説明

巻きおしぼり製造装置

【課題】操作部内のスイッチの湯気による故障を抑制することができる巻きおしぼり製造装置を提供すること。
【解決手段】ケーシング8内に、収納部25と、送給手段29と、切断手段30と、散水手段38と、成形手段46とを設け、第一操作部10を操作することによって、前記収納部25内のシートロール26から帯状のシート材26Aを引き出し、所定の長さに切断し、水分を含ませた後、巻きおしぼりに成形し、前記ケーシング8正面の可動パネル17に設けられた受皿兼用蓋19で受ける巻きおしぼり製造装置1であって、前記ケーシング8を構成するフレーム5の右側面に、操作頻度が低い第二操作部22を設けたことで、前記第二操作部22を、前記受皿兼用蓋19の巻きおしぼりから放出された湯気や、取り出された前記成形手段46から滴下した水で濡らさないようにして、前記第二操作部22のスイッチ類を故障させないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の長さに切断されたシート材に水分を含浸させて巻くことで巻きおしぼりを成形する巻きおしぼり製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の巻きおしぼり製造装置としては、タオルロール(本発明のシートロールに相当する)から帯状のシート材を引き出す送給手段と、この送給手段によって引き出された前記シート材を所定の長さに切断する切断手段と、この切断手段によって切断された前記シート材に湿り気を付与する散水手段と、湿り気を付与された前記シート材をロール状に巻き込んで巻きおしぼりを成形する成形手段とを本体(本願発明のケーシングに相当する)内に設け、この本体の正面に操作パネル(本願発明の操作部に相当する)を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、前記本体の前面パネルの正面側に、前記操作パネルが設けられていると共に、前記前面パネルの裏面側に、前記シート材の長さを設定するための長さ設定つまみ等(本願発明の第二操作部に相当する)が設けられている。なお、これらの長さ設定つまみ等は、操作頻度の低いもの、或いは、管理者だけが操作し、使用者には操作して欲しくないものである。また、成形された巻きおしぼりは、操作パネルの下方に設けられた受け皿兼用蓋上に放出される。
【特許文献1】特開2005−95273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような巻きおしぼり製造装置においては、前記シート材を湯によって湿らせる場合、前記受け皿兼用蓋上の巻きおしぼりから湯気が上昇して、前記正面パネルの裏面に設けられた前記長さ設定つまみ等に結露して湿らせてしまうことで、前記長さ設定つまみ等によって操作されるスイッチ類を故障させてしまう虞があった。また、前面パネルを開いて前記成形手段の少なくとも一部を取り出すことのできる構造も知られているが、前記成形手段の少なくとも一部を取り出す際に、この成形手段に付着した水滴が前記長さ設定つまみ等に落下して濡らしてしまうことで、これら長さ設定つまみ等によって操作されるスイッチ類を故障させてしまう虞があった。このようなことは、透湿性のないシートで覆うことができるプッシュスイッチを用いる場合であれば問題となりにくいが、ロータリースイッチ等、低コストで防湿構造にすることが難しいスイッチを用いる場合では、問題となる虞があった。
【0004】
本発明は以上の問題点を解決し、操作部内のスイッチの水滴による故障を抑制することができる巻きおしぼり製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の巻きおしぼり製造装置は、帯状のシート材を巻回したシートロールを収納する収納部と、前記シートロールから前記シート材を引き出す送給手段と、この送給手段によって送られた前記シート材を所定の長さに切断する切断手段と、この切断手段によって切断された前記シート材に水分を含ませる散水手段と、含水状態の前記シート材を巻いて巻きおしぼりを成形する成形手段とをケーシング内に設け、このケーシングの正面に操作部を設けると共に、この操作部の下方に可動パネルを設け、この可動パネルに巻きおしぼりの受皿兼用蓋を設けた巻きおしぼり製造装置において、前記ケーシングの側面に、第二操作部を設けたものである。
【0006】
また、本発明の請求項2に記載の巻きおしぼり製造装置は、請求項1において、前記ケーシングの側面に凹部を形成し、この凹部に前記第二操作部を設けると共に、この第二操作部を覆うように、前記凹部を開閉可能な蓋体を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1に記載の巻きおしぼり製造装置は、以上のように構成することにより、前記散水手段によって湯で湿らされたシート材を前記成形手段によって巻くことで成形された巻きおしぼりから湯気が放出されたとしても、前記巻きおしぼりが受けられる前記受皿兼用蓋の直上に第二操作部が位置しないので、湯気を前記第二操作部に結露させないようにして、この第二操作部に設けられたスイッチ類を故障させないようにすることができる。また、メンテナンスのために、可動パネルを開いて前記成形手段の少なくとも一部を取り出す場合であっても、前記成形手段から水滴が滴下しても、前記第二操作部を濡らすことがないので、この第二操作部に設けられたスイッチ類を故障させないようにすることができる。
【0008】
また、前記ケーシングの側面に形成された凹部に前記第二操作部を設け、この第二操作部を覆うように前記凹部を開閉可能な蓋体を設けたことで、巻きおしぼりから放出された湯気が前記第二操作部に触れることを、前記蓋体によって妨げることができるので、第二操作部に設けられたスイッチ類を故障させないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図7に基づいて説明する。1は本発明の巻きおしぼり製造装置である。この巻きおしぼり製造装置1は、本体2と、この本体2の左側面に対して着脱自在に取り付けられる左パネル3と、前記本体の右側面に対して着脱自在に取り付けられる右パネル4とを有して構成されている。また、前記本体2は、フレーム5と、このフレーム5の正面上部に設けられた正面パネル6と、背面パネル7とを有して構成されている。なお、前記正面パネル6は、前記フレーム5に固定されている。そして、前記フレーム5及びこのフレーム5の前後左右に取り付けられる前記各パネル3,4,6,7によって、ケーシング8が構成されている。また、前記本体2のフレーム5の上部は開口しており、この開口を塞ぐための上蓋体9が、前記フレーム5の上部に着脱自在に取り付けられている。
【0010】
前記正面パネル6には第一操作部10が設けられている。そして、この第一操作部10には、供給ボタン11と、巻きおしぼりの本数を設定する設定ボタン12,13と、巻きおしぼりの本数を表示する表示手段14と、後述するヒータ43への通電を示すと共に後述する加熱タンク42内の水温が適温になったことを示す表示手段15と、動作エラー等を示すための表示手段16とが設けられている。また、前記フレーム5の正面下部で且つ前記正面パネル6の下方には、可動パネル17が取り付けられていると共に、この可動パネル17の開口部18に、受皿兼用蓋19が開閉自在に取り付けられている。なお、前記可動パネル17は、前記フレーム5に対して、その下端近傍に設けられた図示しない回動軸を中心として回動可能に枢支されている。また、前記受皿兼用蓋19は、その下方に設けられた回動軸20を中心として、前記可動パネル17に対して回動可能に枢支されている。また、前記本体2のフレーム5の底面には、複数の足21が取り付けられている。また、前記フレーム5の右側面の前上部には、第二操作部22が設けられている。この第二操作部22には、調節や切り替え等の用途のための、比較的使用頻度の低いスイッチや摘み等が設けられている。更に、前記フレーム5の右側面の前下部には、電源スイッチ23が設けられている。
【0011】
前記フレーム5の上部前方には、ロールホルダ24を収納するための収納部25が形成されている。なお、この収納部25は、前記上蓋体9を取り外すことによって開放される。そして、前記ロールホルダ24には、帯状の不織布シート材26Aを巻回したシートロール26が保持される。
【0012】
また、前記フレーム5における前記収納部25の後方には、送給切断ユニット27が固定されている。この送給切断ユニット27は、フレーム28と、このフレーム28の上部に設けられた送給手段29と、前記フレーム28の下部に設けられた切断手段30と、前記送給手段29を通過した前記シート材26Aを、前記切断手段30を経由して後述する成形手段46に案内するガイド部材31とを有して構成されている。そして、前記送給手段29は、前記フレーム28に取り付けられた電動機32と、ギア等を介して前記電動機32によって回転させられるローラ33と、図示しないバネによって前記ローラ33の方向に付勢される押さえ部材34とを有して構成されている。なお、この押さえ部材34は、前記上蓋体9を取り外すことによって開放される。また、前記切断手段30は、前記フレーム28に取り付けられた電動機35と、ギア等を介して前記電動機35によって回転させられる可動刃36と、図示しないバネによって前記フレーム28に対して弾性的に支持される固定刃37とを有して構成されている。なお、前記フレーム5の左側面には、前記ガイド部材31の下部を開放するように、開口部5Aが形成されている。
【0013】
前記フレーム5における送給切断ユニット27の後方には、前記切断手段30によって所定の長さに切断された前記シート材26Aに水分を含ませるための散水手段38が設けられている。この散水手段38は、収納部39と、この収納部39に着脱自在に挿入される水タンク40と、この水タンク40内の水を下流側に送るポンプ41と、このポンプ41によって送られた水を貯める加熱タンク42と、この加熱タンク42内の水を温めるヒータ43と、前記加熱タンク42から送られた温水の経路を切り替える切替弁44と、前記加熱タンク42から送られた温水を切断された前記シート材26Aに供給する散水ノズル45とを有して構成されている。なお、前記収納部39は、前記上蓋体9を取り外すことによって開放される。また、前記散水ノズル45は、前記ガイド部材31よりも前方に位置すると共に、このガイド部材31を挟んで、前記シート材26Aの反対側に位置する。更に、前記散水ノズル45は、後述する摩擦パッド53よりも後方に位置する。
【0014】
前記フレーム5における前記収納室25及び送給切断ユニット27の下方には、前記切断手段30によって所定の長さに切断されると共に前記散水手段38によって含水状態とされた前記シート材26Aを巻いて巻きおしぼりを成形する成形手段46が設けられている。この成形手段46は、前記フレーム5に固定された電動機47と、前記フレーム5に対して着脱自在に取り付けられた従動カセット48とを有して構成されている。なお、この従動カセット48は、前記可動パネル17を開くことで、前記フレーム5に対して着脱可能となる。そして、前記従動カセット48は、フレーム49と、一対の大ローラ50,51と、これら一対の大ローラ50,51間に架け渡された無端ベルト52と、この無端ベルト52の上面と対向して設けられた摩擦パッド53と、前記無端ベルト52の上面側で且つ前記摩擦パッド53の前方に設けられた一対の小ローラ54,55と、これら一対の小ローラ54,55間に架け渡されると共に前記無端ベルト52の上面と対向して設けられた無端ベルト56とを有して構成されている。なお、後側の前記小ローラ55は、ギア等を介して前記電動機47によって回転させられると共に、前側の前記大ローラ50は、図示しない伝達ベルトを介して、前記小ローラ55の回転に伴って回転する。なお、前記無端ベルト52は、前記シート材26Aの幅よりもやや広く形成されていると共に、前記無端ベルト56は、前記シート材26Aの幅よりも細く形成されており、これらの細い無端ベルト56が、前記小ローラ54,55間に複数並列に架け渡されている。また、前側の前記小ローラ54は、下方に付勢された状態で、上下方向に移動可能となるように、前記フレーム49に対して取り付けられている。また、前記無端ベルト52と無端ベルト56は、それぞれ同じ方向に回転するように構成されている。従って、対向する前記無端ベルト52の上面と前記無端ベルト56の下面は、それぞれ逆方向に動くことになる。更に、前記従動カセット48は、前記無端ベルト52の移動速度が前記無端ベルト56の移動速度よりも速くなるように構成されている。
【0015】
前記左パネル3は、前記本体2を構成する前記フレーム5の左側面に対して着脱自在に取り付けられている。そして、前記左パネル3には、この左パネル3を前記フレーム5の左側面に取り付けた状態で、前記開口部5Aと対応する開口部3Aが形成されている。従って、前記開口部3A及び開口部5Aを介して、前記送給切断ユニット27の下部(即ち前記切断手段30の下方)及び前記成形手段46の後部を露出させることができる。更に、前記開口部3Aには、これを閉塞するための左蓋体57が取り付けられている。なお、前記左蓋体57は、前記開口部3Aに対して取り外し可能に構成されている。
【0016】
前記右パネル4は、前記本体2を構成する前記フレーム5の右側面に対して着脱自在に取り付けられている。そして、前記右パネル4には、この右パネル4を前記フレーム5の右側面に取り付けた状態で、前記第二操作部22と対応する開口部4Aが形成されていると共に、前記電源スイッチ23と対応する開口部4Bが形成されている。従って、前記開口部4Aを介して、前記第二操作部22を露出させることができると共に、前記開口部4Bを介して、前記電源スイッチ23を露出させることができる。なお、前記開口部4Aには、その全周に亘って内側に突出する図示しないリブが形成されており、このリブが前記第二操作部22の周囲に当接することによって、この第二操作部22は、前記右パネル4の表面に対して凹部4Cとなる個所に設けられることになる。更に、前記開口部4Aには、これを閉塞するための右蓋体58が取り付けられている。なお、前記右蓋体58は、前記開口部4Aの後側に枢支されている。
【0017】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず管理者は、前記巻きおしぼり製造装置1を設置する。そして、この設置された巻きおしぼり製造装置1の上蓋体9を取り外す。更に、前記収納部39から前記水タンク40を取り出し、この水タンク40内に水を入れ、再び前記収納部39に挿入する。そして、前記収納部25から前記ロールホルダ24を取り出し、このロールホルダ24に前記シートロール26を保持させ、このシートロール26が保持された前記ロールホルダ24を再び前記収納部25に挿入する。この状態で、前記電源スイッチ23をONにする。
【0018】
そして、管理者は、前記右蓋体58を開いて前記第二操作部22を露出させ、この第二操作部22に設けられた前記ポンプ41を強制作動させるためのスイッチを操作して、前記水タンク40内の水が、前記加熱タンク42内、更には、前記散水ノズル45内を満たした状態とする。そして、温かい巻きおしぼりを得たい場合、前記第二操作部22に設けられた前記ヒータ43に通電させるためのスイッチをONにし、冷たい巻きおしぼりを得たい場合、前記スイッチをOFFにする。また、複数の巻きおしぼりを自動的に得たい場合、前記第二操作部22に設けられた単独/連続の切替スイッチを「連続」に切り替え、巻きおしぼりを一本ずつ得たい場合、前記切替スイッチを「単独」に切り替える。また、動作中にブザーを鳴らしても構わない場合、前記第二操作部22に設けられたブザーのスイッチをONにし、ブザーを鳴らしたくない場合、前記スイッチをOFFにする。更に、前記第二操作部22に設けられた長さ調節ダイヤルを操作することで、巻きおしぼりを構成する前記シート材26Aの長さを調節すると共に、水量調節ダイヤルを操作することで、前記シート材26Aへの散水量を調節することができる。なお、前記第二操作部22に設けられたこれらのスイッチ類は、管理者が操作したり設定した後は、使用者が操作する必要のないものである。
【0019】
そして、管理者は、前記シートロール26から前記シート材26Aを引き出し、前記押さえ部材34を持ち上げて、この押さえ部材34と前記ローラ33との間に前記シート材26Aの先端を挟む。このように、前記シート材26Aの先端を前記ローラ33と押さえ部材34とで挟むと、前記電動機32が作動して前記ローラ33が回転し、前記シート材26Aを、その先端が前記可動刃36及び固定刃37の高さ位置に達するまで送る。この際、前記シート材26Aは、前記ガイド部材31によって案内されると共に、その先端部が、前記可動刃36と固定刃37との間に位置する。以上の操作が終了したら、管理者は、前記上蓋体9を再び前記フレーム5の上部に取り付け、前記受皿兼用蓋19を開く。以上により、使用者が使用する準備が完了する。なお、温かい巻きおしぼりを得る場合、前記表示手段15の表示内容によって、前記巻きおしぼり製造装置1が使用可能な状態かどうか知ることができる。
【0020】
次に、使用者は、必要な巻きおしぼりの本数を前記第一操作部10に設けられた設定ボタン12,13を用いて設定し、前記供給ボタン11を押すことで、必要な本数の巻きおしぼりが成形され、前記受皿兼用蓋19上に排出される。なお、前記設定ボタン12,13は、単独モード時は無効である。
【0021】
単独モードにおける前記巻きおしぼりの製造工程について説明する。冷たい巻きおしぼりを得る場合、前記切替弁44は、前記加熱タンク42と散水ノズル45とを接続した状態となる。そして、使用者が前記供給ボタン11を押すと、前記電動機32,47及びポンプ41が同時に作動を開始する。そして、前記電動機32の作動によって前記ローラ33が回転し、このローラ33の回転によって、このローラ33と前記押さえ部材34とで挟まれた前記シート材26Aが、前記ガイド部材31によって案内されて下方に送られる。同時に、前記電動機47の作動によって、前記小ローラ55及びこれと連動する大ローラ50が回転し、これらの大ローラ50及び小ローラ55の回転によって、前記無端ベルト52及び56が回転する。なお、前記ローラ33による前記シート材26Aの送給速度と、前記無端ベルト52の移動速度は同じである。更に同時に、前記ポンプ41の作動によって、前記水タンク40内の水が前記加熱タンク42内に送られ、この水に押し出される形で、前記加熱タンク42内の温められていない水が、前記切替弁44を経て前記散水ノズル45に送られ、この散水ノズル45から、前記無端ベルト52上で且つ前記散水ノズル45の下方に送られた前記シート材26Aに噴射される。これによって、前記シート材26Aは、含水状態となる。
【0022】
一方、温かい巻きおしぼりを得る場合、前記切替弁44は、前記加熱タンク42と収納部39とを接続した状態となる。そして、使用者が前記供給ボタン11を押すと、前記ポンプ41のみが作動する。このような状態で前記ポンプ41が作動することで、前記水タンク40内の水が前記加熱タンク42内に送られ、この水に押し出される形で、前記加熱タンク42内の水が、前記切替弁44を経て前記収納部39に戻ることになる。そして、前記加熱タンク42と切替弁44との間に溜まった水が入れ替わるのに充分な時間が経過した後、前記加熱タンク42と散水ノズル45とを接続するように、前記切替弁44が切り替えられる。これによって、前記加熱タンク42内の温水が、前記切替弁44を経由して、前記散水ノズル45に達することになる。そして、前記切替弁44が切り替わるのと同時に、前記電動機32及び47が作動を開始する。前記電動機32の作動によって前記ローラ33が回転し、このローラ33の回転によって、このローラ33と前記押さえ部材34とで挟まれた前記シート材26Aが、前記ガイド部材31によって案内されて下方に送られる。同時に、前記電動機47の作動によって前記小ローラ55及びこれと連動する大ローラ50が回転し、これらの大ローラ50及び小ローラ55の回転によって、前記無端ベルト52及び56が回転する。なお、この場合も、前記ローラ33による前記シート材26Aの送給速度と、前記無端ベルト52の移動速度は同じである。更に同時に、前記ポンプ41の作動によって、前記水タンク40内の水が前記加熱タンク42内に送られ、この水に押し出される形で、前記加熱タンク42内の温水が、前記切替弁44を経て前記散水ノズル45に送られ、この散水ノズル45から、前記無端ベルト52上で且つ前記散水ノズル45の下方に送られた前記シート材26Aに噴射される。これによって、前記シート材26Aは、含水状態となる。なお、前記シート材26Aが前記ガイド部材31の後方を通過すると共に、前記散水ノズル45が前記ガイド部材31の前方に位置するため、前記散水ノズル45から噴射された水又は温水が前記ガイド部材31よりも後方の前記シート材26Aを濡らすことがないので、前記ガイド部材31に濡れた前記シート材26Aが貼り付いて前記シート材26Aの送給が妨げられるということがない。
【0023】
そして、前記シート材26Aの先端が前記摩擦パッド53と無端ベルト52との間に達すると、前記摩擦パッド53とシート材26Aの上面側とが接することで、このシート材26Aの上面側に、摩擦によって止まろうとする力が働くのに対し、前記シート材26Aの下面側に、前記無端ベルト52と共に移動する力が働くことによって、前記シート材26Aの先端を捲れさせる。また、前述した第二操作部22によって設定された長さの前記シート材26Aが送給されたことを検知すると、前記電動機32が停止して前記シート材26Aの送給を停止すると共に、前記電動機35が作動して、前記可動刃36を回転させる。この際、前記シート材26Aは、前記可動刃36と固定刃37とで挟まれた後、更に前記可動刃36が回転することで、剪断される。更に、前記シート材26Aの捲れた先端が前記無端ベルト52の上面と前記無端ベルト56の下面との間に達すると、それぞれ逆方向に移動する前記無端ベルト52の上面と前記無端ベルト56の下面とで、前記シート材26Aが強く巻き付けられる。この際、前述したように、前記無端ベルト52の移動速度が前記無端ベルト56の移動速度よりも速いことで、前記シート材26Aによって成形される巻きおしぼりは、前記無端ベルト52の移動速度よりも遅い速度で、前方に移動する。また、この際、前記シート材26Aが巻かれることで、成形される巻きおしぼりの直径が徐々に大きくなってゆくが、前述したように、前側の前記小ローラ54が下方に付勢された状態で上下方向に移動可能であるので、成形される巻きおしぼりの直径が大きくなるのに従って、前記小ローラ54が上方に移動して、前記無端ベルト52の上面と前記無端ベルト56の下面との間隔を拡げる。そして、このように前記無端ベルト52の上面と前記無端ベルト56の下面との間隔を拡げながら、成形された巻きおしぼりが前方に移動し、前記無端ベルト52の前端から前記受皿兼用蓋19上に排出される。
【0024】
なお、前記シート材26Aは、前記第二操作部22によって設定された長さによっては、前記シート材26Aの捲れた先端が前記無端ベルト52の上面と前記無端ベルト56の下面との間に達した後で、或いは、前記シート材26Aの先端が巻かれながら前進している途中で、前記切断手段30によって切断されることになる。また、前記散水手段38のポンプ41は、前記第二操作部22によって設定された長さに対応する時間作動した後、停止する。更に、温かい巻きおしぼりを得る場合、前記切替弁44は、前記加熱タンク42と収納部39とを接続した状態に切り替えられる。
【0025】
なお、連続モード時には、前記設定ボタン12,13によって設定されると共に前記表示手段14に表示された本数の巻きおしぼりが前記受皿兼用蓋19上に排出されるまで、以上の動作を繰り返す。但し、連続モード時には、前記切替弁44は、最後の巻きおしぼりを成形する前記シート材26Aに水又は温水を噴射し終わるまで、前記加熱タンク42と散水ノズル45とを接続した状態を保つ。
【0026】
なお、この種の巻きおしぼり製造装置1では、前記成形手段46において、前記シート材26Aが前記無端ベルト52と共に上手く送られず、前記成形手段46に前記シート材26Aを詰まらせてしまうことが生じ得る。良くあるケースとして、前記シート材26Aが前記ガイド部材31の後方で塊状になり、前記シート材26Aが前記ガイド部材31よりも前方に移動できなくなるということがある。このような場合、前記左蓋体57を前記左パネル3の開口部3Aから取り外し、前記フレーム5の開口部5Aから、前記送給切断ユニット27の下部(特に、前記切断手段30の下方に位置する前記ガイド部材31の下部後方)及び前記成形手段46の後部を露出させる。なお、図5においては、前記成形手段46は見えないが、実際には、斜め上方から見ることで、前記成形手段が露出されている。この状態で、管理者又は使用者が、前記開口部3A及び5Aから前記ケーシング8内に手を挿入し、詰まった前記シート材26Aを掴んで前記開口部3A及び5Aから引き出すことで、前記シート材26Aの詰まりを解消させることができる。なお、前記左蓋体57が前記左パネル3から完全に離れるので、管理者又は使用者が前記開口部3A及び5Aから前記ケーシング8内に手を挿入する際、この手が前記左蓋体57に触れることがないので、前記左蓋体57が邪魔にならず、詰まった前記シート材26Aを取り除きやすくすることができる。そして、詰まった前記シート材26Aを取り除いた後、再び前記左蓋体57を前記開口部3Aに取り付けて、この開口部3Aを塞ぐ。
【0027】
また、頻度の少ないケースとして、前記シート材26Aが前記無端ベルト52と摩擦パッド53の間、或いは前記無端ベルト52と無端ベルト56との間で詰まることがある。このような場合、管理者は前記可動パネル17を開いて前記従動カセット48を前記本体2から引き出し、詰まった前記シート材26Aを前記従動カセット48から取り除く。そして、前記従動カセット48から詰まった前記シート材26Aを取り除いた後、前記従動カセット48を再び前記本体2内に挿入すると共に、再び前記可動パネル17を閉じることで、再び巻きおしぼりの成形が可能な状態となる。
【0028】
また、温かい巻きおしぼりを成形する場合、前記受皿兼用蓋19上に排出された巻きおしぼりから湯気が放出されて上昇する。これは、連続モードで多くの巻きおしぼりを得る場合、顕著である。しかしながら、湿気に弱い前記第二操作部22は、前述したように、受皿兼用蓋19の直上ではなく、前記前記フレーム5の右側面の前上部に位置しており、更に、前記右パネル4の開口部4Aが構成する前記凹部4C内に位置して前記右蓋体58によって塞がれていることから、前記巻きおしぼりから放出されて上昇した湯気が前記第二操作部22で結露して各種スイッチや摘みを濡らすことがなく、これらのスイッチ類を故障させないようにすることができる。なお、前記受皿兼用蓋19の直上に位置する前記第一操作部10は、この第一操作部10を構成する前記設定ボタン12,13及び表示手段14,15,16の表面が透湿性のないシートで覆われていることで防湿構造となっていると共に、前記供給ボタン11の内側も防湿構造となっていることによって、全体として防湿構造になっている。このため、前記第一操作部10の表面で前記巻きおしぼりから放出された湯気が結露したとしても、前記第一操作部10に設けられたスイッチ類が故障したりすることがない。
【0029】
更に、メンテナンス等の目的で、前記可動パネル17を開いて、前記フレーム5内から前記成形手段46の従動カセット48を取り出す際に、巻きおしぼりを成形した際に前記シート材26Aから絞り出されて前記従動カセット48の無端ベルト52等に付着したままの水滴が滴下する虞がある。しかしながら、このような水滴が滴下したとしても、前記従動カセット48の下方に前記第二操作部22が位置しないので、このような水滴が前記第二操作部22の各種スイッチや摘みを濡らすことがなく、これらのスイッチ類を故障させないようにすることができる。
【0030】
以上のように、本発明の巻きおしぼり製造装置1は、ケーシング8内に、収納部25と、送給手段29と、切断手段30と、散水手段38と、成形手段46とを設け、第一操作部10を操作することによって、前記送給手段29によって前記収納部25に収納されたシートロール26から帯状のシート材26Aを引き出し、このシート材26Aを前記切断手段30によって所定の長さに切断し、前記散水手段38によって水分を含ませた後、前記成形手段46によって巻きおしぼりに成形し、前記ケーシング8の正面に設けられた受皿兼用蓋19で受ける巻きおしぼり製造装置1であって、前記ケーシング8を構成するフレーム5の右側面に、操作頻度が低い第二操作部22を設けたことで、前記受皿兼用蓋19によって受けられた前記巻きおしぼりの直上に前記第二操作部22が位置しないので、巻きおしぼりから湯気が放出されたとしても、この湯気を前記第二操作部22に結露させないようにして、この第二操作部22に設けられたスイッチ類を防湿構造にすることなく故障させないようにすることができる。また、前記可動パネル17を開いて、前記成形手段46の従動カセット48を取り出す際に水滴が滴下したとしても、このような水滴が前記第二操作部22の各種スイッチや摘みを濡らすことがなく、これらのスイッチ類を故障させないようにすることができる。
【0031】
また、本発明の巻きおしぼり製造装置1は、前記ケーシング8の右側面を構成する右パネル4に凹部4Cを形成し、この凹部4C内に前記第二操作部22を設けると共に、この第二操作部22を覆うように、前記凹部4Cを開閉可能な蓋体58を設けたことで、巻きおしぼりから放出された湯気が前記第二操作部22に触れることを、前記蓋体58によって妨げることができるので、前記第二操作部に22設けられたスイッチ類をより確実に故障させないようにすることができる。
【0032】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、前記凹部が前記ケーシングを構成するフレームの右側面に設けられているが、前記ケーシングを構成するフレームの左側面に設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施例を示す巻きおしぼり製造装置の正面図である。
【図2】同、平面図である。
【図3】同、左側面図である。
【図4】同、右側面図である。
【図5】同、左蓋体を取り外した状態の左側面図である。
【図6】同、右蓋体を開いた状態の右側面図である。
【図7】同、内部構造を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 巻きおしぼり製造装置
4C 凹部
8 ケーシング
10 第一操作部
17 可動パネル
19 受皿兼用蓋
22 第二操作部
25 収納部
29 送給手段
30 切断手段
38 散水手段
46 成形手段
58 右蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のシート材を巻回したシートロールを収納する収納部と、前記シートロールから前記シート材を引き出す送給手段と、この送給手段によって送られた前記シート材を所定の長さに切断する切断手段と、この切断手段によって切断された前記シート材に水分を含ませる散水手段と、含水状態の前記シート材を巻いて巻きおしぼりを成形する成形手段とをケーシング内に設け、このケーシングの正面に操作部を設けると共に、この操作部の下方に可動パネルを設け、この可動パネルに巻きおしぼりの受皿兼用蓋を設けた巻きおしぼり製造装置において、
前記ケーシングの側面に、第二操作部を設けたことを特徴とする巻きおしぼり製造装置。
【請求項2】
前記ケーシングの側面に凹部を形成し、この凹部に前記第二操作部を設けると共に、この第二操作部を覆うように、前記凹部を開閉可能な蓋体を設けたことを特徴とする請求項1記載の巻きおしぼり製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−66138(P2009−66138A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236949(P2007−236949)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【出願人】(507337315)プールス株式会社 (8)
【Fターム(参考)】