説明

局在活性剤を有するコンドーム

コンドーム並びにその製造及び使用方法が提供され、コンドームはエラストマー層と混合された活性成分を含む低融点ワックスビーズとを有し、ビーズはコンドームの先端部におけるエラストマー層の内面に固着されている。活性成分には、ノノキシノール−9などの殺精子剤、及び、ナイアシン、クエン酸シルデナフィル、及びニトログリセリンなどの血管拡張薬、並びに、ベンゾカインなどの男性用脱感作剤が含まれ得る。ビーズは、ポリエチレングリコールと組み合わせて天然ワックスを含み得る又はポリエチレングリコール系ワックスであり得る。エラストマー層の外面は活性成分を実質的に含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コンドームの閉鎖端部に局在した活性成分を有するコンドームに関する。具体的には、低融点ワックスビーズ内に微細水溶性粉末として可溶化又は混合された1種又は複数の活性成分を有するコンドームが提供される。成分には、例えば、液体ノノキシノール−9及び他の殺精子剤、並びにナイアシン、ニトログリセリン、及びクエン酸シルデナフィル、及び他の血管拡張薬が含まれる。
【背景技術】
【0002】
コンドーム並びに他の予防薬及び防護装置は、体液又は他の液の透過に対して物理的バリアを与える。このような透過を防ぐために、化学的バリアも、単独で又はコンドームと併せて用いられ得る。一部の場合に、化学的バリアは、物理的バリアが破られる場合に、防護の補助的形態として役立つ。米国特許第5,284,158号(Mallette)には、コンドームのラテックスキャップ中並びにコンドームの主シースと強化膜との間の空間に殺精子剤を局在させる感受性コンドームが提供されている。Malletteのパッケージングはさらに、膜の乾燥を防ぐために殺精子剤を含む。米国特許第4,795,425号(Pugh)には、殺精子剤の二重の投薬量が提供されており、第1の投薬量は、コンドームの閉鎖端部中に半固体状態で与えられ、第2の投薬量は、コンドームの外面に与えられる。半固体投薬量は、殺精子剤が、カルボワックス(Carbowax)400(これは室温で固体ワックスでない)、及びカルボワックス3350(これは固体であり、54℃〜57℃の範囲の融点を有する)を含むポリエチレングリコールの形態で混合されるクリーム又は軟膏として提供される。このようなクリーム又は軟膏は、113〜127°F(45〜53℃)の範囲の融点を有すると記載されている。
【0003】
しかし、ノノキシノール−9などの殺精子剤は、粘膜に対する可能な刺激物として確認されている。米国特許第5,387,611号(Rubinstein)には、ノノキシノール−9及び/又は塩化ベンザルコニウムと組み合わせてブチル尿素を用いて抗菌及び抗ウイルス活性を有する非刺激薬が提供されている。
【0004】
殺精子剤に加えて、他の活性成分が、コンドーム並びに、例えば、性機能障害を治療する他の予防薬及び防護装置によって送達され得る。血管拡張薬などの治療薬の局所適用は1つの選択肢である。米国特許第4,829,991号(Boeck)及び同第6,840,244号(Kemp)で提供されるように、コンドームは、血管拡張薬及び勃起促進化合物などの治療薬を送達するために用いられ得る。Kempでは、勃起促進化合物は、フィルム形成剤の任意の存在下で、後に蒸発して微粉形態で又はフィルム層として勃起促進化合物を残す溶媒担体を用いてコンドームの閉鎖端部に固定化される。Kempの勃起促進化合物(又は組成物)は、コンドームの潤滑剤と不混和性である。勃起促進組成物は、液体媒体及び増粘剤を含むゲル担体に分散又は溶解した勃起促進化合物を含み得る。望ましい厚さは液体媒体に依存する。水系潤滑剤に関して、植物油液体媒体が好ましく、そのための増粘剤には、ヘクトライト、ホホバ油、及びワックスが含まれる。油系潤滑剤に関して、ポリヒドロキシ系媒体が好ましく、そのための増粘剤には、セルロース誘導体が含まれる。ゲル担体に分散又は溶解させたこの勃起促進化合物は、コンドームの閉鎖端部において軟化性又は溶融性ワックス中に勃起促進化合物を含まない。米国特許第7,086,403号(Harrison)では、コンドームは、比較的高い粘度を有し、内面に位置した男性器用脱感作剤を含む第1の潤滑性組成物、及び外面上の低い粘度を有する第2の潤滑性組成物を有する。
【0005】
ワックスの粒子は、例えば、米国特許第5,405,666号(Brindle)、同第6,075,081号(Nile)、及び同第6,306,514号(Weikel)で提供されるように、着用又はブロッキングを助けるためにエラストマー物品上のコーティングに用いられ得る。しかし、そのようなワックスの使用は、活性剤の局在化された供給を提供しない。
【0006】
したがって、送達される薬剤の希釈によって粘膜に対する刺激を軽減させるために便利な方法でコンドームに活性剤を提供するニーズがある。先端部に配置された1種又は複数の局在成分を有するコンドームに対するニーズがある。殺精子剤及び/又は勃起促進化合物及び/又は男性用脱感作化合物を、このようなものが女性のパートナーに接触することを避けるためにコンドームの内側に局在させることに対するニーズもある。
【発明の概要】
【0007】
コンドーム並びにその製造及び使用方法が提供され、該コンドームは、エラストマー層と混合された活性成分を含む低融点ワックスビーズとを有し、ビーズがコンドームの先端部におけるエラストマー層の内面に固着されている。詳細な実施形態では、コンドームは、エラストマー層と混合されたノノキシノール−9を含む低融点ワックスビーズとを有する。別の詳細な実施形態では、ビーズ中に混合された、男性用脱感作剤、例えば、ベンゾカイン、ジブカイン、リドカイン、テトラカイン、並びにそれらの塩及び誘導体が含まれる。ビーズは、25℃〜40℃の範囲の融点を有する選択された分子量のポリエチレングリコール系ワックスを含み得る。代わりに、ビーズは、ミツロウなどの天然ワックスの固化した液体溶液であり得、その融点は、液体状態における適当な分子量のポリエチレングリコールの添加によって低下させ得る。ワックスのビーズは、コンドームの先端部におけるエラストマー層の内面に固着され、エラストマー層の外面は、活性成分、例えば、ノノキシノール−9、ナイアシン、ニトログリセリン、クエン酸シルデナフィル、又はベンゾカインなどを実質的に含まない。
【0008】
一態様では、コンドームを製造する方法であって、活性成分を含む低融点ワックスの溶融溶液を供給するステップと、コンドームを供給するステップと、コンドームの先端部において内面に該溶融溶液のビーズを滴下するステップと、該ビーズを周囲温度に到達させ、該ビーズがコンドームの先端部において内面に局在するように固化させるステップと、該コンドームを包装するステップとを含む方法が提供される。溶融溶液を供給するステップは、低融点ワックスを溶融させ、低融点ワックス融点未満の融点を有する活性成分を低融点ワックスと混合して、実質的に均一な溶融溶液を形成するステップを含み得る。代わりに又は追加的に、このようなステップは、ワックスを溶融させ、水溶性活性剤の微細粉末を添加するステップを含み得る。
【0009】
さらなる態様には、コンドームの閉鎖端部内に殺精子剤を提供する方法であって、エラストマー層と混合されたノノキシロール−9を含む低融点ワックスビーズとを有するコンドームを供給するステップを含み、該ビースは、25℃〜40℃の範囲に融点を有するように変性された天然ワックス、及び25℃〜40℃の範囲に融点を有するように適当な分子量を有するポリエチレングリコールポリマーを含み、該ビーズは該コンドームの先端部におけるエラストマー層の内面に固着されており、該エラストマー層の外面はノノキシノール−9を実質的に含まない方法が含まれる。
【0010】
さらなる態様には、コンドームの閉鎖端部内に勃起促進化合物を提供する方法であって、エラストマー層と混合された勃起促進化合物を含む低融点ワックスビーズとを有するコンドームをもたらすステップを含み、該ビーズは25℃〜40℃の範囲の融点を有するように変性された天然ワックス及び25℃〜40℃の範囲の融点を有するように適当な分子量を有するポリエチレングリコールポリマーを含み、該ビーズは、該コンドームの先端部におけるエラストマー層の内面に固着されており、該エラストマー層の外面は該勃起促進化合物を実質的に含まない方法が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
コンドームを介した活性成分の送達は、コンドームの先端部においてその内面にワックスのビーズ又は他の適切な担体を用いて活性成分を局在させることによって達成され得る。この方法で、活性成分は、刺激を軽減させるために、希釈された、しかし依然として有効な形態で送達され得る。さらに、コンドームの内側における活性成分の配置は、例えば、使用者のパートナーの活性成分への曝露を低減させる。低融点ワックスの使用は、ビーズに取り込まれた活性成分の実質的に均一な分布を可能にし、この成分の有効な送達をさらに助ける。
【0012】
第1の態様では、エラストマー層と混合された活性成分を含む低融点ワックスビーズとを有するコンドームであって、該ビーズは該コンドームの先端部において該エラストマー層の内面に固着されているコンドームが提供される。1つ又は複数の実施形態では、エラストマー層の外面が活性成分を実質的に含まないことが提供される。「活性成分を実質的に含まない」によって、エラストマー層の外面に活性成分が提供されない又は外面に活性成分の有意な量が存在することもないことが意味される。コンドームを取り扱う結果として、ほんのわずかな量の活性成分が外面に偶然に存在し得ることが認められる。本発明の目的のために、外面に意図的に置かれていない活性成分は、微々たるものと考えられる。
【0013】
「低融点」への言及は、約37℃である体温の存在下で軟化、平坦化、及び/又は溶融するワックス又は他の適切な担体などの物質を指す。1つの実施形態では、ビーズは体温の存在下で軟化し、それにより、活性成分を実質的に曝露させる。1つ又は複数の実施形態では、ワックス又は他の適切な担体は、25℃〜40℃の範囲で溶融する。
【0014】
1つの実施形態では、活性成分が殺精子剤を含むことが提供される。1つの具体的な実施形態では、殺精子剤はノノキシノール−9を含む。他の殺精子剤には、オキシトキシノール−9、メンフェゴール、表面活性剤p−メンタニルフェニルポリオキシエチレンエーテルを有する膣避妊化合物、乳酸、ニーム油、膜破壊剤、それらの誘導体、及びそれらの組合せが含まれる。
【0015】
別の実施形態では、活性成分が血管拡張薬を含むことが提供される。具体的な実施形態では、該血管拡張薬は、ナイアシン成分を含むことが提供される。ナイアシン成分には、ナイアシン(ニコチン酸としても知られている)、ニコチンアミド、ニコチン酸メチル(ナイアシンメチルエステル)、それらの誘導体、又はそれらの組合せが含まれる。
【0016】
本明細書で用いられる場合、「勃起促進化合物」及び「血管拡張薬」という用語は、血管拡張を引き起こし、身体部分への血液循環を増強させ、亜酸化窒素濃度を増加させ、熱を発生させ若しくは熱感を生成し、及び/又は性的刺激、性反応を増加させ若しくは別に性機能障害を治す物質を指す。このような物質は、皮膚に容易に吸収されなければならず、本発明の一部の実施形態で用いられる任意の他の成分、カプセル及び/又はフィルムと不利に反応してはならない。本発明の実施形態では、ホスホジエステラーゼ、例えば、環状グアノシン一リン酸(cGMP)特異的ホスホジエステラーゼタイプ5(「PDE−5」)の選択的阻害剤が用いられ得る。PDE−5阻害剤には、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、誘導体、及びそれらの医薬的に許容される塩が含まれるが、これらに限定されない。他の好適な血管拡張薬には、プロスタグランジン化合物、例えば、アルプロスタジルの薬物名で知られているプロスタグランジンE−1が含まれる。別の好適な成分はテストステロンである。
【0017】
他の実施形態には、血管拡張効果を有する化合物が含まれ得、これらには、ナイアシン、L−アルギニン、ジンジャー、メントール、乳酸メンチル、並びに他のメントール誘導体及び前駆体、ペパーミント、スペアミント及び他のミント油などの化合物、一酸化窒素、一酸化窒素の前駆体、すなわち、三硝酸グリセリン(ニトログリセリン)、有機亜硝酸塩、すなわち、亜硝酸アミル、亜硝酸イソアミルなど、並びにそれらの変形が含まれるが、他の実施形態では、当技術分野で知られている他の血管拡張薬が用いられる。
【0018】
一部の実施形態では、エラストマー層は、天然ゴムラテックス、合成ポリイソプレン、グアユールゴム、ポリウレタン、それらのコポリマー又は組合せから構成される。この開示で用いられる場合の「天然ゴムラテックス」という用語は、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)(旧来のゴムの木)、グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum)(グアユールゴム)、ヒマワリ、アキノキリンソウなど、並びにこれら又は他の生物源の遺伝的に改変した変形から供給される硬化エラストマー物質を包含する。
【0019】
他の実施形態では、当技術分野で知られているエラストマー層を形成する他の物質が用いられる。
【0020】
ビーズは、合成又は天然であるワックスを含み得る。一般に用いられ得る天然ワックスには、モンタン、カルナバ、ミツロウ、ヤマモモ、キャンデリア、キャランデイ、トウゴマの実、アスパルトグラス(asparto−grass)、ジャパン、オーリクリー(ouricury)、レタモセリ(retamo−ceri)、ミンビ(mimbi)、シュラック(schlack)、クジラロウ、サトウキビ、及びウールラノリンが含まれる。合成ワックスには一般に、ポリエチレン及び変性ポリエチレン、ポリプロピレン及び変性ポリプロピレン、並びに水素系物質が含まれる。融点が25℃〜40℃の範囲を超える場合、そのワックスは溶融させることができ、適切な低分子量及び対応する低融点を有するポリエチレングリコールワックスなどの低融点ワックスをそのワックスに添加して溶融溶液を形成し、凍結させて25℃〜40℃の範囲の融点を有するワックスを生成させ得る。
【0021】
ビーズは、ポリエチレングリコール(PEG)を含み得る。1つの例示的なPEGは、20〜25℃(68〜77°F)の融点を有するPEG600である。別の可能なPEGは、44〜48℃(111〜118°F)で溶融するPEG1500であり、これは、より低い溶融物質と混合される場合、ビーズに適切であり得る。したがって、1つ又は複数の実施形態では、ビーズは、400〜1500(若しくは600〜1300、又はさらに800〜1100)の範囲の全体分子量及び25℃〜40℃(又はさらに36〜39℃)の範囲の融点を有する1種又は複数のポリエチレングリコールポリマーを含む。さらなるPEGは、PEG1000であり、これは、38℃の融点を有し、本発明の活性成分の局在させた取込みに適する。470〜530g/molの範囲の分子量を有する、PEG−6及びPEG−32を含むポリエチレングリコール系ワックスも好適であり得る。PEG−含有ビーズに関して、皮膚発生水分と接触後に、約5〜7℃の温度の増加の大きさの溶解発熱のために加温が生じる。加温効果は、皮膚の毛穴を広げ、活性成分の浸透を増強するのに役立ち得る。
【0022】
1つ又は複数の実施形態では、コンドームの外面が潤滑剤を含むことが提供される。この潤滑剤は、ワックスビーズに適合し、混和性でないシリコーン又は任意の他の潤滑物質を含み得る。適合する(compatible)に関して、潤滑物質が、ワックスビーズと接触する場合、ワックスビーズを不安定化させず又は活性成分を放出させないことが意味される。好適な潤滑剤には、シリコーン油、例えば、ジメチコーン、ジメチルシロキサン、シクロメチコーン及び他のシリコーン誘導体、並びに他の非PEGワックス溶解性物質が含まれ得る。この潤滑剤は、女性に対する性体験を向上させ、及び/又は女性性機能障害に伴う症状を軽減させる物質をさらに含み得る。このような物質には、L−アルギニン;メントール、乳酸メンチル、並びに他のメントール誘導体及び前駆体;プロスタグランジン化合物、例えば、アルプロスタジルの薬物名で知られているプロスタグランジンE−1が含まれるが、これらに限定されない。潤滑剤への別の可能な添加は、マンサクなどのアストリンゼンである。
【0023】
1つ又は複数の実施形態では、コンドームの内面が、活性剤を含まない潤滑剤をさらに含むことが提供される。この潤滑剤は、ワックスビーズと適合し、混和性でないシリコーン又は任意の他の潤滑物質を含み得る。外面上の潤滑剤が与えられる場合、典型的には、内面上の潤滑剤は外面上のものより粘度が高い。
【0024】
詳細な態様では、エラストマー層と、混合されたノノキシノール−9を含む低融点ワックスビーズとを含むコンドームであって、該ビーズは変性天然ワックス、並びに適当な分子量及び融点を有するポリエチレングリコールポリマーワックスを含み、該ビーズは、該コンドームの先端部におけるエラストマー層の内面に固着されており、該エラストマー層の外面はノノキシノール−9を実質的に含まないコンドームが提供される。
【0025】
1つ又は複数の実施形態では、混合された、ビーズのノノキシノール−9は、10〜約100mgの範囲の量で存在する。ワックスビーズは最大1グラム又はそれを超えてもよい。活性成分を、水系又はシリコーン系潤滑剤で一般に必要とされるノノキシノール−9の量である必要とされる投与量の1〜(1+1/2)倍(所要投与量の3倍以上を超えるよりもむしろ)の範囲の量で与えることが望ましいことがあり得る。
【0026】
さらなる態様では、コンドームを製造する方法であって、低融点ワックスを溶融させるステップと、溶融液体の形態における又は水溶性粉末の微細分散液としての活性成分を該低融点ワックスと混合して、実質的に均一な混合物を形成するステップと、該コンドームを供給するステップと、該混合物のビーズを該コンドームの先端部においてその内面に滴下するステップと、該ビーズが固化し、該活性成分を該コンドームの先端部においてその内面に局在させるように、該ビーズを周囲温度に到達させるステップと、該コンドームを包装するステップとを含む方法が提供される。
【0027】
さらなる態様には、コンドームの閉鎖端部に殺精子剤を提供する方法であって、エラストマー層及び(混合されたノノキシノール−9を含む)低融点ワックスビーズを含むコンドームを供給するステップを含み、該ビーズは、変性天然ワックス並びに適当な分子量及び融点を有するポリエチレングリコールポリマーワックスを含み、該ビーズがコンドームの先端部におけるエラストマー層の内面に固着されており、該エラストマー層の外面がノノキシノール−9を実質的に含まない方法が含まれる。
【0028】
本発明のさらなる実施形態には、別に本明細書で記載されるように、コンドームを含む包装が含まれる。包装の例には、限定することなしに、包装紙、箱、密封閉じ込めを有するタブ及びそれらの組合せが含まれる。
【0029】
本発明の少なくとも1つの実施形態には、完成コンドームを包装するステップが含まれる。具体的には、一部の実施形態では、局在されたビーズをその上に有する成形エラストマー層は、包装紙、箱、密封閉じ込めを有するタブ又はそれらの任意の組合せで包装される。本発明のコンドームを製造する方法の少なくとも1つの実施形態には、完成コンドームを包装するステップが含まれる。具体的には、一部の実施形態では、成形エラストマー層の上に置かれた少なくとも1種の成分を有する成形エラストマー層は、包装紙、箱、密封閉じ込めを有するタブ、又はそれらの任意の組合せで包装される。一部の実施形態では、包装の形成に用いられる材料は、空気及び水分に対して実質的に不透過性である包装を形成し得る材料から選択される。この包装材料には、セルロース系材料、例えば、紙又は板紙、ポリマーフィルム及び敷布、金属箔、並びにこれらの材料の2種以上から形成される複合材料が含まれるが、これらに限定されない。包装は、限定されないが、接着剤、熱、超音波溶接、圧力及びこれらの接合処理の組合せを含む接合処理によって密封され得る。
【0030】
本発明の様々な態様によるコンドームの製造に有用であり得る処理は、当業者によく知られている。
【実施例】
【0031】
本発明の実施形態によるコンドームの実施例を以下に示す。これら及び他の例示的な成分は、特定な用途に対してコンドームの1つ又は複数の面により多い又はより少ない量で存在することができ、以下のとおりである:
【0032】
実施例1A
変性天然ワックス並びに適当な分子量及び融点を有するポリエチレングリコールポリマーワックスの処方を溶融させ、このワックスをその融点より数度(約1〜10℃)上にさせ、これに100mgのノノキシノール−9の液体を添加して、混合物を形成する。この混合物のビーズをコンドームの先端部中その内面に滴下し、周囲温度に到達させ、このワックスビーズを固化させる。次いで、コンドームを包装する。ノノキシノール−9は、ワックスの重量の最大15〜20%添加できる。より高い濃度のノノキシノール−9の使用は、ワックスビーズ内のノノキシノール−9の分離をもたらし、皮膚刺激の可能性又はさらにコンドームの局在弱化の可能性をもたらし得る。0.5グラムのワックスビーズは、75mgのノノキシノール−9を含むことができた。
【0033】
実施例1B
ポリエチレングリコールワックス(PEG−6及びPEG−32は、Clariantによりラノゲン(Lanogen)1500という製品名の下で販売されている)の混合物を有する原料を溶融させ、このワックスをその融点より数度(約1〜10℃)上にさせ、これに20%ノノキシノール−9の液体を添加し、分離なしに均一化されたワックス混合物を形成した。この混合物のビーズをコンドームの先端部中その内面に滴下し、周囲温度に到達させて、このワックスビーズを固化させた。
【0034】
実施例2
変性天然ワックス並びに適当な分子量及び融点を有するポリエチレングリコールポリマーワックスの処方を溶融させ、このワックスをその融点より数度(約1〜10℃)上にさせ、これに100mgのニトログリセリン液を添加し、混合物を形成する。この混合物のビーズをコンドームの先端部中その内面に滴下し、周囲温度に到達させ、このワックスビーズを固化させる。次いで、このコンドームを包装する。
【0035】
実施例3A
適当な分子量及び融点を有するポリエチレングリコールポリマーワックス(PEG1000)を溶融させ、このワックスをその融点より数度(約1〜10℃)上にさせ、これに100mgの微細粉末水溶性ナイアシンを添加し、混合物を形成する。この混合物のビーズをコンドームの先端部中その内面に滴下し、周囲温度に到達させ、このワックスビーズを固化させる。次いで、このコンドームを包装する。1gのワックスビーズは、5%のナイアシンを含み、50mgのナイアシンをもたらし得る。
【0036】
実施例3B
グリセリンと混合され、0.25%のメントールを含むポリエチレングリコールポリマーワックスを加熱し、これに20mgの微細粉末水溶性ナイアシンを添加し、混合物を形成する。この混合物のビーズをコンドームの先端部中その内面に滴下し、周囲温度に到達させ、このワックスビーズを固化させる。ワックスビーズ内に取り込んだ2%又は20mgのナイアシンで試験を行い、有効な性能を得た。
【0037】
実施例4
変性天然ワックス並びに適当な分子量及び融点を有するポリエチレングリコールポリマーワックスの処方を溶融させ、このワックスをその融点より数度(約1〜10℃)上にさせ、これに100mgの微細粉末水溶性クエン酸シルデナフィルを添加し、混合物を形成する。この混合物のビーズをコンドームの先端部中その内面に滴下し、周囲温度に到達させる。次いで、コンドームを包装する。1グラムのワックスビーズ中1%濃度のクエン酸シルデナフィルは10mgのクエン酸シルデナフィルを送達する。
【0038】
実施例5
適当な分子量及び融点を有するポリエチレングリコールポリマーワックスの混合物を溶融させ、このワックスをその融点より数度(約1〜10℃)上にさせ、これに10〜100mgの粉末ベンゾカインを添加し、混合物を形成する。この混合物のビーズをコンドームの先端部中その内面に滴下し、周囲温度に到達させる。次いで、コンドームを包装する。
【0039】
実施例6
ポリエチレングリコールワックス(PEG−6及びPEG−32は、Clariantによりラノゲン(Lanogen)1500という製品名の下で販売されている)の混合物を有する原料を溶融させ、このワックスのその融点より数度(約1〜10℃)上にさせ、これに1〜3重量%のニコチン酸メチル及び0.001〜0.005重量%のメントール結晶(メントールL)を添加し、混合物を形成した。この混合物の0.5〜2グラムのビーズをコンドームの先端部中その内面に滴下し、周囲温度に到達させた。シリコーン油を0.2〜1グラムの範囲の量でコンドームの外面に塗布した。
【0040】
実施例7
ポリエチレングリコールワックス(PEG−6及びPEG−32は、Clariantによりラノゲン(Lanogen)1500という製品名の下で販売されている)の混合物を有する製品を溶融させ、このワックスをその融点より数度(約1〜10℃)上にさせ、これに1〜3重量%のニコチン酸メチル及び2〜5重量%の液体乳酸メントールを添加し、混合物を形成した。この混合物の0.5〜2グラムのビーズをコンドームの先端部中その内面に滴下し、周囲温度に到達させた。シリコーン油を0.2〜1グラムの範囲の量でコンドームの外面に塗布した。
【0041】
この明細書を通して「1つの実施形態」、「ある種の実施形態」、「1つ又は複数の実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、その実施形態と関連して記載された特定の特徴、構造、物質、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な個所における「1つ又は複数の実施形態では」、「ある種の実施形態では」、「1つの実施形態では」又は「ある実施形態では」などの表現の出現は、必ずしも本発明の同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造、物質、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0042】
本明細書における本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は、単に本発明の原理及び利用を例証するものである。様々な変更及び変形が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなしに本発明の方法及び装置になされ得ることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にある変更及び変形を含むことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー層と、混合された活性成分を含む低融点ワックスビーズと、を有するコンドームであって、前記ビーズが、前記コンドームの先端部における前記エラストマー層の内面に固着されているコンドーム。
【請求項2】
ビーズが、体温の存在下で軟化し、それにより、活性成分を実質的に曝露させる、請求項1に記載のコンドーム。
【請求項3】
エラストマー層の外面が、活性成分を実質的に含まない、請求項1に記載のコンドーム。
【請求項4】
エラストマー層の外面が、前記低融点ワックスビーズと適合し、不混和性である潤滑剤をさらに含む、請求項1に記載のコンドーム。
【請求項5】
エラストマー層の内面が、前記低融点ワックスビーズと適合し、不混和性である潤滑剤をさらに含む、請求項1に記載のコンドーム。
【請求項6】
活性成分が血管拡張薬を含む、請求項1に記載のコンドーム。
【請求項7】
血管拡張薬がナイアシン化合物を含む、請求項6に記載のコンドーム。
【請求項8】
血管拡張薬がクエン酸シルデナフィル化合物を含む、請求項6に記載のコンドーム。
【請求項9】
ビーズが、25〜40℃の範囲の融点を有する、請求項1に記載のコンドーム。
【請求項10】
ビーズが、低融点ワックスと溶融させることによってその融点が25℃〜40℃に低下する、モンタン、カルナバ、ミツロウ、ヤマモモ、キャンデリア、キャランデイ、トウゴマの実、アスパルトグラス、ジャパン、オーリクリー、レタモセリ、ミンビ、シュラック、クジラロウ、サトウキビ、及びウールラノリンからなる群から選択される天然ワックスを含む、請求項1に記載のコンドーム。
【請求項11】
ビーズが、600〜1500の範囲の全体分子量及び25℃〜40℃の範囲の融点を有する1種又は複数のポリエチレングリコールポリマーを含む、請求項1に記載のコンドーム。
【請求項12】
エラストマー層が、天然ゴムラテックス、合成ポリイソプレン、グアユールゴム、ポリウレタン、それらのコポリマー、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載のコンドーム。
【請求項13】
エラストマー層の外面上の潤滑剤が、L−アルギニン、メントール化合物、プロスタグランジン化合物、及びアストリンゼンからなる群から選択される少なくとも1種の成分をさらに含む、請求項4に記載のコンドーム。
【請求項14】
エラストマー層と、混合された勃起促進成分、殺精子剤、脱感作化合物、又はそれらの組合せを含む低融点ワックスビーズと、を有し、前記ビーズが25℃〜40℃の範囲の融点を有する変性天然ワックス又はポリエチレングリコールポリマーワックスを含むコンドームであって、前記ビーズが前記コンドームの先端部における前記エラストマー層の内面に固着されており、前記エラストマー層の外面が前記勃起促進成分、前記殺精子剤、及び前記脱感作化合物を実質的に含まないコンドーム。
【請求項15】
前記ワックスビーズ中の勃起促進成分が、1〜3重量%の範囲の量で存在するナイアシン化合物である、請求項14に記載のコンドーム。
【請求項16】
前記ワックスビーズ中の勃起促進成分が、クエン酸シルデナフィルであり、10〜約100mgの範囲の量で存在する、請求項14に記載のコンドーム。
【請求項17】
外面、内面、又は両方に前記ビーズと適合し、不混和性である潤滑剤をさらに含む請求項14に記載のコンドーム。
【請求項18】
前記ワックスビーズが、メントール、乳酸メンチル、それらの誘導体、又はそれらの前駆体をさらに含む、請求項14に記載のコンドーム。
【請求項19】
前記ビーズが25℃〜40℃の範囲の融点を有する、請求項14に記載のコンドーム。
【請求項20】
低融点ワックスを溶融させるステップと、
液体又は水溶性粉末の微細分散液の形態における活性成分を前記低融点ワックスと混合して、実質的に均一な混合物を形成するステップと、
コンドームを供給するステップと、
前記コンドームの先端部においてその内面に前記混合物のビーズを滴下するステップと、
前記ビーズを周囲温度に到達させ、前記ビーズが前記コンドームの先端部においてその内面に局在するように前記ワックスビーズを固化させるステップと、
前記コンドームを包装するステップと、
を含むコンドームの製造方法。

【公表番号】特表2011−518646(P2011−518646A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507572(P2011−507572)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/041930
【国際公開番号】WO2009/134767
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(598165943)アンセル・ヘルスケア・プロダクツ・エルエルシー (15)
【氏名又は名称原語表記】Ansell Healthcare Products LLC
【Fターム(参考)】