説明

屋外形閉鎖配電盤

【課題】引出形収納機器とそれを制御する制御機器を正面側に配置する屋内形を、屋外形にも適用できるようにする。
【解決手段】引出形遮断器2、3のような引出形収納機器とそれを制御する制御機器10、11とを正面側に配置した収納機器室1aと、収納機器室1aの正面側に設けられた正面扉13を有する正面側防水室1bと、収納機器室1aの背面側に設けられた背面扉12を有する背面側防水室1cと、正面側防水室1bから背面側防水室1cまでの天井に設けられた屋根14を有する屋根部材とを備え、正面側防水室1bは、引出形遮断器2、3を引出せるスペースを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、屋外形と屋内形の収納機器の配置を同様とし、機器配置の標準化を図った屋外形閉鎖配電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外形閉鎖配電盤は、正面側に制御機器を配置し、背面側に引出形の収納機器を配置している(例えば、特許文献1参照)。これは、収納機器と制御機器の点検を容易にするためである。仮に、収納機器と制御機器を正面側または背面側の同一方向に配置していると、制御機器を解放または取外した後、収納機器を引出す手順となるため、制御機器を箱体から露出させなくてはならない。このため、降雨時には、濡れてしまうことになる。なお、屋内形では、正面側の同一方向に制御機器と収納機器が配置されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
この種の屋外形閉鎖配電盤を図5に示すが、箱体1の背面側には、図示上段に第1の引出形遮断器2、図示下段に第2の引出形遮断器3が配置されている。第1の引出形遮断器2の電源側には、第1の変流器4を介して第1の電力ケーブル5が接続されている。負荷側は、第2の遮断器3の負荷側に接続されている。また、隣接する盤へ接続される共通母線6に接続されている。第2の遮断器3の電源側には、第2の変流器7を介して第2の電力ケーブル8が接続されている。
【0004】
箱体1の正面側には、隔壁9で仕切られた室に、第1の引出形遮断器2を制御する第1の制御機器10と、第2の引出形遮断器3を制御する第2の制御機器11が設けられている。なお、背面側には開閉自在の背面扉12、正面側には開閉自在の正面扉13、天井には屋根14が設けられている。なお、引出形遮断器2、3は、背面側に移動する。
【0005】
このような屋外形閉鎖配電盤は、屋外形専用として製造されている。一方、上述した屋内形も屋内形専用として製造されており、一般的に屋内形の方が製造する面数が多い。このため、屋内形の機器配置で屋外形にも使用できるようなものが望まれていた。これにより、収納機器の配置の標準化を図ることができ、製造効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−318009号公報
【特許文献2】特開2007−274861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、引出形遮断器とそれを制御する制御機器を正面側に配置する屋内形の収納機器配置のものを、屋外形にも適用できるようにし、機器配置の標準化を図り、製造効率を向上し得る屋外形閉鎖配電盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、実施形態の屋外形閉鎖配電盤は、引出形収納機器と制御機器とを正面側に配置した収納機器室と、前記収納機器室の正面側に設けられた正面扉を有する正面側防水室と、前記収納機器室の背面側に設けられた背面扉を有する背面側防水室と、前記正面側防水室から前記背面側防水室までの天井に設けられた屋根部材とを備え、前記正面側防水室は、前記引出形収納機器を引出せるスペースを有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1に係る屋外形閉鎖配電盤の構成を示す側面図。
【図2】本発明の実施例1に係る屋外形閉鎖配電盤の構成を説明する分解図。
【図3】本発明の実施例1に係る屋外形閉鎖配電盤の正面側を示す拡大断面図。
【図4】本発明の実施例2に係る屋外形閉鎖配電盤の構成を示す拡大断面図。
【図5】従来の屋外形閉鎖配電盤の構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
先ず、本発明の実施例1に係る屋外形閉鎖配電盤を図1〜図3を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1に係る屋外形閉鎖配電盤の構成を示す側面図、図2は、本発明の実施例1に係る屋外形閉鎖配電盤の構成を説明する分解図、図3は、本発明の実施例1に係る屋外形閉鎖配電盤の正面側を示す拡大断面図である。なお、従来と同様の構成部分は、同一符号を付した。
【0012】
図1に示すように、箱体1は、図示中央部の屋内形と同様の機器配置である収納機器室1aと、図示左側の正面側防水室1bと、図示右側の背面側防水室1cとに分かれて構成されている。
【0013】
収納機器室1aには、図示上段に第1の引出形遮断器2、図示下段に第2の引出形遮断器3が配置されている。第1の引出形遮断器2の電源側には、第1の変流器4を介して第1の電力ケーブル5が接続されている。負荷側は、第2の遮断器3の負荷側に接続されている。また、隣接する盤へ接続される共通母線6に接続されている。第2の遮断器3の電源側には、第2の変流器7を介して第2の電力ケーブル8が接続されている。第1の引出形遮断器2、第2の引出形遮断器3の正面側には、それを制御する第1、第2の制御機器10、11が設けられている。なお、引出形遮断器2、3は、正面側に移動する。
【0014】
正面側防水室1bには、箱体1の正面側形状とほぼ同様の矩形状の正面側防水枠20が設けられており、収納機器室1aとは隔壁21で仕切られている。正面側防水枠20の開口部には、開閉自在の正面扉13が設けられている。
【0015】
背面側防水室1cには、箱体1の背面側形状とほぼ同様の矩形状の背面側防水枠22が設けられており、収納機器室1aとは隔壁23で仕切られている。背面側防水枠22の開口部には、開閉自在の背面扉12が設けられている。天井には、傾斜した屋根14が設けられている。
【0016】
次に、正面側防水室1b、背面側防水室1c、屋根14の組立方法を図2、図3を参照して説明する。
【0017】
図2に示すように、箱体1の正面側と背面側に、それぞれ正面側防水枠20と背面側防水枠22を固定する。この場合、図3に示すように、箱体1側に断面L字状の固定枠24を溶接などで固定しておき、この固定枠24に正面側防水枠20を嵌め込み、ボルトなどで固定する。正面側防水枠20の端部には、ヒンジ25を設け、正面扉13を係止する。背面側も同様の構成である。
【0018】
屋根14では、両側に吊り金具26が固定されている。吊り金具26の両側には、これを囲うような枠箱27が設けられ、更に枠箱27と屋根14の一部を覆い、雨水の浸入を防ぐ断面L字状の防水板28が固定されるようになっている。屋根14は、正面側防水室1bから収納機器室1aを経て背面側防水室1cまでを覆うものである。吊り金具26の吊りボルトは、屋根14の固定後、取外される。この構成は、単独盤である。ここで、屋根14、吊り金具26、枠箱27、防水板28を天井に設けられる屋根部材と称する。
【0019】
これにより、箱体1内の収納機器の配置を屋内形と同様にし、屋外形とすることができる。正面側防水枠20では、制御機器10、11を開いたとき、これを収納し、制御機器10、11に干渉されないで、引出形遮断器2、3を図示しないレールに沿って引出すことができる。即ち、正面側防水室1bには、制御機器10、11と引出形遮断器2、3を引出せるスペースがあり、点検などをすることができる。背面側防水室1cは、収納機器の引出しなどがないので、正面側防水枠20よりも奥行き寸法が小さくてよい。
【0020】
なお、引出形遮断器2、3のほかに、避雷器や変成器などの引出形収納機器を用いることができる。
【0021】
上記実施例1の屋外形閉鎖配電盤によれば、箱体1の正面側に正面側防水枠20、背面側に背面側防水枠22を設け、天井に正面側防水枠20から背面側防水枠22までを覆うような屋根14を設けているので、屋外形を屋内形と同様の機器配置で構成することができる。このため、収納機器の配置の標準化を図ることができ、製造効率を向上させることができる。
【実施例2】
【0022】
次に、本発明の実施例2に係る屋外形閉鎖配電盤を図4を参照して説明する。図4は、本発明の実施例2に係る屋外形閉鎖配電盤の構成を示す拡大断面図である。なお、この実施例2が実施例1と異なる点は、列盤したことである。図4において、実施例1と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0023】
図4に示すように、列盤した箱体1d、1eの天井には、それぞれ屋根14a、14b、枠箱27a、27b、27cが設けられている。そして、端部の枠箱27aには、断面L字状の防水板28が設けられている。箱体1d、1e間には、隣合う枠箱27b、27cと屋根14a、14bの一部を覆い、雨水の浸入を防ぐ断面コ字状の連結板29が設けられている。
【0024】
上記実施例2の屋外形閉鎖配電盤によれば、実施例1による効果のほかに、屋外形でも列盤することにより、各種の電源系統に合わせた盤構成ができ、適用範囲を拡大させることができる。
【0025】
以上述べたような実施形態によれば、箱体内の収納機器の配置を屋内形と屋外形で同様とすることができ、機器配置の標準化を図ることができる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1、1d、1e 箱体
1a 収納機器室
1b 正面側防水室
1c 背面側防水室
2 第1の引出形遮断器
3 第2の引出形遮断器
4 第1の変流器
5 第1の電力ケーブル
6 共通母線
7 第2の変流器
8 第2の電力ケーブル
9、21、23 隔壁
10 第1の制御機器
11 第2の制御機器
12 背面扉
13 正面扉
14、14a、14b 屋根
20 正面側防水枠
22 背面側防水枠
24 固定枠
25 ヒンジ
26 吊り金具
27、27a、27b、27c 枠箱
28 防水板
29 連結板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出形収納機器と制御機器とを正面側に配置した収納機器室と、
前記収納機器室の正面側に設けられた正面扉を有する正面側防水室と、
前記収納機器室の背面側に設けられた背面扉を有する背面側防水室と、
前記正面側防水室から前記背面側防水室までの天井に設けられた屋根部材とを備え、
前記正面側防水室は、前記引出形収納機器を引出せるスペースを有することを特徴とする屋外形閉鎖配電盤。
【請求項2】
前記引出形収納機器は、引出形遮断器であることを特徴とする請求項1に記載の屋外形閉鎖配電盤。
【請求項3】
前記正面側防水室は、前記背面側防水室よりも奥行き寸法が大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の屋外形閉鎖配電盤。
【請求項4】
前記正面側防水室と前記背面側防水室を設けた前記収納機器室を列盤し、隣接する前記屋根部材間に、雨水の浸入を防ぐ連結板を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の屋外形閉鎖配電盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−106418(P2013−106418A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247944(P2011−247944)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】