説明

巻き取り紙における欠陥を補正する方法

開放状態での引き出し処理が少なくとも1回行われる抄紙機のプレスおよび乾燥セクションにおける巻き取り紙の不均一の収縮といった欠陥を補正する方法。この方法においては、ヘッドボックスにおいて1つまたは複数のフローガイドが用いられる。巻き取り紙を横切る方向に配置された空気ジェットを巻き取り紙上に導くこと、そして、その圧力が横切る方向において調節されることによって、流れ方向の繊維の方向が巻き取り紙の端部領域において減少され、中央ロールから放出した巻き取り紙の角度が調節される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、巻き取り紙における不均一な収縮といった欠陥を補正する方法に関する。特に、抄紙機のプレスおよび乾燥セクションにおいて、上記巻き取り紙の中央領域よりも端部領域において生じる大きな収縮を補正するという重要な課題に関する。
【0002】
抄紙機上において、幅方向の位置に応じて異なる、製造される巻き取り紙の収縮が公知となっている。具体的には、巻き取り紙の中央領域における収縮は2%または3%に留まるのに対して、端部における収縮は7%程度になり得る。典型的な収縮の輪郭を添付した図面に参照して示す。
【0003】
上述した状況において、何らかの方法において収縮の差異を減少させ得ない限りは、売れない商品および他の不利益な品質の不具合品が生産されることは明らかである。
【0004】
巻き取り紙の端部領域における問題は、寸法安定性の低下はもちろんのこと、これらに限定される訳ではないが、端部における空隙率の増加、端部におけるでこぼこ、折り目、またはしわの増加、無機充てん剤の含有量におけるパーセンテージの変化がある。この問題の正確な性質は、問題になっている抄紙機のプレスおよび乾燥セクションの種類、並びに一般的な紙の性質次第でもある。
【0005】
類似した方法において収縮に対応した他の欠陥も起こり得ること、および本発明の範囲に自動的に属してその欠陥を補正し得ることは明らかである。
【0006】
本発明は、収縮の輪郭の変化による悪影響を改善する方法を生み出すことが意図されている。本発明は、非常に合理的な価格および簡易さを有する方法において、この改善が達成される。
【0007】
本発明の上述した並びに他の有利点および利益は、添付した請求項に記載される方法によって達成される。
【0008】
簡潔に述べると、本発明の基本的な考え方は、自然に生じるまたはいくつかの操作の結果に関わらずに生じた欠陥が、性質の変化が最小限にされ得る方法において作用されることである。これにより、例えば、端部における紙リールの質の改善を最小限に促進することを試みる場合において、中央よりも端部における巻き取り紙の収縮が自然に変化する。
【0009】
以下に、本発明を添付した図面をも参照してより詳細に記載する。
【0010】
図1は、ストックの流れ方向における、抄紙機のヘッドボックスの吐出しノズルにおいて、本発明に従って用いられるフローガイドの一実施形態を示す図であり、また、
図2は、プレスセクションにおける中央ロールと連結される、本発明の第2のサブ領域を示す図である。
【0011】
ストックの流れ方向に示される、抄紙機のヘッドボックスの吐出しノズルにおいてジェット乱気流を作用させることによって、紙の性質に影響を与えるように意図されたフローガイドが用いられる。ストックの進行方向におけるフローガイドの長さは、紙の性質に有意な効果を与える。なぜなら、流れ方向の繊維の方向は、フローガイドによって生じた乱気流によって大幅に変化するからである。原則的には、フローガイドの長さが長くなる程、流れ方向の繊維の方向は小さくなる。本発明においては、中央よりも端部における1つ以上のフローガイドを長くすることによって、この上述した性質を利用できる。図1に1つの実施形態を示すが、本発明はこれに限定される訳ではない。この図において、通常は板状の一片であるフローガイド1を示す。この実施形態において、ガイドの端部2は、明らかに延長されている。なぜなら、本発明に係る巻き取り紙の端部領域における、流れ方向における繊維の大きさの変化は、所望の効果を達成するための他の手段も用いられるため、抄紙機の操作の点においてリスクになり得る。
【0012】
1つのロールから他のロールへの開放移行が用いられる配置において、プレスセクションにおいて中央ロールから巻き取り紙を放出する角度は、紙の引き出しおよび流れ方向の繊維の大きさに従って変化する。巻き取り紙の端部における方向が小さくなるような、上述した方法において、流れ方向における繊維の方向の大きさが修正される場合には、巻き取り紙が中央よりもロールの端部においてロールに取り付けられて残り易い方法において、プレスセクションにおける中央ロールから放出する角度が変化することを意味する。この結果、乾燥セクションにおける装置の次の操作に極端に悪影響を与え得る、中央よりも端部領域が取り外せないように延長される。
【0013】
それ故に、フローガイドの形状によって引き起こされる放出角度の問題を是正し得る手段を備えた装置を入手することが好ましい。以下の本発明に従って、これは解決される。ここに言及されたことは、図2に示される。
【0014】
ロールから放出された、プレスセクションにおける中央ロール3の周囲を回る巻き取り紙の角度は、巻き取り紙の幅全体に適応できる空気ジェットを用いた制御方法によって調節される。これは実際には、試験的または理論上の計算によって、均一な放出角度である外形を達成する方法において、巻き取り紙を横切る方向における圧力プロフィールが測定されることを意味する。
【0015】
上述したプロフィールを生み出す使用可能な装置の1つとして、Runtech Systems Oyによって開発され、Air Curtainの商標に基づいて販売されている装置がある。この装置は、図2の参照記号5に示した装置として用いられており、巻き取り紙の全体の幅に広がる空気ジェットを生み出し得る。その圧力プロフィールは、幅方向の位置に応じて異なり得る。生み出された空気ジェットは、参照記号6に概略的に示される。空気ジェットの圧力は、シートから放出される角度に応じて作用する。これにより、ヘッドボックスにおけるフローガイドの長さのプロフィールによって生み出される放出角度のばらつきを補正する方法において、横切る装置における圧力プロフィールを異ならせることによって放出角度を影響し得る。これにより、ヘッドボックスにおけるフローガイドの長さのプロフィールによって生み出される乱気流に基づいた紙の性質のばらつきを最小限にするという好ましい効果を保つ上に、乾燥セクションにおける悪影響を及ぼすことの実行可能性が制御される。
【0016】
上述したシステムの1つのさらなる発展は、放出角度を測定するのに適した手段を用いることによって、上記手段によって利用される情報が、空気ジェット装置5の操作を直接調節することに用いられ得て、所望の放出角度が得られることである。実際には、放出角度を測定する例えばレーザーカメラといった適した手段が用いられる。
【0017】
上述した処置は、本発明の原則が適用され得るただ1つの方法ではない。空気ジェットを用いることにより、おおよそリアルタイムにおいて、他の理由により生じる巻き取り紙における不均一を補正し得る。これにより、巻き取り紙における幅方向の位置のどの点においても、空気ジェットの圧力および放出角度を即座に調節し得る。これにより、紙の性質が改善される。
【0018】
本発明の概念によって保護される範囲および添付された請求項に示されるだけでない変化も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ストックの流れ方向における、抄紙機のヘッドボックスの吐出しノズルにおいて、本発明に従って用いられるフローガイドの一実施形態を示す図である。
【図2】プレスセクションにおける中央ロールと連結される、本発明の第2のサブ領域を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放状態での引き出し処理が少なくとも1回行われる抄紙機のプレスおよび乾燥セクションにおける巻き取り紙の不均一の収縮といった欠陥を補正する方法であって、
自然に生じている特性、もしくは、プレスセクションの中央ロールからの放出角度が幅方向の位置に応じて異なることによって引き起こされる特性を有する上記巻き取り紙が、上記プレスおよび乾燥セクションに供給され、
上記巻き取り紙(4)の放出角度が、該巻き取り紙に導かれる空気ジェット(6)によって調整されるとともに、上記空気ジェットが上記巻き取り紙を横切る方向に配置されており、上記方向においてその圧力が調整可能になっていることを特徴とする方法。
【請求項2】
上記巻き取り紙が端部領域において大きく収縮する性質を補正するように、上記巻き取り紙の端部領域におけるその長さが中央領域における長さよりも長い、流れ方向の繊維の方向を減少する1つまたは複数のフローガイドを用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記プレスセクションにおいて上記中央ロール(3)から放出した上記巻き取り紙(4)上への、上記巻き取り紙を横切る方向における上記空気ジェットの、上記巻き取り紙の端部領域における圧力は、上記巻き取り紙の中央領域における圧力よりも大きいように調整されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記中央ロールから放出した上記巻き取り紙の放出角度は、リアルタイムにおいて測定されており、上記測定の結果は、上記巻き取り紙の上記幅方向の位置に応じて異なる放出角度を均一にするように、直接かつ即座に上記圧力プロフィールを修正するために用いられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
1つまたは複数のレーザーカメラといった適した測定装置が、上記測定において用いられることを特徴とする請求項4に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−537065(P2010−537065A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521453(P2010−521453)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050467
【国際公開番号】WO2009/024649
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(506321447)ランテック システムズ オイ (4)
【Fターム(参考)】