説明

尿瓶用保持具及び尿瓶装置

【課題】尿瓶の口部の開放状態を保ち易くすることができるとともに、尿瓶がずり落ちるのを防ぐことができる尿瓶用保持具を提供する。
【解決手段】対向する2枚の可撓シート部11,11及び該可撓シート部11,11の周方向へ離隔した2箇所が結合されている結合部12,12を有し、略長円筒形をなしており、各結合部12,12に、貫通する孔14,14にて滑止め部が形成され、滑止め部が指にて摘まれ、各結合部12,12間の寸法が短くなる方向へ力が加わることにより各可撓シート部11,11の夫々が離隔する方向へ撓み尿瓶を口部から開くことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可撓性を有する尿瓶に外嵌されて該尿瓶を保持する尿瓶用保持具、及び尿瓶と尿瓶用保持具とを備える尿瓶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排尿処理容器として用いられる簡易の尿瓶は、合成樹脂フィルムからなり、比較的深さがある縦長の袋部の内側に吸水パッドが設けられ、未使用時には扁平状となり、排尿処理時には、口部を開け、周方向の離隔した2箇所を片手で摘むことにより内側の空間容積を多くすることができるように構成されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】意匠登録第1163788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のものは尿瓶の全体が柔軟であるため、排尿処理時に、口部の開放状態を保ち難いし、また、内部の収容尿量が多くなるのに伴ってずり落ち易くなり、改善策が要望されていた。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は尿瓶の口部の開放状態を保ち易くすることができるとともに、尿瓶がずり落ちるのを防ぐことができる尿瓶用保持具及び尿瓶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る尿瓶用保持具は、可撓性を有する尿瓶に外嵌されて該尿瓶を保持する保持具であって、対向する2枚の可撓シート部及び該可撓シート部夫々の周方向へ離隔した2箇所の周縁部で前記可撓シート部同士を結合する結合部を有し、略長円筒形をなしていることを特徴とする。
【0007】
この発明にあっては、尿瓶に外嵌された尿瓶用保持具の二つの結合部を片手で摘むことにより、可撓シート部が外向きに撓むとともに、内側の尿瓶も口部側から外膨らみとなり、この膨らみ状態を保ち易い。また、略長円筒形をなす尿瓶用保持具を尿瓶に外嵌し、該尿瓶の口部を尿瓶用保持具の外周側へ折り返えすことにより、尿瓶が尿瓶用保持具からずり落ちるのを防ぐことができるため、膨らみ状態で尿瓶内に排尿され、内部の収容尿量が多くなっても、尿瓶が尿瓶用保持具からずり落ちるのを防ぐことができる。
【0008】
また、本発明に係る尿瓶用保持具は、前記各可撓シート部は、前記各結合部間の寸法が短くなる方向へ外力が加わることにより夫々が離隔する方向へ撓むようにしてあることを特徴とする。
この発明にあっては、各可撓シート部が外向きに撓み易いように形成されているため、尿瓶に外嵌された尿瓶用保持具の二つの結合部を片手で摘むことにより、可撓シート部を迅速に外向きに撓ませることができ、排尿処理が遅れる事態をなくし得る。
【0009】
また、本発明に係る尿瓶用保持具は、前記各結合部の少なくとも一方は、該結合部に対する滑りを止めるための滑止め部を有することを特徴とする。
この発明にあっては、尿瓶に外嵌された尿瓶用保持具の二つの結合部を片手で摘んだ状態で内部の収容尿量が多くなっても、尿瓶用保持具がずり落ちるのを防ぐことができる。
【0010】
また、本発明に係る尿瓶用保持具は、前記可撓シート部は略四角形をなし、該可撓シート部の対向する二辺部に、該二辺部に沿うように前記結合部を配してあり、前記滑止め部は前記結合部の長手方向中途に開設されている孔であることを特徴とする。
この発明にあっては、結合部の一部が孔にて欠除され窪みが形成されているため、結合部に対する滑り抵抗を大きくすることができる。
【0011】
また、本発明に係る尿瓶用保持具は、前記各結合部から軸長方向外方へ延出されている突片を有することを特徴とする。
この発明にあっては、尿瓶に外嵌された尿瓶用保持具の二つの結合部を片手で摘みつつ可撓シート部を外向きに撓ませる際、各結合部から長手方向外方へ延出されている突片が、尿瓶を外膨らみ側へ押しつけることになり、尿瓶の底側を外膨らみにし易い。
【0012】
また、本発明に係る尿瓶装置は、可撓性を有し、その口部に外側へ折り返しされている折返部を有する前記尿瓶と、該尿瓶に外嵌されて該尿瓶を保持する前述した発明の尿瓶用保持具とを備えることを特徴とする。
【0013】
この発明にあっては、尿瓶の口部に折返部が設けられているため、尿瓶に外嵌された尿瓶用保持具の軸長方向一端部が、折返部の内側に挿入されることにより、尿瓶が尿瓶用保持具からずり落ちるのを防ぐことができる。よって、膨らみ状態で尿瓶内に排尿され、内部の収容尿量が多くなっても、尿瓶が尿瓶用保持具からずり落ちるのを防ぐことができる。また、内部に排尿された後、尿瓶用保持具を尿瓶から抜き出すことにより、尿瓶を廃棄し、尿瓶用保持具を繰り返し用いることができる。
【0014】
また、本発明に係る尿瓶装置は、前記折返部の一部は溶着されていることを特徴とする。
この発明にあっては、折返部の折り返えし状態が維持されているため、緊急時であっても尿瓶が尿瓶用保持具からずり落ちるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、尿瓶に外嵌された尿瓶用保持具の二つの結合部を片手で摘むことにより、可撓シート部が外向きに撓むとともに、内側の尿瓶も口部側から外膨らみとなり、この膨らみ状態を保ち易い。また、略長円筒形をなす尿瓶用保持具を尿瓶に外嵌し、該尿瓶の口部を尿瓶用保持具の外周側へ折り返えすことにより、尿瓶が尿瓶用保持具からずり落ちるのを防ぐことができるため、膨らみ状態で尿瓶内に排尿され、内部の収容尿量が多くなっても、尿瓶が尿瓶用保持具からずり落ちるのを防ぐことができる。
【0016】
また、本発明によれば、各可撓シート部が外向きに撓み易いように形成されているため、尿瓶に外嵌された尿瓶用保持具の二つの結合部を片手で摘むことにより、可撓シート部を迅速に外向きに撓ませることができ、排尿処理が遅れる事態をなくし得る。
【0017】
また、本発明によれば、尿瓶に外嵌された尿瓶用保持具の二つの結合部を片手で摘んだ状態で内部の収容尿量が多くなっても、尿瓶用保持具がずり落ちるのを防ぐことができる。
【0018】
また、本発明によれば、結合部の一部が孔にて欠除され窪みが形成されているため、滑り抵抗を大きくすることができる。
【0019】
また、本発明によれば、尿瓶に外嵌された尿瓶用保持具の二つの結合部を片手で摘みつつ可撓シート部を外向きに撓ませる際、各結合部から長手方向外方へ延出されている突片が、尿瓶を外膨らみ側へ押しつけることになり、尿瓶の底側を外膨らみにし易い。
【0020】
また、本発明によれば、口部の折返部の内側に尿瓶用保持具の一部が挿入されることにより、尿瓶が尿瓶用保持具からずり落ちるのを防ぐことができ、尿がこぼれるのを防ぎ易い。また、折返部の折り返えし状態が維持されているため、緊急時であっても尿瓶が尿瓶用保持具からずり落ちるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る尿瓶用保持具の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る尿瓶用保持具が尿瓶に外嵌された状態を示す斜視図である。
【図3】尿瓶の構成を示す拡大断面図である。
【図4】本発明に係る尿瓶用保持具が尿瓶を保持した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る尿瓶用保持具が尿瓶を保持した状態を示す拡大断面図である。
【図6】本発明に係る尿瓶装置の構成を示すを示す分解斜視図である。
【図7】本発明に係る尿瓶装置の尿瓶の構成を示す拡大断面図である。
【図8】本発明に係る尿瓶装置の構成を示す斜視図である。
【0022】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は尿瓶用保持具の構成を示す斜視図、図2は尿瓶用保持具が尿瓶に外嵌された状態を示す斜視図、図3は尿瓶の構成を示す拡大断面図、図4は尿瓶を保持した状態を示す斜視図、図5は尿瓶を保持した状態を示す拡大断面図である。
【0023】
本発明に係る尿瓶用保持具1は、未使用時には扁平状となる尿瓶2に外嵌されて該尿瓶2を保持するものであり、矩形をなす可撓シートの長手方向中央部が折目にて折曲げられ、可撓シートの長手方向両端が溶着などの結合手段により結合されて略長円筒形に形成されており、対向する2枚の可撓シート部11,11と、該可撓シート部11,11の周方向へ離隔した2箇所が結合されている結合部12,12と、各結合部12,12から長手方向外方へ延出されている二つの突片13,13とを有する。
【0024】
可撓シート部11,11は略四角形をなし、互いに接触する扁平な状態よりも外向きに若干湾曲し、対向内面間に僅かの空間があり、対向する二辺部に該二辺部に沿って配されている結合部12,12間の寸法が短くなる方向へ外力が加わることにより夫々が離隔する方向へ撓むように形成されている。
【0025】
結合部12,12の一方は折目部分であり、他方は溶着などの結合手段により結合されている結合部分であり、可撓シート部11,11の対向する二辺部に該二辺部に沿って配されており、該結合部12,12の長手方向中途に孔14,14が開設され、孔14,14による窪みにて滑止め部が形成されている。
【0026】
突片13,13は断面略V字形をなしている。
【0027】
尿瓶用保持具1により保持される尿瓶2は、可撓性を有する合成樹脂フィルムからなり、比較的深さがある縦長の袋部21と、該袋部21の内側に貼付けられた吸水パッド22とを有し、未使用時には縦長の扁平状となる。袋部21の口部21aには吸水パッド22が設けられていない。
【0028】
以上のように構成された尿瓶用保持具1は、非膨らみの扁平状になっている尿瓶2が、該尿瓶2の口部21a側又は底部側から尿瓶用保持具1内に挿入され、換言すると尿瓶用保持具1が尿瓶2に外嵌され、尿瓶2の口部21a近くに尿瓶用保持具1が配された状態で、尿瓶2の口部21aが尿瓶用保持具1の外周側へ折り返えされ、尿瓶2が尿瓶用保持具1からずり落ちしない状態になる。
【0029】
排尿処理される際は、尿瓶2に外嵌された尿瓶用保持具1における二つの結合部12,12の孔14,14(滑り止部)を片手で摘み、可撓シート部11,11を外向きに撓ませることにより、内側の尿瓶2も口部21a側から外膨らみになる。この際、可撓シート部11,11は尿瓶2のように柔軟でなく、保形性を有するため、尿瓶2の膨らみ状態を保ち易い。また、尿瓶2は口部21aが尿瓶用保持具1の外周側へ折り返えされているため、膨らみ状態で尿瓶内に排尿され、内部の収容尿量が多くなっても、尿瓶2が尿瓶用保持具1からずり落ちるのを防ぐことができる。また、尿瓶用保持具1は滑止め部としての孔14,14部分が摘まれているため、尿瓶用保持具1のずり落ちを防ぐことができる。
【0030】
図6は本発明に係る尿瓶装置の構成を示すを示す分解斜視図、図7は尿瓶装置の尿瓶の構成を示す拡大断面図、図8は尿瓶装置の構成を示す斜視図である。
【0031】
尿瓶装置は、尿瓶2及び尿瓶用保持具1を備える。尿瓶2は、可撓性を有する合成樹脂フィルムからなり、比較的深さがある縦長の袋部21と、該袋部21の内側に貼付けられた吸水パッド22、及び袋部21の口部21aに外側へ折り返しされている折返部23とを有し、未使用時には縦長の扁平状となるように構成されている。折返部23は、周方向へ離隔した2箇所が袋部21に溶着され、折り返し状態が維持されている。また、折返部23は扁平状となる袋部21の幅方向両端部に溶着され、非溶着部と袋部21との間の空間に尿瓶用保持具1の一部が挿入されるように構成されている。
【0032】
尿瓶用保持具1は、略四角形をなす可撓シート部11,11及び可撓シート部11,11の対向する二辺部を結合する結合部12,12にて略長円筒形をなし、軸長方向一端部における結合部12,12間に、他の端部よりも外方へ延出された凸部15,15が設けられている。凸部15,15は、可撓シート部11,11の結合部12,12側が欠除されることにより形成されており、折返部23の非溶着部と袋部21との間の空間に凸部15,15が挿入されるように構成されている。
【0033】
以上のように構成された尿瓶装置は、非膨らみの扁平状になっている尿瓶2が、該尿瓶2の口部21a側又は底部側から尿瓶用保持具1内に挿入され、換言すると尿瓶用保持具1が尿瓶2に外嵌され、尿瓶用保持具1の凸部15,15が尿瓶2の折返部23内側に挿入される。この際、折返部23の一部は溶着され、折返部23の折り返えし状態が維持されているため、尿瓶2が尿瓶用保持具1からずり落ちしない状態になる。
【0034】
排尿処理される際は、尿瓶2に外嵌された尿瓶用保持具1における二つの結合部12,12の孔14,14(滑り止部)を片手で摘み、可撓シート部11,11を外向きに撓ませることにより、内側の尿瓶2も口部21a側から外膨らみになる。この際、可撓シート部11,11は尿瓶2のように柔軟でなく、保形性を有するため、尿瓶2の膨らみ状態を保ち易い。また、膨らみ状態で尿瓶2内に排尿され、内部の収容尿量が多くなっても、尿瓶2が尿瓶用保持具1からずり落ちるのを防ぐことができる。
その他の構成及び作用は図1乃至図5に示した実施の形態と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用の説明を省略する。
【0035】
尚、以上説明した実施の形態では、略矩形をなす一枚の可撓シートが折目にて折曲げられることにより二つの可撓シート部11,11が形成されているが、その他、可撓シート部11,11は略四角形をなす2枚の可撓シートの対向する2辺部が溶着などの結合手段により結合されて略長円筒形をなすように構成されてもよく、可撓シート部11,11の形成手段は特に制限されない。また、略長円筒形とは、対向する二つの可撓シート部11,11が離隔している形状の他、対向する二つの可撓シート部11,11が接触する形状も含まれるものである。
【0036】
また、以上説明した実施の形態では、結合部12,12に開設された孔を滑止め部としたが、その他、滑止め部は、外向き凸の一つ又は複数の凸部であってもいし、また、結合部12,12の表面を粗面にした構成であってもよく、滑止め部の形態は特に制限されない。
【0037】
また、滑止め部が、図示されているように結合部12,12の長手方向中途に開設されている孔にて構成される場合、孔径を大きくするか、又は長孔とし、孔内に露出する尿瓶2の露出量を多くし、結合部12,12の滑止め部を摘む際、摘む指にて可撓シート部11,11とともに尿瓶2を直接外粗へ膨らませることができるように構成してもよい。
【0038】
また、以上説明した実施の形態では、折返部23の一部が袋部21に溶着されている構成としたが、その他、折返部23は非溶着であってもよい。また、尿瓶用保持具1は二つの凸部15,15を有する構成としたが、その他、凸部15は一つであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 尿瓶用保持具
11 可撓シート部
12 結合部
13 突片
14 孔(滑止め部)
2 尿瓶
23 折返部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する尿瓶に外嵌されて該尿瓶を保持する保持具であって、対向する2枚の可撓シート部及び該可撓シート部夫々の周方向へ離隔した2箇所の周縁部で前記可撓シート部同士を結合する結合部を有し、略長円筒形をなしていることを特徴とする尿瓶用保持具。
【請求項2】
前記各可撓シート部は、前記各結合部間の寸法が短くなる方向へ外力が加わることにより夫々が離隔する方向へ撓むようにしてある請求項1記載の尿瓶用保持具。
【請求項3】
前記各結合部の少なくとも一方は、該結合部に対する滑りを止めるための滑止め部を有する請求項1又は2記載の尿瓶用保持具。
【請求項4】
前記可撓シート部は略四角形をなし、該可撓シート部の対向する二辺部に、該二辺部に沿うように前記結合部を配してあり、前記滑止め部は前記結合部の長手方向中途に開設されている孔である請求項3記載の尿瓶用保持具。
【請求項5】
前記各結合部から軸長方向外方へ延出されている突片を有する請求項1から4のいずれか一つに記載の尿瓶用保持具。
【請求項6】
可撓性を有し、その口部に外側へ折り返しされている折返部を有する前記尿瓶と、該尿瓶に外嵌されて該尿瓶を保持する請求項1から5のいずれか一つに記載の尿瓶用保持具とを備えることを特徴とする尿瓶装置。
【請求項7】
前記折返部の一部は溶着されている請求項6記載の尿瓶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−106799(P2013−106799A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254276(P2011−254276)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(596060594)株式会社サンコー (65)
【Fターム(参考)】