説明

巻き取りコアおよびフィルム状物ロール

【課題】巻き解いたフィルム状物に跡が残ることを効果的に防止することができる巻き取りコアを提供する。
【解決手段】巻き取りコア20は、フィルム状物15を巻き取るためのコアである。巻き取りコアは、円柱状または円筒状の巻き芯25と、巻き芯の外周面25bの周長の一部分に相当する幅wで巻き芯25の外周面25b上を巻き芯25の軸方向adに沿って延びる可圧縮性接着体30と、を有する。可圧縮性接着体30は、フィルム状物の一端部16と接着されるようになり、また、可圧縮性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状物を巻き取るための巻き取りコアに係り、とりわけ、巻き取りコアから巻き解いたフィルム状物に跡が残ることを効果的に防止することができる巻き取りコアに関する。
【0002】
また、本発明は、巻き取りコアと、巻き取りコアに巻き取られたフィルム状物と、を有するフィルム状物ロールに係り、とりわけ、巻き取りコアから巻き解いたフィルム状物に跡が残ることを効果的に防止されたフィルム状物ロールに関する。
【背景技術】
【0003】
従来、樹脂製フィルム等に代表されるフィルム状物は、素材(原材料)であるか加工品であるかにかかわらず、多くの場合、取り扱い性を考慮して、中実な円柱状或いは中空の円筒状の金属管、プラスチック管、紙管等の巻き取りコアに巻き取られた状態で、搬送や保存等の取り扱いを受ける。また、塗工、印刷、蒸着、エンボス等の処理加工等をフィルム状物に施しながら、加工が済んだフィルム状物を順次巻き取りコアに巻き取って行くこともある。ただし、巻き取りコアから巻き解かれたフィルム状部材に、巻き取りコアの軸心方向に沿った跡、具体的には、皺、凹み、筋模様、色ムラ、或いは艶ムラといった欠陥が生じることがある。このフィルム状物に残留する跡は、例えば特許文献1に開示されているように、次のことを原因として発生するものと考えられている。
【0004】
すなわち、通常、フィルム状物の先端部は、巻取りコア表面の軸(円柱乃至円筒の高さ)方向に延ばして貼った所定幅で帯状の粘着テープ等を介して、巻き取りコアに接着される。したがって、フィルム状物の先端部が位置している領域には、フィルム状物の厚みと粘着テープの厚みとを足し合わせた高さの段差が生じる。そして、フィルム状物に残留する跡は、フィルム状物がこの段差上に巻き付けられた際に形成される段差跡と考えられている。このことは、フィルム状物に残留する跡が、該粘着テープの形状に類似すること、フィルム状物の巻き取りコア近傍の部分により明瞭な跡として発生すること、並びに、巻き取りコアの略周長に応じた間隔をあけて発生すること、とも整合が取れている。
【0005】
なお、特許文献1では、このような段差跡を解消するために、フィルム状物の先端部の端面の角度を調節することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−315637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これまでに提案された方法では、フィルム状物に跡が残ることを十分に解消することができていない。また、特許文献1に開示された方法では、巻き取り対象となるフィルム状物への加工が必要となる点においても、好ましくない。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであって、巻き解いたフィルム状物に跡が残ることを効果的に防止することができる巻き取りコアを提供することを目的とする。また、本発明は、巻き取りコアおよびフィルム状物を有するフィルム状物ロールであって、巻き取りコアから巻き解いたフィルム状物に跡が残ることを効果的に防止することができるフィルム状物ロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による巻き取りコアは、
フィルム状物を巻き取るための巻き取りコアであって、
円柱状または円筒状の巻き芯と、
前記巻き芯の前記外周面の周長の一部分に相当する幅で、前記巻き芯の前記外周面上を前記巻き芯の軸方向に沿って延びており、前記フィルム状物の一端部と接着されるようになる、可圧縮性を有した可圧縮性接着体と、を備える。
【0010】
本発明による巻き取りコアにおいて、前記可圧縮性接着体の硬度は、前記巻き芯の前記外周面の硬度よりも低くなっていてもよい。
【0011】
本発明による巻き取りコアにおいて、前記可圧縮性接着体の厚みは、前記フィルム状物の厚みよりも厚くなっていてもよい。
【0012】
本発明によるフィルム状物ロールは、
上述した本発明による巻き取りコアのいずれかと、
前記巻き取りコアの前記可圧縮性接着体に一端部を接着されて、前記巻き取りコアに巻き取られたフィルム状物と、を備え、
前記フィルム状物の前記一端部の端面は、前記巻き芯の前記外周面上における周方向において、前記可圧縮性接着体の両端の間に位置している。
【0013】
本発明によるフィルム状物ロールにおいて、前記フィルム状物の前記一端部の前記端面は、前記巻き芯の前記外周面上における周方向において、前記可圧縮性接着体の両端の中央に位置していてもよい。
【0014】
本発明によるフィルム状物ロールにおいて、前記巻き芯の前記外周面上における周方向に沿った、前記フィルム状物の前記一端部が接着していない側の前記可圧縮性接着体の端から前記フィルム状物の前記一端部の前記端面までの長さは、前記フィルム状物を巻き取った後での前記可圧縮性接着体の最大厚さよりも大きくなっていてもよい。
【0015】
本発明によるフィルム状物ロールにおいて、前記フィルム状物を巻き取った後での前記可圧縮性接着体の最大厚さは、前記フィルム状物の厚みよりも厚くなっていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、巻き取りコアから巻き解かれたフィルム状物に跡が残ることを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明による一実施の形態を示す図であって、フィルム状物を巻き取る前の巻き取りコアを示す斜視図である。
【図2】図2は、フィルム状物の先端部が接着されているものの当該フィルム状物が巻き取られる前の状態における巻き取りコアを、図1のII−II線の沿った断面において、示す断面図である。
【図3】図3は、図2と同様の断面において、フィルム状物を巻き取った状態の巻き取りコア、すなわち、フィルム状物ロール示す断面図である。
【図4】図4は、巻き取りコアの一変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0019】
図1〜図3は、本発明の一実施の形態を説明するための図である。このうち、図1および図2は、それぞれ、フィルム状物を巻き取る前の巻き取りコアを示す斜視図および断面図である。また、図3は、図2と同様の断面において、フィルム状物を巻き取りコアに巻き取ってなるフィルム状物ロールを示す断面図である。
【0020】
図1〜図3に示すように、巻き取りコア20は、フィルム状物15を巻き取るための部材である。ここで、フィルム状物15とは、帯状に延びるフィルム状の形態をとった部材のことである。また、フィルム状物15は、単なる一対の主面を有したフィルム状の部材だけでなく、その表面に凹凸形状を形成された部材をも含む。フィルム状物15として、典型的には、樹脂の単体フィルムや樹脂の積層フィルムを例示することができるが、その他、樹脂と金属箔との積層フィルム、金属泊、紙、織布、不織布等を例示することができる。フィルム状物15の一具体例として、厚さが50μm〜250μmである樹脂製基材フィルムと、樹脂製基材フィルム上に積層された厚さ数μm程度の層であって、樹脂製基材フィルムよりも低屈折率の材料によって形成された低屈折率層と、からなる反射防止フィルムを挙げることができる、
【0021】
図1〜図3に示すように、巻き取りコア20は、巻き芯25と、巻き芯25上に設けられた可圧縮性接着体30と、を有している。図示された本実施の形態において、巻き芯25は、円柱状に形成され、両端面25aおよび外周面25bを有している。を有している。巻き芯25は、紙、樹脂、金属、FRP(Fiber Reinforced Plastics)等を材料として形成され得る。
【0022】
可圧縮性接着体30は、テープ状の細長い部材として形成されている。可圧縮性接着体30は、巻き芯25の外周面25bの周長の一部分に相当する幅w(図2参照)で、巻き芯25の外周面25b上を巻き芯25の軸方向ad(図1参照)に沿って延びている。可圧縮性接着体30は、例えば接着によって、巻き芯25の外周面25b上に固定されている。なお、本件明細書において用いる「接着」とは「粘着」を含む概念であり、例えば、「粘着剤」は「接着剤」に含まれる。
【0023】
可圧縮性接着体30は、少なくとも巻き芯25の外周面25bに面する側とは反対側の面において、接着性を有している。そして、図2および図3に示すように、可圧縮性接着体30は、フィルム状物15の先端部16と接着されて、フィルム状物15の先端部16を保持するようになる。そして、図3に示すように、フィルム状物ロール10は、フィルム状物15の先端部16が可圧縮性接着体30を介して巻き取りコア20に保持された状態で、フィルム状物15が巻き取りコア20に巻き取られることによって、作製されている。
【0024】
また、可圧縮性接着体30は、JIS K 6253に準拠して測定されるゴム硬度において巻き芯25の外周面25bよりも低硬度を有しており、またその名の通り、可圧縮性として構成されている。なお、ここでいう「可圧縮性」とは、通常の巻き取りにおいて加えられ得る範囲の力で、巻き取りコア20にフィルム状物15を巻き取った際に、フィルム状物15から加えられる力によって圧縮変形するようになる程度の圧縮性を有していることを意味している。またこの際の、圧縮変形は、弾性変形でもよいし塑性変形でもよい。具体的には、JIS K 6253に準拠して測定されるゴム硬度において、可圧縮性接着体30が10以上60以下の硬度を有する場合、この可圧縮性接着体30は可圧縮性であると言える。
【0025】
このような可圧縮性接着体30は、例えば、それ自体が接着性を有した樹脂材料や、可圧縮性を有した可圧縮性材と当該可圧縮性材上に積層された粘着材とからなる接着体等から、構成され得る。なお、接着体をなす可圧縮性材として、ゴム、樹脂、あるいは発泡体からなる部材を例示することができる。尚、可圧縮性接着体30は、最低限、巻き芯25の外周面25bに面する側とは反対側の面において、接着性を有していれば良いが、通常は、巻き芯25の外周面25b側の面及び外周面25bとは反対側の面の両面が接着性を有するように構成される。斯かる構成とすることによって、可圧縮性接着体30は、巻き芯25の外周面25b上の所定位置に確実に固定されると共に、フィルム状物15の先端部16とも所定の位置関係で確実に固定される。
【0026】
ところで、図2および図3から理解され得るように、巻き取りコア20上に巻き取られるフィルム状物15は、二周目以降において、フィルム状物15の先端部が位置している領域を通過する際、フィルム状物15の厚みと、巻き取りコア20の巻き芯25に対してフィルム状物15を接着固定する可圧縮性接着体30の厚みと、を足し合わせた段差を乗り越えることになる。そして、背景技術の欄で既に説明したように、従来、この段差に起因した皺、凹み、筋模様、色ムラといった欠陥がフィルム状物15に形成され、この欠陥は、巻き取りコア20から巻き戻した後のフィルム状物15に跡として残留していた。
【0027】
一方、本実施の形態では、巻き取りコア20およびフィルム状物15の組み合わせからなるフィルム状物ロール10において、巻き取りコア20の巻き芯25に対してフィルム状物15を接着固定する可圧縮性接着体30が、可圧縮性を有している。したがって、巻き取り時に発生するフィルム状物15からの加圧によって可圧縮性接着体30が圧縮され、これにより、この可圧縮性接着体30およびフィルム状物15の先端部16によって形成される段差のギャップ(高低差)が低減されるようになる。とりわけ、図3に示すように、可圧縮性接着体30は、当該可圧縮性接着体30が接着保持するフィルム状物15の先端部16の形状に対応した圧縮変形、より具体的には、フィルム状物15の先端部16が当該可圧縮性接着体30内に埋め込まれていくように圧縮変形する。これにより、本実施の形態によれば、可圧縮性接着体30は、単に段差のギャップを低減するように圧縮されるだけでなく、フィルム状物15の先端部16に起因した段差をも滑らかにするように圧縮されるようになる。しかも、このような作用効果は、フィルム状物15の先端部16の形状に依らず、安定して得られる。これにより、段差に起因した欠陥がフィルム状物15に形成され、その欠陥の跡が、巻き取りコア20から巻き解いたフィルム状物15に残留することを安定して効果的に防止することができる。
【0028】
加えて、本実施の形態によれば、図2および図3に示すように、フィルム状物15の先端部16の端面16aは、巻き芯25の外周面25b上における周方向において、可圧縮性接着体30の両端31a,32aの間に位置している。すなわち、可圧縮性接着体30の一部分32がフィルム状物15の先端部16に覆われて当該先端部16と接着しており、その一方で、可圧縮性接着体30のその他の部分31はフィルム状物15の先端部16に覆われていないようになっている。
【0029】
このような本実施の形態によれば、可圧縮性接着体30のうちのフィルム状物15の先端部16と接着されている(覆われている)領域32が、フィルム状物15の先端部16と接着されていない(覆われていない)領域31よりも、フィルム状物15の厚さ分だけ強く圧縮されることになり、結果として、より大きく圧縮変形されるようになる。すなわち、可圧縮性接着体30のうちのフィルム状物15の巻回方向に沿った可圧縮性接着体30の後側部分32の圧縮量は、可圧縮性接着体30の前側部分31の圧縮量と比較して、先端部16によって覆われていることから大きくなる。この結果、フィルム状物15の先端部16の先端面16aが可圧縮性接着体30内に入り込んで隠れるように、可圧縮性接着体30が変形する。すなわち、フィルム状物15の先端部16の端面16aにおける段差を解消するかのように可圧縮性接着体30が圧縮変形する。これらにより、段差に起因した欠陥がフィルム状物15に形成され、その欠陥の跡が、巻き取りコア20から巻き解いたフィルム状物15に残留することを、より効果的に防止することができる。
【0030】
なお、このような効果を期待する観点からは、すなわち、フィルム状物15の先端部16の端面16aにおける段差を吸収するように可圧縮性接着体30を圧縮変形させるようにする観点からは、加圧前の状態(フィルム状物15を巻き取る前の状態)における可圧縮性接着体30の厚みが、フィルム状物15の厚みよりも厚くなっていることが好ましい。さらには、このような効果を期待する上で、加圧後の状態(フィルム状物15を巻き取った後のフィルム状物ロール10の状態)における可圧縮性接着体30の最大厚みが、フィルム状物15の厚みよりも厚くなっていることが好ましい。このような形態によれば、フィルム状物15の先端部16の先端面16aが、その全厚み分、可圧縮性接着体30内に入り込むことが可能となる。斯かる效果を十分奏し得る為には、圧縮性接着体30の厚みは、フィルム状物15の厚みの1.2倍〜3倍とすることが好ましい。
【0031】
加えて、このような本実施の形態によれば、図3に示すように、可圧縮性接着体30のうちのフィルム状物15の先端部16と接着されていない領域31は、その端部(フィルム状物15の先端部16によって覆われていない側の端部)31aから、フィルム状物15の先端部16と接着されている領域32の側に向けて、しだいに厚みが厚くなっていくように、圧縮変形されるようになる。この結果、可圧縮性接着体30およびフィルム状物15の先端部16によって形成される段差は、しだいに高さが高くなっていく段差となる。すなわち、可圧縮性接着体30およびフィルム状物15の先端部16によって不連続的乃至急激に高さが変化する段差が形成されることを防止することができる。これらにより、段差に起因した欠陥がフィルム状物15に形成され、その欠陥の跡が、巻き取りコア20から巻き解いたフィルム状物15に残留することを、さらに効果的に防止することができる。
【0032】
このような作用効果を期待する観点からは、すなわち、可圧縮性接着体30およびフィルム状物15の先端部16によって急激に高さが変化する段差が形成されることを防止する観点からは、巻き芯25の外周面25b上における周方向に沿った、フィルム状物15の先端部16が接着していない側の可圧縮性接着体30の端31aからフィルム状物15の先端部16の端面16aまでの長さla(図2参照)が、フィルム状物15を巻き取った後での可圧縮性接着体30の最大厚さよりも大きくなっていることが好ましい。さらには、このような効果を期待する上で、巻き芯25の外周面25b上における周方向に沿った、フィルム状物15の先端部16が接着していない側の可圧縮性接着体30の端31aからフィルム状物15の先端部16の端面16aまでの長さlaが、加圧前の状態(フィルム状物15を巻き取る前の状態)における可圧縮性接着体30の厚みよりも大きくなっていることが好ましい。このような形態によれば、可圧縮性接着体30が巻き芯25の外周面25bに対してなす角度が、フィルム状物15の先端部16によって覆われていない領域31において、平均して45°以下となるように、可圧縮性接着体30によって形成される段差のギャップ変動を緩やかにすることができる。
【0033】
ところで、以上に説明した、フィルム状物15の先端部16の端面16aが可圧縮性接着体30の両端31a,32aの間に位置していることに起因して得られる作用効果は、図2および図3に示すように、フィルム状物15の先端部16の端面16aが、巻き芯25の外周面25b上における周方向において、可圧縮性接着体30の両端31a,32aの中央に位置している場合に、より安定して奏されるようになる。すなわち、上述した、フィルム状物15の先端部16の端面16aにおける段差を吸収するように可圧縮性接着体30が圧縮変形すること、並びに、可圧縮性接着体30およびフィルム状物15の先端部16によって急激な高さ変化を含む段差が形成されないことをより確実に実現するためには、可圧縮性接着体30のうちのフィルム状物15の先端部16と接着されていない領域31の、巻き芯25の外周面25b上における周方向に沿った、長さlaを、可圧縮性接着体30のうちのフィルム状物15の先端部16と接着されている領域32の、巻き芯25の外周面25b上における周方向に沿った、長さlbと同程度にすることが有効である。このような形態によれば、フィルム状物15の先端部16を可圧縮性接着体20によって安定して接着保持することが可能であると同時に、可圧縮性接着体20の十分な圧縮変形量を確保することができる。
【0034】
以上のように本実施の形態によれば、巻き取りコア20の巻き芯25に対してフィルム状物15を接着固定する可圧縮性接着体30が、可圧縮性を有している。したがって、本実施の形態によれば、フィルム状物15の先端部16の形状に依らず、巻き取りコア20から巻き解いたフィルム状物15に跡が残留することを効果的に防止することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、フィルム状物15の先端部16の端面16aは、巻き芯25の外周面25b上における周方向において、可圧縮性接着体30の両端31a,32bの間に位置している。このような本実施の形態によれば、フィルム状物15の先端部16の端面16aにおける段差を吸収するように可圧縮性接着体30が圧縮変形することができる。また、可圧縮性接着体30およびフィルム状物15の先端部16によって急激に高さが変化する段差が形成されることを防止することができる。そして、このような作用効果は、フィルム状物15の先端部16の端面16aが、巻き芯25の外周面25b上における周方向において、可圧縮性接着体30の両端31a,32bの中央に位置している場合に、より安定して奏されるようになる。
【0036】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。例えば、上述した実施の形態において、巻き取りコア20の巻き芯25が円柱状からなる例を示したが、これに限られず、図4に示すように、巻き取りコア20の巻き芯25が円筒状に形成されていてもよい。なお、図4に示された変形例では、巻き芯25が円筒状からなることを除き、上述した実施の形態と同様に構成され得る。
【0037】
又、本発明の巻取りコアに巻き取られたフィルム状物には、必要に応じて、塗工、印刷、蒸着、エンボス等の各種処理加工を施すことが出来る。そして、斯かるフィルム状物、或いはこれに各種処理加工を施した物は、光学部材、建築内装又は外装部材、装飾部材、包装部材、電気電子部材等の各種部材として使用し得る。
【符号の説明】
【0038】
10 フィルム状物ロール
15 フィルム状物
16 先端部、一端部
16a 先端面、端面
20 巻き取りコア
25 巻き芯
30 可圧縮性接着体
31 領域、部分
31a 端、端面
32 領域、部分
32a 端、端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状物を巻き取るための巻き取りコアであって、
円柱状または円筒状の巻き芯と、
前記巻き芯の前記外周面の周長の一部分に相当する幅で、前記巻き芯の前記外周面上を前記巻き芯の軸方向に沿って延びており、前記フィルム状物の一端部と接着されるようになる、可圧縮性を有した可圧縮性接着体と、を備える、巻き取りコア。
【請求項2】
請求項1に記載の巻き取りコアと、
前記巻き取りコアの前記可圧縮性接着体に一端部を接着されて、前記巻き取りコアに巻き取られたフィルム状物と、を備え、
前記フィルム状物の前記一端部の端面は、前記巻き芯の前記外周面上における周方向において、前記可圧縮性接着体の両端の間に位置している、フィルム状物ロール。
【請求項3】
前記フィルム状物の前記一端部の前記端面は、前記巻き芯の前記外周面上における周方向において、前記可圧縮性接着体の両端の中央に位置している、請求項2に記載のフィルム状物ロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−206818(P2012−206818A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72769(P2011−72769)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】