説明

屋根材取り外し工具

【課題】周囲の屋根材が削られたり擦り傷が付いたりすることが少なく、屋根材を引き抜きやすい屋根材取り外し工具を提供する。
【解決手段】屋根下地2に葺設された屋根材1を引き抜いて取り外すための屋根材取り外し工具Aに関する。前記屋根下地2と前記屋根材1との間に挿入するためのベース部10と、このベース部10の表面側に位置する押圧部20とを備える。前記ベース部10が前記屋根下地2と前記屋根材1との間に挿入された状態で、前記押圧部20が前記屋根材1の表面に押圧されて前記屋根材1が前記押圧部20と前記ベース部10との間で挟持可能に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根材の葺き替えなどの際に用いられる屋根材取り外し工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、屋根に葺設された複数の屋根材の一部を交換して屋根材の葺き替えが行われている。図8(a)(b)に示すように、複数枚の屋根材1は野地板などの屋根下地2に載置されて釘などの固定具3で屋根下地2に固定されている。屋根材1は屋根の傾斜方向(例えば、軒棟方向)において、上側略半分が非暴露部1aとして形成されており、下側略半分が暴露部1bとして形成されている。固定具3は非暴露部1aにおいて屋根材1を貫通するようにして屋根下地2に打ち込まれている。
【0003】
屋根の傾斜方向と直交する方向で隣接する屋根材1、1は互いに側端部同士を突き合わせて配設されている。また、屋根の傾斜方向で隣接する屋根材1、1は、傾斜方向において下側に位置する屋根材1の非暴露部1aの上に、傾斜方向において上側に位置する屋根材1の暴露部1bを載置するようにして配置されている。また、傾斜方向において上側に位置する屋根材1の暴露部1bは、傾斜方向において下側に位置する二枚の隣接する屋根材1、1の非暴露部1a、1aにわたるように載置されている。
【0004】
そして、上記のように葺設された複数枚の屋根材1のうちの一枚を葺き替えるにあたっては、次のようにして行う。まず、のこぎり等を用いて葺き替えの対象となっている屋根材1を固定する固定具3を切断する。この場合、図8(a)(b)に示すように、表裏に重なった屋根材1、1の隙間にのこぎり5の刃5aを屋根の傾斜方向の下側(例えば、軒側)から挿入して固定具3を切断することができる。尚、固定具3を切断する代わりに、リッパーなどの工具を用いて固定具3を抜くようにしても良い。次に、切断した固定具3で固定されていた屋根材1を引き抜いて取り外す。この場合、図8(c)に示すように、葺き替えの対象となっている屋根材1の暴露部1bを上から手で押さえながら引き抜くようにする。このようにして屋根材1を取り外した後、この位置に新たな屋根材1を差し入れ、接着したり他の固定具を暴露部1bに打ち込んだりして固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−314014号公報
【特許文献2】特開平11−62148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のように屋根材1を手で引き抜く場合、屋根材1を把持しにくいために力が入りにくく、また、屋根材1を上側から押さえながら引き抜くために、屋根下地1や下側の屋根材1との摩擦が大きくなり、引き抜きにくいという問題があった。また、引き抜く屋根材1が平面視で斜めに傾くと、両側に隣接する他の屋根材1、1と側端部同士が当たって(せって)引き抜きにくいという問題があった。この場合、隣接する他の屋根材1、1との摩擦を少なくしようとして、隣接する他の屋根材1、1を足で擦ったり蹴ったりすると、葺き替えをしない屋根材1の表面が削られたり擦り傷が付いたりするという問題があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、周囲の屋根材が削られたり擦り傷が付いたりすることが少なく、屋根材を引き抜きやすい屋根材取り外し工具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る屋根材取り外し工具は、屋根下地に葺設された屋根材を引き抜いて取り外すための屋根材取り外し工具であって、前記屋根下地と前記屋根材との間に挿入するためのベース部と、このベース部の表面側に位置する押圧部とを備え、前記ベース部が前記屋根下地と前記屋根材との間に挿入された状態で、前記押圧部が前記屋根材の表面に押圧されて前記屋根材が前記押圧部と前記ベース部との間で挟持可能に形成されて成ることを特徴とするものである。
【0009】
前記屋根材取り外し工具にあっては、前記押圧部の前記屋根材の表面に押圧する部分に滑り防止手段が設けられて成ることが好ましい。
【0010】
前記屋根材取り外し工具にあっては、前記ベース部の前記屋根材の裏面に接触する部分に滑り防止手段が設けられて成ることが好ましい。
【0011】
前記屋根材取り外し工具にあっては、前記ベース部が先鋭に形成されて成ることが好ましい。
【0012】
前記屋根材取り外し工具にあっては、前記押圧部は前記ベース部に対して近接離間自在に形成されて成ることが好ましい。
【0013】
前記屋根材取り外し工具にあっては、前記押圧部がゴムパッドで形成されると共に前記押圧部は支持部の先端に設けられ、この支持部のゴムパッド側が前記屋根材の引き抜き方向下方に僅かに傾斜して設けられて成ることが好ましい。
【0014】
前記屋根材取り外し工具にあっては、前記押圧部がリンク機構により前記ベース部に近接離間自在に形成されて成ることが好ましい。
【0015】
前記屋根材取り外し工具にあっては、前記ベース部に把持部が具備されて成ることが好ましい。
【0016】
前記屋根材取り外し工具にあっては、前記把持部に打撃可能なハンマー受け部が設けられて成ることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、周囲の屋根材が削られたり擦り傷が付いたりすることが少なく、屋根材を引き抜きやすいものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】同上の使用状態を示し、(a)(b)は側面図、(b)は平面図である。
【図3】同上の使用状態を示し、(a)乃至(c)は斜視図である。
【図4】同上の使用状態を示す斜視図である。
【図5】同上の使用状態の一部を示す断面図である。
【図6】同上の他の実施の形態の一例を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図7】同上の他の実施の形態の一例を示し、(a)(b)は側面図である。
【図8】従来例を示し、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0020】
図1(a)(b)に屋根材取り外し工具Aの一例を示す。この屋根材取り外し工具Aは、鉄やステンレス鋼(SUS)などの金属で形成されるのが好ましい。また、屋根材取り外し工具Aは、ベース部10と押圧部20と把持部30とを備えて形成されている。押圧部20はベース部10の前側に、把持部30はベース部10の後側にそれぞれ形成されている。
【0021】
ベース部10は前後方向に長い短冊形状に形成されており、その板厚は例えば2〜8mmとすることができる。また、ベース部10の前端面10aは、裏面側から表面側に向かって昇り傾斜するようなテーパー面に形成されており、これにより、ベース部10の前端面10aは先鋭に形成されている。このようにベース部10の前端面10aを先鋭に形成することにより、屋根下地2と屋根材1との間へベース部10が差し込みやすくなるものである。ベース部10の前部は挿入部10bとして形成されている。この挿入部10bは後述のリンク機構11よりも前側部分であって、挿入部10bの表面には滑り防止手段12が設けられている。滑り防止手段12はゴムパッド等で板状に形成されており、挿入部10bの表面全面を覆うように接着等されている。
【0022】
押圧部20はベース部10の挿入部10bの表面側に設けられている。押圧部20は例えば略円筒状に形成することができる。また、押圧部20はゴムパッドで形成することができ、これにより、押圧部20のベース部10側の面(裏面)は滑り防止手段13として形成することができる。また、押圧部20のベース部10側の面と反対側の面(表面)には支持部14が連結して設けられている。支持部14は略円筒状の押圧部20の軸方向と略平行に長い棒状のネジ部材で形成することができる。
【0023】
上記押圧部20はリンク機構11により回動自在に形成されており、この回動により上記ベース部10の滑り防止手段12の表面に近接離間自在に形成されている。リンク機構11は、土台部材16と作動部材17と操作部材18と連動部材19とを備えて形成されている。
【0024】
土台部材16は固定片16aと支え片16bとで断面略L字状に形成されており、固定片16aをベース部10の表面にビス等の固定具45で固定することによって、ベース部10の表面側に支え片16bが突出するようにして設けられている。また、土台部材16はベース部10の滑り防止手段12の後側に一対設けられている。この一対の土台部材16は、支え片16b同士を対向配置させて、ベース部10の短手方向に並ぶように設けられている。また、上記支え片16bには、前斜め上方(固定片16aと反対側)に向いて突出する前受け部21と、後斜め上方に向いて突出する後受け部22が設けられている。
【0025】
作動部材17は金属板等を折り返し屈曲して竿状に形成されるものであって、その前部には表裏方向に貫通する間隙部23が設けられている。また、作動部材17の後端部には、後斜め下方に向いて突出する下連結部25と、下連結部25の上側に位置する上連結部24とが設けられている。
【0026】
操作部材18は操作レバーであって、取っ手部28に前方に突出する一対の結合片46、46が設けられている。結合片46には前後方向に並ぶ前枢着部26と後枢着部27とが設けられている。
【0027】
連動部材19は金属板等で小判状に形成されており、その長手方向に並ぶ一対の軸着部29、31が設けられている。
【0028】
そして、リンク機構11は土台部材16と作動部材17と操作部材18と連動部材19とを組み合わせることにより形成することができる。すなわち、土台部材16の一対の前受け部21、21の間に作動部材17の下連結部25が配置され、軸部47により前受け部21と下連結部25とが枢着されている。また、操作部材18の一対の前枢着部26、26の間に作動部材17の上連結部24が配置され、軸部48により前枢着部26と上連結部26とが枢着されている。また、操作部材18の一対の後枢着部27、27の間に連動部材19の一方の軸着部29が配置され、軸部49により後枢着部27と軸着部29とが枢着されている。さらに、連動部材19の他方の軸着部31が土台部材16の一対の後受け部22、22の間に配置され、軸部50により軸着部31と後受け部22とが枢着されている。上記各部材の枢着方向はベース部10の短手方向と略平行に形成されている。
【0029】
上記のリンク機構11の作動部材17には上記支持部14が取り付けられている。すなわち、支持部14に一対のナット等の締結具32を設け、支持部14を作動部材17の間隙部23に差し込み、一対の締結具32で作動部材17を両側から挟むことにより支持部14を作動部材17に取り付けることができる。間隙部23からの支持部14の突出長さを調整することにより、作動部材17からの押圧部20の位置を調整することができる。従って、押圧部20の作動部材17から突出長さを大きくすると、押圧部20を屋根材1の表面に強く押圧することができ、押圧部20の作動部材17から突出長さを小さくすると、押圧部20を屋根材1の表面に弱く押圧することができる。よって、屋根材1に対する押圧部20の押圧力を調整することができる。また、間隙部23は作動部材17の前後方向に長く形成されており、この間隙部23の範囲内で支持部14を動かして押圧部20の前後方向の位置を変更することができるものである。
【0030】
そして、上記の押圧部20をリンク機構11によりベース部材10に近接させるように回動させるにあたっては、操作部材18をベース部材10から離間した状態から近接する状態へと回動させるようにする。これにより、連動部材19がベース部材10に近接する方向へ移動すると共に作動部材17の後端がベース部材10から離間する方向に移動し、押圧部20がベース部材10の滑り防止手段12の表面に対向して近接するように回動するものである。一方、押圧部20をリンク機構11によりベース部材10から離間させるように回動させるにあたっては、操作部材18をベース部材10に近接した状態から離間する状態へと回動させるようにする。これにより、連動部材19がベース部材10から離間する方向へ移動すると共に作動部材17の後端がベース部材10に近接する方向に移動し、押圧部20がベース部材10から離間するように回動するものである。
【0031】
把持部30は、ベース部材10の後部の表面に突設される突設部30aと、突設部30aの上端から後方に向かって突出する握り部30bとで略L字状に形成することができる。また、把持部30の前面には板状のハンマー受け部33が設けられている。なお、把持部30は、作業性を考慮すれば握っての作業を可能とするのが望ましいが、工具全体をよりコンパクトにするために、ハンマー受け部33のみが形成されていたり、ワイヤーなどが引っ掛け可能なフック部や孔部(図示せず)などがベース部材10に形成されていても良いものである。
【0032】
そして、屋根材1の葺き替え等において、上記のような屋根材取り外し工具Aを用いて一部の屋根材1を取り外すにあたっては、次のようにして行う。
【0033】
屋根材1は通常上記従来例のように施工されている。すなわち、野地板等の屋根下地2の表面にアスファルトルーフィングなどのルーフィング材4を敷設し、このルーフィング材4の表面に複数枚の屋根材1が葺設されている。ルーフィング材4に載置されて屋根材1は釘などの固定具3で屋根下地2に固定されている。屋根材1は屋根の傾斜方向(例えば、軒棟方向)において、上側略半分が非暴露部1aとして形成されており、下側略半分が暴露部1bとして形成されている。固定具3は非暴露部1aにおいて屋根材1を貫通するようにして屋根下地2に打ち込まれている。また、屋根の傾斜方向と直交する方向で隣接する屋根材1、1は互いに側端部同士を突き合わせて配設されている。屋根の傾斜方向で隣接する屋根材1、1は、傾斜方向において下側に位置する屋根材1の非暴露部1aの上に、傾斜方向において上側に位置する屋根材1の暴露部1bを載置するようにして配置されている。また、傾斜方向において上側に位置する屋根材1の暴露部1bは、傾斜方向において下側に位置する二枚の隣接する屋根材1、1の非暴露部1a、1aにわたるように載置されている。
【0034】
まず、図8(a)(b)に示すように、のこぎり等を用いて葺き替えの対象となっている屋根材1を固定する釘等の固定具3を切断する。この場合、表裏に重なった屋根材1、1の隙間にのこぎり5の刃5aを屋根の傾斜方向の下側(例えば、軒側)から挿入して固定具3を切断することができる。尚、固定具3を切断する代わりに、リッパーなどの工具を用いて固定具3を抜くようにしても良い。
【0035】
次に、のこぎり5の刃5aを上記隙間から抜いた後、その隙間に屋根材取り外し工具Aを挿入する。この場合、図3(a)に示すように、葺き替えの対象となっている屋根材1の裏面とその下側に葺設された屋根材1の表面との隙間に、ベース部10の挿入部10bを屋根の傾斜方向の下側から挿入するようにする。このとき、押圧部20はベース部10から離間した状態とするものであり、作動部材17の長手方向がベース部10の表面に対して略垂直となるように作動部材17を回動させるのが好ましい。また、ベース部10の先端は先鋭に形成されているので、屋根材1との摩擦が小さくなって上記隙間に差し込みやすく、特に、ルーフィング材4と屋根材1とが熱融着している場合、ベース部10で屋根材1からルーフィング材4を剥がしながら挿入することができるものである。
【0036】
次に、図2(a)及び図3(b)に示すように、リンク機構11により、作動部材17の長手方向がベース部10の表面に対して略平行となるように作動部材17を回動させる。これにより、押圧部20をベース部10に近接する方向に回動させ、押圧部20の裏面を葺き替えの対象となっている屋根材1の暴露部1bの表面に圧接させる。このようにして、図4に示すように、葺き替えの対象となっている屋根材1をベース部10と押圧部20との間に挟持することができる。ここで、操作部材18をベース部10の方に回動させると、土台部材16の後受け部22の前面と操作部材18の後枢着部27の後面とが圧接することになり、これにより、操作部材18が容易に回動しないようにロックされるものである。従って、押圧部20が屋根材1から離れる方向に回動しにくくなり、屋根材1をベース部10と押圧部20との間に強固に挟持することができる。
【0037】
この後、図2(c)及び図3(c)に示すように、把持部30を持って屋根材取り外し工具Aを屋根の傾斜方向に沿って下側に引っ張ることにより、葺き替えの対象となっている屋根材1を引き抜くようにする。このとき、ベース部10が表裏に重ね合わされた屋根材1、1の間に介在するために、屋根材、1、1同士の摩擦が低減されて、葺き替えの対象となっている屋根材1が引き抜きやすくなるものである。また、屋根材1が引き抜きにくい場合は、ハンマー受け部33をハンマーで打撃しながら引き抜くようにする。このようにして葺き替えの対象となっている屋根材1を容易に引き抜くことができる。また、葺き替えの対象となっている屋根材1の表側や裏側にある他の屋根材1や両側方にある他の屋根材1が削られたり擦り傷が付いたりすることが少なくなり、屋根の外観や防水性が低下しにくくなるものである。
【0038】
また、押圧部20とベース部10に滑り防止手段12、13が設けられているため、屋根材1の表面及び裏面と滑り防止手段12、13とを密着させて、押圧部20及びベース部10と屋根材1とを滑りにくくすることができ、屋根材1を引き抜く際に屋根材取り外し工具Aが屋根材1から離脱しにくくなるものである。また、押圧部20を屋根材1の表面に圧接した際に、支持部14の押圧部20側の端部が屋根材1の引き抜き方向下方に、僅かに傾斜するように形成するのが好ましい。この場合、支持部14は、押圧部20側の端部が反対側の端部よりも屋根材1の引き抜き方向(図5に矢印で示す)における下方に位置するように傾けるようにする。例えば、支持部14(本実施例においては軸状)の中心線(図5に一点鎖線で示す)と屋根材1の暴露部1bの表面に対する垂直線(図5に実線で示す)とのなす角度θが0°より大きく10°以下となるように、支持部14の押圧部20側の端部を屋根材1の引き抜き方向下方に傾斜させることができる。このように傾斜させて設けておくと、屋根材1を引き抜く方向に屋根材取り外し工具Aに力を加えた際、屋根材1が引き抜き難くて支持部14の下端側が屋根材1の引き抜き方向と反対側に移動しても、押圧部20がより強固に屋根材1の表面に圧接される側(下方)に移動することになるため、押圧部20の裏面と屋根材1との表面との摩擦を大きくして滑りにくくし、屋根材1から屋根材取り外し工具Aが容易に外れないようにすることができるものである。尚、支持部14が非常に堅牢に設けられていたり、押圧部20の圧接面を大きくするなど、引き抜き難い屋根材1の場合であっても引き抜き時に屋根材1が滑ったり外れたりすることが殆ど無い場合は、特に支持部14を傾斜させなくても(即ち、支持部14の中心線と屋根材1の暴露部1bの表面に対する垂直線とのなす角度θが0°)良いものである。
【0039】
図6(a)(b)に他の実施の形態の一例を示す。この屋根材取り外し工具Aは図1のものと比較して、把持部30がベース部材10の表面に略垂直に突出する棒状に形成されている。その他の構成は図1のものと同様である。このように把持部30は屋根材取り外し工具Aを引っ張りやすい形状に形成することができる。
【0040】
図7(a)(b)に他の実施の形態の一例を示す。図7の屋根材取り外し工具Aは、図1のものと比較して、リンク機構11の代わりに、基台部40を用いたものである。基台部40はベース部10の表面に略垂直に突設される基台本体40aと、基台本体40aの上端から前方に向かってベース部10の表面と略平行に突出する突出部40bとを備えて形成されている。また、先端に押圧部20を備えた支持部14は突出部40bを貫通するようにして設けられている。支持部14は上記と同様に外周にネジ山を設けた棒状のネジ部材で形成されている。また、支持部14の押圧部20側と反対側の端部にはハンドル部41が設けられている。ハンドル部41は、図7(a)に示すように、略円筒状に形成されていても良いし、図7(b)に示すように、棒状に形成されていても良い。その他の構成は図1のものと同様である。
【0041】
図7(a)(b)に示す屋根材取り外し工具Aでは、ハンドル部41を握って支持部14を回転させることにより、突出部40bに対する支持部14の螺合位置を変えることができる。従って、複雑なリンク機構11を用いなくてもベース部10の表面に対する押圧部20の位置を容易に近接離間することができるものである。
【符号の説明】
【0042】
A 屋根材取り外し工具
1 屋根材
2 屋根下地
10 ベース部
11 リンク機構
12 滑り防止手段
13 滑り防止手段
14 支持部
20 押圧部
30 把持部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根下地に葺設された屋根材を引き抜いて取り外すための屋根材取り外し工具であって、前記屋根下地と前記屋根材との間に挿入するためのベース部と、このベース部の表面側に位置する押圧部とを備え、前記ベース部が前記屋根下地と前記屋根材との間に挿入された状態で、前記押圧部が前記屋根材の表面に押圧されて前記屋根材が前記押圧部と前記ベース部との間で挟持可能に形成されて成ることを特徴とする屋根材取り外し工具。
【請求項2】
前記押圧部の前記屋根材の表面に押圧する部分に滑り防止手段が設けられて成ることを特徴とする請求項1に記載の屋根材取り外し工具。
【請求項3】
前記ベース部の前記屋根材の裏面に接触する部分に滑り防止手段が設けられて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の屋根材取り外し工具。
【請求項4】
前記ベース部が先鋭に形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の屋根材取り外し工具。
【請求項5】
前記押圧部は前記ベース部に対して近接離間自在に形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の屋根材取り外し工具。
【請求項6】
前記押圧部がゴムパッドで形成されると共に前記押圧部は支持部の先端に設けられ、この支持部のゴムパッド側が前記屋根材の引き抜き方向下方に僅かに傾斜して設けられて成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の屋根材取り外し工具。
【請求項7】
前記押圧部がリンク機構により前記ベース部に近接離間自在に形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の屋根材取り外し工具。
【請求項8】
前記ベース部に把持部が具備されて成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の屋根材取り外し工具。
【請求項9】
前記把持部に打撃可能なハンマー受け部が設けられて成ることを特徴とする請求項8に記載の屋根材取り外し工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−11145(P2013−11145A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145874(P2011−145874)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(503367376)ケイミュー株式会社 (467)