説明

巻き芯

【課題】安価かつ軽量にするために補強シートを用いた巻き芯において、機械的強度及びたわみ性が良好であり、耐久性に優れている巻き芯を提供する。
【解決手段】本発明に係る巻き芯1は、軸方向Xと周方向Yとを有する。本発明に係る巻き芯1は、第1の補強シート11が、巻き芯1の軸方向Xに巻かれた第1のシート部3と、第2の補強シート12が、巻き芯1の周方向Yに巻かれた第2のシート部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強シートを用いた巻き芯に関し、例えば、樹脂シート、ゴムシート、紙及び布等の様々な巻き付け部材を巻き取るために用いられる巻き芯に関する。
【背景技術】
【0002】
巻き芯は、紙、布及びシート等の様々な長尺状の巻き付け部材を巻き付けるために用いられている。これらの巻き付け部材は、巻き芯に巻き付けられた状態で保管又は移送等され、巻き芯から巻き解かれて加工又は使用されている。
【0003】
従来、上記巻き芯として、主に、紙管、樹脂管及び繊維強化プラスチック管等が用いられている。
【0004】
上記紙管の一例として、下記の特許文献1には、紙帯がらせん状に多重積層されて形成されている紙管本体と、該紙管本体の外側の表面に帯電防止性を有する被覆層とを備える巻き芯が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4393569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記巻き芯には、真円度の精度、曲げ強さ等の機械的強度、たわみ性、軽量性、材料コスト、及びリサイクル性に優れていることが要求される。
【0007】
特許文献1に記載のような上記紙管は、紙により形成されている。従って、上記紙管は、軽量かつ安価であるという利点がある。しかし、上記紙管では、吸水及び吸湿しやすく、真円度の精度及び機械的強度を充分に高くすることが困難であり、耐久性が低いという問題がある。
【0008】
上記樹脂管は、一般的にプラスチックにより形成されている。従って、上記樹脂管は、軽量かつ安価であり、更にリサイクル性に優れているという利点がある。しかし、プラスチックにより形成された樹脂管では、機械的強度及びたわみ性を充分に高くすることが困難であるという問題がある。
【0009】
上記繊維強化プラスチック管は、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させて、硬化させることにより形成されている。上記繊維強化プラスチック管は、真円度の精度と機械的強度とに優れている。しかし、上記繊維強化プラスチック管は、非常に高価であり、重くて取扱性が低く、容易にリサイクルすることができない。
【0010】
このように、従来の巻き芯では、種類によって一長一短あり、要求される全ての性能を充分に満足することは困難である。
【0011】
特に、従来の巻き芯では、機械的強度及びたわみ性が悪いので、変形しやすいという問題がある。巻き芯の耐久性が低く、巻き芯が変形すると、巻き芯を回転させて上記巻き付け部材を巻き付けるときに、軸がぶれやすい。このため、巻き芯が固定する治具から脱落しやすく、更に巻き芯に上記巻き付け部材を精度よく巻き付けることができなかったりする。
【0012】
特に、巻き芯により多くの上記巻き付け部材を巻き付けたり、1本の巻き芯を繰り返して使用したりする場合には、巻き芯の機械的強度及びたわみ性が高いことが特に求められる。
【0013】
本発明の目的は、安価かつ軽量にするために補強シートを用いた巻き芯であって、機械的強度及びたわみ性が良好であり、耐久性に優れている巻き芯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の広い局面によれば、軸方向と周方向とを有する巻き芯であって、第1の補強シートが、巻き芯の軸方向に巻かれた第1のシート部と、第2の補強シートが、巻き芯の周方向に巻かれた第2のシート部とを備える、巻き芯が提供される。
【0015】
本発明に係る巻き芯のある特定の局面では、上記第1,第2の補強シートがそれぞれ、熱可塑性樹脂により形成されている。
【0016】
本発明に係る巻き芯の他の特定の局面では、上記第2の補強シートが、巻き芯の周方向に巻かれて、かつ巻き芯の軸方向にずれるようにらせん状に巻かれて、上記第2のシート部が形成されている。
【0017】
本発明に係る巻き芯のさらに他の特定の局面では、上記第2の補強シートが、巻き芯の周方向に巻かれて、かつ巻き芯の軸方向にずれるようにかつ重なり部分を有するように巻かれて、上記第2のシート部が形成されている。
【0018】
本発明に係る巻き芯の別の特定の局面では、上記第2の補強シートが、上記第1のシート部の外側の表面に、巻き芯の周方向に巻かれて、上記第2のシート部が形成されている。
【0019】
本発明に係る巻き芯の別の特定の局面では、芯部材がさらに備えられ、上記第1の補強シートが、上記芯部材の外側の表面に、巻き芯の軸方向に巻かれて、上記第1のシート部が形成されており、上記第2の補強シートが、上記第1のシート部の外側の表面に、巻き芯の周方向に巻かれて、上記第2のシート部が形成されている。
【0020】
本発明に係る巻き芯の別の特定の局面では、巻き芯の最表面に、樹脂層がさらに備えられる。
【0021】
本発明に係る巻き芯のさらに別の特定の局面では、上記第2の補強シートが、上記第1のシート部の外側の表面に、巻き芯の周方向に巻かれて、上記第2のシート部が形成されており、上記樹脂層が、上記第2のシート部の外側の表面を被覆している。
【0022】
本発明に係る巻き芯のさらに別の特定の局面では、芯部材がさらに備えられ、上記第1の補強シートが、上記芯部材の外側の表面に、巻き芯の軸方向に巻かれて、上記第1のシート部が形成されており、上記第2の補強シートが、上記第1のシート部の外側の表面に、巻き芯の周方向に巻かれて、上記第2のシート部が形成されており、上記樹脂層が、上記第2のシート部の外側の表面を被覆している。
【0023】
本発明に係る巻き芯の別の特定の局面では、芯部材がさらに備えられ、上記芯部材は、熱可塑性樹脂により形成されている。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る巻き芯は、第1,第2のシート部を備えており、該第1,第2のシート部が第1,第2の補強シートにより形成されているので、安価かつ軽量である。
【0025】
さらに、本発明に係る巻き芯では、上記第1のシート部が、第1の補強シートが巻き芯の軸方向に巻かれて形成されており、かつ上記第2のシート部が、第2の補強シートが巻き芯の周方向に巻かれて形成されているので、機械的強度及びたわみ性が良好であり、耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る巻き芯を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2(a)〜(c)は、図1に示す巻き芯を説明するための模式的な斜視図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、図1に示す巻き芯の変形例である巻き芯を説明するための模式的な斜視図である。
【図4】図4は、巻き芯を得るために、芯部材を製造する装置を示す模式図である。
【図5】図5は、巻き芯を得るために、第1のシート部及び第2のシート部を形成するための装置を示す模式図である。
【図6】図6は、巻き芯を得るために、樹脂層を形成するための装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0028】
(巻き芯)
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
【0029】
図1に、本発明の一実施形態に係る巻き芯を模式的に斜視図で示す。
【0030】
図1に示すように、巻き芯1は、芯部材2と、第1のシート部3と、第2のシート部4と、樹脂層5とを備える。巻き芯は芯部材を備えることが望ましいが、芯部材は必須ではない。巻き芯1は、軸方向Xと周方向Yとを有する。巻き芯1は管状であり、パイプである。巻き芯1の軸方向Xは、芯部材2の軸方向と同じであり、巻き芯1の周方向Yは芯部材2の周方向と同じである。第1,第2のシート部3,4は補強層である。樹脂層5は保護層である。
【0031】
また、図2(a)は、芯部材2に第1のシート部3が形成された状態を示す図であり、図2(b)は、芯部材2に第1のシート部3及び第2のシート部4が形成された状態を示す図であり、図2(c)は、芯部材2に第1のシート部3及び第2のシート部4が形成され、かつ第2のシート部4が樹脂層5により被覆されている状態を示す図である。
【0032】
芯部材2は管状であり、パイプである。芯部材2は、軸方向と周方向とを有する。芯部材2は、熱可塑性樹脂により形成されていることが好ましい。この場合には、巻き芯1の材料コストをより一層低減でき、かつ巻き芯1をより一層軽量化できる。
【0033】
第1のシート部3は、第1の補強シート11が、巻き芯1の軸方向Xに巻かれて形成されている。なお、シートには、フィルム及びテープが含まれる。第1の補強シート11は、芯部材2の外側の表面に巻かれている。第1の補強シート11は、芯部材2の外側の表面に積層されており、配置されている。芯部材2の外側の表面が、第1のシート部3により被覆されている。第1の補強シート11は、長尺状であり、長さ方向と幅方向とを有する。巻き芯1では、複数の第1の補強シート11が、芯部材2に巻かれている。巻き芯1の軸方向Xと、第1の補強シート11の長さ方向とが略平行である。第1のシート部3は、巻き芯1のたわみ性を効果的に高める。
【0034】
複数の第1の補強シート11は、端部11a(第1の補強シート11の幅方向の両側の端部)が揃うように並んで芯部材2に巻かれている。段差を無くし、第1のシート部3の厚みばらつきを低減する観点からは、複数の第1の補強シートは隙間なく並んでいることが好ましく、複数の第1の補強シートの端部間の隙間の距離は1mm以下であることが好ましい。該隙間の距離が小さいほど、巻き芯の機械的強度及びたわみ性が高くなる。段差をなくし、第1のシート部の厚みばらつきを低減することで、樹脂シート、ゴムシート、紙及び布等の様々な長尺状の巻き付け部材を巻き芯に巻き付けたときに、該巻き付け部材に皺が生じ難くなり、該巻き付け部材に段差形状が転写されるのを抑制できる。複数の第1の補強シートは重なり部分を有するように巻かれていてもよい。複数の第1の補強シートは、端部が重なるように巻かれていてもよい。
【0035】
第2のシート部4は、第2の補強シート12が、巻き芯1の周方向Yに巻かれて形成されている。第2の補強シート12は、第1のシート部3の外側の表面に巻かれている。第2の補強シート12は、第1のシート部3の外側の表面に積層されており、配置されている。第1のシート部3の外側の表面が、第2のシート部4により被覆されている。第2の補強シート12は、長尺状であり、長さ方向と幅方向とを有する。巻き芯1では、1つの第2の補強シート12が、第1のシート部3の外側の表面を巻回するように巻かれている。第2の補強シート12は、巻き芯1の軸方向Xにずれるように巻かれている。具体的には、第2の補強シート12は、巻き芯1の軸方向Xにずれるようにらせん状に巻かれている。このように、第2の補強シート12を軸方向Xにずれるように巻くことで、巻き芯の機械的強度をより一層高めることができ、第2の補強シート12を軸方向Xにずれるようにらせん状に巻くことで、巻き芯の機械的強度をさらに一層高めることができる。第2のシート部4は、巻き芯1の圧縮強度及び曲げ強度などの機械的強度を効果的に高める。
【0036】
複数の第2の補強シート12は、端部12a(第2の補強シート12の幅方向の両側の端部)が揃うように並んで巻かれており、重なり部分を有さないように巻かれている。段差を無くし、第2のシート部の厚みばらつきを低減する観点からは、第2の補強シートは隙間なく並んでいることが好ましく、第2の補強シートの端部間の隙間の距離は1mm以下であることが好ましい。該隙間の距離が小さいほど、巻き芯の機械的強度及びたわみ性が高くなる。なお、第2の補強シートの端部間に隙間があっても、樹脂層により隙間を埋めることで、巻き芯の外側の表面に段差を無くし、表面を平滑にすることができる。
【0037】
巻き芯1は、該巻き芯1の最表面に樹脂層5を備える。巻き芯1は、第2のシート部12の外側の表面を被覆している。樹脂層5は樹脂を用いて形成されている。樹脂層5は、巻き芯1のたわみ性及び機械的強度の向上に大きく寄与する。また、樹脂層5により、巻き芯1の外側の表面の平滑性を高めることもできる。
【0038】
図3(c)に、巻き芯1の変形例である巻き芯を模式的に斜視図で示す。
【0039】
図3(c)に示す巻き芯21は、芯部材2と、第1のシート部3と、第2のシート部22と、樹脂層5とを備える。第2のシート部が異なることを除いては、巻き芯21は、巻き芯1と同様に構成されている。
【0040】
図3(a)〜(c)は図2(a)〜(c)に示す状態と対応しており、図3(a)は、芯部材2に第1のシート部3が形成された状態を示す図であり、図3(b)は、芯部材2に第1のシート部3及び第2のシート部22が形成された状態を示す図であり、図3(c)は、芯部材2に第1のシート部3及び第2のシート部22が形成され、かつ第2のシート部22が樹脂層5により被覆されている状態を示す図である。
【0041】
図3(b),(c)に示すように、巻き芯21では、第2の補強シート31が、巻き芯21の周方向Yに巻かれて、第2のシート部22が形成されている。第1のシート部3の外側の表面が、第2のシート部22により被覆されている。第2の補強シート31は、長尺状であり、長さ方向と幅方向とを有する。1つの第2の補強シート31が、巻き芯21の軸方向Xにずれるようにらせん状に巻かれている。具体的には、巻き芯1では、第2の補強シート12は端部12aが揃うようにかつ重なり部分を有さないように巻かれているのに対し、巻き芯21では、第2の補強シート31は、重なり部分31bを有するように巻かれている。具体的には、第2の補強シート31は、端部31a(第2の補強シート31の幅方向の両側の端部)が重なるように巻かれている。第2の補強シートは、重なり部分を有するように巻かれていることが好ましい。これによって、巻き芯の機械的強度及びたわみ性がより一層良好になる。
【0042】
(巻き芯の他の詳細)
上記第1,第2の補強シートはそれぞれ、熱可塑性樹脂により形成されていることが望ましい。この場合には、巻き芯がより一層安価かつ軽量になる。上記第1,第2の補強シートとして、無機系の繊維を織り込んだシートも使用できる。上記第1,第2の補強シートはそれぞれ、熱可塑性樹脂又は無機系の繊維により形成されていることが望ましい。上記無機系の繊維は、無機化合物により形成された繊維であることが望ましい。
【0043】
上記第1の補強シートと上記第2の補強シートとは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0044】
上記第1,第2の補強シートの材料である熱可塑性樹脂は特に限定されない。該熱可塑性樹脂として、従来公知の熱可塑性樹脂が使用可能である。該熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。上記ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体、及びポリブテン等などが挙げられる。
【0045】
上記第1,第2の熱可塑性樹脂シートは、延伸された延伸シートであることが好ましい。延伸シートは、熱可塑性樹脂を溶融させ、シート状に成形した後、延伸することにより得られる。延伸により、樹脂の分子鎖配向により、延伸シートの強度及び伸縮性が大幅に向上する。延伸比によっては、延伸シートの強度を、金属の強度に近づけることも可能である。強度を一定方向に向上させるために、上記延伸シートは一軸延伸されていることが好ましく、一軸延伸シートであることが好ましい。
【0046】
上記第1,第2の熱可塑性樹脂シートの製造方法としては特に限定されないが、Tダイなどを用いた溶融押出成形法、及びカレンダー成形などによるロール成形法等が挙げられる。
【0047】
上記延伸シートを得る延伸方法としては特に限定されないが、例えば加熱されたシートを、速度が異なるロール間で延伸するロール間延伸法等が挙げられる。延伸は1回のみ行われてもよく、2回以上行われてもよい。延伸後に、延伸シートは所定の幅にスリット加工して用いることが好ましい。
【0048】
上記延伸シートの延伸倍率は、樹脂の性状などによって適宜変更することができ特に限定されない。上記延伸シートの延伸倍率は、好ましくは10倍以上、より好ましくは20倍程度である。上記延伸倍率が10倍以上であると、延伸シートの強度及び弾性率がより一層良好になる。上記延伸シートの延伸倍率の上限は特に限定されない。延伸倍率の上限の一例を挙げると、100倍以下、50倍以下等が挙げられる。
【0049】
上記第1,第2の熱可塑性樹脂シートの厚みは特に限定されないが、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下である。厚みが上記下限以上であると、巻き付け回数を増やさなくても巻き芯の機械的強度及びたわみ性を良好にすることができ、更に上記第1,第2の熱可塑性樹脂シートの取り扱い性も高くなり、巻き芯の生産性が高くなる。厚みが上記上限以下であると、巻き取り及び巻き出し時などに上記第1,第2の熱可塑性樹脂シートに割れが生じ難くなり、更に延伸により上記第1,第2の熱可塑性樹脂シートに割れが生じ難くなる。また、上記第1,第2の熱可塑性樹脂シートをロール状に巻き付けて原反ロールを得たり、上記第1,第2の熱可塑性樹脂シートを巻き付けたりする作業が容易になる。
【0050】
上記第1,第2の熱可塑性樹脂シートの長さ方向寸法及び幅方向寸法は、巻き芯の径、巻き付け角度及び巻き付け方法等により適宜選択され特に限定されない。
【0051】
上記無機系の繊維は、具体的にはガラス繊維やカーボン繊維などが挙げられる。
【0052】
上記ガラス繊維やカーボン繊維などの無機系の繊維は、一方向に引きそろえた繊維であることが望ましい。上記ガラス繊維やカーボン繊維などの無機系の繊維として、プリプレグ等の樹脂を含浸させた繊維が使用し易い。
【0053】
上記第1の補強シートの巻き付け角度α1は特に限定されない。上記第1の補強シートの巻き付け角度α1は巻き芯の軸方向と、第1の補強シートの端部(幅方向の両側の端部)とのなす角度(ずれ角度)である。該巻き付け角度α1は、好ましくは5°未満であり、より好ましくは0°である。巻き付け角度α1が上記上限以下であると、巻き芯のたわみ性がより一層高くなる。
【0054】
上記第2の補強シートの巻き付け角度α2は特に限定されない。上記第2の補強シートの上記巻き付け角度α2は、巻き芯の周方向と、第2の補強シートの端部(幅方向の両側の端部)とのなす角度(ずれ角度)である。該巻き付け角度α2は、好ましくは10°以上、より好ましくは30°以上、更に好ましくは45°以上、好ましくは80°以下、より好ましくは70°以下である。上記巻き付け角度α2が上記下限以上及び上記上限以下であると、巻き芯の圧縮強度及び曲げ強度などの機械的強度がより一層高くなる。特に、上記巻き付け角度α2が30°以上であると、機械的強度が更に一層高くなり、45°以上であると、機械的強度がかなり高くなる。
【0055】
また、上記第1の補強シートにより形成された上記第1のシート部は、必要に応じて、2層以上の積層構造を有していてもよい。上記第1のシート部は、2層の積層構造を有していてもよく、3層の積層構造を有していてもよく、4層以上の積層構造を有していてもよい。すなわち、巻き芯は、内層の第1のシート部と外層の第1のシート部とを有していてもよい。第1のシート部の積層数が少ないほど、巻き芯の材料コストを低減し、かつ巻き芯を軽量化できる。第1のシート部の積層数が多いほど、巻き芯のたわみ性がより一層高くなる。2層以上の積層構造を有する第1のシート部を形成する場合に、内層の第1のシート部を形成する第1の補強シートと、外層の第1のシート部を形成する第1の補強シートとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0056】
また、上記第2の補強シートにより形成された上記第2のシート部は、必要に応じて、2層以上の積層構造を有していてもよい。上記第2のシート部は、2層の積層構造を有していてもよく、3層の積層構造を有していてもよく、4層以上の積層構造を有していてもよい。すなわち、巻き芯は、内層の第2のシート部と外層の第2のシート部とを有していてもよい。第2のシート部の積層数が少ないほど、巻き芯の材料コストを低減し、かつ巻き芯を軽量化できる。第2のシート部の積層数が多いほど、巻き芯の機械的強度がより一層高くなる。2層以上の積層構造を有する第2のシート部を形成する場合に、内層の第2のシート部を形成する第2の補強シートと、外層の第2のシート部を形成する第2の補強シートとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0057】
機械的強度及びたわみ性がより一層良好な巻き芯を得る観点からは、内層の第2のシート部を形成する第2の補強シートと、外層の第2のシート部を形成する第2の補強シートとは、上記巻き付け角度α2又は巻き付け方向(傾き方向、ずれ方向)をかえて巻かれていることが好ましい。
【0058】
上記第1,第2の補強シートは、必要に応じて表面の接着性を向上させる目的で、表面処理されていることが好ましい。上記表面処理の方法としては、例えば、サンドブラスト等による物理的方法、表面を加熱する方法、プラズマ加工又はコロナ加工等による化学的方法、表面に予め接着シートをラミネートし接着性を付与する方法が挙げられる。
【0059】
上記接着シートの材料としては、直鎖状低密度ポリエチレン、変性ポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。上記接着シートにかえて接着剤を用いてもよい。該接着剤としては、ホットメルト接着剤等が挙げられる。該ホットメルト接着剤の材料としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びアクリル樹脂が挙げられる。
【0060】
上記芯部材の使用によって、巻き芯のたわみ性及び機械的強度がかなり高くなる。上記芯部材を形成する樹脂は特に限定されないが、熱可塑性樹脂であることが好ましい。上記芯部材の材料である熱可塑性樹脂は特に限定されない。該熱可塑性樹脂として、従来公知の熱可塑性樹脂が使用可能である。該熱可塑性樹脂としては、上記第1,第2の熱可塑性樹脂シートの材料である上述した熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0061】
上記樹脂層の形成によって、巻き芯の機械的強度及びたわみ性が良好になり、特にたわみ性がかなり高くなる。上記樹脂層の材料である樹脂は特に限定されないが、熱可塑性樹脂であることが好ましい。上記樹脂層の材料である熱可塑性樹脂は特に限定されない。該熱可塑性樹脂として、従来公知の熱可塑性樹脂が使用可能である。該熱可塑性樹脂としては、上記第1,第2の熱可塑性樹脂シートの材料である上述した熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0062】
また、上記第1,第2の熱可塑性樹脂シート、上記芯部材及び上記樹脂層を形成する材料には、必要に応じ結晶核剤、架橋剤、架橋助剤、滑剤及び充填剤等の添加剤を配合してもよい。特に、上記芯部材に、これらの添加剤を配合することが好ましい。
【0063】
上記結晶核剤又は充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、ゼオライト及び酸化チタン等が挙げられる。これらは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0064】
樹脂の結晶化度を向上させることで、上記第1,第2の熱可塑性樹脂シート、上記芯部材及び上記樹脂層の強度を高めることができ、厚みを薄くすることができ、更に材料コストの低減かつ軽量化につながる。
【0065】
上記架橋剤としては光重合開始剤等が挙げられる。該光重合開始剤としては、ベンゾフェノン及びアセトフェノン等が挙げられる。上記第1,第2の熱可塑性樹脂シート、上記芯部材及び上記樹脂層の架橋密度を高めるために、電子線照射及び紫外線照射などの処理を行ってもよい。
【0066】
上記芯部材及び上記樹脂層を得る方法は特に限定されない。上記芯部材及び上記樹脂層はそれぞれ、押出成形法により得られることが好ましい。上記芯部材及び上記樹脂層を押出成形法により得る場合に、押出成形条件は特に限定されない。押出成形条件は、使用する樹脂の融点、メルトインデックス(MI)及び充填剤の配合量により適宜調整可能である。
【0067】
巻き芯における各層間の接着性をより一層高める観点からは、上記芯部材、上記第1の熱可塑性樹脂シート、上記第2の熱可塑性樹脂シート及び上記樹脂層のうち、接着される部材同士は、同じ熱可塑性樹脂により形成されていることが好ましい。上記芯部材、上記第1の熱可塑性樹脂シート、上記第2の熱可塑性樹脂シート及び上記樹脂層をこの順で積層する場合には、上記芯部材と上記第1の熱可塑性樹脂シートとが同じ熱可塑性樹脂により形成されていることが好ましく、上記第1の熱可塑性樹脂と上記第2の熱可塑性樹脂シートとが同じ熱可塑性樹脂により形成されていることが好ましく、上記第2の熱可塑性樹脂シートと上記樹脂層とが同じ熱可塑性樹脂により形成されていることが好ましい。また、同じ熱可塑性樹脂を使用したり、使用する熱可塑性樹脂の種類を少なくしたりすることで、巻き芯のリサイクル性が向上し、環境負荷を低減できる。上記第1の熱可塑性樹脂シート及び上記第2の熱可塑性樹脂シートがいずれも、ポリオレフィン樹脂により形成されていることが好ましく、上記芯部材、上記第1の熱可塑性樹脂シート及び上記第2の熱可塑性樹脂シートがいずれも、ポリオレフィン樹脂により形成されていることがより好ましく、上記芯部材、上記第1の熱可塑性樹脂シート、上記第2の熱可塑性樹脂シート及び上記樹脂層がいずれも、ポリオレフィン樹脂により形成されていることが更に好ましい。
【0068】
(巻き芯の製造方法)
巻き芯1,21を得る際には、先ず、巻き芯2を用意する。
【0069】
芯部材2は特に限定されないが、例えば、図4に示す装置51を用いて得られる。
【0070】
図4に示す装置51は、押出機52と、金型53と、冷却金型54と、引取機55と、カット機56とを備える。金型53は、押出機52の先端に取り付けられている。冷却金型54は、金型53から押し出された熱可塑性樹脂を冷却するための金型である。冷却金型54により冷却された芯部材は引取機55により引き取られ、カット機56により所定の長さに切断される。
【0071】
次に、図2(a),図3(a)に示すように、第1の補強シート11を、芯部材2の外側の表面に、得られる巻き芯1,21の軸方向Xに巻き付けて、第1のシート部3を形成する。次に、図2(b),図3(b)に示すように、第2の補強シート12,31を、得られる巻き芯1,21の周方向Yに巻き付けて、第2のシート部4,22を形成する。
【0072】
第1のシート部3及び第2のシート部4,22を形成するために、例えば、図5に示す装置61が用いられる。
【0073】
装置61は、芯部材固定用チャックコーン62と、芯部材回転用モーター63と、軸方向接着用の熱風装置64、軸方向接着用のシート固定台65と、周方向接着用の熱風装置66と、周方向接着用のシート固定台67とを備える。
【0074】
装置61を使用する際には、巻き芯2を、芯部材固定用チャックコーン62に固定する。また、軸方向接着用のシート固定台65に、第1の補強シート11を固定する。次に、第1の補強シート11の先端を芯部材2に接着シートなどを用いて固定する。第1の補強シート11に事前に接着シートをラミネートし、第1の補強シート11に軸方向接着用の熱風装置64により熱風を吹き付けながら、接着シートを溶融させて、第1の補強シート11を芯部材2の外側の表面に接着させつつ、得られる巻き芯1,21の軸方向Xに巻き付ける。
【0075】
次に、周方向接着用のシート固定台67に、第2の補強シート12,31を固定する。また、第2の補強シート12,31の先端を、芯部材2又は第1のシート部3に接着シートなどを用いて固定する。第2の補強シート12,31に事前に接着シートをラミネートし、第1のシート部3が形成された芯部材2を回転させて、第2の補強シート12,31に周方向接着用の熱風装置66により熱風を吹き付けながら、接着シートを溶融させて、第2の補強シート12,31を第1のシート部4の外側の表面に接着させつつ、得られる巻き芯1,21の周方向Yに巻き付ける。第1のシート部3が形成された芯部材2の回転と同時に、周方向接着用のシート固定台67を得られる巻き芯1,21の軸方向Xに移動させることで、第2の補強シート12,31を、得られる巻き芯1,21の周方向Yに巻きつけることが容易である。第1のシート部3が形成された芯部材2の回転速度、又は周方向接着用の熱風装置66及び周方向接着用シート固定台67の得られる巻き芯1,21の軸方向Xへの移動速度をかえることによって、第2の補強シート12が重なり部分を有さない第2のシート部4を形成したり、第2の補強シート31が重なり部分を有する第2のシート部22を形成したりすることができる。
【0076】
また、周方向接着用の熱風装置66及び周方向接着用のシート固定台67に第2の補強シート12,31を固定することによって、第1のシート部3が形成された芯部材2の回転によって、第2の補強シートにテンションがかかり、巻き締まりの効果が得られる。
【0077】
また、第1のシート部3が形成された芯部材2の回転速度、又は周方向接着用の熱風装置66及び周方向接着用シート固定台67の得られる巻き芯1,21の軸方向Xへの移動速度をかえることによって、上記巻き付け角度α2を変更できる。さらに、周方向接着用のシート固定台67の向きを変えることによって、上記巻き付け角度α2を変更できる。
【0078】
また、上記内層の第2のシート部(例えば1層目)を形成した後、周方向接着用のシート固定台67を内層の第2のシート部を形成する際の移動方法とは逆方向に移動させることで、傾き方向(ずれ方向)が異なる外層の第2のシート部(例えば2層目)を形成できる。また、同様にして、更に外層の第2のシート部(3層目、4層目)などの第2のシート部を形成できる。
【0079】
次に、図2(c),図3(c)に示すように、第2のシート部4,22の外側の表面を樹脂層5により被覆する。
【0080】
樹脂層5を形成するために、例えば、図6に示す装置71が用いられる。
【0081】
装置71は、軸芯72と、押出機73と、被覆金型74と、冷却金型75と、引取機76と、送出機77とを備える。
【0082】
装置71を使用する際には、金属などにより形成された軸芯72に、第1のシート部3及び第2のシート部4,22が形成された芯部材2を取り付ける。送出機77により、第1のシート部3及び第2のシート部4,22が形成された芯部材2を送り出しながら、押出機73にて、樹脂層5を形成するための熱可塑性樹脂を溶融押出しする。溶融押出しされた熱可塑性樹脂を、被覆金型74により第2のシート部4,22の外側の表面に被覆させ、冷却金型75により冷却し、樹脂層5を形成する。その後、樹脂層5が形成された巻き芯1,21を送出機77にて送り出し、引取機76により引き取る。このようにして、巻き芯1,21を得ることができる。
【0083】
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0084】
(実施例1)
(1)接着シート付き第1,第2の熱可塑性樹脂シート(補強用接着シート)の製造
熱可塑性樹脂として、高密度ポリエチレン(MI:1g/10分、日本ポリケム社製)を用意した。この高密度ポリエチレンを2軸押出機にて200℃で混練し、Tダイより押出し、厚み5mmの原反シートを得た。
【0085】
上記原反シートを、速度1m/分で送り出し、130℃の加熱炉内を通過させながら、送り出し速度の20倍の速度20m/分で引き取り、延伸倍率20倍、厚み0.25mmの第1,第2の熱可塑性樹脂シートを得た。
【0086】
直鎖状低密度ポリエチレン(MI:0.8g/10分)を用いて、インフラレーション成形により得られた厚み0.05mmの接着シートを用意した。第1,第2の熱可塑性樹脂シートに接着性を付与する目的で、接着シートを連続的に第1,第2の熱可塑性樹脂シートの片面にラミネート(積層)し、スリット加工して、幅20mmの接着シート付き第1,第2の熱可塑性樹脂シートを得た。
【0087】
(2)芯部材(熱可塑性樹脂パイプ)の製造
熱可塑性樹脂として、高密度ポリエチレン(MI:0.5g/10分、日本ポリケム社製)を用意した。この高密度ポリエチレン100重量部とタルク10重量部とを配合し、熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を、単軸押出機に供給し、押出機のバレル温度210℃及び金型温度200℃にて溶融押出しした。その後、先端の押出金型及び冷却金型と、引取機とカット機とを用いて、内径153mm、厚み6.5mm及び長さ2,500mmの芯部材を得た。
【0088】
(3)第1,第2のシート部の形成
巻き付け装置に上記芯部材と上記接着シート付き第1,第2の熱可塑性樹脂シートを固定した。接着シート付き第1の熱可塑性樹脂シートを接着シート側から、芯部材の外側の表面に、熱風温度150℃で、得られる巻き芯の軸方向(芯部材の軸方向)に圧着させつつ巻き付けて、第1のシート部を形成した。さらに、第1のシート部が形成された芯部材を10rpmにて回転させ、第2の熱可塑性樹脂シートを固定した固定台を送り速度1分/mにて移動させて、第2の熱可塑性樹脂シートを接着シート側から、第1のシート部の外側の表面に、熱風温度150℃で、巻きつけ角度α2を70°として圧着しつつ巻き付けて、1層目の第2のシート部を形成した。さらに、巻き付け角度α2を70°とし、但し傾き方向(ずれ方向)を逆方向に変更し、1層目と同様の条件で、2層目の第2のシート部を形成した。
【0089】
次いで、上記第1,第2のシート部が形成された芯部材をパイプ送出装置にセットした。上記芯部材の材料である熱可塑性樹脂と同じ高密度ポリエチレン(MI:0.5g/10分、日本ポリケム社製)を、芯部材の製造条件と同じ条件にて溶融押出しして、2層目の第2のシート部の外側の表面を、厚み1.0mmの樹脂層により被覆して、巻き芯を得た。
【0090】
(実施例2)
接着シート付き第1,第2の熱可塑性樹脂シートの幅を20mmから30mmに変更したこと、1層目の第2のシート部を形成する際の巻き付け角度α2を70°から60°に変更したこと、並びに2層目の第2のシート部を形成する際の巻き付け角度α2を70°から60°(但し、傾き方向(ずれ方向)が逆方向)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、巻き芯を得た。
【0091】
(実施例3)
芯部材と樹脂層とを形成する材料である熱可塑性樹脂を、ホモポリプロピレン(MI:0.5g/10分、日本ポリケム社製)に変更したこと、芯部材及び樹脂層を形成する際の押出機バレル温度を210℃から230℃にかつ金型温度を200℃から230℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、巻き芯を得た。
【0092】
(実施例4)
2層目の第2のシート部の外側の表面に、1層目の第2のシート部と同様の形成条件で3層目の第2のシート部を形成し、該3層目の第2のシート部の外側の表面に、2層目の第2のシート部と同様の形成条件で4層目の第2のシート部を形成したこと以外は実施例1と同様にして、巻き芯を得た。
【0093】
(実施例5)
第1,第2の熱可塑性樹脂シートとして、ポリエチレンテレフタレートシート(延伸倍率10倍)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接着シート付き第1,第2の熱可塑性樹脂シートを得て、更に巻き芯を得た。
【0094】
(実施例6)
カーボン繊維を一方向に引きそろえた状態で、該カーボン繊維に実施例1と同様の接着シートをラミネートして、厚み0.3mm及び幅20mmの接着シート付き第1,第2の熱可塑性樹脂シートを用意した。
【0095】
第1,第2の補強シートとして、上記接着シート付き第1,第2の熱可塑性樹脂シートを用いたこと以外は実施例1と同様にして巻き芯を得た。
【0096】
(比較例1)
実施例3で得られた巻き芯と同じ肉厚の樹脂管(ポリプロピレンパイプ)を押出成形により得た。該樹脂管を巻き芯として用いた。
【0097】
(評価)
(1)たわみ試験
支点間距離を1,000mmとし、巻き芯の中心部500mmに1,000kgの荷重(おもり)をかけた。巻き芯の上面に糸を張り、糸と巻き芯の中心部との隙間(たわみ)を測定した。
【0098】
(2)扁平線荷重試験
巻き芯の長さを300mmとした。巻き芯の長さ分の平版にて等速度に圧縮できる試験機を使用し、10mm/分にて連続的に巻き芯を該巻き芯の周方向に圧縮し、1mm、2mm及び3mm圧縮したときの荷重を測定した。
【0099】
結果を下記の表1に示す。
【0100】
【表1】

【0101】
表1に示す結果より、実施例1〜6の巻き芯は、比較例1の樹脂管と同程度の肉厚であっても、扁平線荷重が高く、かつ荷重をかけたときのたわみを大幅に低減することができることがわかる。このため、実施例1〜6の巻き芯には、巻き付け部材をより多く巻き付けることができ、巻き芯の耐久性も高くなる。また、実施例1〜6の巻き芯では、巻き締まりによる破損の危険性を低減できる。
【0102】
なお、比較例1のような単層の樹脂管の強度を実施例1〜6の巻き芯の強度と同程度にするためには、樹脂管の肉厚をかなり厚くする必要がある。肉厚を厚くすれば、重量も重くなり、材料コストがかかり高価となる。
【0103】
実施例1〜6の巻き芯は、熱可塑性樹脂が多く用いられており、更に全体が熱可塑性樹脂により形成されているので、安価かつ軽量である。また、実施例1〜6の巻き芯では、巻き芯の各部分を構成する材料としていずれも熱可塑性樹脂を使用したことにより、リサイクルが容易である。
【符号の説明】
【0104】
1…巻き芯
2…芯部材
3…第1のシート部
4…第2のシート部
5…樹脂層
11…第1の補強シート
11a…端部
12…第2の補強シート
12a…端部
21…巻き芯
22…第2のシート部
31…第2の補強シート
31a…端部
31b…重なり部分
51…装置
52…押出機
53…金型
54…冷却金型
55…引取機
56…カット機
61…装置
62…芯部材固定用チャックコーン
63…芯部材回転用モーター
64…軸方向接着用の熱風装置
65…軸方向接着用のシート固定台
66…周方向接着用の熱風装置
67…周方向接着用のシート固定台
71…装置
72…軸芯
73…押出機
74…被覆金型
75…冷却金型
76…引取機
77…送出機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向と周方向とを有する巻き芯であって、
第1の補強シートが、巻き芯の軸方向に巻かれた第1のシート部と、
第2の補強シートが、巻き芯の周方向に巻かれた第2のシート部とを備える、巻き芯。
【請求項2】
前記第1,第2の補強シートがそれぞれ、熱可塑性樹脂により形成されている、請求項1に記載の巻き芯。
【請求項3】
前記第2の補強シートが、巻き芯の周方向に巻かれて、かつ巻き芯の軸方向にずれるようにらせん状に巻かれて、前記第2のシート部が形成されている、請求項1又は2に記載の巻き芯。
【請求項4】
前記第2の補強シートが、巻き芯の周方向に巻かれて、かつ巻き芯の軸方向にずれるようにかつ重なり部分を有するように巻かれて、前記第2のシート部が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の巻き芯。
【請求項5】
前記第2の補強シートが、前記第1のシート部の外側の表面に、巻き芯の周方向に巻かれて、前記第2のシート部が形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の巻き芯。
【請求項6】
芯部材をさらに備え、
前記第1の補強シートが、前記芯部材の外側の表面に、巻き芯の軸方向に巻かれて、前記第1のシート部が形成されており、
前記第2の補強シートが、前記第1のシート部の外側の表面に、巻き芯の周方向に巻かれて、前記第2のシート部が形成されている、請求項5に記載の巻き芯。
【請求項7】
巻き芯の最表面に、樹脂層をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の巻き芯。
【請求項8】
前記第2の補強シートが、前記第1のシート部の外側の表面に、巻き芯の周方向に巻かれて、前記第2のシート部が形成されており、
前記樹脂層が、前記第2のシート部の外側の表面を被覆している、請求項7に記載の巻き芯。
【請求項9】
芯部材をさらに備え、
前記第1の補強シートが、前記芯部材の外側の表面に、巻き芯の軸方向に巻かれて、前記第1のシート部が形成されており、
前記第2の補強シートが、前記第1のシート部の外側の表面に、巻き芯の周方向に巻かれて、前記第2のシート部が形成されており、
前記樹脂層が、前記第2のシート部の外側の表面を被覆している、請求項8に記載の巻き芯。
【請求項10】
芯部材をさらに備え、
前記芯部材が、熱可塑性樹脂により形成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の巻き芯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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