説明

履物及び履物の製造方法

【課題】種々のデザインにも容易に適用可能であると共に、簡易な構成で良好な温感性を実現することができる履物及び該履物の製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】靴の底部を構成する靴底部200と、該靴底部200の上方に設けられて足を収容する足収容空間を構成するアッパー部100とを少なくとも備える履物1であって、前記アッパー部100は、靴の内側を構成する内材層110と、靴の外側を構成する外材層120と、該外材層120と前記内材層110との間に少なくとも遠赤外線を放射する温感接着剤層131aを備えた中間層130とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易な構成で良好な温感性を実現することができる履物及び該履物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
足は体の部位の中で、心臓から離れた位置にあることから、血行不良となり易く、冷えを感じ易い。よって、温感性を持たせた履物が種々開発されている。
このような温感性を持たせた履物を示す従来技術として、例えば下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−8558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、温感性靴中敷きに関する発明で、温感性が良く耐久性に優れ、靴の中敷きとしての風合が優れているというメリットがある。
しかし上記特許文献1に示すものは、あくまで靴中敷きに温感性を持たせたものであることから、足裏を暖めることは可能であっても、足を一体的に暖めることができず、温感性に優れないという問題があった。
またデザインや用途の異なる靴に用いる場合には、中敷きの形状をその都度変更する必要があることから、製造工程が複雑化すると共に、製造コストを抑えることができないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記従来における問題点を解決し、種々のデザインにも容易に適用可能であると共に、簡易な構成で良好な温感性を実現することができる履物及び該履物の製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の履物は、靴の底部を構成する靴底部と、該靴底部の上方に設けられて足を収容する足収容空間を構成するアッパー部とを少なくとも備える履物であって、前記アッパー部は、靴の内側を構成する内材層と、靴の外側を構成する外材層と、該外材層と前記内材層との間に少なくとも遠赤外線を放射する温感接着剤層を備えた中間層とを有することを第1の特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の特徴によれば、履物は、靴の底部を構成する靴底部と、該靴底部の上方に設けられて足を収容する足収容空間を構成するアッパー部とを少なくとも備える履物であって、前記アッパー部は、靴の内側を構成する内材層と、靴の外側を構成する外材層と、該外材層と前記内材層との間に少なくとも遠赤外線を放射する温感接着剤層を備えた中間層とを有することから、接着剤層自体に遠赤外線を放射する機能を持たせることで、靴に別部材を付加させることなく、足に遠赤外線を放射することができる。よって種々のデザインや用途の履物にも容易に適用可能であると共に、簡易な構成で良好な温感性を実現できる履物とすることができる。
【0008】
また本発明の履物は、上記本発明の第1の特徴に加えて、中間層は、遠赤外線を放射する温感シート層を1対の温感接着剤層で挟んでなる第1の中間層と、接着剤層からなる第2の中間層と、遠赤外線を放射する温感シート層を1対の接着剤層で挟んでなる第3の中間層とからなると共に、前記第1の中間層は内材層と接合し、前記第2の中間層は外材層と接合し、前記第3の中間層は前記第1の中間層と前記第2の中間層との間に介在することを第2の特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の特徴によれば、上記本発明の第1の特徴による作用効果に加えて、中間層は、遠赤外線を放射する温感シート層を1対の温感接着剤層で挟んでなる第1の中間層と、接着剤層からなる第2の中間層と、遠赤外線を放射する温感シート層を1対の接着剤層で挟んでなる第3の中間層とからなると共に、前記第1の中間層は内材層と接合し、前記第2の中間層は外材層と接合し、前記第3の中間層は前記第1の中間層と前記第2の中間層との間に介在することから、一段と良好な温感性を実現することができる履物とすることができる。また中間層に温感シート層を複数層介在させることで、履物の強度を向上させることができ、耐久性の良い履物とすることができる。
【0010】
また本発明の履物は、上記本発明の第1又は第2の特徴に加えて、温感接着剤層は、少なくともラテックスと合成樹脂とを主成分とする接着剤に、遠赤外線を放射する遠赤外線放射体を分散させてなることを第3の特徴としている。
【0011】
上記本発明の第3の特徴によれば、上記本発明の第1又は第2の特徴による作用効果に加えて、温感接着剤層は、少なくともラテックスと合成樹脂とを主成分とする接着剤に、遠赤外線を放射する遠赤外線放射体を分散させてなることから、遠赤外線を効率良く足に放射することができる履物とすることができる。
【0012】
また本発明の履物は、上記本発明の第3の特徴に加えて、遠赤外線放射体は、蛇紋石からなることを第4の特徴としている。
【0013】
上記本発明の第4の特徴によれば、上記本発明の第3の特徴による作用効果に加えて、遠赤外線放射体は、蛇紋石からなることから、遠赤外線の放射率が高い蛇紋石を用いることで、一段と遠赤外線放射効率を高めることができ、一段と良好な温感性を実現できる履物とすることができる。
【0014】
また本発明の履物は、上記本発明の第3又は第4の特徴に加えて、温感接着剤層におけるラテックスと合成樹脂と遠赤外線放射体との成分組成は、前記温感接着剤層の総重量に対して、ラテックス:70%〜80%、合成樹脂:4%〜8%、遠赤外線放射体:15%〜25%であることを第5の特徴としている。
【0015】
上記本発明の第5の特徴によれば、上記本発明の第3又は第4の特徴による作用効果に加えて、温感接着剤層におけるラテックスと合成樹脂と遠赤外線放射体との成分組成は、前記温感接着剤層の総重量に対して、ラテックス:70%〜80%、合成樹脂:4%〜8%、遠赤外線放射体:15%〜25%であることから、適度な粘性と良好な遠赤外線放射性とを同時に実現できる温感接着剤層とすることができる。
【0016】
また本発明の履物は、上記本発明の第1〜第5の何れか1つの特徴に加えて、靴底部の上面に、遠赤外線を放射する中敷きシートを設けることで、少なくとも足先から踝までに至る足の周囲に遠赤外線を放射可能としてあることを第6の特徴としている。
【0017】
上記本発明の第6の特徴によれば、上記本発明の第1〜第5の何れか1つの特徴による作用効果に加えて、靴底部の上面に、遠赤外線を放射する中敷きシートを設けることで、少なくとも足先から踝までに至る足の周囲に遠赤外線を放射可能としてあることから、足の周囲に一体的に遠赤外線を放射することができ、一段と良好な温感性を実現できる履物とすることができる。
【0018】
また本発明の履物の製造方法は、請求項1に記載の履物の製造方法であって、アッパー部の製造工程に、少なくともラテックスと合成樹脂とを主成分とする接着剤に、遠赤外線を放射する遠赤外線放射体と水とを加えて撹拌させることで、水分を含む糊状の温感接着剤を形成する工程と、前記水分を含む糊状の温感接着剤を靴の内側を構成する内材層に塗布して第1の温感接着剤塗布層を形成する工程と、該第1の温感接着剤塗布層に遠赤外線を放射する温感シートを貼り付けて温感シート層を形成する工程と、該温感シート層に前記水分を含む糊状の温感接着剤を塗布して第2の温感接着剤塗布層を形成する工程と、前記内材層と前記第1の温感接着剤層と前記温感シート層と前記第2の温感接着剤層とからなる内側積層体を、乾燥手段を用いて乾燥させることで、前記水分を含む糊状の温感接着剤を、水分が蒸発した半固形状の温感接着剤へと硬化させる工程とを少なくとも備えることを第7の特徴としている。
【0019】
上記本発明の第7の特徴によれば、履物の製造方法は、請求項1に記載の履物の製造方法であって、アッパー部の製造工程に、少なくともラテックスと合成樹脂とを主成分とする接着剤に、遠赤外線を放射する遠赤外線放射体と水とを加えて撹拌させることで、水分を含む糊状の温感接着剤を形成する工程と、前記水分を含む糊状の温感接着剤を靴の内側を構成する内材層に塗布して第1の温感接着剤塗布層を形成する工程と、該第1の温感接着剤塗布層に遠赤外線を放射する温感シートを貼り付けて温感シート層を形成する工程と、該温感シート層に前記水分を含む糊状の温感接着剤を塗布して第2の温感接着剤塗布層を形成する工程と、前記内材層と前記第1の温感接着剤層と前記温感シート層と前記第2の温感接着剤層とからなる内側積層体を、乾燥手段を用いて乾燥させることで、前記水分を含む糊状の温感接着剤を、水分が蒸発した半固形状の温感接着剤へと硬化させる工程とを少なくとも備えることから、簡易な構成で水分を含む糊状の温感接着剤を形成することができる。また水分を含む糊状の温感接着剤とすることで、塗布作業を容易に行うことができ、第1及び第2の温感接着剤塗布層を容易に形成することができる。よって製造効率の良い履物の製造方法とすることができる。
また内側積層体を形成した状態で水分を含む糊状の温感接着剤を、水分が蒸発した半固形状の温感接着剤へと硬化させることで、内側積層体を半製品とすることができる。
また第1の温感接着剤層と第2の温感接着剤層との間に温感シート層を介在させる構成とすることで、良好な温感性及び強度を備えた内側積層体とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の履物及び該履物の製造方法によれば、種々のデザインにも容易に適用可能であると共に、簡易な構成で良好な温感性を実現することができる履物及び該履物の製造方法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る履物を示す全体斜視図である。
【図2】(a)は履物全体の長手方向における断面図、(b)はアッパー部の要部を示す断面図、(c)は中敷き部の要部を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る履物の製造工程の全体的な流れを簡略化して示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る履物における内側積層体の製造工程を簡略化して示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る履物における内側積層体の製造工程を簡略化して示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る履物におけるアッパー部の製造工程を簡略化して示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る履物における中敷き部の製造工程を簡略化して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の図面を参照して、本発明の実施形態に係る履物及び該履物の製造方法を説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の実施形態であって、特許請求の範囲に記載の内容を限定するものではない。
【0023】
まず図1〜図3を参照して、本発明の実施形態に係る履物1を説明する。
本発明の実施形態に係る履物1は、婦人用のいわゆるハイヒール靴である。
前記履物1は、図1、図2(a)に示すように、アッパー部100と、靴底部200と、中底部300と、中敷き部400とから構成される。
【0024】
前記アッパー部100は、足を収容する足収容空間を構成する部材である。
このアッパー部100は、図2(b)に示すように、内材層110と、外材層120と、中間層130とから構成される。
【0025】
前記内材層110は、履物1の内表面を構成し、主として足の甲及び足の側面と接触する層である。
内材層110を形成する素材としては、履物1の形状を保持できる強度、柔軟性、通気性等を併せ持つシート状や布状の素材であれば、如何なる素材であってもよい。例えば天然皮革や合成皮革等を用いることができる。これらの素材が図3に示す所定形状(具体的には、足先、足の甲、足の側面と接触する形状)に裁断されることで、内材層110が形成されている。
なお、内材層110の形状、厚み等は、履物1のデザインや用途等によって適宜変更可能である。
【0026】
前記外材層120は、履物1の外表面を構成する層である。
外材層120を形成する素材としては、履物1の形状を保持できる強度、柔軟性、通気性等を併せ持つシート状や布状の素材であれば、如何なる素材であってもよい。例えば天然皮革や合成皮革等を用いることができる。これらの素材が図3に示す所定形状(具体的には、足を出し入れする開口部を備えると共に、足先、足の甲、足の側面、踵(かかと)を覆う形状)に裁断されることで、外材層120が形成されている。
なお、外材層120の形状、厚み等は、履物1のデザインや用途等によって適宜変更可能である。
【0027】
前記中間層130は、図2(b)に示すように、内材層110と外材層120との間に設けられ、内材層110と外材層120とを接合させるための層である。また同時に遠赤外線を放射すると共に、履物1の強度を向上させるための層である。
この中間層130は、第1の中間層131と、第2の中間層132と、第3の中間層133とから構成される。
【0028】
前記第1の中間層131は、図2(b)に示すように、内材層110と接合し、遠赤外線を放射すると共に、第2の中間層132及び第3の中間層133を介して、内材層110を外材層120と接合させるための層である。
この第1の中間層131は温感接着剤層131aと、温感シート層131bとから構成される。より具体的には本実施形態においては、温感シート層131bを1対の温感接着剤層131a、131aで挟むことで、第1の中間層131が形成されている。
【0029】
前記温感接着剤層131aは、遠赤外線を放射する機能を備えた接着剤で構成される層である。
本実施形態においては、温感接着剤層131aは、ラテックスと合成樹脂とからなる接着剤に、遠赤外線を放射する遠赤外線放射体を分散させてなる半固形状の温感接着剤で形成されている。
なお、温感接着剤層131aの総重量に対する、ラテックスと合成樹脂と遠赤外線放射体との成分組成は、ラテックス:70%〜80%、合成樹脂:4%〜8%、遠赤外線放射体:15%〜25%とすることが望ましい。より好適にはラテックス:73%〜74%、合成樹脂:5%〜7%、遠赤外線放射体:18%〜23%とすることが望ましい。
また本実施形態においては、合成樹脂としてアクリル樹脂を用いると共に、遠赤外線放射体として遠赤外線の放射率が高い貴蛇紋石の粉末を用いる構成としてある。
なお貴蛇紋石の粒径は、0.1μm〜10μm程度、より好適には0.5μm〜6μm程度とすることが望ましい。
また温感接着剤層131aの厚みは、1.5mm〜2mm程度とすることが望ましい。が、履物1のデザインや用途等によって適宜変更可能である。
【0030】
前記温感シート層131bは、遠赤外線を放射するシートで構成される層である。
本実施形態においては、シートとして、遠赤外線を放射する遠赤外線放射体の粉末を練り込んだ不織布を用いている。より具体的には、ポリエチレン発泡シートに遠赤外線を放射する鉱石の粉末を練り込んだ不織布を用いている。
なお図示していないが、温感シート層131bは、既述した内材層110と同一形状に不織布を裁断することで形成されており、その表裏両面に温感接着剤層131aが形成されている。
なお温感シート層131bの厚み等は、履物1のデザインや用途等によって適宜変更可能である。
【0031】
前記第2の中間層132は、図2(b)に示すように、外材層120と接合する接着剤で構成される層であり、第1の中間層131及び第3の中間層133を介して、外材層120を内材層110と接合させるための層である。
本実施形態においては、第2の中間層132を形成する接着剤として、ラテックスを用いる構成としている。
なお図示していないが、第2の中間層132は、内材層110と対向する範囲に形成されている。
また第2の中間層132の厚み等は、履物1のデザインや用途等によって適宜変更可能である。
【0032】
前記第3の中間層133は、第1の中間層131と第2の中間層132との間に介在し、第1の中間層131が接合される内材層110と、第2の中間層132が接合される外材層120とを接合させるための層である。また同時に遠赤外線を放射すると共に、履物1の強度を向上させるための層である。
この第3の中間層133は、図2(b)に示すように、接着剤層133aと、温感シート層133bとから構成される。より具体的には、本実施形態においては、遠赤外線を放射する温感シート層133bを1対の接着剤層133a、133aで挟むことで、第3の中間層133が形成されている。
【0033】
前記接着剤層133aは、内材層110に接合される第1の中間層と外材層120に接合される第2の中間層132とを接合させるための接着剤で構成される層である。
本実施形態においては、熱可塑性樹脂を主成分とする、いわゆるホットメルト接着剤からなるシートで接着剤層133aを形成してある。
なお、ここで「ホットメルト接着剤」とは、熱可塑性樹脂を主成分とした固形接着剤であり、加熱し融解した状態にして流動性を付与(ホットメルト)した上で塗布し、冷却することで硬化、接着する接着剤のことを意味するものとする。
【0034】
前記温感シート層133bは、遠赤外線を放射するシートで構成される層である。
この温感シート層133bは、既述した温感シート層131bと同一部材で形成されるものであることから、以下の詳細な説明は省略することとする。
なお図示していないが、温感シート層133bは、既述した内材層110と同一形状に不織布を裁断することで形成されており、その表裏両面に既述した接着剤層133aが形成されている。
また温感シート層133bの厚み等は、履物1のデザインや用途等によって適宜変更可能である。
【0035】
前記靴底部200は、足裏形状に近似した平面視形状を有する板状部材であり、履物1の底部を構成し、地面と接触する部材である。
なお靴底部200は、天然ゴム等、履物の靴底として通常用いられる部材を一体成形することで形成されている。
この靴底部200は、図示しない接着剤層を介して中底部300の下面に貼り付けられている。
また靴底部200の大きさ、形状、厚み等は、履物1のデザインや用途によって適宜変更可能である。
【0036】
前記中底部300は、既述した靴底部200と同様に、足裏形状に近似した平面視形状を有する板状部材であり、履物1の骨格を構成する部材である。
なお中底部300としては、厚紙、ABS(アクリルロニトリルブタジエンスチレン)等、履物の骨格を構成する部材として通常用いられる部材を一体成形することで形成されている。
また中底部300の形状、厚み等は、履物1のデザインや用途によって適宜変更可能である。
【0037】
前記中敷き部400は、既述した靴底部200と同様に、足裏形状に近似した平面視形状を有する板状部材であり、足収容空間を形成するアッパー部100の内部に配置され、遠赤外線を放射すると共に、クッション材となる部材である。
本実施形態においては、図2(a)に示すように、中底部300の上面に図示しない接着剤層を介して貼り付けられることで、靴底部200の上面に設けられている。
なお中敷き部400は、必ずしも中底部300の上面に貼り付ける必要はなく、中底部300の上面に取り外し可能に載置させる構成としてもよい。
【0038】
この中敷き部400は、図2(c)に示すように、内材層410と、遠赤外線放射体層420と、接着剤層430とから構成される。
【0039】
前記内材層410は、足との接触面となる層である。
この内材層410は、既述した内材層110と同一部材で形成されるものであることから、以下の詳細な説明は省略するものとする。
なお、この内材層410は、内材層410を形成する素材を中底部300の平面視形状と略同一形状に裁断することで形成されている。
また内材層410の形状、厚み等は、履物1のデザインや用途等によって適宜変更可能である。
【0040】
前記遠赤外線放射体層420は、遠赤外線を放射する層であり、図2(c)に示すように、温感接着剤層421と、温感シート層422とから構成される。
本実施形態においては、温感接着剤層421と温感シート層422とを交互に積層し、3層の温感接着剤層421と2層の温感シート層422とで遠赤外線放射体層420を形成してある。
なお、この温感接着剤層421及び温感シート層422は、既述した温感接着剤層131a及び温感シート層131bと同一部材で形成されるものであることから、以下の詳細な説明は省略するものとする。
また図示していないが、温感シート層422は、既述した内材層410の平面視形状と同一形状に不織布を裁断することで形成されており、その表裏両面に温感接着剤層421が形成されている。
【0041】
前記接着剤層430は、中敷き部400を中底部300に貼り付けるための層である。
本実施形態においては、接着剤層430として両面テープを用いる構成としてある。
勿論、両面テープに限るものではなく、中敷き部400を中底部300に貼り付けることができるものであれば、如何なるものを用いる構成としてもよい。
なお図示していないが、接着剤層430は、既述した内材層410の平面視形状と同一形状に両面テープを裁断することで形成されている。
また接着剤層430の厚み等は、履物1のデザインや用途等によって適宜変更可能である。
【0042】
このような構成からなる中敷き部400を、既述した中底部300の上面に貼り付け、中底部300の下面に対してアッパー部100を吊り込むと共に、中底部300の下面を靴底部200の上面に図示しない接着剤層を介して貼り付けることで、履物1が形成される。
【0043】
このような構成からなる履物1を歩行者が履いて歩くと、足が履物1の中で摩擦を起こし熱が発生する。これによりアッパー部100を構成する温感接着剤層131a、温感シート層131b、温感シート層133bのそれぞれの層に分散される遠赤外線放射体が、受けた熱量を遠赤外線として放射する。
よってアッパー部100を構成する内材層110と対向する足の表面を一体的に暖めることができる。従って簡易な構成で良好な温感性を実現することができる履物1とすることができる。
更に本実施形態における履物1は、既述したように、温感接着剤層421、温感シート層422を備える中敷き部400を中底部300の上面に設ける構成としてある。
よって温感接着剤層421、温感シート層422のそれぞれの層に分散される遠赤外線放射体が、受けた熱量を遠赤外線として放射することで、中敷き部400と対向する足裏の表面を一体的に暖めることができる。
従ってアッパー部100と中敷き部400とを組み合わせることで、少なくとも足先から踝(くるぶし)までに至る足の周囲を一体的に暖めることができる。これにより、足の血行を効率良く改善させることができ、履物1に覆われている足の部分のみならず、脚部全体を暖めることができる。従って一段と良好な温感性を実現することができる履物1とすることができる。
【0044】
また温感接着剤層131a、温感接着剤層421においては、接着剤層自体に遠赤外線を放射する機能を持たせることで、靴に別部材を付加させることなく、簡易な構成で良好な温感性を実現することができると共に、デザインや用途の異なる履物(例えば紳士靴、スリッパ、ブーツ、介護靴等)に適用する場合でも、製造工程や製造コストを増加させることなく容易に適用することができる。
【0045】
また温感シート層131bを1対の温感接着剤層131a、131aで挟むことで形成される第1の中間層131を内材層110に接合し、更に遠赤外線を放射する温感シート層133bを1対の接着剤層133a、133aで挟むことで形成される第3の中間層を、第1の中間層131と第2の中間層132との間に介在させる構成とすることで、温感接着剤層131aと温感シート層131b、133bとが交互に積層される構成(より具体的には、2層の温感接着剤層131aと2層の温感シート層131b、133bとが交互に積層される構成。)とすることができる。よって足収容空間内の熱をアッパー部100の表面から外部に逃がし難くすることができ、良好な温感性を持続させることができる履物1とすることができると共に、履物1の強度を向上させることができ、耐久性の良い履物1とすることができる。
また温感接着剤層421と温感シート層422とを交互に積層し、3層の温感接着剤層421と2層の温感シート層422とで遠赤外線放射体層420を形成する構成とすることで、足収容空間内の熱を履物1の底部から逃がし難くすることができ、良好な温感性を持続させることができると共に、履物1の強度を向上させることができ、耐久性の良い履物1とすることができる。
更にアッパー部100と中敷き部400とを組み合わせることで、足収容空間内の熱を履物1の略全周から逃がし難くすることができ、一段と良好な温感性を持続させることができると共に、履物1の強度を一段と向上させることができ、耐久性の良い履物1とすることができる。
【0046】
また温感接着剤層131a、温感接着剤層421を、少なくともラテックスと合成樹脂とを主成分とする接着剤に、遠赤外線を放射する遠赤外線放射体を分散させてなる半固形状の温感接着剤で形成する構成とすることで、遠赤外線を効率良く足に放射することができると共に、良好なクッション性を備えた履物1とすることができる。
【0047】
また温感接着剤層131a、温感接着剤層421の総重量に対する、ラテックスと合成樹脂と遠赤外線放射体との成分組成を、ラテックス:70%〜80%、合成樹脂:4%〜8%、遠赤外線放射体:15%〜25%とすることで、適度な粘性と良好な遠赤外線放射性とを同時に実現することができる温感接着剤層とすることができる。
【0048】
また温感接着剤層131a、温感接着剤層421に分散される遠赤外線放射体を、蛇紋石、より好ましくは貴蛇紋石とすることで、一段と遠赤外線放射効率を高めることができ、一段と良好な温感性を実現することができる履物1とすることができる。
また蛇紋石(貴蛇紋石の場合も同様)の粒径を、0.1μm〜10μm程度とすることで、接着剤層に分散させ易いと共に、多量に含ませることができる。また歩行時に変形し難い遠赤外線放射体とすることができ、良好な温感性を持続させることができる。
【0049】
また温感シート層131b、温感シート層133b、温感シート層422を、遠赤外線を放射する遠赤外線放射体の粉末を練り込んだ不織布で形成する構成とすることで、加工が容易であると共に、製造コストを抑えることができる温感シート層とすることができる。
【0050】
また温感接着剤層131a、温感接着剤層421の厚みを1.5mm〜2mm程度とすることで、温感接着剤層の厚みを薄肉なものとすることができる。よって歩行者が履物1を履いた際、ごわつき感を感じることを防止することができる。従って良好な温感性とフィット感とを同時に実現することができる履物1とすることができる。
【0051】
図3〜図7を参照して、履物1の製造方法を説明する。
まず図3を参照して、本発明の実施形態に係る履物1の製造工程の全体的な流れを説明する。
まず内材層110を備える後述する内側積層体Pと、外材層120を備える後述する外側積層体Qとを、第3の中間層133(図示しない。)を介して接合することで、アッパー部100を形成する。
そして中底部300の上面に中敷き部400を接着剤層(図示しない。)を介して貼り付ける。
そして中敷き部400が貼り付けられた中底部300を、靴型(図示しない。)に固定する。
そして中底部300の下面にアッパー部100を吊り込む。
そして中底部300の下面に接着剤層(図示しない。)を介して靴底部200を貼り付ける。
そして靴型(図示しない。)を抜くことで、本発明に係る履物1が製造される。
なお履物1の製造工程は、既述したものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0052】
次に図4〜図7を参照して、本発明の実施形態に係る履物1の製造方法において、特徴的なアッパー部100及び中敷き部400の製造方法を更に詳細に説明する。
【0053】
まず図4〜図6を参照して、アッパー部100の製造方法を説明する。
ラテックスとアクリル合成樹脂とからなる接着剤と、遠赤外線を放射する遠赤外線放射体と、水とを容器に加えて撹拌させることで、水分を含む糊状の温感接着剤を形成する工程を行う。これにより水分を含む糊状の温感接着剤が形成される。
より具体的には、水分を含む糊状の温感接着剤の総重量に対して、ラテックス73.5%、アクリル合成樹脂6%、遠赤外線放射体(粒径が0.1μm〜10μm程度の貴蛇紋石の粉末)20%、水0.5%の割合で混合し、回転数を1300min−1で容器を回転させて撹拌させることで、水分を含む糊状の温感接着剤を形成する。
次に図4(a)を参照して、水分を含む糊状の温感接着剤を、内材層110の下面に塗布し、のばして均一な厚みに整えることで、第1の温感接着剤塗布層131a―1を形成する工程を行う。これにより内材層110の下面に第1の温感接着剤塗布層131a―1が形成される。
次に図4(b)を参照して、第1の温感接着剤塗布層131a―1の下面に遠赤外線を放射する温感シート(具体的には遠赤外線を放射する遠赤外線放射体の粉末を練り込んだ不織布、更に具体的には、ポリエチレン発泡シートに遠赤外線を放射する鉱石の粉末を練り込んだ不織布)を貼り付けて温感シート層131bを形成する工程を行う。これにより第1の温感接着剤塗布層131a―1の下面に温感シート層131bが形成される。
次に図4(c)を参照して、温感シート層131bの下面に水分を含む糊状の温感接着剤を塗布し、のばして均一な厚みに整えることで、第2の温感接着剤塗布層131a―2を形成する工程を行う。これにより温感シート層131bの下面に第2の温感接着剤塗布層131a―2が形成される。
以上の工程を経ることで、図4(c)に詳しくは図示していないが、内材層110と、第1の温感接着剤塗布層131a―1と、温感シート層131bと、第2の温感接着剤塗布層131a―2とからなるシート状の内側積層体Pが形成される。
【0054】
次に図5を参照して、このシート状の内側積層体Pを、乾燥手段500を用いて乾燥させることで、水分を含む糊状の温感接着剤を、水分が蒸発した半固形状の温感接着剤へと硬化させる工程を行う。これにより内側積層体Pにおける水分を含む糊状の温感接着剤が、水分が蒸発した半固形状の温感接着剤へと硬化する。
より具体的には、ロール状の筒の中にボイラーで作った水蒸気を入れることで、ロール状の筒自体を80℃程度に暖め、内材層110を接触させながら回転させる。これにより内側積層体Pが内側からゆっくりと乾燥され、水分やアンモニア等の不要な水溶性成分が蒸発することで、水分を含む糊状の温感接着剤が、水分が蒸発した半固形状の温感接着剤へと硬化する。
以上の工程を経ることで、1対の温感接着剤層131aで温感シート層131bを挟んでなる第1の中間層131を備える内側積層体Pが形成される。
【0055】
次に図6(a)を参照して、内側積層体Pと、外材層120の上面に第2の中間層を接合してなる外側積層体Qとを、既述した第3の中間層133を介して接合する。
以上の工程を経ることで、図6(b)に示すように、アッパー部100が製造される。
【0056】
このように本発明の実施形態に係るアッパー部100の製造方法とすることで、簡易な構成で水分を含む糊状の温感接着剤を製造することができる。
また水分を含む糊状の温感接着剤の総重量に対して、ラテックス73.5%、アクリル合成樹脂6%、遠赤外線放射体(粒径が0.1μm〜10μm程度の貴蛇紋石の粉末)20%、水0.5%の割合で混合し、回転数を1300min−1で容器を回転させて撹拌させて水分を含む糊状の温感接着剤を形成する構成とすることで、水分を含む糊状の温感接着剤の粘性を、液だれが起こり難い粘性とすることができる。よって内材層110及び温感シート層131bへの塗布作業や、のばして均一な厚みに整える作業を効率良く行うことができる。従って製造効率の良いアッパー部100の製造方法とすることができる。
また内側積層体Pを形成した状態で、水分を含む糊状の温感接着剤を水分が蒸発した半固形状の温感接着剤へと硬化させる構成とすることで、内側積層体P自体を、遠赤外線を放射する履物用の内材として半製品化することができる。
また1対の温感接着層131aで温感シート層131bを挟む構成とすることで、良好な温感性及び強度を備えた内側積層体Pとすることができる。
またアッパー部100の構成を、温感接着剤層131aと温感シート層131b、133bとが交互に積層される構成(より具体的には、2層の温感接着剤層131aと2層の温感シート層131b、133bとが交互に積層される構成)とすることができる。よって足収容空間内の熱をアッパー部100から外部に逃がし難くすることができ、良好な温感性を持続させることができる履物1とすることができると共に、アッパー部100の強度を向上させることができ、耐久性の良い履物1とすることができる。
【0057】
次に図7を参照して中敷き部400の製造方法を説明する。
図7(a)を参照して、既述したアッパー部100の製造方法において製造される水分を含む糊状の温感接着剤を内材層410の下面に塗布し、のばして均一な厚みに整え、第1の温感接着剤塗布層421aを形成する工程を行う。これにより内材層410の下面に第1の温感接着剤塗布層421aが形成される。
次に図7(b)を参照して、第1の温感接着剤塗布層421aの下面に遠赤外線を放射する温感シート(具体的には遠赤外線を放射する遠赤外線放射体の粉末を練り込んだ不織布、更に具体的には、ポリエチレン発泡シートに遠赤外線を放射する鉱石の粉末を練り込んだ不織布)を貼り付けて第1の温感シート層422aを形成する工程を行う。これにより第1の温感接着剤塗布層421aの下面に第1の温感シート層422aが形成される。
次に図7(c)を参照して、第1の温感シート層422aの下面に水分を含む糊状の温感接着剤を塗布し、のばして均一な厚みに整え、第2の温感接着剤塗布層421bを形成する工程を行う。これにより第1の温感シート層422aの下面に第2の温感接着剤塗布層421bが形成される。
次に図7(d)を参照して、第2の温感接着剤塗布層421bの下面に遠赤外線を放射する温感シート(具体的には遠赤外線を放射する遠赤外線放射体の粉末を練り込んだ不織布、更に具体的には、ポリエチレン発泡シートに遠赤外線を放射する鉱石の粉末を練り込んだ不織布)を貼り付けて第2の温感シート層422bを形成する工程を行う。これにより第2の温感接着剤塗布層421bの下面に第2の温感シート層422bが形成される。
以上の工程により、内在層410と、第1の温感接着剤塗布層421aと、第1の温感シート層422aと、第2の温感接着剤塗布層421bと、第2の温感シート層422bとが積層されてなる、詳しくは図示しないシート状の積層体Rが形成される。
その後、既述したアッパー部100の製造方法における条件と同一条件で乾燥手段500を用いて、シート状の積層体Rを乾燥させ、水分を含む糊状の温感接着剤を、水分が蒸発した半固形状の温感接着剤へと硬化させる工程を行う。これによりシート状の積層体Rにおける水分を含む糊状の温感接着剤が、水分が蒸発した半固形状の温感接着剤へと硬化する。
【0058】
次に図7(e)を参照して、第2の温感シート層422bの下面に水分を含む糊状の温感接着剤を塗布し、のばして均一な厚みに整え、第3の温感接着剤塗布層421cを形成する工程を行う。これにより第2の温感シート層422bの下面に第3の温感接着剤塗布層421cが形成される。
以上の工程により、内在層410と、2層の温感接着剤層421と、第1の温感シート層422aと、第2の温感シート層422bと、第3の温感接着剤塗布層421cとが積層されてなる、詳しくは図示しないシート状の積層体Sが形成される。
その後、既述したアッパー部100の製造方法における条件と同一条件で乾燥手段500を用いて、シート状の積層体Sを乾燥させ、第3の温感接着剤塗布層421cを形成する水分を含む糊状の温感接着剤を、水分が蒸発した半固形状の温感接着剤へと硬化させる工程を行う。これにより第3の温感接着剤塗布層421cを形成する水分を含む糊状の温感接着剤が、水分が蒸発した半固形状の温感接着剤へと硬化する。
【0059】
次に図7(f)を参照して、第3の温感接着剤塗布層421c(乾燥手段500による乾燥により温感接着剤層421となった)の下面に両面シールを貼り付けて接着剤層430を形成する工程を行う。これにより第3の温感接着剤塗布層421cの下面に接着剤層430が形成される。
以上の工程を経ることで、図7(f)に示すように、中敷き部400が製造される。
【0060】
このように本発明の実施形態に係る中敷き部400の製造方法とすることで、温感接着剤層421と温感シート層422とを交互に積層し、3層の温感接着剤層421と2層の温感シート層422とで遠赤外線放射体層420を形成する構成とすることができる。
よって足収容空間内の熱を履物1の底部から逃がし難くすることができ、良好な温感性を持続させることができると共に、履物1の強度を向上させることができ、耐久性の良い履物1とすることができる。
また乾燥手段500による乾燥を2回に分けて行う構成とすることで、水分を含む糊状の温感接着剤を、水分が蒸発した半固形状の温感接着剤へと硬化させる工程を精度良く行うことができる。
【0061】
なお本実施形態においては、温感接着剤層131a、温感接着剤層421を形成する接着剤として、ラテックスとアクリル合成樹脂とからなる接着剤を用いる構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、少なくともラテックスと合成樹脂とを主成分とする接着剤であれば適宜変更可能である。
また本実施形態においては、温感接着剤層131a、温感接着剤層421を形成する遠赤外線放射体として、蛇紋石(好ましくは貴蛇紋石)を用いる構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、遠赤外線を放射すると共に、接着剤に分散可能なものであれば他のものを用いる構成としてもよい。例えばトルマリン、麦飯石、黒化珪石等の天然の遠赤外線放射体や、セラミック等の人口合成の遠赤外線放射体等を用いることができる。
また本実施形態においては、温感シート層131b、温感シート層133b、温感シート層422を形成する素材として、遠赤外線を放射する遠赤外線放射体の粉末を練り込んだ不織布、より具体的にはポリエチレン発泡シートに遠赤外線を放射する鉱石の粉末を練り込んだ不織布を用いる構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、シート状で、断熱性が良く、遠赤外線を放射するものであれば適宜変更可能である。
また本実施形態においては、第2の中間層132を形成する接着剤として、ラテックスを用いる構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、他の接着剤を用いる構成としてもよい。
また本実施形態においては、第3の中間層133を形成する接着剤層133aを、熱可塑性樹脂を主成分とする、いわゆるホットメルト接着剤からなるシートで形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、内材層110に接合される第1の中間層と外材層120に接合される第2の中間層132とを接合させることができる接着剤であれば適宜変更可能である。
また第1の中間層131、第2の中間層132、第3の中間層133、遠赤外線放射体層420、接着剤層430を構成する層数も本実施形態のものに限るものではなく、履物1のデザインや用途等によって適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、簡易な構成で良好な温感性を実現することができる履物を提供することができることから、婦人靴、紳士靴等の履物の分野における産業上の利用性が高い。
【符号の説明】
【0063】
1 履物
100 アッパー部
110 内材層
120 外材層
130 中間層
131 第1の中間層
131a 温感接着剤層
131a―1 第1の温感接着剤塗布層
131a―2 第2の温感接着剤塗布層
131b 温感シート層
132 第2の中間層
133 第3の中間層
133a 接着剤層
133b 温感シート層
200 靴底部
300 中底部
400 中敷き部
410 内材層
420 遠赤外線放射体層
421 温感接着剤層
421a 第1の温感接着剤塗布層
421b 第2の温感接着剤塗布層
421c 第3の温感接着剤塗布層
422 温感シート層
422a 第1の温感シート層
422b 第2の温感シート層
430 接着剤層
500 乾燥手段
P 内側積層体
Q 外側積層体
R シート状の積層体
S シート状の積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴の底部を構成する靴底部と、該靴底部の上方に設けられて足を収容する足収容空間を構成するアッパー部とを少なくとも備える履物であって、前記アッパー部は、靴の内側を構成する内材層と、靴の外側を構成する外材層と、該外材層と前記内材層との間に少なくとも遠赤外線を放射する温感接着剤層を備えた中間層とを有することを特徴とする履物。
【請求項2】
中間層は、遠赤外線を放射する温感シート層を1対の温感接着剤層で挟んでなる第1の中間層と、接着剤層からなる第2の中間層と、遠赤外線を放射する温感シート層を1対の接着剤層で挟んでなる第3の中間層とからなると共に、前記第1の中間層は内材層と接合し、前記第2の中間層は外材層と接合し、前記第3の中間層は前記第1の中間層と前記第2の中間層との間に介在することを特徴とする請求項1に記載の履物。
【請求項3】
温感接着剤層は、少なくともラテックスと合成樹脂とを主成分とする接着剤に、遠赤外線を放射する遠赤外線放射体を分散させてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の履物。
【請求項4】
遠赤外線放射体は、蛇紋石からなることを特徴とする請求項3に記載の履物。
【請求項5】
温感接着剤層におけるラテックスと合成樹脂と遠赤外線放射体との成分組成は、前記温感接着剤層の総重量に対して、
ラテックス :70%〜80%
合成樹脂 :4%〜8%
遠赤外線放射体:15%〜25%
であることを特徴とする請求項3又は4に記載の履物。
【請求項6】
靴底部の上面に、遠赤外線を放射する中敷きシートを設けることで、少なくとも足先から踝までに至る足の周囲に遠赤外線を放射可能としてあることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の履物。
【請求項7】
請求項1に記載の履物の製造方法であって、アッパー部の製造工程に、少なくともラテックスと合成樹脂とを主成分とする接着剤に、遠赤外線を放射する遠赤外線放射体と、水とを加えて撹拌させることで、水分を含む糊状の温感接着剤を形成する工程と、前記水分を含む糊状の温感接着剤を靴の内側を構成する内材層に塗布して第1の温感接着剤塗布層を形成する工程と、該第1の温感接着剤塗布層に遠赤外線を放射する温感シートを貼り付けて温感シート層を形成する工程と、該温感シート層に前記水分を含む糊状の温感接着剤を塗布して第2の温感接着剤塗布層を形成する工程と、前記内材層と前記第1の温感接着剤層と前記温感シート層と前記第2の温感接着剤層とからなる内側積層体を、乾燥手段を用いて乾燥させることで、前記水分を含む糊状の温感接着剤を、水分が蒸発した半固形状の温感接着剤へと硬化させる工程とを少なくとも備えることを特徴とする履物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−165986(P2012−165986A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31561(P2011−31561)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(511042762)
【Fターム(参考)】