説明

工具用ソケット

【課題】第1の締付部品がセットされたか、第2の締付部品がセットされたかを迅速に判別することができる工具用ソケットを提供すること。
【解決手段】工具用ソケット1は、動力工具に取り付けられ、締付部品の締付・緩めを行うために用いる。工具用ソケット1は、インナーソケット2と、インナーソケット2を内部に収容するアウターソケット3と、外部から目視できるようインナーソケット2に固定された目印用部材4とを備えている。工具用ソケット1は、アウターソケット3における目印用部材4の軸方向位置によって、インナー側六角凹部22に第1の締付部品が嵌合された場合と、摺動先端部21がアウターソケット3内に引き込まれながらアウター側六角凹部32に第2の締付部品が嵌合された場合とを目視で区別可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力工具に取り付けられ、締付部品の締付・緩めを行うために用いる工具用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の機械部品の組付を行う工場等においては、ボルト又はナットの締付・緩めを行うために、電動、空気圧等によって動作する動力工具が用いられている。この動力工具においては、ボルト又はナットを装着する工具用ソケットを用いている。工具用ソケットは、2種類のボルト又はナットの締付・緩めを行うために、アウターソケットと、アウターソケット内を移動可能なインナーソケットとを用いて構成されている。
【0003】
例えば、特許文献1の工具用ソケットにおいては、インナーソケット及びアウターソケットのそれぞれの先端部に、断面六角形状のソケット孔を形成している。そして、インナーソケットのソケット孔にボルト又はナットである第1の締付部品が嵌合されるときには、インナーソケットの先端がアウターソケットの先端と同じ位置になるまでインナーソケットが引き込まれる。また、アウターソケットのソケット孔にボルト又はナットである第2の締付部品が嵌合されるときには、この第2の締付部品によってインナーソケットがアウターソケット内に引き込まれる。これにより、1つの工具用ソケットによって、大きさが異なる2種類のボルト又はナットの締付・緩めを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録3154620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記工具用ソケットにおいては、インナーソケットがアウターソケットの内部に配置されているため、アウターソケットに対するインナーソケットの軸方向位置を視認することができない。そのため、工具用ソケットに対して、第1の締付部品か第2の締付部品かのいずれがセットされているかを容易に視認することができない。これにより、被締付対象に締め付ける締付部品の誤りをなくすために、目視による確認時間を長くとる必要が生じている。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、第1の締付部品がセットされたか、第2の締付部品がセットされたかを迅速に判別することができる工具用ソケットを提供しようとして得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、アクチュエータによって回転する回転主軸に取り付けられ、六角形状の頭部を有するボルト又は六角形状のナットである締付部品の締付・緩めを行うために用いる工具用ソケットであって、
第1の締付部品を嵌合するインナー側六角凹部が先端に形成されたインナーソケットと、
該インナーソケットを内部に収容する中空穴を有し、上記第1の締付部品よりも大きい第2の締付部品を嵌合するアウター側六角凹部が先端に形成されたアウターソケットと、
該アウターソケットの外周側から視認できる状態で、上記インナーソケットに固定された目印用部材と、を備えており、
上記インナーソケットは、上記アウター側六角凹部内を摺動する断面六角形状の摺動先端部を有しており、
上記インナー側六角凹部は、上記アウター側六角凹部と相似形状で上記摺動先端部に形成されており、
上記アウターソケットにおける上記目印用部材の軸方向位置によって、上記インナー側六角凹部に上記第1の締付部品が嵌合された場合と、上記摺動先端部が上記アウターソケット内に引き込まれながら上記アウター側六角凹部に上記第2の締付部品が嵌合された場合と、を目視で区別可能であることを特徴とする工具用ソケットにある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
上記工具用ソケットは、インナーソケット及びアウターソケットの他に、目印用部材を備えている。この目印用部材は、アウターソケットの外周側から視認できる状態で、インナーソケットに固定されている。
そして、目印用部材がアウターソケットの軸方向におけるどの位置にあるかによって、工具用ソケットに第1の締付部品がセットされたか、第2の締付部品がセットされたかを判別することができる。
【0009】
具体的には、インナー側六角凹部に第1の締付部品が嵌合された場合には、インナーソケットがアウターソケットの基端側(奥側)へほとんど引き込まれない又は引き込まれる量が少ないのに対し、アウター側六角凹部に第2の締付部品が嵌合された場合には、インナーソケットがアウターソケットの基端側(奥側)へ多く引き込まれる。これにより、作業者は、アウターソケットにおける目印用部材の軸方向位置を視認することによって、工具用ソケットに第1の締付部品がセットされたか、第2の締付部品がセットされたかを迅速に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例にかかる、工具用ソケットを取り付けた動力工具を示す説明図。
【図2】実施例にかかる、締付部品をセットしていない原位置にある工具用ソケットを示す断面図。
【図3】実施例にかかる、第1の締付部品をセットした第1嵌合位置にある工具用ソケットを示す断面図。
【図4】実施例にかかる、第2の締付部品をセットした第2嵌合位置にある工具用ソケットを示す断面図。
【図5】実施例にかかる、原位置にある工具用ソケットを示す側面図。
【図6】実施例にかかる、図5におけるA−A線矢視断面図。
【図7】実施例にかかる、図5におけるB−B線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述した工具用ソケットにおける好ましい実施の形態につき説明する。
上記工具用ソケットにおいては、上記アウターソケットの上記中空穴には、圧縮バネが配置されており、上記インナーソケット及び上記目印用部材は、上記圧縮バネの付勢力を受けて上記摺動先端部の先端が上記アウターソケットの先端よりも突出した原位置と、上記第1の締付部品を上記インナー側六角凹部に嵌合したときに、上記摺動先端部の先端が上記アウターソケットの先端と同じ位置まで引き込まれた第1嵌合位置と、上記第2の締付部品を上記アウター側六角凹部に嵌合したときに、上記摺動先端部の先端が上記アウターソケットの先端よりも深い位置まで引き込まれた第2嵌合位置と、に移動可能としてもよい(請求項2)。
【0012】
この場合には、工具用ソケットに締付部品がセットされていないときには、圧縮バネの付勢力によって、インナーソケット及び目印用部材を安定して原位置に維持することができる。また、この原位置とは別に、インナーソケット及び目印用部材の第1嵌合位置及び第2嵌合位置を形成することができる。そして、圧縮バネの付勢力によって、インナーソケット及び目印用部材を、第1嵌合位置又は第2嵌合位置から原位置へ容易に復帰させることができる。
【0013】
また、上記アウターソケットは円筒形状に形成されており、上記目印用部材は、上記アウターソケットの外周に配置されるリング形状を有しているとともに、固定ピンによって上記インナーソケットに固定されており、上記固定ピンは、上記アウターソケットの径方向に互いに対向する位置に、軸方向に平行に形成された一対の長穴内に挿通されており、上記アウターソケットの外周には、上記インナーソケット及び上記目印用部材が上記原位置にあるときに、上記目印用部材に対する軸方向基端側に隣接して露出する一方、上記インナーソケット及び上記目印用部材が上記第1嵌合位置に移動したときに、上記目印用部材によって覆われる溝状スリットが形成されていてもよい(請求項3)。
【0014】
この場合には、リング形状の目印用部材によって、アウターソケットにおける目印用部材の軸方向位置を一層容易に視認することができる。また、溝状スリットの形成によって、インナーソケット及び目印用部材が、原位置にあるときと第1嵌合位置に移動したときとを、一層容易に視認することができる。
【実施例】
【0015】
以下に、上記工具用ソケットにかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
図1は、工具用ソケット1を取り付けた動力工具7を示す。
同図に示すごとく、本例の工具用ソケット1は、アクチュエータ71によって回転する、動力工具7の回転主軸72に取り付けられ、六角形状の頭部81を有するボルト又は六角形状のナットである締付部品8A,8Bの締付・緩めを行うために用いる。
【0016】
図2〜図4は、工具用ソケット1の断面を示し、図2は、締付部品8A,8Bをセットしていない原位置P0にある状態、図3は、第1の締付部品8Aをセットした第1嵌合位置P1にある状態、図4は、第2の締付部品8Bをセットした第2嵌合位置P2にある状態をそれぞれ示す。
各図に示すごとく、工具用ソケット1は、次のインナーソケット2、アウターソケット3及び目印用部材4を備えている。インナーソケット2は、第1の締付部品8Aを嵌合するインナー側六角凹部22を先端に有している。アウターソケット3は、インナーソケット2を内部に収容する中空穴31を有するとともに、第1の締付部品8Aよりも大きい第2の締付部品8Bを嵌合するアウター側六角凹部32を先端に有している。目印用部材4は、アウターソケット3の外周側から視認できる状態で、インナーソケット2に固定されている。
【0017】
図5は、工具用ソケット1の側面を示し、図6は、図5におけるA−A線矢視断面を示し、図7は、図5におけるB−B線矢視断面を示す。
図6に示すごとく、インナーソケット2は、アウター側六角凹部32内を摺動する断面六角形状の摺動先端部21を有している。インナー側六角凹部22は、アウター側六角凹部32と相似形状で摺動先端部21に形成されている。
工具用ソケット1は、アウターソケット3における目印用部材4の軸方向位置によって、インナー側六角凹部22に第1の締付部品8Aが嵌合された場合(図3参照)と、摺動先端部21がアウターソケット3内に引き込まれながらアウター側六角凹部32に第2の締付部品8Bが嵌合された場合(図4参照)と、を目視で区別可能である。
【0018】
以下に、本例の工具用ソケット1につき、図1〜図7を参照して詳説する。
図1に示すごとく、本例の工具用ソケット1は、電動又は空気圧によってアクチュエータ71を駆動して、回転主軸72を回転させるよう構成された動力工具7に用いるものである。工具用ソケット1は、アウターソケット3の基端部を、動力工具7における取付部73に取り付けるよう構成されている。
動力工具7の取付部73は、回転主軸72に連結されており、動力工具7の取付先端部分から断面角形状(本例では断面四角形状)の係合突起部74を突出させて形成されている。
【0019】
図2に示すごとく、アウターソケット3の基端部には、係合突起部74を差し込むための断面角形状(本例では断面四角形状)の差込口33が、中空穴31に連通するように軸方向に形成されている。また、アウターソケット3の基端部には、動力工具7から工具用ソケット1が外れることを防止するための抜け防止ピンを差し込むためのピン穴34が、差込口33を貫通するように径方向に形成されている。
【0020】
アウターソケット3の中空穴31には、圧縮バネ5が配置されている。圧縮バネ5は、コイルバネによって形成されている。アウターソケット3の中空穴31においては、基端側(奥側)に圧縮バネ5が収納され、先端側にインナーソケット2が収納される。アウター側六角凹部32は、アウターソケット3の先端部において、中空穴31に連通して形成されている。
アウターソケット3は円筒形状に形成されており、目印用部材4は、アウターソケット3の外周における軸方向の中間位置に配置されている。目印用部材4は、アウターソケット3の外周に配置されるリング形状を有しているとともに、固定ピン41によってインナーソケット2に固定されている。目印用部材4は、インナーソケット2の基端側端部の近傍に固定されている。
【0021】
図2、図7に示すごとく、アウターソケット3においては、径方向に互いに対向する位置に、軸方向に沿った一対の長穴35が形成されている。一対の長穴35は、中空穴31に連通し、中空穴31を介して貫通している。
固定ピン41は、一対の長穴35に挿通する状態で、インナーソケット2の基端側端部と、リング形状の目印用部材4の径方向の両側部位とに嵌入されている。圧縮バネ5によって付勢されるインナーソケット2及び目印用部材4は、固定ピン41が、一対の長穴35の先端側端部に当接することにより、原位置P0に維持される。
【0022】
本例のインナーソケット2及び目印用部材4は、3つの位置に移動可能に構成されている。インナーソケット2及び目印用部材4は、圧縮バネ5の付勢力を受けて摺動先端部21の先端がアウターソケット3の先端よりも突出した原位置P0と(図2参照)、第1の締付部品8Aをインナー側六角凹部22に嵌合したときに、摺動先端部21の先端がアウターソケット3の先端と同じ位置まで引き込まれた第1嵌合位置P1と(図3参照)、第2の締付部品8Bをアウター側六角凹部32に嵌合したときに、摺動先端部21の先端がアウターソケット3の先端よりも深い位置まで引き込まれた第2嵌合位置P2と(図4参照)、に移動可能である。
【0023】
工具用ソケット1に締付部品8A,8Bがセットされていないときには、圧縮バネ5によって、インナーソケット2及び目印用部材4を安定して原位置P0に維持することができる。また、インナーソケット2及び目印用部材4は、圧縮バネ5の付勢力によって、第1嵌合位置P1又は第2嵌合位置P2から原位置P0へ容易に復帰させることができる。
【0024】
図5に示すごとく、アウターソケット3の外周における軸方向の中間位置には、全周に亘って溝状スリット36が形成されている。溝状スリット36は、図2に示すごとく、インナーソケット2及び目印用部材4が原位置P0にあるときに、目印用部材4に対する軸方向基端側に隣接して露出する一方、図3に示すごとく、インナーソケット2及び目印用部材4が第1嵌合位置P1に移動したときに、目印用部材4によって覆われる軸方向位置に形成されている。
【0025】
図3、図4に示すごとく、第1の締付部品8Aであるボルトと、第2の締付部品8Bであるボルトとは、六角形状の頭部81の軸方向基端部に鍔状に突出する皿部82を有している。
図3に示すごとく、第1の締付部品8Aとしてのボルトを、インナー側六角凹部22に嵌合するときには、ボルトの皿部82がアウターソケット3の先端に当接することにより、アウターソケット3に対するインナーソケット2の引き込み量が決定され、インナーソケット2及び目印用部材4が第1嵌合位置P1に移動する。
また、図4に示すごとく、第2の締付部品8Bとしてのボルトを、アウター側六角凹部32に嵌合するときには、ボルトの頭部81がインナーソケット2を押し込むとともに、ボルトの皿部82がアウターソケット3の先端に当接することにより、アウターソケット3に対するインナーソケット2の引き込み量が決定され、インナーソケット2及び目印用部材4が第2嵌合位置P2に移動する。
【0026】
図2に示すごとく、インナーソケット2は、摺動先端部21よりも基端側には、中空穴31内を摺動する摺動軸部23を有している。圧縮バネ5は、摺動軸部23の基端面によって押されて圧縮変形するようになっている。摺動先端部21の先端側部分は、第2の締付部品8Bにおける六角形状の大きさと、第1の締付部品8Aにおける六角形状の大きさとの差に相当する厚みで、六角環状に突出して形成されている(図6参照)。
【0027】
図2、図5、図7に示すごとく、本例の工具用ソケット1は、インナーソケット2及びアウターソケット3の他に、目印用部材4を備えている。この目印用部材4は、アウターソケット3の外周側から視認できる状態で、インナーソケット2に固定されている。
そして、目印用部材4がアウターソケット3の軸方向におけるどの位置にあるかによって、工具用ソケット1に第1の締付部品8Aがセットされたか、第2の締付部品8Bがセットされたかを判別することができる。
【0028】
図2に示すごとく、動力工具7を使用してボルトの締付を行う作業者は、目印用部材4の軸方向に隣接する溝状スリット36が視認できることによって、インナーソケット2及び目印用部材4が原位置P0にあることを確認することができる。また、このとき、インナーソケット2の先端がアウターソケット3の先端よりも突出していることを視認して、原位置P0を確認することもできる。
【0029】
図3に示すごとく、作業者が、第1の締付部品(ボルト)8Aの締付を行う際には、第1のボルト8Aの頭部81が、インナー側六角凹部22に嵌合されるように、工具用ソケット1に第1のボルト8Aをセットする。このとき、第1のボルト8Aの軸部が被締付対象に当接するとき、第1のボルト8Aから伝わる荷重を受けて、圧縮バネ5を圧縮変形させながらインナーソケット2がアウターソケット3内に引き込まれる。そして、第1のボルト8Aの皿部82がアウターソケット3の先端に当接するまでインナーソケット2が引き込まれ、インナーソケット2及び目印用部材4が第1嵌合位置P1に移動する。
このとき、第1のボルト8Aの締付を行う作業者は、目印用部材4が、溝状スリット36を覆っていることを視認することにより、インナーソケット2及び目印用部材4が第1嵌合位置P1にあることを確認することができる。
【0030】
また、図4に示すごとく、作業者が、第2の締付部品(ボルト)8Bの締付を行う際には、第2のボルト8Bの頭部81が、アウター側六角凹部32に嵌合されるように、工具用ソケット1に第2のボルト8Bをセットする。第2のボルト8Bの軸部が被締付対象に当接するとき、第2のボルト8Bから伝わる荷重を受けて、圧縮バネ5を圧縮変形させながらインナーソケット2がアウターソケット3内に引き込まれる。次いで、第2のボルト8Bの頭部81がインナーソケット2の先端に当接して、インナーソケット2がアウターソケット3内に押し込まれ、第2のボルト8Bの頭部81がアウター側六角凹部32に嵌合される。そして、第2のボルト8Bの皿部82がアウターソケット3の先端に当接するまでインナーソケット2が引き込まれ、インナーソケット2及び目印用部材4が第2嵌合位置P2に移動する。
このとき、第2のボルト8Bの締付を行う作業者は、目印用部材4が、アウターソケット3の基端部側へ大きく移動したことを視認することにより、インナーソケット2及び目印用部材4が第2嵌合位置P2にあることを確認することができる。
【0031】
このように、作業者は、アウターソケット3における目印用部材4の軸方向位置を視認することによって、工具用ソケット1に第1のボルト8Aがセットされたか、第2のボルト8Bがセットされたかを迅速に判別することができる。
また、作業者は、インナー側六角凹部22に対する第1のボルト8Aの嵌合不良が発生した場合、あるいは、アウター側六角凹部32に対する第2のボルト8Bの嵌合不良が発生した場合には、目印用部材4が、意図する第1嵌合位置P1又は第2嵌合位置P2まで移動しないことによって、これらの嵌合不良を容易に見つけることができる。
【0032】
さらに、作業者は、工具用ソケット1にセットされるボルト8A,8Bが、第1のボルト8Aであるか、第2のボルト8Bであるかがわかっていない場合に、目印用部材4の軸方向位置を視認することによって、どちらかを認知することができる。
それ故、本例の工具用ソケット1によれば、この工具用ソケット1に第1のボルト8Aがセットされたか、第2のボルト8Bがセットされたかを迅速に判別することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 工具用ソケット
2 インナーソケット
21 摺動先端部
22 インナー側六角凹部
3 アウターソケット
31 中空穴
32 アウター側六角凹部
36 溝状スリット
4 目印用部材
41 固定ピン
5 圧縮バネ
7 動力工具
71 アクチュエータ
72 回転主軸
8A 第1の締付部品
8B 第2の締付部品
P0 原位置
P1 第1嵌合位置
P2 第2嵌合位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータによって回転する回転主軸に取り付けられ、六角形状の頭部を有するボルト又は六角形状のナットである締付部品の締付・緩めを行うために用いる工具用ソケットであって、
第1の締付部品を嵌合するインナー側六角凹部が先端に形成されたインナーソケットと、
該インナーソケットを内部に収容する中空穴を有し、上記第1の締付部品よりも大きい第2の締付部品を嵌合するアウター側六角凹部が先端に形成されたアウターソケットと、
該アウターソケットの外周側から視認できる状態で、上記インナーソケットに固定された目印用部材と、を備えており、
上記インナーソケットは、上記アウター側六角凹部内を摺動する断面六角形状の摺動先端部を有しており、
上記インナー側六角凹部は、上記アウター側六角凹部と相似形状で上記摺動先端部に形成されており、
上記アウターソケットにおける上記目印用部材の軸方向位置によって、上記インナー側六角凹部に上記第1の締付部品が嵌合された場合と、上記摺動先端部が上記アウターソケット内に引き込まれながら上記アウター側六角凹部に上記第2の締付部品が嵌合された場合と、を目視で区別可能であることを特徴とする工具用ソケット。
【請求項2】
請求項1に記載の工具用ソケットにおいて、上記アウターソケットの上記中空穴には、圧縮バネが配置されており、
上記インナーソケット及び上記目印用部材は、上記圧縮バネの付勢力を受けて上記摺動先端部の先端が上記アウターソケットの先端よりも突出した原位置と、上記第1の締付部品を上記インナー側六角凹部に嵌合したときに、上記摺動先端部の先端が上記アウターソケットの先端と同じ位置まで引き込まれた第1嵌合位置と、上記第2の締付部品を上記アウター側六角凹部に嵌合したときに、上記摺動先端部の先端が上記アウターソケットの先端よりも深い位置まで引き込まれた第2嵌合位置と、に移動可能であることを特徴とする工具用ソケット。
【請求項3】
請求項2に記載の工具用ソケットにおいて、上記アウターソケットは円筒形状に形成されており、
上記目印用部材は、上記アウターソケットの外周に配置されるリング形状を有しているとともに、固定ピンによって上記インナーソケットに固定されており、
上記固定ピンは、上記アウターソケットの径方向に互いに対向する位置に、軸方向に平行に形成された一対の長穴内に挿通されており、
上記アウターソケットの外周には、上記インナーソケット及び上記目印用部材が上記原位置にあるときに、上記目印用部材に対する軸方向基端側に隣接して露出する一方、上記インナーソケット及び上記目印用部材が上記第1嵌合位置に移動したときに、上記目印用部材によって覆われる溝状スリットが形成されていることを特徴とする工具用ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−94919(P2013−94919A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241531(P2011−241531)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)