラチン、油かす、ペット食品、小麦、小麦粉、大豆、オート麦、トウモロコシ、米、果物、魚副産物、糖、コーティングされた野菜種子、コーティングされた穀類種子、カゼイン、乳漿、血粉、骨粉、酵母、紙製品、天然粘土、合成粘土、タルク、珪酸アルミニウムマグネシウム、カオリナイト、炭酸カルシウム、チョーク、脂肪、穀類およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1つのスピノシンの有効量、少なくとも1つの殺軟体動物剤、および少なくとも1つの餌担体を有する組成物を提供すること、および
軟体動物および昆虫の少なくとも1つが加害する領域に前記組成物の有効量を投与すること
を含む、望ましくない軟体動物および昆虫害虫を絶滅させる方法。
【請求項22】
前記軟体動物および昆虫の少なくとも1つに前記組成物を摂食させることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの殺軟体動物剤、スピノシンおよび担体を一緒に混ぜて混合組成物を形成すること、
前記混合組成物を結合するために溶媒を前記組成物に加えること、および
前記混合組成物を少なくとも1つのペレットに成形すること
を含む、殺虫性および殺軟体動物性の餌を調製する方法。
【請求項24】
少なくとも1つの担体を用いてコアを形成すること、
スピノシンおよび殺軟体動物剤の少なくとも1つのある量を油に分散させてコーティングを形成すること、および
前記コアに前記コーティングを適用して、前記殺軟体動物剤および前記スピノシンの少なくとも1つを前記コアの表面に結合させること
を含む、殺虫性および殺軟体動物性の餌を調製する方法。
【請求項25】
前記油が鉱油、トリグリセリド油およびそれらの組合せから選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記担体および少なくとも1つの殺軟体動物剤からコアを形成すること、ならびに、スピノシンのある量を油に分散させて、前記担体および殺軟体動物剤のコアの表面を被覆するためのコーティングを形成することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記担体および少なくとも1つのスピノシンからコアを形成すること、ならびに、殺軟体動物剤のある量を油に分散させて、前記担体およびスピノシンのコアの表面を被覆するためのコーティングを形成することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1つの殺軟体動物剤、スピノシンおよび担体を一緒に混ぜて混合組成物を形成すること、
ワックスを混合組成物に加えること、および
前記混合組成物をペレット化機構に通して前記組成物への前記ワックスの結合を達成し、それによって少なくとも1つのペレットを形成すること
を含む、殺虫性および殺軟体動物性の餌を調製する方法。

【公表番号】特表2009−507902(P2009−507902A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530538(P2008−530538)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066381
【国際公開番号】WO2007/031565
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(500366679)ヴェー.ノイドルフ ゲーエムベーハー カーゲー (2)
【Fターム(参考)】