説明

岩盤亀裂推定装置及び岩盤亀裂推定方法

【課題】岩盤内の亀裂を推定する。
【解決手段】線状調査に基づく岩盤内の亀裂の性状データを入力し、性状データの中から対象とする亀裂の選定し、線状調査の調査線方向と亀裂面の走向傾斜のなす角に基づき、真の亀裂間隔の逆数を重みとした亀裂の出現頻度の補正計算を行い、亀裂面の方向をその面に対する法線ベクトルの向きで代表させ、極座標系で表される面の極を平面座標系に変換して平面投影し、投影面上での極間の距離の近接性を指標として亀裂の群別を行い、群別されたデータの頻度分布から、各群内で最も頻度が大きい卓越方向を求め、群別した亀裂面を調査線沿いにプロットし、各群に属する亀裂の空間的な出現状況を図示し、亀裂の分布状況より、亀裂が調査線上で満遍なく分布する場合には、亀裂本数を出現範囲距離で割った平均亀裂間隔を計算して求め、亀裂が群毎に固まって出現する場合には、亀裂群内での平均亀裂間隔と群間の平均間隔を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岩盤亀裂推定装置及び岩盤亀裂推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルや地下発電所等の岩盤空洞構造物を建設する際、岩盤中に分布する亀裂の状態を事前に把握することは、空洞の安定性、掘削時の湧水発生に対する評価として極めて重要である。亀裂の方向性・頻度を事前に調査する際には、通常、ボーリングや調査坑道などを設置し、その坑壁に出現した亀裂から代表的な方向性等の推定を行うのが一般的である。しかし、亀裂は3次元空間において様々な向きに分布しており、ボーリングや坑道等によって線状にサンプリングを行った調査結果(ここでは線状調査記録と称する)は、調査を行う方向(調査線方向)と浅い角度で交わる亀裂の出現頻度が減るなどの偏った情報を提供する。このような偏りを修正するため、調査線と亀裂のなす角に基づいて出現頻度に重みをかけた亀裂頻度分布の推定方法(Terzaghi Weighting)が提案されている。
【0003】
一方、岩盤中の亀裂は、過去に受けてきた地殻応力の方向によって、ある卓越した方向性を示すことがある。そのため亀裂方向性の頻度を調査すると、いくつかの方向に集中した亀裂群を識別することができる。亀裂群を識別する方法として、観察された亀裂頻度にある閥値を設けて機械的に分類する方法や、統計的手法を用いた方法などが従来から知られている。しかし、これらの方法において、上述した線状調査に由来する頻度分布の偏りを考慮した例は少ない。
【0004】
また亀裂は、断層周辺など岩盤破壊が特に進んだ箇所に多く発達する場合があり、対象地域内において常に均等に分布しているわけではない。従って、ある線状調査から亀裂の卓越方向が見出せたとしても、それが調査線内で一様に分布するものなのか、ある一箇所のみに集中するものなのか、繰り返し出現するものなのか等を区分することは、亀裂全体の空間的分布や頻度を想定する際に重要である。しかし、このような検討は個別の調査結果ごとに行われていると見られ、その手法は明確ではない。
【0005】
なお、先行技術として、切羽スケッチなどの簡便な切羽面情報を有効に活用してトンネル掘削作業を中断させることなく、亀裂分布等の地質状況を簡便かつ確実に得ることが出来る切羽前方亀裂分布予測方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。これは、既に掘削通過済みの過去の切羽面を含めた適宜切羽面における亀裂情報を抽出する切羽情報抽出手順と、切羽情報抽出手順で抽出した各切羽面に対して亀裂情報に基づき2次元クラックテンソルを算出するクラックテンソル算出手順と、各切羽面ごとに得られた2次元クラックテンソルを基に、トンネル内における所定基点からの離間距離に応じた亀裂密度分布を示すセミバリオグラムを算出し、セミバリオグラムを近似したバリオグラム関数を決定するバリオグラム決定手順と、バリオグラム関数に、既知の2次元クラックテンソルと、最尤法で得られる重み値とを代入することで既知の2次元クラックテンソルに対応した切羽面から所望の離間距離を隔てた未知岩盤について亀裂密度を算出推定する亀裂密度推定手順とを順に実施するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−032679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、岩盤空洞構造物を建設する際、ボーリングや調査坑道などによる調査記録から岩盤中に分布する亀裂の状態を事前に把握し、3次元的に分布する岩盤亀裂の分布状況を亀裂の局在化を考慮して推定することができる岩盤亀裂推定装置及び岩盤亀裂推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、線状調査に基づく岩盤内の亀裂の性状データを入力するデータ入力手段と、前記入力した性状データの中から対象とする亀裂の選定を行うデータ選定手段と、前記選定された前記性状データに対して、前記線状調査の調査線方向と亀裂面の走向傾斜のなす角に基づき、真の亀裂間隔の逆数を重みとした亀裂の出現頻度の補正計算を行う亀裂頻度補正手段と、前記亀裂面の方向をその面に対する法線ベクトルの向きで代表させ、極座標系で表される面の極を平面座標系に変換して平面投影し、投影面上での極間の距離の近接性を指標として亀裂の群別を行い、群別されたデータの頻度分布から、各群内で最も頻度が大きい卓越方向を求める分析手段と、前記群別した亀裂面を調査線沿いにプロットし、各群に属する亀裂の空間的な出現状況を図示する図示化手段と、前記亀裂の分布状況より、亀裂が調査線上で満遍なく分布する場合には、亀裂本数を出現範囲距離で割った平均亀裂間隔を計算して求め、亀裂が群毎に固まって出現する場合には、亀裂群内での平均亀裂間隔と群間の平均間隔を計算して求める亀裂間隔算出手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明は、データ入力手段と、データ選定手段と、亀裂頻度補正手段と、分析手段と、図示化手段と、亀裂間隔算出手段とを備える岩盤亀裂推定装置における岩盤亀裂推定方法であって、前記データ入力手段が、線状調査に基づく岩盤内の亀裂の性状データを入力するデータ入力ステップと、前記データ選定手段が、前記入力した性状データの中から対象とする亀裂の選定を行うデータ選定ステップと、前記亀裂頻度補正手段が、前記選定された前記性状データに対して、前記線状調査の調査線方向と亀裂面の走向傾斜のなす角に基づき、真の亀裂間隔の逆数を重みとした亀裂の出現頻度の補正計算を行う亀裂頻度補正ステップと、前記分析手段が、前記亀裂面の方向をその面に対する法線ベクトルの向きで代表させ、極座標系で表される面の極を平面座標系に変換して平面投影し、投影面上での極間の距離の近接性を指標として亀裂の群別を行い、群別されたデータの頻度分布から、各群内で最も頻度が大きい卓越方向を求める分析ステップと、前記図示化手段が、前記群別した亀裂面を調査線沿いにプロットし、各群に属する亀裂の空間的な出現状況を図示する図示化ステップと、前記亀裂間隔算出手段が、前記亀裂の分布状況より、亀裂が調査線上で満遍なく分布する場合には、亀裂本数を出現範囲距離で割った平均亀裂間隔を計算して求め、亀裂が群毎に固まって出現する場合には、亀裂群内での平均亀裂間隔と群間の平均間隔を計算して求める亀裂間隔算出ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、岩盤空洞構造物を建設する際、ボーリングや調査坑道などによる調査記録から岩盤中に分布する亀裂の状態を事前に把握し、3次元的に分布する岩盤亀裂の分布状況を亀裂の局在化を考慮して推定することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す岩盤亀裂推定装置1の動作を示すフローチャートである。
【図3】亀裂の出現頻度の補正計算を行う際の亀裂頻度補正の原理を示す説明図である。
【図4】亀裂面の走向・傾斜の定義とステレオプロットの概念を示す説明図である。
【図5】ステレオ図上の面の極間距離による群別例を示す図である。
【図6】亀裂群および亀裂郡内・群間間隔のプロット例を示す図である。
【図7】亀裂群の概念を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による岩盤亀裂推定装置を説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、パーソナルコンピュータで構成し、ボーリングや調査坑道などによる線状調査記録から3次元的に分布する岩盤亀裂の分布状況(方向性・頻度)を推定する岩盤亀裂推定装置である。符号2は、キーボードやマウス等で構成する入力部である。符号3は、カラー表示が可能な液晶ディスプレイ等で構成する表示部である。符号11は、ボーリングや調査坑道などによる線状調査記録を入力するデータ入力部である。符号12は、データ入力部11において入力した入力データを記憶しておく入力データ記憶部である。符号13は、入力データ記憶部12に記憶されている入力データに対して、公知のTerzaghi Weightingを用いて亀裂頻度の補正を行う亀裂頻度補正部である。符号14は、亀裂頻度の補正が行われた入力データに基づいて、3次元的に分布する岩盤亀裂の分布状況を亀裂の局在化を考慮して推定する分析部である。符号15は、分析部14による分析結果データを記憶する分析データ記憶部である。
【0013】
次に、図2を参照して、図1に示す岩盤亀裂推定装置1が岩盤亀裂の分布状況を推定する処理動作を説明する。まず、作業者は、入力部2を操作して、データ入力を行う。データ入力部11は、ボーリング孔壁や調査坑道壁面に現れる亀裂の性状データ(亀裂面の走向・傾斜、亀裂開口幅、亀裂長さ、亀裂充填物の種類)の入力を行う。これらのデータが記録媒体に記憶されている場合は、記録媒体の読み取り装置を介してデータ入力を行う(ステップS1)。ここで入力するデータは、ボーリングや調査坑道の位置(孔ロや坑内基点の座標)・向き・長さなどのデータと、ボーリング孔壁を撮影したボアホールスキャナ画像や調査坑道壁面を観察することによって得る亀裂面の走向・傾斜、開口幅、長さ、充填物の種類などのデータ、および各々の亀裂の位置データ(ボーリング口元からの深度やトンネル基点からの距離)である。データ入力部11は、入力したデータを入力データ記憶部12へ記憶する。
【0014】
次に、作業者は、入力部2を操作して、入力したデータの中から対象とする亀裂の選定を行う(ステップS2)。ボーリング孔壁や調査坑道壁に現れる亀裂には、非常に微細なもの(ヘアクラック)から幅数m以上にわたる断層など様々な規模の亀裂が出現する。一般にはボアホールスキャナ画像で識別される微細なヘアクラックは坑道壁面では識別しにくい。そこで、両者が混在するデータでは、亀裂が十分目視できる規模(例えば開口幅1ミリ以上)のものを対象とするなどのスクリーニングを行いデータ個数の偏りを排除する。データ入力部11は、入力データ記憶部12に記憶されているデータを表示部3に表示し、入力部2の操作に応じて、亀裂データの選定を行い、入力データ記憶部12に記憶されているデータを更新する。
【0015】
次に、作業者は、入力部2から、調査線と亀裂のなす角に基づく亀裂頻度の補正の指示操作を行う。この操作を受けて、亀裂頻度補正部13は、入力データ記憶部12に記憶されているデータを読み出し、調査線方向と亀裂面の走向傾斜のなす角に基づき、図3に示すように、Terzaghi Weightingを適用して真の亀裂間隔の逆数を重みとした亀裂の出現頻度の補正計算を行う(ステップS3)。このTerzaghi Weightingを適用した真の亀裂間隔の逆数を重みとした亀裂の出現頻度の補正計算は公知の計算方法を用いるため、詳細な計算方法の説明を省略する。亀裂頻度補正部13は、亀裂頻度の補正した結果のデータを入力データ記憶部12へ記憶する。
【0016】
次に、作業者は、亀裂頻度の補正が終わると、入力部2から補正結果を踏まえた統計的手法による亀裂群の識別を行う指示操作を行う。この操作を受けて、分析部14は、図4に示すように、亀裂面の方向をその面に対する法線ベクトルの向き(これを面の極とよぶ)で代表させ、極座標系で表される面の極を平面座標系に変換して平面投影し、投影面上での極間の距離の近接性を指標としてクラスター分析により亀裂の群別を行う(ステップS4)。そして、分析部14は、群別されたデータの頻度分布から、各群内で最も頻度が大きい卓越方向を求める(図5参照)。クラスター分析、頻度分布図の作成処理は、公知の処理を用いるため、ここでは、詳細な処理動作の説明を省略する。分析部14は、ここで得られた分析結果データを分析データ記憶部15へ記憶するともに、図5に示す頻度分布図を表示部3に表示する。
【0017】
次に、作業者は、入力部2から調査線上における亀裂群の分布状況の図示する指示操作を行う。この操作を受けて、分析部14は、群別した亀裂面を調査線沿いにプロットし、各群に属する亀裂の空間的な出現状況を図示する(ステップS5)。亀裂は断層などにより様々な方向性をもって局在化するものがあると考えられるので、群別した亀裂面を調査線沿いにプロットし、各群に属する亀裂の空間的な出現状況を図示することが有用である。分析部14は、各群に属する亀裂の空間的な出現状況を図示したもの表示部3に表示する。図6に示すように、縦幅に亀仮面の走向傾斜、横幅に亀裂位置をとり群別した亀裂をプロットしていくことにより、各群に属する亀裂が調査線上で満遍なく分布するのか、ある箇所に固まって分布するのか、繰り返し出現するのかが識別できるようになる。図6に示すプロット図は、公知のソフトウェアを用いるため、図を作成する詳細な処理動作の説明は省略する。
【0018】
次に、作業者は、入力部2から図示結果から亀裂分布のばらつきを把握し亀裂群内での頻度や群間での平均間隔を求めて図示する指示操作を行う。この操作を受けて、分析部14は、亀裂の分布状況より、亀裂が調査線上で満遍なく分布する場合には、亀裂本数を出現範囲距離で割った平均亀裂間隔(単位距離内での亀裂の本数)を計算して求め、亀裂が群毎に固まって出現する場合には、亀裂群内での平均亀裂間隔と群間の平均間隔を同様に計算して求める(ステップS6)。分析部14は、この平均間隔の情報を図示して表示部3に表示する(図6参照)。なお、図7は群内亀裂間隔と群間亀裂間隔の概念を示した図である。
【0019】
このように、図2に示すステップS1〜S6の処理動作により亀裂群卓越方向、各群内・群間での亀裂平均間隔をアウトプットすることにより、亀裂の3次元的分布状況を推定することができる。
【0020】
なお、前述の平均亀裂間隔は、調査線上に現れた「見掛け」の平均間隔である。真の亀裂間隔は亀裂面からの法線長さを求める必要があるが、実際には亀裂面は平行な平板状には分布していない。そこで、群内の全亀裂の方向をステップS4で求めた卓越方向で代表させた平均間隔や、卓越方向からの統計的なばらつき(例えば、調査線との亀裂面のなす角の平均値±標準偏差の範囲や、最大値と最小値の範囲など)を考慮した平均間隔の誤差幅を求めることにより、亀裂の3次元分布性をより高い信頼度で推定できる。
【0021】
以上説明したように、ボーリングや調査坑道などの線状調査結果に基づいて3次元的な亀裂分布状況の推定を行うに当たり、調査線と亀裂のなす角に由来する亀裂頻度の偏りの補正、定量的手法による亀裂群別化、調査線全体における亀裂群の分布の偏りの考慮、亀裂分布状況の推定という手順で実施することにより、線状調査に由来する偏りがより少ない推定が可能となる。また、亀裂の局在化を考慮しているので、調査結果全体を平均化したものよりも、より地質構造に忠実な亀裂分布・頻度を推定できる。
【0022】
なお、図1に示すデータ入力部11、亀裂頻度補正部13及び分析部14の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより岩盤亀裂推定処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0023】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
ボーリングや調査坑道などの線状調査結果に基づいて、3次元的な亀裂分布状況の推定を行うことが不可欠な用途に適用できる。
【符号の説明】
【0025】
1・・・岩盤亀裂推定装置、11・・・データ入力部、12・・・入力データ記憶部、13・・・亀裂頻度補正部、14・・・分析部、15・・・分析データ記憶部、2・・・入力部、3・・・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状調査に基づく岩盤内の亀裂の性状データを入力するデータ入力手段と、
前記入力した性状データの中から対象とする亀裂の選定を行うデータ選定手段と、
前記選定された前記性状データに対して、前記線状調査の調査線方向と亀裂面の走向傾斜のなす角に基づき、真の亀裂間隔の逆数を重みとした亀裂の出現頻度の補正計算を行う亀裂頻度補正手段と、
前記亀裂面の方向をその面に対する法線ベクトルの向きで代表させ、極座標系で表される面の極を平面座標系に変換して平面投影し、投影面上での極間の距離の近接性を指標として亀裂の群別を行い、群別されたデータの頻度分布から、各群内で最も頻度が大きい卓越方向を求める分析手段と、
前記群別した亀裂面を調査線沿いにプロットし、各群に属する亀裂の空間的な出現状況を図示する図示化手段と、
前記亀裂の分布状況より、亀裂が調査線上で満遍なく分布する場合には、亀裂本数を出現範囲距離で割った平均亀裂間隔を計算して求め、亀裂が群毎に固まって出現する場合には、亀裂群内での平均亀裂間隔と群間の平均間隔を計算して求める亀裂間隔算出手段と
を備えたことを特徴とする岩盤亀裂推定装置。
【請求項2】
データ入力手段と、データ選定手段と、亀裂頻度補正手段と、分析手段と、図示化手段と、亀裂間隔算出手段とを備える岩盤亀裂推定装置における岩盤亀裂推定方法であって、
前記データ入力手段が、線状調査に基づく岩盤内の亀裂の性状データを入力するデータ入力ステップと、
前記データ選定手段が、前記入力した性状データの中から対象とする亀裂の選定を行うデータ選定ステップと、
前記亀裂頻度補正手段が、前記選定された前記性状データに対して、前記線状調査の調査線方向と亀裂面の走向傾斜のなす角に基づき、真の亀裂間隔の逆数を重みとした亀裂の出現頻度の補正計算を行う亀裂頻度補正ステップと、
前記分析手段が、前記亀裂面の方向をその面に対する法線ベクトルの向きで代表させ、極座標系で表される面の極を平面座標系に変換して平面投影し、投影面上での極間の距離の近接性を指標として亀裂の群別を行い、群別されたデータの頻度分布から、各群内で最も頻度が大きい卓越方向を求める分析ステップと、
前記図示化手段が、前記群別した亀裂面を調査線沿いにプロットし、各群に属する亀裂の空間的な出現状況を図示する図示化ステップと、
前記亀裂間隔算出手段が、前記亀裂の分布状況より、亀裂が調査線上で満遍なく分布する場合には、亀裂本数を出現範囲距離で割った平均亀裂間隔を計算して求め、亀裂が群毎に固まって出現する場合には、亀裂群内での平均亀裂間隔と群間の平均間隔を計算して求める亀裂間隔算出ステップと
を有することを特徴とする岩盤亀裂推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−102474(P2011−102474A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257111(P2009−257111)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)