説明

岩盤浴ベッド、その補助治療具、ベッドの配列方法および岩盤浴室

【課題】 岩盤浴ベッドを低温加熱、高出力、軽量、治療多様化ができる改良を図る。
【解決手段】 低温域で4〜14μmの放射周波数範囲の遠赤外線を出力する天鉱石を素材に、切出板2aと混合素材2bから整形したプレハブ型成型品2を加工、形成して、切出板2a単体または混合素材2bとの複層組立による岩盤浴ベッド1の放射体を形成し、加熱管14には放射体2に開口し、反射熱を放射体に集熱する放物面反射板13を付設する。ベッド1には治療者10頭部に上下動を、足部に左右動を、制御手段6を介してサイクル的に揺動させる補助治療具3を配設し、放射体側面露出のベッドを構成し、その側面に食い違い配置するベッド配列による治療者側面に放射浴を加え、かつ浴室に酸素供給を可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド上に仰臥する治療者の体内に遠赤外放射線による刺激を加える治療技術に係り、特に放射線放射範囲に特性を有する電気石系岩盤を組み込むベッドに治療者を載せ、出力する遠赤外線を治療に活用する岩盤浴ベッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、湯浴、泥浴、蒸気浴以外に、治療や健康向上のためにベッドに寝た状態で治療する放射線浴、すなわち岩盤浴が体内活性化に卓効があると知られるようになった。従来、岩盤浴実施に関し、マイナスイオンを放出する岩盤または同種の放射線放射素材を使い勝手の良い軽量物に加工する技術(特許文献1)や電気石を加熱する加熱源とベッドに係る技術(特許文献2)や、電気石含有ヘッドパッドなどに用いる提案がある。
電気石のベッドへの適用は、比重が大きい電気石を、砕石化、細粒化または粉体化してそれらを比重のより小さい物質と混ぜて軽量化した固形物またはシート状物に加工し、それらをベッドに布設して、図8(A)に示すように、ベッド1に仰臥する治療者に遠赤外線を床面から放射する、電気石混合物として用いる提案が殆どである。あるいは温泉地で見る、同図(B)に示すように、表面凹凸の残る粗面状の岩盤切出板2aをむき出しにした上に治療者を載せ、同図(C)に示すように、その下方に加熱手段21を配置して、該切出板から成る成型品2を温め、放射線出力が高まるように配設される。図中、1bはモルタルなどの充填材、10は治療者である。
【0003】
公知の岩盤浴治療原理は、図9に示すように、人体の大部分を占める構成物質、水の固有振動数の波長域B,Cを含む遠赤外線範囲に遠赤外線放射特性を有する電気石を治療者に対向させて、その体内の水分活性を活動化させる点にある。ここに括弧( )内数値は波長の概数を示し、正しくは波長の特性符号Bは6.27μm、Cは2.73μmの波長を示す。水の遠赤外線吸収特性は、前記BとC位置において特に高い活性を示す(非特許文献1、図4.19(第109頁))。電気石の利用では、前記波長B点やC点における活性化発散度を出力補助して行う治療の効果が最も期待される。特にB点波長域の出力が治療に活用されることが多い。なお特性符号A位置は電子レンジの使用波長である。
【0004】
岩盤浴において放射遠赤外線が体内にもたらす作用は、水分割合の大きな体液に適度な励起を起こしたときに、ミクロの分野で、励起した水分クラスターを細胞膜に浸透できる細かいクラスターに変え、それら微細クラスターが細胞膜内への水分と活性物質の補給を容易にし、その浸透作用が体内活性に結び付くといわれる。
物理理論に基づく放射体の作用は、放射体温度が高いほど放射線の発散度が高まるとする知識に基づき、セラミックスや活性炭系繊維を放射体に用いた提案がある(特許文献3、段落番号0011)。赤外線帯域においては前記理論の出力傾向は確認されている。しかし遠赤外線帯域の放射体においては、必ずしも放射体温度が高くなくとも、すなわち放射体が50°C、40°Cであっても利用価値の高い効果が得られるとの実験例の報告がある(非特許文献1,第100頁,第17ー23行,及び表4.2(第111頁))
【0005】
岩盤浴の遠赤外線源に用いられる岩盤系のものに、トルマリン鉱石、蛇紋石、珪石が報告され、また放射線浴として、ラジウム放射能のある玉石や砂利、他に海中生物化石のネクトン、酸化珪素や酸化アルミを含む多孔質泥、活性炭やゼオライトなどの炭化物質が適用できるとされる。そしてこれらを他の物質と含有して混合組成物が作られ、タイル状にないし敷石状にあるいは層状に成型されてベッド構造体として形成されている。該ベッド構造体に適用する放射体の共通点は、前記混合組成物に整形したものの一種類である。
図8に示す切出材2aと混合材2bの放射体の特性は、従来の岩盤浴に使われる電気石の遠赤外線放射率の波長範囲を模式的に示すもので、実際は放射率に強弱の特徴があり、あるいは出力をカバーする波長範囲はさらに広い範囲の出力を示すものもある。一般的に、放射率は2a>2bになり、岩盤石の純度が高いほど混合物放射体の出力は大きい。
なお加熱管に直接係わる技術は本発明課題ではないので、ここでの記載は省く。
【0006】
岩盤浴に好適な条件とは、体液の励起に好適な放射能特性を有する良質の放射体を得て、放射体放射率を一様に出力させる加熱技術を適用し、放射体の出力特性や周波数特性を機能的に活用して治療者体内に届かせ、その際に治療者に熱傷など与えることなく快い治療時間を提供することであり、かつ治療の効能を効果的に発現し易い浴室環境を作って受益者、サービス提供者ともに有益となる技術を提供し、合わせて放射体に加工して組み込む岩盤浴ベッドが、浴室係員やベッド設営作業員(以下、総称して作業員という)がサービスや点検維持がし易いようにという点にあり、これらが揃えば都会の室内にも設置できる。
【0007】
前記従来例における問題点として、形成される形状が一種類、使用岩盤または混合比が一種類の放射体によって岩盤浴ベッドが形成され、放射体周りには非放射物質が充填され、放射体の放射率がその充填物で阻害される側面があるという点があった。使われる放射体に高温加熱に比例して出力を増す鉱石が用いられ、従って操作温度は高め高めに管理され、加熱手段は床暖房方式が多く、放射体以外の無関係なベッド構造部分も温める構造が用いられ、その放射体の被加熱面に対し、加熱手段から一様に加熱される適所加熱の、技術的仕組みが無い、換言すれば加熱に科学的、経済的な考慮が払われていない点である。さらに治療者は、放射線浴という体内にマッサージを受けているので、それに加えて体外からマッサージ相当の治療や、新鮮空気浴を加えるという、同一時間をフルに治療に当てる有機的、総合的な治療感覚が岩盤浴場側に不足しているという点である。さらに普及のために都会で岩盤浴を実施する場合に必要な技術的検討項目、すなわちベッドの扱い易さや浴室内に複数床をいかに効率的に配置するかの問題点への認識が存在しない点である。
【0008】
発明者は、放射体への低温域加熱でも出力増強が望め、少なくとも水の固有振動数を含む帯域に、有効な出力を発散する放射率を特性に持つ鉱石を探索し、従来よりも岩盤浴の普及度を高くする、鉱石に最も適切な実施技術を研究した。その結果、切出板の放射率が最も大きく、またその作用機序は不明だが放射体表面を鏡面加工したものが粗面状の切出板のものより、浴後に筋肉のこりが減少し、爽快感が得られるなどの浴用効果が高いとの、複数浴用者の体験を知った。また放射体素材の混合比に比例してその出力強度が減少する傾向があることも判った。そして放射体への加熱には一点加熱による反射熱線を活用せず、到達部位の熱線が他の素材部位に熱伝導させる場合より、放射体表面を反射熱線を含めて一様に面状加熱する仕組みを設けることが、受熱放射体の放射率保持に有効なことが判った。さらに生理現象として、背部や腹部以外の体位に軽微な刺激を与える場合の大きな効果や、浴室換気を充分以上に向上させて保持することも、治療者にとって治療後に高い爽快感が得られた。
【特許文献1】特開2002−194667号公報
【特許文献2】特開2001−224465号公報
【特許文献3】特許3219962号公報
【非特許文献1】高橋廣夫「遠赤外線の科学」,工業調査会(2000.4.1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、人体に放射する電気石を高温域で出力させている点、岩盤浴ベッドを軽量化放射体主体で形成し、ベッド上面からの一面放射である点、放射体の加熱管がベッド全体加熱であり、放射体加熱に特注したものでない点、ベッド全体が重量化してほぼ固定的施設である点、治療時間中に体内外に付加する刺激付与手段がない点などである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、4〜14μmの放射周波数範囲の放射線を約50°C以下で出力する九州の祖母山系山脈に産出する天鉱石を岩盤浴ベッドの主要素材として、切出板や、砕石等に細分化して成る混合物を、選択的にプレハブや現場整形の成型品に形成して、ベッド構造内上部に表出または表層に埋設して配置する岩盤浴ベッドに組み立て、人体に対向する成型品の露出面に鏡面状態を含む平滑加工を加えて、かつ少なくとも切出板をベッドに組み込み、成型放射体を加熱する加熱管に、反射熱を放射体に集める放物面反射板を付設し、体内外に付加する刺激手段に、治療者の頭部には上下動揺動器を、足部には屈伸状に左右動する揺動器を、制御手段を介して選択的にサイクル運動を起こす補助治療具を配設し、治療者仰臥の側面に放射浴を加えられる側面露出ベッド構成とベッド側面に食い違い配置を作り出すベッド配列を選択可能にし、かつ浴室内に酸素供給手段を付加、構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、採用した天鉱石の放射線帯域特性によって、岩盤浴ベッドの放射体を低温域で加熱しても治療効果が低下しない。天鉱石の切出板を主要材に用いて高い出力と鏡面加工による高い浴用効果を得るとともに、反射熱を集熱する放物面反射板が低温操作を補助し、また放射率が放射体から一様に発現するようにし、かつ消費熱量を放射体に集めて、反射板背面へ無駄な熱移動を抑制できた。切出板とそれに被覆する岩盤素材混合成型品は放射率相乗効果をもたらし、複数種の放射体による出力増強と、倍音化による周波数帯域の広がり効果が治療者の治療に良い効能を加える。重量があるベッドに、着脱自在のプレハブ型成型品を採用し、体位に応じた部位ベッドに分割したので、組み替え移動やメンテナンス時に、さらに斜め配置によるベッド配列の扱いに容易に対応できる。斜め配置ベッドの配列は、ベッド上で得る治療効果の他に隣接ベッドの側部放射出力による治療効果を享受できる。揺動器は体外からの穏やかな刺激を、日常的に重力の影響を受ける頭部や足部に加えるので、放射によって活性化した体液の移動効果を補い、浴室へ供給する付加酸素は体内に進行する新陳代謝のバックアップ効果を高める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
岩盤素材の、宮崎・大分県境に産する天鉱石(以下、素材という)を切り出したものを整形して平板状の成型品とする。切り出し時に型くずれした切り出し片や整形や加工時に生じた砕石、細粒(以下、混合素材という)は、平板成型品周囲の充填や被覆に用いるモルタルなどの接着混合剤と共にプレハブ成型品に加工した上で、ベッドに設置する露出面を鏡面状に加工し、填め込みベッド部位に合わせて複数、整形、形成する。一方、ベッド深さと加熱管長さに応じて加工した放物面反射板を、その背面に断熱材を貼付し、内面に反射面を形成して、配管する加熱管が該反射板の焦点に位置するようにベッド底板上の固定台に据え付ける。該反射板内側には乾燥粒状の蓄熱または保温性材料(以下、保温材という)を加熱管周りとともに充填する。その充填材上面は一様な連続面になるように、ベッド上枠の放射体設置位置まで詰め込む。保温材上に天鉱石の平板成型品を複数、縦列配置し、該成型品周りをベッド枠との間や成型品相互間に生じた間隙を、間隙寸法に合わせて成型した前記プレハブ成型品をはめ込み岩盤浴ベッドをを完成する。なおベッド枠の側面には開口窓か放射線非吸収ネットを張り、ベッドの要所に収納された遠赤外線放射性の平板成型品またはプレハブ成型品を、その側面が実質的に露出させる。ベッドは斜め配置の段違い配列を行う。
そうした上で、ベッド内の加熱管が温水加熱式にあっては給湯管と接続、配管され、電熱加熱では電源回路と配線され、加熱制御手段を介して放射体加温操作が準備される。
さらに岩盤浴ベッドの足部と頭部には、電源に接続する電動機に連結する揺動制御手段ととともに、足部には左右揺動器、頭部には上下動揺動器が、滑り補助材と共に配設され、室内空気調和の一つとして酸素供給手段から浴室へ適度濃度の酸素が供給される。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の、岩盤浴ベッドを説明するもので、(A)は岩盤浴ベッドを示す平面図、(B)は傾斜型ベッドを示す側面図、(C)はその一なるベッド構造の要部を示す模式図、(D)は別のベッド構造の要部を示す模式図、(E)は複切出板並置ベッド構造のベッド構造を示す部分平面図、(F)は(D)の部分側面図である。
図1(A)ないし(C)に示すように、頭部を高くし、やや傾斜させたベッド枠(斜線部分)に天鉱石の岩盤切出板2aをそのまま平板状に整形した成型品2、三枚をつらいちにかつベッドの表面に露出させて(同図(C)に図示)、所定間隔にて縦列配置し、該成型品周囲の間隙には混合素材を玉砂利、保温材などと共にモルタルに混ぜて練り混み充填し、表面を鏝塗り、研ぎ出してほぼ平滑に仕上げ、岩盤切出板2a等の加熱を可能にした岩盤浴ベッド1を形成した。ここに、1aはモルタル充填材、4は足載せ台、21はベッド枠内に設けた、詳細を省略する加熱手段である。
【0014】
実施例1の成型品2によって、低温域で水分子を励起する範囲の遠赤外線周波数範囲を放射する天鉱石を用いるので、加熱管の低温操作が有効になる。天鉱石の岩盤切出板2aから最も高い出力レベルの放射出力を放射できる。
【実施例2】
【0015】
図1(D)ないし(F)に示すように、岩盤浴ベッド1の上面に混合素材2bから成る放射体を、その直下に岩盤切出板2aを配置した。その他の構造は前記二例にならうものである。実施例2において、大型の岩盤切出板が得られない場合に同図(E)に示す短冊形切出板に整形した平板2を複数、ベッド幅員方向に並置する複切出板並置型のベッド構造を形成して実施する。この並置型にあっては、岩盤浴ベッド1全面に同寸の短冊平板を用いる実施例では2列×3段、計6枚を必要とする。なお、並置する複切出板表面をベッドに露出させる同図(C)に示す単層構造に用いても良い。
【0016】
図6は、本発明による、岩盤浴ベッドの放射体複層構造の放射線性状を説明するもので、そのエネルギー発散度の特徴を示す性能模式図、図7は、同じく岩盤浴ベッドのプレハブ型成形品を説明するもので、その組み立て法を示す側断面による模式図である。ここに、プレハブ型成型品2bは、天鉱石の混合素材からなる遠赤外線放射体であり、図示する充填材1bは、放射体を含まないが、前記混合素材含有の充填材に置き換えても良い。
実施例2において、図1(D)に示す岩盤切出板2aとプレハブ型成型品2bとを重層に組み立てる岩盤浴ベッド1は、図7に示すように組み立て部材を組み込み個所に適合する大きさにプレハブ化し、それぞれが持ち運べる重量に加工して一体化して形成した。特に天鉱石含有量を増し、または組み立て部材内に放射原石細粒を偏在、含有させたプレハブ型成型品2bを特製し、特定の治療者向け、または疾患治療向けに汎用成型品と差し替えが可能なベッド構造品に加工してよい。
【0017】
実施例2では、岩盤切出板2aと混合素材2bを治療者のいる上面と側面の両方向に重層して配置したので、図6に示すように、それぞれの成型品2を単独で用いるよりも出力を高め、または周波数帯域が拡がるという作用を治療者が受ける。
プレハブ型成型品1bは、定尺採寸した岩盤切出板2aとともに部材の交換が行い易い。同時に、ベッド構成品が小部品になるので、岩盤浴ベッドの欠点である「重さ」の弊害を無くし、作業員の労役を軽減し、加熱手段のメンテナンスを含め、作業点検が容易となる。
そして別態様の混合素材を偏在させたプレハブ型成型品2bは、仰臥する治療者の特異部位に特徴的な放射線を強化出力させ、好適な治療向けの出力を発揮できる。
【実施例3】
【0018】
図2は、同じく岩盤浴ベッドの分割成形型を説明するもので、(A)はその全体を示す平面図、(B)はその全体の部分を構成する部位ベッドを示す側面図である。
図2に示すように、頭部、背部、脚部を個別に載せるように三分割して形成し、移動台車9上にそれぞれ独立した部位ベッド31ないし33を形成、配設し、合わせて前記台車を自在に固定して一つの岩盤浴ベッド30に形成する。成型品2は、実施例1、2に記載した図1(C)に示す成型品の遠赤外線特性を有する放射体である。
【0019】
実施例3では、加熱手段21が電熱式である場合には、ベッドの片付けと収納も、メンテナンスの必要から浴室からベッドを一時待避させることも、管理者側の任意時間に行え、浴室内の模様替えも容易化できるようにした。
【実施例4】
【0020】
図3は、本発明による、岩盤ベッドの補助治療具を説明するもので、(A)はその全体を示す側面図、(B)はその構成を示すブロック図である。
図3に示すように、仰臥する治療者の足部に装着して足首を、同図(A)に図示する左右方向に所定角度範囲のルースな揺動を生じさせ、あるいは/および頭部を載せた枕を上げ下げして、所定距離範囲内の拘束のない軽い首運動を起こさせる補助治療具3を、同図(B)に示すように、構成する。
足部において、足首や足の甲を軽く拘束するように、ここに図示しないバンド装着する。そのバンドを付設し足裏に添う立設部を有する拘束具と、足のかかとの下面に敷く滑り補助材1cを付帯する足載せ台と、該足載せ台の拘束具から延設させるバーの中間位置に回動自由の支点を設け、そのバー下端を回転板の偏芯位置に回動可能に固定したリンクバーを左右揺動器5に連結し、該回転板の回転軸を回転制御させると共にリンクバーまたは回転板に対して電気的にまたは機械的にセイフティ手段を付設する制御手段6を介して連結するモーター7と電源18を接続可能にした補助治療具3を構成する。
頭部における補助治療具3は、前記リンクバーの前記中間位置の回動用支点位置のリンクバー側に長孔または滑動ガイド枠を設けて、左右揺動器5のリンクバーが上下動運動可能に前記回転板に連動するように構成を変えたものである。補助治療具3をその他の既知の機構を用いて構成して良い。
【0021】
実施例4では、立ち座で生活する治療者が重力の影響を受けて鬱血する足部と、重い頭部を支え、血液とリンパ液の流路を支える首部に、遠赤外放射線が体液水分の活性化作用を行っている過程に、側面運動として人体の両端部を軽く刺激するものである。従って、本運動と放射線治療は相関関係にあって、体液に作用する。従って従来例のように、仰臥する治療者の腰部を筋肉運動を伴う金魚運動をさせる大きな外力を加えるものではない。
【実施例5】
【0022】
図4は、本発明による岩盤ベッドの配列方法を説明するもので、(A)はその縦列斜め配置状態を示す平面図、(B)は斜め配置ベッド二体の関係を示す側面模式図である。
図4に示すように、複数の岩盤浴ベッド16、17を、それぞれの端縁がズレて並ぶように縦列斜め配置を行ってベッドの配列を構成する。この配列に用いる岩盤浴ベッド1の構成は、請求項2記載のベッドであって、両ベッドの放射能を出力するベッド側部1aは、同図(B)に示すように、一方ベッドの、出力の高い放射体から放射する放射線は、他方ベッドの放射線出力の弱い側部を補助し合う相対関係(実線矢印と点線矢印)を生む。従って、隣接するベッドに仰臥する治療者の側部に影響を与え合うように、複数ベッドを近付けて配列することが望ましい。
【0023】
従来、単一ベッドの上面に感作を及ぼす放射線効果のみが議論された点に対して、実施例5では、隣接する岩盤浴ベッドから相互の治療者に影響を与え合うようにした技術を提案するものである。この複数ベッドによるズレ効果を生じさせるために、岩盤浴ベッドの側面1aに露出する放射体に、阻害が生じない開口窓などから発散する遠赤外線放射能の存在と、本発明によるベッドの配列方法とが組み合わさって、隣りに仰臥する治療者の体位側面に治療効果を及ぼす。
なお、前記ズレの生じない平行配列方法の場合よりも、本発明による、ズレを設ける複数ベッドの配列方法では、浴室内のベッド数が増え、室内有床率を高くする。
【実施例6】
【0024】
図5は、本発明による加熱手段を説明するもので、その構造を示す部分側断面図である。
図5に示すように、成型品2aの下部、所定位置に平行して加熱管14が配管されているものとする。該加熱管が焦点位置となる下方に、前記成型品に向けて開口する放物面形成の反射板13を配設する。該反射板の内側には不燃性の蓄熱または保温材を充填し、その外側には反射板の据わりが良くなるように断熱性の充填材1bを配設し、反射板固定台が反射板の形に形成する。該充填材が流動性である場合は反射板外側に断熱材が貼付される。なお加熱管14内に電熱ヒータ15を図示するが、本発明の対象ではないので、その構成の記述は省略する。これを温水管に代えても良い。
【0025】
実施例6では、放物面反射板13の焦点位置に、加熱管14を配置するので、その加熱源から出る熱線は、熱反射の分も含めて全て開口側に平行して放射し、配置する成型品2を熱して熱利用に無駄が出ない。また前記反射板によってその背面に対して熱絶縁効果が生じ、ベッド構造の加熱を必要としない部分への加熱洩れを計画的に抑えることができる。結果的に、加熱効率を高め、省エネルギーが実施できる。
【実施例7】
【0026】
本発明の浴室には、図示しない岩盤浴ベッド配置の浴室に、酸素供給手段を付設する。該手段として、酸素ボンベまたは酸素生成装置などの既存技術を転用する。その付設位置は、浴室を含む関係室や機械室内で、浴室内に開口する適宜個所に供給孔を設けて成る。
前記酸素供給手段には、治療者の浴室入場数または室内滞在時間に比例して、作業員の手動や自動制御操作によって供給量の制御手段を介して構成する。その制御因子は、例えば、浴室に設ける入出感知センサの感知数や、デジタルカメラの撮像によるデジタル情報から浴室入室者数を、あるいは岩盤浴ベッドに圧電素子を設置して得るデータであって、それらデータからの出力制御信号を加工して、酸素供給量の必要供給量表示と操作を行う。
【0027】
実施例7では、岩盤浴室内の加療中に生じる、治療者体内の新陳代謝活動が非常に高くなっているので、浴室内の酸素の消費は進行する。一般に、室内が閉じられている状態では浴室内の空気環境は悪化する。
従って酸素供給を行うことは、浴室内空気環境を改善し、治療者に生じている新陳代謝活動をさらに活性化するのに極めて有効である。本発明による酸素供給手段は、治療者にとって実施例4記載の補助治療具3が行う体外刺激運動の効果と連係して、室内全体に対する環境改善に、補助治療具による治療者の有酸素運動に対する、体内補給酸素の供給を強力に補助する。
【0028】
低温域側で有力な遠赤外線出力特性を有する天鉱石と、混合素材から成る遠赤外線放射体をプレハブ整形して形成する岩盤浴ベッドは、反射板という加熱管周辺具の改良、軽度刺激を加える補助治療具との連係治療、放射体側面利用に対応するベッドの配列方法の直接的治療効果と間接的な浴室有床率の向上、体内外刺激をバックアップする酸素供給手段の付加などに係る本発明技術によって、治療者に対しては体内外から有機的な治療刺激を提供し、治療者へは治療刺激のオプション化を提案して、治療の選択を可能にした。
管理側には加熱操作に関する省エネ化、重量物から成るベッド構造のハンドリングの改善、加熱効果に係るベッド維持のランニング費用の低減、遠赤外線放射体の出力強化、ベッド有床率向上による経済価値の向上を果たすなど、都会地での普及を可能にし、管理効率向上に結び付け、その裏付けを提供する岩盤浴技術を発揮できた。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、自然エネルギーを半永久的に利用する電気石が主体であり、最も出力の高い素材切出板の形で活用するものである。活用遠赤外線エネルギーは一旦ベッドに設置すれば、素材保持に限り維持コストはゼロである。従って岩盤浴技術は温泉が出る秘境に存在していたが、本発明によって、都会における実施型技術への道を開いた。換言すれば、本発明技術は、部材を工業的に製造し、それを経営的に運用し、メインテナンスなどにプレハブ化に連係する産業化手段を結び付けているのでさらに発展的な、多くの応用面への示唆を提供する。都会に当該施設を実施する場合に、治療者用以外の、健常者の予防医学用や被介護者の機能改善用に、本発明が採用する天鉱石使用のベッドは、低温下で管理できるので、熱傷などの副作用は抑えられ、低温加熱で済む供給エネルギー消費が小である岩盤浴用具として有効な健康施設に成りうる。そして寿命2億年というバーデンバー電産トロン石と同じ鉱石主体なので適用効果は殆ど半永久的な恩恵提供に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の、岩盤浴ベッドを説明するもので、(A)は岩盤浴ベッドを示す平面図、(B)は傾斜型ベッドを示す側面図、(C)はその一なるベッド構造の要部を示す模式図、(D)は別のベッド構造の要部を示す模式図、(E)は複切出板並置ベッド構造のベッド構造を示す部分平面図、(F)は(D)の部分側面図である(実施例1、2)。
【図2】本発明による、岩盤浴ベッドの分割成形型を説明するもので、(A)はその全体を示す平面図、(B)はその全体の部分を構成する部位ベッドを示す側面図である(実施例3)。
【図3】本発明による、岩盤ベッドの補助治療具を説明するもので、(A)はその全体を示す側面図、(B)はその構成を示すブロック図である(実施例4)。
【図4】本発明による、岩盤ベッドの配列方法を説明するもので、(A)はその縦列斜め配置状態を示す平面図、(B)は斜め配置ベッド二体の関係を示す側面模式図である(実施例5)。
【図5】本発明による、加熱手段を説明するもので、その構造を示す部分側断面図である(実施例6)。
【図6】本発明による、岩盤浴ベッドの放射体複層構造の放射線性状を説明するもので、そのエネルギー発散度の特徴を示す性能模式図である。
【図7】本発明による、岩盤浴ベッドのプレハブ型成形品を説明するもので、その組み立て法を示す側断面による模式図である(実施例2)。
【図8】従来技術を説明するもので、(A)は岩盤素材を混合して成るベッド構造を示す平面図、(B)は切出板を用いた岩盤浴ベッドの平面図、(C)は(B)のA−A′矢視図である。
【図9】従来技術による岩盤浴ベッドの放射線性状を説明するもので、そのエネルギー発散度の特徴を、水の固有振動数の特性とともに示す性能模式図である。
【符号の説明】
【0031】
1 岩盤浴ベッド
1a 岩盤浴ベッドの側部
1b 充填材(モルタルなど)
1c 滑り補助材
2 成型品
2a 岩盤切出板、またはその成型品
2b 混合素材、またはその成型品
3 補助治療具
4 足(または頭)載せ台
5 揺動(または上下動)器
6 揺動(または上下動)制御手段
7 モータ
8 部位ベッド
9 移動台車
10 治療者
11 頭部
12 足部
13 放物面反射板
14 加熱管(不燃蓄熱材詰め)
15 電熱ヒータ
16、17 縦列斜め配置ベッド
18 電源
19 不織布放射材バインダ製品
20 ベッド形(一体成形型)
21 加熱手段
30 ベッド形(分割成形型)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱して出力補助した岩盤素材の遠赤外線放射機能を浴用に用いる岩盤浴ベッドにおいて、
岩盤素材が、宮崎、大分両県県境の祖母山系山脈に産出する遠赤外線の放射体で、ほぼ4〜14μmの周波数範囲の放射線を約50°C以下で出力する天鉱石であって、その岩盤切出板(2a)と、砕石、細粒、粉状物を主原料とする混合物(2b)を平板状、タイル状の所定の成型品(2)に形成し、岩盤切出板整形の成型品(2a)をベッド構造内上部に表出または表層に埋設して配置し、その周辺部位に混合物(2b)またはセメント充填材(1b)をモルタル状にして塗り込み、あるいは該混合物の成型品(2b)填め込み、成型品(2a)被覆を選択的に行って岩盤浴ベッド(1)を形成するとともに、人体(10)に対向する成型品(2)の露出面に鏡面状態を含む平滑加工を加えることを特徴とする岩盤浴ベッド。
【請求項2】
治療者(10)に対向する成型品(2)の遠赤外線放射面が、岩盤浴ベッド側部(1a)に露出するように成型品(2)を組み込むことを特徴とする請求項1記載の岩盤浴ベッド。
【請求項3】
請求項1および請求項2記載の成型品(2)を、治療者の頭部(11)、腹部、脚部などの各体位に対応して水平または傾斜状の一体ベッド形(20)に組み込み、または体位毎に分割かつ移動可能にした複数の部位ベッド(8)を形成し、該部位ベッドを組み寄せ、一体のベッド形(30)にした上で、ベッド配列を選択的に構成することを特徴とする岩盤浴ベッド。
【請求項4】
その下部に配置して成型品(2)を加熱する加熱管(14)が、該成型品に向かい開口する側断面放物線のほぼ焦点位置に配管可能にした放物面反射板(13)を形成、配設するとともに、該放物面反射板内側に蓄熱または保温性材(1d)を充填する加熱手段(21)を構成したことを特徴とする請求項3記載の岩盤浴ベッド。
【請求項5】
請求項3記載の岩盤浴ベッド(1)に付設する治療具であって、仰臥する治療者(10)の、足部(12)に装着する滑り補助材(1c)を介して前後屈伸状に左右動させる揺動器(4)と、あるいは加えて頭部(11)を載置して上下動させる揺動器(5)とを付加配設して、該揺動器が揺動制御手段(6)を介してモータ7によるサイクル運動操作を行う構成にしたことを特徴とする補助治療具。
【請求項6】
請求項2および請求項3記載の岩盤浴ベッドが、隣接ベッドの側部相互にズレが生じるようにした斜め配置またはジグザグ配置によって、複数のベッドを配列することを特徴とするベッドの配列方法。
【請求項7】
岩盤浴ベッド(1)を配置する浴室内に、岩盤浴中に酸素を供給量制御可能に付加することを特徴とする岩盤浴室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−81871(P2006−81871A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−303537(P2004−303537)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(593208603)株式会社アコ−ドシステム (6)
【Fターム(参考)】