説明

展示品を地震等から保護する展示方法及び装置

【課題】 展示された装飾品等を迅速、安全かつ確実に保護でき、特に、蓋付き器等垂直方向において分離された複数の物体からなる展示品を、地震から保護する展示方法及び装置を提供すること。
【解決手段】 展示品を水平なシャッター板の上に載置し、震動感知器の出力に連動して前記シャッター板を開成し、展示品を略垂直に落下させ、緩衝性能を有しかつ容積を調節可能である展示品受け袋で受け止め、特に、展示品が垂直方向で分割された上側部及び下側部からなり、展示品の上側部を下側部の底部分から上方へ延びた保形性弾性体の保持部材によって支持することによって、垂直方向において上側部及び下側部の間に間隔を設けた状態で、前記シャッター板の上に載置することを特徴とする展示品を地震等から保護する展示方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歴史的、文化的、芸術的、経済的に高い価値のある、陶磁器やガラス工芸品のような破壊し易い展示品を、地震から保護する展示する方法及び装置であって、蓋付き器等複数の物体からなる展示品を、地震から有効に保護する展示方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したような破壊し易いて物品を、飾り棚、展示棚、陳列台等に載置しておいた場合、地震が発生すると、飾り棚、展示棚、陳列台等が震動によって転倒したり落下して、貴重な陶磁器やガラス工芸品等が損傷したり、破損してしまうおそれが高い。特に、蓋付き器等垂直方向において複数個に分離したて展示品は、落下して受け止められた時に、展示品の構成部分同士の衝突によって破損する可能がある。
【0003】
そのため、従来は、飾り棚や陳列棚の装飾品等の周りに紐等を張設したり、支え用バー等を設ける等して、転倒や落下を防止している。また、特に大きい装飾品等の場合は、複数本の紐等を所定間隔を置いて張設している。しかし、このような方法は、転倒、落下の防止手段としては不確実であるばかりでなく、外観上見苦しく、歴史的、文化的意義を損ない、さらに、芸術的鑑賞を妨げることが多い。
【0004】
これらの問題を解決するために、美術工芸品等を展示する際に、鑑賞の目障りにならないようにしつつ、そのまま美術工芸品等を展示することができる上に、地震等の振動による破損を免れることを目的として、対振動保護機能付き器物載置台が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは、陶芸品が載置され、当該載置される陶芸品を支持する薄板と、薄板の振動を検知する地震動感知器と、この地震動感知器からの検知信号により、薄板による陶芸品の支持を解除させるソレノイド装置と、薄板の下方に配されており、薄板による陶芸品の支持解除で、薄板から落下する陶芸品4収容して保護する台箱とを具備している。
【0005】
他の従来技術としては、展示品が地震等によって倒れて破損するのを防止する展示品の保護装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この展示品の保護装置の機構は、展示品が載置される上板の周囲に、伸縮可能な保護部材を縮んだ状態で配置する。この保護部材は、検出器が地震等による所定のレベルを越える揺れを検出すると、高圧ガス供給源から配管を介して供給される高圧ガスによって伸び、展示品の周囲を囲む。そして、倒れようとする展示品を受け止めてその破損を防止する。
【0006】
他の従来技術として、頂部および底部に一対の開口部を対向するように設けた所定高さの支持台を備え、該支持台の頂部側の開口部に、その中央部で突き合わせつつ閉成自在にして、かつ開成自在の二枚一対のシャッター板を配設し、底部側の開口部下方に、緩衝性能を有しかつ容積を調節可能である装飾品等の受け袋の上端開口縁を装着、吊持し、かつ上記シャッター板の駆動装置と震動感知機とを設け、該震動感知機が地震による震動を感知して駆動装置を作動させることでシャッター板を開成するようにしたことを特徴とする地震等から装飾品等を防護する載置台が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平9−51827号
【特許文献2】特開平9−299203号
【特許文献3】特許第3458089号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
引用文献1の対振動保護機能付き器物載置台においては、地震を感知してシャッターを開成し、開成した支持手段から落下した器物を、衝撃緩衝材を備えた箱体の底部によって受け取り、その上方を解除手段によって制御された防護蓋によって蓋することによって、更なる落下から保護する。一方、実際の器物載置台においては、仮に落下領域に例えば一般的に考えられるスポンジ等の衝撃緩衝材が設けられていたとしても、陶芸品等が所定高さ位置から底部まで重力落下した場合に破壊する可能性は極めて高いと推定される。従って、引用文献1においては、地震時の外部からの物体の衝撃から保護することを作用効果とするものであって、陶芸品等衝撃に極めて弱い物品に関する器物載置台内部の重力落下による衝撃については実質上解決に至っていない。さらに、蓋付き器等複数の物体からなる展示物品を地震から保護することについては、何ら考慮されていない。
【0009】
引用文献1に記載の展示ケースは、さらに、地震によって展示物体が落下した場合、展示物体が展示されていた垂直状態で落下する保証はなく、むしろ載置板が支点を中心に傾斜角度を大きくしながら開くから、展示物体が回転しながら落下する可能性が高い。その場合、展示物品が破壊するおそれは高く、対振動保護の機能は小さいものである。さらに、蓋付き器等垂直方向において分離された複数の物体からなる展示品を地震から保護することについては、何ら考慮されていない。
【0010】
引用文献2に記載の展示ケースは、保護手段の位置が展示品の周囲にぴったり合っていなければならない。しかし、保護手段は、内側ベローズと外側ベローズからなり、一度形成すると実際上その大きさを変更することは困難であり、保護手段はまた管によって作動機構を介して高圧タンクに連通されているから、移動させることも困難である。従って、展示品を変えた時、それを確実に保護することは多くの手数を要する問題がある。また、引用文献2に記載の展示ケースは、内側ベローズと外側ベローズからなる保護手段が柔軟であり、また観察鑑賞を担保するため金属枠にガラスを嵌めた場合が多く、地震等によって発生する展示ケースの外部からの物体による衝撃から展示品を保護することは実際上困難である。さらに、蓋付き器等垂直方向において分離された複数の物体からなる展示品を地震から保護することについては、何ら考慮されていない。
【0011】
引用文献3に記載の地震等から装飾品等を防護する載置台は、袋が柔軟性を有し、また容積の変更を容易にかつ確実に行うことができることに注目し、器物載置台の内部における重力落下による器物の破損に対する防止手段を備える。緩衝性能を有しかつ容積を調節可能である装飾品等の受け袋の上端開口縁を装着、吊持する構成は、受け袋の柔軟性に基づく衝撃吸収性を有効に利用している。これは、特別に角状に突出した形状のもの等を除いて、どのような形状のものでも小さな衝撃のみでその形状に沿って受け止めることができる。また、中間部を紐で締める等して容易に容積を調整することができ、載置される陶芸品等の器物は時々入れ替えられ、その形状や大きさが変更されても、器物に合わせて受け袋の容積を調整できることは、落下による衝撃を最少にするために、さらに、落下により器物が回転することを防止するために有効である。しかし、蓋付き器等垂直方向において分離された複数の物体からなる展示品を地震から保護することについては、何ら考慮されていない。
【0012】
(目的)
本発明は、従来技術の上述した問題点に鑑みてなされたもので、陳列状態の垂直状態で周囲に衝突することなく落下させ、吊持された緩衝性能を有する受け袋内に落下、収納させるように構成することにより、展示された装飾品等を迅速、安全かつ確実に保護できる、展示品を地震から保護する展示方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明はまた、展示品の寸法が変更された場合に、極めて容易迅速にそれに合わせた保護を可能にし、展示品の地震からの保護を行うことができる、展示品を地震から保護する展示方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明はさらに、蓋付き器等垂直方向において分離された複数の物体からなる展示品を、地震から保護する展示方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、展示品を水平なシャッター板の上に載置し、震動感知器の出力に連動して前記シャッター板を開成し、展示品を略垂直に落下させ、緩衝性能を有しかつ容積を調節可能である展示品受け袋で受け止める、展示品を地震等から保護する展示部を使用し、
展示品が垂直方向で分割された上側部及び下側部からなり、展示品の上側部を下側部の底部分から上方へ延びた保形性弾性体の保持部材によって支持することによって、垂直方向において上側部及び下側部の間に間隔を設けた状態で、前記シャッター板の上に載置することを特徴とする展示品を地震等から保護する展示方法である。
【0014】
本発明はまた、展示品を水平なシャッター板の上に載置し、震動感知器の出力に連動して前記シャッター板を開成し、展示品を略垂直に落下させ、緩衝性能を有しかつ容積を調節可能である展示品受け袋で受け止める、展示品を地震等から保護する展示部と、
展示品が垂直方向で分割された上側部及び下側部からなり、展示品の上側部を、下側部の底部分から上方へ延び、上側部を垂直方向において上側部及び下側部の間に間隔を設けた状態で保持する保形性弾性体の保持部材と
を有することを特徴とする展示品を地震等から保護する展示装置である。
【0015】
本発明はさらに、展示品を水平なシャッター板の上に載置し、震動感知器の出力に連動して前記シャッター板を開成し、展示品を略垂直に落下させ、緩衝性能を有しかつ容積を調節可能である展示品受け袋で受け止める、展示品を地震等から保護する展示部と、
展示品が垂直方向で分割された上側部及び下側部からなり、展示品の上側部を、下側部から上方へ延び、上側部を垂直方向及び水平方向において上側部及び下側部の間に間隔を設けた状態で保持する保形性弾性体の保持部材とを有し、
前記保持部材が、上側部及び下側部との間の係合部に隙間がないように形成されていることを特徴とする展示品を地震等から保護する展示装置である。
【0016】
本発明の実施態様の一つは、前記保持部材が、発泡スチロールからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上説明したように構成されるものであるから、次に述べる効果を有する。第1に、陳列状態の垂直状態で周囲に衝突することなく落下させ、吊持された緩衝性能を有する受け袋内に落下、収納させるように構成することにより、展示された装飾品等を迅速、安全かつ確実に保護できる効果を有する。
【0018】
本発明はまた、展示品の寸法が変更された場合に、極めて容易迅速にそれに合わせた保護を可能にし、展示品の地震からの保護を行うことができる、展示品を地震から保護することができる効果を有する。
本発明はさらに、蓋付き器等垂直方向において分離された複数の物体からなる展示品を、地震から有効に保護することができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る展示品を地震等から保護する展示装置の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、支持台のシャッター板上面に装飾品等を載置した通常状態の展示部の断面図である。図2は、地震が発生し、シャッター板が開成して装飾品等が受け袋内に落下、収容した状態の縦断面図である。図3は、シャッター板と、その駆動装置と、震動感知機の各斜視図である。図4は、シャッター板の駆動装置と、電気配線説明図である。図5は、装飾品等の受け袋の詳細な説明図である。図6は、図5に示す受け袋の途中を縛り紐で縛った状態の説明図である。図7は、複数個の展示品を展示できる載置部材の全体正面図である。図8は、展示品を第1実施形態の保持部材で保持した状態を示す展示品の断面図である。図9は、展示品を第2実施形態の保持部材で保持した状態を示す展示品の断面図である。図10は、展示敷布の平面図である。
【0020】
(展示部)
展示部100は、図1及び図2に示すように、展示品Aの支持台1と、これを上部に載置する大型の筐体2との組み合わせにより構成される。
支持台1は、平面的に所定の二軸方向寸法を有して形成され、頂部3の中央部を四角形状に開設して、側部4の内側に、平面的に所定の二軸方向寸法(平面四角形状)を有する開口部5が設けられている。
【0021】
開口部5には、ほぼ同一大きさに形成された二枚一対のシャッター板6、7が、その中央部で突き合わせつつ、対象端部を、開口部5の開口縁、すなわち頂部3にヒンジ8、9によって水平に閉成可能に、かつ下方へほぼ垂直に開成可能に支持されている。
一対のシャッター板6、7のうち何れか一方には、図1及び図2に示すように、シャッター板7の対向端部裏面に、他方のシャッター板6を水平に閉成保持するためのストッパー10を突出させて設けてある。
【0022】
支持台1は、その底部を側部4の内側と同寸に開口して、平面方形状の開口部11を形成する。また、支持台1は、その側部4の下端にフランジ4bが外向きに突出して設けられている。
一方、上記筐体2の天板2aには、当該天板2aに載設された支持台1の底部の開口部11に対して同形状、同寸法の開口部2bが対向形成してある。
【0023】
筐体2の天板2aの開口部2bの下側周縁には、展示品Aの受け袋12の上端開口縁12aが複数個の止め金具13によって装着され、受け袋12が吊持されている。これによって、支持台1の開口部5、11と筐体2の開口部2bと受け袋12の上端開口縁12aとが、垂直に連通して形成されている。
【0024】
受け袋12は、緩衝性能を有する素材、すなわち衝撃吸収力の大きい、プラスチック繊維製のネット地あるいは布地等からなる任意の緩衝材によって形成され、当該受け袋12内に展示品Aが落下して収納される際、衝撃を吸収し展示品Aの落下による損傷や破損を防止できるようになっている。
【0025】
また、受け袋12は、図5及び図6に示すように、特定の展示品Aに対して大型に形成され、その途中の横方向に一段または複数段(図示例では2段)に亘って所定の間隔を置いて紐通し14を各付設し、該紐通し14内に縛り紐15を挿通させてある。これによって、該当展示品Aが大きいときは、図5に示すように、受け袋12は、縛り紐15を使わずに受け袋12の底部で展示品Aを受け取れるように形成される。縛り紐15は、ゴム等で形成して、弾性を有するとさらに望ましい。他方、該当展示品Aが小さいときは、図6に示すように、下側の縛り紐15を結束することにより、受け袋12を途中で縛っておき、受け袋12がその上方で展示品Aを受けるようにする。
【0026】
さらに、受け袋12の下方には、その横方向にファスナー16が装着されている。ファスナー16を開くことによって、受け袋12の下側を開き、受け袋12内に落下し収納された展示品Aを容易に取り出すことができる。受け袋12の下部の外面には、補強用テープ17が取付けられている。受け袋12の最下部には、振れ止め用紐18が取付られている。振れ止め用紐18の下端部は、取付金具19を介して筐体2の底板2cに連結されている。
支持台1の側部4には、その上方に窓孔4aが開設され、該窓孔4a外側の筐体2の天板2a上には、シャッター板6、7の駆動装置20が設けられている。
【0027】
(駆動部)
駆動装置20は、図1ないし図4に示すように、上記シャッター板6、7の閉成保持兼開成機構21と震動感知機22とを具備している。
閉成保持兼開成機構21は、筐体2の天板2aに固定立設した支柱23と、ガイドアーム24と、ロックアーム25と、引張りバネ26と、ロータリーソレノイド27及び上記閉成保持兼開成機構21の閉成保持解除用駆動源28とで構成されている。
【0028】
ガイドアーム24は、長さ方向に貫通形成した長孔24aに、支柱23の上端近傍に固定したピン23aを挿通して、長さ方向へスライド自在に、かつ上下方向へ回転自在に支持され、先端を、窓孔4aを通して、シャッター板7の裏面に取り付けたブラケット29に回転自在に軸承させてある。
【0029】
ロックアーム25は、基端近傍の下面に係合凹部25aを形成させてあり、先端を、窓孔4aを通して、ガイドアーム24の先端近傍に回転自在に支持させてある。また、ロックアーム25は、先端から基端側へ傾斜下降させて、その係合凹部25aを、支柱23のほぼ中間部に突設した水平なピン23bと係脱自在に係合される。さらに、ロックアーム25の基端と、支柱23の下部に端部を各係止して引っ張りバネ26が張設される。この張力によって、係合凹部25aとピン23bとの係合状態が保持され、二枚一対のシャッター板6、7を水平状態に閉成保持する。
【0030】
ロータリーソレノイド27は、図1ないし図4に示すように、駆動軸27aに固定した円板27bに、偏心ピン27cを突出して設け、ロータリーソレノイド27が回転することで偏心ピン27cが偏心回転する。これによって、ロックアーム25の下面を押し上げ、ロックアーム25の基端側を引っ張りバネ26の張力に抗して押し上げ、係合凹部25aに対するピン23bとの係合を解除する。
閉成保持兼開成機構21の閉成保持解除用駆動源28は、図4に示すように、電源30と、ロータリーソレノイド作動用メインリレイ31と、既述ロータリーソレノイド27と、充電装置32とを、震動感知機22と電気的に接続して構成されている。
【0031】
駆動源28には、ロータリーソレノイド27に対する複数(図示例では6個)の電源供給回路33ないし38を設けて、図7に示すように、複数の支持台1の各ロータリーソレノイド27と電気的に接続される。
なお、電源30は、大地震で公的電流の供給が遮断されても、バッテリー(図示しない)から電源がロータリーソレノイドへ通電されるように形成されており、これによって停電時でも展示品Aの保護が確実に行われるようにしてある。
【0032】
震動感知機22は、振り子22aの傾きでリミットスイッチがONとなり、ロータリーソレノイド27及び作動用メインリレイ31を作動させ、ロータリーソレノイド27を作動させる振り子方式である。
他の震動感知機として、加速度計(図示せず)→A/D→コンピュータ(フィルター処理と作動決定数値入力)→ロータリーソレノイド作動用メインリレイ31→ロータリーソレノイド27を作動する加速度計方式がある。ここでの作動決定数値入力は、震度2で作動させる場合は2〜9ガル、震度3での作動は10〜30ガルとする。
さらに他の震動感知機として、レーザ光を利用し、地震発生時の液面変化による反射率での作動方式及び液面変化での光遮断による作動方式、その他、液面変化で永久磁石が上下動してスイッチが作動するリードスイッチ方式がある。
【0033】
支持台1は、載置台に一個だけでも、図7に示したように複数個、例えば三個設けるようにすることもできる。この場合でも、シャッター板6、7の駆動装置20中、震動感知機22は一個設置し、この震動感知機22が震動を感知することにより、各支持台1ごとの閉成保持兼開成機構21の各ロータリーソレノイド27へ通電され、閉成保持兼開成機構21の閉成保持が解除される。これにより、一方のシャッター板7が下方へ開成されると同時に、当該シャッター板7のストッパー10による対向端部の支持が解かれることで、他方のシャッター板6も下方へ開成される。
【0034】
図1、図2及び図7において、カバー39は、支持台1の上面のみ露出させた筐体2あるいは後述するテーブル上に載置される。図7において、各支持台1は、大型のテーブル40上に載置され、該テーブル40の支持台1の開口部と連通される開口部41の下面に、複数個、例えば3個の受け袋12の上端開口縁12aを前記同様止め金具によって装着して、吊時させてある。このテーブル40の脚40aには、その下方に連結棒40bが横設されており、該連結棒40bに上記した各受け袋12下端の振れ止め用紐18を取付金具19を介して連結して、固定させてある。42は、高さ調整ねじであり、43は支持台1の透明ガラス製カバーである。
【0035】
(支持部材)
第1実施形態の支持部材200は、図8に示すように、展示品Aが垂直方向で分割された上側部202及び下側部204からなる。展示品Aの上側部202は、下側部204の底部206から上方へ延びた保形性弾性体、例えば発泡スチロール製の保持部材200によって支持され、垂直方向において上側部202及び下側部204の間に間隔を設けた状態で、前記シャッター板6,7の上に載置される。
展示品Aが落下して受け袋12によって受け止められることによって、保持部材200は下側部204の底部206で受け止められる。この際、下側部204の底部206は、受け袋12によって直接最初に受け止められるから、上側部202によって発生させられた下向きの衝撃力を実質上受け袋12によって受け袋12で受けることになり、下側部204が上側部202によって発生させられた下向きの衝撃力によって破壊される可能性は極めて低くなる。
【0036】
第2実施形態の支持部材300は、図9に示すように、展示品Aが垂直方向で分割された上側部302及び下側部304からなり、展示品Aの上側部302を、下側部304から上方へ延び、上側部302を垂直方向及び水平方向において上側部302及び下側部304の間に間隔を設けた状態で保持する保形性弾性体、例えば発泡スチロール製の保持部材300を有する。
展示品Aが落下して受け袋12によって受け止められることによって、保持部材300は下側部304の底部306で受け止められる。この際、上側部302は、下側部304によって隙間なく保持された保持部材300によって支持されているから、展示品Aが多少傾斜して受け袋12によって受け止められても、上側部302によって発生させられた下向きの衝撃力は下側部304の保持部材300に係合している部分に略均等に伝達され、該衝撃力によって展示品Aが破壊されるおそれは少なくなる。
一方、仮に、保持部材が従来の包装等のように柔軟性弾性体で形成されていた場合、展示品Aが多少傾斜して受け袋12によって受け止められると、上側部302によって発生させられた下向きの衝撃力は、下側部304の上側部302との係合部、例えば展示品Aの口部の小さい領域に集中し、下側部304が破壊し易いと考えられる。
【0037】
(展示敷布)
展示敷布aは、フェルト、フラノ、合成繊維不織布等柔軟性を有し、0.5ないし2.0mm程度の厚さを有するシート状物である。展示敷布aの外形や寸法は、テーブル40等との審美的釣り合いを配慮して決定され、本実施形態では正方形である。展示敷布aの中心には、ミシン目、彩色線等からなる開口表示枠400が形成されている。開口表示枠400は、開口部5の形状及び寸法に一致させる。
【0038】
(作動)
上述した構成の展示装置による展示方法は、最初に、図5及び図6に示すように、受け袋12が展示品Aの大きさに合うように、縛り紐15を選択して引き締めて結び、受け袋12を所定の大きさにする。次に、シャッター板6、7を水平にして閉成状態にする。次に、展示敷布aをテーブル40の上に敷き、開口部5と開口表示枠400とを一致させる。次に、展示品Aを展示敷布aの開口表示枠400の中心に位置させて展示する。
【0039】
このように展示して、展示装置が設定震度より強い地震を感知すると、駆動装置20の震動感知機22が、振り子22aの傾きでリミットスイッチがONとなり、ロータリーソレノイド27及び作動用メインリレイ31を作動させ、シャッター板6、7が開成する。シャッター板6、7が開成する際、シャッター板6はシャッター板7のストッパー10によって支持されていたから、シャッター板6、7は実質上同時に同一の速さで下方へ軸回転するので、開口部5の中心部に配置されていた展示品Aは、展示されていた垂直状態を維持したまま受け袋12の中へ落下する。
【0040】
展示品Aが落下する際、展示敷布aは展示品Aと一緒に落下し、すなわち展示敷布aが展示品Aを包んだ状態で落下するため、展示品Aの表面が受け袋12との摩擦によって損傷されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】支持台のシャッター板上面に装飾品等を載置した通常状態の縦断図である。
【図2】地震が発生し、シャッター板が開成して展示品が受け袋内に落下、収容した状態の縦断面図である。
【図3】シャッター板と、その駆動装置と、震動感知機の各斜視図である。
【図4】シャッター板の駆動装置と、その電気配線説明図である。
【図5】展示品の受け袋の詳細な説明図である。
【図6】同上の受け袋の途中を縛り紐で縛った状態の説明図である。
【図7】複数個の装飾品等を展示できる載置台の全体正面図である。
【図8】展示品を第1実施形態の保持部材で保持した状態を示す展示品の断面図である。
【図9】展示品を第2実施形態の保持部材で保持した状態を示す展示品の断面図である。
【図10】展示敷布の平面図である。
【符号の説明】
【0042】
A 展示品
a 展示敷布
1 支持台
5 開口部
6、7 シャッター板
11 開口部
12 受け袋
15 縛り紐
20 駆動装置
22 震動感知機
40 テーブル
40a 脚
41 開口部
200、300 保持部材
202、302 上側部
204、304 下側部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
展示品を水平なシャッター板の上に載置し、震動感知器の出力に連動して前記シャッター板を開成し、展示品を略垂直に落下させ、緩衝性能を有しかつ容積を調節可能である展示品受け袋で受け止める、展示品を地震等から保護する展示部を使用し、
展示品が垂直方向で分割された上側部及び下側部からなり、展示品の上側部を下側部の底部分から上方へ延びた保形性弾性体の保持部材によって支持することによって、垂直方向において上側部及び下側部の間に間隔を設けた状態で、前記シャッター板の上に載置することを特徴とする展示品を地震等から保護する展示方法。
【請求項2】
前記保持部材は、発泡スチロールからなることを特徴とする請求項1に記載の展示品を地震等から保護する展示方法。
【請求項3】
展示品を水平なシャッター板の上に載置し、震動感知器の出力に連動して前記シャッター板を開成し、展示品を略垂直に落下させ、緩衝性能を有しかつ容積を調節可能である展示品受け袋で受け止める、展示品を地震等から保護する展示部と、
展示品が垂直方向で分割された上側部及び下側部からなり、展示品の上側部を、下側部の底部分から上方へ延び、上側部を垂直方向において上側部及び下側部の間に間隔を設けた状態で保持する保形性弾性体の保持部材と
を有することを特徴とする展示品を地震等から保護する展示装置。
【請求項4】
前記保持部材は、発泡スチロールからなることを特徴とする請求項3に記載の展示品を地震等から保護する展示装置。
【請求項5】
展示品を水平なシャッター板の上に載置し、震動感知器の出力に連動して前記シャッター板を開成し、展示品を略垂直に落下させ、緩衝性能を有しかつ容積を調節可能である展示品受け袋で受け止める、展示品を地震等から保護する展示部と、
展示品が垂直方向で分割された上側部及び下側部からなり、展示品の上側部を、下側部から上方へ延び、上側部を垂直方向及び水平方向において上側部及び下側部の間に間隔を設けた状態で保持する保形性弾性体の保持部材とを有し、
前記保持部材が、上側部及び下側部との間の係合部に隙間がないように形成されていることを特徴とする展示品を地震等から保護する展示装置。
【請求項6】
前記保持部材は、発泡スチロールからなることを特徴とする請求項5に記載の展示品を地震等から保護する展示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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