説明

屋外機器用カバー

【課題】太陽電池を搭載した機器において、太陽電池の発電機能を維持しつつ、機器を塵埃や紫外光、雨水などから保護する。
【解決手段】太陽電池10による発電部位を有する機器2のカバー1であって、当該発電部位に対応する部分のみを可視光について透明な材料11で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池を備え、恒常的または一時的に屋外に置かれるか屋外で使用される機器のカバー、さらに特定すれば太陽電池を備えた車両のためのカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりや種々の利便性確保の観点から太陽電池を設けた機器が増加しつつある。例えば、特開昭58−50782号公報(特許文献1)には、長期駐車中の自己放電による畜電池の残存容量低下を防止するために太陽電池を搭載した自動車が提案されている。また、特開平07−040736号公報(特許文献2)には、車内換気の電源として太陽電池を搭載した自動車が提案されている。また、特開2000−215713(特許文献3)には、太陽電池を備えた給電エクステリア部材が、さらに、特開2006−183978号公報(特許文献4)には、電話ボックスや現金自動預払機や公衆/簡易トイレなどの電動サービス機器を設置してある屋外設備に太陽電池を設置して、電話機や現金自動預払機や換気扇などの電動サービス機器を作動可能とすることが提案されている。
【0003】
しかし、太陽電池による発電が可能であるということは、その環境として太陽光が妨げられない屋外が想定されているということであり、そのまま放置すれば、当該機器や太陽電池自体も塵埃や紫外光、雨水によるダメージが避けられない。塵埃や紫外光、雨水から保護する手段として(例えば自動車の場合、車両カバー)が用いられているが、一般にこうしたカバーは遮光性であり、これを用いたのでは太陽電池を搭載した意味がなくなってしまう。
【0004】
また、現状では、太陽電池はまだ高価であり、太陽電池設置機器を屋外に置いた場合、太陽電池部位が盗難被害に遭うおそれもある。現時点では、こうした課題を解決したカバーは提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−50782号公報
【特許文献2】特開平07−040736号公報
【特許文献3】特開2000−215713号公報
【特許文献4】特開2006−183978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の事情に鑑み、本発明は、恒常的または一時的に屋外に置かれる機器に太陽電池を搭載した場合に、その機能を維持しつつ、機器を塵埃や紫外光、雨水などから保護するためのカバーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、カバーの一部を透明にすることなどにより、上記の課題を解決し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のカバーを含む。
【0008】
1.太陽電池による発電部位を有する機器のカバーであって、当該発電部位に対応する部分のみを可視光について透明な材料で形成したことを特徴とするカバー。
2.太陽電池による発電部位を有する前記機器が、人または物を輸送するための車両である前記1に記載のカバー。
3.車両が乗用車である前記2に記載のカバー。
4.前記透明な材料が紫外線吸収材を含む前記1に記載のカバー。
5.表面に光触媒材料を含むコーティング層を有するものである前記1に記載のカバー。
6.前記透明な材料が太陽電池側に自己粘着樹脂層を含み、該樹脂層により、透明カバーと太陽電池との間を空気を含まないようにして密着させ得るものである前記1に記載のカバー。
7.前記透明な材料が視野制御機能を有するものである前記1に記載のカバー。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、太陽電池を搭載した機器において、太陽電池の発電機能を維持しつつ、機器を塵埃や紫外光、雨水などから保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の保護カバーの使用態様を示す模式図。
【図2】従来の保護カバーの使用態様を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明では、乗用車を例にとって説明するが、本発明は乗用車に限定されるものではなく、太陽電池の設置が可能な任意の機器に適用できる。例えば、乗用車以外の自動車、二輪車などの交通機器、建設機器、農業用機器などの各種機器に適用できる。
【0012】
図1及び2において、機器2は乗用車であり、側面3、前面4、屋根5及び後部6を有し、屋根5に太陽電池10を有している。図2に示す従来のカバー20は機器2の全面を遮光性のシートで覆うため、太陽電池10も覆われてしまう。図2では、太陽電池10(破線で示す)は外部からは見えない状態にあり、太陽光は太陽電池10に到達しない。
【0013】
一方、図1に示す本発明のシートでは、太陽電池10に対応してシートに透明部分11が設けられており、太陽光は太陽電池10に到達する。
【0014】
透明部分11を除くシート1の基本的構成は、従来、車両用カバーとして用いられているものと同様でよい。具体的には、合成樹脂のシート、織布、不織布またはこれらを多層構造としたものが含まれる。好ましくは、合成樹脂からなる少なくとも1つの防水層と織布または不織布層からなる少なくとも1つの車体保護層を含む。
【0015】
防水層の例としては、ポリエチレンシートやポリ塩化ビニルシート、ナイロンやポリエステル等の薄手で丈夫な布地に合成樹脂をコーティングしたものが挙げられる。車体保護層となる織布、不織布の素材としては、ポリアミド、アイソタチックポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、ポリエステルなどや、セルロースや木綿などの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維などが挙げられる。不織布の製法としては、フラッシュ紡糸法やスパンレース法などが挙げられ、これらを積層したものでもよい。必要に応じ柔軟加工,撥水処理,撥油処理,帯電防止処理,染色等の後加工を施す。
【0016】
透明部分は透明でかつ太陽電池を保護するのに必要なものであればよいが、さらに、付加的な機能を有することが好ましい。なお、図1においては屋根5に相当する位置に透明部分を設けた例を示すが、太陽電池が例えば車体の側面3、前面4や後部6にある場合は、それらの部位に対応する位置をも透明にする。
【0017】
例えば、透明部分を
(車内側) 透明フィルム−光触媒層 (車外側)
の2層構造とする。
【0018】
ここで、透明フィルムは、透明プラスチックフィルムが好ましく、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリアリルスルホン系樹脂等の熱可塑性樹脂などのフィルムを用いることができる。その厚さは、特に限定されないが、通常10μm〜3mm程度である。
【0019】
光触媒層とは、酸化チタンや酸化タングステンなどの光触媒微粒子を含む層であり、これらの光触媒材料を含む樹脂を硬化させてシート状としたり、透明フィルム上に光触媒材料を含む塗料を塗布したり、光触媒材料をスパッタリングすることで形成できる。光触媒材料は、紫外線を吸収する性質も兼ね備えており、太陽電池の発電にはあまり効果的ではない車外からの紫外光をカットするとともに、光触媒機能を発揮する。この結果、本発明の保護カバーにおける透明部分は、塵埃や油煙、微生物、水汚れなどの影響を受けることなく、また、透明フィルム層の経時劣化を抑えて長期にわたって透明性を維持するとともに、紫外線による太陽電池の劣化をも防止する。
【0020】
透明部分は光触媒層−透明フィルム−光触媒層の3層構造としてもよい。この構造では、カバーを施した際、太陽電池の外表面が光触媒層に接触するので、太陽電池が露出した状態(例えば、車両の晴天下での走行時)でその外表面に付着した汚れを、本発明のカバーを施すことによりクリーニングできる。光触媒層の厚さは、例えば、0.01μm〜1mmの間にあり、殆ど透明に近い膜である。
【0021】
あるいは、透明部分を
(車内側) 自己粘着性樹脂層−透明フィルム−光触媒層 (車外側)
として構成してもよい。
【0022】
ここで自己粘着樹脂層は、塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合樹脂、塩化ビニルと他のモノマーとの共重合樹脂、これらの2種以上を混合したもの、あるいは塩化ビニルの単独重合樹脂や共重合樹脂(以下、これらを塩化ビニル樹脂と総称する)と他の樹脂をブレンドしたもの等も使用できる。塩化ビニルと共重合させる他のモノマーとしては、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、マレイン酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、高級ビニルエーテル等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を併用することもできる。塩化ビニル樹脂にブレンドする他の樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリウレタン樹脂、ポリメタクリレート樹脂等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上をブレンドすることができる。
【0023】
また、オレフィン系樹脂は、炭素原子と水素原子、あるいはこれらと酸素原子からなる合成樹脂であって、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂、エチレン−1−ブテン共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合樹脂等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を併用することもできる。これらには、必要に応じて、粘着性付与剤、着色剤等の各種添加剤を配合することもできる。
【0024】
粘着性付与剤としては、グリセリンエステルロジン、ペンタエリスリットエステルロジン等のロジンや変性ロジン、テルペンフェノール等のテルペン変性体、アルキルフェノール、変性フェノール等のフェノール樹脂等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を併用することができる。
【0025】
このような自己粘着性樹脂層を透明フィルムの内側に設けることで、太陽電池との間に空気を含まない密着構造を形成できるため、強風時などでも位置ずれを起こさずに太陽電池の保護と発電を両立できる。
【0026】
さらに、透明部分に視野角制御機能を設けてもよい。視野角の制御は様々に実現できるが、典型的には凹凸パターンを有するフィルムの上にも、別のフィルムを、その平坦性を維持し、かつ、凹凸パターンの凹部に空隙を設けた状態で積層することで構成される。
【0027】
このような視野角制御機能を透明部分に設けることで、車両駐車時、路上からは角度が浅すぎるため屋根部分の内部を見ることができず、そこに太陽電池が設置されていることを視認できない。一方、太陽光はほぼ天頂方向から照射してくるため、視野角制御機能に影響されることなく本発明のカバーの透明部分を透過して太陽電池機能を維持することができる。このため、路面から太陽電池搭載車両を探してその太陽電池を盗んだり害したりする者から太陽電池を保護できる。
【0028】
なお、上述した各機能層は透明部分の全面に設けなくてもよい。例えば、自己粘着性樹脂層は太陽電池パネルの平坦面のみに密着するように設けてもよい。
【0029】
また、本発明のカバーでは、前記構成のいずれにおいても、透明部分に前記光触媒以外の紫外線吸収材を含んでもよい。紫外線吸収材の種類は限定されず、無機系・有機系のいずれでもよいが、透明フィルムや自己粘着剤層あるいは視野角制御用層を用いる場合は、当該層中に紫外線吸収機能を有する有機物質を含有させるのが好ましい。
【0030】
このような有機系紫外線吸収材は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系に大別されるが、周知のものから任意に選択することができる。ベンゾフェノン系の有効吸収波長は約270〜380nmで、代表例としては2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アルコキシベンゾフェノン等を挙げることができる。サリチル酸系の有効吸収波長は約290〜330nmで、代表例としてはフェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等を挙げることができる。シアノアクリレート系の有効吸収波長は約270〜350nmで、代表例としては2−エチルヘキシル−2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリレート等を挙げることができる。これらの紫外線吸収剤は1種または2種以上を併用することが可能である。好適な添加量は層厚、他の添加剤(例えば、蛍光増白剤を添加してもよい)の性質等によって変化するので一義的に定めることはできないが、当業者はいくらかの試験をすることによって容易に決定することができる。一般的には、0.1〜30質量%の範囲内である。もっとも、ここに挙げた化合物や配合量は例示であり、これ以外の化合物や配合量でも、十分な透明性と紫外線遮断性を実現できればよい。また、紫外線遮断材は透明部分以外のカバー基材にも含有させることが好ましい。
【実施例】
【0031】
実施例1
屋根部に太陽電池パネルを内蔵した車両を用意し、当該車両の形状に合わせてその全体を覆うシート状のカバーを作成した。ここで、太陽電池は車両の後部座席上、車体幅のほぼ全面に設けられている。太陽電池パネルは、炎天下での駐車中にファンを作動させることで、バッテリー電力を使わずに車内温度の上昇を抑制することを目的とするものである。
シート状のカバーは、250デニールのポリエステル100%厚手の基布上にアルミ箔を樹脂で密着させ、さらに防水加工を複数回施したシート(市販品)を用いて構成した。シート状のカバーは、防水加工により表面に水を吹きかけた場合、液滴状となり、水を通さない。また、アルミ層のため、可視〜紫外域で太陽光の95%以上を遮断する。
【0032】
透明層を設けない比較用カバーと透明層を設けたカバー(本発明)を作成した。透明層は、太陽電池パネルの位置に合わせ上記のカバーを切除し、厚さ1.5mm、40cm×(屋根幅の80%)の塩化ビニル製のシートをその縁部を接着剤で上記カバーの内側から貼り付けたものである。
5月下旬〜6月初旬の炎天下(快晴)の午前10時から4時間の間、カバーで被覆した車両を放置して行った。ファンは太陽電池パネルからの発電により駆動し得る設定とした。なお、ファンによる空気の流れに支障がないように、空気の取入部、吐出部については、比較用カバー、本発明カバーのいずれについても必要な空隙を設けた。
比較用カバーを設けた場合、ファンは全く機能せず、車内温度の顕著な上昇が観測された。一方、透明層を設けたカバー(本発明)では太陽電池パネルによるファンの駆動が機能し、車内温度の上昇は有意に抑制された。
【0033】
また、透明層は太陽電池パネルに密着し、若干の風(風速5m)があってもカバーの位置ずれがなく、カバーの位置ずれ防止にも寄与することがわかった。また、カバーを外した後、太陽電池パネル等車体への影響を調べたが、何ら影響はないことが確認できた。
【0034】
実施例2
透明層をアクリル樹脂製シートとしたほかは実施例1と同様に実験を行ったところ、透明層を設けたカバー(本発明)では太陽電池パネルによるファンの駆動が機能し、車内温度の上昇は有意に抑制された。また、透明層はカバーの位置ずれ防止にも寄与することがわかった。
【0035】
実施例3
実施例1で用いた透明層に、車外側から光触媒層フィルムを貼り付けたカバーを用意した。光触媒層フィルムはアクリル樹脂フィルムの片面に二酸化チタン微粒子コーティングを施したものである。
2週間以上の期間にわたり実施例1と同様に実験を行ったところ、透明層を設けたカバー(本発明)では太陽電池パネルによるファンの駆動が機能し、車内温度の上昇は有意に抑制された。また、本実施例による透明層は塵埃等の汚れに対する自己クリーニング性が優れており、太陽電池パネルの発電機能に悪影響を及ぼすことなく長期にわたって使用できることが確認できた。
【0036】
実施例4
実施例2で用いた透明層に、車外側から光触媒層フィルムを貼り付けたカバーを用意した。光触媒層フィルムはアクリル樹脂フィルムの片面に二酸化チタン微粒子コーティングを施した市販品である。紫外線遮断機能も有する。
2週間以上の期間にわたり実施例1と同様に実験を行ったところ、透明層を設けたカバー(本発明)では太陽電池パネルによるファンの駆動が機能し、車内温度の上昇は有意に抑制された。また、本実施例による透明層は塵埃等の汚れに対する自己クリーニング性が優れており、太陽電池パネルの発電機能に悪影響を及ぼすことなく長期にわたって使用できることが確認できた。
【0037】
実施例5
実施例1で用いた透明層に、車外側から視野制御機能フィルムを貼り付けたカバーを用意した。視野制御機能フィルムは垂直面方向からの光透過率80%以上、視野角40度以上で光透過率40%以下、視野角55度以上で光透過率10%以下の市販の視野制御機能フィルムである。
実施例1と同様に実験を行ったところ、透明層を設けたカバー(本発明)では太陽電池パネルによるファンの駆動が機能し、車内温度の上昇は有意に抑制された。また、装着状態で屋根と同程度の高さで外部から観察した場合、シート透明部分の内部の構造は全く視認できなかった。
【0038】
実施例6
実施例2で用いた透明層に、車外側から視野制御機能フィルムを貼り付けたカバーを用意した。視野制御機能フィルムは垂直面方向からの光透過率80%以上、視野角40度以上で光透過率40%以下、視野角55度以上で光透過率10%以下の市販の視野制御機能フィルムである。
実施例1と同様に実験を行ったところ、透明層を設けたカバー(本発明)では太陽電池パネルによるファンの駆動が機能し、車内温度の上昇は有意に抑制された。また、装着状態で屋根と同程度の高さで外部から観察した場合、シート透明部分の内部の構造は全く視認できなかった。
【0039】
実施例7
実施例1で用いた透明層に、車外側から実施例5と同様の視野制御機能フィルムを貼り付け、さらにその上に実施例3の光触媒層フィルムを貼り付けたカバーを用意した。
実施例1と同様に実験を行ったところ、透明層を設けたカバー(本発明)では太陽電池パネルによるファンの駆動が機能し、車内温度の上昇は有意に抑制された。また、装着状態で屋根と同程度の高さで外部から観察した場合、シート透明部分の内部の構造は全く視認できなかった。さらに、本実施例による透明層は塵埃等の汚れに対する自己クリーニング性が優れており、太陽電池パネルの発電機能に悪影響を及ぼすことなく長期にわたって使用できることが確認できた。
【0040】
実施例8
実施例2で用いた透明層に、車外側から実施例5と視野制御機能フィルムを貼り付け、さらにその上に実施例3の光触媒層フィルムを貼り付けたカバーを用意した。
実施例1と同様に実験を行ったところ、透明層を設けたカバー(本発明)では太陽電池パネルによるファンの駆動が機能し、車内温度の上昇は有意に抑制された。また、装着状態で屋根と同程度の高さで外部から観察した場合、シート透明部分の内部の構造は全く視認できなかった。さらに、本実施例による透明層は塵埃等の汚れに対する自己クリーニング性が優れており、太陽電池パネルの発電機能に悪影響を及ぼすことなく長期にわたって使用できることが確認できた。
【0041】
実施例9
実施例1で用いた透明層に、車外側から実施例5と同様の視野制御機能フィルムを貼り付け、さらにその上に実施例4の光触媒層フィルムを貼り付けたカバーを用意した。
実施例1と同様に実験を行ったところ、透明層を設けたカバー(本発明)では太陽電池パネルによるファンの駆動が機能し、車内温度の上昇は有意に抑制された。また、装着状態で屋根と同程度の高さで外部から観察した場合、シート透明部分の内部の構造は全く視認できなかった。さらに、本実施例による透明層は塵埃等の汚れに対する自己クリーニング性が優れており、太陽電池パネルの発電機能に悪影響を及ぼすことなく長期にわたって使用できることが確認できた。
【0042】
実施例10
実施例2で用いた透明層に、車外側から実施例5と視野制御機能フィルムを貼り付け、さらにその上に実施例4の光触媒層フィルムを貼り付けたカバーを用意した。
実施例1と同様に実験を行ったところ、透明層を設けたカバー(本発明)では太陽電池パネルによるファンの駆動が機能し、車内温度の上昇は有意に抑制された。また、装着状態で屋根と同程度の高さで外部から観察した場合、シート透明部分の内部の構造は全く視認できなかった。さらに、本実施例による透明層は塵埃等の汚れに対する自己クリーニング性が優れており、太陽電池パネルの発電機能に悪影響を及ぼすことなく長期にわたって使用できることが確認できた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池による発電部位を有する機器のカバーであって、当該発電部位に対応する部分のみを可視光について透明な材料で形成したことを特徴とするカバー。
【請求項2】
太陽電池による発電部位を有する前記機器が、人または物を輸送するための車両である請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
車両が乗用車である請求項2に記載のカバー。
【請求項4】
前記透明な材料が紫外線吸収材を含む前記1に記載のカバー。
【請求項5】
前記透明な材料が表面に光触媒材料を含むコーティング層を有するものである請求項1に記載のカバー。
【請求項6】
前記透明な材料が太陽電池側に自己粘着樹脂層を含み、該樹脂層により、透明カバーと太陽電池との間を空気を含まないようにして密着させ得るものである請求項1に記載のカバー。
【請求項7】
前記透明な材料が視野制御機能を有するものである請求項1に記載のカバー。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−31877(P2011−31877A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146917(P2010−146917)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(509184287)