説明

局部洗浄装置

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
本発明は用便後の肛門部の洗浄や小用もしくは生理時の女性局部の洗浄のための局部洗浄装置に関する。
【従来の技術】
局部洗浄装置では、温水とした洗浄水をノズルから噴射して局部に当てることで局部の洗浄を行なう。
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のものは、洗浄水の定常流を噴出するものであったことから、使用者にしてみれば、心地よい刺激感を感じることができるものではなく、また洗浄水の噴流の強さが人によっては苦痛になったり、もの足りないものであったりしている。
本発明はこのような点に鑑み為されたものであって、その目的とするところは各使用者に応じた心地よい局部洗浄を的確に得ることができる局部洗浄装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
しかして本発明に係る局部洗浄装置は、局部に向けて洗浄水を噴射するノズルを備えるとともに、この洗浄水に空気を混入して気泡を含ませる空気ポンプを備えた局部洗浄装置であって、空気ポンプの出力調整を行って気泡の混合率を調整するとともに、空気ポンプの起動は出力調整状態と異なる高出力状態で行う制御回路を具備していることに特徴を有している。
<作用> 本発明によれば、洗浄水と空気との混合比率を変えることによって、洗浄水に含まれる気泡によるところの刺激レベルを調整することができるとともに、空気ポンプの起動はその出力調整レベルに関係なく高出力の状態でなされるために、スムーズに起動するものである。
<実施例> 以下本発明を図示の実施例に基づいて説明すると、この局部洗浄装置は、第1図及び第2図に示すように、左右に振り分けられた洗浄装置本体1と、共に回動自在とされた便座80及び便座カバー8とを備えて、既存の腰掛式便器における便座カバー及び便座と交換して設置できるように構成されている。
洗浄装置本体1には、第3図に示すように、加熱手段を内蔵した温水タンク2と、洗浄水用のポンプ3と、空気ポンプ4と、洗浄水を噴出させる肛門部の洗浄用ノズル51及びビデ用ノズル52と、電磁弁6、そして温水タンク2と電磁弁6との間に配設されてポンプ3によってノズル51,52側へ送られる洗浄水に、空気ポンプ4からの空気を混入させる空気混合手段としてのアスピレータ7とが設けられている。
上記電磁弁6は、アスピレータ7において空気が混合された洗浄水を、上記両ノズル51,52に選択的に送るためのものであって、第4図に示すように、一対のソレノイド61,62によって排他的に開閉されるバルブ63,64を備えたものとなっている。
空気混合手段であるアスピレータ7は、第5図に示すように、洗浄水用の流入口71と、流出口72との間の直線状流路中に、断面積を絞ったノズル部73を設けるとともに、このノズル部73に空気流入口74を連通させたものであって、洗浄水がノズル部73を通過する際に生ずる減圧によって、空気が吸い込まれて洗浄水中に空気が混合される。空気ポンプ4に出力の小さいものを使用することができるようにしているわけである。図中75は洗浄水が空気流入口74側に入るのを防止する逆止弁である。
第6図に回路図を示す。図中10はマイクロコンピュータによって構成された制御回路であり、上記ポンプ3や空気ポンプ4、あるいは電磁弁6が夫々ポンプ駆動回路11と空気ポンプ駆動回路12と電磁コントロール回路13を介して接続されている他、操作スイッチ14と、便座温度検出回路15並びに温水タンク2内の水温検出用の温水検出回路16が接続されている。
上記の操作スイッチ14は、第14図に示すように、「おしり」選択用のスイッチ14aと、「ビデ」選択用のスイッチ14bと、強弱選択スイッチ14c,14dと、ストップスイッチ14eとから構成されており、「おしり」のスイッチ14aが押されたならば、洗浄水がノズル51から噴出し、「ビデ」のスイッチ14bが押されたならば、ノズル52から洗浄水が噴出する。そしてストップスイッチ14eが押された時点で、ノズル51,52への洗浄水の供給が停止される。尚、これらノズル51,52は供給される洗浄水の圧力によって内蔵する復帰ばねの付勢に抗して伸びて、所定位置に移動するものとなっている。
ここにおいて、強弱スイッチ14c,14dによって強弱レベルを切り換えたならば、制御回路10は空気ポンプ3の出力調整を行ない、第7図(a)に示すように、強弱レベルに関係なく一定の吐水量とされている洗浄水に対する空気の混合量を変化させる。強に設定した時には空気の混合量を多くし、弱に設定した時には空気の混合量を少なくするのである。
このように空気の混合比率が調整された時、使用者は、第12図に示すように、気泡が含まれた洗浄水が局部に当てられる洗浄シャワー強さについては吐水量に応じたものとして感じるものの、刺激感は気泡の量に応じたものとして感じる。つまり、気泡の量によって刺激の変化度(AC成分)が変化するが、この変化度の大きいもの、つまり気泡の量が多い時に、刺激が強いと使用者が感じるものである。従って、強弱調整による空気の混合比率の調整により、使用者は好みの刺激レベルを得ることができるものである。尚、空気の混合比率は、容積比で0〜40%の範囲で調節するのが適当である。
この強弱調整の際に、ポンプ3の出力調整も行なって、弱の時には吐水量を少なく、強の時には吐水量を多くしてもよい。第8図及び第13図はこの場合を示している。更には、第15図に示すように、吐水量を増減させるスイッチ14f,14gをスイッチ14に追加して、洗浄水の吐水量の増減と、混合する空気の比率の調整とを別個に調整できるようにしてもよい。この場合、吐水量が少ない状態で且つ刺激感が大きいという状態も得ることができるものとなる。
第9図及び第10図は上記空気ポンプ駆動回路12の一例を示すものであって、制御回路10から出力される駆動パルスは抵抗R1を介してトランジスタQ1をオンオフし、空気ポンプ4におけるモータM4を作動させるが、制御回路10は上記トランジスタQ1のオン時間によってモータM4の回転数を制御し、洗浄水中に混合される空気量を調整する。すなわち、第10図(a)に示すように、駆動パルス幅を小さくした時にはモータM4の回転数が少なくなって空気の混合量が少なくなり、同図(c)に示すように、駆動パルス幅を大きくした時にはモータM4の回転数が多くなって空気の混合量も多くなるものである。第9図中のC1は雑防コンデンサ、D1は逆起電力吸収用のダイオードである。
ところで、混合する空気の量が少ない場合は、空気ポンプ4のモータM4の回転数を少なくするわけであり、この時の駆動パルス幅は上述のように小さいことから、モータM4起動時のエネルギーが不足する場合が考えられる。このために、ここでは空気ポンプ4を起動する時には、第11図に示すように、モータM4の回転が立ち上がるのに要する時間だけトランジスタQ1を連続的にオンさせておき、その後、空気の混合比率に応じた幅の駆動パルスを送るようにしている。
第16図に示すように、制御回路10から出力される駆動パルスを積分回路19aで積分して直流電圧に変換するとともに微分回路19bでトリガーパルスを発生して、このトリガーパルスでタイマ回路19cにトリガーをかけて所定時間だけリレー駆動回路19dを作動させてリレー接点Ryをオンさせることによって、定常状態での印加電圧VDよりも高い電圧VDHを起動時だけダイオードD3を介してモータM4に印加するようにしてもよい。この場合においても空気ポンプ4を確実に作動させることができる。
【発明の効果】
以上のように本発明においては、洗浄水と空気との混合比率を変えることによって、洗浄水に含まれる気泡によるところの刺激レベルを調整することができ、快適な局部洗浄を行うことができるとともに、空気ポンプの起動はその出力調整レベルに関係なく高出力の状態でなされるために、気泡の混合率を下げるために空気ポンプの出力を下げている時でも、空気ポンプはスムーズに起動するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明一実施例の斜視図、第2図は同上の側面図、第3図は同上の分解斜視図、第4図は同上の電磁弁の断面図、第5図は同上のアスピレータの断面図、第6図R>図は同上のブロック回路図、第7図(a)(b)は同上の吐水量と空気流入量と強弱調整の相関を示す説明図と刺激度合の説明図、第8図(a)(b)は他の実施例における吐水量と空気流入量と強弱調整の相関を示す説明図と刺激度合の説明図、第9図は空気ポンプの駆動回路図、第10図は空気ポンプの駆動パルスの説明図、第11図は空気ポンプの起動時の駆動パルスの説明図、第12図及び第13図は空気量と刺激度合の相関を示す説明図、第14図は操作スイッチの正面図、第15図は他の操作スイッチの正面図、第16図は空気ポンプの他の駆動回路の回路図であって、3はポンプ、4は空気ポンプ、51,52はノズルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】局部に向けて洗浄水を噴射するノズルを備えるとともに、この洗浄水に空気を混入して気泡を含ませる空気ポンプを備えた局部洗浄装置であって、空気ポンプの出力調整を行って気泡の混合率を調整するとともに、空気ポンプの起動は出力調整状態と異なる高出力状態で行う制御回路を具備していることを特徴とする局部洗浄装置。

【第1図】
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【第2図】
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【第4図】
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【第8図】
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【第3図】
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【第5図】
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【第12図】
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【第6図】
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【第7図】
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【第11図】
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【第9図】
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【第10図】
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【第13図】
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【第14図】
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【第15図】
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【第16図】
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【特許番号】第2566310号
【登録日】平成8年(1996)10月3日
【発行日】平成8年(1996)12月25日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−35264
【出願日】平成1年(1989)2月15日
【公開番号】特開平2−213533
【公開日】平成2年(1990)8月24日
【出願人】(999999999)松下電工株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭62−170627(JP,A)
【文献】実開 昭63−38981(JP,U)
【文献】実開 平1−160080(JP,U)