説明

展示装置

【課題】商品の種類や陳列数の変更等に対応可能な陳列装置を提供する。
【解決手段】正面の雛壇部2、背板部3及び底板部4を有する外側構造体Bと、同じく雛壇部2、背板部3及び底板部4を有して断面形状が外側構造体Bと相似形である内側構造体Cと、左右両側の側板部5を備えると共に、外側構造体Bの雛壇部2と背板部3と底板部4の間に、内側構造体Cを摺動可能に挿設した陳列装置Aとしたことで、全体を伸長又は縮小させて装置左右方向の長さを任意に選択することができるようになり、商品の種類や陳列数の変更などに速やかに対応し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗などにおいて商品を陳列するのに用いる陳列装置に関し、より具体的には、POP製品として必要に応じて容易に設置し得る陳列装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の陳列装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、展開した状態において底板部、背板部、数段の階段部、及び側板部を一体的に備え、これらを折り曲げることによりワンタッチで組み立て可能としたものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−103425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の陳列装置を含むPOP製品は、店舗等において商品類をアピールし、消費者の購買意欲を喚起させるものであるから、販売状況や展示形態などに柔軟に対応できることがより望ましい。
【0005】
しかしながら、上記したような従来の陳列装置にあっては、例えば、販売が好調となって売り場面積の拡大を図ろうとしても、単一の装置で対応することが困難であるという問題点があり、このような問題点を解決することが課題であった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたもので、商品の種類や陳列数の変更などに速やかに対応することができる陳列装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の陳列装置は、請求項1として、正面の雛壇部、背板部及び底板部を有する外側構造体と、同じく雛壇部、背板部及び底板部を有して断面形状が外側構造体と相似形である内側構造体と、左右両側の側板部を備えると共に、外側構造体の雛壇部と背板部と底板部の間に、内側構造体を摺動可能に挿設した構成としており、上記構成をもって従来の課題を解決するための手段としている。
【0008】
さらに、本発明に係わる陳列装置は、請求項2として、内側構造体が、摺動方向を長手方向とするガイド溝を備えると共に、外側構造体が、ガイド溝に対して摺動自在に係合するガイドピンを備えていることを特徴とし、請求項3として、外側構造体及び内側構造体が、雛壇部と背板部と底板部を折り曲げ自在に連続させた一枚の構造体素材から成り、この構造体素材を折り曲げて形成してあることを特徴とし、請求項4として、側板部が、背板部の垂直方向の辺及び底板部の奥行方向の辺を二辺とする三角形状であって、これら二辺の交点と斜辺の中央とを結ぶ線に沿って装置外側へ山折り自在であることを特徴とし、請求項5として、側板部が、装置内外の両面を折り曲げ自在に連続させた一枚の側板部素材から成り、この側板部素材を折り曲げて形成してあると共に、前記構造体素材及び側板部素材が、段ボール製であることを特徴とし、請求項6として、外側構造体が、雛壇部と背板部を接合する複数の止着具と、雛壇部と底板部を接合する複数の止着具を備え、一部の止着具がガイド溝に係合するガイドピンを兼用していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に係わる陳列装置は、外側構造体と内側構造体を互いに摺動させて全体を伸長又は縮小させることで、装置左右方向の長さを任意に選択することができ、これにより商品の種類や陳列数の変更などに速やかに対応することができる。
【0010】
本発明の請求項2に係わる陳列装置は、請求項1と同様の効果を得ることができるうえに、内側構造体のガイド溝と外側構造体のガイドピンとの係合により、互いの摺動動作がより円滑になると共に、両構造体が不用意に外れるような事態を防止することができる。
【0011】
本発明の請求項3に係わる陳列装置は、請求項1及び2と同様の効果を得ることができるうえに、両構造体を一枚の構造体素材から成るものとすることで、部品点数が少なくなり、製造や組み立てがより容易になる。
【0012】
本発明の請求項4に係わる陳列装置は、請求項3と同様の効果を得ることができるうえに、装置外側へ山折り自在な側板部を採用したことで、両側板部を突出させ且つ背板部と底板部で全体を挟み込むようにして装置全体を折り畳むことができ、運搬や保管などに容易に対処することができる。
【0013】
本発明の請求項5に係わる陳列装置は、請求項3及び4と同様の効果を得ることができるうえに、構造体素材及び側板部素材を段ボール製としたことで、製造コストの低減を図ることができると共に、リサイクルにも容易に対応可能である。また、とくに、装置内外の両面を折り曲げ自在に連続させた一枚の側板部素材で側板部を形成することで、装置の外面全体を段ボールの片側の面だけで形成し得ることとなり、片側の面のみに印刷や化粧紙を設けた段ボールを用いて良好な外観体裁を得ることができる。
【0014】
本発明の請求項6に係わる陳列装置は、請求項5と同様の効果を得ることができるうえに、両構造体及び側板部を段ボール製とし且つ止着具を採用することで、外側構造体の雛壇部の浮き上がりを防止して、同構造体の形態を維持することができると共に、止着具とガイドピンを兼用することで、部品点数や製造コストのさらなる削減を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の陳列装置の一実施形態を説明する伸長状態の斜視図(a)、縮小状態の斜視図(b)及び折り畳み状態の斜視図(c)である。
【図2】図1に示す陳列装置の組み立て要領を説明する分解斜視図である。
【図3】図1に示す陳列装置の各々展開図(a)〜(d)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示す陳列装置Aは、正面の雛壇部2、背板部3及び底板部4を有する外側構造体Bと、同じく雛壇部2、背板部3及び底板部4を有して断面形状が外側構造体Bと相似形である内側構造体Cと、左右両側の側板部5,5を備えている。そして、陳列装置Aは、外側構造体Bの雛壇部2と背板部3と底板部4の間に、内側構造体Cを摺動可能に挿設した構造になっている。
【0017】
上記の陳列装置Aにおいて、両構造体B,Cの雛壇部2は、いずれも上下二段になっていて、より具体的には、上段垂直板2A、上段水平板2B、下段垂直板2C及び下段水平板2Dを備えている。
【0018】
また、本発明の陳列装置Aは、各部の寸法関係がとくに限定されるものではないが、この実施形態では、背板部3の高さ寸法と底板部4の奥行方向の寸法とがほぼ等しいと共に、雛壇部2においては、各垂直板2A,2Cの高さ寸法と各水平板2B,2Dの奥行方向の寸法とがほぼ等しくなっている。これにより、側板部5は、背板部3の垂直方向の辺、底板部4の奥行方向の辺、及び正面側の斜辺を有する直角二等辺三角形である。
【0019】
さらに、この実施形態の陳列装置Aは、図3に示すように、両構造体B,C及び両側板部5が、各部を折り曲げ自在に連続させた一枚の構造体素材Bm,Cm及び側板部素材5mから成るものであり、これらの素材Bm,Cm,5mがいずれも段ボール製である。
【0020】
外側構造体Bの構造体素材Bmは、図3(c)に示すように、図示で上側から、底板部4、山折り線Lm、背板部3、山折り線Lm、雛壇部2の上段垂直板2A、谷折り線Lv、上段水平板2B、山折り線Lm、下段垂直板2C、谷折り線Lv、下段水平板2D、山折り線Lm、及びのりしろに相当する接合片6を有すると共に、下段垂直板2Cの端部に、側板部5を連結するための連結片7を有している。
【0021】
また、外側構造体Bの構造体素材Bmは、底板部4と下段水平板2Dの両端部近傍に、組み立て状態で互いに連通する通し孔8を有すると共に、背板部3と上段垂直板2Aの両端部近傍に、組み立て状態で互いに連通する通し孔8を有し、さらに、連結片7にも通し孔8を有している。
【0022】
他方、内側構造体Cの構造体素材Cmは、図3(b)に示すように、図示で上側から、雛壇部2の下段水平板2D、山折り線Lm、底板部4、山折り線Lm、背板部3、山折り線Lm、上段垂直板2A、谷折り線Lv、上段水平板2B、山折り線Lm、下段垂直板2C、山折り線Lm、及びのりしろに相当する接合片6を有すると共に、下段垂直板2Cの端部に、側板部5を連結するための連結片7を有している。この連結片7にも通し孔8が設けてある。
【0023】
また、内側構造体Bの構造体素材Cmは、下段水平板2Dと底板部4に、組み立て状態で互いに連通するガイド溝(スリット)9を有すると共に、背板部3と上段垂直板2Aに、組み立て状態で互いに連通するガイド溝9を有している。これらのガイド溝9は、両構造体B,Cの摺動方向すなわち装置左右方向を長手方向にして形成してある。
【0024】
ここで、上記のガイド溝9は、先述した外側構造体Bの通し孔8のうちの、内側構造体挿設側(図3中左側)の通し孔8と連通する。すなわち、当該装置を組み立てた状態において、内側構造体Cの上段垂直板2Aのガイド溝9と外側構造体Bの上段垂直板2Aの通し孔8とが互いに連通し、内側構造体Cの下段水平板2Dのガイド溝9と外側構造体Bの下段水平板2Dの通し孔8とが互いに連通する。
【0025】
側板部5の側板部素材5mは、図3(a)及び(d)に示すように、概略正方形であって、対角線上の山折り線Lmの一方側を装置内側面5a、他方側を装置外側面5bとし、装置内側面5aの等しい二辺に、構造体B,Cの背板部3及び底板部4への連結片10,10を有している。
【0026】
また、側板部素材5mは、装置内側面5aの中心線(二等辺の交点と斜辺の中心点とを結ぶ線)上に谷折り線Lvを有すると共に、装置外側面5bの中心線上に山折り線Lmを有している。これにより、側板部素材5mを折り曲げて成る側板部5は、装置組み立て状態において、装置外側へ山折り自在である。さらに、側板部素材5mは、装置内側面5a及び装置外側面5bに、折り曲げ状態で互いに連通する通し孔8が設けてある。この通し孔8は、装置組み立て状態で構造体B,Cの連結片7の通し孔8に連通する。
【0027】
上記構成を備えた陳列装置Aは、以下の要領で組み立てる。
外側構造体Bは、構造体素材Bmを山折り線Lm及び谷折り線Lvで夫々折り曲げて、図2に示すように、接着剤で接合片6を底板部4に接着し、側板部5側(図2中で右側)となる上下の通し孔8に止着具11を設けて、上段垂直板2Aと背板部3とを接合すると共に、下段水平板2Dと底板部4とを接合する。
【0028】
ここで、止着具11は、プラスチック製のボルト11a及びナット11bである。このボルト11a及びナット11bは、当然、回転により互いに着脱可能であるが、軸線方向の寸法が短く、加圧により強制的に螺合状態にすることができる。したがって、工具類を使用せずに手作業で止着することができる。
【0029】
また、一方の側板部5は、側板部素材5mを装置内側面5aと装置外側面5bとが重合するように折り曲げて接着剤で接着し、次いで、連結片10,10を背板部3及び底板部4の内側に夫々接着する。その後、止着具11により、外側構造体Bの連結片7と側板部5とを接合する。
【0030】
内側構造体Cは、外側と同様に、構造体素材Bmを山折り線Lm及び谷折り線Lvで夫々折り曲げて、図2に示すように、接着剤で接合片6を底板部4に接着する。そして、他方の側板部5を上述の要領で組み立てた後、側板部5の連結片10,10を背板部3及び底板部4の内側に夫々接着し、その後、止着具11により、内側構造体Bの連結片7と側板部5とを接合する。
【0031】
次に、上記の如く組み立てた外側構造体Bの雛壇部2、背板部3及び底板部4の間に、内側構造体Cを挿設し、その後、外側構造体Bの反側板部側(図2中で左側)となる上下の通し孔8及びガイド溝9に止着具11を設ける。本発明の陳列装置Aは、内側構造体Cが、摺動方向を長手方向とするガイド溝9を備えると共に、外側構造体Bが、ガイド溝9に対して摺動自在に係合するガイドピンを備えたものとなっており、この実施形態においては、止着具11が上記ガイドピンを兼用している。
【0032】
以上のように、陳列装置Aは、両構造体B,C及び側板部5を夫々折り畳み自在な一枚の素材Bm,Cm,5mから成るものとすることで、部品点数が少なく、手作業で簡単に組み立てることができると共に、両構造体B,Cを互いに摺動させることによって、ガイド溝9の長さ範囲で伸縮させることができる。すなわち、図1(a)に示す伸長状態から図1(b)に示す縮小状態の間で、装置左右方向の長さを任意に選択することができ、例えば、商品の種類や陳列数の変更などに速やかに対応し得るものとなる。
【0033】
また、陳列装置Aは、両側の側板部5,5が、背板部3側の辺と底板部4側の辺の交点と、斜辺の中央とを結ぶ線に沿って装置外側へ山折りすることができるので、各構造体B,Cの連結片7との間に設けた止着具11を取り外すと、図1(c)に示すように、背板部3と底板部4を重合するように折り畳むことができ、運搬や保管に非常に便利である。
【0034】
さらに、陳列装置Aは、内側構造体Cのガイド溝9と外側構造体Bのガイドピン(止着具11)との係合により、互いの摺動動作がより円滑であって、両構造体B,Cが不用意に外れることもない。また、ガイドピンと止着具11を兼用することで、部品点数や製造コストのさらなる削減を図ることができる。
【0035】
さらに、陳列装置Aは、段ボール以外の材料を使用することも当然可能であるが、段ボールを用いれば、製造コストのさらなる低減を図ることができるうえに、リサイクルにも容易に対処し得ることとなる。
【0036】
さらに、陳列装置Aは、構造体素材Bm,Cmと側板部素材5mとを一体化させることも可能である。しかし、上述の如く段ボールを用いた場合には、構造体素材Bm,Cmと側板部素材5mとを別体にし、とくに、側板部素材5mとして、を装置内外の両面5a,5bを折り曲げ自在に連続させたものを採用することで、装置の外面全体を段ボールの片側の面だけで形成することができる。したがって、片側の面のみに印刷や化粧紙を設けた段ボールを用いれば、その印刷や化粧紙の面で装置外面を形成して、良好な外観体裁を得ることができる。
【0037】
本発明の陳列装置は、その構成が上記実施形態のみに限定されるものではなく、各部の形態や雛壇部の段数などを適宜変更することができる。また、上記実施形態では、組み立ての際に接着剤を使用する場合を例示したが、例えば、互いに係合する突片とスリットを設けて、接着剤を使用せずに接合する構造でも良い。さらに、上記実施形態では、一つの外側構造体を備えた構成を例示したが、二つの外側構造体を備えると共に、両外側構造体の雛壇部と背板部と底板部の間に内側構造体を挿設した構成にすることもできる。
【符号の説明】
【0038】
A 陳列装置
B 外側構造体
Bm 構造体素材
C 内側構造体
Cm 構造体素材
2 雛壇部
3 背板部
4 底板部
5 側板部
5m 側板部素材
9 ガイド溝
11 止着具(ガイドピン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面の雛壇部、背板部及び底板部を有する外側構造体と、同じく雛壇部、背板部及び底板部を有して断面形状が外側構造体と相似形である内側構造体と、左右両側の側板部を備えると共に、外側構造体の雛壇部と背板部と底板部の間に、内側構造体を摺動可能に挿設したことを特徴とする陳列装置。
【請求項2】
内側構造体が、摺動方向を長手方向とするガイド溝を備えると共に、外側構造体が、ガイド溝に対して摺動自在に係合するガイドピンを備えていることを特徴とする請求項1に記載の陳列装置。
【請求項3】
外側構造体及び内側構造体が、雛壇部と背板部と底板部を折り曲げ自在に連続させた一枚の構造体素材から成り、この構造体素材を折り曲げて形成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の陳列装置。
【請求項4】
側板部が、背板部の垂直方向の辺及び底板部の奥行方向の辺を二辺とする三角形状であって、これら二辺の交点と斜辺の中央とを結ぶ線に沿って装置外側へ山折り自在であることを特徴とする請求項3に記載の陳列装置。
【請求項5】
側板部が、装置内外の両面を折り曲げ自在に連続させた一枚の側板部素材から成り、この側板部素材を折り曲げて形成してあると共に、前記構造体素材及び側板部素材が、段ボール製であることを特徴とする請求項3又は4に記載の陳列装置。
【請求項6】
外側構造体が、雛壇部と背板部を接合する複数の止着具と、雛壇部と底板部を接合する複数の止着具を備え、一部の止着具がガイド溝に係合するガイドピンを兼用していることを特徴とする請求項5に記載の陳列装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−252950(P2010−252950A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104860(P2009−104860)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(591135657)ワヨー株式会社 (29)
【Fターム(参考)】