説明

巻上、牽引装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、巻上、牽引装置に関するもので、装置全体を小型、軽量化でき、部品点数、加工・組立て工数を削減できる巻上、牽引装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の巻上、牽引装置における減速用歯車の支持構造及びロードギヤの構造について、図5,6を参照して説明する。
【0003】図において、21はロードシーブ及び減速ギヤ軸受用フレーム、22はロードシーブ、23はロードギヤ、24はピニオンギヤ、25はピニオンギヤ24と噛合する減速ギヤa,26は減速ギヤaと同軸に軸着された減速ギヤb、27はフレーム21の中央に設けられたロードシーブ用軸受、28はロードシーブ用軸受27の外側に一定距離を隔てて設けられた減速ギヤ軸用軸受、29は上フック取付穴、30はスタットボルト取付穴、31はスタットボルト、32は上フック、34はブレーキ板、ブレーキ受、つめ車及びつめからなるメカニカルブレーキ、35はピニオン軸、36は操作レバー、37はケーシングである。
【0004】上記した従来装置においては、図6に示すように、フレーム21に設けられた減速ギヤbの軸受28はフレームの支持強度を確保するため、ロードシーブ軸受27より一定間隔Aを有して設けられており、ピニオンギヤと減速ギヤとロードギヤの各軸間距離が大きくなり、各歯車径も大きなものとなった。そのため歯車をカバーするケーシングも大きなものとなっていた。また、減速ギヤ25,26の軸間距離が大きいため、減速ギヤbの回転をロードシーブに伝達するため、減速ギヤbとロードシーブ22間にロードギヤ23を介装することが必要であった。また、ロードギヤはロードシーブの軸受部より大径となっていたので、ロードシーブをフレームの軸受部に組み込んだ後にロードギヤとピニオンギヤを有するピニオン軸を組み込む必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記したように従来の巻上、牽引装置においては、減速ギヤとピニオンギヤ及びロードギヤとの軸間距離が大きく、各歯車が大径となり、巻上、牽引装置を小型化する障害となっていた。また、ロードギヤ及びピニオンギヤを有するピニオン軸は、ロードシーブをフレームの軸受に組み込んだ後に組み付ける必要があり、ロードギヤをロードシーブと予め一体化することが出来なかった。本発明はこのような従来装置が有する課題を解決するもので、減速歯車の軸間距離を小さくし、ロードギヤの外径をロードシーブの軸受部と同径または小径とし、ロードギヤをロードシーブに予め一体として備えることにより、装置全体を小型、軽量化するとともに、部品点数、加工・組立て工数を削減できる巻上・牽引装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した従来技術が有する課題に鑑みなされたもので、ピニオンギヤと、ピニオンギヤと連動する減速ギヤと、減速ギヤと連動するロードギヤを介して駆動されるロードシーブを備えた巻上、牽引装置において、ロードギヤをロードシーブ軸受外径と同径または小径とし、減速ギヤを直接ロードギヤと噛合とするように構成したことを特徴とする巻上、牽引装置である。
【0007】本発明によれば、ロードギヤをロードシーブの外径と同径または小径とすることによって、ロードギヤと噛合とする減速ギヤの軸間距離を小さくでき、減速ギヤをロードシーブ軸受に連接した軸受により軸支できるため、装置を小型、軽量化できるとともに、部品点数、加工・組立て工数を削減できるという効果を奏する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、ピニオンギヤと、ピニオンギヤと連動する減速ギヤと、減速ギヤと連動するロードギヤを介して駆動されるロードシーブを備えた巻上、牽引装置において、ロードギヤをロードシーブ軸受外径と同径または小径とし、減速ギヤを直接ロードギヤと噛合するように構成したことを特徴とするもので、ロードギヤをロードシーブ軸受部外径と同径または小径とすることによって、ロードシーブとロードギヤを一体成型することが可能となり、そのためロードシーブにロードギヤを一体的に組付けた状態でフレームに組付けることを可能とし、部品点数、加工・組立て工数を削減でき、低コストな巻上・牽引装置を提供できる作用を有する。
【0009】請求項2記載の発明は、ロードシーブとロードギヤを一体成型したことを特徴とするもので、部品点数、加工・組立て工数を削減できる作用を有する。
【0010】請求項3記載の発明は、減速ギヤをフレーム中央に設けたロードシーブ軸受に連設した減速ギヤ軸受により軸支したことを特徴とするもので、ロードギヤと噛合とする減速ギヤとの軸間距離を小さくでき、各歯車を小型化することにより、装置を小型、軽量化出来るとともに、部品点数、加工・組立て工数を削減できる作用を有する。
【0011】請求項4記載の発明は、ロードシーブおよび減速ギヤ軸支用フレームは、互いに隣接して設けた第1、第2フレームからなり、ロードシーブを第1フレームの軸受で軸支し、減速ギヤをロードシーブ軸受に連設した減速ギヤ軸受を設けた第2フレームで軸支したことを特徴とするもので、ロードシーブ用軸受と減速ギヤ軸用軸受を別々に加工できるので、加工が容易に出来るという作用を有する。
【0012】以下本発明の実施の形態について図面に基づき説明する。
〔実施の形態1〕本発明の巻上、牽引装置における減速用歯車の支持構造及びロードギヤの構造について図1、2を参照して説明する。
【0013】図において、1はロードシーブ及び減速ギヤ軸用軸受を備えたフレーム、2はフレーム1およびフレーム1に対向するフレーム間に回動自在に軸支されたロードシーブ、3はロードシーブ2の軸受部外径と同径または小径で、ロードシーブに一体成型されたロードギヤ、4はピニオンギヤ、5aはピニオンギヤ4と噛合する減速ギヤa、5bは減速ギヤ5aと同軸に軸着された減速ギヤbで、減速ギヤ5aと減速ギヤ5bとで1対の減速ギヤ5を形成し、それぞれピニオンギヤとロードギヤに噛合している。減速ギヤを複数備えることにより伝達トルクも分散し、互いに噛合する歯車間のラジアル方向の反力を打ち消し、各歯車の小型化と軸受の小型化が図られる。7はフレーム1の中央に設けられたロードシーブ用軸受、8はロードシーブ用軸受7の外側に連設して設けた減速ギヤ5の軸用軸受、9は上フック取付穴、10はスタットボルト取付穴、11はスタットボルト、12は上フック、13は一端に下フックを備えたチェーン、14はブレーキ板、ブレーキ受、つめ車及びつめからなるメカニカルブレーキ、15はロードシーブ中心の挿通孔に挿通し、回動自在に軸支されたピニオン軸で、一方にピニオンギヤを形成し、他方にメカニカルブレーキ15を備えている。16は操作レバー、17はケーシングである。ケーシング17にはピニオンギヤ4と減速ギヤ5の軸用軸受が配置されている。本装置の動作について説明する。操作レバー16を回動するとメカニカルブレーキ15を介してピニオン軸に伝達し、ピニオン軸の一端に形成されたピニオンギヤ4と1対の減速ギヤ5及びロードギヤ3を介してロードシーブ2を回動し、ロードシーブ2に掛回したチェーンを巻き回し、チェーンの一端に備えた下フックにて荷を吊り上げたり、牽引する。
【0014】本発明は、図1、2に示すように、ロードギヤ3をロードシーブ2の軸受部外径と同径または小径とすることにより、ロードシーブ2にロードギヤ3を予め一体化することが可能となり、さらに、フレーム1に設けたロードシーブ用軸受7に連設して設けた減速ギヤ5の軸用軸受8により減速ギヤ5を軸支出来るので、従来のように軸受間に肉厚確保のための間隔を設ける必要は無く、軸受間距離を短縮し各歯車も小型化でき、そのため、巻上、牽引装置本体を小型、軽量化できる。また、ロードギヤをロードシーブに予め組み付けるか、一体成型が可能となり、さらに、ピニオンギヤを有するピニオン軸も予めロードシーブに組付けられ、ロードシーブをフレームに組み込む際に、これら複数の部品を1ユニットとして組み込むことが可能で、部品点数、加工・組立て工数を削減でき、より低コスト化を図ることができる。
〔実施の形態2〕本発明の実施の形態2を図3,4を参照して説明する。
【0015】本実施の形態は、実施の形態1と同じ伝達機構を備えた巻上、牽引装置において、フレームを互いに隣接して設けた第1フレーム1aと第2フレーム1bとし、第1フレーム1aにはロードシーブ2を軸支する軸受7aを、第2フレーム1bにはロードシーブ軸受部乃至ロードギヤを挿通する挿通孔に連設して減速ギヤ5の軸用軸受8を設け、ロードシーブ2を第1フレームで軸支し、減速ギヤ5を第2フレーム1bで軸支するようにしたもので、実施の形態1と同じ作用を有し、さらに、ロードシーブ用軸受と減速ギヤ軸用軸受を別々に加工できるので、連接した軸受を一体に形成するものに比べ加工が容易に出来る作用を有するものである。
【0016】
【発明の効果】本発明は、ロードギヤをロードシーブの外径と同径または小径とし、減速ギヤをロードシーブ軸受に連接した軸受により軸支したため、従来装置のようにロードシーブ用軸受と減速ギヤ軸用軸受間に間隔を設ける必要が無く、減速ギヤとロードギヤ及びピニオンギヤとの軸間距離を小さくできるため、各歯車を小型化でき、さらにはロードギヤとロードシーブを一体成型できるので、ロードシーブとピニオンギヤを有するピニオン軸を予め組み付けユニット化が可能となり、装置を小型、軽量化できるとともに、部品点数、加工・組立て工数を削減でき、低コストな巻上、牽引装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の巻上、牽引装置の縦断面図である。
【図2】図1のフレームの平面図である。
【図3】本発明の巻上、牽引装置の縦断面図である。
【図4】図3のフレームの平面図である。
【図5】従来の巻上、牽引装置の縦断面図である。
【図6】従来のフレームの平面図である。
【符号の説明】
1 フレーム
1a ロードシーブ軸受用フレーム
1b 減速ギヤ軸受用フレーム
2 ロードシーブ
3 ロードギヤ
4 ピニオンギヤ
5a 減速ギヤa
5b 減速ギヤb
7 ロードシーブ軸受
7a ロードシーブ軸受
8 減速ギヤ軸受
8a 減速ギヤ軸受
9 上フック取付穴
10 スタットボルト取付穴
11 スタットボルト
12 上フック
13 下フック
14 メカニカルブレーキ
15 ピニオン軸
16 操作レバー
17 ケーシング

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ピニオンギヤと、ピニオンギヤと連動する減速ギヤと、減速ギヤと連動するロードギヤを介して駆動されるロードシーブを備えた巻上、牽引装置において、ロードギヤをロードシーブ軸受部外径と同径または小径とし、減速ギヤを直接ロードギヤと噛合するように構成したことを特徴とする巻上、牽引装置。
【請求項2】 ロードシーブとロードギヤを一体成型したことを特徴とする請求項1記載の巻上、牽引装置。
【請求項3】 減速ギヤをフレーム中央に設けたロードシーブ軸受に連設して設けた減速ギヤ軸受により軸支したことを特徴とする請求項1または2記載の巻上、牽引装置。
【請求項4】 ロードシーブおよび減速ギヤ軸支用フレームは、互いに隣接して設けた第1、第2フレームからなり、ロードシーブを第1フレームの軸受で軸支し、減速ギヤをロードシーブ軸受に連設した減速ギヤ軸受を設けた第2フレームで軸支したことを特徴とする請求項1または2記載の巻上、牽引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【特許番号】特許第3416608号(P3416608)
【登録日】平成15年4月4日(2003.4.4)
【発行日】平成15年6月16日(2003.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−86445(P2000−86445)
【出願日】平成12年3月27日(2000.3.27)
【公開番号】特開2001−270688(P2001−270688A)
【公開日】平成13年10月2日(2001.10.2)
【審査請求日】平成15年1月15日(2003.1.15)
【出願人】(000129367)株式会社キトー (101)
【参考文献】
【文献】特開 平5−24790(JP,A)
【文献】特開 平8−290898(JP,A)