説明

履物用中敷の構造

【目的】 この考案は、履物の内部及び履物を使用中の足を抗菌及び消臭等の作用により衛生的に維持し、併せて使用中の足裏に柔軟な刺激を与えることにより、長時間の使用により足裏の疲れを効率的に除去することを目的としている。
【構成】 この考案に係る中敷は、織布を基材としこの基材に予め抗菌剤及び消臭剤などの薬剤処理を施すと共に、この基材を発泡ポリエチレンによるラミネート加工と加圧熱加工とを施して表面に幾何模様を呈する凹凸面を構成した複合素材を作り、該複合素材を足型に裁断して中敷を形成し、該中敷の底面に接着面を設けたもの及び底面に厚紙を貼着した中敷を設けることにより、靴用とスリッパ及びサンダル用の中敷をそれぞれ構成したものである。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】 この考案は、先願実願平8−10215号の改良に係り、使用中の足及び履物を抗菌及び消臭等の作用により、足及び履物を衛生的に維持し、併せて使用中の足裏に柔軟な刺激を与えることにより、長時間の使用により足裏の疲れを効率的に除去しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来足裏のツボを押えるための突起物を有する中敷として実用新案登録第3008956号の図4及び図5のものがある。このものは、本願図面のうち図4(C)に示すように中敷(10)の全面に挿孔(11)群を無数に設け、各挿孔(11)には中敷(10)の裏面から突起物(12)を嵌挿し、挿孔(11)より大きい外径の係止部(13)により挿孔(11)に止着されており、図4(D)
の突起物(12a)は係止部(13)の下部に、挿孔(11)の内径より大き目の突縁(14)を設けて挿孔(11)に止着したものである。この中敷の突起物はツボに当るもの以外は大き目の突起物により足裏を強く刺激して長時間使用できない不都合があった。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
この考案は、履物用の中敷を足裏と向き合う表面に、足裏を柔軟に刺激すると共に靴の内部及び足の衛生的な維持と相俟ち、表面に汗及び汚れが沁み込まないようにすることを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本考案の中敷は、織布を基材してこの基材に予め抗菌剤及び消臭剤などの薬剤処理を施し、この基材を発泡ポリエチレンによるラミネート加工及び加圧熱成型により、表面に幾何模様の凹凸面を有する複合素材を作り、該複合素材を足型裁断により中敷を形成し、該中敷の裏面に接着面を有するものと、別に裏面に厚紙を貼着した中敷とを形成するようにしたものである。
【0005】
【作用】
上記にように裏面に剥ぎ取り紙をもって被覆した接着面を有する中敷を使用するには、先づ剥ぎ取り紙を中敷の裏面から取外したのち、この中敷をスリッパ又はサンダルの足裏に向き合う表面に貼り着けると、中敷の表面に形成された幾何模様の凹凸面が足裏に柔軟に接して長時間の使用にも足裏を強く刺激せず、然も足裏の全面を均一に加圧する。また、裏面に厚紙を貼着した中敷の場合は、そのまま靴類の中に挿入して使用に供し、この場合は靴の内部の汚れによる臭気とか汗及び脂足による水虫などは、複合素材の薬品処理による作用により阻止して足及び靴の内部を衛生的に維持する。
【0006】
【実施例】
以下実施例に就いて図面を参照して説明すると、図1、図2(A)及び図3に示すように複合素材(1)は織布を基材(2)とし、この基材(2)に予め抗菌剤及び防臭剤などの薬剤の処理を施したのち、基材(2)を発泡ポリエチレン(3)によるラミネート加工により重合して一体にすると共に、これを更に加圧熱成型することで中敷(4)を成型し、該中敷(4)の表面(足裏に接する側)に幾何模様を呈する凹凸面(5)を形成し、この中敷(4)の裏面には剥ぎ取り紙(6)をもって被覆した接着面(7)を設ける。
【0007】
複合素材(1a)は、図2(B)に示すように同じく織布を基材(2)とし該基材(2)は同じく予め薬剤の処理を施し、この基材(2)を発泡ポリエチレン(3)によりラミネート加工による重合したのち、これを加圧熱成型して表面に幾何模様状の凹凸面(5)を形成した中敷(4a)を成型し、該中敷(4a)の裏側の接着面(7)には厚紙(8)を貼着したもである。
【0008】
【考案の効果】
この考案は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0009】
本考案は、基材とする織布を発泡ポリエチレンによるラミネート加工により複合素材を作り、これを加圧熱成型することにより表面に幾何模様状の凹凸面を形成する中敷を成型したので使用中に足裏の疲れを効率的に除去することができる。
【0010】
中敷の基材に予め抗菌、防臭などの薬剤を処理してあるので、中敷を靴類のように外気と遮断された内部の足の発汗及び汚れによる異臭及び水虫などの発生を確実に防止し、かつ予防することができる。
【0011】
中敷表面の凹凸面は、幾何模様風と、明るい彩色とによりスリッパ又はサンダルに接着面を介して装着した場合には外観を優美に、かつ清潔感のある履物として評価される効果も付随する。
【0012】
凹凸面は小形の高低部分により形成されているので、従来の足裏のツボを押える目的でサンダルの表面に大きく作られた突起物群がツボ以外の足裏と強く刺激して長く使用できないものと異なり、本願の凹凸面は足裏の全面を均等にかつ柔軟に加圧するので、長時間使用しても足裏を痛めることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案中敷の平面図である。
【図2】(A)は、図1に於けるX−X線の部分拡大断面図である。(B)は、別の実施例の部分拡大断面図である。
【図3】本案中敷の底面図である。
【図4】(C)、(D)は従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1 複合素材
1a 複合素材
2 基材
3 発泡ポリエチレン
4 中敷
4a中敷
5 凹凸面
6 剥ぎ取り紙
7 接着面
8厚紙

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 複合素材(1)の足型裁断により表面に幾何模様状の凹凸面(5)を形成すると共に、裏面に厚紙(8)を貼着してなる靴用の中敷(4)と、裏面に剥ぎ取り紙(6)をもって覆った接着面(7)を有するスリッパ用の中敷(4a)とを特徴とする履物用中敷の構造。
【請求項2】 上記複合素材(1)は、織布を基材(2)とし、該基材(2)に予め抗菌剤及び消臭剤などの薬剤処理を施すと共に、この基材(2)を発泡ポリエチレン(3)によるラミネート加工及び加圧熱成型により表面に幾何模様状の凹凸面(5)を形成してなることを特徴とする履物用中敷の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】第3038889号
【登録日】平成9年(1997)4月16日
【発行日】平成9年(1997)6月30日
【考案の名称】履物用中敷の構造
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−13547
【出願日】平成8年(1996)12月19日
【出願人】(395015917)株式会社トリオパック (1)