説明

尿失禁防止装置

使用者の尿道に挿入して用いる尿失禁防止装置を提供する。この装置は、外表面を有し、先端と終端のある非吸収性の本体と、上記本体に取り付けられる第1端を有し、その一部が上記使用者の外部に位置する取り外し機構と、上記尿道内に位置決めし、上記尿道を封止して上記尿道からの尿漏を防ぐ、おおむね球根状形状をした上記本体の部分と、上記尿道の壁部に係合して上記使用者の尿道内に上記装置を固定する、上記本体の上記外表面に塗布されたコーティングと、を備える。別の実施形態は、アプリケータを上記装置の本体と係合させ、上記装置を尿道内に導入して上記使用者の球状尿道内に配置させる尿失禁制御方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿失禁に伴う尿漏を制御または緩和する装置、および同装置の使用に伴う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尿失禁とは、不随意の尿漏れに伴う状態を指す。尿失禁は、一時的にせよ永久的にせよ、人口の10%以上に影響を及ぼしている。尿失禁は、基礎疾患の症状または結果であることが多い。男女ともに尿失禁に悩まされる可能性がある。
【0003】
尿失禁は、当惑させるような苦しい状態であり、個人のクオリティ・オブ・ライフに深刻な影響を与えることも多い。また、尿失禁は、個人の自尊心に影響を与えることがあり、その人のレクリエーション活動への参加能力を妨げることもある。
【0004】
尿失禁では、本人の衣服が尿で濡れたり尿の臭いがしたりすることを防ぐために、おむつや吸収パッドを装着する必要性を伴うことがある。しかしながら、かかるおむつやパッドには、以下のように多くの短所がある。(a)おむつおよびパッドは嵩高く、扱いにくく、着心地が悪いおそれがあること、(b)おむつおよびパッドは短期間で不快臭を発することがあり、本人を当惑させ苦しめるおそれがあること、(c)おむつおよびパッドは他人から見て明らかなことがあり、本人が気にしたり当惑したりするおそれがあること、(d)おむつおよびパッドの経済的コストは、時間とともに本人に大きな影響を与えるおそれがあること、および(e)かかるおむつおよびパッドの使用と廃棄に伴う環境への影響が懸念されること。尿失禁に悩む人々は、おむつの代わりにゴムのパンツを用いてきたが、かかるパンツでは衣服が尿で濡れたり尿の臭いがしたりすることを防ぐことはほとんどできない。
【0005】
おむつ、吸収パッド、ゴムパンツの代替品として、カテーテルおよび排尿容器がある。しかしながら、これらは本人にとっては不快かつ扱いにくく、また見た目にわかるために当惑や苦しみを生じさせるおそれがある。また、カテーテルにはかなり問題がある。カテーテルの排尿チューブは、膀胱から尿道内を経由して装着者の体外へ延出しており、尿道口からその人の体外に出る。このような排尿チューブの経路では、本人が大きな動作をしようとすると、その人の尿道口の周囲の表皮を著しく擦りむいたり炎症を起こしたりするおそれがある。したがって、カテーテルおよび排尿容器は、個人のクオリティ・オブ・ライフを妨げるおそれがあり、またその人の活動と全体的な機動力のいずれをも制限するおそれがある。
【0006】
代替的な解決策として、尿失禁に悩む人々が体外に装着できる、尿道口の出口に取り付けるクランプ型の閉鎖具や広い範囲で伸縮可能な締め具などの装置がある。しかしながら、こうした装置は不快なものであり、個人の活動を制限する恐れがある。
【0007】
尿道を封鎖するよう構成された装置の例が、米国特許第5671755号、米国特許第4457299号、米国特許第5090424号、および欧州特許出願第86301429.6号に開示されている。
【0008】
尿失禁防止装置は、容易に購入可能であり、また単純で使いやすいことが要求される。かかる尿失禁防止装置は、尿漏により妨げられることのない通常のクオリティ・オブ・ライフを可能とするべきものである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の実施形態は、尿失禁に伴う尿漏を制御または緩和する装置、および同装置の使用に伴う方法に関する。
【0010】
一例示的実施形態は、使用者の尿道に挿入して用いる尿失禁防止装置に関する。上記装置は、外表面を有し、先端と終端のある非吸収性の本体と、上記本体に取り付けられる第1端を有し、その一部が上記使用者の外部に位置する取り外し機構と、上記尿道内に位置決めし、上記尿道を封止して上記尿道からの尿漏を防ぐ、おおむね球根状形状をした上記本体の部分と、上記尿道の壁部に係合して上記使用者の尿道内に上記装置を固定する、上記本体の上記外表面に塗布されたコーティングと、を備える。
【0011】
一局面によれば、上記装置は、上記本体の上記先端の長手方向に延びる溝部をさらに備える。
【0012】
別の局面によれば、上記装置は、上記装置を上記尿道内に挿入するためのアプリケータをさらに備える。さらに別の局面によれば、上記アプリケータは、その長手方向に延びる、上記取り外し機構に係合するためのチャネルを有する。
【0013】
別の局面によれば、上記アプリケータは、上記本体の上記終端部に係合するための第1端を有する。さらに別の局面によれば、上記終端は、上記アプリケータの上記第1端に係合するためのソケットをさらに含む。
【0014】
別の局面によれば、上記取り外し機構は、その第2端に保持部材をさらに備える。さらに別の局面によれば、上記アプリケータは、その長手方向に延びるチャネル内の上記取り外し機構と係合し、上記アプリケータは上記保持部材に係合するための第2端を有する。
【0015】
別の局面によれば、上記コーティングは、ラテックス、シリコーン、およびその組み合わせからなる群から選択される。
【0016】
別の局面によれば、上記尿失禁防止装置は使い捨てである。さらに別の局面によれば、上記装置は再利用可能である。
【0017】
別の局面によれば、上記装置の上記先端は、上記装置を尿道へ挿入できるように、先が細くなっている。
【0018】
別の実施形態は、
a)アプリケータの第1端を、上記取り外し機構が上記アプリケータの長手方向に延びる尿失禁防止装置の終端と係合させるステップと、
b)上記尿失禁防止装置を尿道に導入して上記使用者の球状尿道内に配置させるステップと、を備える尿失禁制御方法に関する。
【0019】
別の実施形態は、上記先端、上記終端、および上記部分が互いに着脱可能に連結され、組み立てられて装置の本体を構成する、尿失禁防止装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下の図面は実施形態を説明するものであり、同一の参照番号は同一の要素を表す。以下の添付図面において、実施形態を限定ではなく例示として説明する。
【0021】
【図1】図1は、本装置の側面図である。
【図2】図2は、本装置の別の実施形態の側面図である。
【図3】図3は、図2の装置の「A」から見た図である。
【図4】図4は、尿道管に装置を挿入するためのアプリケータの側面図である。
【図5】図5は、図4のアプリケータを係合した状態の図2の装置の側面図である。
【図6】図6は、本装置の別の実施形態における装置の分解側面図である。
【図7】図7は、図6の分解された装置の側断面図である。
【図8】図8は、男性の尿道への装置の挿入の説明図である。
【図9】図9は、装置を内部に配した状態の男性の尿道の断面図である。
【図10】図10は、装置を内部に配した状態の女性の尿道の断面図である。
【図11】図11は、装置の別の実施形態の図6のアプリケータを係合する前における側面斜視図である。
【図12】図12は、図6のアプリケータを係合した状態の図11の装置の側面斜視図である。
【図13】図13は、使用者の尿道口に挿入するよう配された状態の図12の装置およびアプリケータの側面斜視図である。
【図14】図14は、図12の装置およびアプリケータが尿道管の海綿状尿道に挿入されている状態の使用者の尿道の側面斜視図である。
【図15】図15は、図12の装置を内部に配した状態の使用者の尿道の側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態は、尿失禁に伴う尿漏を制御または緩和する装置、および同装置の使用に伴う方法に関する。
【0023】
一実施形態において、本装置は、尿失禁に悩む男性と女性のいずれにも用いることができる。この装置は、ある人の尿道口または外尿道口から尿道管へ挿入されると、尿道管内の尿が体内から出ないように遮断し、これによりその人の排尿系から衣服や身体の外側の部分への尿漏を防ぐ。
【0024】
この装置は、昼夜にわたって尿漏を防ぎ、取り外すのは使用者が排尿する場合のみでよい。一実施形態において、この装置は再利用可能であってもよく、使用者が一日平均最低5回着脱しても、20か月以上継続して使用することができる。この装置は、不快感、痛み、または炎症を起こすこともなく、昼夜にわたって繰り返し着脱することができる。別の実施形態において、この装置は、処分の簡単な使い捨て用であってもよい。
【0025】
図1を参照して、参照番号10で示す尿失禁防止装置の一実施形態の側面図を示す。装置10は、先端30と終端40とを有する本体20を備える。一実施形態において、先端30は挿入が容易となるように先が細くなっている。本体20は、先端30と終端40との間に位置し、おおむね球根状の湾曲した形状をした部分50を有する。部分50の直径は、おおむね先端30および終端40よりも大きい。装置10は、本体20にしっかりと取り付けられた取り外し機構60をさらに備え、使用者の尿道管からの装置10の取り外しを容易にしている。取り外し機構60の第1端62は、本体20にしっかりと取り付けられている。図6に参照番号80で示すアプリケータが、装置10の尿道口から尿道管への挿入に用いられる。
【0026】
代替的な実施形態において、終端40の直径は本体20の部分50と同じくらいである。さらに別の実施形態において、先端30の直径は本体20の部分50と同じくらいである。
【0027】
装置10は使い捨て用であってよい。また、装置10は再利用可能であってもよい。
【0028】
一実施形態において、本体20は非吸収性であり、挿入時に装置10が曲がらないように、例えばガラス、硬質ゴム、または硬質プラスチックなどの硬質材料からなる。代替的には、本体20は弾力性のある材料からなり、柔軟である。本体20は、硬質プラスチックガラス、硬質ゴム、またはガラス材料からなるものに限らず、任意の適切な材料から構成されてよい。一実施形態において、本体20は、適切な材料で射出成形して構成される。本体20は、射出成形によって製造されるものに限らない。本体20は、任意の適切な方法によって製造されてよい。
【0029】
本体20の外表面22は、使用者の尿道管内部の所望の位置での装置10の固定が容易になる材料でコートされている。本体20の外表面22の材料は、尿道管内の適切な位置での装置10の維持を支援するように、尿道の壁部と本体20の外表面22との間に摩擦を生じさせることができるような材料が好ましい。また、この材料は、本体20の外表面22が尿道の壁部にくっつくことを防ぎ、生体適合性がある生物学的に不活性なものであることが好ましい。一実施形態において、本体20の外表面22はラテックスでコートされる。このコーティング材料はラテックスに限られるものではなく、例えばシリコーンなどの、任意の適切な材料であってよい。その他の生物学的に不活性な摩擦材料もまた本体20の外表面のコートに適切であることは、当業者には言うまでもない。
【0030】
本体20が使用者の尿道管内の所望の位置に配置されると、本体20は尿道管を密閉して尿道からの尿漏を防ぐ。
【0031】
本体20の部分50の直径は、尿道管の弛緩状態の内径よりもわずかに大きい。本体20のサイズは使用者ごとにカスタマイズされてもよく、さらに使用者の性別によってカスタマイズされてもよい。一実施形態において、部分50は、好ましくは直径が約3mmから約15mmの間であり、より好ましくは約5mmから約15mmの間であり、より好ましくは約8mmから約15mmの間であり、より一層好ましくは約10mmから約13mmの間である。代替的な実施形態において、部分50の直径は、約3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、および13mmである。尿道管の壁部には柔軟性があり、伸縮して装置10の挿入時に部分50を収容する。本体20の部分50の周囲の尿道管の壁部の付加的な張力により、尿道管内の適切な位置に本体20がより一層保持され、かつ固定される。部分50が任意の適切なサイズまたは形状であってよいことは言うまでもない。
【0032】
一実施形態において、取り外し機構60は、49本撚りのステンレス製のケーブルなど、消毒することが可能で、強度のある丈夫な紐、コード、綱、糸、またはリボンであることが好ましい。この取り外し機構がその他の任意の適切な強く丈夫な材料からなってもよいことは、当業者には言うまでもない。
【0033】
一実施形態において、取り外し機構60は、装置10が使用者の尿道管内に適切に配置されたときに、尿道管を越えて尿道口の外に届く長さを有している。この長さは、好ましくは約100mmから約200mmの間であり、より好ましくは約125mmから約175mmの間であり、より一層好ましくは約135mmから約160mmの間である。取り外し機構60が任意の適切な長さであってよいことは言うまでもない。
【0034】
図2に、本体20の先端30が本体20の長さ方向に延びる溝部32を備える、本装置の別の実施形態を示す。溝部32は、尿道管に装置10を挿入する際に装置10に塗布される潤滑剤の収容のために設けられる。溝部32は、部分50および終端40に潤滑剤が塗り広げられるのを制限するために役立つ。一実施形態において、取り外し機構60の第2端64が保持部材52に固定される。保持部材52は、使用者が容易に把持することができるよう構成されている。保持部材52は、丸いガラス玉である。保持部材52は、また、容易に把持するこができる小さなボール、ループ、立方体、または任意の類似の固定された付属品であってよい。保持部材52は、ガラスからなり、硬質である。保持部材52、また、柔軟性を有してもよく、圧力が加えられると変形してもよい。保持部材52は、ガラスからなるものに限らず、任意の適切な材料から構成されてよい。保持部材52は、装置10を尿道管から取り外そうとするときに使用者が取り外し機構60を把持することができる場所または位置を与える機能を有する。保持部材52は、使用者の尿道口付近に快適にフィットするようなサイズとなっている。保持部材52が任意の適切なサイズまたは形状であってよいことは言うまでもない。
【0035】
図3を参照して、凹部42を有する終端40の図を示す。取り外し機構60は、終端40の凹部42から延びる。一実施形態において、凹部42は、好ましくは、装置10を尿道管に挿入する際にアプリケータ80としっかりと係合するための浅いソケットである。一実施形態において、凹部42は、奥行きのない正方形のソケットである。また、凹部42は、長方形、卵型、および円形であってもよい。凹部42が任意の適切なサイズまたは形状であってよいことは、当業者には言うまでもない。
【0036】
図4を参照して、本体20の尿道口から尿道管への挿入に用いるアプリケータを参照番号80で示す。アプリケータ80は、女性または男性の尿道管に本体20を挿入するための細長い棒である。アプリケータ80は、本体20の終端40の凹部42と係合するための第1端82と、第2端86とを備える。一実施形態において、アプリケータ80は、内部に取り外し機構60を通すことができる中空のチューブである。代替的な実施形態において、アプリケータ80は、アプリケータ80の長さ方向に延びて取り外し機構60をはめるチャネル84を備える。
【0037】
さらに別の実施形態において、アプリケータ80の第2端86は、保持部材52を受ける形状を有する。保持部材52がアプリケータ80の第2端86に受けられると、取り外し機構がアプリケータ80の長さ方向に伸長する。
【0038】
図5を参照して、アプリケータ80および取り外し機構60と着脱可能に係合する本体20の側面図を示す。本体20を尿道管に挿入する前に取り外し機構60を含む装置10がアプリケータ80と組み立てられると、取り外し機構60はアプリケータ80のチャネル84内に位置し、アプリケータ80の前端82が終端40の凹部42と完全に係合する。取り外し機構60は終端40からアプリケータ80の長さ方向に延び、保持部材52はアプリケータ80の第2端86と係合する。組み立てられると、一個のアセンブリである本体20、取り外し機構60、保持部材52、およびアプリケータ80を使用者の尿道管に挿入する準備ができる。一実施形態において、アプリケータ80の長さ、および取り外し機構60の終端40から延びる地点からの長さは、ほぼ同じである。
【0039】
先端30、終端40、および部分50が着脱可能に連結されて本体20を形成してもよいことは、当業者には言うまでもない。また、先端30、終端40、および部分50は、永久的に組み合わされて本体20を形成してもよい。
【0040】
図6を参照して、別の実施形態における尿失禁防止装置100の分解図を示す。装置100は、先端部301と、終端部401と、中央部500とを有する本体200を備える。中央部500は、先端部301と終端部401との間に位置し、おおむね球根状の湾曲した形状をしている。先端部301および終端部401の直径は、球根状部500の直径よりも小さい。中央部500の直径は、好ましくは約3mmから約15mmの間であり、より好ましくは約5mmから約15mmの間であり、より好ましくは約8mmから約15mmの間であり、より一層好ましくは約10mmから約13mmの間である。代替的な実施形態において、中央部500の直径は、約3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、および13mmである。中央部500が任意の適切なサイズまたは形状であってよいことは言うまでもない。
【0041】
代替的な実施形態において、終端部401の直径は本体200の中央部500の直径と同じくらいである。さらに別の実施形態において、先端部301の直径は本体200の中央部500の直径と同じくらいである。
【0042】
先端部301は、末端から先端部301へ向かって延びるマンドレル350を備える。中央部500は、マンドレル350を中に入れる通路502を規定する。マンドレル350は、通路502の内部を通って延び、終端部401としっかりと係合する。終端部401は、マンドレル350と係合する開口部404を備える。一実施形態において、マンドレル350は、終端部401の開口部404の内表面上で補完糸406としっかりと係合する糸450を備える。任意の適切な締め具をマンドレル350と終端部401とのしっかりとした係合に用いることができることは、当業者には言うまでもない。また、先端部301、中央部500、および終端部401は、着脱可能に連結されてもよいし、永久的に固定されてもよい。先端部301、中央部500、終端部401は、組み立てられると互いに面一になり、これらの部分の外表面は連続したなめらかなラインを描く。
【0043】
装置100は、さらに取り外し機構600を備える。取り外し機構600は、本体200の先端部301にしっかりと取り付けられ、使用者の尿道管から装置100を容易に取り外せるようにする。取り外し機構600は、中央部500の通路502の内部を通って先端部301から延びて、終端部401の開口部404内に延びる。取り外し機構600は、装置100の終端部401を越えて延びる長さを有する。
【0044】
一実施形態において、装置100が組み立てられて使用者の尿道管内に適切に配置されるとき、取り外し機構600の一部は尿道内に配され、取り外し機構600の第2端640が尿道口から外部へ延びる。一実施形態において、取り外し機構600の第2端640は保持部材700に固定される。
【0045】
一実施形態において、マンドレル350の遠位端352は、アプリケータ80と着脱可能に係合する凹部420を備える(図6に示す)。一実施形態において、装置100は、様々な直径の複数の異なる中央部を納めた一式セットの形で提供されてもよい。これにより、簡単で使いやすいカスタマイズの選択肢が使用者に与えられる。使用者は、本人の尿道管内に適切にフィットするように、正しいサイズの中央部500を選択することができる。
【0046】
図7を参照して、図6の尿失禁防止装置100を組み立てた側面図を示す。先端部301、終端部401、および中央部500が組み立てられて、互いに着脱可能に連結されている。先端300は、挿入が容易となるように先が細くなっている。
【0047】
取り外し機構600の第1端620は、本体200の先端300に固定され、終端部401の内部に延びる。取り外し機構600の一部が尿道内に配され、取り外し機構600の第2端640が尿道口から外部へ延びる。取り外し機構600の第2端640は保持部材52に固定される。
【0048】
凹部420は、装置100を尿道管に挿入する際のアプリケータ80の回転および移動において、アプリケータ80としっかりと係合した状態を維持できる奥行きのないソケットであることが好ましい。一実施形態において、凹部420は、奥行きのない正方形のソケットである。また、凹部420は、長方形、卵型、および円形であってもよい。凹部420が任意の適切なサイズまたは形状であってよいことは、当業者には言うまでもない。
【0049】
一実施形態において、取り外し機構600は、装置10が使用者の尿道管内に適切に配置されたときに、尿道管を越えて尿道口の外側まで延びる長さを有している。この長さは、好ましくは約100mmから約200mmの間であり、より好ましくは約125mmから約175mmの間であり、より一層好ましくは約135mmから約160mmの間である。取り外し機構60が任意の適切な長さであってよいことは言うまでもない。
【0050】
図8を参照して、装置10を男性使用者の尿道管に挿入するようすを示す。本体20、取り外し機構60、保持部材52、およびアプリケータ80が組み立てられ、本体20の先端30の外表面に潤滑剤が塗布されると、使用者は、アプリケータ80を把持して先端30を尿道口90から尿道管へ挿入することができる。この潤滑剤は、水性または水溶性の個人用の潤滑剤であることが好ましい。表面張力が小さく、湿潤特性がよく、尿道管内で消散するものであれば、任意のタイプの個人用の潤滑剤を、挿入前に本体20に塗布する潤滑剤として用いることができることは、当業者には言うまでもない。適切な位置への本体20の挿入は、先端30が尿道口に接しているときに使用者がアプリケータ80の第2端86を軽く押すだけで容易に達成される。一実施形態において、使用者は、アプリケータ80が連続して時計回りに回転することに合わせて、出たり入ったりする振動性の前後に揺れるような小刻みな往復動作をとり、装置10をスムーズに尿道管に挿入できるようにしてもよい。図9に示すように、男性の尿道管における本体20の適切な位置は、海綿状尿道の球状尿道92である。本体20は、球状尿道92内に容易に配される。使用者は、本体20を尿道管の奥に挿入した時に、抵抗が減少する領域に当て、その場所においてアプリケータ80を押すのをやめ、保持部材52をアプリケータ80の第2端86から外し、かつアプリケータ80を終端40の凹部42から外して、尿道管からアプリケータ80を取り出す。アプリケータ80が尿道管から取り除かれると、本体20は、取り外し機構60の一部とともに、尿道管の球状尿道92内に配され、取り外し機構60のその他の部分と保持部材52は露出して尿道口90の外部に延びる。この時、球状尿道92内に本体20をしっかりと固定するために、使用者は保持部材52を把持して引っ張り、使用者に抵抗が感じられる程度まで尿道管内で装置10がわずかに動くようにする。装置10をわずかに引き出すことによって、尿道の壁部が装置10の周囲に集まって包むようになり、球状尿道92内部での装置10の固定を容易にする。装置10の本体20の周囲の尿道壁の集まりやひだにより、本体と尿道壁との間に摩擦力が生じる。
【0051】
同様に、装置10の尿道管からの取り外しも、使用者により簡単に行うことができる。使用者が装置10を取り外す準備ができると、使用者は単に保持部材52を持って取り外し機構60を下に引っ張る。この動作により、装置10は快適かつ容易に尿道管から引き出されることになる。使用者は、上述の方法を用いて同じ装置10を再挿入してもよい。再挿入の前には、石鹸と水で装置10を洗浄する。一般的に、装置10の再挿入のための潤滑剤としては低温の水道水で十分ではあるが、使用者は再挿入前に潤滑剤を本体20に塗布しなおしてもよい。
【0052】
図9に示すように、男性の場合、装置10は、尿道膜性部76近傍の海綿状尿道74内の尿道管72に配され、尿道口90の上流かつ膀胱78(図9)の下流に位置する。海綿状尿道74は2つの部分に分けられる。球状尿道92と陰茎尿道または振子部尿道75である。装置10は、海綿状尿道74の球状尿道92内部に配され、ここで海綿状尿道74はわずかに横に広がっている。球状尿道92は、陰茎尿道75と比較して、より発達した後方に位置する海綿状の組織に包まれており、この海綿状の組織は比較的最小限かつ対称に陰茎尿道75を取り囲んでいる。球状尿道92は、尿道膜性部76と陰茎尿道75との間にある。陰茎尿道75は、尿道口90近傍の陰茎亀頭77から提靱帯へ延びており、ここから球状尿道92が延びている。装置10は、海綿状尿道74の球状尿道92の部分に適切に配置された場合、装置10自身を越える尿漏れが起こらないようにする。
【0053】
図9を参照して、男性の海綿状尿道の球状尿道92内に配置された装置10を示す。なお、装置10が尿道管の球状尿道92に適切に配置された場合、取り外し機構60と保持部材52のみが露出して尿道口90の外部に延びることになる。
【0054】
本体20の外表面上の材料とあわせて、球根状領域50の直径、球状尿道92内での本体20の正確な位置決め、および尿道の壁部のひだは、本体20を尿道管内に固定封止して、効果的に尿漏を防ぐ。この装置は、使い捨てであってもよく、再利用可能であってもよく、一式セットの形で販売されてもよく、さらにアプリケータと潤滑剤を含んでも良い。この装置は様々なサイズで利用されてもよく、および/または、様々なサイズの装置の球根状領域のものが提供されてもよい。
【0055】
図10を参照して、女性の尿道管94に配置された装置10を示す。男性の場合と同様に、装置10が尿道管94に適切に配置された場合、取り外し機構60と保持部材52のみが露出して尿道口90の外部に延びることになる。
【0056】
図11から図15を参照して、参照番号1000で示す尿失禁防止装置の別の実施形態を示す。装置1000は、第1の部分2、第2の部分4、第3の部分6、および第4の部分8を有する本体2000備える。第1の部分2、第2の部分4、第3の部分6、および第4の部分9は、おおむね球根状の湾曲した形状を有する。また、装置1000は、本体2000にしっかりと取り付けられた取り外し機構6000を含み、使用者の尿道管からの装置1000の取り外しを容易にしている。取り外し機構6000は、本体2000の第4の部分8にしっかりと取り付けられている。凹部4200は、第4の部分8の末端に設けられて、アプリケータ8000と着脱可能に係合する。取り外し機構6000は、第4の部分8からアプリケータ8000の長手方向に延びる。取り外し機構6000の第2端6400は、アプリケータ8000の第2端8600からアプリケータ8000を出る。図12は、使用者の尿道管に挿入する前におけるアプリケータ8000と係合する装置1000を示す。図13は、尿道口から尿道管へ装置1000を静かに押す最初のステップを示す。図14は、アプリケータ8000を用いて男性の尿道管の海綿状の尿道に装置1000を位置決めする様子を示す。図15は、使用者の尿道管に適切に配置され、アプリケータ8000が装置1000から取り除かれた装置1000を示す。
【0057】
本装置を用いることにより、使用者は通常の生活を送ることができ、ウォーキング、ランニング、サイクリング、水泳など、どのようなレクリエーション活動でも濡れた尿の臭いがする衣服の不快感を感じることなく参加することができる。本装置は、使用者の機動力を制限することなく、着心地の悪さもない。装置が尿道管にあることは使用者にも感じられず、周囲にわかることもない。
【0058】
本装置は、構成が簡単であり、他者の支援を受けることなく使用者により挿入することができる。本装置の挿入および取り外しは、容易かつ分かりやすい。使用者が本人の膀胱を休ませる際には装置は簡単に取り外され、再挿入前に石鹸と水で洗浄することができる。装置の取り外し、排尿、および洗浄された装置の再挿入の全プロセスには、4分もかからない。
【0059】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、かかる実施形態がほんの一例として提示されていることは、当業者には明らかであろう。本発明から逸脱することなく各種の変形例、変更、および代用が可能であることは、当業者には明らかであろう。本発明の実施にあたり、上述の本発明の実施形態に様々な変更を行うことができることは言うまでもない。添付の請求項は本発明の範囲を定義するものであり、これによって請求の範囲およびその等価物における方法および構造が網羅されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の尿道に挿入して用いる尿失禁防止装置であって、
外表面を有し、先端と終端のある非吸収性の本体と、
前記本体に取り付けられる第1端を有し、その一部が前記使用者の外部に位置する取り外し機構と、
前記尿道内に位置決めし、前記尿道を封止して前記尿道からの尿漏を防ぐ、おおむね球根状形状をした前記本体の部分と、
前記尿道の壁部に係合して前記使用者の尿道内に前記装置を固定する、前記本体の前記外表面に塗布されたコーティングと、を備える尿失禁防止装置。
【請求項2】
前記本体の前記先端の長手方向に延びる溝部をさらに備える、請求項1に記載の尿失禁防止装置。
【請求項3】
前記装置を前記尿道内に挿入するためのアプリケータをさらに備える、請求項1に記載の尿失禁防止装置。
【請求項4】
前記アプリケータは、前記アプリケータの長手方向に延びる、前記取り外し機構に係合するためのチャネルを有する、請求項3に記載の尿失禁防止装置。
【請求項5】
前記アプリケータは、前記本体の前記終端部に係合するための第1端を有する、請求項3に記載の尿失禁防止装置。
【請求項6】
前記終端は、前記アプリケータの前記第1端に係合するためのソケットをさらに含む、請求項5に記載の尿失禁防止装置。
【請求項7】
前記取り外し機構は、前記第2端に保持部材をさらに備える、請求項1に記載の尿失禁防止装置。
【請求項8】
前記装置を前記尿道内に挿入するためのアプリケータをさらに備える、請求項7に記載の尿失禁防止装置。
【請求項9】
前記アプリケータは、前記アプリケータの長手方向に延びる、前記取り外し機構に係合するためのチャネルを有する、請求項8に記載の尿失禁防止装置。
【請求項10】
前記アプリケータは、前記本体の前記終端部に係合するための第1端を有する、請求項8に記載の尿失禁防止装置。
【請求項11】
前記終端は、前記アプリケータの前記第1端に係合するためのソケットをさらに含む、請求項10に記載の尿失禁防止装置。
【請求項12】
前記アプリケータは、前記保持部材に係合するための第2端を有する、請求項8に記載の尿失禁防止装置。
【請求項13】
前記コーティングは、ラテックス、シリコーン、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の尿失禁防止装置。
【請求項14】
前記装置は使い捨てである、請求項1に記載の尿失禁防止装置。
【請求項15】
前記装置は再利用可能である、請求項1に記載の尿失禁防止装置。
【請求項16】
前記先端は、前記装置を尿道へ挿入できるように、先が細くなっている、請求項1に記載の尿失禁防止装置。
【請求項17】
a)アプリケータの第1端を、請求項1に記載の尿失禁防止装置であって前記取り外し機構が前記アプリケータの長手方向に延びる尿失禁防止装置の終端と係合させるステップと、
b)前記尿失禁防止装置を尿道に導入して前記使用者の球状尿道内に配置させるステップと、を備える尿失禁制御方法。
【請求項18】
前記装置は、前記本体の前記先端の長手方向に延びる溝部をさらに備える、請求項17に記載の尿失禁制御方法。
【請求項19】
前記アプリケータは、前記アプリケータの長手方向に延びる、前記取り外し機構に係合するためのチャネルを有する、請求項17に記載の尿失禁制御方法。
【請求項20】
前記終端は、前記アプリケータの前記第1端に係合するためのソケットをさらに含む、請求項17に記載の尿失禁制御方法。
【請求項21】
前記取り外し機構は、その第2端に保持部材をさらに備える、請求項17に記載の尿失禁制御方法。
【請求項22】
前記アプリケータは、前記保持部材に係合するための第2端を有する、請求項21に記載の尿失禁制御方法。
【請求項23】
前記コーティングは、ラテックス、シリコーン、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の尿失禁制御方法。
【請求項24】
前記装置は使い捨てである、請求項17に記載の尿失禁制御方法。
【請求項25】
前記装置は再利用可能である、請求項17に記載の尿失禁制御方法。
【請求項26】
前記先端は、前記装置を尿道へ挿入できるように、先が細くなっている、請求項17に記載の尿失禁制御方法。
【請求項27】
前記先端、前記終端、および前記部分が互いに着脱可能に連結される、請求項1に記載の尿失禁防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2013−500087(P2013−500087A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521921(P2012−521921)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【国際出願番号】PCT/CA2010/001188
【国際公開番号】WO2011/011889
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(512023225)
【氏名又は名称原語表記】0884543 B.C. LTD.
【Fターム(参考)】