説明

岩盤浴サウナ装置

【課題】浴室内の雑菌を完全に死滅させることが可能な岩盤浴サウナ装置を提供する。
【解決手段】ドア16を閉じることによって閉塞状態となる筺体12と、この筺体12内に配置されたセラミックプレート26と、このセラミックプレート26を加熱するセラミックヒータ28と、紫外線殺菌灯38とを備えた岩盤浴サウナ装置10。筺体12内には、利用者が腰掛けるための椅子部22が設けられ、利用者の足裏が接する位置、利用者の背中が接する位置、利用者の太腿〜臀部が接する位置にそれぞれセラミックプレート26が配置されている。ドア16の覗きガラス40には、偏光フィルム42が貼り付けられている。ドア16の開閉を検知するドア近接センサ56と制御部50を備え、ドア16の開放時には紫外線殺菌灯38への給電が停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は個室式の岩盤浴サウナ装置に係り、特に、殺菌灯を用いて内部の完全殺菌を行う衛生面に配慮したサウナに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜3に示すように、これまでも浴室内に配置した岩盤プレートを加熱することにより、天然の岩盤浴温泉と同等の遠赤外線温熱効果やマイナスイオン効果、放射線ホルミシス効果を謳った岩盤浴サウナ装置が種々提案されており、製品として販売もされている。
【特許文献1】実用新案登録第3121542号
【特許文献2】特開2005−87724号
【特許文献3】特開2006−230427号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の岩盤浴サウナは雑菌の温床となり易く、衛生面で問題があった。特許文献1にはカラー鋼板に抗菌剤を含有させる技術が開示されているが、浴室内の一部に抗菌性の素材を用いたからといって、十分な滅菌効果が得られるとは考えられず、気休めに過ぎないと言わざるを得ない。
【0004】
この発明は、従来の岩盤浴サウナ装置が抱えていた上記の問題を解消するために案出されたものであり、浴室内の雑菌を完全に死滅させることが可能な岩盤浴サウナ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の岩盤浴サウナ装置は、ドアを閉じることによって閉塞状態となる筺体と、この筺体内に配置されたセラミックプレートと、このセラミックプレートを加熱するヒータと、殺菌灯とを備えたことを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の岩盤浴サウナ装置は、請求項1の装置であって、さらに、上記筺体内に利用者が腰掛けるための椅子部と、少なくとも3枚のセラミックプレートが設けられており、第1のセラミックプレートは筺体床面における利用者の足裏が接する位置に、第2のセラミックプレートは筺体背面における利用者の背中が接する位置に、第3のセラミックプレートは利用者の太腿〜臀部が接する位置にそれぞれ配置されていることを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の岩盤浴サウナ装置は、請求項1または2の装置であって、さらに、上記ドアには覗きガラスが嵌め込まれており、その表面には偏光フィルムが貼り付けられていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の岩盤浴サウナ装置は、請求項1〜3の装置であって、さらに、上記殺菌灯の点灯/消灯を切り替えるスイッチと、上記殺菌灯に対する給電を制御する制御部と、この制御部に対して上記ドアの開閉情報を出力するセンサと、この制御部に対して上記殺菌灯の点灯時間を出力するタイマとを備え、上記制御部は、(1) 上記ドアが開いている場合には、上記スイッチがONであっても殺菌灯への給電を行わない、(2) 殺菌灯の点灯時間が設定時間に達した時点で、殺菌灯への給電を停止する、(3)殺菌灯の点灯中にドアが開いた場合には、殺菌灯への給電を停止する、以上(1)〜(3)の処理を実行することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した岩盤浴サウナ装置の場合、閉塞空間である筺体内に殺菌灯を設けているため、これを利用後に所定時間点灯させることにより、内部の雑菌を完全に死滅させることが可能となり、衛生的である。
【0010】
請求項2に記載した岩盤浴サウナ装置の場合、椅子部に腰掛けた利用者の足裏、太腿〜臀部、背中に同時にセラミックプレートが接することとなるため、床面に横たわる場合に比べセラミックプレートへの接触部位が多くなり、特に第2の心臓と称される足裏を暖めることができるため、その分利用者は効果的な温熱効果を享受することが可能となる。
【0011】
請求項3に記載した岩盤浴サウナ装置の場合、ドアの覗きガラスに偏光フィルムが貼り付けられているため、殺菌灯を点灯している場合でも外部に紫外線が漏れ出すことがなく、安全性を確保できる。
【0012】
請求項4に記載した岩盤浴サウナ装置の場合、制御部の機能により、ドアの解放時には必ず殺菌灯が消灯する仕組みを備えているため、高い安全性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、この発明に係る岩盤浴サウナ装置10の外観(正面)を示すものであり、図2はそのA−A概略断面図である。
この岩盤浴サウナ装置10は、直方体形状の筺体12を備えており、その前面にはヒンジ14によって開閉可能に取り付けられたドア16を有している。
この筺体12の前面上部には、操作パネル18が取り付けられている。また、図示は省略したが、筺体12の内部壁面にも同様の操作パネルが設けられており、装置の外部及び内部から操作可能となされている。
【0014】
図2に示すように、筺体12内の浴室20には、腰掛け用の椅子部22が設けられており、この椅子部22の天板24にはセラミックプレート(岩盤プレート)26が嵌め込まれている。このセラミックプレート26の裏面には、プレート加熱用のセラミックヒータ28が配置されている。
また、浴室20の床面30には、椅子部22に腰掛けた利用者の足裏が接する位置にセラミックプレート26が嵌め込まれており、その裏面にはプレート加熱用のセラミックヒータ28が埋設されている。
さらに、浴室20の背面34にも、椅子部22に腰掛けた利用者の背中が接する位置にセラミックプレート26が嵌め込まれており、その裏面にはプレート加熱用のセラミックヒータ28が配置されている。
図示は省略したが、上記背面34には、プレート加熱用のセラミックヒータ28とは別に、浴室内を直接加熱するためのセラミックヒーターも埋設されている。
【0015】
上記の各セラミックプレート26は、中国広西少数民族自治区から産出される良質なトルマリン原石をベースに、酸化チタン等の抗菌物質を混合した物質より構成され、高い遠赤外線温熱効果と抗菌作用を発揮する。
【0016】
浴室20内の前面右側には、一対の紫外線殺菌灯38,38が縦列配置されている。
また、ドア16に嵌め込まれた覗きガラス40の表面には、安全用の偏光フィルム42が貼り付けられている。
【0017】
上記の操作パネル18に設けられたスイッチをONすると、浴室20内の各セラミックヒータ28に電源が供給され、セラミックプレート26及び浴室20内を加熱する。
この結果、セラミックプレート26から放射される遠赤外線によって利用者の体が暖められ、発汗を促す。
セラミックプレート26の表面には温度センサが取り付けられており、操作パネル18を介して摂氏30度〜50度の範囲で自由に温度設定ができるようになっている。そして、42度〜45度程度に温度調節することにより、利用者は息苦しさを感じることなく比較的長時間の利用が可能となる。
また、3枚のセラミックプレート26によって利用者の背中、太腿〜臀部、足裏を効率的に暖めることができるため、冷え性改善、痩身、自然治癒力向上、新陳代謝向上、毒素排出(デトックス)、リラクゼーション等の効果が期待できる。
【0018】
図3は、この岩盤浴サウナ装置10の制御系を示すブロック図である。
この岩盤浴サウナ装置10は、プログラマブルコントローラ(PLC)やリレー式シーケンス制御盤等よりなる制御部50を備えている。
この制御部50には、電源ユニット52と、タイマ54と、ドア近接センサ56と、殺菌灯SW(スイッチ)58と、一対の殺菌灯38と、殺菌灯SWランプ60が接続されている。
【0019】
図4は、この岩盤浴サウナ装置10の制御手順を示す状態遷移図である。
まず、利用者が操作パネル18の殺菌灯SW58をONすると(S10)、制御部50はドア近接センサ56からの出力に基づき、ドア16が閉塞されていることを確認する(S12)。
つぎに制御部50は、各殺菌灯38に給電して点灯させると同時に、操作パネル18上の殺菌灯SWランプ60を点灯させる(S14、S16)。また、タイマ54を作動させ(S18)、5分間のカウントダウンを開始する。
そして、5分間が経過すると(S20)、制御部50は殺菌灯38及び殺菌灯SWランプ60を消灯させる(S22、S24)。
途中、何らかの理由によってドア16が開けられると(S26)、ドア近接センサ56からの出力によって制御部50がこれを感知し、安全性確保のために殺菌灯38及び殺菌灯SWランプ60を消灯させる(S22、S24)。
【0020】
上記のように、この装置10は、利用後に紫外線殺菌灯38を点灯することにより、閉塞された浴室20内を完全殺菌することができるため、雑菌の繁殖を効果的に抑えることができ、衛生的である。悪臭の発生も抑えられる。
また、ドア16が開放されている場合には殺菌灯SW58をONしても紫外線殺菌灯38が点灯することがなく、殺菌中にドア16が開いた場合には直ちに紫外線殺菌灯38が消灯される仕組みを備えており、覗きガラス40にも偏光フィルム42が貼り付けられているため、高い安全性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明に係る岩盤浴サウナ装置の外観を示す正面図である。
【図2】この岩盤浴サウナ装置の内部構造を示す図1のA−A概略断面図である。
【図3】この岩盤浴サウナ装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】この岩盤浴サウナ装置の制御手順を示す状態遷移図である。
【符号の説明】
【0022】
10 岩盤浴サウナ装置
12 筺体
14 ヒンジ
16 ドア
18 操作パネル
20 浴室
22 椅子部
24 天板
26 セラミックプレート
28 セラミックヒータ
30 床面
34 背面
38 紫外線殺菌灯
40 覗きガラス
42 偏光フィルム
50 制御部
52 電源ユニット
54 タイマ
56 ドア近接センサ
58 殺菌灯SW
60 殺菌灯SWランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアを閉じることによって閉塞状態となる筺体と、この筺体内に配置されたセラミックプレートと、このセラミックプレートを加熱するヒータと、殺菌灯とを備えたことを特徴とする岩盤浴サウナ装置。
【請求項2】
上記筺体内には、利用者が腰掛けるための椅子部と、少なくとも3枚のセラミックプレートが設けられており、
第1のセラミックプレートは筺体床面における利用者の足裏が接する位置に、第2のセラミックプレートは筺体背面における利用者の背中が接する位置に、第3のセラミックプレートは利用者の太腿〜臀部が接する位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の岩盤浴サウナ装置。
【請求項3】
上記ドアには覗きガラスが嵌め込まれており、その表面には偏光フィルムが貼り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の岩盤浴サウナ装置。
【請求項4】
上記殺菌灯の点灯/消灯を切り替えるスイッチと、
上記殺菌灯に対する給電を制御する制御部と、
この制御部に対して上記ドアの開閉情報を出力するセンサと、
この制御部に対して上記殺菌灯の点灯時間を出力するタイマとを備え、
上記制御部は、以下の処理を実行することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の岩盤浴サウナ装置。
(1) 上記ドアが開いている場合には、上記スイッチがONであっても殺菌灯への給電を行わない。
(2) 殺菌灯の点灯時間が設定時間に達した時点で、殺菌灯への給電を停止する。
(3) 殺菌灯の点灯中にドアが開いた場合には、直ちに殺菌灯への給電を停止する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−125899(P2008−125899A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316004(P2006−316004)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(506220438)株式会社ワイズコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】