説明

屋外用照明器具

【課題】屋外壁面に取り付けられる屋外用照明器具において、器具上面だけでなく器具側面に掛かった雨水も壁面から離して落とし、壁面への雨だれ付着防止効果を高める。
【解決手段】屋外用照明器具は、壁面W1に埋め込まれた埋込部11と壁面W1から露出した露出部12とを有し、露出部12下面の埋込部11との境界付近から延出し下方へ進むに連れて壁面W1から離れる水切り部17を備える。水切り部17は、露出部12から落下し又は垂れる水滴を受けて壁面W1から離して落とす。露出部12に雨水が掛かった場合、水切り部17は、露出部12から落下し又は垂れる雨水を受けて壁面W1から離して落とすことができるので、壁面W1への雨だれ付着防止効果を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外壁面に取り付けられる屋外用照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の屋外用照明器具(以下、照明器具という)を図10及び図11に示す。照明器具100は、建物等の屋外壁面W1に取り付けられていて、器具表面に土埃等が付着し易く、雨水が掛かると、雨水は土埃等を含み、照明器具100から落ちて風の影響で壁面W1に付着したり、壁面W1に垂れたりする。その結果、照明器具100の下側の壁面W1に、土埃等が流れた跡である雨だれS1が残り、壁面W1が汚れる。
【0003】
そこで、土埃等が多く付着する器具上面を、周縁から中心に向かって傾斜させ、かつ壁面側から先端方向に向かって傾斜させることで、器具上面に掛かった雨水を壁面から離して落とす照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記照明器具によれば、壁面への雨だれの付着を多少は防止することができるが、土埃等は器具側面にも付着し、雨水は風等の影響で斜め上方から器具側面にも掛かるので、器具側面の土埃等を含んで器具から落ちて壁面に付き、雨だれが壁面に残る虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−309908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、屋外壁面に取り付けられる屋外用照明器具において、器具上面だけでなく器具側面に掛かった雨水も壁面から離して落とすことができるようにすることで、壁面への雨だれ付着防止効果を高めることができる屋外用照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、屋外壁面に取り付けられ、該壁面に埋め込まれた埋込部と壁面から露出した露出部とを有する屋外用照明器具において、前記露出部下面の埋込部との境界付近から延出し、下方へ進むに連れて壁面から離れる水切り部を備え、前記水切り部は、前記露出部から落下し又は垂れる水滴を受けて壁面から離して落とすものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の屋外用照明器具において、前記露出部の下面には、該露出部内に浸入した水を抜くための水抜き孔が設けられ、前記水抜き孔には、前記露出部と水切り部とを係合する係合部材が通されており、前記係合部材は、導水孔としての貫通孔を有する筒体である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の屋外用照明器具において、前記水抜き孔から露出部内に突出する係合部材の端部には、切り欠き部が形成されており、露出部内に浸入した水は該係合部材の切り欠き部を通って貫通孔に流れ込むものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、水切り部は、露出部に掛かり露出部から落下し又は垂れる雨水を受けて壁面から離して落とすことができるので、壁面への雨だれ付着防止効果を高めることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、露出部の水抜き孔に係合部材を通すだけで、露出部と水切り部とを係合させることができるので、露出部への水切り部の後付けが容易となる。しかも、水抜き孔に通した係合部材は貫通孔を有するので、貫通孔から排水することができ、水抜き機能を担保することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、露出部内に浸入した水は切り欠き部を通って係合部材の貫通孔へ流れ込むことができるので、水が貫通孔へと流れ込み易くなり、露出部内の水が抜け易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る屋外用照明器具の斜視図。
【図2】上記器具の分解斜視図。
【図3】上記器具の分解側面図。
【図4】上記器具の側面図。
【図5】上記器具の作用を説明するための斜視図。
【図6】(a)は上記実施形態の一変形例に係る屋外用照明器具の斜視図、(b)はその側面図。
【図7】(a)は本発明の第2の実施形態に係る屋外用照明器具の分解斜視図、(b)はその分解断面図。
【図8】上記器具のボルトの斜視図。
【図9】上記器具のボルト装着時の状態を示す斜視図。
【図10】従来の屋外用照明器具の設置例を示す斜視図。
【図11】従来の屋外用照明器具の使用時に屋外壁面に付く雨だれを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各種実施の形態に係る屋外用照明器具(以下、照明器具という)について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1乃至図5は、本発明の第1の実施形態に係る照明器具を示す。本実施形態の照明器具1は、図1に示すように、屋外壁面(以下、壁面という)W1に取り付けられており、壁面W1の埋込穴に埋め込まれた埋込部11と壁面W1から露出した露出部12とを有する。埋込部11は光源及びその点灯回路を含む。露出部12は、光源からの光を通す透光板13と、透光板13の周縁を囲う枠状のカバー14と、カバー14を壁面W1から離して固定するためカバー14と壁面W1との間に配置される薄い板状の台座15と、を含む。カバー14及び台座15の形状は正面視で略矩形状とし、台座15の大きさはカバー14よりも大きくする。カバー14及び台座15はカバー14の上から螺入されるネジ16により壁面W1に固定されている。カバー14と台座15、及び台座15と壁面W1とは、内部への水の浸入を防ぐため密着していることが望ましい。台座15の厚さは例えば数[mm]程度とする。カバー14及び台座15の形状、大きさ、厚みは上記に限定されない。
【0015】
照明器具1は、露出部12下面の埋込部11との境界付近から延出した水切り部17を備える。水切り部17は、カバー14下面と台座15との境界付近から下方に延出している。水切り部17は、露出部12から所定の長さだけ下方へ略垂直に延び、下方にさらに進むに連れて壁面W1から離れて斜め下方に延びており、受けた水を横から落とさないように両側端に壁が設けられている。水切り部17は横方向の寸法がカバー14よりも広く、台座15と略同じである。水切り部17の材料は、特に限定されず、例えば金属又は樹脂でよい。
【0016】
図2乃至図4に示されるように、カバー14は断面視で略コの字状である。台座15は、カバー14の開口14aに対応した形状の開口15aを有する。壁面W1内に埋設された光源からの光は、この開口15aを通って、カバー14の開口14aから放射される。台座15の下端部には段差15bが設けられている。カバー14及び台座15には、それぞれ、ネジ16を貫通させる孔14b、15cが設けられており、カバー14と台座15とはネジ16により壁面W1に固定される。
【0017】
水切り部17において露出部12から下方に略垂直に延びる部分を背面部17aという。この背面部17a前面の上端には、水切り部17をカバー14に引っ掛けるための引っ掛け部17bが形成されている。引っ掛け部17bは、水切り部17の背面部17aの上端から前方に突出しており、所定の長さに亘って背面部17aの上端に連なって形成されている。引っ掛け部17bの横方向の寸法は、例えばカバー14のそれと略同じとする。段差15bの奥行きは水切り部17の背面部17aの厚みと略同じとしている。
【0018】
水切り部17の引っ掛け部17bはカバー14の下部に内側から引っ掛けられており、水切り部17の背面部17aの上端部はカバー14の下端と台座15の下端とで挟まれて保持されている。水切り部17の上端部は段差15bに嵌まっており、水切り部17の背面部17a前面と台座15前面との間には段差が殆んどない。水切り部17の斜め下方に延びた先端17cの壁面W1からの高さは、カバー14前面と略同じとしている。
【0019】
上記のように構成された本実施形態の照明器具1においては、図5に示されるように、水切り部17が、カバー14から下方に落下する水滴L1(流れを矢印で示す)、又はカバー14若しくは台座15から垂れる水滴を受け、それらを壁面W1から離して落とす。このため、たとえ器具表面に土埃等が付着し、雨水が直接又は壁面W1を伝って照明器具1に掛かったとしても、土埃等を含んだ雨水を受けて壁面W1から離して落とすことができる。従って、壁面W1への雨だれ付着防止効果を高めることができる。
【0020】
また、台座15の前面と水切り部17の前面との間には殆んど段差がないので、台座15の前面を伝って落ちる水が水切り部17との段差によって水切り部17の外側へ流れることを防ぎ、壁面W1を伝うことを防止できる。このため、雨だれ付着防止効果をさらに高めることができる。
【0021】
また、露出部12として透光板13とカバー14だけが既設の場合、それらを壁面W1から一旦外してから、カバー14の下部に内側から水切り部17を引っ掛けて、カバー14と壁面W1との間に台座を配置させ、再度これらを壁面W1に取り付けるだけで、水切り部17を装着することができる。このため、水切り部17の後付け作業が容易となる。
【0022】
(第1の実施形態の一変形例)
図6(a)(b)は、本実施形態の一変形例に係る照明器具の構成を示す。本変形例の照明器具1の構成は、上記実施形態と比べ、水切り部17の形状が異なる。上記実施形態では、水切り部17の先端17cの壁面W1からの高さがカバー14の前面と略同じであったが、本変形例では、その高さがカバー14の前面よりも高く、水切り部17の先端17cがカバー14よりも前方に出ている。本変形例の水切り部17によれば、上記実施形態と比べて、受けた水を壁面W1からさらに離して落とすことができる。従って、壁面W1への雨だれ付着防止効果をさらに高めることができる。
【0023】
(第2の実施形態)
図7(a)(b)は、本発明の第2の実施形態に係る照明器具の構成を示す。本実施形態の照明器具1の露出部12は、上記第1の実施形態の透光板13とカバー14の替わりとして、埋込穴に合わせて壁面に取り付けられる、前面及び背面が開口した角筒状の枠体18と、枠体18の前面開口に嵌挿され、その前面開口を塞ぐ略立方体状のグローブ19とを含む。枠体18の下面には、枠体18又はグローブ19内に浸入した水を抜くための水抜き孔18aが設けられている。枠体18の壁面への取り付け方法は特に限定されず、また枠体18及びグローブ19の形状は上記に限定されない。
【0024】
本実施形態の水切り部17の上端には、前方に延びた突出片20が形成されており、突出片20には、枠体18の水抜き孔18aと略同形状の孔20aが、水抜き孔18aと重なる位置に設けられている。水抜き孔18aと孔20aとには、枠体18と水切り部17とを係合するボルト21(係合部材を構成)が枠体18側から通され、ボルト21にはナット22(係合部材を構成)が螺合される。ボルト21は、中空であり、軸方向に貫通した貫通孔21aを有する円筒体である。ボルト21は、その頭部21bとナット22とでもって枠体18と突出片20とを挟み、これにより、枠体18と水切り部17とは係合され、固定される。ボルト21の長さは、枠体18と水切り部17の突出片20とをナット22との間で挟んで固定できる長さであればよい。
【0025】
図8及び図9は、それぞれ、ボルト21の外観、及びボルト21を枠体18と突出片20とに通した状態を示す。ボルト21には、貫通孔21aが形成されているだけでなく、その頭部21bに、すなわち、水抜き孔18aから枠体18内に突出するボルト21の端部に、切り欠き部21cが形成されている。切り欠き部21cは、貫通孔21aから頭部21b外周へ向かって切り欠きされており、その数は例えば4個とするが、これに限定されない。
【0026】
ボルト21の頭部21bの切り欠き部21cが形成されている箇所は、枠体18の内底面との段差が殆んど無い。その箇所は枠体18の内底面以下の高さであってもよい。枠体18内に浸入した水L2は、ボルト21の切り欠き部21cを通って貫通孔21aに流れ込み、貫通孔21aから水切り部17の上に排水される。
【0027】
本実施形態においては、枠体18の水抜き孔18aと水切り部17の突出片20の孔20aとの間にボルト21を通し、ボルト21にナット22を螺合するだけで、枠体18と水切り部17とを挟んで固定することができる。このため、枠体18への水切り部17の後付けが容易となる。しかも、ボルト21を水抜き孔18aに通しても、ボルト21は導水孔としての貫通孔21aを有するので、その貫通孔21aからの排水が可能であり、水抜き機能を担保することができる。
【0028】
また、水抜き孔18aから枠体18内に突出するボルト21の頭部21bには切り欠き部21cが形成されているので、枠体18内に浸入した水L2は切り欠き部21cを通って貫通孔21aへ流れ込むことができる。従って、水が貫通孔21aへと流れ込み易くなり、その結果、枠体18内の水が抜け易くなる。
【0029】
なお、本発明は、上記の各種実施形態及び変形例の構成に限定されるものでなく、使用目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、第1の実施形態において、台座15が設けられずに、水切り部17はカバー14下面にネジ等で固定されていても、又は水切り部17はカバー14と一体に形成されていてもよい。また、水切り部17は、露出部12から下方へ略垂直に延びることなく、斜め下方に延びていてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 屋外用照明器具
11 埋込部
12 露出部
13 透光板
14 カバー
15 台座
17 水切り部
18 枠体
18a 水抜き孔
19 グローブ
21 ボルト(係合部材を構成)
21a 貫通孔
21b 頭部(係合部材の端部)
21c 切り欠き部
22 ナット(係合部材を構成)
L1 水滴
L2 枠体内に浸入した水
W1 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外壁面に取り付けられ、該壁面に埋め込まれた埋込部と壁面から露出した露出部とを有する屋外用照明器具において、
前記露出部下面の埋込部との境界付近から延出し、下方へ進むに連れて壁面から離れる水切り部を備え、
前記水切り部は、前記露出部から落下し又は垂れる水滴を受けて壁面から離して落とすことを特徴とする屋外用照明器具。
【請求項2】
前記露出部の下面には、該露出部内に浸入した水を抜くための水抜き孔が設けられ、
前記水抜き孔には、前記露出部と水切り部とを係合する係合部材が通されており、
前記係合部材は、導水孔としての貫通孔を有する筒体であることを特徴とする請求項1に記載の屋外用照明器具。
【請求項3】
前記水抜き孔から露出部内に突出する係合部材の端部には、切り欠き部が形成されており、露出部内に浸入した水は該係合部材の切り欠き部を通って貫通孔に流れ込むことを特徴とする請求項2に記載の屋外用照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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