説明

工作機械における機械加工のための棒材ローディング装置

【課題】少なくとも1つの棒材を工作機械に供給するための載置部と、前記棒材を開始位置から終了位置へ運搬するための可動の運搬手段と、を備え、前記少なくとも1つの棒材が前記開始位置において前記載置部に位置するローディング装置に関する。
【解決手段】運搬手段3が、下降時に、棒材1aをその自重によって下方傾斜誘導部41bに沿って下方へ運搬し、前記棒材1aが前記運搬手段3の第1支持部31aに支持されるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械における機械加工のための棒材ローディング装置であって、棒材を開始位置から終了位置へ移動させ、前記終了位置から工作機械へ投入するように構成され、少なくとも1つの棒材を前記工作機械に供給するための載置部と、前記棒材を前記開始位置から前記終了位置へ運搬するための可動の運搬手段と、を備え、前記少なくとも1つの棒材が前記開始位置において前記載置部に配置されるローディング装置に関する。
【0002】
さらに本発明は、棒材を機械加工するための工作機械と、前記工作機械における機械加工のために棒材をローディングするローディング装置と、を備えるシステムであって、前記ローディング装置が、棒材を開始位置から終了位置へ移動させ、前記終了位置から工作機械へ投入するように構成され、少なくとも1つの棒材を前記工作機械に供給するための載置部と、前記棒材を前記開始位置から前記終了位置へ運搬するための可動の運搬手段と、を備え、前記少なくとも1つの棒材が前記開始位置において前記載置部に配置されるシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
そのようなローディング装置は既知で、工作機械に棒材を投入するために使用されている。そのような工作機械は、例えば、回転旋盤、自動旋盤、ターニングセンタ或いは棒材を機械加工するための類似の機械を備える。
【0004】
例えば、特許文献1には工作機械における機械加工のための棒材ローディング装置であって、棒材が最初に開始位置から終了位置に移動し、それから、前記終了位置から出発して前記工作機械に軸方向に投入される棒材ローディング装置が開示されている。
【0005】
ここで、前記終了位置は投入位置と軸を揃えるように位置合わせされる。例えば、前記終了位置は機械加工される前記棒材を受けるためのスピンドルと軸を揃えるように位置合わせされる。前記投入位置において、前記棒材が前記工作機械に軸方向に投入されるべきである。
【0006】
図8Aは、前記特許文献1のローディング装置のローディングサイクルに関連する要素、すなわち、前記開始位置から前記終了位置への棒材の移動に対する関連要素の概略の透視図を示す。
【0007】
図8Bは、前記特許文献1が開示するローディングサイクルに対する関連要素の概略の側面図を示す。
【0008】
前記特許文献1における、工作機械における機械加工のための前記ローディング装置は、前記棒材の軸方向に並んだ、平行に配置された2つの傾斜台16を備え、前記各傾斜台16にはそれぞれにL字型の保持要素17が固定される。前記傾斜台16上に置かれる棒材が自重によって、保持位置で前記保持要素17に止められるまで転がり落ちるくらいに、前記傾斜台16は傾いている。
【0009】
ここで、図8Aは一例として前記保持位置にある棒材を示す。この前記傾斜台16上での保持位置15は前記ローディング装置のローディングサイクルの開始位置に相当する。
【0010】
さらに、前記ローディング装置は、同じく前記棒材の軸方向に並んだ、平行に配置された2つのリフティング要素22を備え、前記リフティング要素22は、前記傾斜台16上の前記開始位置から前記終了位置へ棒材を運搬するために使用される。ここで、前記終了位置は図8Aにおける前記棒材の位置13で確認できる。
【0011】
前記終了位置において棒材を保持するために、前記特許文献1のローディング装置は横から見て半円の円弧状で、上面が13に位置する前記棒材用の収容部をなし、棒材を前記終了位置で保持可能な2つの誘導要素20を備える。
【0012】
前記棒材13は前記誘導要素20に保持された状態で、前記終了位置から前記工作機械に軸方向で投入される。
【0013】
前記傾斜台16上の前記開始位置から前記誘導要素20に保持される前記終了位置への棒材13のローディングサイクルと運搬のそれぞれの概略を図8Bに示す。
【0014】
図8Bは、複数の棒材がどのように前記傾斜台16上に配置され、前記保持要素17によって供給のために縦にならべて保持されるかを示す。
【0015】
前記棒材15は、前記保持要素17に直接に接触しているこの場合は、前記各傾斜台16に固定されている前記保持要素17によって前記開始位置に保持される。
【0016】
前記特許文献1の開示によれば、前記両リフティング要素22は上下動可能で、前記ローディングサイクルの開始時点においては、前記開始位置に保持されている前記棒材15より下の低い位置に動かされる。
【0017】
それぞれのリフティング要素22は、下方傾斜面23を備え、前記下方傾斜面23はポイント26で上方傾斜面24と連結されて保持位置を形成する。すなわち、前記下方傾斜面23と前記上方傾斜面24は前記リフティング要素22に保持された状態の前記棒材の保持位置を規定する。
【0018】
前記棒材15を前記開始位置から移動させるために、前記両リフティング要素22は、前記下方傾斜面23が前記開始位置に位置する前記棒材に接触するまで垂直に上昇する。
【0019】
前記両リフティング要素22の上昇が継続するとき、前記棒材は前記両リフティング要素22の前記下方傾斜面23によって支持され、押し上げられて、前記開始位置からの上昇時に、前記傾斜台16から持ち上げられ、前記保持要素17の上方に傾斜した面に沿って押し上げられる。
【0020】
図8Bにおける破線は、垂直上昇後の最も高い位置での前記両リフティング要素22を示す。
【0021】
ここで、前記下方傾斜面23に13'の位置で支えられている前記棒材は、前記保持要素17との接触から解放され、その結果として、前記保持領域(上方傾斜面)24に接して、そして13''で示される前記棒材の位置で前記保持位置26に保持されるまで、自重で前記リフティング要素22の前記下方傾斜面23を転がり落ちる。
【0022】
それに続くステップにおいて、前記棒材が前記終了位置(図8Bにおける前記棒材の位置13参照)で前記両誘導要素20の丸い受容部に載置されるまで、前記両リフティング要素22は垂直に下降する。その後前記棒材はその位置から前記工作機械に軸方向で投入される。前記両リフティング要素22はさらに垂直に下降し、それから、さらなるローディングサイクルにおける次に続く上昇で、次の棒材を前記開始位置から前記終了位置へ運搬する準備が整えられる。
【0023】
前記両リフティング要素22の上昇と下降の繰り返しだけが前記開始位置から前記終了位置への運搬の実行に必要となるので、前記特許文献1におけるローディングサイクルは前記棒材を前記開始位置から前記終了位置へ運搬するためのシンプルなシステムを提供するのではある。しかしながら、運搬された前記棒材が、前記両リフティング要素22の上昇時に前記保持要素17との接触から解放された後、自重で前記下方傾斜面23を転がり落ち、前記両リフティング要素22の前記保持領域24と衝突するという大きな問題点が生じる。
【0024】
前記リフティング要素22の前記下方傾斜面23上の前記棒材の転がり落ちる動きの後に発生する衝突によって、前記工作機械と対になる前記ローディング装置全体が、前記工作機械にもまた伝えられる衝突の影響或いは衝撃にさらされるという大きな問題点が生じる。それによって、前記工作機械における機械加工作業は悪影響を与えられる。
【0025】
前記工作機械を長期に渡って使用する場合は、前記ローディング装置或いは前記工作機械の部品が損傷することはもちろん起こり得る。
【0026】
さらに、前記ローディングサイクル中のそのような衝突は、衝突が発生したときに極めて大きな物音を発生させる。
【0027】
また一方、図8Bに照らすと、断面積の大きい棒材は、転がり落ちる動きの中で生じる勢いのため、転がり落ちた後で前記保持領域24を越えて飛び出してしまうかもしれないので、前記保持領域24のサイズは運搬可能な棒材の断面積を制限するという問題点もまた生じる。
【0028】
さらに、必要とされる前記リフティング要素22の前記下方傾斜面23上の前記棒材の転がり落ちる動きのため、前記特許文献1の開示する装置を用いて前記終了位置へ転がり落ちるのに適する、円形の断面を有する棒材を運搬することのみが可能になる。
【0029】
したがって、円形の断面から逸脱する形状の断面を有する棒材、とりわけ角のある断面を有する棒材、を運搬することはできない。
【0030】
前記特許文献1の開示するローディングサイクルの上述の各問題点に関しては、例えば、棒材の前記開始位置から前記終了位置への運搬時に、衝突の影響の低減或いは低騒音が達成されるように、前記特許文献1におけるローディング装置を発展させる特許文献2によれば、工作機械における機械加工のための棒材ローディング装置が提供される。
【0031】
ここで、前記特許文献2は棒材を供給するための下方傾斜滑走台も備えるローディング装置を具体的に記述している。前記ローディング装置では、滑走台に配置される棒材が開始位置に保持指によって保持される。この場合は、前記各保持指は上方に傾斜する。
【0032】
前記特許文献1の開示と同様に、前記特許文献2のローディング装置もまた上下動可能なリフティング要素を備え、上述のローディング装置と同様に前記ローディング装置は前記滑走台から、そして開始位置から前記棒材を受取り、前記下方傾斜滑走台の面に沿って押し上げる。
【0033】
しかしながら、前記特許文献2の開示によれば、上述のローディング装置とは違って、前記リフティング要素の受取部は、同時に前記終了位置において前記棒材を保持するための保持部としても使用される。
【0034】
それ故に、前記棒材が保持指から離れる瞬間、前記棒材は前記リフティング要素の前記受取部で受取られ、それから、前記リフティング要素の上昇のみによって、前記終了位置へ動かされる。前記終了位置は前記投入位置と軸を揃えるように位置合わせされ、前記投入位置において前記棒材は軸方向に前記工作機械へ投入される。
【0035】
しかしながら、この場合、前記特許文献2に開示されている前記ローディング装置においては、断面積の異なる棒材に適応することが複雑なメカニズムによってしかできない、という大きな問題点を有する。
【0036】
一方で、前記最も高い位置は、前記リフティング要素の上昇後に棒材の断面に適合しなければならない。すなわち、断面の小さい棒材では、前記リフティング要素が断面の大きい棒材よりも高い位置まで移動しなければならない。なぜなら、前記終了位置における前記棒材の断面の中心を、前記工作機械の前記投入位置に軸を揃える必要がある。
【0037】
また一方、さらに傾斜の角度と保持指の形状を、それぞれに、複雑なメカニズムを用いて適合させることも求められる。
【0038】
ここで、前記リフティング要素の最も高い位置は、適合した前記保持指の傾斜の角度と同期するように、上昇後に調整されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】欧州特許公開公報第0587248号
【特許文献2】欧州特許公開公報第1029619号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
従来技術によって既知の工作機械における機械加工のための棒材ローディング装置における上述の各問題点に関して、従来技術の当該問題点を回避することと、とりわけ、前記棒材の前記開始位置から前記終了位置への運搬が速く、衝突の影響が小さく、衝撃がなく、雑音がなく、そして非常にシンプルな方法で実行される、工作機械における機械加工のための棒材ローディング装置を提供することとが課題である。
【0041】
大きな断面を有する棒材と小さな断面を有する棒材のどちらも前記工作機械に投入するための前記ローディング装置を使用することが、非常にシンプルな形状で、複雑な調整或いは適合のためのメカニズムなしで可能となるように、当該ローディング装置はさらに、異なる断面積および断面形状を有する棒材をローディングするためのシンプルな方法に適切であり、異なる断面積を有する棒材のローディングするシンプルな方法に適合してもよい。
【課題を解決するための手段】
【0042】
本発明における上述の課題は、請求項1に記載の工作機械における機械加工のための棒材ローディング装置、および、請求項14に記載の棒材を機械加工のための工作機械と工作機械における機械加工のための棒材ローディング装置を備えるシステムによって達成される。
【0043】
本発明の望ましい実施例の特徴は従属請求項に記載される。
【0044】
本発明によれば、工作機械における機械加工のための棒材ローディング装置が提供される。
【0045】
前記ローディング装置は、棒材を開始位置から終了位置へ動かし、該終了位置から工作機械に投入するように構成される。前記ローディング装置は、少なくとも1つの棒材を前記工作機械に供給するための載置部と、前記棒材を前記開始位置から前記終了位置へ運搬するための可動の運搬手段と、を備え、前記少なくとも1つの棒材が前記開始位置において前記載置部に配置される。
【0046】
本発明は、前記運搬手段の下降中、前記棒材が前記運搬手段の第1支持部に支持されながら、前記棒材を自重によって下方傾斜誘導部に沿って下方へ運搬するように構成されることを特徴とする。
【0047】
この場合、本発明によれば、前記棒材は前記開始位置から前記終了位置へ運搬手段を用いて運搬され、前記運搬手段は、前記運搬手段の下降中、前記棒材が自重によって下方傾斜誘導部に沿って下方へ運搬され、同時に前記運搬手段の支持部に支持されるように適合される。
【0048】
とりわけ、そのことは、好適な方法において前記終了位置の方向に前記棒材を、前記棒材が下方傾斜部を転がり落ちることも、保持要素に衝突することもなく移動させることを可能にする。
【0049】
したがって、本発明は速く、衝突の影響を小さく、或いは衝突の影響なしにローディングサイクルを実行することを可能にする。なぜなら、下降時に前記棒材は下方傾斜誘導面或いは下方傾斜誘導部に沿って転がり落ちるのではなく、支持されながらの方法そして誘導される下降によってそれぞれに移動させられるからである。
【0050】
もし、転がり落ちる棒材の保持要素に対する衝突の影響がなければ、前記終了位置への下降時に、このようにして断面の大きな重くて大きい棒材を、衝突の影響が小さくそして誘導されながらの方法で運搬することも可能である。
【0051】
「棒材」という用語は、本発明において使用されているように、円形、特に円形の断面を有する棒材を含む。
【0052】
しかしながら、前記「棒材」という用語は、そのような棒材に限定されるものではなく、あらゆる断面の、また任意に長手方向で変化する断面の、機械加工のための工作機械に投入される細長い物体をも含む。
【0053】
特に、断面に空洞を有する細長い物体、例えばチューブやパイプ、が含まれる。
【0054】
さらに、本発明は、好適な方法において、角のある断面形状を有する棒材を運搬することを可能にする。なぜなら、本発明によれば、従来技術のようにローディングサイクル中に前記棒材が傾斜面を転がり落ちる必要がない。
【0055】
前記棒材は、例えば六角形の断面形状を有してもよい。
【0056】
好適には、前記運搬手段はまた、上昇時に前記棒材を前記載置部から持ち上げ、上方傾斜誘導部に沿って押し上げるように構成され、前記棒材は好適には前記運搬手段の第2支持部に支持される。
【0057】
この構成により、好適な方法において、前記開始位置から前記終了位置への上昇と次に続く下降によって、前記開始位置から前記終了位置へ前記棒材を運搬することが可能となり、前記棒材を上昇時に傾斜載置支持物或いは棒材カートリッジの一部から、非常にシンプルな方法で持ち上げることができる。
【0058】
好適には、前記開始位置から前記終了位置への運搬中、前記棒材は、最も高い位置では前記運搬手段の第1支持部および第2支持部によって支持される。
【0059】
この構成により、前記棒材は前記開始位置から前記終了位置への運搬中の最も高い位置において、前記運搬手段の第1支持部と第2支持部の両方によって支持されることが可能となり、前記第1支持部と前記第2支持部は、前記棒材が規定される位置において前記第1支持部と前記第2支持部の間の載置位置に保持されるように、向かい合って傾斜させられる。
【0060】
前記運搬手段が、前記棒材が可動の前記運搬手段の各要素のみによって保持されるか、或いは前記運搬手段の各要素のみと接触する運搬動作を実行する場合に、この構成は特に好都合である。
【0061】
例えば、上方傾斜誘導部に沿った上昇後に、前記棒材が誘導部との接触を失い、前記第1支持部と前記第2支持部による支持するガイドがなく、自重によって回転動作が起きるおそれがある場合、その回転動作は再度の衝突につながるだろう。
【0062】
最も高い位置において前記棒材が前記開始位置から前記終了位置への運搬中に前記第1支持部と前記第2支持部に支持される規定の載置位置に位置するというさらなる利点が生じる。
【0063】
前記運搬手段の上下動に加えて、棒材の横への運搬動作が前記運搬手段を使用することによって与えられる実施例の場合において、この構成は特に好都合である。
【0064】
好適には、前記運搬手段は第1角度部を有し、前記第1角度部の第1の辺は好適には前記第1支持部を形づくり、第2の辺は好適には前記第2支持部を形づくる。
【0065】
とりわけ、この構成により、前記棒材が前記第1支持部と前記第2支持部それぞれによって支持され、そして保持される場合に、前記第1角度部が非常にシンプルな方法で前記棒材の位置を規定するという利点が提供される。
【0066】
さらに、前記運搬手段の前記第1角度部は、2つの向かい合う傾斜支持部を、シンプルな方法で1つの要素内に形成することを可能にする。
【0067】
ここで、前記第1角度部は好適にはV字型で形成されてもよい。前記第1支持部と前記第2支持部の間に湾曲によって形成することも可能である。
【0068】
この場合、上方傾斜部と下方傾斜部が直線的に角度をなして互いに交差する形状に関連する角だけでなく、むしろ、前記第1支持部および/または前記第2支持部が、V字型に或いは角度をなして接触する、上方或いは下方に走る弓形の表面を有することも可能である。
【0069】
好適には、前記運搬手段は上下動可能、特に垂直に上下動可能である。
【0070】
この構成により、前記運搬手段が上下動できる非常にシンプルな運搬メカニズムを提供できるという利点が提供される。
【0071】
この構成により、本発明によるローディング処理が、単に上方と下方への移動だけで、その間に存在する横への運搬移動なしに実行されるローディング装置を提供することが可能になる。
【0072】
したがって、前記開始位置から前記終了位置への棒材の移動の、速くて効率的なローディングサイクルを実行することが可能になる。
【0073】
好適には、前記載置部は下方傾斜載置部であり、前記開始位置に位置する前記棒材は好適には前記下方傾斜載置部上で重力に逆らって保持要素に保持される。
【0074】
この構成により棒材供給手段、例えば棒材カートリッジ、をシンプルな方法で構成することが可能になる。
【0075】
前記開始位置に位置する前記棒材は前記下方傾斜載置部に載置され、自重に逆らって保持要素に保持され、上述のように、前記開始位置に正確に配置されることができ、前記終了位置への運搬のために、前記運搬手段が前記開始位置から前記棒材を受取る。
【0076】
好適には、前記保持要素は上方傾斜誘導部を備える。
【0077】
この構成により、本発明におけるローディング装置の非常にシンプルな構造が可能になる。なぜなら、前記保持要素は前記上方傾斜誘導部を備え、前記上方傾斜誘導部は前記保持要素と一体的に形成されるからである。
【0078】
好適には、前記ローディング装置は前記終了位置から前記工作機械に投入するように構成された投入手段をさらに備え、前記投入手段は好適には受取部を有する投入部材を備え、前記受取部内で前記棒材は前記終了位置に位置する。
【0079】
この構成により、前記棒材を前記工作機械に前記終了位置から、とりわけ、前記工作機械が本発明のローディング装置の作業モードに適合させられなくてもよく、通常の方法で軸方向に投入される棒材に調整されてもよいように、従来技術に類似した軸方向で、投入することが可能になる。
【0080】
ここで、前記終了位置は特に好適に前記投入位置と位置合わせされる。すなわち、前記投入位置と軸を揃えて位置合わせされ、随意で、前記工作機械のスピンドルと軸を揃えられる。前記スピンドルでは、前記棒材を機械加工のために調整できる。
【0081】
好適には、前記投入要素は前記下方傾斜誘導部を備える。
【0082】
この構成により、本発明による前記ローディング装置の非常にシンプルな構造が可能になる。なぜなら、前記下方傾斜誘導部は前記投入要素と一体化して形成してもよいからである。
【0083】
この場合、前記棒材は前記下方傾斜誘導部に沿って自重による下降時にガイドされ、支持部に支持される。
【0084】
本発明によれば、このことが、好適には前記投入要素において実現される、前記棒材の下方傾斜誘導平面や下方傾斜誘導部にそれぞれに沿った下降から前記終了位置に向かっての直接の運搬を可能にする。
【0085】
好適には、前記投入要素は第2角度部を備え、前記第2角度部の一の辺は好適には前記下方傾斜誘導部を形づくる。
【0086】
この構成により、前記投入要素が角度部を有する場合に、本発明の前記終了位置の前記棒材を受取るための前記受取部の非常にシンプルな構造が可能になる。
【0087】
下方傾斜誘導平面や下方傾斜誘導部は、それぞれ、非常にシンプルな方法で与えられる。
【0088】
なぜなら、下方傾斜誘導部を前記投入要素は第2角度部の一の辺によって構成することができるからである。
【0089】
好適な実施例によれば、前記第2角度部はV字型に形成される。
【0090】
ここで、前記棒材の前記終了位置は前記投入要素の前記第2角度部の2辺によって、非常にシンプルな方法で規定されてもよい。
【0091】
好適には、前記投入手段は前記棒材の前記終了位置を投入位置と位置合わせし、前記棒材は前記投入位置から前記工作機械に投入される。
【0092】
この構成により、非常に有益な方法で、前記ローディング装置を断面の異なる各棒材をローディングするために使用することが可能になる。
【0093】
なぜなら、前記投入要素によって準備される前記棒材の前記終了位置を前記投入位置と軸を揃えて位置合わせするか或いはセンタリングすることによって、前記工作機械に投入するために、前記各棒材を個別に投入位置と軸方向にそして軸を揃えることができるからである。
【0094】
好適には、前記投入部材は前記棒材の前記終了位置を位置合わせするために、上下動可能、特に垂直に上下動可能である。
【0095】
この構成により、前記棒材の断面に基づいて、前記棒材の前記終了位置が前記投入位置と軸を揃えて位置合わせするように、前記投入要素を垂直に上下動させることによって、非常にシンプルな方法で前記投入要素によって準備される前記棒材の前記終了位置を垂直方向に位置合わせすることが可能になる。
【0096】
前記棒材の前記終了位置が前記投入位置と軸が揃うように垂直に位置合わせされるとき、前記ローディング装置が非常にシンプルな方法で断面の異なる各棒材に適合することができるように、非常にシンプルな位置合わせメカニズムを提供できる。
【0097】
好適には、前記投入部材は上方傾斜誘導部を備える。
【0098】
この構成により、非常にシンプルな構造が可能になる。
【0099】
本発明の実施例の前記上方傾斜誘導部は、前記棒材の運搬中の上昇によって、随意で直接に統合された方法で前記投入要素によって実現されてもよい。
【0100】
特に好適な実施例において、前記上方傾斜誘導部が前記開始位置において前記下方傾斜載置部にその自重に逆らって載置される前記棒材を保持する保持部としても使用されるとき、前記各誘導部と前記終了位置で前記棒材を受取るための受取部がさらに保持要素としても機能できるように、前記投入要素は前記上方傾斜誘導部と前記下方傾斜誘導部の両方を有する。
【0101】
上述のさまざまな各部、例えば載置部、受取部、支持部或いは誘導部は個別の部品或いは組立てられた要素によって与えられる。さらに、それらの各部は各要素に結合されてもよいし、或いは一体構造において一体化して備えられてもよい。
【0102】
この構成は特に第1支持部および第2支持部に適用される。
【0103】
さらに、この構成は第1誘導部、第2誘導部および/または載置部に適用される。
【0104】
最後に、本発明によれば、棒材を機械加工するための工作機械と、上述の各態様の一つによる前記工作機械における機械加工のために棒材をローディングするローディング装置と、を備えるシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1A】本発明の望ましい実施例におけるローディング装置の投入処理の投入サイクルの棒材が開始位置にある時の状態を示す。
【図1B】本発明の望ましい実施例におけるローディング装置の投入処理の投入サイクルの運搬要素が上昇中の状態を示す。
【図1C】本発明の望ましい実施例におけるローディング装置の投入処理の投入サイクルの運搬要素が最も高い位置にある状態を示す。
【図1D】本発明の望ましい実施例におけるローディング装置の投入処理の投入サイクルの運搬要素3が下降中の状態を示す。
【図1E】本発明の望ましい実施例におけるローディング装置の投入処理の投入サイクルの棒材が終了位置にある時の状態を示す。
【図2】本発明の望ましい実施例におけるローディング装置の投入手段を使用した終了位置の投入位置との位置合わせを棒材の断面で示す。
【図3A】本発明の望ましい実施例における、断面積の小さな棒材に対して終了位置が投入位置に位置合わせされるローディング装置を示す。
【図3B】本発明の望ましい実施例における、断面積の大きな棒材に対して終了位置が投入位置に位置合わせされるローディング装置を示す。
【図4】本発明の実施例におけるローディング装置の透視図を示す。
【図5】図4のローディング装置の側面図を示す。
【図6】棒材を機械加工するための工作機械と図4のローディング装置とを備えるシステムを示す。
【図7A】図6の工作機械における、終了位置から工作機械に棒材が投入される棒材のローディングサイクルの見本を示す。
【図7B】図6の工作機械における、終了位置から工作機械に棒材が投入される棒材のローディングサイクルの見本を示す。
【図7C】図6の工作機械における、終了位置から工作機械に棒材が投入される棒材のローディングサイクルの見本を示す。
【図7D】図6の工作機械における、終了位置から工作機械に棒材が投入される棒材のローディングサイクルの見本を示す。
【図7E】図6の工作機械における、終了位置から工作機械に棒材が投入される棒材のローディングサイクルの見本を示す。
【図7F】図6の工作機械における、終了位置から工作機械に棒材が投入される棒材のローディングサイクルの見本を示す。
【図7G】図6の工作機械における、終了位置から工作機械に棒材が投入される棒材のローディングサイクルの見本を示す。
【図7H】図6の工作機械における、終了位置から工作機械に棒材が投入される棒材のローディングサイクルの見本を示す。
【図8A】従来技術によるローディング装置の透視図を示す。
【図8B】図8Aのローディング装置のローディング処理に関連する各要素の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0106】
以下に、本発明の望ましい実施例について、添付の図面を参照しながら詳細に記述する。しかしながら、記載される各実施例は本発明を制限するものではなく、特許請求の範囲により規定される。図面については、実施例の同一のまたは類似する特徴を同じ引用符号で示す。
【0107】
図1Aから1Eは、本発明の実施例における工作機械での機械工作用の棒材を投入するためのローディング装置の投入処理の投入サイクルの概略を示す。
【0108】
前記ローディング装置は、棒材1aを開始位置から終了位置42へ運搬し、前記棒材1aを前記終了位置42から前記工作機械へ供給するように構成される。ここで、前記終了位置42から機械加工用の前記工作機械への前記棒材1aの投入は、前記棒材1aの軸方向、つまり図1Aから図1Eに描かれた面に垂直に(例えば図7Aから図7H参照)実行される。
【0109】
例えば図1Aに示すように、当該実施例における前記ローディング装置は、下方傾斜載置部21を有する軸受要素2と、上方傾斜誘導部51を有する保持要素5と、第1支持部31aと第2支持部31bとを有する運搬要素3を備える運搬手段と、上方傾斜部41aと下方傾斜誘導部41bとを有する投入要素4と、を備える。
【0110】
前記軸受要素2は、前記ローディング装置に供給するための複数の棒材1aから1cがその上に載置される前記下方傾斜載置部21を有する。この図では、棒材1aが前記載置部21上で開始位置に位置している。前記棒材1aは前記開始位置に位置し、それ以外の前記棒材1bおよび1cは前記軸受要素2で重力に逆らって保持される。前記保持要素5は前記上方傾斜誘導部51を有する。ここで、前記開始位置の前記棒材1aは、一方で前記保持要素5の前記上方傾斜誘導部51と接触し、他方で前記軸受要素2の前記下方傾斜載置部21と接触する。
【0111】
前記運搬手段は、垂直に上下動可能な、前記開始位置から終了位置42へ棒材を運搬するための前記運搬要素3を備える。前記運搬要素3は、前記第1支持部31aを形づくる第1の辺と、前記第2支持部31bを形づくる第2の辺と、がなす第1角度部を有する。
【0112】
図1Bは、前記運搬要素3が上昇中の前記ローディング装置を示す。ここで、前記棒材1aは図1Aから図1Bの間に、前記運搬要素3の前記第2支持部31bによって前記載置部21から持ち上げら、上昇している。前記棒材1aは、前記運搬要素3の前記第2支持部31bに支持されながら、前記上方傾斜誘導部51に沿って押し上げられる。
【0113】
図1Cは、前記運搬要素3が上昇を終え、上昇から下降へと切り替わる最も高い位置にある時の前記ローディング装置を示す。前記棒材1aは、前記開始位置から前記終了位置42まで運搬中で最も高い位置において、前記運搬要素3の前記第1支持部31aと前記第2支持部31bに支えられ、そしてそれ故に前記第1支持部31aと前記第2支持部31bの双方と接触している。
【0114】
図1Dは、前記運搬要素3の下降中の前記ローディング装置を示す。前記棒材1aは前記投入要素4の前記下方傾斜部41bに沿って、その自重によって下方へ移動する。前記棒材1aは前記運搬要素3の前記第1支持部31aに支えられる。
【0115】
図1Eは、前記棒材1aの前記開始位置から前記終了位置への運搬を既に完了し、前記棒材1aが前記終了位置42にある時の前記ローディング装置を示す。前記ローディング装置は、前記棒材1aを前記終了位置42の位置から工作機械へ投入するように構成された投入手段(当該投入手段の前記投入要素4以外の要素は図1Aから図1Eに図示せず)を有する。前記投入手段は、前記棒材1aが前記終了位置42に位置するときに載置される受け部を有する前記投入要素4を備える。前記受け部は、この図では第2角度部をなしている。前記第2角度部の1つの辺は前記下方傾斜部41bを形づくる。
【0116】
図2は、本発明の望ましい実施例におけるローディング装置の投入手段を使用した、棒材の断面積に基く投入位置と終了位置との軸合わせ或いはセンタリングの概略を示す。さらに、前記ローディング装置は断面積の異なる各棒材を前記工作機械に投入するように構成されている。この場合は、前記工作機械は同一の投入位置で棒材を断面積とは無関係に、軸方向に投入されるべきである。すなわち、小さな断面積を有する棒材の中心軸と大きな断面積を有する棒材の中心軸のどちらも、投入位置に軸を揃えるように位置しなければならない。これについて、小さな断面積を有する棒材1aと大きな断面積を有する棒材1dで、それぞれに前記投入位置に位置合わせされセンタリングされた前記終了位置に位置する棒材1aと1dの両方それぞれの概略を図2に示す。ここでは、前記終了位置において前記棒材の断面の中心が前記棒材の前記投入位置に軸を揃えてセンタリングされるように、前記棒材の位置を前記棒材の断面の中心によって規定する。
【0117】
図2に概略を示したように、前記ローディング装置の前記投入手段は、棒材のそれぞれの断面積に基いて、前記棒材1a或いは1dの前記終了位置42を前記投入位置と調整するように構成され、前記棒材1a或いは1dは前記投入位置42から前記工作機械に投入される。また、前記投入要素4は、前記棒材1aの前記終了位置42を調整するために垂直に上下動可能とする。
【0118】
図3Aは、本発明の好適な実施例における、終了位置が断面積の小さい棒材の投入位置に調整されたローディング装置の概略を示す。そして、図3Bは、本発明の好適な実施例における、終了位置が断面積の大きい棒材の投入位置に調整されたローディング装置の概略を示す。この場合、図3Aの終了位置にある棒材1aは図3Bの終了位置にある棒材1dよりも小さな断面積を有する。図3Bにおける前記投入要素4は前記保持要素5を伴って、前記終了位置にあるより大きな断面積を有する棒材1dを前記投入位置に位置合わせしセンタリングするために、図3Aにおける前記投入要素4よりも低い位置となる。
【0119】
ここで、図3Bにおける前記投入要素4は前記保持要素5を伴って、図3Aにおける配置と比べて下降している。前記下方傾斜載置部21は、再調整の必要なく開始位置に直径の小さい棒材(図3A参照)も直径の大きい棒材(図3B参照)も供給するのに適していることを図3Aおよび図3Bは示す。互いに対応する前記運搬要素3と前記軸受要素2の配置は図3Aおよび図3Bで共通している。
【0120】
上記のように、特に好適な本発明の第1の実施例を、図1Aから図3Bを参照して記述した。ここで、軸受要素2と、運搬要素3と、保持要素5と、投入要素4と、のそれぞれについて触れる。上記の実施例において、前記軸受要素2と、前記運搬要素3と、前記投入要素4と、はそれぞれ別個の要素として構成され、前記保持要素5は前記投入要素4と1つのユニットとして構成されている。しかしながら、本発明はそのような実施例に制限されるものではない。それどころか、前記軸受要素もまた前記保持要素と1つのユニットとして(例えば、図8Aの従来技術の実施例のように前記軸受要素に固定されて、あるいは、統合要素として)構成されてもよい。
【0121】
さらに、前記保持要素5を前記投入要素4から分離して配置することができる。それぞれに異なる棒材の断面積に基いて前記各要素を位置合わせするように構成するために、前記工作機械に投入するための前記投入位置と軸を揃えて前記棒材を位置合わせあるいはセンタリングするために前記投入要素或いは前記投入手段の受け部を可動とすることが、上述の第1の実施例の作業モードに求められるにすぎない。
【0122】
前記投入要素4から分離して配置される前記保持要素5を備える、本発明の各実施例においては、前記運搬要素3が上昇とそれに続く下降を行うだけではない本発明の変形例を提供することも可能となる。それどころか、前記運搬要素3の側方変位がさらに前記開始位置から前記終了位置への前記棒材の運搬に含まれる実施例も可能である。随意で複数回の側方運搬移動と組み合わせる、複数回の互いに繰り返す上昇および下降が可能である。
【0123】
前記運搬手段と前記運搬要素3の付加的な側方運搬移動を包含する実施例において、例えば、循環移動を通じて前記上昇が前記下降と連続して繰り返される特に望ましい実施例において、前記運搬要素3を斜め方向で上下に動かすことによって、前記運搬要素3の側方変移を上昇および/または下降に組み合わせることは可能である。
【0124】
さらに、保持要素5が投入要素4と組み合わせて与えられる、つまり、一体であるか少なくとも互いに接触している、実施例において、上方傾斜誘導部51と下方傾斜誘導部41bが直接に接触するか、あるいは互いに中間部を介して結合する(例えば、図1Aから図1Eにおける、前記上方傾斜部51と前記下方傾斜部41bの間の短い平坦部参照)ことが可能になる。
【0125】
また、図8Aに見ることができるように、従来技術においては、それぞれの要素、すなわち、軸受要素2と、運搬要素3と、保持要素5と、投入要素4と、を少なくとも重複して備え、ローディングサイクル中にそれぞれの位置の棒材に少なくとも2つの載置面かあるいは2つの載置点を与えるために、それらの要素が軸方向に一方が他方の後方に、あるいは、具体的に互いに平行に配置されることは標準的である。
【0126】
この場合、例えば、本発明を図8Aと同様に、外側に2つ以上の軸受要素2を備え、その間に2つ以上の運搬要素3が位置し、その間に2つ以上の投入要素4が配置される構成とすることができる。また一方、本発明の構成を、軸方向に任意の順序でそれぞれ一方が他方の後方となるそれらの要素を、互い違いに配列することもできる。
【0127】
具体的には、1つだけ備えられた前記要素の外側に前記各保持要素5が複合して配置される幅広の載置面に前記棒材を提供するために、軸方向に関して拡張される実施例において、随意で、1つずつの前記軸受要素2と、前記運搬要素3と、前記保持要素5と、前記投入要素4と、からなるグループの各要素のうちの1つを備えることが可能である。
【0128】
さらに、支持部31aと31bが分離した平面に配置される実施例が可能である。
【0129】
具体的には、側面から見た輪郭が変化しない限りは、図1Aから図1Eの各要素および各部を、互いに関連しながら1つの軸線上で任意にずらせるように、図1Aから図1Eの実施例における前記ローディングサイクルの運用モードが側面から見た輪郭を用いて説明されていることに注意すべきである。
【0130】
例えば、前記保持要素5と前記投入要素4は、1つの軸位置で配置されてもよい。例をあげると、側面図、すなわち軸方向からの外観が変化しないように、一体化して構成された要素、或いは軸方向の互いの相対物として配置されてもよい。
【0131】
随意で軸方向に配置される2つの要素から形成されるかもしれない前記運搬要素3も同様の適用を受け、それらの要素の各々は、個別に前記第1支持部31a或いは前記第2支持部31bを有し、2つの当該要素は、軸方向から見た側面図の輪郭を変化させずに、軸方向にずらされる。
【0132】
図4は本発明の実施例におけるローディング装置100の透視図を示す。
【0133】
この場合、前記ローディング装置100は、上記の実施例における棒材1aを、軸受要素2(ここでは実例として傾斜した平面)上の開始位置から終了位置まで運搬するのに適する。
【0134】
前記ローディング装置100は、複数の運搬要素3を有する運搬手段と、複数の投入要素4と保持要素5を有する投入手段と、を備え、前記複数の投入要素4のいくつかは、それぞれ前記保持要素5の1つとともに、1つのユニットとして構成される。
【0135】
前記運搬要素3と前記投入要素4は1つの軸方向に、すなわち、工作機械の投入方向に、交互に配列される。
【0136】
一例として、図4から読み取れるように、前記運搬要素3と前記投入要素4は中央よりも両側に多く配置される。この構成により、持ち上げられる前記棒材の長さに関して高い適応性が可能となる。前記要素3,4,5の軸方向の側面図は図1Aから図1Eの配置に対応する。
【0137】
前記ローディング装置100の前記投入手段はさらに支持部43a(例えば、シャトルとも呼ばれる)を包含する軸方向投入手段43(例えば、シャトル手段とも呼ばれる)を備える。
【0138】
前記軸方向投入手段43は、前記終了位置から工作機械へ投入する軸方向に、前記投入要素4上の前記終了位置に置かれた棒材を移動させるために、軸方向投入誘導部43bに沿って軸方向に前記支持部43aを移動させるように構成される。
【0139】
さらに、前記投入手段は押込み手段44(例えば、プッシャーとも呼ばれる)を備え、当該押込み手段44は、軸方向に横移動可能に当該押込み手段44に保持される押込みロッド44aを包含する。
【0140】
前記押込み手段44は(例えば、上方や下方への転移によって)前記押込みロッド44aを前記終了位置において、投入位置と一直線に位置合わせするように構成される。
前記終了位置から前記工作機械への棒材の軸方向の移動のメカニズムを以下に説明する。
【0141】
図5は、図4の前記ローディング装置100の軸方向からの側面図を示す。
【0142】
ここで、前記要素3,4,5の軸方向の側面図は図1Aから図1Eの配置に対応する。
【0143】
前記ローディング装置100は、さらに前記軸受要素2と前記軸受要素2の載置面21を傾けるための軸受傾斜器22を備える。前記傾斜器は手動または自動にしてもよい。
【0144】
さらに、図5は、圧縮空気式シリンダー32を示し、運搬要素3は前記圧縮空気式シリンダー32に締結手段32aを用いて取り付けられ、図1Aから図1Eにおける独自のローディングサイクルの実行を可能にするために前記運搬要素3を前記圧縮空気式シリンダー32と共に上下動する。
【0145】
前記投入手段はさらに、位置調整要素48を上下動させるように構成される位置調整手段47を備える。ここで、少なくとも1つの投入要素4は前記位置調整要素48に固定される。
【0146】
この場合、前記位置調整要素48は一例として2つのスリーブ&ボールベアリング46に押えられる。
【0147】
前記位置調整手段47を用いることで、投入要素4上の前記終了位置42を、棒材の直径や断面積に基いて、個別に、前記工作機械へ棒材を投入するための軸方向投入位置と位置合わせすることができる。(図2から図3Bおよび関連する記載も参照)
ここでは、前記位置調整手段47を手動でまたは自動で運用することによって、位置合わせが実行される。
【0148】
さらに、図5は、一例として、前記運搬要素3の少なくとも1つが、前記棒材の前記工作機械への軸方向投入を手助けするために、ころ軸受45(図1Aから図1Eにおける前記傾斜部41aと前記傾斜部41bの少なくとも一部を形成する)を備えることを示す。
【0149】
図6は、棒材を機械加工するための工作機械200と図4の独自のローディング装置100とを備えるシステムを示す。
【0150】
ここで、前記工作機械200は一例として、棒材が、棒材の機械加工用の前記工作機械200への前記投入位置と位置合わせされる終了位置から軸方向にそこを通じて投入される穴201を備える。
【0151】
前記工作機械200は例えば回転旋盤であってもよく、当該回転旋盤においては、前記棒材が当該回転旋盤のスピンドルへ軸方向で投入される。
【0152】
図7Aから図7Hは、前記棒材1aの断面に基いて、前記終了位置が前記投入位置と位置合わせされるときの、前記棒材1aを前記終了位置から前記工作機械200へ軸方向に投入することによる、投入要素4上の前記終了位置から図6における前記工作機械200への、棒材1aのローディングサイクルを一例として示す。
【0153】
図7Aは、図1Eにおける状況に対応する状態時の前記ローディング装置100を示す。
【0154】
前記棒材1aは前記終了位置への独自の運搬の後に、前記投入要素4の前記受け部41a,41bに、前記終了位置で保持される。
【0155】
前記終了位置は前記棒材1aの直径に基いて、前記投入位置と位置合わせされ、前記棒材1aは前記終了位置において、前記穴201を通り抜けて前記工作機械200へ軸方向に投入されるべきである。
【0156】
図7Bは、前記棒材1aが前記支持部43a(例えばシャトル43a)を、前記軸方向投入手段43の前記軸方向投入誘導部43bに沿って、軸方向(図7Bの矢印参照)に移動させることによって、どのように前記穴201を通り抜けて前記工作機械200へ投入されるかの一例を示す。
【0157】
図7Cは、前記支持部43aが前記軸方向投入誘導部43bの一端の付近まで移動を終え、前記棒材1aもまた、前記工作機械200の前記穴201の中へほぼ完全に押し込まれた状態時の前記ローディング装置100を示す。この後に、前記支持部43aは、再び前記軸方向投入誘導部43bに沿って、逆方向に戻される。その次に、前記押込み手段44の前記押込みロッド44aが下降して前記投入位置に位置合わせされる。すなわち、前記押込み手段44の前記押込みロッド44aが前記棒材1aに軸を揃えられる或いは実質的に軸を揃えられる。(図7Dと図7E参照、図7Eは図7Dの破線部の詳細)
図7Fに示すように、その次に、前記支持部43aは前記軸方向投入誘導部43bに沿って、軸方向で前記工作機械200の方に再度動かされる。そして、前記押込みロッド44aは、前記工作機械200の前記穴201の中へ押込まれ、前記棒材1aを前記工作機械200で機械加工できるくらいまで前記工作機械200のスピンドルへ投入しきるために、前記棒材1aをさらに前記工作機械200の中へ押込む。(図7Gも参照)
前記支持部43aが前記軸方向投入誘導部43bに沿って逆方向に戻されるとき、前記押込みロッド44aは前記工作機械200から戻される。そして、前記押出手段44が前記押込みロッド44aを前記開始位置に戻した後に、前記ローディング装置100は図7Hに図示されるように、図1Aにおける状態に対応する状態に戻る。
【0158】
従って、前記軸受要素2上で支持される棒材1aを、前記運搬手段3を用いて前記投入要素4上の前記終了位置に再度運搬されることができる。(例として、図1Aから図1E参照)
本発明の上述の全ての実施例は、工作機械における機械加工のための棒材ローディング装置が棒材を開始位置から終了位置へ運搬し、当該棒材を前記終了位置から前記工作機械へと投入するという共通点を有している。前記ローディング装置は、当該ローディング装置に載置部上の開始位置に位置する少なくとも1つの棒材を供給するための載置部と、前記棒材を前記開始位置から前記終了位置へ運搬するための可動の運搬手段と、を備える。
【0159】
前記運搬手段は、前記棒材が前記運搬手段の第1支持部によって支えられた状態で、前記棒材を下方傾斜誘導部に沿って自重によって下方へ運搬するように構成される。
【0160】
要約すれば、本発明は、当該棒材ローディング装置は従来技術の問題点を回避することのできる、工作機械における機械加工のための棒材ローディング装置を提供し、そしてとりわけ、非常に衝突の影響少ないやり方で衝撃なしに、それぞれに実行される速く効率的なローディングサイクルを可能にする。
【0161】
また、本発明は、独自のローディング装置を、投入される各棒材の異なる断面積に適応させることを、非常に有益な方法によって可能にする。保持機構或いは保持指の傾斜の角度を、複雑なメカニズムを用いて苦労して調整をする必要はない。
【符号の説明】
【0162】
1a 棒材
3 運搬手段
4 投入要素
5 保持部材
21 載置部
31a 第1支持部
31b 第2支持部
41b 下方傾斜誘導部
42 終了位置
51 上方傾斜誘導部
100 ローディング装置
200 工作機械

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械における機械加工のための棒材ローディング装置であって、
棒材(1a)を開始位置から終了位置(42)へ移動させ、前記終了位置(42)から工作機械投入するように構成され、
少なくとも1つの棒材(1a)を前記工作機械に供給するための載置部(21)と、
前記棒材(1a)を前記開始位置から前記終了位置(42)へ運搬するための可動の運搬手段(3)と、を備え、
前記少なくとも1つの棒材(1a)が前記開始位置において前記載置部(21)に配置されるローディング装置において、
前記運搬手段(3)が、下降時に、前記棒材(1a)をその自重によって下方傾斜誘導部(41b)に沿って下方へ運搬し、前記棒材(1a)が前記運搬手段(3)の第1支持部(31a)に支持されるように構成されることを特徴とするローディング装置。
【請求項2】
前記運搬手段(3)が上昇時に、前記棒材(1a)を載置部(21)から持ち上げ、上方傾斜誘導部(51)に沿って上方へ押し上げ、前記棒材(1a)が前記運搬手段(3)の第2支持部(31b)に支持されるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のローディング装置。
【請求項3】
前記開始位置から前記終了位置(42)への運搬中に、前記棒材(1a)が最も高い位置において前記運搬手段(3)の前記第1支持部(31a)と前記第2支持部(31b)に支持されることを特徴とする請求項2に記載のローディング装置。
【請求項4】
前記運搬手段(3)が第1角度部(31a,31b)を有する運搬部材を備え、
前記第1角度部(31a,31b)の第1の辺が前記第1支持部(31a)を形づくり、第2の辺が前記第2支持部(31b)を形づくることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のローディング装置。
【請求項5】
前記運搬手段(3)が上下動可能、特に垂直に上下動可能であることを特徴とする請求項1から請求項4の少なくとも1つに記載のローディング装置。
【請求項6】
前記載置部(21)が、下向きに傾斜した下方傾斜載置部(21)であり、前記下方傾斜載置部(21)上において、前記開始位置に置かれる前記棒材(1a)が自重に逆らうように、保持部材(5)に保持されることを特徴とする請求項1から請求項5の少なくとも1つに記載のローディング装置。
【請求項7】
前記保持部材(5)が前記上方傾斜誘導部(51)を備えることを特徴とする請求項6に記載のローディング装置。
【請求項8】
前記棒材(1a)を前記終了位置(42)から前記工作機械に投入するように構成される投入手段を備え、
前記投入手段は、受け部(41a,41b)を有する投入要素(4)を備え、
前記受け部(41a,41b)は、前記終了位置(42)に位置するときの前記棒材(1a)が上に置かれることを特徴とする請求項1から請求項7の少なくとも1つに記載のローディング装置。
【請求項9】
前記投入要素(4)が下方傾斜誘導部(41b)を備えることを特徴とする請求項8に記載のローディング装置。
【請求項10】
前記投入要素(4)は、前記受け部(41a,41b)が第2角度部(41a,41b)を形成し、
前記第2角度部(41a,41b)の一辺が前記下方傾斜誘導部(41b)を形づくることを特徴とする請求項9に記載のローディング装置。
【請求項11】
前記投入手段が、前記棒材(1a)の前記終了位置(42)を、投入位置と位置合わせするように構成され、
前記投入位置は、そこから前記棒材(1a)が前記工作機械に投入される位置であることを特徴とする請求項8,9または10に記載のローディング装置。
【請求項12】
前記投入要素(4)が、前記棒材(1a)の前記終了位置(42)を位置合わせするために上下動可能、特に垂直に上下動可能であることを特徴とする請求項11に記載のローディング装置。
【請求項13】
前記投入要素(4)が前記上方傾斜誘導部(51)を備えることを特徴とする請求項8から請求項12の少なくとも1つに記載のローディング装置。
【請求項14】
前記棒材(1a)の断面が曲面を有し特に円形である、または角を有し特に六角形であることを特徴とする請求項1から請求項13の少なくとも1つに記載のローディング装置。
【請求項15】
棒材(1a)を機械加工するための工作機械(200)と、
当該工作機械(200)における機械加工のために棒材をローディングする請求項1から請求項14の少なくとも1つに記載のローディング装置と、を備えるシステム。

【公開番号】特開2011−189501(P2011−189501A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−52755(P2011−52755)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(511064155)ギルデマイスター アクツィーエンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】