説明

屋内用間仕切り装置及び間仕切り方法

【課題】 部屋を複数の小部屋に分割する場合の作業性が良好であり、分割した小部屋の密閉性を高めることができ、作業環境を良好にできる屋内用間仕切り装置及び間仕切り方法を提供する。
【解決手段】 送風機11からの空気の供給により膨張し部屋12の床面13上に立設して、部屋12の両側壁面14、15、床面13、及び天井面16のいずれか1又は2以上に当接し、部屋12を少なくとも2の小部屋17、18に分割する仕切部材19を有する。また、間仕切り方法は、この仕切部材19を部屋12の床面13上に配置し、仕切部材19に空気を供給して立設させ、仕切部材19の周端部を部屋12の両側壁面14、15、床面13、及び天井面16のいずれか1又は2以上に当接させて、部屋12を少なくとも2の小部屋17、18に分割する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋内に、例えば、増改築(リフォームともいう)を行う小部屋を形成するために使用する屋内用間仕切り装置及び間仕切り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、部屋内のリフォームを行う際、床、壁、及び天井の解体時においては、多量のほこりが発生していた。
このため、解体作業を行わない場所へのほこりの侵入を防止するため、建具に目張りをしたり、またほこりの飛散を防ぐためにサッシ(サッシュともいう)を閉めて作業を行う必要があった。また、例えば、特許文献1のように、エアカーテンを使用して作業を行う場所を他の場所から仕切り、作業場所内で発生するほこりが他の場所へ拡散することを防止する方法も開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−55435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の方法には未だ解決すべき以下のような問題があった。
建具に目張りをする場合、すぐに解体作業に取りかかることができないため作業性が悪く、しかも密閉性を高めることにも限界があった。
また、リフォームを行う際に、例えば、比較的大きなごみが飛散した場合には、エアーカーテンではその仕切りが十分でなく、飛散時の衝撃によって、例えば、家具、襖、及び障子を破損させる恐れがある。ここで、家具は、予め他の部屋に移動させることも可能であるが、その移動作業を行わなければならず、やはり作業性が悪い。
更に、リフォームを行う作業者は、予めマスクを着用して作業を行っているが、前記したような密閉された環境下では、例えマスクを着用して作業を行ったとしても十分な対策とはならず、作業者の健康を害する恐れがある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、部屋を複数の小部屋に分割する場合の作業性が良好であり、分割した小部屋の密閉性を高めることができ、作業環境を良好にできる屋内用間仕切り装置及び間仕切り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る屋内用間仕切り装置は、送風機からの空気の供給により膨張し部屋の床面上に立設して、該部屋の両側壁面、床面、及び天井面のいずれか1又は2以上にそれぞれ当接し、前記部屋を少なくとも2の小部屋に分割する仕切部材を有する。
前記目的に沿う本発明に係る間仕切り方法は、送風機からの空気の供給により膨張可能な仕切部材を部屋の床面上に配置し、該仕切部材に空気を供給して立設させ、該仕切部材の周端部を前記部屋の両側壁面、床面、及び天井面のいずれか1又は2以上に当接させて、前記部屋を少なくとも2の小部屋に分割する。
【0007】
ここで、部屋とは、例えば、住居の部屋、オフィスビルの部屋、及び工場を意味する。
また、部屋を仕切部材で分割して形成される小部屋の数は、少なくとも2つ(2以上)である。
なお、部屋を仕切部材のみで分割する場合は、部屋の両側壁面、床面、及び天井面の全てに仕切部材が当接する。しかし、例えば、部屋の広さに応じて仕切部材を含む間仕切り装置の寸法を調整する場合は、補助の筒状気室、例えば、仕切部材の一側又は両側に補助の竪型筒状気室を設けたり、また仕切部材の上側及び下側のいずれか一方又は双方に高さ調整用筒状気室を設けるので、補助の竪型筒状気室及び高さ調整用筒状気室のいずれか一方又は双方が、部屋の両側壁面、床面、及び天井面のいずれか1又は2以上に当接することになる。
【0008】
また、補助の竪型筒状気室及び高さ調整用筒状気室は、ファスナーで仕切部材にそれぞれ取付け及び取外し可能に設けることが可能であるが、このファスナーは、互いに結合又は解除可能な対となる部材から構成されており、この係合可能な対となる部材を、ファスナーA、B、ファスナーC、D、ファスナーE、F、及びファスナーG、Hと表している。
また、ファスナーには、例えば、ジッパー、面ファスナー、ホック、及びボタンが含まれる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の屋内用間仕切り装置及び間仕切り方法は、仕切部材に送風機から空気を供給することで仕切部材を立設させ、部屋を少なくとも2の小部屋に分割できるので、分割時の作業性が良好である。
また、仕切部材が、それ自身、又は例えば、補助の筒状気室を介して、部屋の両側壁面、床面、及び天井面の全てに当接できるので、分割した小部屋の密閉性を高めることができ、小部屋内で発生したゴミが他の小部屋へ飛散することを防止できる。
【0010】
ここで、仕切部材を複数の竪型筒状気室で構成し、この仕切部材の一側又は両側に、補助の竪型筒状気室を取付け取外し可能な構成とした場合には、仕切部材を含む間仕切り装置の横幅を部屋の内幅に応じて容易に調整できる。これにより、例えば、部屋の大きさに応じて屋内用間仕切り装置を新たに購入し直す必要がなく経済的である。
また、仕切部材に、仕切部材の横方向に予め設定した間隔を有し、互いに係合するファスナーC、Dを設けた場合には、ファスナーC、Dの係合状態を維持又は解除することで、仕切部材の折り畳まれた部分に相当する分だけ、仕切部材の幅を変更可能である。
【0011】
そして、1又は複数の高さ調整用筒状気室を、仕切部材に取付け及び取外し可能に設ける場合には、高さ調整用筒状気室の使用本数によって、仕切部材を含む間仕切り装置の高さを部屋の高さ位置に応じて容易に調整できる。これにより、例えば、部屋の大きさに応じて屋内用間仕切り装置を新たに購入し直す必要がなく経済的である。
ここで、高さ調整用筒状気室に、高さ調整用筒状気室の高さ方向に予め設定した間隔を有して配置されるファスナーG、Hを設けた場合には、ファスナーG、Hの係合状態を維持又は解除することで、高さ調整用筒状気室の折り畳まれた部分に相当する分だけ、高さ調整用筒状気室の高さ調整が可能になる。
【0012】
また、仕切部材に出入口を設けた場合には、例えば、作業者が小部屋に容易に出入りできる。また、出入口はシート材によって開閉可能となっているので、作業の際に、小部屋で発生したゴミが部屋内の他の小部屋内に飛散することを防止できる。
そして、仕切部材に空調手段を設けた場合には、小部屋内の温度調整が可能になり、小部屋内の環境を快適にできる。
更に、仕切部材に集塵用ダクトを設けた場合には、小部屋内の空気を浄化することができ、小部屋内の環境を快適にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る屋内用間仕切り装置の正面側の斜視図、図2は同屋内用間仕切り装置の裏面側の斜視図、図3は同屋内用間仕切り装置の変形例に係る仕切部材の裏面側の斜視図、図4は同屋内用間仕切り装置に使用する高さ調整用筒状気室の側断面図、図5(A)、(B)はそれぞれ同屋内用間仕切り装置に使用する変形例に係る高さ調整用筒状気室の側断面図、図6は同屋内用間仕切り装置の変形例に係る空調手段の説明図である。
【0014】
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る屋内用仕切り装置10は、送風機11からの空気の供給により膨張し部屋12の床面13上に立設して、この部屋12の両側壁面14、15、床面13、及び天井面16のいずれか1又は2以上に当接し、部屋12を少なくとも2の小部屋、即ち居住側小部屋17と作業側小部屋18の2つに分割する仕切部材19を有する。なお、この屋内用仕切り装置10は、部屋12を部分的に増改築する際の使用に適したものである。以下、詳しく説明する。
【0015】
仕切部材19は、居住側小部屋17に設置された送風機11による空気の供給によって膨張する複数の竪型筒状気室(筒状気室)20、21を有している。竪型筒状気室20は、仕切部材19の幅方向両側に配置されており、その高さ方向の長さは2m以上2.5m以下である。また、竪型筒状気室21は、仕切部材19の幅方向中央部に配置され、その高さ方向の長さは50cm以上1m以下である。
各竪型筒状気室20、21は、軟質の合成樹脂(例えば、ビニール及び防水加工を施した布)又はゴムで構成されたシートを、断面矩形(正方形又は長方形)状とし、その一辺を20cm以上40cm以下に形成したものである。なお、空気が供給された使用時の各竪型筒状気室20、21は、各辺が外方向に膨らんだ断面矩形形状となっている。ここで、竪型筒状気室の断面形状は、多角形とすることもできる。
【0016】
この竪型筒状気室20、21は、仕切部材19の幅が例えば2m以上10m以下程度になるように、横方向に平面状に複数並べて立設され、隣り合う竪型筒状気室20、20同士、隣り合う竪型筒状気室20、21同士、及び隣り合う竪型筒状気室21、21同士は外れないように縫い合わされている。なお、隣り合う竪型筒状気室同士を、熱により圧着して接続することも可能である。なお、仕切部材は、竪型筒状気室と同様の構成となった水平型筒状気室(筒状気室)を使用し、これを縦方向に平面状に複数並べて立設することも可能である。
これにより、仕切部材19は、正面視して矩形形状となる。
【0017】
各竪型筒状気室20には、その幅方向(横方向)両側であって、高さ方向に複数(ここでは4個)の通風孔22が形成されている。この通風孔22は、いずれの竪型筒状気室20においても略同一高さ位置に形成されている。なお、仕切部材19の左端(一側)に位置する竪型筒状気室20の左側面には、通風孔が形成されていないが、他の竪型筒状気室20と同様に通風孔を形成することも可能である。
また、各竪型筒状気室21の高さ方向の長さは、前記したように、その両側に配置される竪型筒状気室20より短くなっている。このため、各竪型筒状気室21には、その横方向両側であって、高さ方向に形成される通風孔(図示しない)の数が、竪型筒状気室20の通風孔22の数よりも少なく(ここでは2個)なっている。
【0018】
これにより、接続された複数の竪型筒状気室20、21の連結部分は、その一部、即ち通風孔22部分が連通し、送風機11から供給された空気が各竪型筒状気室20、21内に流れ込み可能な構成となっている。
なお、竪型筒状気室20の通風孔22、及び竪型筒状気室21の通風孔の形成位置を高さ方向に略等間隔で形成することで、各竪型筒状気室20、21への空気の流れ込みをスムーズに行うことができるが、竪型筒状気室21については、更に通風孔の数を増やすことも可能である。
【0019】
図1に示すように、仕切部材19の右側には、前記した竪型筒状気室20と同様の材質で同様の形状に成形された補助の竪型筒状気室(補助の筒状気室)23が、互いに結合又は解除可能な係合するジッパーA、B(ファスナーA、Bの一例)によって取付け及び取外し可能な構成となっている。ここで、ジッパーA、Bは、対となって1つのジッパー24を構成している。この場合、仕切部材19の右側周縁、即ち仕切部材19の右端に位置する竪型筒状気室20の右面の周縁には、ジッパーAが取付けられ、また、補助の竪型筒状気室23の左側周縁には、ジッパーAに噛み合うジッパーBが取付けられることになる。
なお、取付け及び取外し可能な補助の竪型筒状気室23は、仕切部材19の両側に取付けることも可能である。
【0020】
ジッパーAが取付けられた竪型筒状気室20は、補助の竪型筒状気室23が取付けられない場合(本実施の形態では取付けていない)、仕切部材19の最端部に位置するので、通風孔22は閉止蓋(図示しない)により閉じられている。
なお、この閉止蓋は、通風孔22より大きく形成されており、通風孔22の周辺部に取付けられた環(パイル)状部材と、閉止蓋の周辺部に取付けられた係止(フック)状部材とで構成される面ファスナーにより、通風孔22に閉止蓋を取付け、竪型筒状気室20内部からの空気の漏洩を抑制する構成となっている。
【0021】
従って、この閉止蓋で通風孔22が塞がれた竪型筒状気室20に、補助の竪型筒状気室23を取付ける場合は、通風孔22に取付けられた閉止蓋を取外し、竪型筒状気室20と補助の竪型筒状気室23とを密着させ、通風孔22を連通させてジッパー24を使用して取付ける。
なお、補助の竪型筒状気室は、屋内用間仕切り装置10を立設する部屋12の内幅に応じて、仕切部材19の幅方向に1又は複数取付け又は取外しすることができ、これにより、仕切部材19を含む間仕切り装置全体の横幅を調整できる。
【0022】
図3に示す変形例に係る仕切部材25は、前記した竪型筒状気室20、21と略同様の構成となった断面円形又は断面楕円形の複数の竪型筒状気室(筒状気室)26、26aで構成され、仕切部材25の横方向に予め設定した間隔W、例えば、20cm以上70cm以下を有し、互いに結合又は解除可能な係合するジッパーC、D(ファスナーC、Dの一例)を、表裏にそれぞれ設けている。ここで、ジッパーC、Dは、それぞれ一つ置いて位置する竪型筒状気室26の厚み方向の周面に、床面13に対して略垂直に設けられており、対となって1つのジッパー27を構成している。
なお、このジッパー27は、隣り合う竪型筒状気室26に設けることも、また仕切部材の横方向に複数箇所設けることも可能である。
【0023】
これにより、部屋12の両側壁面14、15間の距離が仕切部材25の幅より狭い場合(幅狭使用時)は、幅方向一部(ここでは、ジッパーC、Dが設けられた竪型筒状気室26の間に挟まれた竪型筒状気室26)を折り畳んでジッパー27の結合状態を維持し、部屋12の両側壁面14、15間の距離が仕切部材25の幅より広い場合(幅広使用時)は、ジッパー27の結合状態を解除し、竪型筒状気室26への空気の供給によって仕切部材25の幅を変更可能にしている。
なお、仕切部材を縦方向に水平型筒状気室を並べて構成した場合には、この仕切部材の表裏の一部に所定の間隔を有して水平方向に係合するファスナーを設け、仕切部材の高さを変更することもできる。
【0024】
図1、図2、及び図4に示すように、仕切り部材19の上側には、送風機11による空気の供給により膨張する高さ調整用筒状気室(補助の筒状気室)28が設けられている。この高さ調整用筒状気室28は、軟質の合成樹脂(例えば、ビニール及び防水加工を施した布)又はゴムで構成されたシートを使用したもので、断面矩形(正方形又は長方形)状となって直方体に形成されたものであり、横方向の長さが、仕切部材19の幅方向の長さ(例えば2m以上10m以下)、即ち横方向に並べて接続された竪型筒状気室20、21の幅となっている。
【0025】
高さ調整用筒状気室28の下端周縁には、ジッパーE(ファスナーEの一例)が取付けられ、また仕切部材19の上端周縁には、ジッパーF(ファスナーFの一例)が取付けられている。ここで、ジッパーE、Fは、対となって互いに結合又は解除可能となって係合して1つのジッパー29を構成している。
これにより、高さ調整用筒状気室28は、竪型筒状気室20、21の上側に、取付け及び取外し可能になっている。
なお、仕切部材19に補助の竪型筒状気室23を取付ける場合は、高さ調整用筒状気室28と略同様の構成で、補助の竪型筒状気室23と同幅となった高さ調整用筒状気室30を、ジッパー29と同様の構成のジッパー31で、補助の竪型筒状気室23の上面に取付ける。
【0026】
この各竪型筒状気室20、21の上端部には、1又は複数の通風孔32が形成され、高さ調整用筒状気室28の下端部には、竪型筒状気室20、21に形成された通風孔32の位置に対応した位置に、通風孔33が形成されている。なお、補助の竪型筒状気室23及び高さ調整用筒状気室30についても、通風孔32、33をそれぞれ形成する。
これにより、高さ調整用筒状気室28内を、送風機11から竪型筒状気室20、21へ供給された空気が流れ込み可能な構成となっている。
なお、各通風孔32、33の閉止は、前記した竪型筒状気室20の閉止蓋と同様の構成のものを使用できる。
【0027】
図4に示すように、高さ調整用筒状気室28には、高さ調整用筒状気室28の高さ方向に予め設定した間隔D(例えば、20cm以上70cm以下程度の間隔)を有して配置され、それぞれ高さ調整用筒状気室28の高さ方向中央部周囲であって同一高さ位置に、互いに結合又は解除可能な係合するジッパーG、H(ファスナーG、Hの一例)が設けられ、高さ調整用筒状気室28が高さ方向に伸縮可能な構成となっている。ここで、ジッパーG、Hは、対となって1つのジッパー34を構成している。
【0028】
これにより、部屋12の天井面16が仕切部材19の立設状態よりも低い場合(低高さ使用時)は、高さ調整用筒状気室28の高さ方向一部、即ちジッパーGとジッパーHとの間にある折り畳み部分35、36を内側に折り畳んでジッパー34の結合状態を維持する。そして、部屋12の天井面16が仕切部材19の立設状態よりも高い場合(高高さ使用時)は、ジッパー34の結合状態を解除し、高さ調整用筒状気室28への空気の供給によって折り畳み部分35、36を伸ばし、高さ調整用筒状気室28を高さ方向に伸張させる。
【0029】
なお、空気は、送風機11から連続的に供給され続けるため、高さ調整用筒状気室28の厚み方向両側(表裏)に位置する折り畳み部分35、36が重なり合っても、高さ調整用筒状気室28内を下側から上側にかけて流れる空気の流れにより、高さ調整用筒状気室28全体の膨張状態は維持できる。
しかし、よりスムーズな流れを形成するには、図4に示すように、空気の流路が確保されるように、畳み込まれた折り畳み部分35、36を接触させないようにする。
【0030】
このように、高さ調整用筒状気室28にジッパー34を設け、この係合状態の維持又は解除を行うことで、高さ調整用筒状気室28の高さを、例えば、20cm以上70cm以下程度伸張させることができる。
なお、仕切部材を含む間仕切り装置全体の高さを更に高くする必要がある場合は、高さ調整用筒状気室28の上面周縁にジッパー34と同様の構成のジッパーを設け、更に高さ調整用筒状気室の取付け個数を増やすことも可能である。
高さ調整用筒状気室は、前記した形状に限定されるものではなく、図5(A)に示すように、高さ調整用筒状気室37の上側部分に折り畳み部分35、36を形成することも、また高さ調整用筒状気室の折り畳み部分のみが設けられた形状、即ち全体が折り畳まれるようにすることもできる。
【0031】
また、高さ調整用筒状気室は、仕切部材19の上側に設けることなく、図5(B)に示すように、仕切部材19の下側に設けることも可能である。
この場合、仕切部材19の安定性を考慮して、高さ調整用筒状気室38の表裏方向の厚み幅を、仕切部材19の表裏方向の厚み幅よりも厚くすることが好ましい。なお、高さ調整用筒状気室38の折り畳み部分39、40、及び高さ調整用筒状気室38の高さ方向中央部の周囲に設けられるジッパー41の構成は、前記した高さ調整用筒状気室28と略同様の構成となっている。
【0032】
図1、図2に示すように、仕切部材19の幅方向中央部には、作業者が居住側小部屋17と作業側小部屋18との間を往来するための出入口(例えば、幅50cm以上1.5m以下程度、高さ1m以上1.5m以下程度)42が形成されている。この出入口42の上部には、軟質の合成樹脂(例えば、ビニール)又はゴムで構成されたシート材43が取付けられ、出入口42が開閉可能になっている。なお、シート材43は、仕切部材19の居住側小部屋側の面44に取付けられているが、作業側小部屋側の面45に取付けることも可能である。
このシート材43の面積は、出入口42の面積より大きく形成されており、出入口42の周辺部に取付けられた環状部材46と、シート材43の周辺部に取付けられた係止状部材47とで構成される面ファスナーにより、常時は出入口42にシート材43を取付け、作業側小部屋18を居住側小部屋17から密閉状態で分離する構成となっている。
【0033】
また、屋内用間仕切り装置10には、作業側小部屋18に冷風及び温風のいずれか一方を噴出するための空調手段48が設けられている。
この空調手段48は、仕切部材19の作業側小部屋側の面45に取付け取外し可能に設けられる送風ダクト49と、居住側小部屋17に配置され、送風ダクト49に冷風及び温風のいずれか一方を造り出して送風する空調機(図示しない)を有している。なお、空調機は、冷風を供給する冷房機能及び温風を供給する暖房機能を有する例えば、従来公知の空調装置と同様の構成のものを使用できる。
【0034】
ここで、送風ダクト49には、多数の送風口50が形成されており、例えば、作業側小部屋18で作業を行う作業者に対して送風可能な構成となっている。従って、送風口50の高さ位置は、作業者の高さ位置に対応した位置、即ち床面から2m以下の範囲内に多数形成することが好ましい。
なお、図6に示すように、送風ダクト51を仕切部材19内部に設けることも可能である。これにより、屋内用間仕切り装置の外観性を良好にできる。
【0035】
図1、図2に示すように、屋内用間仕切り装置10には、作業側小部屋18内で発生する粉塵を、作業側小部屋18から外部へ排出可能な集塵用ダクト52が設けられている。
この集塵用ダクト52は、仕切部材19内部を、作業側小部屋18から居住側小部屋17にかけて貫通した状態で設けられている。なお、居住側小部屋17に突出した集塵ダクト52は、集塵機(図示しない)にダスト搬送用ホースを介して接続されている。
これにより、作業側小部屋18内で発生した粉塵を、外部へ排出し、作業側小部屋18内での作業環境を良好にできる。
【0036】
続いて、本発明の一実施の形態に係る間仕切り方法について、前記した屋内用間仕切り装置10を参照しながら説明する。
まず、仕切部材19を部屋12内へ運び込む。ここで、仕切部材19は、仕切部材19内に空気を供給することなく部屋12内へ運び込むことも、またある程度空気を供給した後、部屋12内へ運び込むことも可能である。そして、部屋12の両側壁面14、15の幅、及び部屋12の床面13から天井面16までの高さを確認した後、補助の竪型筒状気室23及び高さ調整用筒状気室28の取付け取外しを行い、仕切部材19を含めた屋内用間仕切り装置全体の寸法を調整する。
【0037】
なお、屋内用間仕切り装置全体の寸法は、空気の供給によって膨張する仕切部材19(場合によっては、補助の竪型筒状気室23及び高さ調整用筒状気室28のいずれか一方又は双方を含む)の大きさが、部屋12の両側壁面14、15、床面13、及び天井面16で形成される面積よりも大きくなるように調整する。
これにより、送風機11から供給される空気量に応じて、部屋12内に形成する作業側小部屋18の密閉性を高めることができる。
【0038】
屋内用間仕切り装置全体の寸法が決定された後、仕切部材19の下端部を部屋12の床面13上に移動させ、仕切部材19に送風機11を接続する。このとき、送風ダクト49の取付け位置が、作業側小部屋18の方向を向くように設置する。
そして、送風機11から仕切部材19内へ空気を供給し、仕切部材19を床面13上に立設させ、仕切部材19を、部屋12の両側壁面14、15、及び床面13にそれぞれ当接させ、仕切部材19の上側に取付けられた高さ調整用筒状気室28の上面を天井面16に当接させて、部屋12を居住側小部屋17と作業側小部屋18に分割する。
【0039】
なお、仕切部材19に高さ調整用筒状気室を取付けない場合は、仕切部材19の周端部が、部屋12の両側壁面14、15、床面13、及び天井面16にそれぞれ当接し、仕切部材19に補助の竪型筒状気室を取付けた場合は、この補助の竪型筒状気室が側壁面14、15のいずれか一方又は双方に当接する。
ここで、仕切部材19形成時における例えば縫い目、補助の竪型筒状気室の結合部分、及び高さ調整用筒状気室の結合部分により、僅かではあるが仕切部材19からの空気の漏洩があることを考慮して、送風機11を連続的に運転することが好ましい。
【0040】
なお、図3に示すように、立設させた仕切部材25の幅が、部屋12の両側壁面14、15に接触しない場合は、更に仕切部材25のジッパー27の係合状態を解除し、更なる空気の供給によって竪型筒状気室26の折り畳み部分を伸張させ、仕切部材25の側部を側壁面14及び側壁面15へ当接させることもできる。
また、屋内用間仕切り装置10において、立設時の高さが、部屋12の天井面16の高さ位置に到達しない場合は、更に高さ調整用筒状気室28のジッパー34の係合状態を解除し、更なる空気の供給によって高さ調整用筒状気室28の折り畳み部分35、36を伸張させ、高さ調整用筒状気室28の上端部を天井面16へ当接させることもできる。
【0041】
ここで、屋内用間仕切り装置10の全体の大きさは、部屋12の両側壁面14、15、床面13、及び天井面16で囲まれる面積よりも、予め大きくなっているので、仕切部材19及び高さ調整用筒状気室28への空気の供給に伴って、仕切部材19及び高さ調整用筒状気室28と、各面との接触面積が増大し、密閉性を向上できる。
そして、仕切部材19の作業側小部屋側の面45に、送風ダクト49を取付けた後、冷風及び温風機を作動させて、作業側小部屋18内の温度調節を行う。
更に、集塵用ダクト52にダスト搬送用ホースを接続して集塵機を作動させ、作業側小部屋18内の空気を清浄にする。
これにより、作業者は、良好な環境で作業を実施できる。
【0042】
なお、作業が終了した後は、冷風及び温風機を停止し、冷風及び温風機を送風ダクト49から取外す。
そして、作業側小部屋18内の粉塵が無いことを確認した上で送風機11を停止する。このとき、集塵機を停止し、集塵用ダクト52からダスト搬送用ホースを取外す。
これにより、仕切部材19及び高さ調整用筒状気室28から空気を抜き出し、これを部屋12内から運び出して、作業を終了する。
【0043】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の屋内用間仕切り装置及び間仕切り方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、仕切部材を、横方向に複数並べて設けられる竪型筒状気室で構成した場合について説明したが、縦方向に複数積み重ねて設けられる高さ調整用筒状気室で構成することも可能である。
【0044】
そして、前記実施の形態においては、高さ調整用筒状気室の伸張のために、ファスナーの一例であるジッパーを使用した場合について説明したが、高さ調整用筒状気室の高さ方向の一部を折り畳んだ状態を維持できるならば、例えば鍵状となった対となるフックを使用することも可能である。なお、仕切部材の幅方向に設けるファスナーについても同様である。
更に、仕切部材に対する高さ調整用筒状気室の取付け及び取外しについては、ジッパーを使用することなく、面ファスナーを使用することも可能である。なお、仕切部材に対する補助の竪型筒状気室の取付け及び取外しについても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施の形態に係る屋内用間仕切り装置の正面側の斜視図である。
【図2】同屋内用間仕切り装置の裏面側の斜視図である。
【図3】同屋内用間仕切り装置の変形例に係る仕切部材の裏面側の斜視図である。
【図4】同屋内用間仕切り装置に使用する高さ調整用筒状気室の側断面図である。
【図5】(A)、(B)はそれぞれ同屋内用間仕切り装置に使用する変形例に係る高さ調整用筒状気室の側断面図である。
【図6】同屋内用間仕切り装置の変形例に係る空調手段の説明図である。
【符号の説明】
【0046】
10:屋内用仕切り装置、11:送風機、12:部屋、13:床面、14、15:側壁面、16:天井面、17:居住側小部屋、18:作業側小部屋、19:仕切部材、20、21:竪型筒状気室、22:通風孔、23:補助の竪型筒状気室、24:ジッパー、25:仕切部材、26、26a:竪型筒状気室、27:ジッパー、28:高さ調整用筒状気室、29:ジッパー、30:高さ調整用筒状気室、31:ジッパー、32、33:通風孔、34:ジッパー、35、36:折り畳み部分、37、38:高さ調整用筒状気室、39、40:折り畳み部分、41:ジッパー、42:出入口、43:シート材、44、45:面、46:環状部材、47:係止状部材、48:空調手段、49:送風ダクト、50:送風口、51:送風ダクト、52:集塵用ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機からの空気の供給により膨張し部屋の床面上に立設して、該部屋の両側壁面、床面、及び天井面のいずれか1又は2以上に当接し、前記部屋を少なくとも2の小部屋に分割する仕切部材を有することを特徴とする屋内用間仕切り装置。
【請求項2】
請求項1記載の屋内用間仕切り装置において、前記仕切部材は、横方向に平面状に並べて立設された複数の竪型筒状気室を備え、それぞれの該竪型筒状気室の連結部分の一部が連通し、しかも前記仕切部材の一側又は両側に補助の竪型筒状気室が、互いに係合するファスナーA、Bによって取付け及び取外し可能な構成となっていることを特徴とする屋内用間仕切り装置。
【請求項3】
請求項2記載の屋内用間仕切り装置において、使用時の前記竪型筒状気室は、各辺が外方向に膨らんだ断面矩形形状となっていることを特徴とする屋内用間仕切り装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の屋内用間仕切り装置において、前記仕切部材には、該仕切部材の横方向に予め設定した間隔を有し、互いに係合するファスナーC、Dが、表裏にそれぞれ設けられ、該仕切部材の幅を変更可能としていることを特徴とする屋内用間仕切り装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の屋内用間仕切り装置において、前記仕切部材の上側及び下側のいずれか一方又は双方には、1又は複数の高さ調整用筒状気室が、互いに係合するファスナーE、Fによって取付け及び取外し可能に設けられていることを特徴とする屋内用間仕切り装置。
【請求項6】
請求項5記載の屋内用間仕切り装置において、前記高さ調整用筒状気室には、該高さ調整用筒状気室の高さ方向に予め設定した間隔を有して配置され互いに係合するファスナーG、Hが設けられ、低高さ使用時は前記高さ調整用筒状気室の高さ方向一部を折り畳んで前記ファスナーG、Hの係合状態を維持し、高高さ使用時は、前記ファスナーG、Hの係合状態を解除し、前記高さ調整用筒状気室へ空気を供給することを特徴とする屋内用間仕切り装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の屋内用間仕切り装置において、前記仕切部材には出入口が設けられ、該出入口には該出入口を開閉可能なシート材が設けられていることを特徴とする屋内用間仕切り装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の屋内用間仕切り装置において、前記仕切部材には、前記小部屋に冷風及び温風のいずれか一方を噴出するための空調手段が設けられていることを特徴とする屋内用間仕切り装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の屋内用間仕切り装置において、前記仕切部材には、一方の前記小部屋内で発生する粉塵を該小部屋から外部へ排出可能な集塵用ダクトが設けられていることを特徴とする屋内用間仕切り装置。
【請求項10】
送風機からの空気の供給により膨張可能な仕切部材を部屋の床面上に配置し、該仕切部材に空気を供給して立設させ、該仕切部材の周端部を前記部屋の両側壁面、床面、及び天井面のいずれか1又は2以上に当接させて、前記部屋を少なくとも2の小部屋に分割することを特徴とする間仕切り方法。
【請求項11】
請求項10記載の間仕切り方法において、前記仕切部材は、縦又は横方向に並べて配置され、それぞれの連結部分の一部が連通する複数の筒状気室で構成される矩形形状となって、前記仕切部材の各辺の少なくとも1には、前記部屋の寸法に応じて1又は2以上の補助の筒状気室を、ファスナーを介して取付け又は取外し、前記仕切部材を含む間仕切り装置の寸法を調整することを特徴とする間仕切り方法。
【請求項12】
請求項10記載の間仕切り方法において、前記仕切部材は、縦又は横方向に並べて配置され、それぞれの連結部分の一部が連通する複数の筒状気室で構成される矩形形状となって、前記仕切部材の表裏の一部に、所定の間隔を有し水平又は垂直方向に係合するファスナーを設けて、前記仕切部材の寸法を変更可能とすることを特徴とする間仕切り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−63589(P2006−63589A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245855(P2004−245855)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(504324040)株式会社日本ビルダー (3)